説明

画像形成装置

【課題】本発明は、搬送体の外周面に保持されて搬送され緊急停止指示後に再開した際に装置内部に残されていた用紙について、画像形成途中であるか、完了しているかを識別できるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明の画像形成装置100は、給紙ユニット10及び用紙待機ユニット20と、画像形成ユニット40と、画像形成処理が施された用紙Pを排出する排出ユニット70と、互いに回転駆動力が伝達されることで回転し用紙Pを保持しながら受け渡して搬送する複数の搬送ドラムと、緊急停止指示を受けた際搬送動作を停止させ、緊急停止指示が解除された後画像形成処理の再開に先だって、画像形成ユニット40による画像形成が終了していない用紙Pが搬送ドラムにそのまま保持されている場合に用紙Pを排出ユニット70に向けて搬送し、保持されていた用紙Pにスタンプを付して排出する制御部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、フラッパ付近に停止している残留用紙において、自動排紙可能か自動排紙不可能かを適切に判断して、オペレータの介在をできるだけ少なくしてユーザビリティを向上することを課題とする画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、CPUが、装置のドアが開けられた時,緊急停止時,ジャム発生時における記録媒体先端の停止位置を、フラッパより確実に手前にある第1の区間、フラッパを確実に通過している第2の区間、あるいは第1の区間と第2の区間の間であり判断フラッパの直前からまだ確実に通過してない第3の区間のいずれかで不揮発性メモリに記憶させておき、該記憶された記録媒体先端の停止位置に基づいて、搬送路上に停止している記録媒体が自動排紙可能な状態であるか自動排紙不可能な状態であるか判断する構成を特徴とする(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−154744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、搬送体の外周面に保持されて搬送され緊急停止指示後に再開した際に装置内部に残されていた用紙について、画像形成途中であるか、完了しているかを識別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、用紙を待機させるとともに画像形成処理の指示を受けて用紙を繰り出す用紙待機・繰り出し部と、前記用紙待機・繰り出し部から繰り出された用紙に画像形成処理を施す画像形成部と、前記画像形成部により画像形成処理が施された用紙を機外に排出する排出部と、前記用紙待機・繰り出し部から繰り出された用紙が前記画像形成部を経由して前記排出部から排出されるまでの用紙搬送方向に並んで配置され、互いに回転駆動力が伝達されることで回転し、外周面に用紙を保持しながら当該用紙搬送方向の下流側に受け渡して搬送する複数の搬送体と、前記複数の搬送体の何れかの搬送体の外周面に保持されて用紙が搬送されている状態にて緊急停止指示を受けた際、前記画像形成部による画像形成処理を停止させるとともに当該複数の搬送体の動作を停止させ、当該緊急停止指示が解除された後、画像形成処理の再開に先だって、当該画像形成部による画像形成が終了していない当該用紙が当該搬送体にそのまま保持されている場合に当該複数の搬送体の動作を開始して当該用紙を前記排出部に向けて搬送するとともに、保持されていた当該用紙に目印を付加して当該排出部から排出する排出制御部とを備える画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記排出制御部は、前記用紙待機・繰り出し部から繰り出されていない、または当該用紙待機・繰り出し部から繰り出されているが前記画像形成部まで到達していない用紙については、前記目印を付加しないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記排出制御部は、前記画像形成部による画像形成は終了しているが用紙の全体が前記排出部から排出されていない用紙については、前記目印を付加しないで排出することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記用紙待機・繰り出し部は、用紙サイズが菊半裁、四六四裁、A半半裁、およびB判四裁の少なくとも一つである用紙を待機させるとともに画像形成処理の指示を受けて用紙を繰り出すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記用紙待機・繰り出し部は、用紙を収容する収容部と、当該収容部よりも前記用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該収容部から繰り出された用紙を受ける第1の用紙待機・繰り出し部と、当該第1の用紙待機・繰り出し部よりも当該用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該第1の用紙待機・繰り出し部から一枚ずつ繰り出された用紙を受ける第2の用紙待機・繰り出し部とを有し、前記排出制御部は、前記緊急停止指示が解除された後、画像形成処理の再開に先立って、前記第1の用紙待機・繰り出し部にて待機している用紙を前記第2の用紙待機・繰り出し部へ繰り出すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項6記載の発明は、前記用紙待機・繰り出し部は、用紙を収容する収容部と、当該収容部よりも前記用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該収容部から繰り出された用紙を積載する積載面と、当該積載面に積載された用紙を前記搬送体に繰り出す積載面繰り出し部とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、搬送体の外周面に保持されて搬送され緊急停止指示後に再開した際に装置内部に残されていた用紙について、画像形成途中であるか、完了しているかを識別できる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、緊急停止をした際に画像形成部に到達していた用紙をより容易に識別することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、緊急停止をした際に画像形成が完了した用紙を目印を付加せずに排出させることができる。
