画像形成装置
【課題】像担持ベルトの張架状態の変動を抑制し、転写部でのブレを抑制することにより、良好な画像形成状態を保つこと。
【解決手段】感光体ドラム2と、感光体ドラム2に画像形成を行う画像形成部と、中間転写ベルト11と、感光体ドラム2におけるトナー像を中間転写ベルト11に転写する一次転写部T1と、中間転写ベルト11の張架ローラを兼ね中間転写ベルト11を駆動するベルト駆動ローラ12と、中間転写ベルト11に接し搬送力を有する二次転写ローラ20と、中間転写ベルト11の張架状態を検知するテンション検知機構50と、制御部とを有し、制御部は、中間転写ベルト11の張架状態が全周に渡って略等しい状態におけるテンション検知機構50の検知結果を制御目標値として、二次転写ローラ20の駆動速度を決定することを特徴とする。
【解決手段】感光体ドラム2と、感光体ドラム2に画像形成を行う画像形成部と、中間転写ベルト11と、感光体ドラム2におけるトナー像を中間転写ベルト11に転写する一次転写部T1と、中間転写ベルト11の張架ローラを兼ね中間転写ベルト11を駆動するベルト駆動ローラ12と、中間転写ベルト11に接し搬送力を有する二次転写ローラ20と、中間転写ベルト11の張架状態を検知するテンション検知機構50と、制御部とを有し、制御部は、中間転写ベルト11の張架状態が全周に渡って略等しい状態におけるテンション検知機構50の検知結果を制御目標値として、二次転写ローラ20の駆動速度を決定することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電記録方式や電子写真記録方式など像担持体に形成した像を転写材に転写して記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のフルカラー画像形成装置において、中間転写ベルトを用いた画像形成装置がある。この転写部の概略構成を説明する。
【0003】
中間転写ベルトは3本の張架ローラにより張架される。張架ローラのうちの1本は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラである。駆動ローラは中間転写ベルトを内側から搬送する。また、駆動ローラ以外の張架ローラの1つは、二次転写ローラと対向する位置に配置される。このため、二次転写ローラは中間転写ベルトを外側から搬送する。このように、中間転写ベルトは、駆動ローラと二次転写ローラにより別々の位置で搬送力を受ける。
【0004】
この構成において、中間転写ベルトの表面速度と二次転写ローラの表面速度との間に僅かでも速度差があると、二次転写部に接線力が発生する。この接線力によって中間転写ベルトには、二次転写部に対して上流及び下流にテンション(張力)差が生じる。一方、二次転写ローラには、これを駆動するギアに微少な変形が生じる。
【0005】
このような状態の二次転写ニップ部に転写材が通過すると、中間転写ベルトが受ける二次転写ローラからの搬送力(接線力)が変化する。このため、中間転写ベルトでは、速度変動やテンション変動(張架状態の変動)が発生して、色ずれや一次転写部での画像ブレなどの問題が発生する。一方、二次転写ローラでは、ギアの微少な変形が解消されると共に、噛合いのガタ(バックラッシ)の分だけ微少な速度変動が発生して、二次転写部でのブレという問題が発生する。
【0006】
上述の問題に対し、中間転写ベルトに当接部材を付帯し、この当接部材の変形量から搬送時の中間転写ベルトのテンションを検知し、この搬送時の検知結果を、転写材のない通常時の検知結果に合わせるように制御する技術がある(例えば、特許文献1参照)。ここでは、中間転写ベルトの速度を支配する駆動ローラおよびそれに対向する二次転写ローラの速度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−145680
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来技術では、中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差がある場合でも、その速度差を維持する制御となっている。このため、二次転写部の接線力は無くならない。つまり、制御目標となる通常時において中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差があった場合、二次転写部に対して上流及び下流のテンション差を維持するようにして、中間転写ベルトのテンション変動を抑制している。従って、色ズレや一次転写部でのブレは抑制できるものの、二次転写部でのブレは抑制できない。
【0009】
駆動ローラ外径、二次転写ローラ外径、中間転写ベルトの膜厚などの設定値に基づいて駆動ローラ及び二次転写ローラの速度制御目標値を設定することは可能である。しかし、加工上のバラツキ、長期間の使用に伴う摩耗、駆動ローラと中間転写ベルトとの間の微少なスリップなどによって、実際には中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差が生じてしまう。
【0010】
本発明の目的は、像担持ベルトの張架状態の変動を抑制し、転写部でのブレを抑制することにより、良好な画像形成状態を保つことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の代表的な構成は、
像担持体と、
前記像担持体に画像形成を行う画像形成部と、
像担持ベルトと、
前記像担持体におけるトナー像を前記像担持ベルトに転写する一次転写部と、
前記像担持ベルトの張架ローラを兼ね前記像担持ベルトを駆動する第一駆動部材と、
前記像担持ベルトに接し搬送力を有する第二駆動部材と、
前記像担持ベルトの張架状態を検知するテンション検知機構と、
制御部とを有し、
前記制御部は、前記像担持ベルトの張架状態が全周に渡って略等しい状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値として、前記第二駆動部材の駆動速度を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成により、像担時ベルトの張架状態を全周に渡って略等しい状態になるようにすることが可能になる。これによって、色ズレや一次転写部でのブレを抑制するとともに、二次転写部でのブレも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図3】第1実施形態に係る光学式測距センサの概略図。
【図4】第1実施形態に係る光学式測距センサにおける検知距離と電圧値の関係図。
【図5】第1実施形態に係るモータの回転制御に関わる説明図。
【図6】第1実施形態における状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図7】第1実施形態の接線力を説明する図表。
【図8】第2実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図9】第3実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図10】第4実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図11】第5実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図12】第5実施形態に係る二次転写駆動モータとテンションAD値との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
図1を用いて第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は第1実施形態に係る画像形成装置の概略図である。尚、説明においては、図面における添字(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)を必要に応じて省略して説明する。
【0015】
(画像形成部の概略構成)
図1に示すように、画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4個の感光体ドラム2(像担持体)を備える。各感光体ドラム2の周囲には、その回転方向上流側から順に、一次帯電器7、現像手段3が配置される。
【0016】
感光体ドラム2に対向した位置には、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像が一次転写される中間転写ベルト11(像担持ベルト)が配置される。中間転写ベルト11は、ベルト駆動ローラ12(第一駆動部材)、二次転写対向ローラ13、テンションローラ15及び従動ローラ14の張架ローラにより張架される。
【0017】
中間転写ベルト11は、ベルト駆動モータ28により回転駆動される。テンションローラ15はテンションバネ16で一方向に付勢され、中間転写ベルト11に所定のテンションを付与する。中間転写ベルト11には、張力(テンション)を検知するためのテンション検知機構50が配置される。
【0018】
尚、中間転写ベルト11としては、イオン導電剤を添加して体積抵抗率1010Ωcm程度に調整された厚さ100ミクロンの無端状PVdF単層樹脂ベルトを用いた。ベルト駆動ローラ12は、外径24mmの中空のアルミ管に0.5mmの厚みでEPDMゴムを被覆し、電気抵抗105Ω以下のものを使用した。
【0019】
中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム2の対向位置には、一次転写ローラ4が配置される。
【0020】
中間転写ベルト11には、中間転写ベルト11上に付着したトナー(残留トナー)を除去するためのクリーニングローラ18が配置される。クリーニングローラ18は中間転写ベルト11により従動回転する。
【0021】
中間転写ベルト11を挟んで二次転写対向ローラ13に対向する位置には、搬送力のある二次転写ローラ20(第二駆動部材)が配置される。即ち、二次転写ローラ20は中間転写ベルト11の外周面に接し、中間転写ベルト11を搬送する。
【0022】
本実施形態では、二次転写ローラ20として、SUS芯金に、厚さ6mmの導電性発泡ゴムを被覆し、硬度は30度(Asker−C4.9N(500gf)荷重時)、電気抵抗値が1×107Ωの外径18mmのローラを用いた。二次転写ローラ20は、不図示のバネで中間転写ベルト11側に一方向に付勢され、二次転写ニップ部T2(接触部)を形成し、二次転写駆動モータ29により回転駆動されている。
【0023】
(画像形成装置の動作)
画像形成装置の画像形成動作について、画像形成部以外の構成とともに説明する。
【0024】
画像形成動作が開始されると、まずカセット30内の転写材Pは、給送ローラ31により給送された後、レジストローラ対33に搬送される。このときレジストローラ対33は、回転を停止しており、このレジストローラ対33のニップに転写材Pが突き当てられる。これにより、転写材Pの斜行が矯正される。
【0025】
一方、転写材Pの搬送動作に並行し、画像形成部において画像形成動作が行われる。これについてイエローの画像形成部を例示して説明する。
【0026】
まず、イエローの感光体ドラム2Yには、その表面が一次帯電器7Yによって一様にマイナス帯電される。次に露光手段1により画像露光が行われると、感光体ドラム2Yの表面には静電潜像が形成される。静電潜像は、画像信号のイエロー画像成分と対応した像となる。次に、現像手段3Yが感光体ドラム2Yに当接すると、上記静電潜像がマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像される。こうして、イエロートナー画像が感光体ドラム2上で可視化される。このようにして得られたイエロートナー画像は、一次転写バイアスが供給された一次転写ローラ4Yにより、中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0027】
