説明

画像形成装置

【課題】転写ローラから飛散したトナーがシートに付着してシートの画像汚れが発生することを抑制可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】シートPに転写されるトナー像を担持する中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6が担持するトナー像をシートに転写する2次転写ローラ12と、2次転写ローラ12で転写されたトナー像をシートPに定着させる定着部13と、2次転写ローラ12と定着部13との間に位置し、2次転写ローラ12でトナー像が転写されたシートを定着部13に搬送するためのシート搬送路26と、を備える画像形成装置において、シート搬送路26に関して中間転写ベルト6と反対側に設けられ、中間転写ベルト6の位置する方向にエアを吹き出す吹き出し口220aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特には電子写真式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置、例えば、カラープリンタは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラックの各色用の感光体を有するプロセスカートリッジと、トナー像をシートに転写する転写部と、トナー像をシートに定着させる定着部と、を備える。
【0003】
そして転写部は、各色のトナー像を順次中間転写ベルトに転写する1次転写ローラと、転写されたトナー像を担持する中間転写ベルトと、中間転写ベルトに担持されたトナー像をシートに転写する2次転写ローラと、を備えて構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−29540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今のカラープリンタは、画像をシートに転写する画像形成処理の高速化が進んでおり、2次転写ローラも高速で回転してトナー像をシートに転写させる必要がある。この場合、中間転写ベルトと2次転写ローラが直接当接して中間転写ベルトに残留したトナーが2次転写ローラに付着すると、2次転写ローラの高速回転による遠心力でトナーが飛散するおそれがある。トナーが飛散すると、2次転写ローラの下流側にある搬送ガイド等にトナーが付着し、トナーが付着した搬送ガイドにシートが接触して画像汚れを引き起こす。この問題は、プリントスピードの高速化が進み、2次転写ローラの回転が速くなるほど遠心力が増加することから顕著になる。
【0006】
また、2次転写ローラの高速回転によりシートの搬送速度が高速化するほど、シートの後端部の暴れが大きくなり、トナーが付着した搬送ガイドにシートが接触し易くなる。例えば、プリント枚数が多く、搬送ガイドにトナーが一定量以上付着している状態で、坪量が大きく剛度(剛性)のあるシート(例えば、坪量199g/m以上のシート)を通紙する。この場合、中間転写ベルと2次転写ローラで形成されるニップ部をシートの後端部が抜ける際、搬送ガイドにシートの後端部が接触し易く、搬送ガイドに付着したトナーがシートの後端部に付着すると画像汚れを引き起こすおそれがある。また、例えば、シートを両面搬送する場合、シートの後端がカールすることにより搬送ガイドに接触し易くなり、画像汚れを引き起こすおそれが生じる。
【0007】
そこで、本発明は、転写ローラから飛散したトナーがシートに付着してシートの画像汚れが発生することを抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シートに転写されるトナー像を担持する転写ベルトと、該転写ベルトが担持するトナー像をシートに転写する転写部と、該転写部で転写されたトナー像をシートに定着させる定着部と、前記転写部と前記定着部との間に位置し、前記転写部でトナー像が転写されたシートを前記定着部に搬送するためのシート搬送路と、を備える画像形成装置において、前記シート搬送路に関して前記転写ベルトと反対側に設けられ、前記転写ベルトの位置する方向にエアを吹き出す送風部を備える、ことを特徴とする画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のように、転写ベルトに向かってエアを吹き出す送風部を設けることにより、転写ローラから飛散して搬送ガイド等に付着したトナーがシートに付着して、シートが画像汚れ等を引き起こすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構造を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す断面図であり、(b)は、第1実施形態に係る画像形成装置の2次転写部をシートが移動する状態を示す断面図である。