請求項4記載の発明によれば、搬送体の外周面に保持されて搬送され緊急停止指示後に再開した際に装置内部に残されていた、例えば菊半裁、四六四裁、A半半裁、B判四裁のような、一般的なオフィスで利用されるA4,A3,B4などの普通サイズ紙に比べて大きいサイズである用紙について、画像形成途中であるか、完了しているかを識別できる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、第1の用紙待機・繰り出し部の用紙をユーザが取り除く作業をより確実に省略できる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、ユーザによる用紙待機・繰り出し部からの用紙の取り出しについての作業性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】画像形成装置の駆動系を説明するための図である。
【図3】用紙の保持および受渡しを説明するための図である。
【図4】スタンパおよびスタンパ周辺の斜視図である。
【図5】スタンパの斜視図である。
【図6】本実施の形態が適用される緊急停止した画像形成装置の制御部が行う制御を説明するフローチャートである。
【図7】第2の態様における緊急停止した画像形成装置の制御部が行う制御を説明するフローチャートである。
【図8】第3の態様における緊急停止した画像形成装置の制御部が行う制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す概略構成図である。また、図1においては、用紙Pの搬送方向を矢印Sで示し、各搬送ドラムの回転方向を矢印Kで示している。
【0009】
図1に示すように、画像形成装置100には、複数の処理ユニットが用紙Pの搬送方向(矢印S参照)に沿って並んで配置されている。また、各処理ユニットには、搬送体の一例であり、円筒状の搬送ドラム(厚胴)がそれぞれ2つずつ備えられている。本実施の形態においては、各搬送ドラムは、同じ寸法(直径や長さ等)で構成されている。そして、この搬送ドラムの外周面に用紙Pが保持されるとともに、順次下流側の搬送ドラムに用紙Pが受け渡され搬送される(詳細は後述)。
【0010】
具体的には、搬送方向における上流側から順に、給紙ユニット10と、用紙待機ユニット20と、前処理ユニット30と、画像形成ユニット40と、乾燥ユニット50と、定着検査ユニット60と、排出ユニット70とを有する。
【0011】
ここで、給紙ユニット10は、用紙Pを積載し収容するとともに収容された用紙Pを給紙する。用紙待機ユニット20は、給紙ユニット10から給紙された用紙を受け取り保持するとともにさらに下流側へと送る。前処理ユニット30は、用紙Pの記録面PA(後述)に処理液を塗布し前処理を行う。画像形成ユニット40は、前処理された用紙Pの記録面PA(後述)に画像を形成する。乾燥ユニット50は、用紙Pの記録面PA(後述)に形成された画像を乾燥させる。定着検査ユニット60は、乾燥した画像を用紙Pに定着させるとともに定着した画像を検査する。排出ユニット70は、画像が定着した用紙Pを排出するとともに排出した用紙Pを積載して収容する。
【0012】
なお、各処理ユニットは、各処理ユニット内の用紙Pの有無及び各処理ユニットにおけるジャム(紙詰まり)を検知するセンサ(図示せず)をそれぞれ有する。
また、画像形成装置100は、例えば菊半裁(636x469mm)、四六四裁(545x394mm)、A半半裁(625x440mm)、B判四裁(542x382mm)のような、一般的なオフィスで利用されるA4,A3,B4などの普通サイズ紙に比べて大きいサイズである大型紙に画像を形成する。なお、画像形成装置100が画像を形成する大型紙の他の例としては、Text Common Size(635x482.6mm)、Cover Common size(660x508mm)、640x450mm、720x520mmなどが挙げられる。
以下で、各処理ユニットについて詳しく説明する。
【0013】
<給紙ユニット10>
用紙待機・繰り出し部の一例である給紙ユニット10は、用紙Pが積載されて収容される収容部12が設けられている。収容部12の搬送方向(矢印S参照)における下流側には、フィーダボード15(第1の用紙待機・繰り出し部)が接続されている。そして、収容部12に収容されている用紙Pは図示しないロール部によって、1枚あるいは複数枚ずつフィーダボード15上へと給紙されるよう構成される。ここで、本実施の形態のフィーダボード15には、最大4枚の用紙Pが積載面上に積載される。フィーダボード15に給紙された用紙Pは、バキュームヘッド17(吸引部)によって1枚ずつ用紙待機ユニット20へと給紙されるよう構成されている。
また、給紙ユニット10には、駆動モータ16が設けられている。付言すると、この駆動モータ16が、各処理ユニットの搬送ドラムを回転駆動させる(詳細は後述)。
【0014】
ここで、給紙ユニット10には、画像形成装置100全体を制御する制御部14が設けられている。制御部14は、例えば、CPU(Central Process Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成される制御回路(図示せず)が設けられている。ROMには、各種プログラムや各種情報(各種データ)等が予め記憶されている。なお、制御部14と各処理ユニットとは、図示しない通信ネットワークで連結されており、相互に情報をやり取りすることができる。また、制御部14は、各処理ユニットに対して通信ネットワークを介してコマンドを送信することにより、各処理ユニットの制御を行う。
【0015】
<用紙待機ユニット20>
用紙待機・繰り出し部の一例である用紙待機ユニット20は、受渡し用搬送ドラム120と待機用搬送ドラム122(第2の用紙待機・繰り出し部)とが回転可能に設けられている。フィーダボード15から1枚ずつ送り出された用紙Pが、受渡し用搬送ドラム120を介して、待機用搬送ドラム122の表面(周面)に給紙されるよう備えられている。
【0016】
<前処理ユニット30>
前処理ユニット30では、受渡し用搬送ドラム130と前処理用搬送ドラム132とが回転可能に設けられている。前処理用搬送ドラム132の上方には、前処理用搬送ドラム132の回転軸方向を長手方向としながら前処理用搬送ドラム132の外周面132Aに向けて配置され、処理液を塗布する処理液塗布装置32が設けられている。
