説明

画像形成装置

【課題】帯電ローラ端部での局所的なドラムの状態を把握することによって画像不良の発生を抑制すること。
【解決手段】像担持体と、帯電手段と、前記帯電手段に流れる帯電電流を測定する電流値測定手段と、前記像担持体を露光する露光手段と、前記帯電手段を軸方向に所定の範囲で移動可能に保持する保持部材と、前記各手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置において、前記電流値測定手段は、前記帯電手段の端部位置に対応する前記像担持体の一部の前記露光手段による露光後、前記帯電手段において再帯電されたときの電流値を測定するものであり、前記制御手段は、画像形成動作の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の差が第一基準値を超えた場合に、前記保持部材を移動させることにより、前記帯電手段の前記像担持体に対する位置を変更することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により像担持体に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像装置に収容した現像剤にて顕像化する電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で用いられる帯電手段としては、ローラ形状の帯電ローラが用いられる。そして帯電方式としては、接触帯電方式が用いられる。接触帯電方式では、帯電ローラを像担持体である感光体ドラムに接触させて、感光体ドラムを帯電させる。また、一般的には、帯電ローラの回転軸と感光体ドラムの回転軸との間の交差角を設け、帯電ローラを感光体ドラムに対して従動回転させることが行われている。帯電ローラの当接圧を均一化することができ、且つ回転時における帯電ローラの長手方向の位置を決定できるからである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
更には交差角を設けた場合に発生する帯電ローラ端部での感光体ドラムの局所的な削れに対し、感光体ドラムの使用状況に応じて交差角を変更するものがある(特許文献2参照。)。これにより、帯電ローラの当接位置を軸方向に移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−268326
【特許文献2】特開2009−244467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献2に記載の画像形成装置では、以下のような課題があった。
【0006】
帯電ローラの当接位置のずれは交差角の変更のみで実施するが、当接位置を確認できないため、実際に当接位置がずれたことを確認することが困難である。例えば、帯電ローラへの異物付着で軸方向への移動が妨害されるなど、予期しないない状況下で、局所的なドラム削れが発生することがある。この局所的なドラム削れは画像形成領域外ではあるが、帯電バイアスがリークすることによって画像不良に至る場合があった。
【0007】
また交差角の変更タイミングは、感光体ドラムへの帯電印加時間や感光体ドラム回転数で決定される。ここで、使用される環境により削れ量が増加した場合、ドラムが回転数に関わらず、削れてしまっているおそれがある。ドラム削れは帯電バイアスリークによる画像不良に至る場合がある。このため、これについても改善が必要であった。
【0008】
本発明の目的は、帯電ローラ端部での局所的なドラムの状態を把握することによって画像不良の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明に係る代表的な構成は、像担持体と、前記像担持体に当接して前記像担持体の回転に従動回転して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段に流れる帯電電流を測定する電流値測定手段と、前記像担持体を露光する露光手段と、前記帯電手段を軸方向に所定の範囲で移動可能に保持する保持部材と、前記各手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置において、前記電流値測定手段は、前記帯電手段の端部位置に対応する前記像担持体の一部の前記露光手段による露光後、前記帯電手段において再帯電されたときの電流値を測定するものであり、前記制御手段は、画像形成動作の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の差が第一基準値を超えた場合に、前記保持部材を移動させることにより、前記帯電手段の前記像担持体に対する位置を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の構成によれば、帯電ローラ端部での局所的なドラムの状態を把握することによって画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略断面図。