【図3】第1実施形態に係る画像形成装置の2次転写フレームに設けられる吸気ファンを示す図である。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置に設けられる定着部の近傍を示す部分拡大断面図である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置の吸気ファンを制御する制御部を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置の制御部により制御されるシートの搬送状態を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る画像形成装置の制御部により制御されるシートの位置と風量の関係を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る画像形成装置におけるシートの給送状態を示す断面図である。
【図9】第1実施形態に係る画像形成装置におけるシートの搬送状態を示す断面図である。
【図10】第1実施形態に係る画像形成装置においてシートが反転された状態を示す断面図である。
【図11】第1実施形態に係る画像形成装置においてシートが再搬送されて両面印刷された状態を示す断面図である。
【図12】第2実施形態に係る画像形成装置の2次転写部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれら複合機器等を構成する画像形成装置である。以下の実施形態においては、4色のトナー像を形成する電子写真式のカラー画像形成装置(以下、「画像形成装置」という)60を用いて説明する。
【0012】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置60について、図1から図11を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係る画像形成装置60の全体構造について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置60の全体構造を模式的に示す断面図である。図2(a)は、第1実施形態に係る画像形成装置60の2次転写部T2を示す断面図である。図2(b)は、第1実施形態に係る画像形成装置60の2次転写部T2をシートPが移動する状態を示す断面図である。図3は、第1実施形態に係る画像形成装置60の2次転写フレーム200に設けられる吸気ファン250を示す図である。図4は、第1実施形態に係る画像形成装置60に設けられる定着部13の近傍を示す部分拡大断面図である。
【0014】
図1から図2(b)に示すように、画像形成装置60は、シートPを給送するカセット給送部1及び手差し給送部100と、レジストローラ対2と、トップセンサ3と、画像を形成する画像形成部18と、画像を定着させる定着部13と、を備える。また、画像形成装置60は、シート搬送路26と、シートPを排紙する排紙部14と、シートPを反転搬送する反転搬送路15と、定着部13を抜けたシートPの後端部を検知する反転センサ24と、両面搬送路27と、を備える。
【0015】
カセット給送部1は、画像形成装置60における最下部に配置されている。カセット給送部1は、シートPを収容するカセット本体28と、シートPをピックアップするピックアップローラ21と、ピックアップローラ21でピックアップしたシートPを1枚ずつ分離するフィードローラ22及びリタードローラ23と、を備える。カセット給送部1は、カセット本体28に収容されたシートPを1枚ずつ分離しながらレジストローラ対2に給送する。
【0016】
手差し給送部100は、画像形成装置60の側部に設けられている。手差し給送部100は、作業者によりシートが配置される手差し部101と、シートPをピックアップする給送ローラ110と、給送ローラ110でピックアップしたシートPを1枚ずつ分離する分離パッド150と、を備える。手差し給送部100は、作業者により手差し部101に配置されたシートPを1枚ずつ分離しながらレジストローラ対2に給送する。
【0017】
レジストローラ対2は、フィードローラ22及びリタードローラ23の下流側に配置されており、カセット給送部1又は手差し給送部100により1枚ずつ分離して給送されたシートPのレジストを合わせて画像形成部18にシートPを搬送する。
【0018】
トップセンサ3は、レジストローラ対2の下流側に配置されており、シートPの先端位置検知やカセット給送部1のジャム検知等を行う。例えば、トップセンサ3は、転写部としての後述の2次転写ローラ12を搬送中のシートPの後端や2次転写ローラ12に向かうシートPの先端の検知を行う。
【0019】