このような一連のトナー画像形成動作は、他の感光体ドラム2M、2C、2Kにおいても所定のタイミングをもって順次行われる。そして、各感光体ドラム2上に形成された各色トナー画像は、それぞれの一次転写部T1で中間転写ベルト11上に順次重ねて一次転写される。
【0028】
中間転写ベルト11上に重畳して転写された4色のトナー画像は、中間転写ベルト11の移動に伴って、二次転写ニップ部T2に移動する。一方、レジストローラ対33で斜行を矯正された転写材Pは、中間転写ベルト11上の画像とタイミングをとって、二次転写ニップ部T2に送り出される。このため、二次転写ニップ部T2では、中間転写ベルト11上の4色のトナー画像が転写材Pに一括して二次転写される。このようにしてトナー画像が一次転写された転写材Pは、定着器40に搬送される。定着器40では転写材Pが加熱、加圧され、トナー画像が転写材Pに定着される。その後、排出ローラ対41により、排出トレイ42に排出されて積載される。
【0029】
尚、二次転写を終了した中間転写ベルト11は、二次転写対向ローラ13近傍に設置されたクリーニングローラ18によって表面に残留した転写残りトナーが除去される。
【0030】
(テンション検知機構の構成概略)
図2を用いて中間転写ベルト11のテンション検知機構50について説明する。図2は第1実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。(a)、(b)、(c)は状態別の図である。各状態については後述する。
【0031】
テンション検知機構50は、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の下流側(図2のA部)に配置される。テンション検知機構50は、テンション検知ローラ52(可動部材)、テンション検知部材53、圧縮バネ54、光学式測距センサ55(可動部材検知部)で構成される。測距センサとは、距離を測定するセンサである。
【0032】
テンション検知ローラ52は可動式である。テンション検知ローラ52は、圧縮バネ54によって一定の力で中間転写ベルト11の内側に付勢される。テンション検知ローラ52の上下方向の位置は中間転写ベルト11のテンション(張力)と、圧縮バネ54の力の釣り合いにより決まる。
【0033】
テンション検知部材53は、テンション検知ローラ52と一体となって上下方向に移動する。光学式測距センサ55はテンション検知部材53の位置を検知するセンサであり、赤外線タイプの測距センサを用いた。
【0034】
光学式測距センサ55を図3を用いて説明する。図3は第1実施形態に係る光学式測距センサの概略図である。
【0035】
図3に示すように、光学式測距センサ55は、LEDの発光部60と位置検知素子61(Position Sensitive Device:PSD)によって構成される。
【0036】
検知の際には、まず、発光部60から赤外線62が、テンション検知部材53へ照射される。測距対象物で拡散反射した62の反射光は、位置検知素子61の受光面61aの前方に配設された受光用集光手段63により絞られ、受光面61aに導かれる。そして、受光面61a上に到達した赤外線62の分布中心の位置によって、三角測量方式で対象物体との距離を計測する。
【0037】
受光面61aへ到達した赤外線62の分布中心の位置を検知して距離に変換するため、対象物体の表面状態で反射率が変化しても距離データには影響しない。そして位置検知素子61で検知した位置から演算用ICで距離に変換し、電圧値として出力する。
【0038】
図4は第1実施形態に係る光学式測距センサにおける検知距離と電圧値の関係図である。図4を参照し、本実施形態においては、光学式測距センサ55から、検知物であるテンション検知部材53までの距離を4mmから10mmとなるように、光学式測距センサ55を配置した。
【0039】
(テンション検知機構50の動作)
図2を用い、中間転写ベルト11のテンション状態(張架状態)の変化により、テンション検知機構50がどのように動作するかを説明する。
【0040】
図2(a)は、テンション状態が中立になった状態を示す。中間転写ベルト11において二次転写ニップ部T2での接線力が無い場合、中間転写ベルト11のテンション状態が中立になる。中立の状態とは、中間転写ベルト11の全周にわたり張架状態が略同じとなる状態である。つまり、中間転写ベルト11の移動方向に対して、二次転写ローラ20の下流側であるA部と中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の上流側であるB部のテンションが略等しい状態である。
【0041】
図2(b)は、二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた状態を示す。この場合、A部のテンションは高くなる。このとき、テンション検知ローラ52においては、中間転写ベルト11上のA部のテンション増加に伴い、圧縮バネ54との釣り合い位置が変化する。すると、テンション検知ローラ52は中間転写ベルト11の内側(矢印の方向)に移動する。この結果、テンション検知ローラ52と一体的に構成されたテンション検知部材53も同様に移動して、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離は近くなる。
【0042】
図2(c)は、二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた状態を示す。この場合、A部のテンションは低くなる。このとき、テンション検知ローラ52においては、中間転写ベルト11上のA部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54との釣り合い位置が変化する。すると、テンション検知ローラ52は中間転写ベルト11の外側(矢印の方向)に移動する。この結果、テンション検知ローラ52と一体的に構成されたテンション検知部材53も同様に移動して、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離は遠くなる。
【0043】
このように、光学式測距センサ55で測定した距離により、中間転写ベルト11のテンションを検知することが可能となる。
【0044】
尚、本実施形態においては、図2にA部で示す、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の下流側にテンション検知機構50を配置した。しかし、これに限定されるものではなく、図2にB部で示す、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の上流側に配置しても構わない。
【0045】
また、本実施形態においては、テンション検知ローラ52と一体的に移動するように構成されたテンション検知部材53の位置を光学式測距センサ55で検知する例を示した。しかし、これに限定されるものではなく、テンション検知ローラ52の位置を、リンクを介して検知することも可能である。
【0046】
(ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法)
ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法に関し図5を用いて説明する。図5は第1実施形態に係るモータの回転制御に関わる説明図である。制御部は、CPU71の他、二次転写モータ回転数設定部76及び中間転写ベルト駆動モータ制御部77を有する。
【0047】
ベルト駆動モータ28は、DCブラシレスモータからなり、中間転写ベルト11の速度を支配する。中間転写ベルト駆動モータ制御部77は、ベルト駆動モータ28の駆動制御を司る。中間転写ベルト駆動モータ制御部77は、ベルト駆動モータ28からの回転状態信号を受け、画像形成に適した回転数になるよう制御する。
【0048】
中間転写ベルト11のテンションに応じて得られた光学式測距センサ55の出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73でデジタル信号に変換される。この構成により、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離に応じたテンションのAD値を得る。CPU71内には、RAM74を有し、制御の目標となる制御目標値が格納されている。制御目標値については後述する。
【0049】
CPU71内の二次転写駆動モータ回転数決定部72では、RAM74に格納された制御目標値と、CPU71で算出された中間転写ベルト11のテンションのAD値を用い、二次転写駆動モータ29の回転数を決定する。決定したモータ回転数情報は、二次転写駆動モータ制御部75内にある二次転写モータ回転数設定部76に送られる。二次転写モータ回転数設定部76で設定された回転数に基づいて、二次転写駆動モータ29が回転駆動される。
【0050】
本実施形態では、動作中のテンションAD値が制御目標値に収束するよう、モータ回転数をPI制御を用いて制御を行った。P制御(比例制御)の比例ゲインは、テンションAD値が制御目標値に対して、オーバーシュート及びハンチングが発生しない範囲で決定した。
【0051】
これは、オーバーシュートやハンチングが発生すると、テンション変動が発生してしまい、色ずれなどが発生するためである。そして、比例制御だけでは、制御目標値に達しないまま残ってしまう制御目標値からの偏差(オフセット)に関しては、積分制御で除去するように積分制御のパラメータを決定した。積分制御を加えると、オフセットがある限り出力変更が積み重なるので、徐々にオフセットは減衰し、制御目標値に収束することが可能となる。
【0052】
(制御目標値を決定する補正モード)
制御目標値を決定するための補正モードは、通常の画像形成動作とは別の動作によって行われる。以下に、補正モードの動作について説明する。
【0053】
本実施形態において、必要とされる制御目標値は、中間転写ベルト11のテンションが、全周に渡って略等しい時のテンションAD値である。図2において説明すると、A部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値である。これは、A部とB部のテンションが略等しければ、画像形成中に二次転写ニップ部に転写材Pやトナー像(現像剤像)が通過してもテンション変動を極力小さくすることができるためである。この結果、A部とB部のテンションが略等しければ、色ズレや画像ブレの発生を抑制できる。同時に、二次転写ローラ20も速度変動を極力小さくすることができ、転写ブレの発生を抑制できる。
【0054】
反対に、図2に示したA部とB部のテンションに差があった場合、画像形成中に二次転写ニップ部に転写材やトナー像が通過すると、この差の分だけテンション変動が発生する。その結果、テンション変動が一次転写部に伝播して色ズレや画像ブレなどの問題が発生する。同時に、二次転写ローラの速度変動も発生して画像ブレが発生する。
【0055】
図6を用いて、通常の画像形成動作とは別の動作である、A部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて説明する。図6は第1実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0056】
