説明

画像形成装置

【課題】原稿の印刷の制限を解除する情報が入力されない場合は、その原稿のデータを劣化して印刷することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、原稿読取部123、HDD240、キーボード250、画像形成部110およびCPU210を備える。原稿読取部123は、原稿と、原稿の所定部分の印刷を制限するために原稿に埋め込まれた印刷制限情報と、を読み取り可能である。HDD240は、原稿読取部123で読み取った原稿のデータおよび印刷制限情報を記憶する。キーボード250は、印刷制限情報による原稿の所定部分の印刷制限を解除するための印刷制限解除情報の入力を受け付ける。画像形成部110は、HDD240に記憶された原稿のデータをシート上に印刷する。CPU210は、印刷制限情報と印刷制限解除情報とを比較し、その比較結果に基づいて、画像形成部110による原稿のデータの印刷を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を制限するための情報が埋め込まれた原稿のデータを保護して印刷を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキャン技術や印刷技術の向上により、元の原稿から高画質な印刷物を得ることが可能となっている。一方、顔写真等を含む原稿に関しては、肖像権の問題や個人情報保護上の問題があるが、上記スキャン技術や印刷技術により、顔写真等を含む原稿を高画質で容易に印刷することが可能となっている。
【0003】
したがって、肖像権の権利者に無断で、元の原稿とほとんど変わらない画質を維持したまま印刷し、それを他で使用することが可能になるため、肖像権の問題や個人情報保護上の問題が生じている。
【0004】
そこで、原稿に対して電子透かし等の印刷制限情報を埋め込むことにより、原稿を印刷する際にその印刷を制限する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−241938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された技術においては、電子透かし等の印刷制限情報が埋め込まれた原稿は、その印刷制限を解除する情報が入力されない限り、その原稿自体が印刷できない。したがって、原稿における顔写真が目的ではない場合や、顔写真の解像度を落としても原稿を印刷したい場合においても、一律に印刷できないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、原稿の印刷を制限する情報が原稿に対して埋め込まれている場合において、その印刷制限を解除する情報が入力されない場合は、その原稿のデータを劣化して印刷することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、原稿読取部、記憶部、入力部、画像形成部および制御部を備える。
【0009】
原稿読取部は、原稿と、原稿の所定部分の印刷を制限するために原稿に埋め込まれた印刷制限情報と、を読み取り可能である。記憶部は、原稿読取部で読み取った原稿のデータおよび印刷制限情報を記憶する。入力部は、印刷制限情報による原稿の所定部分の印刷制限を解除するための印刷制限解除情報の入力を受け付ける。画像形成部は、記憶部に記憶された原稿のデータをシート上に印刷する。制御部は、印刷制限情報と印刷制限解除情報とを比較し、その比較結果に基づいて、画像形成部による原稿のデータの印刷を制御する。
【0010】
また、制御部は、第1制御、第2制御または第3制御を行う。第1制御は、原稿読取部で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていないと判断すると、記憶部に記憶された原稿のデータを画像形成部によって印刷する制御である。第2制御は、原稿読取部で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると、入力部に対して所定情報が入力されるまで待機し、所定情報が印刷制限解除情報であると判断すると、記憶部に記憶された原稿のデータを画像形成部によって印刷する制御である。第3制御は、原稿読取部で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると、入力部に対して所定情報が入力されるまで待機し、所定情報が印刷制限解除情報ではないと判断すると、少なくとも印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して印刷可能とする制御である。
【0011】
この構成では、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷する際に、入力部に対して入力された所定情報が印刷制限解除情報ではなかった場合には、印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して印刷することができる。
【0012】
したがって、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷しようとするユーザが、印刷制限解除情報を取得していない場合において、当該所定部分の印刷が目的ではない場合や当該所定部分の画像が劣化してもよい場合には、ユーザは、当該所定部分の画像が劣化した印刷物を取得することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明における画像形成装置は、原稿の印刷を制限する情報が原稿に対して埋め込まれている場合において、その印刷制限を解除する情報が入力されない場合は、その原稿のデータを劣化して印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における原稿印刷時の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置における原稿印刷時の警告内容を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置における原稿印刷時の印刷態様選択画面を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部において印刷された印刷物の例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部において印刷された印刷物の例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部において印刷された印刷物の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部において印刷された印刷物の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置における画像形成部において印刷された印刷物の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す図である。