画像形成部18は、カセット給送部1の上方(シートPの搬送方向における下流側)に配置されており、所定の画像情報に基づいてシートPに画像を形成する。画像形成部18は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの計4色の1次画像を形成するプロセスカートリッジ10(10Y,10M,10C,10Bk)と、中間転写ユニット5と、を備える。
【0020】
プロセスカートリッジ10は、感光体ドラム20(20Y,20M,20C,20Bk)と、帯電部(図示せず)と、スキャナユニット4と、現像部(図示せず)と、を備える。感光体ドラム20は、帯電極性が負極性の感光層を表面に形成した金属円筒で構成されており、帯電部は、像担持体である感光体ドラム20のドラム表面を均一に帯電する。スキャナユニット4は、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム20上に静電潜像を形成する。現像部は、感光体ドラム20上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像として顕像化する。
【0021】
中間転写ユニット5は、1次転写ローラ7(7Y,7M,7C,7Bk)と、中間転写ベルト6と、2次転写ローラ12と、2次転写フレーム200と、駆動ローラ8と、テンションローラ9と、クリーナ部11と、を備える。
【0022】
1次転写ローラ7は、感光体ドラム20上に顕像化された各色のトナー像を順次、中間転写ベルト6に転写する。中間転写ベルト6は、感光体ドラム20からシートPに転写された各色のトナー像(以下、「フルカラーのトナー像」ともいう)を担持する。2次転写ローラ12は、中間転写ベルト6を挟んで駆動ローラ8に押圧された状態で対向配置されており、中間転写ベルト6の回転に従動して図2(a)及び図2(b)に示す矢印B方向に回転し、中間転写ベルト6が担持するトナー像をシートPに転写する。
【0023】
2次転写フレーム200は、シート搬送路26に関して中間転写ベルト6と反対側に設けられており、2次転写ローラ12を回転自在に支持する。また、図3に示すように、2次転写フレーム200は、吸気ファン250(送風部)と、吸気ファン250を接続する風路220と、風路220に形成される吹き出し口220a(送風部)と、吹き出し口220aに設けられるガイドリブ210と、を備える。
【0024】
吸気ファン250は、外気を吸い込んでエアを風路220に送り込む。風路220は、吸気ファン250により送り込まれたエアが流通する流路であり、2次転写フレーム200が支持する2次転写ローラ12の回転軸12aと同方向に2次転写ローラ12に沿って形成されている。
【0025】
吹き出し口220aは、風路220において2次転写ローラ12の下流側に複数設けられており、風路220から中間転写ベルト6の走行部6aに向かって(図2(a)に示す矢印C方向)走行部6aの走行面6bと略平行にエアが吹き出すように形成されている。
【0026】
ガイドリブ210は、複数の吹き出し口220aそれぞれの前面(中間転写ベルト6側)において、シート搬送方向と直交する方向に複数配置されている。ガイドリブ210は、シートPがシート搬送路26に沿って移動するように形成されており、2次転写後のシートPの搬送路を構成する。また、ガイドリブ210は、エアの吹き出し方向(図2Aに示す矢印C方向)に延出するように形成されており、吹き出し口220aから吹き出されるエアの吹き出し方向を規制する。
【0027】
駆動ローラ8及びテンションローラ9は、図1に示す矢印A方向に中間転写ベルト6を回転させる。クリーナ部11は、中間転写ベルト6の外周面としての走行面6bに接して、転写後の中間転写ベルト6の表面に残ったトナーを分離して除去する。なお、中間転写ベルト6、2次転写ローラ12、2次転写フレーム200及び駆動ローラ8は、後述の2次転写部T2を構成する。
【0028】
定着部13は、2次転写ローラ12の上方(シートPの搬送方向における下流側)に配置されており、シートPに転写されたトナー像をシートPに定着させる。定着部13は、回転速度を可変可能な駆動部(図示せず)と接続される加圧ローラ13aと、加圧ローラ13aに対して所定圧で回動自在に接触する加熱ローラ13bと、ヒーター(図示せず)と、を備える。2次転写部T2と定着部13の間には、シートPのループ量を検知するループ検知部40と、を備える。
【0029】
ループ検知部40は、シートPが駆動ローラ8、中間転写ベルト6及び2次転写ローラ12により形成されるニップ部N1(図2b参照)と、定着部13のニップ部N2(図4参照)との間を搬送しているときに、ループ量が所定量以上になったことを検知する。ループ検知部40は、例えば、回動自在なセンサフラグ、フォトセンサ等から構成される。
【0030】
シート搬送路26は、2次転写ローラ12と定着部13との間に位置し、2次転写ローラ12でトナー像が転写されたシートPを定着部13に搬送するための搬送路である。
【0031】