図6において、縦軸は8bitデジタル値にAD変換されたテンションAD値である。テンションAD値はテンション検知部材53と光学式測距センサ55の距離が遠いほど小さな値になる。つまり本実施形態では、テンションの緩みが大きいほどテンションAD値は小さくなり、反対にテンションの張りが大きいほどテンションAD値は大きくなる。
【0057】
従って、縦軸の値が小さい方がA部よりもB部のテンションが高い状態(張り状態)を意味する。反対に縦軸の値が大きい方がA部よりもB部のテンションが低い状態(緩み)を意味する。図中のD状態、E状態、F状態は、画像形成中の装置状態を表し、Dは前回転、Eは二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態、Fは後回転を示す。
【0058】
図6は、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示す。具体的には、設計上における中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の表面速度が等速となる二次転写駆動モータ29の速度設定に対して0.3%速く設定した。
【0059】
二次転写駆動モータ29が速い場合、前回転中(D状態)に、A部のテンションは緩んで反対にB部のテンションは張る。転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入するタイミング(E状態の開始点)で、A部の緩み及びB部の張りは徐々に解消され、A部とB部のテンションは略等しくなる。A部とB部のテンションが略等しい状態は、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2を抜けるまで維持される(E状態の終了点)。後回転(F状態)では、A部のテンションは緩んで反対にB部のテンションは張って終了する。
【0060】
二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在しない状態(前回転D、後回転F)では、二次転写ローラ20と中間転写ベルト11との摩擦力により、中間転写ベルト11は二次転写ローラ20から大きな接線力を受ける。このため、僅かな速度差でもテンションの緩みおよび張り状態となる。
【0061】
一方、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)では、転写材及びトナー像が介在することにより二次転写ニップ部T2での滑り効果(潤滑効果)が生まれる。その結果、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より速い状態であっても、二次転写ローラ20の中間転写ベルト11に与える接線力は極めて小さくなる。このため、二次転写中はテンションの張り状態、緩み状態が解消して略等しくなる動きが見られる。つまり、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)におけるテンションAD値が制御目標値となる。
【0062】
尚、この制御目標値を算出する補正モードは、最初に画像形成装置の電源を入れたタイミング、電源を入れてから定期的なタイミング、中間転写ベルト11や二次転写ローラ20が交換されたタイミングで実施するように設定した。
【0063】
最初に画像形成装置の電源を入れたタイミングで補正モードを実施するのは、画像形成装置に組み込まれた部品寸法による、中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の速度差を補正することを目的としている。
【0064】
電源を入れてから定期的なタイミングで補正モードを実施するのは、長期の使用によって、二次転写ローラ20による接線力が変化するためである。具体的には、中間転写ベルト11、ベルト駆動ローラ12、二次転写ローラ20が摩耗して寸法が変化したり、摩擦係数が変化したりすると、中間転写ベルト11の速度が減少し、二次転写ローラ20による接線力が変化する。
【0065】
中間転写ベルト11や二次転写ローラ20が交換されたタイミングで補正モードを実施するのは、交換された部品の部品寸法によって、中間転写ベルト11や二次転写ローラ20の速度が変化するからである。
【0066】
尚、この補正モードは色ズレ補正、濃度補正などの他の補正と同時に実施するように構成してもよいし、ユーザーが任意で実施できるように構成しても構わない。
【0067】
また、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)には通常の画像形成時よりも小さな二次転写バイアスを印可している。これによって、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)において、中間転写ベルト11が二次転写対向ローラ13から受ける接線力を極力下げることができる。
【0068】
従って、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確になる。つまり、テンション検知機構50により検知されるテンション検知差から、二次転写ニップ部T2にトナー像が介在する状態を判別しやすくすることができる。
【0069】
また、本実施形態では二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示した。しかし、これに限定されるものではなく、反対に二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に遅く設定されていも構わない。
【0070】
また、本実施形態では二次転写駆動モータ29による設定速度は、設計上における中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の表面速度が等速となる二次転写駆動モータ29の速度設定に対して0.3%速く、もしくは遅く設定する例を示した。これは本実施形態において適切な制御目標値を得るための速度設定である。従って、中間転写ベルト11の材質や張架構成、二次転写ローラ20の材質、二次転写ニップ部T2のニップ力などに応じて適正化されるものであり、これに限定されるものではない。
【0071】
(搬送力について)
本実施形態では、テンション検知機構50で得られたテンション情報を、搬送力の大きいベルト駆動ローラ12ではなく、搬送力の小さい二次転写ローラ20の駆動にフィードバックし、駆動速度を決定している。本実施形態に開示された搬送力に関して、以下に定義する。
【0072】
中間転写ベルト11の内側に配置され、中間転写ベルト11に巻きつけられるように配置されたベルト駆動ローラ12は、巻きかけ部があるために高い搬送力を有する。その搬送力F1は、オイラーのベルト理論により図7のように表すことが出来る。図7は第1実施形態の接線力を説明する図表である。
【0073】
図7に示すように、搬送力F1は式(1)で求められる。尚、ベルト駆動ローラ12の表面と中間転写ベルト11裏面の静止摩擦係数をμ1、中間転写ベルト11の巻きつき角をθ、中間転写ベルト11のベルト面上の張力をT、とする。
【0074】
一方、中間転写ベルト11の外側に配置された二次転写ローラ20の搬送力F2は、二次転写ニップ部の総圧をN、二次転写ローラ20表面と中間転写ベルト11表面の静摩擦係数をμ2とした時、式(2)で求められる。
【0075】
よって、搬送力F1と搬送力F2の大小関係を判断することが可能となる。各部材の摩擦係数はJIS−K7125に規定される試験方法に於いて本実施形態の効果は得られる。
【0076】
本実施形態では、μ1=0.6、T=30(N)、θ=2.27(rad)=130(deg)、また、μ2=0.5、T=20(N)であるため、F1及びF2はそれぞれ図7のようにF1>F2となる。
【0077】
よって、二次転写ローラ20の駆動が搬送力の小さい駆動源と判断することが可能となる。
【0078】
以上説明したとおり、本実施形態においては、中間転写ベルト11のテンション状態をテンション検知機構50で検知している。そして、動作中のテンションAD値が制御目標値になるように二次転写駆動モータ29の回転駆動を制御している。この制御目標値は、中間転写ベルト11のテンションが、全周に渡って略等しい時のテンションAD値である。これにより、画像形成を通してテンション変動とベルトの速度変動を抑制するとともに、二次転写ローラ20の速度変動も抑制することが可能となり、色ずれや転写ブレなどの発生を軽減することができる。
【0079】
〔第2実施形態〕
本実施形態は、テンション検知機構50の別の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0080】
(テンション検知機構の構成概略)
本実施形態では、テンション検知部が二つある構成について説明する。図8は第2実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。
【0081】
中間転写ベルト11のテンション検知機構50は、図8のA部の中間転写ベルト11のテンションを検知する第一検知部51Aと、B部の中間転写ベルト11のテンションを検知する第二検知部51Bからなる。B部と2次転写ローラの間には従動ローラ14が配置されている。第一検知部51A及び第二検知部51Bは同じ構成である。図8を用い、中間転写ベルト11のテンション状態(張力)の変化により、テンション検知機構がどのように動作するかを説明する。
【0082】
図8(a)は、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2での接線力が無く、中間転写ベルト11のテンション状態が中立になった状態を表す。この状態において、光学式測距センサ55A(第一可動部材検知部)からテンション検知部材53Aまでの距離と、光学式測距センサ55B(第二可動部材検知部)からテンション検知部材53Bまでの距離は同じになるように設定される。
【0083】
図8(b)は、二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた場合を示す。この場合、A部のテンションが上昇して、反対にB部のテンションが緩くなる。テンション検知ローラ52A(第一可動部材)は、中間転写ベルト11上のA部のテンション上昇に伴い、圧縮バネ54Aとの釣り合い位置が変化し、図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Aと一体的に構成されたテンション検知部材53Aも同様に移動して、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離は近くなる。
【0084】
反対にテンション検知ローラ52B(第二可動部材)は中間転写ベルト11上のB部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54Bとの釣り合い位置が変化して図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Bと一体的に構成されたテンション検知部材53Bも同様に移動して、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は遠くなる。
【0085】