【0017】
<画像形成ユニット40>
画像形成部の一例である画像形成ユニット40には、受渡し用搬送ドラム140と画像形成用搬送ドラム142とが回転可能に設けられている。
画像形成用搬送ドラム142の上方には、インクジェット装置44が設けられている。インクジェット装置44では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色に対応したインクジェット記録ヘッド42Y,42M,42C,42Kを備えている。
なお、以下の説明において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)を区別する場合は、符号の後に、Y,M,C,Kを付し、特に区別する必要がない場合は、符号の後のY,M,C,Kを省略する。
【0018】
インクジェット記録ヘッド42のノズル面42YA,42MA,42CA,42KAは、画像が形成される用紙Pの最大幅(主走査方向の幅)と同程度か、またはそれ以上の画像形成可能領域(インク滴の吐出領域)を有している。
各インクジェット記録ヘッド42Y,42M,42C,42Kは、画像形成用搬送ドラム142の回転軸方向(主走査方向)を長手方向として配置され、かつ周方向に沿って並んで配列されている。また、インクジェット記録ヘッド42のノズル面42Aは、画像形成用搬送ドラム142の外周面142Aに向けて配置されている。このノズル面42Aには、複数のノズル(図示せず)が形成されており、このノズル(図示せず)からサーマル方式や圧電方式等の公知の手段によって、インク滴TY,TM,TC,TK(図3参照)が吐出されるよう構成されている。なお、インク滴Tが用紙Pの記録面PAに着弾することで、カラー画像が形成される。
【0019】
また、インクジェット装置44には、各インクジェット記録ヘッド42Y,42M,42C,42Kに各色インクを補給するインクタンク(図示せず)が設けられている。
付言すると、前述した前処理ユニット30にて、用紙Pの記録面PAに塗布された処理液は、インク中に分散している色材(顔料)が反応して凝集し、色材と溶媒とを分離促進する効果を有している。よって、インク滴T(図3参照)が着弾すると、用紙Pの記録面PA上での色材流れ等が発生しないように凝集体が形成される。
【0020】
<乾燥ユニット50>
乾燥ユニット50には、受渡し用搬送ドラム150とインク乾燥用搬送ドラム152とが回転可能に設けられている。インク乾燥用搬送ドラム152の上方には、外周面152Aに向けて熱風ノズル52及び赤外線ヒータ54が設けられている。
【0021】
<定着検査ユニット60>
定着検査ユニット60には、受渡し用搬送ドラム160と定着検査用搬送ドラム162とが回転可能に設けられている。また、定着検査ユニット60には、定着検査用搬送ドラム162の外周面162Aに圧接する定着ロール62が設けられている。この定着ロール62は、支持部65によって支持されるとともに、定着検査用搬送ドラム162の回転に伴い従動回転する。そして、この定着ロール62と定着検査用搬送ドラム162の外周面162Aとの間(ニップ部)に、用紙Pが挟まれて搬送されるよう構成されている。
【0022】
さらに、定着ロール62の搬送方向(回転方向)の下流側には、回転軸方向を長手方向として、定着検査用搬送ドラム162の外周面162Aに向けて配置された画像読取センサ68が設けられている。この画像読取センサ68は、画像読取センサ68の下方を通過する用紙Pに定着された画像を読み取り、読み取ったデータを制御部14に送る。
【0023】
さらに、定着検査用搬送ドラム162には、電磁式のパウダーブレーキ200が設けられている。定着検査用搬送ドラム162は、このパウダーブレーキ200によって、予め定められた負荷(回転抵抗)が付与されながら、予め定められた回転数で回転するように構成されている。
【0024】
<排出ユニット70>
排出部の一例である排出ユニット70には、受渡し用搬送ドラム72が回転可能に設けられている。そして、受渡し用搬送ドラム72の搬送方向(矢印S参照)における下流側には、スプロケット77、78の間に掛け渡されかつ複数の排紙用グリッパ(図示せず)を備えた排紙用チェーン79を有する。さらに、排紙用チェーン79の搬送方向(矢印S参照)における下流側には、排紙収容部71が設けられている。また、スプロケット77及び78の間には、排紙用チェーン79の排紙用グリッパ(図示せず)によって保持される用紙Pを案内する板状の部材である排紙ガイドボード74が接続されている。
また、排紙ガイドボード74には、搬送される用紙Pに目印をつけるスタンパ76(詳細は後述)が設けられている。
【0025】
<駆動系>
次に、図2を参照しながら、画像形成装置100の駆動系について説明する。なお、各搬送ドラムの駆動系はいずれも同様の構成であるので、ここでは搬送ドラム120、122、130を用いて説明する。ここで、図2は、画像形成装置100の駆動系を説明するための図である。
図2に示すように、搬送ドラム120、122、130の回転軸方向の一方の端部(図1における紙面奥側の端部)には、駆動力を伝達する歯車121、123、131が設けられている。そして、これらの歯車121、123、131が互いに噛み合わされ、回転駆動力が伝達される。
また、受渡し用搬送ドラム120の歯車121と同軸に、プーリ124が設けられている。このプーリ124と、駆動モータ16の回転軸に設けられたプーリ136とにベルト138が巻き掛けられている。
【0026】
ここで、画像形成装置100の駆動系の動作について説明する。
駆動モータ16の回転軸が回転すると、プーリ136、124、ベルト138を介して回転駆動力が伝達され、受渡し用搬送ドラム120が回転する。また、受渡し用搬送ドラム120が回転すると、前述した歯車121、123、131によって回転駆動力が伝達され、待機用搬送ドラム122及び受渡し用搬送ドラム130が回転する。
【0027】
なお、受渡し用搬送ドラム130よりも搬送方向(矢印S参照)において下流側に設置されている搬送ドラム142、152、162も同様に、回転軸方向の一方の端部(図1における紙面奥側の端部)に歯車を有し、回転駆動力が伝達されて回転する。また、各搬送ドラムの歯車は、いずれも大きさ及び歯数が一致しているので、各搬送ドラムは同じ回転速度で回転する。