図4に示すように、排紙部14は、不図示の駆動機構と連結された排紙ローラ対14a、14bを備え、画像が定着されたシートPを機外に排紙する。反転搬送路15は、不図示の駆動機構と連結され、正逆回転可能な反転ローラ対16と、切替部材17と、を備え、排紙部14に向かうシート搬送路26から分岐して片面に画像が定着されたシートPを反転させて両面搬送路27に搬送する。切替部材17は、不図示のソレノイド等の駆動機構により回動中心17aを中心に回動自在に設けられている。切替部材17は、シートPの搬送路を反転ローラ対16側に導くことが可能な後述の第2位置(後述の図8参照)に切り換える。
【0032】
両面搬送路27は、シートPを画像形成部18に再搬送するための搬送路である。両面搬送路27には、両面搬送ローラ対30と、両面搬送センサ31と、Uターンローラ対32とが配置されている。両面搬送ローラ対30は、反転ローラ対16により搬送されたシートPを両面搬送センサ31及びUターンローラ対32まで搬送する。Uターンローラ対32は、シートPをレジストローラ対2まで搬送する。
【0033】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置60の吸気ファン250を制御する制御部70について、図5から図7を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る画像形成装置60の吸気ファン250を制御する制御部70を示す図である。図6は、第1実施形態に係る画像形成装置60の制御部70により制御されるシートPの搬送状態を示す図である。図7は、第1実施形態に係る画像形成装置60の制御部70により制御されるシートPの位置と風量の関係を示す図である。
【0034】
図5に示すように、制御部70は、吸気ファン250を制御して、吸気ファン250による中間転写ベルト6に向かうエアの吹き出し及び吹き出しの停止の制御を行う。具体的には、制御部70は、演算部71及び駆動制御部72を備えており、トップセンサ3及び吸気ファン250に電気的に接続されている。演算部71は、トップセンサ3が検知したシートPの後端部及び先端部が2次転写部T2部に到達するタイミングを算出する。駆動制御部72は、演算部71により算出されたタイミングに基づいて吸気ファン250の駆動を制御する。
【0035】
本実施形態においては、図6及び図7に示すように、トップセンサ3が先行する第1シートP1の後端部を検知すると、演算部71が2次転写部T2部に第1シートP1の後端部が到達するタイミングを算出する。そして、駆動制御部72が演算部71により算出されたタイミングで吸気ファンを駆動する。次に、トップセンサ3が後続の第2シートP2の先端部を検知すると、演算部71は、第2シートP2の先端部が2次転写部T2部に到達するタイミングを算出する。そして、駆動制御部72が演算部71により算出されたタイミングで吸気ファンを停止させる。
【0036】
つまり、制御部70は、図7に示すように、第1シートP1の後端が2次転写部T2を抜ける前から、次に画像形成される後続の第2シートP2が到達するまでの間、吹き出し口220aからエアが吹き出すように吸気ファン250を制御する。
【0037】
次に、画像形成装置60の動作について、図1に加え、図8から図11を参照しながら説明する。図8は、第1実施形態に係る画像形成装置60におけるシートPの給送状態を示す断面図である。図9は、第1実施形態に係る画像形成装置60におけるシートPの搬送状態を示す断面図である。図10は、第1実施形態に係る画像形成装置60においてシートPが反転された状態を示す断面図である。図11は、第1実施形態に係る画像形成装置60においてシートPが再搬送されて両面印刷された状態を示す断面図である。
【0038】
先ず、片面印刷を行う画像形成装置60の動作について、図8及び図9を参照しながら説明する。図8に示すように、カセット給送部1のカセット本体28に収容されたシートPは、ピックアップローラ21でピックアップされ、フィードローラ22及びリタードローラ23により1枚ずつ分離されて、レジストローラ対2まで搬送される。レジストローラ対2に搬送されたシートPは、レジストを合わせた状態で画像形成部18に搬送される。
【0039】
画像形成部18では、反時計回り(図1に示す矢印A方向)に回転する中間転写ベルト6上に、感光体ドラム20に形成された各色のトナー像が1次転写ローラ7によって順次転写され、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0040】
次に、レジストローラ対2の下流側に配置されるトップセンサ3によりシートPの先端が検知されると、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像とシートPの位置を合わせるように、レジストローラ対2がシートPを2次転写ローラ12まで搬送する。その後、2次転写ローラ12でフルカラーのトナー像が転写されたシートPは、シート搬送路26を移動して定着部13に搬送される。