図8(c)は、二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた場合を示す。A部のテンションが緩くなり、反対にB部のテンションが上昇する。テンション検知ローラ52Aは、中間転写ベルト11上のA部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54Aとの釣り合い位置が変化し、図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Aと一体的に構成されたテンション検知部材53Aも同様に移動して、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離は遠くなる。
【0086】
反対にテンション検知ローラ52Bは中間転写ベルト11上のB部のテンション増加に伴い、圧縮バネ54Bとの釣り合い位置が変化して図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Bと一体的に構成されたテンション検知部材53Bも同様に移動して、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は近くなる。
【0087】
これらにより、光学式測距センサ55で測定した距離により中間転写ベルト11のテンションを検知することが可能となる。
【0088】
(ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法)
ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法に関し図8を用い説明する。
【0089】
中間転写ベルト11のテンションに応じて得られた光学式測距センサ55Aの出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73で変換される。そして、距離に応じたテンションAD値−Aを得る。同様に、光学式測距センサ55Bの出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73で変換され、距離に応じたテンションAD値−Bを得る。テンションAD値−AとテンションAD値−BはCPU71で比較されてテンションAD値差分が算出される。
【0090】
CPU71内には、RAM74を有し、制御の目標となる制御目標値が格納されている。制御目標値は図2及び図8のA部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値差分のことである。
【0091】
本実施形態では、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は同じになるように設定されている。このため、制御目標値は零になる。実際には零に対して所定の幅にて許容される。
【0092】
以上説明したとおり、本実施形態においては、A部とB部のテンション状態をそれぞれ検知している。従って、中間転写ベルト11の長さが変化したような場合であっても、テンションAD値差分は変化しない。このため、より精度よくテンション検知が可能になる。また、A部とB部のテンション状態が略等しい状態におけるテンションAD値差分は略零であるので、制御目標値も略零となり、制御目標値を補正する補正モードは必要ない。
【0093】
〔第3実施形態〕
本実施形態は、二つの光学式測距センサ55を用いる構成において制御目標値を決定する補正モードが必要になる場合について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0094】
第2実施形態で説明した、光学式測距センサ55に個体差がある場合、光学式測距センサ55Aと光学式測距センサ55Bが同じ距離を検知しても出力電圧値は異なる。また、光学式測距センサ55に個体差が無い場合でも、A部とB部のテンションが略等しいテンション状態が中立の状態においても、出力電圧値が異なる場合もある。例えば、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離とが異なる場合、出力電圧値が異なる。
【0095】
これらの場合においては、テンションAD値−A、テンションAD値−Bの値も異なって、テンションAD値差分は零にはならない。つまり、制御目標値を零にすることができない。そこで、A部とB部のテンション差が略零の状態におけるテンションAD値差分を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて図9を用いて説明する。図9は第3実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0096】
図9において、縦軸は8bitデジタル値にAD変換されたテンションAD値差分である。テンションAD値差分は、テンションAD値−BからテンションAD値−Aを引いた値として算出した。従って、縦軸の値がマイナスの方がA部よりもB部のテンションが低い(緩み状態)を意味する。反対に縦軸の値がプラスの方がA部よりもB部のテンションが高い(張り状態)を意味する。
【0097】
第1実施形態と同様に、転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)では、二次転写中はテンションの張り状態、緩み状態が解消する動きが見られる。つまり、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)におけるテンションAD値が制御目標値となる。
【0098】
以上説明したとおり、本実施形態においては、転写材及びトナー像を二次転写ニップ部T2に送り、A部とB部のテンション状態が略等しい状態におけるテンションAD値差分を検知して、これを制御目標値としている。これによって、光学式測距センサ55に個体差がある場合であっても、制御目標値を決定することができる。また、テンション状態が中立の状態において、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離が異なる場合であっても、制御目標値を決定することができる。
【0099】
〔第4実施形態〕
本実施形態は、テンション検知機構50の構成の他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0100】
(テンション検知機構の構成概略)
図10は第4実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。本実施形態では、テンション検知機構50は、上下に2つのコロ81、コロ82を有する連結部材83を有する。また、連結部材83の動きに応じて回転中心84を中心として可動するテンション検知部材85を有する。また、テンション検知部材85の位置を検知する赤外線を用いた光学式測距センサ55を有する。
【0101】
連結部材83により連結されたコロ81とコロ82は、それぞれ、コロ81が中間転写ベルト11のA部に、コロ82が中間転写ベルト11のB部に当接する。そして、コロ81とコロ82は、中間転写ベルト11裏側に接触状態で配置され、テンションとの釣り合いによりその位置が決まるように構成される。
【0102】
図10(a)は、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2における接線力が無い状態での、中間転写ベルト11のテンションと、連結部材83の釣り合い状態を示す。
【0103】
二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に図10(b)中の矢印方向の接線力が生じた場合、二次転写ローラ20の下流部である図10A部のテンションは高くなる。一方、二次転写ローラ20の上流部である図10B部のテンションが低くなる。
【0104】
このため、連結部材83は中間転写ベルト11のテンションとの釣り合いから図10(b)に示すように押し下げられる。すると、連結部材83の動きに同期して、テンション検知部材85が変位し、その変位量は光学式測距センサ55を用いて検知することが可能となる。
【0105】
二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に図10(c)中の矢印方向の接線力が生じた場合、二次転写ローラ20の下流部である図10A部のテンションは低くなる。一方、二次転写ローラ20の上流部である図10B部のテンションが高くなる。
【0106】
このため、連結部材83は中間転写ベルト11のテンションとの釣り合いから図10(c)に示すように押し上げられる。すると、連結部材83の動きに同期して、テンション検知部材85が変位し、その変位量は光学式測距センサ55を用いて検知することが可能となる。
【0107】
本実施形態のテンション検知機構50は、中間転写ベルト11の2か所のテンションのつり合いで決まるテンション検知部材85の位置でテンション検知を行っている。つまり、バネ等を介さず中間転写ベルト11のテンションのみでテンション検知を行っている。このため、より高精度で応答性の高い検知が可能となる。
【0108】
本実施形態においても、第1実施形態で説明したのと同様に、テンション検知部材85の位置に応じた光学式測距センサ55の検知結果を、二次転写駆動モータ29にフィードバックしている。このとき、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態において、中間転写ベルト11のテンションと連結部材83の釣り合い状態で検知されるテンションAD値を制御目標値としている。
【0109】
以上説明したとおり、本実施形態においては、上述したようなリンク機構によって、1つ光学式測距センサ55でテンションの検知が可能になる。また、中間転写ベルト11のテンションのみでテンション検知をする。これにより、より高精度で応答性の高いテンション検知が可能になる。
【0110】
〔第5実施形態〕
本実施形態は、制御目標値を決定する補正モードの他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した実施形態のいずれかと同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0111】
二次転写ローラ20によるニップ圧や中間転写ベルト11の材質などによっては、前回転中に発生したA部とB部のテンション差が、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態であっても解消しきらない場合がある。つまり、制御目標値を略零にすることができない。このような場合でも、A部とB部のテンション差が略零の状態であるテンションAD値を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて図11、図12を用いて説明する。図11は第5実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0112】
図11の状態Sは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示す。この場合、テンションAD値はプラス側で変移していく。
【0113】
反対に、図11の状態Uは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に遅い場合を示す。この場合、テンションAD値はマイナス側で変移していく。
【0114】
図11の状態S及び状態Uはプラスとマイナスで値は異なるものの、テンションAD値は同じ変移状態を示す。すなわち、前回転中(D状態)では二次転写ニップ部T2における接線力が上昇する。転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入するタイミング(E状態の開始点)で接線力は急減して、徐々に解消する。そして、テンションAD値が略零になることなく定常状態となる。後回転(F状態)で、再び接線力が上昇する。