また、上述したように、定着検査用搬送ドラム162には、パウダーブレーキ200によって負荷が付与されているが、駆動モータ16によって与えられる回転駆動力は、この負荷よりも大きいので、各搬送ドラム142、152、162は予め定められた回転数で回転する。
なお、明瞭化のため、図2以外では、歯車の図示を省略している。
【0028】
<用紙Pの受渡し>
次に、図3を参照しながら、用紙Pの搬送系、すなわち各搬送ドラムの外周面が用紙Pを保持する機構及び搬送方向における下流側の搬送ドラムへの用紙Pの受渡しについて説明する。ここで、図3は、用紙Pの保持および受渡しを説明するための図である。
なお、各搬送ドラムはいずれも同様に構成されているので、代表して搬送ドラム140、142、150を図示して説明する。
【0029】
図3に示すように、搬送ドラム140、142、150の外周面140A、142A、150Aには、回転軸方向を長手方向とする凹溝140D、140F、凹溝142D、142F、凹溝150D、150Fが形成されている。凹溝140Dと凹溝140Fとは回転軸(円中心)を挟んで対向する位置に形成されている。同様に、凹溝142Dと凹溝142Fとは対向し、凹溝150Dと凹溝150Fとは対向して形成されている。
凹溝140D、140F、凹溝142D、142F、凹溝150D、150Fの中には、回転軸方向に沿う方向に配置されたグリッパ回転軸252が設けられている。このグリッパ回転軸252には、グリッパ250が固定されている。
【0030】
そして、グリッパ回転軸252が図示しないアクチュエータによって、正逆両方向に回転することにより、グリッパ250が搬送ドラム140、142、150の周方向に沿って正逆両方向に回転する。このことにより、グリッパ250が開閉し、結果として用紙Pの搬送方向における先端を挟んで保持したり、離したりすることができるように構成されている。
【0031】
また、図3に示すように、受渡し用搬送ドラム140の外周面140Aと画像形成用搬送ドラム142の外周面142Aとが対向する受渡し位置において、用紙Pを受け渡すことができるように構成されている。具体的には、この受渡し位置において、受渡し用搬送ドラム140のグリッパ250から画像形成用搬送ドラム142のグリッパ250へと用紙Pが受け渡される。
同様に、画像形成用搬送ドラム142の外周面142Aと受渡し用搬送ドラム150の外周面150Aとが対向する受渡し位置において、画像形成用搬送ドラム142のグリッパ250から受渡し用搬送ドラム150のグリッパ250へと用紙Pが受け渡される。
なお、明瞭化のため、図3以外では、凹溝やグリッパは図示を省略している。
【0032】
<スタンパ76>
次に、図4及び図5を参照しながら、スタンパ76について説明をする。ここで、図4はスタンパ76およびスタンパ76周辺の斜視図であり、図5はスタンパ76の斜視図である。また、図4においては、明瞭化のため、排紙用チェーン79は図示を省略している。
【0033】
まず、図4に示すように、スタンパ76は、排紙ガイドボード74の下方に備えられる。具体的には、スタンパ76は、排紙ガイドボード74の下方に固定された支持部761に備えられている。そして、排紙ガイドボード74には貫通穴741が設けられており、この貫通穴741をスタンパ76の一部が貫通する状態で設けられる。
また、スタンパ76は、受渡し用搬送ドラム72から受け渡された用紙Pが排紙ガイドボード74上に沿って搬送される搬送経路S1(図4参照)に対して、進退可能に設けられている。
【0034】
図5に示すように、スタンパ76は、搬送経路S1(図4参照)を搬送される用紙P(図1参照)の先端にインクでスタンプ(目印)をつけるスタンプヘッド762を備える。さらに、スタンパ76は、支持点764を挟んでこのスタンプヘッド762と反対側に接続されスタンプヘッド762を移動させるソレノイド765を備える。
【0035】
次に、図5を参照しながらスタンパ76の動作について説明をする。
ソレノイド765がオン・オフを切り替えることにより、スタンプヘッド762が用紙Pの搬送経路S1(図4参照)に対して突出する位置と、用紙Pの搬送経路S1から退避する位置との間を移動する。
【0036】
具体的にはソレノイド765がオン状態からオフ状態へと切り換えられると、ソレノイド765のヘッド部(図示せず)が没入する(矢印E参照)。このヘッド部の移動に伴い、スタンプヘッド762は矢印Fに沿って移動し、スタンプヘッド762が用紙Pの搬送経路S1(図4参照)上の位置、いわば用紙Pの搬送を遮る位置に配置される。
一方、ソレノイド765がオフ状態からオン状態へと切り換えられると、ソレノイド765のヘッド部が突出し(矢印D参照)、スタンプヘッド762は矢印Gに沿って移動する。そして、スタンプヘッド762は、用紙Pの搬送経路S1上から退避した位置に配置される。
【0037】
ここで、ソレノイド765がオン状態であり、スタンプヘッド762が用紙Pの搬送経路S1上の位置に配置されている状態で、用紙Pが搬送されてくると用紙Pの搬送方向(図1矢印S参照)における先端がスタンプヘッド762と接触する。この接触により、用紙Pの先端に目印(スタンプ)が付けられる。そして、この用紙Pの先端とスタンプヘッド762とが接触した後に、ソレノイド765がオン状態からオフ状態へと切り換えられ、スタンプヘッド762は矢印Gに沿って移動する。このことにより、スタンプヘッド762は用紙Pの搬送経路S1上から退避した位置に移動し、用紙Pの先端以外の部分に目印をつけることを抑止する。
【0038】
<画像形成装置100の動作>
ここで、図1を参照しながら、画像形成装置100の動作について説明をする。
画像形成装置100が画像形成動作を開始すると、給紙ユニット10のロール部(図示せず)が回転することによって、給紙ユニット10の収容部12からフィーダボード15に1枚あるいは複数枚ずつ用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、積載面繰り出し部の一例であるバキュームヘッド17によって、一枚ずつ受渡し用搬送ドラム120に送り出される。受渡し用搬送ドラム120に送り出された用紙Pは、待機用搬送ドラム122に受け渡される。
待機用搬送ドラム122に保持された用紙Pは、制御部14による指示を受けた後、受渡し用搬送ドラム130を介して、前処理用搬送ドラム132に受け渡される。
【0039】
前処理用搬送ドラム132に保持された用紙Pは、処理液塗布装置32によって、用紙Pの記録面PA(図3参照)に処理液が塗布される。