【図2】第1実施形態に係る帯電ローラの配置図。
【図3】第1実施形態に係る削れ量検知の手順を示すシーケンス図。
【図4】第1実施形態に係る帯電ローラ当接位置の確認方法の説明図。
【図5】第1実施形態に係る当接位置変更及び確認の手順を説明するシーケンス図。
【図6】第2実施形態に係る削れ量検知方法の説明図。
【図7】第3実施形態に係る当接位置の確認方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
図を用いて第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。図2は第1実施形態に係る帯電ローラの配置図である。
【0013】
(画像形成装置の構成と動作)
図1に示すように、画像形成装置本体(以下、装置本体と称する。)Mには、感光体ドラム1(像担持体)が配設される。
【0014】
感光体ドラム1は、アルミニウム等の導電性ドラム基体の外周面に、感光層である電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)を10μmの厚さで形成した。図1矢印R1方向に200mm/secのプロセススピードをもって矢印R1方向に回転駆動される。
【0015】
感光体ドラム1の表面は、帯電ローラ2(帯電手段)により所定の極性・電位に均一に帯電処理される。
【0016】
帯電ローラ2は感光体ドラム1の表面に当接されており、感光体ドラム1の矢印R1方向の回転に伴って矢印R2方向に従動回転する。また帯電ローラ2は、図2に示すように、帯電ローラの芯金15の長手方向の両端部が軸受13(保持部材)によって回転自在に支持されている。また、帯電ローラ2は、軸受13の中で長手方向(軸方向)に隙間分の6mmの移動ができる構成とした。
【0017】
軸受13は、図2(a)に示すように、帯電ローラ回転軸である芯金15と、感光体ドラム1の回転軸との間に交差角θ(θ≠0°)を設定するように配置される。帯電ローラ2はこの交差角θをもって配置され、従動回転する。これにより、矢印A方向へ移動する力が働く。
【0018】
また、軸受13は交差角θを変更する姿勢変更部材(不図示)を持ち、図2(b)に示すように、所定のタイミングで交差角を反転させる。図2における交差角の反転は、交差角θを交差角−θにする方法で行った。
【0019】
図1における帯電ローラ2には高圧電源20によってDCバイアスが印加される。帯電ローラ2に当接することにより、感光体ドラム1の表面が−400Vになるように帯電される。尚、高圧電源20は、直列に接続された帯電電流測定手段9(電流値測定手段)を介して接地される。帯電電流測定手段9は、帯電ローラ2の端部位置に対応する感光体ドラム1の一部のレーザースキャナ3(露光手段)による露光後、帯電ローラ2において再帯電されたときの電流値を測定するものである。
【0020】
帯電後の感光体ドラム1表面は、レーザースキャナ3から出力されたレーザービームの走査露光を受ける。すると、感光体ドラム1上には、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。このレーザービームは、後述する削れ量の検知のため、画像形成領域外の帯電ローラ端部では十分大きい光量で露光し、感光体ドラム表面を除電する。
【0021】
その後、前記静電潜像は現像器5(現像手段)によって現像され、トナー像となる。前記トナー像は、転写ローラ8によって記録材6に転写される。最後に、記録材6が定着器10で加熱・加圧され、記録材6表面にトナー像が定着される。
【0022】
(削れ量検知と帯電ローラの当接位置変更)
上述の画像形成装置を用いて、本発明の特徴を説明する。説明は、(1)削れ量の検知、について説明した後、(2)帯電ローラ当接位置の変更および確認について説明する。画像形成装置に具備される不図示の制御手段は、画像形成装置内の各手段を次の手順で制御する。