【0115】
一方、図11の状態Tは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度と、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度が略等しい場合を示す。この場合では、画像形成動作を通してテンションAD値は略零を維持して推移する。つまり、前回転中(D状態)や後回転(F状態)で二次転写ニップ部T2における接線力が上昇することはない。
【0116】
つまり、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度に対して、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度を変化させていったときを考える。すると、前回転中と転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態で、テンションAD値が略等しくなる条件が存在する。この等しくなったときのテンションAD値が制御目標値となる。
【0117】
図12は第5実施形態に係る二次転写駆動モータとテンションAD値との関係図である。具体的には、E状態開始の直前のテンションAD値とE状態の後半のテンションAD値を二次転写駆動モータ29回転数設定に応じてプロットしたグラフである。ここで、E状態開始の直前とは、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入する直前であり、E状態の後半とは、トナー像が二次転写ニップ部T2に介在して、略定常状態になったときである。
【0118】
図12において、設定上で中間転写ベルト11と二次転写ローラ20が等速となる二次転写駆動モータ29回転数に対する増減率を%で表示している。図12のように、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入する直前のテンションAD値は、多次式で近似される変化を示す。トナー像が二次転写ニップ部T2に介在して、略定常状態になったときのテンションAD値は、一次式で近似される変化を示す。なお、このグラフは実験的に求めたデータに基づいている。
【0119】
二つの近似式は1点で交差する。この交点は、前回転(D状態)から転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態(E状態)になってもテンションAD値が変化しないことを意味する。このように、テンション検知機構50での検知結果と、二次転写駆動モータ29に駆動される二次転写ローラ20の速度による相関関係から、制御目標値を決定する。すなわち、前述の交点のテンションAD値が制御目標値となる。
【0120】
以上説明したとおり、本実施形態においては、上記二つの近似式の交点であるテンションAD値を算出して、これを制御目標値としている。これによって、前回転中に発生したA部とB部のテンション状態差が、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態で解消しきらない場合においても制御目標値を決定することができる。
【0121】
尚、本実施形態ではA部とB部のテンション差が略零の状態であるテンションAD値を検知する説明をした。しかし、第2実施形態や第3実施形態のように光学式測距センサ55が2つで構成される場合には、テンションAD値の代わりにテンションAD値差分を検知することで、同様の効果が得られる。
【0122】
〔第6実施形態〕
本実施形態は、制御目標値を決定する補正モードの他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態から5のいずれかと同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0123】
本実施形態は、図6、図9、図11におけるE部において、二次転写部にトナー像だけを介在させるものである。トナー像は、トナー像が二次転写ニップ部T2に介在する間(E状態)にA部とB部のテンション差を十分に小さくするような、濃度、幅、長さになるように設定される。この補正モードで使用するトナー像として、本実施形態では50%ブラックのハーフトーン画像を、幅方向はLTRサイズ、長さ方向は30mmで形成した。
【0124】
トナー像の濃度が低い場合や幅が短い場合には、トナーによる潤滑効果が不十分になって、二次転写中にA部の緩み及びB部の張りは十分には解消されない。その結果、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確にならず、適切な制御目標値が得られない。同様に、トナー像の長さが短い場合には、二次転写中にA部の緩み、及びB部の張りが十分に解消されるよりも前に、トナー像が二次転写ニップ部T2を通過してしまう。その結果、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確にならず、適切な制御目標値が得られない。
【0125】
以上説明したとおり、本実施形態においては、トナー像だけを二次転写ニップ部T2に送り、この時のテンション値を検知して、これを制御目標値としている。これによって、転写材を消費することなく制御目標値を決定することができる。これは、ユーザーにとって、より好ましい。
【符号の説明】
【0126】
T1…一次転写部
2…感光体ドラム
11…中間転写ベルト
12…ベルト駆動ローラ
20…二次転写ローラ
50…テンション検知機構
71…CPU
75…二次転写駆動モータ制御部
77…中間転写ベルト駆動モータ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は静電記録方式や電子写真記録方式など像担持体に形成した像を転写材に転写して記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のフルカラー画像形成装置において、中間転写ベルトを用いた画像形成装置がある。この転写部の概略構成を説明する。
【0003】
中間転写ベルトは3本の張架ローラにより張架される。張架ローラのうちの1本は中間転写ベルトを駆動する駆動ローラである。駆動ローラは中間転写ベルトを内側から搬送する。また、駆動ローラ以外の張架ローラの1つは、二次転写ローラと対向する位置に配置される。このため、二次転写ローラは中間転写ベルトを外側から搬送する。このように、中間転写ベルトは、駆動ローラと二次転写ローラにより別々の位置で搬送力を受ける。
【0004】
この構成において、中間転写ベルトの表面速度と二次転写ローラの表面速度との間に僅かでも速度差があると、二次転写部に接線力が発生する。この接線力によって中間転写ベルトには、二次転写部に対して上流及び下流にテンション(張力)差が生じる。一方、二次転写ローラには、これを駆動するギアに微少な変形が生じる。
【0005】
このような状態の二次転写ニップ部に転写材が通過すると、中間転写ベルトが受ける二次転写ローラからの搬送力(接線力)が変化する。このため、中間転写ベルトでは、速度変動やテンション変動(張架状態の変動)が発生して、色ずれや一次転写部での画像ブレなどの問題が発生する。一方、二次転写ローラでは、ギアの微少な変形が解消されると共に、噛合いのガタ(バックラッシ)の分だけ微少な速度変動が発生して、二次転写部でのブレという問題が発生する。
【0006】
上述の問題に対し、中間転写ベルトに当接部材を付帯し、この当接部材の変形量から搬送時の中間転写ベルトのテンションを検知し、この搬送時の検知結果を、転写材のない通常時の検知結果に合わせるように制御する技術がある(例えば、特許文献1参照)。ここでは、中間転写ベルトの速度を支配する駆動ローラおよびそれに対向する二次転写ローラの速度を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−145680
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来技術では、中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差がある場合でも、その速度差を維持する制御となっている。このため、二次転写部の接線力は無くならない。つまり、制御目標となる通常時において中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差があった場合、二次転写部に対して上流及び下流のテンション差を維持するようにして、中間転写ベルトのテンション変動を抑制している。従って、色ズレや一次転写部でのブレは抑制できるものの、二次転写部でのブレは抑制できない。
【0009】
駆動ローラ外径、二次転写ローラ外径、中間転写ベルトの膜厚などの設定値に基づいて駆動ローラ及び二次転写ローラの速度制御目標値を設定することは可能である。しかし、加工上のバラツキ、長期間の使用に伴う摩耗、駆動ローラと中間転写ベルトとの間の微少なスリップなどによって、実際には中間転写ベルトと二次転写ローラに速度差が生じてしまう。
【0010】
本発明の目的は、像担持ベルトの張架状態の変動を抑制し、転写部でのブレを抑制することにより、良好な画像形成状態を保つことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の代表的な構成は、
像担持体と、
前記像担持体に画像形成を行う画像形成部と、
像担持ベルトと、
前記像担持体におけるトナー像を前記像担持ベルトに転写する一次転写部と、
前記像担持ベルトの張架ローラを兼ね前記像担持ベルトを駆動する第一駆動部材と、
前記像担持ベルトに接し搬送力を有する第二駆動部材と、
前記像担持ベルトの張架状態を検知するテンション検知機構と、
制御部とを有し、
前記制御部は、前記像担持ベルトの張架状態が全周に渡って略等しい状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値として、前記第二駆動部材の駆動速度を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成により、像担時ベルトの張架状態を全周に渡って略等しい状態になるようにすることが可能になる。これによって、色ズレや一次転写部でのブレを抑制するとともに、二次転写部でのブレも抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図3】第1実施形態に係る光学式測距センサの概略図。
【図4】第1実施形態に係る光学式測距センサにおける検知距離と電圧値の関係図。
【図5】第1実施形態に係るモータの回転制御に関わる説明図。
【図6】第1実施形態における状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図7】第1実施形態の接線力を説明する図表。
【図8】第2実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図9】第3実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図10】第4実施形態に係るテンション検知機構の説明図。
【図11】第5実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図。
【図12】第5実施形態に係る二次転写駆動モータとテンションAD値との関係図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