【0017】
画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものである。画像形成装置100は、原稿処理装置120、給紙部80、画像形成部110および排紙部90から構成されている。
【0018】
原稿処理装置120は、原稿載置台121、原稿搬送装置122および原稿読取部123を有する。原稿載置台121は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置122は、原稿トレイに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送装置122は、矢印124方向に回動自在に構成され、原稿載置台121の上を開放することにより原稿載置台121に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部123は、原稿搬送装置122で搬送中の原稿または原稿載置台122に載置された原稿を読み取る。
【0019】
給紙部80は、給紙カセット81、手差し給紙カセット82、ピックアップローラ83およびピックアップローラ84が設けられている。給紙カセット81は、定形シートを蓄積しておくためのトレイである。手差し給紙カセット82は、不定形シートを載置することができるトレイである。ピックアップローラ83は、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。同様にピックアップローラ84は、手差し給紙カセット82の端部近傍に設けられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路101に供給する。
【0020】
画像形成部110は、画像形成ステーション31,32,33,34、露光ユニット30、中間転写ベルトユニット50および定着ユニット70から構成されている。画像形成ステーション31,32,33,34は、それぞれ感光体ドラム10、帯電器20、現像器40およびクリーナユニット60が設けられており、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。本実施形態では、画像形成ステーション31について説明する。
【0021】
感光体ドラム10は、画像形成時に回転し、現像剤像を担持するためのものである。感光体ドラム10の周囲には、回転方向上流から帯電器20、露光ユニット30、現像器40、中間転写ベルトユニット50、クリーナユニット60の順に配置されている。定着ユニット70は、搬送路101上において画像形成部110の最も下流に位置する。
【0022】
帯電器20は、感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0023】
露光ユニット30は、帯電された感光体ドラム10を入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット30は、レーザ射出部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成される。露光ユニット30は、レーザ光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム10に導くためのレンズやミラー等の光学要素が配置されている。露光ユニット30としては、この他発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書き込みヘッドを用いる手法も採用できる。
【0024】
現像器40は、感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーにより顕像化するものである。
【0025】
中間転写ベルトユニット50は、中間転写ベルト51、中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53、中間転写ローラ54および中間転写ベルトクリーニングユニット55を備えている。
【0026】
中間転写ベルト駆動ローラ52、中間転写ベルト従動ローラ53および中間転写ローラ54は、中間転写ベルト51を張架して回転駆動させる。また、中間転写ローラ54は、感光体ドラム10のトナー像を、中間転写ベルト51上に転写するための転写バイアスを与える。
【0027】
中間転写ベルト51は、感光体ドラム10に接触するように設けられている。そして、感光体ドラム10に形成されたトナー像を中間転写ベルト51に転写することによって、中間転写ベルト51上にトナー像を形成する機能を有している。中間転写ベルト51は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0028】
感光体ドラム10から中間転写ベルト51へのトナー像の転写は、中間転写ベルト51の裏側に接触している中間転写ローラ54によって行われる。中間転写ローラ54には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ54は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト51に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0029】
上述のように感光体ドラム10上で顕像化された静電潜像は中間転写ベルト51で積層される。このように積層された画像情報は、中間転写ベルト51の回転によって、用紙と中間転写ベルト51との接触位置に配置される転写ローラ56によって用紙上に転写される。
【0030】
このとき、中間転写ベルト51と転写ローラ56は所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ56にはトナーを用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ56は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ56もしくは中間転写ベルト駆動ローラ52のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)としている。
【0031】
また、上記のように、感光体ドラム10に接触することにより中間転写ベルト51に付着したトナーもしくは転写ローラ56によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト51上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット55によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット55には、中間転写ベルト51に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト51は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ53で支持されている。