【0023】
(1)削れ量の検知
帯電ローラ端部での感光体ドラムの削れ量を検知する方法を説明する。
【0024】
まず、帯電ローラ端部での削れ量を検知する。そして、帯電ローラ端部領域にレーザースキャナ3で露光を行い、再度帯電したときに流れる帯電電流を測定する。この帯電電流を基に、削れ量を検知する。
【0025】
ここで得られる帯電電流値Iは
I=(ε × ε0 × L × v × V)/d
ここで、
ε=3:感光体ドラム感光層の比誘電率
ε0=8.85×10-12:真空誘電率
L:帯電長さ(=露光領域長さL1)
v:プロセススピード
V:帯電電位差
d:感光層の厚さ
である。
【0026】
このように、帯電電流値Iと感光層の厚さdとの関係式が得られるため、感光体ドラムの削れ量である感光層の厚さの差分(変化量)Δdは、電流値の差分(変化量)ΔIで検知可能となる。
【0027】
尚、露光領域長さL1は、少なくとも帯電ローラ端部を含み、電流値測定が可能な範囲で可能な限り小さいことが望ましい。第1実施形態では前述の帯電ローラ端部が長手方向(軸方向)に移動可能な所定の範囲(第1実施形態では6mm)の領域を含むように図2の帯電ローラ2の右端部6mmを露光領域L1とした。また、削れ量検知において露光領域L1は固定とした。
【0028】
図3は第1実施形態に係る削れ量検知の手順を示すシーケンス図である。図3に沿って、削れ量検知の手順を説明する。
【0029】
図3に示すように、まず画像形成装置は、削れ検知開始前の基準となる帯電電流値を検知する。
【0030】
画像形成前回転時、帯電ローラ2の露光領域L1を露光する(S101)。そして、露光時の基準帯電電流値Irを測定する(S102)。測定した電流値を基準帯電電流値Irとして装置本体に情報格納する(S103)。
【0031】
この後、画像形成が行われる(S104)。画像形成装置の制御手段は、削れ後の帯電電流値を測定するため、画像形成を行うたびに帯電電流値の測定を行う。
【0032】
図3において画像形成装置は、画像形成動作を実施し(S104)、その後の回転で露光領域L1を露光する(S105)。そして、露光領域L1における帯電電流値Iを測定する(S106)。帯電電流値Iが得られるたびに、基準帯電電流値Irと比較して削れ量を判断する(S107)。
【0033】
削れ量判断(S107)は次のように行う。まず、装置本体に情報格納された基準帯電電流値Irと測定することで得られた帯電電流値Iとの帯電電流値の差分ΔIを求める。帯電電流値の差分ΔIと、基準値X(第一基準値)とを比較する(S107)。
【0034】
ΔIの値が基準値X以上の場合には帯電ローラ当接位置変更(S108)を行う。このため、削れ量の検知については終了する。
【0035】
ΔIの値が基準値X未満の場合には、次の画像形成を行った後に再度、帯電電流値Iの測定を行う(S106)。そして、帯電電流値の差分ΔIと基準値Xとの比較を繰り返し行う(S107)。
【0036】
尚、第1実施形態では、帯電ローラの画像形成前の回転時と画像形成後の回転時とに分けて基準帯電電流値Ir、帯電電流値Iを測定したが、これに限るものではない。画像形成などレーザースキャナ3による露光が他の目的で実施されている時以外であればよい。
【0037】
また、削れ量検知における露光領域L1は、帯電ローラ端部の片側だけでなく、端部両側としてもよい。
【0038】
また基準値Xは、感光層の厚みの1/2以下に相当する電流値であれば任意に設定してよい。第1実施形態では基準値X=0.3μAと設定した。これは第1実施形態の2μmの削れ量に相当する。
【0039】
第1実施形態の画像形成装置を用いて図3に示すシーケンスを実施したところ、画像形成の前回転における基準帯電電流は1.3μAとなり、その後画像形成動作を繰り返して帯電電流値が1.6μAとなった後に、当接位置の変更動作へと移行した。このときの感光体ドラム感光層の膜厚は、帯電ローラ端部位置で約8μmであった。
【0040】
以上のように、ドラム削れ量を帯電電流値として直接検知することで、環境によって異なるドラム削れ量に左右されることなく、最適な帯電ローラ当接位置変更タイミングを得ることが出来る。
【0041】
(2)帯電ローラ当接位置の変更、および確認
上記のシーケンスにより帯電電流値が基準値X以上変化したことを検知した場合、画像形成装置は帯電ローラの当接位置の変更を行う。また当接位置が変更したことを確認するため、変更の前後で得られた帯電電流値の変化割合を判断する。