図1を用いて第1実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は第1実施形態に係る画像形成装置の概略図である。尚、説明においては、図面における添字(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)を必要に応じて省略して説明する。
【0015】
(画像形成部の概略構成)
図1に示すように、画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4個の感光体ドラム2(像担持体)を備える。各感光体ドラム2の周囲には、その回転方向上流側から順に、一次帯電器7、現像手段3が配置される。
【0016】
感光体ドラム2に対向した位置には、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー画像が一次転写される中間転写ベルト11(像担持ベルト)が配置される。中間転写ベルト11は、ベルト駆動ローラ12(第一駆動部材)、二次転写対向ローラ13、テンションローラ15及び従動ローラ14の張架ローラにより張架される。
【0017】
中間転写ベルト11は、ベルト駆動モータ28により回転駆動される。テンションローラ15はテンションバネ16で一方向に付勢され、中間転写ベルト11に所定のテンションを付与する。中間転写ベルト11には、張力(テンション)を検知するためのテンション検知機構50が配置される。
【0018】
尚、中間転写ベルト11としては、イオン導電剤を添加して体積抵抗率1010Ωcm程度に調整された厚さ100ミクロンの無端状PVdF単層樹脂ベルトを用いた。ベルト駆動ローラ12は、外径24mmの中空のアルミ管に0.5mmの厚みでEPDMゴムを被覆し、電気抵抗105Ω以下のものを使用した。
【0019】
中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム2の対向位置には、一次転写ローラ4が配置される。
【0020】
中間転写ベルト11には、中間転写ベルト11上に付着したトナー(残留トナー)を除去するためのクリーニングローラ18が配置される。クリーニングローラ18は中間転写ベルト11により従動回転する。
【0021】
中間転写ベルト11を挟んで二次転写対向ローラ13に対向する位置には、搬送力のある二次転写ローラ20(第二駆動部材)が配置される。即ち、二次転写ローラ20は中間転写ベルト11の外周面に接し、中間転写ベルト11を搬送する。
【0022】
本実施形態では、二次転写ローラ20として、SUS芯金に、厚さ6mmの導電性発泡ゴムを被覆し、硬度は30度(Asker−C4.9N(500gf)荷重時)、電気抵抗値が1×107Ωの外径18mmのローラを用いた。二次転写ローラ20は、不図示のバネで中間転写ベルト11側に一方向に付勢され、二次転写ニップ部T2(接触部)を形成し、二次転写駆動モータ29により回転駆動されている。
【0023】
(画像形成装置の動作)
画像形成装置の画像形成動作について、画像形成部以外の構成とともに説明する。
【0024】
画像形成動作が開始されると、まずカセット30内の転写材Pは、給送ローラ31により給送された後、レジストローラ対33に搬送される。このときレジストローラ対33は、回転を停止しており、このレジストローラ対33のニップに転写材Pが突き当てられる。これにより、転写材Pの斜行が矯正される。
【0025】
一方、転写材Pの搬送動作に並行し、画像形成部において画像形成動作が行われる。これについてイエローの画像形成部を例示して説明する。
【0026】
まず、イエローの感光体ドラム2Yには、その表面が一次帯電器7Yによって一様にマイナス帯電される。次に露光手段1により画像露光が行われると、感光体ドラム2Yの表面には静電潜像が形成される。静電潜像は、画像信号のイエロー画像成分と対応した像となる。次に、現像手段3Yが感光体ドラム2Yに当接すると、上記静電潜像がマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像される。こうして、イエロートナー画像が感光体ドラム2上で可視化される。このようにして得られたイエロートナー画像は、一次転写バイアスが供給された一次転写ローラ4Yにより、中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0027】
このような一連のトナー画像形成動作は、他の感光体ドラム2M、2C、2Kにおいても所定のタイミングをもって順次行われる。そして、各感光体ドラム2上に形成された各色トナー画像は、それぞれの一次転写部T1で中間転写ベルト11上に順次重ねて一次転写される。
【0028】
中間転写ベルト11上に重畳して転写された4色のトナー画像は、中間転写ベルト11の移動に伴って、二次転写ニップ部T2に移動する。一方、レジストローラ対33で斜行を矯正された転写材Pは、中間転写ベルト11上の画像とタイミングをとって、二次転写ニップ部T2に送り出される。このため、二次転写ニップ部T2では、中間転写ベルト11上の4色のトナー画像が転写材Pに一括して二次転写される。このようにしてトナー画像が一次転写された転写材Pは、定着器40に搬送される。定着器40では転写材Pが加熱、加圧され、トナー画像が転写材Pに定着される。その後、排出ローラ対41により、排出トレイ42に排出されて積載される。
【0029】
尚、二次転写を終了した中間転写ベルト11は、二次転写対向ローラ13近傍に設置されたクリーニングローラ18によって表面に残留した転写残りトナーが除去される。
【0030】
(テンション検知機構の構成概略)
図2を用いて中間転写ベルト11のテンション検知機構50について説明する。図2は第1実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。(a)、(b)、(c)は状態別の図である。各状態については後述する。
【0031】
テンション検知機構50は、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の下流側(図2のA部)に配置される。テンション検知機構50は、テンション検知ローラ52(可動部材)、テンション検知部材53、圧縮バネ54、光学式測距センサ55(可動部材検知部)で構成される。測距センサとは、距離を測定するセンサである。
【0032】
テンション検知ローラ52は可動式である。テンション検知ローラ52は、圧縮バネ54によって一定の力で中間転写ベルト11の内側に付勢される。テンション検知ローラ52の上下方向の位置は中間転写ベルト11のテンション(張力)と、圧縮バネ54の力の釣り合いにより決まる。
【0033】
テンション検知部材53は、テンション検知ローラ52と一体となって上下方向に移動する。光学式測距センサ55はテンション検知部材53の位置を検知するセンサであり、赤外線タイプの測距センサを用いた。
【0034】
光学式測距センサ55を図3を用いて説明する。図3は第1実施形態に係る光学式測距センサの概略図である。
【0035】
図3に示すように、光学式測距センサ55は、LEDの発光部60と位置検知素子61(Position Sensitive Device:PSD)によって構成される。
【0036】
検知の際には、まず、発光部60から赤外線62が、テンション検知部材53へ照射される。測距対象物で拡散反射した62の反射光は、位置検知素子61の受光面61aの前方に配設された受光用集光手段63により絞られ、受光面61aに導かれる。そして、受光面61a上に到達した赤外線62の分布中心の位置によって、三角測量方式で対象物体との距離を計測する。
【0037】
受光面61aへ到達した赤外線62の分布中心の位置を検知して距離に変換するため、対象物体の表面状態で反射率が変化しても距離データには影響しない。そして位置検知素子61で検知した位置から演算用ICで距離に変換し、電圧値として出力する。
【0038】
図4は第1実施形態に係る光学式測距センサにおける検知距離と電圧値の関係図である。図4を参照し、本実施形態においては、光学式測距センサ55から、検知物であるテンション検知部材53までの距離を4mmから10mmとなるように、光学式測距センサ55を配置した。
【0039】
(テンション検知機構50の動作)
図2を用い、中間転写ベルト11のテンション状態(張架状態)の変化により、テンション検知機構50がどのように動作するかを説明する。
【0040】
図2(a)は、テンション状態が中立になった状態を示す。中間転写ベルト11において二次転写ニップ部T2での接線力が無い場合、中間転写ベルト11のテンション状態が中立になる。中立の状態とは、中間転写ベルト11の全周にわたり張架状態が略同じとなる状態である。つまり、中間転写ベルト11の移動方向に対して、二次転写ローラ20の下流側であるA部と中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の上流側であるB部のテンションが略等しい状態である。
【0041】
図2(b)は、二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた状態を示す。この場合、A部のテンションは高くなる。このとき、テンション検知ローラ52においては、中間転写ベルト11上のA部のテンション増加に伴い、圧縮バネ54との釣り合い位置が変化する。すると、テンション検知ローラ52は中間転写ベルト11の内側(矢印の方向)に移動する。この結果、テンション検知ローラ52と一体的に構成されたテンション検知部材53も同様に移動して、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離は近くなる。
【0042】
図2(c)は、二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた状態を示す。この場合、A部のテンションは低くなる。このとき、テンション検知ローラ52においては、中間転写ベルト11上のA部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54との釣り合い位置が変化する。すると、テンション検知ローラ52は中間転写ベルト11の外側(矢印の方向)に移動する。この結果、テンション検知ローラ52と一体的に構成されたテンション検知部材53も同様に移動して、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離は遠くなる。
【0043】
このように、光学式測距センサ55で測定した距離により、中間転写ベルト11のテンションを検知することが可能となる。
【0044】
尚、本実施形態においては、図2にA部で示す、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の下流側にテンション検知機構50を配置した。しかし、これに限定されるものではなく、図2にB部で示す、中間転写ベルト11の移動方向に対して二次転写ローラ20の上流側に配置しても構わない。
【0045】
また、本実施形態においては、テンション検知ローラ52と一体的に移動するように構成されたテンション検知部材53の位置を光学式測距センサ55で検知する例を示した。しかし、これに限定されるものではなく、テンション検知ローラ52の位置を、リンクを介して検知することも可能である。
【0046】
(ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法)
ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法に関し図5を用いて説明する。図5は第1実施形態に係るモータの回転制御に関わる説明図である。制御部は、CPU71の他、二次転写モータ回転数設定部76及び中間転写ベルト駆動モータ制御部77を有する。
【0047】
ベルト駆動モータ28は、DCブラシレスモータからなり、中間転写ベルト11の速度を支配する。中間転写ベルト駆動モータ制御部77は、ベルト駆動モータ28の駆動制御を司る。中間転写ベルト駆動モータ制御部77は、ベルト駆動モータ28からの回転状態信号を受け、画像形成に適した回転数になるよう制御する。
【0048】
中間転写ベルト11のテンションに応じて得られた光学式測距センサ55の出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73でデジタル信号に変換される。この構成により、光学式測距センサ55とテンション検知部材53の距離に応じたテンションのAD値を得る。CPU71内には、RAM74を有し、制御の目標となる制御目標値が格納されている。制御目標値については後述する。
【0049】
CPU71内の二次転写駆動モータ回転数決定部72では、RAM74に格納された制御目標値と、CPU71で算出された中間転写ベルト11のテンションのAD値を用い、二次転写駆動モータ29の回転数を決定する。決定したモータ回転数情報は、二次転写駆動モータ制御部75内にある二次転写モータ回転数設定部76に送られる。二次転写モータ回転数設定部76で設定された回転数に基づいて、二次転写駆動モータ29が回転駆動される。
【0050】
本実施形態では、動作中のテンションAD値が制御目標値に収束するよう、モータ回転数をPI制御を用いて制御を行った。P制御(比例制御)の比例ゲインは、テンションAD値が制御目標値に対して、オーバーシュート及びハンチングが発生しない範囲で決定した。
【0051】
これは、オーバーシュートやハンチングが発生すると、テンション変動が発生してしまい、色ずれなどが発生するためである。そして、比例制御だけでは、制御目標値に達しないまま残ってしまう制御目標値からの偏差(オフセット)に関しては、積分制御で除去するように積分制御のパラメータを決定した。積分制御を加えると、オフセットがある限り出力変更が積み重なるので、徐々にオフセットは減衰し、制御目標値に収束することが可能となる。
【0052】
(制御目標値を決定する補正モード)
制御目標値を決定するための補正モードは、通常の画像形成動作とは別の動作によって行われる。以下に、補正モードの動作について説明する。
【0053】
本実施形態において、必要とされる制御目標値は、中間転写ベルト11のテンションが、全周に渡って略等しい時のテンションAD値である。図2において説明すると、A部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値である。これは、A部とB部のテンションが略等しければ、画像形成中に二次転写ニップ部に転写材Pやトナー像(現像剤像)が通過してもテンション変動を極力小さくすることができるためである。この結果、A部とB部のテンションが略等しければ、色ズレや画像ブレの発生を抑制できる。同時に、二次転写ローラ20も速度変動を極力小さくすることができ、転写ブレの発生を抑制できる。
【0054】
反対に、図2に示したA部とB部のテンションに差があった場合、画像形成中に二次転写ニップ部に転写材やトナー像が通過すると、この差の分だけテンション変動が発生する。その結果、テンション変動が一次転写部に伝播して色ズレや画像ブレなどの問題が発生する。同時に、二次転写ローラの速度変動も発生して画像ブレが発生する。
【0055】
図6を用いて、通常の画像形成動作とは別の動作である、A部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて説明する。図6は第1実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0056】
図6において、縦軸は8bitデジタル値にAD変換されたテンションAD値である。テンションAD値はテンション検知部材53と光学式測距センサ55の距離が遠いほど小さな値になる。つまり本実施形態では、テンションの緩みが大きいほどテンションAD値は小さくなり、反対にテンションの張りが大きいほどテンションAD値は大きくなる。
【0057】
従って、縦軸の値が小さい方がA部よりもB部のテンションが高い状態(張り状態)を意味する。反対に縦軸の値が大きい方がA部よりもB部のテンションが低い状態(緩み)を意味する。図中のD状態、E状態、F状態は、画像形成中の装置状態を表し、Dは前回転、Eは二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態、Fは後回転を示す。
【0058】
図6は、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示す。具体的には、設計上における中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の表面速度が等速となる二次転写駆動モータ29の速度設定に対して0.3%速く設定した。
【0059】
二次転写駆動モータ29が速い場合、前回転中(D状態)に、A部のテンションは緩んで反対にB部のテンションは張る。転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入するタイミング(E状態の開始点)で、A部の緩み及びB部の張りは徐々に解消され、A部とB部のテンションは略等しくなる。A部とB部のテンションが略等しい状態は、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2を抜けるまで維持される(E状態の終了点)。後回転(F状態)では、A部のテンションは緩んで反対にB部のテンションは張って終了する。
【0060】
二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在しない状態(前回転D、後回転F)では、二次転写ローラ20と中間転写ベルト11との摩擦力により、中間転写ベルト11は二次転写ローラ20から大きな接線力を受ける。このため、僅かな速度差でもテンションの緩みおよび張り状態となる。
【0061】
一方、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)では、転写材及びトナー像が介在することにより二次転写ニップ部T2での滑り効果(潤滑効果)が生まれる。その結果、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より速い状態であっても、二次転写ローラ20の中間転写ベルト11に与える接線力は極めて小さくなる。このため、二次転写中はテンションの張り状態、緩み状態が解消して略等しくなる動きが見られる。つまり、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)におけるテンションAD値が制御目標値となる。
【0062】
尚、この制御目標値を算出する補正モードは、最初に画像形成装置の電源を入れたタイミング、電源を入れてから定期的なタイミング、中間転写ベルト11や二次転写ローラ20が交換されたタイミングで実施するように設定した。
【0063】
最初に画像形成装置の電源を入れたタイミングで補正モードを実施するのは、画像形成装置に組み込まれた部品寸法による、中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の速度差を補正することを目的としている。
【0064】
電源を入れてから定期的なタイミングで補正モードを実施するのは、長期の使用によって、二次転写ローラ20による接線力が変化するためである。具体的には、中間転写ベルト11、ベルト駆動ローラ12、二次転写ローラ20が摩耗して寸法が変化したり、摩擦係数が変化したりすると、中間転写ベルト11の速度が減少し、二次転写ローラ20による接線力が変化する。
【0065】
中間転写ベルト11や二次転写ローラ20が交換されたタイミングで補正モードを実施するのは、交換された部品の部品寸法によって、中間転写ベルト11や二次転写ローラ20の速度が変化するからである。
【0066】
尚、この補正モードは色ズレ補正、濃度補正などの他の補正と同時に実施するように構成してもよいし、ユーザーが任意で実施できるように構成しても構わない。
【0067】
また、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)には通常の画像形成時よりも小さな二次転写バイアスを印可している。これによって、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)において、中間転写ベルト11が二次転写対向ローラ13から受ける接線力を極力下げることができる。
【0068】
従って、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確になる。つまり、テンション検知機構50により検知されるテンション検知差から、二次転写ニップ部T2にトナー像が介在する状態を判別しやすくすることができる。
【0069】
また、本実施形態では二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示した。しかし、これに限定されるものではなく、反対に二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に遅く設定されていも構わない。
【0070】
また、本実施形態では二次転写駆動モータ29による設定速度は、設計上における中間転写ベルト11と二次転写ローラ20の表面速度が等速となる二次転写駆動モータ29の速度設定に対して0.3%速く、もしくは遅く設定する例を示した。これは本実施形態において適切な制御目標値を得るための速度設定である。従って、中間転写ベルト11の材質や張架構成、二次転写ローラ20の材質、二次転写ニップ部T2のニップ力などに応じて適正化されるものであり、これに限定されるものではない。
【0071】
(搬送力について)
本実施形態では、テンション検知機構50で得られたテンション情報を、搬送力の大きいベルト駆動ローラ12ではなく、搬送力の小さい二次転写ローラ20の駆動にフィードバックし、駆動速度を決定している。本実施形態に開示された搬送力に関して、以下に定義する。
【0072】
中間転写ベルト11の内側に配置され、中間転写ベルト11に巻きつけられるように配置されたベルト駆動ローラ12は、巻きかけ部があるために高い搬送力を有する。その搬送力F1は、オイラーのベルト理論により図7のように表すことが出来る。図7は第1実施形態の接線力を説明する図表である。
【0073】
図7に示すように、搬送力F1は式(1)で求められる。尚、ベルト駆動ローラ12の表面と中間転写ベルト11裏面の静止摩擦係数をμ1、中間転写ベルト11の巻きつき角をθ、中間転写ベルト11のベルト面上の張力をT、とする。
【0074】
一方、中間転写ベルト11の外側に配置された二次転写ローラ20の搬送力F2は、二次転写ニップ部の総圧をN、二次転写ローラ20表面と中間転写ベルト11表面の静摩擦係数をμ2とした時、式(2)で求められる。
【0075】
よって、搬送力F1と搬送力F2の大小関係を判断することが可能となる。各部材の摩擦係数はJIS−K7125に規定される試験方法に於いて本実施形態の効果は得られる。
【0076】
本実施形態では、μ1=0.6、T=30(N)、θ=2.27(rad)=130(deg)、また、μ2=0.5、T=20(N)であるため、F1及びF2はそれぞれ図7のようにF1>F2となる。