【0041】
同様に、トップセンサ3によりシートPの先端が検知されると、制御部70が2次転写部T2部にシートPの後端部が到達するタイミングを算出して、算出されたタイミングで吸気ファン250を駆動する。吸気ファン250が駆動すると、吸気ファン250が外気を吸引し、風路220にエアを送り込む。風路220に送り込まれたエアは、吹き出し口220aから走行部6aの走行面6bと略平行に吹き出され、2次転写ローラ12の回転により飛散したトナーを走行部6aの走行方向における下流側に位置するクリーナ部11に向かって吹き飛ばす。クリーナ部11に向かって吹き飛ばされたトナーは、走行部6aに付着し、クリーナ部11で回収される。
【0042】
このとき、吹き出し口220aの前面に配置され、シートPの搬送方向に沿って形成されるガイドリブ210に付着したトナーも、吹き出し口220aから吹き出されるエアによりクリーナ部11に向かって吹き飛ばされる。これにより、トナーがガイドリブ210に付着することがなくなり、ガイドリブ210に沿ってシート搬送路26を搬送するシートPにガイドリブ210からトナーが付着することがなくなる。
【0043】
定着部13では、ループ検知部40の検知情報にもとづき、加圧ローラ13aの速度を可変させながら、所定量以上のループを確保した状態でシートPを搬送する。シートPは、定着部13に設けられた加圧ローラ13a及び加熱ローラ13bによりフルカラーのトナー像が定着され、排紙ローラ対14a、14bによって装置上部の排紙トレイ25に排紙される。
【0044】
次に、両面印刷時を行う画像形成装置60の動作について、図4及び図8から図11を参照しながら説明をする。なお、本実施形態においては、切替部材17の動作範囲における任意位置(図4に示す位置)での切替部材17の先端をシート分岐点Mとして説明する。
【0045】
図4に示すように、反転ローラ対16(16a,16b)は、シート分岐点Mから排紙ローラ対14a、14bまでの距離L1よりも、シート分岐点Mから反転ローラ対16(16a,16b)までの距離L2の方が短くなるように位置している。また、反転ローラ対16(16a,16b)は、排紙ローラ対14a、14bのニップ位置よりも反転ローラ対16(16a,16b)のニップ位置が上方になるよう配置されている。
【0046】
両面印刷を行う場合は、図8に示すように、シートPがシート分岐点Mに到達する前に、切替部材17が時計回り(図8に示す矢印D方向)に回動し、反転ローラ対16に導くことが可能な位置(以下「第2位置」ともいう)に切り替えられる。なお、切替部材17が回動するタイミングは、シートPがカセット給送部1により給紙され、先端がトップセンサ3で検知された時点から所定の時間経過した後とすることができる。
【0047】
図9に示すように、画像形成部18によりトナー像が転写され、定着部13によりトナー像が定着されたシートPは、切替部材17の上方を通過して、反転ローラ対16側に搬送される。反転ローラ対16は、シートPを排出させる方向(図9に示す矢印E方向)に回転(正回転)しており、定着部13のニップ部N2を抜けるまでシートPを矢印E方向に搬送する。
【0048】
シートPの後端が定着部13のニップ部N2から抜けた後、反転ローラ対16は、反転センサ24でシートPの後端を検知してから所定の時間経過後(シートPの後端が切替部材17に到達するまで)、回転を停止し、シートPの搬送を止める。
【0049】
次に、切替部材17は、図10に示すように、反時計回り(図10に示す矢印F方向)に回動し、シートPを両面搬送路27に搬送可能な位置(図10に示す位置であり、以下「第1位置」ともいう)に切り替えられる。そして、切替部材17が第1位置に位置すると、反転ローラ対16がシートPを図10に示す矢印G方向に搬送するように回転(逆回転)し、シートPを両面搬送路27に搬送させる。シートPは、反転ローラ対16によって定着部13の上側を通り、両面搬送路27に搬送される。
【0050】
両面搬送路27に搬送されたシートPは、両面搬送ローラ対30に到達し、両面搬送ローラ対30によって両面搬送センサ31、Uターンローラ対32まで搬送される。その後、Uターンローラ対32によって再びレジストローラ対2まで導かれる。
【0051】
第1面(片面)を印字されたシートPは、レジストローラ対2により搬送され、画像形成部18(2次転写ローラ12)にて第2面(両面)にフルカラーのトナー像が転写され、定着部13によって第2面のフルカラートナー像がシートPに定着される。
【0052】
図11に示すように、シートPの先端が定着部13のニップ部N2を抜ける時点では、切替部材17はすでに前述の第1位置に回動している。よって、シートPは、切替部材17の下方を通過し、排紙ローラ対14a,14bに導かれ、排紙ローラ対14a,14bによって排紙トレイ25に排出される。
【0053】