処理液が塗布された用紙Pは、前処理用搬送ドラム132から、受渡し用搬送ドラム140を介して、画像形成用搬送ドラム142に受け渡される。画像形成用搬送ドラム142に保持された用紙Pには、入力データに応じて、各インクジェット記録ヘッド42Y,42M,42C,42Kからインクが吐出される。処理液が塗布された用紙Pにインク滴T(図3参照)が着弾すると、凝集体が形成され色材移動が抑止される。
【0040】
そして、インクが吐出された用紙Pは、画像形成用搬送ドラム142から、受渡し用搬送ドラム150を介して、インク乾燥用搬送ドラム152に受け渡される。インク乾燥用搬送ドラム152に保持された用紙Pは、熱風ノズル52及び赤外線ヒータ54によって加熱される。このことにより、用紙Pの記録面PAの処理液の色材凝集作用によって分離されたインク中の溶媒が乾燥され、薄膜の画像層が形成される。この結果、用紙Pのカールが防止されるとともに、溶媒成分に起因する画像品質の劣化が抑制される。
【0041】
乾燥された用紙Pは、インク乾燥用搬送ドラム152から、受渡し用搬送ドラム160を介して、定着検査用搬送ドラム162に受け渡される。定着検査用搬送ドラム162に保持された用紙Pが定着ロール62と定着検査用搬送ドラム162の外周面162Aとの間のニップ部を通過することによって、用紙Pに形成された画像が固着されて定着する。
さらに、定着検査用搬送ドラム162に保持された用紙Pは、定着ロール62の搬送方向(回転方向)の下流側に設けられた画像読取センサ68によって、定着された画像が読み取られる。読み取られた読取情報は、制御部14に送られて解析され、異常がないか等を検査される。なお、画像に異常があった場合には、制御部14は、例えばユーザ・インタフェイス(図示略)などに警告を発する。
【0042】
このようにして画像が形成された用紙Pは、定着検査用搬送ドラム162から、受渡し用搬送ドラム72を介して、排紙用チェーン79に受け渡される。排紙用チェーン79の排紙用グリッパ(図示せず)によって保持された用紙Pは、排紙ガイドボード74の上面に沿って搬送された後、排紙収容部71に収容される。
【0043】
<画像形成装置100の緊急停止>
<第1の態様>
さて、画像形成装置100によって用紙Pに画像を形成する際、例えばジャム(紙詰まり)といった画像形成装置100の不具合(システムフェイル)を検知した場合や、ユーザの都合等の理由により、画像形成装置100が緊急停止(ハードシャットダウン)される場合がある。この緊急停止した画像形成装置100は、予め定めた動作として、例えば画像形成装置100内に残った用紙Pを排出ユニット70の排紙収容部71に向けて用紙Pを排出する(パージ処理)等を行った後、画像形成動作を再開する。付言すると、パージ処理を行う際には、例えば画像形成ユニット40等において用紙Pへの画像形成は施されない。また、本実施の形態においては、パージ処理によって排出された用紙Pは再印刷対象としない。
【0044】
ここでは、図1及び図6を参照しながら、この緊急停止した画像形成装置100が画像形成処理を再開する際に行う制御部14の制御について説明をする。なお、図6は、緊急停止した画像形成装置100の制御部14が行う制御を説明するフローチャートである。
【0045】
まず、例えば画像形成装置100が画像形成動作を行っている際にジャム(紙詰まり)が発生した場合、ジャムが発生した処理ユニットのセンサ(図示せず)がジャムを検知し、制御部14に緊急停止指示を送信する。緊急停止指示を受け付けた制御部14(S101)は、各搬送ドラムを停止させる指示を出す(S102)。さらに、制御部14は、ユーザ・インタフェイス(図示せず)に緊急停止を行ったことを表示させる(S103)。
【0046】
次に、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が受け付ける(S104)。このとき、ユーザ・インタフェイス(図示せず)に例えば「本体内部に用紙が残っています。「用紙排出」ボタンを押して下さい」と表示させておいてもよい。この表示によって、ユーザの操作が促される。
そして、パージ処理を行う指示を受け付けた制御部14は、各処理ユニット内にジャムを起こしている用紙P(ジャム原因紙)が残存しているか否かを判断する(S105)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられている各センサが、ジャム原因紙を検知しているか否かによって、ジャム原因紙が残存しているか否かを判断する。
【0047】
S105において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちジャム原因紙が存在すると判断した場合は、制御部14はユーザ・インタフェイス(図示せず)にジャム原因紙が残存していることを表示し、ユーザによってこのジャム原因紙が除去される(S106)。その後、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が再び受け付ける(S104)。
一方で、S105において否定の判断(No)を行った場合には、すなわちジャム原因紙が存在しないと判断した場合は、制御部14は各処理ユニット内に用紙Pが残存しているか否かを判断する(S107)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられる各センサが各処理ユニット内に残っている用紙P(スクラッチ用紙)を検知しているかによって、用紙Pが残存しているか否かを判断する。
【0048】
S107において肯定の判断(Yes)を行った場合には、制御部14が指示を出すことによってスクラッチ用紙が搬送される(S108)。具体的には、制御部14は駆動モータ16を駆動させることで各搬送ドラムを回転させる。回転する各搬送ドラムは、スクラッチ用紙を搬送方向(図1の矢印S参照)の下流側へと搬送し、排出ユニット70の排紙収容部71にスクラッチ用紙を排出をする。そして、スクラッチ用紙を搬送する際に、その用紙Pがスクラッチ用紙であることを示すため、スタンパ76によってスタンプをつける(S109)。具体的には、スクラッチ用紙が排出ユニット70のスタンパ76の上方を通過する際に、スタンパ76によってスクラッチ用紙の搬送方向の先端にスタンプが付けられる。そして、全てのスクラッチ用紙が画像形成装置100の装置外、すなわち排紙収容部71に配置されると、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S110)。