【0042】
第1実施形態では、図2に示すように帯電ローラ回転軸に設けられた交差角θ(図2(a)参照)を反転し、交差角−θ(図2(b)参照)とした。この交差角の反転と、帯電ローラ2の従動回転により、帯電ローラ2は矢印B方向へ移動する力が働く。
【0043】
次に、以下に帯電ローラ当接位置が変更したことを確認する方法を説明する。
【0044】
第1実施形態では、前述の帯電ローラ端部における帯電電流を測定する手段を用いて、実際に帯電ローラ当接位置が変更したことを確認する。
【0045】
図4を用いて、確認方法の詳細を説明する。図4は第1実施形態に係る帯電ローラ当接位置の確認方法の説明図である。図4(a)には、帯電ローラ2の当接位置が矢印Aに移動した時の、感光体ドラム1上での露光領域L2と帯電電流が測定される領域を示す。図4(b)には、逆に帯電ローラ2の当接位置が矢印Bに移動した時の、感光体ドラム1上での露光領域L2と帯電電流が測定される領域を示す。
【0046】
第1実施形態において、露光領域L2は、図4(a)、図4(b)において感光体ドラム1上の同じ位置である。ここで、帯電電流測定領域L3の大きさに着目する。図4(a)に示すように、軸受13と帯電ローラ2との当接位置が矢印Aに移動するときは帯電電流測定領域L3が大きくなる。一方、図4(b)に示すように、軸受13と帯電ローラ2との当接位置が矢印Bに移動するときは帯電電流測定領域L3が小さくなる。従って、検知される帯電電流値も、帯電ローラ2が矢印Aに移動すると大きくなり、矢印Bに移動すると小さくなる。この時の帯電電流値を比較することによって、帯電ローラ2の当接位置が変更についての確認が出来る。
【0047】
尚、確認のための露光領域L2は、帯電ローラ端部が移動できる範囲を含み、前記端部の片側一方のみとすることがよい。これは、帯電ローラの当接位置が変更することによって帯電領域が増加もしくは減少することを検知するためである。仮に端部両側を露光した場合には、帯電ローラの当接位置が変更しても帯電する領域の長さは変わらず、当接位置が変更したことを確認することが困難となる。
【0048】
第1実施形態では、図2の帯電ローラ2の右端が可動範囲とする領域である6mmを確認のための露光領域長さL2とした。
【0049】
図5は第1実施形態に係る当接位置変更及び確認の手順を説明するシーケンス図である。
【0050】
図5に示すように、当接位置の変更を実施する前に、まず、露光領域L2の露光を行う(S201)。その後、帯電電流値Ipを測定し(S202)、測定結果を変更前の帯電電流値Ipとして装置本体に情報格納する(S203)。そして前述の方法にて帯電ローラ当接位置の変更を実施する(S204)。当接位置変更後、その確認を行うため、露光領域L2の露光を行い(S205)、帯電電流値Iaを測定する(S206)。
【0051】
ここで、変更前の帯電電流値Ipと変更後の帯電電流値Iaの変化の割合を判断する(S207)。変化の割合としては|Ip−Ia|/Ipを用いる。この変化の割合と基準値Y(第二基準値)とを比較し、変化の割合が基準値Y以上(第二基準値以上)ならば、次のドラム削れ検知を行うため図3に示した(1)削れ量の検知を実施するシーケンスへ移動する(S208)。これにより、再度、基準帯電電流値Irを測定して削れ量を検知するための(1)削れ量の検知のシーケンスと、(2)帯電ローラ当接位置の変更および確認のシーケンスを、所定のドラム寿命まで繰り返し実施することが出来る。
【0052】
尚、帯電ローラ当接位置が変更しているため、再度測定される基準帯電電流値Irは前回の基準電流値とは異なる値となる。そして、新しい基準帯電電流値Irと帯電電流値を比較することで、削れ量が検知される。
【0053】
一方|Ip−Ia|/Ipが基準値Y未満(第二基準値未満)ならば、当接位置を変更前に戻すための操作を実施する(S209)。その後画像形成動作を再開すると共に帯電電流を検知し(S210)、帯電バイアスによるリークが発生しない膜厚まで画像形成動作を実施した後に画像形成動作を停止させる(S211)。尚、基準値Yは任意に設定可能であるが、本実施形態ではY=0.5とした。
【0054】
またリークが発生しない感光層の膜厚は、測定される帯電電流値Iから一意的に判定可能である。第1実施形態では、I=10μAを超えた場合に画像形成を停止させた。
【0055】