以上のような構成を有する第1実施形態に係る画像形成装置60によれば、以下のような効果を奏する。例えば、第1実施形態に係る画像形成装置60の中間転写ベルト6のフルカラートナー像(マイナス極性)は、2次転写ローラ12にプラスの転写バイアスを印加されることで中間転写ベルト6と2次転写ローラ12間に発生する静電力によりシートPに転写される。そして、シート間でシートPが2次転写ローラ12と中間転写ベルト6で形成されるニップに無い場合は、2次転写ローラ12にマイナスのバイアスを印加して2次転写ローラ12にトナーが付着しないように制御する。
【0054】
しかし、例えば、印刷設定されたシートのサイズより実際に通紙したシートが小さい場合、中間転写ベルト6上のトナー像がシートサイズより大きくなり、トナー像が2次転写ローラ12に直接当接して2次転写部T2で2次転写ローラ12にトナーが付着する。また、クリーナ部11でのクリーニングが不十分な状態で中間転写ベルト6上に残留したトナーが、シート間などの中間転写ベルトと2次転写ローラが直接当接する場合においても、2次転写部T2で2次転写ローラ12にトナーが付着する。
【0055】
特に、実際のシートが印刷設定されたシートより小さい場合、シートが無いにもかかわらず中間転写ベルト6と2次転写ローラ12間で形成されるニップ部N1にプラスの転写バイアスが印加され、多量のトナーが2次転写ローラ12に付着するおそれがある。2次転写ローラ12に付着したトナーは、2次転写ローラ12にバイアスが印加されていない状態やマイナスのバイアスが印加された状態では、2次転写ローラ12が回転すると遠心力により飛散する。
【0056】
しかしながら、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置60は、シートPの後端がニップ部N1を通過すると、制御部70が吸気ファン250を駆動させて吹き出し口220aから中間転写ベルト6に向かってエアを吹き出させる。そのため、2次転写ローラ12に付着したトナーが2次転写ローラ12の回転による遠心力により飛散した場合においても、トナーはガイドリブ210等に付着せずに中間転写ベルト6方向に移動する。そして、そのうちの一部は中間転写ベルト6に付着してクリーナ部11で回収される。これにより、画像形成装置60は、飛散したトナーが2次転写ローラ12のシート搬送方向下流のガイドリブ210に付着することを抑制可能となり、シートPに画像汚れが発生することを抑制することができる。
【0057】
また、例えば、搬送されるシートPの後端が2次転写ローラ12の近傍にある場合、エアを吹き出す風圧によりガイドリブ210にシートPが当接しにくくなる。そのため、ガイドリブ210にトナーが付着している場合においても、シートPの後端に画像汚れ等が発生することを抑制することができる。
【0058】
また、例えば、シートPが吹き出し口220aの近傍を搬送されている場合には、2次転写ローラ12と中間転写ベルト6が直接当接していないこと、及び2次転写ローラ12に転写バイアスが印加されていることからトナーが飛散しない。そのため、吸気ファン250を停止してもシートPの後端部の汚れへの影響はない。これにより、吸気ファン250の動作時間と短くすることができる。その結果、消費電力を低く抑えることができる。
【0059】
また、例えば、両面印刷時において、第2面(表面を第1面とすると、裏面)の画像形成時には第1面の定着動作によりシートPの温度が上昇しているため、画像形成装置の機内の温度が片面印字のみを印字する場合と比較して高くなる。そのため、両面印刷時のシートPの第2面への2次転写時は、機内温度を冷却するために、2次転写部T2において第1面の画像面に送風し続けて冷却してもよい。第2面へ2次転写したシートPと次のシートの先端が到達するまで送風を送り続けることにより、上記と同様にシートPの後端に発生しうる画像汚れを抑制することができる。これにより、両面印刷時における画像形成装置60内昇温を抑えつつ、シートPの後端の汚れを防止することができる。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置60Aについて、図1に加え、図12を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る画像形成装置60Aの2次転写部T2Aを示す斜視図である。第2実施形態に係る画像形成装置60Aは、2次転写部T2Aにおける2次転写フレーム300が第1実施形態に係る画像形成装置60と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、すなわち、2次転写部T2Aにおける2次転写フレーム300を中心に説明する。
【0061】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係る画像形成装置60と同様の構成のものについては、図1から図11を援用すると共に、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0062】