一方で、S107において否定の判断(No)を行った場合には、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S110)。
【0049】
付言すると、本実施の形態において、排紙収容部71には、正常な画像形成が行われた用紙P(正常用紙)も収容され得るが、スクラッチ用紙にはスタンプが付されているため正常用紙とスクラッチ用紙とは識別される。
【0050】
また、画像形成装置100は用紙Pを排出する(パージ処理)を行うことによって、画像形成装置100内に残存する用紙Pをユーザが取り除くことを不要とする。そして、特に一般的なオフィスで利用される普通サイズ紙に比べて大きいサイズである用紙Pを用いる場合に、ユーザの利便性が特に大きくなる。また、ユーザが手作業により用紙Pを取り除く際に、大きいサイズである用紙Pを用いると、凹凸や折れなどが発生し、画像形成を再度行うために再セットすることが制限される場合がある。したがって、画像形成装置100は、取り除かれた用紙Pを再セットし直すことが制限されることも抑制する。
【0051】
なお、画像形成装置100が緊急停止とは異なり、サイクルダウンによって停止する場合は、画像形成装置100は、搬送可能な用紙Pは印刷を継続しながら機外に排出する態様であってもよい。この場合、搬送付可能な用紙Pについては、ユーザがその用紙Pを取り除く。そして、例えばサイクルアップパージの動作により、後続の用紙Pを機外に排出してもよい。
【0052】
また、制御部14は、S103において、ユーザ・インタフェイス(図示せず)に、例えば、ジャム発生を表示すると同時に、対処方法と解除手順のアニメーションを表示してもよい。この表示により、ユーザによるジャム原因紙の除去が促される。なお、ジャム原因紙が除去された後に、ユーザフェイス(図示せず)に表示された「確認」がユーザによって押されるようにしてもよい。このとき、上述の制御部14が、各処理ユニット内にジャムを起こしている用紙P(ジャム原因紙)が残存しているか否かを判断するステップ(S105)、及びS105において肯定の判断(Yes)を行った場合、ユーザ・インタフェイス(図示せず)にジャム原因紙が残存していることを表示し、ユーザによってこのジャム原因紙が除去されるステップ(S106)は、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が受け付けるステップ(S104)の前に行われる。
【0053】
<第2の態様>
次に、第2の態様として、緊急停止した画像形成装置100における用紙Pの搬送経路に存在するスクラッチ用紙のうち、一部の用紙Pにはスタンパ76によってスタンプをつけない態様について説明する。
ここでは図1及び図7を参照しながら、第2の態様における緊急停止した画像形成装置100が画像形成処理を再開する際に行う制御部14の制御について説明をする。なお、図7は、第2の態様における緊急停止した画像形成装置100の制御部14が行う制御を説明するフローチャートである。
【0054】
まず、例えば画像形成装置100が画像形成動作を行っている際にジャム(紙詰まり)が発生した場合、ジャムが発生した処理ユニットのセンサ(図示せず)がジャムを検知し、制御部14に緊急停止指示を送信する。緊急停止指示を受け付けた制御部14(S201)は、各搬送ドラムを停止させる指示を出す(S202)。さらに、制御部14は、ユーザ・インタフェイス(図示せず)に緊急停止を行ったことを表示させる(S203)。
【0055】
次に、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が受け付ける(S204)。パージ処理を行う指示を受け付けた制御部14は、各処理ユニット内にジャムを起こしている用紙P(ジャム原因紙)が残存しているか否かを判断する(S205)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられている各センサが、ジャム原因紙を検知しているか否かによって、ジャム原因紙が残存しているか否かを判断する。
【0056】
S205において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちジャム原因紙が存在すると判断した場合は、制御部14はユーザ・インタフェイス(図示せず)にジャム原因紙が残存していることを表示し、ユーザによってこのジャム原因紙が除去される(S206)。その後、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が再び受け付ける(S204)。
一方で、S205において否定の判断(No)を行った場合、すなわちジャム原因紙が存在しないと判断した場合は、制御部14は各処理ユニット内に用紙Pが残存しているか否かを判断する(S207)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられる各センサが各処理ユニット内に残っている用紙P(スクラッチ用紙)を検知しているかによって、用紙Pが残存しているか否かを判断する。
【0057】
S207において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちスクラッチ用紙が存在すると判断した場合には、制御部14はこのスクラッチ用紙に施された画像形成処理が未完了であるか否かを判断する(S208)。具体的には、緊急停止した際に、画像形成装置100の給紙ユニット10、用紙待機ユニット20、前処理ユニット30、画像形成ユニット40、乾燥ユニット50、及び定着検査ユニット60内に配置されている用紙Pについては、制御部14は、画像形成処理が未完了であると判断する(Yes)。一方で、緊急停止した際に排出ユニット70内に配置されている用紙Pについては、制御部14は、画像形成処理が未完了ではないと判断する(No)。
【0058】
S208において肯定の判断(Yes)を行った場合、当該制御部14が指示を出すことによってスクラッチ用紙が搬送される(S209)。具体的には、制御部14は駆動モータ16を駆動させることで各搬送ドラムを回転させる。回転する各搬送ドラムは、スクラッチ用紙を搬送方向(図1の矢印S参照)の下流側へと搬送し、排出ユニット70の排紙収容部71にスクラッチ用紙を排出する。さらに、スクラッチ用紙を搬送する際に、その用紙Pについての画像形成処理が未完了であることを示すため、スタンパ76によってスタンプをつける(S211)。そして、全てのスクラッチ用紙が画像形成装置100の装置外、すなわち排紙収容部71に配置されると、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S212)。