以上説明した画像形成装置を用いることで、感光体ドラム1の局所的な削れを抑制し、帯電バイアスリークの画像不良も発生しなかった。また意図的に異物を挟み込み帯電ローラの移動が行われない状態にした場合においても、適正に感光体ドラム寿命と判断し、帯電バイアスリークの画像不良の発生は無く、画像不良の発生を防止することが可能となった。
【0056】
尚、本実施形態では、帯電ローラ当接位置の変更の方法として、交差角θを反転させたが、これに限るものではない。例えば、帯電ローラの軸受の両端を感光体ドラム回転軸と平行に同じ量だけ移動させてもよい。
【0057】
また第1実施形態では、当接位置を変更前の状態に戻す動作を実施して画像形成停止としたが、これに限るものではない。例えば、帯電ローラの当接位置を戻した後に画像形成を続け、帯電電流を測定してその帯電電流値からドラム寿命か否かを判断し、その後に画像形成停止としても良い。
【0058】
以上の構成により、本実施形態においては、ドラム削れ量を帯電電流値として直接検知することができる。このため、様々な環境において、最適な帯電ローラ当接位置変更タイミングを得ることができ、画像形成不良を抑制することができる。
【0059】
〔第2実施形態〕
図を用いて第2実施形態を説明する。前述した実施形態と同様の構成については、符号を統一することで、説明を省略する。
【0060】
第2実施形態では、第1実施形態で説明した画像形成装置の帯電ローラ端部でのドラム削れ量を検知する場合において、露光領域L1を可変とする。そして、あらかじめ実施する帯電電流値測定の結果から露光領域L1を決定し、削れ量検知を実施する。
【0061】
第2実施形態においては、帯電電流測定手段9は、帯電電流値として露光領域L1のみの平均削れ量を測定する。このようにすると、帯電ローラ端部に対応した部分だけを露光領域L1と設定することが可能となり、より精度の良い削れ量検知が可能となる。
【0062】
図6は第2実施形態に係る削れ量検知方法の説明図である。図6はあらかじめ実施する帯電電流値測定において、露光領域を1mm幅とし、帯電ローラ可動範囲の最端部から順次露光位置を変えた時に測定された帯電電流を示したグラフである。
【0063】
横軸は露光位置を示し、ゼロ点は帯電ローラ2の可動範囲を含む最端部である。また縦軸は検知された帯電電流の大きさを表している。この結果、帯電電流は帯電ローラ可動範囲の最端部から6mmの位置で大きく検知されることがわかる。
【0064】
よって帯電ローラ2は、帯電電流が立ち上がる6mm位置から感光体ドラム1に当接していることが想定される。この場合、露光領域L1の書き出しは6mm位置に設定することが望ましい。また露光領域L1の幅は、帯電ローラ2の端部形状や当接圧などの構成により最適値が異なるものである。本実施形態では上記帯電電流値測定において大きな電流値が検知された3mmの幅に設定すること良い。
【0065】
また帯電ローラ2の両端部を露光領域L1とする場合、あらかじめ実施する帯電電流値測定において片側端部のみを測定し、帯電ローラの長手長さからもう一方の端部露光領域を一意的に決定することも出来る。
【0066】
このように、帯電ローラ2における帯電電流が大きく検知される領域に、帯電電流測定領域を限定して露光領域L1を決定した後、図3に示すドラム削れ量検知シーケンスを実施することにより、より精度の良い削れ量検知が可能となる。
【0067】
〔第3実施形態〕
図を用いて第3実施形態を説明する。前述した実施形態と同様の構成については、符号を統一することで、説明を省略する
第3実施形態では、第1実施形態で説明した画像形成装置の帯電ローラ当接位置変更の確認を行う場合、露光領域L2を可変とし、露光領域を変更して順次露光した時に検知される帯電電流から、当接位置が変更したことを判断することを特徴とする。
【0068】
図7は第3実施形態に係る当接位置の確認方法の説明図である。図7は露光領域L2を1mm幅とし、帯電ローラ可動範囲の最端部“a”から“j”まで順次露光位置を変えた時に測定された帯電電流を示したグラフである。またこの測定は帯電ローラ当接位置の変更を実施する前後で行われる。
【0069】
横軸は露光領域L2の露光位置を示し、ゼロ点は帯電ローラの可動範囲を含む最端部である。また縦軸は測定された帯電電流の大きさを表している。
【0070】
この結果、帯電ローラ当接位置の変更前は“f”で電流値が測定され始めて“g”で大きな電流値を測定したのに対し、帯電ローラ当接位置の変更後は“b”で電流値を検出した。即ち、帯電電流値とその値の軸方向における傾向を測定し、その測定を帯電ローラの当接位置の変更の前後で行い、帯電電流値の傾向がどの位置に移動したかを比較することで当接位置の変更ができたか否かを判断する。