第2実施形態に係る画像形成装置60Aの2次転写フレーム300は、吸気ファン250と、吸気ファン250を接続する風路320と、風路320に形成される吹き出し口320aと、吹き出し口320aに設けられるガイドリブ310と、を備える。
【0063】
風路320は、吸気ファン250により送り込まれたエアが流通する流路であり、2次転写フレーム300が支持する2次転写ローラ12の回転軸12aと同方向に2次転写ローラ12に沿って形成されている。
【0064】
吹き出し口320aは、風路320において2次転写ローラ12の下流側に複数設けられており、風路320から中間転写ベルト6の走行部6aに向かって(図2Aに示す矢印C方向)走行部6aの走行面6bと略平行にエアが吹き出すように形成されている。
【0065】
第2実施形態に係る画像形成装置60Aは、吹き出し口320aが2次転写ローラ12の下流とガイドリブ310の間、及びガイドリブ310とガイドリブ310との間に設けられている。そのため、ガイドリブ310の上流部だけでなく、ガイドリブ310とガイドリブ310との間、すなわち、ガイドリブ310の側面からもエアを吹き出させることができる。そのため、ガイドリブ310にトナーが付着することを抑制することができる。これにより、シートPに画像汚れが発生することを抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0067】
例えば、本実施形態に係る制御部70は、第1シートP1の後端が2次転写部T2を抜ける前から、後続の第2シートP2が2次転写部T2に到達するまでの間、エアが吹き出すように吸気ファン250を制御したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、制御部は、間欠的に吸気ファン250を駆動させるだけでなく、連続的に吸気ファンを駆動させてエアを吹き出す構成であってもよい。連続的にエアを吹き出す構成とすることにより、例えば、シートPのガイドリブ210に当接する際のショックを和らげることができる。
【符号の説明】
【0068】
6 中間転写ベルト(転写ベルト)
6a 走行部
11 クリーナ部
12 2次転写ローラ(転写部)
13 定着部
26 シート搬送路
60、60A 画像形成装置
70 制御部
200、300 2次転写フレーム
210、310 ガイドリブ(リブ)
220、320 風路
220a 吹き出し口(送風部)
250 吸気ファン(送風部)
P シート
T2、T2A 2次転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに転写されるトナー像を担持する転写ベルトと、該転写ベルトが担持するトナー像をシートに転写する転写部と、該転写部で転写されたトナー像をシートに定着させる定着部と、前記転写部と前記定着部との間に位置し、前記転写部でトナー像が転写されたシートを前記定着部に搬送するためのシート搬送路と、を備える画像形成装置において、
前記シート搬送路に関して前記転写ベルトと反対側に設けられ、前記転写ベルトの位置する方向にエアを吹き出す送風部を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ベルトの外周面に接して前記転写ベルトに付着したトナーを除去するクリーナ部を配置し、
前記送風部は、前記転写部から前記クリーナ部に向かう前記転写ベルトの走行部と略平行に、エアを吹き出す、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風部によるエアの吹き出し及び吹き出しの停止の制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、先行する第1シートの後端が前記転写部に位置した後、後続の第2シートの先端が前記転写部に位置するまでエアを吹き出し、前記第2シートの先端が前記転写部に位置した後、前記第2シートの後端が前記転写部に位置するまでエアの吹き出しを停止する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート搬送路は、エアの吹き出し方向に延出すると共に、シート搬送方向に沿って形成される複数のリブを有し、
前記送風部は、前記複数のリブの間からエアを吹き出す、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−103646(P2012−103646A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254476(P2010−254476)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】