【0032】
クリーナユニット60は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを除去・回収する。
【0033】
定着ユニット70は、加熱ローラ71および加圧ローラ72を備えており、加熱ローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また加熱ローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写されたトナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。また、加熱ローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0034】
排紙部90は、排紙トレイ91および排紙ローラ92を有する。定着ユニット70を通過した用紙は、排紙ローラ92を経て排紙トレイ91に排出される。排紙トレイ91は、印刷済みのシートを集積するためのトレイである。
【0035】
また、両面印字要求のときは、上記のように片面印字が終了し定着ユニット70を通過したシートの後端が排紙ローラ92で把持されたときに、排紙ローラ92が逆回転することによってシートを搬送ローラ102,103に導く。そしてその後レジストローラ104を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の主要な構成を示すブロック図である。
【0037】
画像形成装置100は、CPU210、ROM220、RAM230、原稿読取部123、HDD240、キーボード250、画像形成部110および表示部260を備える。CPU210は、本発明の制御部に相当する。HDD240は、本発明の記憶部に相当する。キーボード250は、本発明の入力部に相当する。
【0038】
CPU210は、ROM220に記録されたプログラムを読み出して実行し、各部を総括的に制御する。RAM230は、CPU210のワーキングエリアとして活用される。
【0039】
原稿読取部123は、原稿と、原稿の所定部分の印刷を制限するために原稿に埋め込まれた印刷制限情報と、を読み取り可能である。印刷制限情報は、一例として、原稿の元データ(デジタル画像データ)をウェーブレット変換し、周波数空間での冗長性を利用して透かし情報として当該原稿の元データに埋め込まれる。また、印刷制限情報は、原稿の所定部分の座標情報を有しているため、原稿の印刷時に当該所定部分の印刷を制限できる。なお、印刷制限情報が原稿の所定部分の座標情報を有していない場合は、特殊なインク等で当該所定部分を囲うことで、当該所定部分を特定できる。
【0040】
HDD240は、原稿読取部123で読み取った原稿のデータおよび印刷制限情報を記憶する。キーボード250は、印刷制限情報による原稿の所定部分の印刷制限を解除するための印刷制限解除情報の入力を受け付ける。なお、キーボード250以外にも、原稿読取部123が印刷制限解除情報の入力を受け付けてもよい。すなわち、原稿読取部123は、本発明の入力部に相当し得る。本実施形態においては、本発明の入力部として、キーボード250を例に挙げて説明する。
【0041】
画像形成部110は、HDD240に記憶された原稿のデータをシート上に印刷する。また、CPU210は、印刷制限情報と印刷制限解除情報とを比較し、その比較結果に基づいて、画像形成部110による原稿のデータの印刷を制御する。表示部260は、画像形成装置100の状態情報等を表示する。
【0042】
さらに、CPU210は、第1制御、第2制御または第3制御を行う。第1制御は、原稿読取部123で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていないと判断すると、HDD240に記憶された原稿のデータを画像形成部110によって印刷する制御である。第2制御は、原稿読取部123で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると、キーボード250に対して所定情報が入力されるまで待機し、所定情報が印刷制限解除情報であると判断すると、HDD240に記憶された原稿のデータを画像形成部110によって印刷する制御である。第3制御は、原稿読取部123で読み取った原稿に印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると、キーボード250に対して所定情報が入力されるまで待機し、所定情報が印刷制限解除情報ではないと判断すると、少なくとも印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して画像形成部110によって印刷可能とする制御である。
【0043】
この構成では、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷する際に、キーボード250に対して入力された所定情報が印刷制限解除情報ではなかった場合には、印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して印刷することができる。
【0044】
したがって、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷しようとするユーザが、印刷制限解除情報を取得していない場合において、当該所定部分の印刷が目的ではない場合や当該所定部分の画像が劣化してもよい場合には、ユーザは、当該所定部分の画像が劣化した印刷物を取得することができる。
【0045】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100における原稿印刷時の制御内容を示すフローチャートである。
【0046】
CPU210は、原稿トレイまたは原稿載置台121に原稿がセットされるまで待機する(S10のN)。CPU210は、原稿トレイまたは原稿載置台121に原稿がセットされたと判断すると(S10のY)、ユーザから原稿の読み取り指示がされるまで待機する(S20のN)。CPU210は、ユーザから原稿の読み取り指示がされたと判断すると(S20のY)、原稿の読み取りを開始する(S30)。CPU210は、原稿の読み取りを終了すると(S30)、読み取った原稿のデータを記憶するとともに(S40)、原稿に印刷制限情報が埋め込まれている場合には、その印刷制限情報も記憶する(S40)。
【0047】
CPU210は、原稿に印刷制限情報が埋め込まれているか否かを判断する(S50)。CPU210は、原稿に印刷制限情報が埋め込まれていないと判断すると(S50のN)、画像形成部110によって原稿のデータを印刷して(S60)、本実施形態の制御を終了する。CPU210は、原稿に印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると(S50のY)、図4に示すように、表示部260に警告画面を表示して、所定情報が入力されるまで待機する(S70のN)。所定情報は、キーボード250を使ってキー入力されるか、または、原稿読取部123を使って原稿読み取りの形で入力されるか、のいずれかの方法で入力される。