【0071】
この結果から、帯電ローラは当接位置が移動したことを確認することができる。またその移動量は4〜5段階、すなわち4〜5mm移動したと判断することができる。
【0072】
このように露光領域L2を可変とし、図7に示すように、帯電電流値とその位置の傾向を測定し、その測定を帯電ローラの当接位置の変更の前後で行うことによって、より正確に帯電ローラ当接位置の変化を検知することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
L2…露光領域
L3…帯電電流測定領域
M…画像形成装置本体
1…感光体ドラム
2…帯電ローラ
3…レーザースキャナ
6…記録材
9…帯電電流測定手段
13…軸受
15…芯金
20…高圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に当接して前記像担持体の回転に従動回転して前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段に流れる帯電電流を測定する電流値測定手段と、
前記像担持体を露光する露光手段と、
前記帯電手段を軸方向に所定の範囲で移動可能に保持する保持部材と、
前記各手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置において、
前記電流値測定手段は、前記帯電手段の端部位置に対応する前記像担持体の一部の前記露光手段による露光後、前記帯電手段において再帯電されたときの電流値を測定するものであり、
前記制御手段は、画像形成動作の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の差が第一基準値を超えた場合に、前記保持部材を移動させることにより、前記帯電手段の前記像担持体に対する位置を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記保持部材の移動の前後において、前記電流値測定手段により測定された電流値に基づいて、前記帯電手段の位置が変更されたか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記帯電手段の前記像担持体に対する位置の変更の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の変化の割合が第二基準値以上の場合に、前記帯電手段の位置が移動したと判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記帯電手段の前記像担持体に対する位置の変更の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の変化の割合が第二基準値未満の場合に、前記帯電手段の位置が移動していないと判断して前記帯電手段を変更前の位置に戻した後、画像形成動作を停止させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記帯電手段の前記像担持体に対する位置の変更の前後において前記電流値測定手段により測定された前記電流値の変化の割合が第二基準値未満の場合に、前記帯電手段の位置が移動していないと判断して前記帯電手段を変更前の位置に戻した後、前記電流値測定手段により前記帯電手段の電流値を測定し、画像形成動作を停止させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記電流値測定手段による帯電電流測定領域を、前記帯電手段において帯電電流が大きく検知される領域に限定して、前記露光手段による露光及び前記電流値の測定を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記帯電手段の位置の変更の前後において前記電流値測定手段により前記帯電手段の帯電電流値の傾向を比較して、前記帯電手段の位置が変更されたか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−103304(P2012−103304A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249379(P2010−249379)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】