【0059】
一方で、S208において否定の判断(No)を行った場合には、制御部14が指示を出すことによってスクラッチ用紙が搬送される(S210)。そして、全てのスクラッチ用紙が排紙収容部71に配置されると、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S212)。
【0060】
また、S207において否定の判断(No)を行った場合には、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S212)。
【0061】
なお、本実施の形態のS208において、制御部14はこのスクラッチ用紙に施された画像形成処理が未完了であるか否かを判断したが、これに限定されない。例えば、さらに画像形成処理が施されているか否かを判断してもよい。具体的には、制御部14は、緊急停止した際に給紙ユニット10及び用紙待機ユニット20内に配置されている用紙Pは、画像形成処理が施されていないと判断する。そして、この給紙ユニット10及び用紙待機ユニット20内に配置されている用紙Pを搬送方向(図1の矢印S参照)の下流側へ搬送する際、スタンパ76によってスタンプをつけないように構成してもよい。
【0062】
<第3の態様>
次に、第3の態様として、緊急停止した際に給紙ユニット10のフィーダボード15上に配置されている用紙Pを搬送方向(矢印S参照)の下流側へ送った後にスタンバイ状態となる態様について説明する。
ここでは図1及び図8を参照しながら、第3の態様における緊急停止した画像形成装置100が画像形成処理を再開する際に行う制御部14の制御について説明をする。なお、図8は、第3の態様における緊急停止した画像形成装置100の制御部14が行う制御を説明するフローチャートである。
【0063】
まず、例えば画像形成装置100が画像形成動作を行っている際にジャム(紙詰まり)が発生した場合、ジャムが発生した処理ユニットのセンサ(図示せず)がジャムを検知し、制御部14に緊急停止指示を送信する。緊急停止指示を受け付けた制御部14(S301)は、各搬送ドラムを停止させる指示を出す(S302)。さらに、制御部14は、ユーザ・インタフェイス(図示せず)に緊急停止を行ったことを表示させる(S303)。
【0064】
次に、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が受け付ける(S304)。パージ処理を行う指示を受け付けた制御部14は、各処理ユニット内にジャムを起こしている用紙P(ジャム原因紙)が残存しているか否かを判断する(S305)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられている各センサが、ジャム原因紙を検知しているか否かによって、ジャム原因紙が残存しているか否かを判断する。
【0065】
S305において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちジャム原因紙が存在すると判断した場合は、制御部14はユーザ・インタフェイス(図示せず)にジャム原因紙が残存していることを表示し、ユーザによってこのジャム原因紙が除去される(S306)。その後、ユーザの操作によってなされたパージ処理を行う指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が再び受け付ける(S304)。
一方で、S305において否定の判断(No)を行った場合、すなわちジャム原因紙が存在しないと判断した場合は、制御部14は各処理ユニット内に用紙Pが残存しているか否かを判断する(S307)。ここで制御部14は、各処理ユニット内に設けられる各センサが各処理ユニット内に残っている用紙P(スクラッチ用紙)を検知しているかによって、用紙Pが残存しているか否かを判断する。
【0066】
S307において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちスクラッチ用紙が存在すると判断した場合には、制御部14はこのスクラッチ用紙がフィーダボード15上に配置されているか否かを判断する(S308)。
【0067】
S308において肯定の判断(Yes)を行った場合には、当該制御部14が指示を出すことによってスクラッチ用紙が受渡し用搬送ドラム120を介して、一枚ずつ待機用搬送ドラム122に搬送される(S310)。付言すると、フィーダボード15上のスクラッチ用紙は全て取り出される。また、フィーダボード15上にある用紙Pは、再開後の画像形成処理によって、画像が形成される。
そして、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S312)。
【0068】
一方で、S308において否定の判断(No)を行った場合には、当該制御部14が指示を出すことによってスクラッチ用紙が搬送される(S309)。具体的には、制御部14は駆動モータ16を駆動させることで各搬送ドラムを回転させる。回転する各搬送ドラムは、スクラッチ用紙を搬送方向(図1の矢印S参照)の下流側へと搬送し、排出ユニット70の排紙収容部71にスクラッチ用紙を排出する。さらに、スクラッチ用紙を搬送する際に、その用紙Pがスクラッチ用紙であることを示すため、スタンパ76によってスタンプをつける(S311)。そして、全てのスクラッチ用紙が画像形成装置100の装置外、すなわち排紙収容部71に配置されると、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S312)。
【0069】
また、S307において否定の判断(No)を行った場合には、制御部14が各処理ユニットに指示を出し、画像形成装置100は次の画像形成の指示を待つスタンバイ状態となる(S312)。
【0070】
なお、本実施の形態において、S308において肯定の判断(Yes)を行った場合、すなわちフィーダボード15上にスクラッチ用紙が配置されていると制御部14が判断した場合は、以下のようなフローでもよい。すなわち、給紙ユニット10のフィーダボード15上にある用紙Pは、待機用搬送ドラム122へ搬送される(S310参照)のではなく、フィーダボード15上に用紙Pが存在することをユーザ・インタフェイス(図示せず)に表示する。そして、フィーダボード15上の用紙Pが、ユーザによって、取り除かれ収容部12内に収容されるように構成してもよい。このことにより、フィーダボード15上のスクラッチ用紙は全て取り出される。