【0048】
CPU210は、所定情報が入力されたと判断すると(S70のY)、その所定情報が印刷制限解除情報と一致するか否かを判断する(S80)。CPU210は、入力された所定情報が印刷制限解除情報と一致すると判断すると(S80のY)、画像形成部110によって原稿のデータを印刷して(S60)、本実施形態の制御を終了する。
【0049】
CPU210は、入力された所定情報が印刷制限解除情報と一致しないと判断すると(S80のN)、図5に示すように、印刷態様を選択させるための画面を表示部260に表示し、印刷態様が選択されるまで待機する(S90のN)。印刷態様を決定するには、図5の選択画面において、印刷態様に対応するいずれかのチェックボックスにチェックを入れてOKボタンを選択することにより行う。
【0050】
CPU210は、印刷態様が選択されたと判断すると(S90のY)、選択された印刷態様が「印刷」であるか「印刷しない」であるかを判断する(S100)。CPU210は、選択された印刷態様が「印刷しない」であると判断すると(S100のN)、読み取った原稿データの印刷を行わずに本実施形態の制御を終了する。CPU210は、選択された印刷態様が「印刷」であると判断すると(S100のY)、印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して印刷を行い(S110)、本実施形態の制御を終了する。
【0051】
図6〜図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置100における画像形成部110において印刷された印刷物の例を示す図である。
【0052】
図6は、印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分320の画像を劣化していない印刷物、すなわち、S60において印刷した印刷物を示す。図7は、図5の選択画面において「所定部分の解像度を落として印刷」が選択された結果、所定部分320の解像度を落として印刷した印刷物を示す。図8は、図5の選択画面において「所定部分を消去して印刷」が選択された結果、所定部分320を消去して印刷した印刷物を示す。
【0053】
図9は、図5の選択画面において「所定部分に任意の画像を付加して印刷」が選択された結果、所定部分320に任意の画像を付加して印刷した印刷物を示す。図10は、図5の選択画面において「所定部分以外の部分を拡大して印刷」が選択された結果、所定部分320が存在していた部分を覆うように、所定部分320以外の部分310を拡大して印刷した印刷物を示す。
【0054】
この制御では、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷する際に、キーボード250に対して入力された所定情報が印刷制限解除情報ではなかった場合には、印刷制限情報によって印刷が制限された所定部分の画像を劣化して印刷することができる。
【0055】
したがって、印刷制限情報が埋め込まれた原稿を印刷しようとするユーザが、印刷制限解除情報を取得していない場合において、当該所定部分の印刷が目的ではない場合や当該所定部分の画像が劣化してもよい場合には、ユーザは、当該所定部分の画像が劣化した印刷物を取得することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、S110において所定部分320の画像を劣化して印刷しているが、原稿データの全体を劣化して印刷してもかまわない。
【0057】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
100−画像形成装置
110−画像形成部
123−原稿読取部
210−CPU
240−HDD
250−キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿と、原稿の所定部分の印刷を制限するために原稿に埋め込まれた印刷制限情報と、を読み取り可能な原稿読取部と、
前記原稿読取部で読み取った原稿のデータおよび前記印刷制限情報を記憶する記憶部と、
前記印刷制限情報による原稿の所定部分の印刷制限を解除するための印刷制限解除情報の入力を受け付ける入力部と、
前記記憶部に記憶された原稿のデータをシート上に印刷するための画像形成部と、
前記印刷制限情報と前記印刷制限解除情報とを比較し、その比較結果に基づいて、前記画像形成部による原稿のデータの印刷を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記原稿読取部で読み取った原稿に前記印刷制限情報が埋め込まれていないと判断すると、前記記憶部に記憶された原稿のデータを前記画像形成部によって印刷する第1制御を行い、これに対して、前記原稿読取部で読み取った原稿に前記印刷制限情報が埋め込まれていると判断すると、前記入力部に対して所定情報が入力されるまで待機し、前記所定情報が前記印刷制限解除情報であると判断すると、前記記憶部に記憶された原稿のデータを前記画像形成部によって印刷する第2制御を行い、前記所定情報が前記印刷制限解除情報ではないと判断すると、少なくとも前記印刷制限情報によって印刷が制限された前記所定部分の画像を劣化して前記画像形成部によって印刷可能とする第3制御を行う
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記印刷制限情報によって印刷が制限された前記所定部分の解像度を落として印刷可能とする第3制御を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記印刷制限情報によって印刷が制限された前記所定部分を消去して印刷可能とする第3制御を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、少なくとも前記印刷制限情報によって印刷が制限された前記所定部分に任意の画像を付加して印刷可能とする第3制御を行う
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記印刷制限情報によって印刷が制限された前記所定部分以外の部分を拡大して印刷可能とする第3制御を行う
請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−114638(P2012−114638A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261282(P2010−261282)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】