【0071】
また、例えば用紙Pの種類や厚み等の影響により、用紙Pに折れやシワなどが生じ得る可能性に応じて、フィーダボード15上から待機用搬送ドラム122へと給紙するかあるいはユーザが取り除くかを切り替えてもよい。すなわち、用紙Pに折れやシワなどが生じる可能性が低い用紙P(所謂丈夫な用紙)を用いる場合は、フィーダボード15上からユーザが取り除き、この可能性が高い用紙Pを用いる場合は、待機用搬送ドラム122へと給紙する。この切り替えは、ユーザの操作によってなされた切り替えの指示を、ユーザ・インタフェイス(図示せず)を介して制御部14が再び受け付けることによって行われる。
【0072】
さらに、緊急停止させた際に、画像形成の再開に先立って、フィーダボード15上に用紙Pが配置されていない状態とすることによって、フィーダボード15に積載される用紙Pの枚数を検知するセンサやこの用紙Pの枚数を管理するシステム等は不要となる。
【0073】
<その他>
上述の実施形態においては、各搬送ドラムがグリッパ250を有し、このグリッパ250によって用紙Pの搬送方向における先端を挟むことによって、各搬送ドラムの外周面が用紙Pを保持する機構を説明したが、これに限定されない。例えば、各搬送ドラムが、エア吸着により、外周面に用紙Pを保持するように構成してもよい。具体的には、各搬送ドラムの外周面に用紙Pを保持する多数の吸着孔(開口)が設けられ、この吸着孔に連続する真空流路が各搬送ドラム内に設けられる。そして、この真空流路が、各搬送ドラムの側面に設けられた配管を介して搬送ドラムの外部に設けられた真空ポンプに接続される。この真空ポンプを作動させて負圧を発生させると、吸着孔及び真空流路等を介して用紙Pに吸着圧力が付与される。
【符号の説明】
【0074】
12…収容部、15…フィーダボード、16…駆動モータ、32…処理液塗布装置、42Y,42M,42C,42K…インクジェット記録ヘッド、44…インクジェット装置、52…熱風ノズル、54…赤外線ヒータ、62…定着ロール、71…排紙収容部、74…排紙ガイドボード、76…スタンパ、122…待機用搬送ドラム、132…前処理用搬送ドラム、142…画像形成用搬送ドラム、152…インク乾燥用搬送ドラム、162…定着検査用搬送ドラム、200…パウダーブレーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を待機させるとともに画像形成処理の指示を受けて用紙を繰り出す用紙待機・繰り出し部と、
前記用紙待機・繰り出し部から繰り出された用紙に画像形成処理を施す画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成処理が施された用紙を機外に排出する排出部と、
前記用紙待機・繰り出し部から繰り出された用紙が前記画像形成部を経由して前記排出部から排出されるまでの用紙搬送方向に並んで配置され、互いに回転駆動力が伝達されることで回転し、外周面に用紙を保持しながら当該用紙搬送方向の下流側に受け渡して搬送する複数の搬送体と、
前記複数の搬送体の何れかの搬送体の外周面に保持されて用紙が搬送されている状態にて緊急停止指示を受けた際、前記画像形成部による画像形成処理を停止させるとともに当該複数の搬送体の動作を停止させ、当該緊急停止指示が解除された後、画像形成処理の再開に先だって、当該画像形成部による画像形成が終了していない当該用紙が当該搬送体にそのまま保持されている場合に当該複数の搬送体の動作を開始して当該用紙を前記排出部に向けて搬送するとともに、保持されていた当該用紙に目印を付加して当該排出部から排出する排出制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記排出制御部は、前記用紙待機・繰り出し部から繰り出されていない、または当該用紙待機・繰り出し部から繰り出されているが前記画像形成部まで到達していない用紙については、前記目印を付加しないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排出制御部は、前記画像形成部による画像形成は終了しているが用紙の全体が前記排出部から排出されていない用紙については、前記目印を付加しないで排出することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙待機・繰り出し部は、用紙サイズが菊半裁、四六四裁、A半半裁、およびB判四裁の少なくとも一つである用紙を待機させるとともに画像形成処理の指示を受けて用紙を繰り出すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙待機・繰り出し部は、用紙を収容する収容部と、当該収容部よりも前記用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該収容部から繰り出された用紙を受ける第1の用紙待機・繰り出し部と、当該第1の用紙待機・繰り出し部よりも当該用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該第1の用紙待機・繰り出し部から一枚ずつ繰り出された用紙を受ける第2の用紙待機・繰り出し部とを有し、
前記排出制御部は、前記緊急停止指示が解除された後、画像形成処理の再開に先立って、前記第1の用紙待機・繰り出し部にて待機している用紙を前記第2の用紙待機・繰り出し部へ繰り出す
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙待機・繰り出し部は、用紙を収容する収容部と、当該収容部よりも前記用紙搬送方向の下流側に設けられるとともに当該収容部から繰り出された用紙を積載する積載面と、当該積載面に積載された用紙を前記搬送体に繰り出す積載面繰り出し部とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121238(P2012−121238A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274278(P2010−274278)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】