【0077】
よって、二次転写ローラ20の駆動が搬送力の小さい駆動源と判断することが可能となる。
【0078】
以上説明したとおり、本実施形態においては、中間転写ベルト11のテンション状態をテンション検知機構50で検知している。そして、動作中のテンションAD値が制御目標値になるように二次転写駆動モータ29の回転駆動を制御している。この制御目標値は、中間転写ベルト11のテンションが、全周に渡って略等しい時のテンションAD値である。これにより、画像形成を通してテンション変動とベルトの速度変動を抑制するとともに、二次転写ローラ20の速度変動も抑制することが可能となり、色ずれや転写ブレなどの発生を軽減することができる。
【0079】
〔第2実施形態〕
本実施形態は、テンション検知機構50の別の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0080】
(テンション検知機構の構成概略)
本実施形態では、テンション検知部が二つある構成について説明する。図8は第2実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。
【0081】
中間転写ベルト11のテンション検知機構50は、図8のA部の中間転写ベルト11のテンションを検知する第一検知部51Aと、B部の中間転写ベルト11のテンションを検知する第二検知部51Bからなる。B部と2次転写ローラの間には従動ローラ14が配置されている。第一検知部51A及び第二検知部51Bは同じ構成である。図8を用い、中間転写ベルト11のテンション状態(張力)の変化により、テンション検知機構がどのように動作するかを説明する。
【0082】
図8(a)は、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2での接線力が無く、中間転写ベルト11のテンション状態が中立になった状態を表す。この状態において、光学式測距センサ55A(第一可動部材検知部)からテンション検知部材53Aまでの距離と、光学式測距センサ55B(第二可動部材検知部)からテンション検知部材53Bまでの距離は同じになるように設定される。
【0083】
図8(b)は、二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた場合を示す。この場合、A部のテンションが上昇して、反対にB部のテンションが緩くなる。テンション検知ローラ52A(第一可動部材)は、中間転写ベルト11上のA部のテンション上昇に伴い、圧縮バネ54Aとの釣り合い位置が変化し、図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Aと一体的に構成されたテンション検知部材53Aも同様に移動して、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離は近くなる。
【0084】
反対にテンション検知ローラ52B(第二可動部材)は中間転写ベルト11上のB部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54Bとの釣り合い位置が変化して図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Bと一体的に構成されたテンション検知部材53Bも同様に移動して、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は遠くなる。
【0085】
図8(c)は、二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に矢印方向の接線力が生じた場合を示す。A部のテンションが緩くなり、反対にB部のテンションが上昇する。テンション検知ローラ52Aは、中間転写ベルト11上のA部のテンション減少に伴い、圧縮バネ54Aとの釣り合い位置が変化し、図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Aと一体的に構成されたテンション検知部材53Aも同様に移動して、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離は遠くなる。
【0086】
反対にテンション検知ローラ52Bは中間転写ベルト11上のB部のテンション増加に伴い、圧縮バネ54Bとの釣り合い位置が変化して図8(b)に示された矢印の方向に移動する。テンション検知ローラ52Bと一体的に構成されたテンション検知部材53Bも同様に移動して、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は近くなる。
【0087】
これらにより、光学式測距センサ55で測定した距離により中間転写ベルト11のテンションを検知することが可能となる。
【0088】
(ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法)
ベルト駆動モータ28及び二次転写駆動モータ29の制御方法に関し図8を用い説明する。
【0089】
中間転写ベルト11のテンションに応じて得られた光学式測距センサ55Aの出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73で変換される。そして、距離に応じたテンションAD値−Aを得る。同様に、光学式測距センサ55Bの出力電圧値は、装置内のコントローラ70に設けられたCPU71のAD変換部73で変換され、距離に応じたテンションAD値−Bを得る。テンションAD値−AとテンションAD値−BはCPU71で比較されてテンションAD値差分が算出される。
【0090】
CPU71内には、RAM74を有し、制御の目標となる制御目標値が格納されている。制御目標値は図2及び図8のA部とB部のテンションが略等しい状態におけるテンションAD値差分のことである。
【0091】
本実施形態では、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離は同じになるように設定されている。このため、制御目標値は零になる。実際には零に対して所定の幅にて許容される。
【0092】
以上説明したとおり、本実施形態においては、A部とB部のテンション状態をそれぞれ検知している。従って、中間転写ベルト11の長さが変化したような場合であっても、テンションAD値差分は変化しない。このため、より精度よくテンション検知が可能になる。また、A部とB部のテンション状態が略等しい状態におけるテンションAD値差分は略零であるので、制御目標値も略零となり、制御目標値を補正する補正モードは必要ない。
【0093】
〔第3実施形態〕
本実施形態は、二つの光学式測距センサ55を用いる構成において制御目標値を決定する補正モードが必要になる場合について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0094】
第2実施形態で説明した、光学式測距センサ55に個体差がある場合、光学式測距センサ55Aと光学式測距センサ55Bが同じ距離を検知しても出力電圧値は異なる。また、光学式測距センサ55に個体差が無い場合でも、A部とB部のテンションが略等しいテンション状態が中立の状態においても、出力電圧値が異なる場合もある。例えば、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離とが異なる場合、出力電圧値が異なる。
【0095】
これらの場合においては、テンションAD値−A、テンションAD値−Bの値も異なって、テンションAD値差分は零にはならない。つまり、制御目標値を零にすることができない。そこで、A部とB部のテンション差が略零の状態におけるテンションAD値差分を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて図9を用いて説明する。図9は第3実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0096】
図9において、縦軸は8bitデジタル値にAD変換されたテンションAD値差分である。テンションAD値差分は、テンションAD値−BからテンションAD値−Aを引いた値として算出した。従って、縦軸の値がマイナスの方がA部よりもB部のテンションが低い(緩み状態)を意味する。反対に縦軸の値がプラスの方がA部よりもB部のテンションが高い(張り状態)を意味する。
【0097】
第1実施形態と同様に、転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)では、二次転写中はテンションの張り状態、緩み状態が解消する動きが見られる。つまり、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)におけるテンションAD値が制御目標値となる。
【0098】
以上説明したとおり、本実施形態においては、転写材及びトナー像を二次転写ニップ部T2に送り、A部とB部のテンション状態が略等しい状態におけるテンションAD値差分を検知して、これを制御目標値としている。これによって、光学式測距センサ55に個体差がある場合であっても、制御目標値を決定することができる。また、テンション状態が中立の状態において、光学式測距センサ55Aとテンション検知部材53Aの距離と、光学式測距センサ55Bとテンション検知部材53Bの距離が異なる場合であっても、制御目標値を決定することができる。
【0099】
〔第4実施形態〕
本実施形態は、テンション検知機構50の構成の他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態と同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0100】
(テンション検知機構の構成概略)
図10は第4実施形態に係るテンション検知機構の説明図である。本実施形態では、テンション検知機構50は、上下に2つのコロ81、コロ82を有する連結部材83を有する。また、連結部材83の動きに応じて回転中心84を中心として可動するテンション検知部材85を有する。また、テンション検知部材85の位置を検知する赤外線を用いた光学式測距センサ55を有する。
【0101】
連結部材83により連結されたコロ81とコロ82は、それぞれ、コロ81が中間転写ベルト11のA部に、コロ82が中間転写ベルト11のB部に当接する。そして、コロ81とコロ82は、中間転写ベルト11裏側に接触状態で配置され、テンションとの釣り合いによりその位置が決まるように構成される。
【0102】
図10(a)は、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2における接線力が無い状態での、中間転写ベルト11のテンションと、連結部材83の釣り合い状態を示す。
【0103】
二次転写ローラ20の速度が遅くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に図10(b)中の矢印方向の接線力が生じた場合、二次転写ローラ20の下流部である図10A部のテンションは高くなる。一方、二次転写ローラ20の上流部である図10B部のテンションが低くなる。
【0104】
このため、連結部材83は中間転写ベルト11のテンションとの釣り合いから図10(b)に示すように押し下げられる。すると、連結部材83の動きに同期して、テンション検知部材85が変位し、その変位量は光学式測距センサ55を用いて検知することが可能となる。
【0105】
二次転写ローラ20の速度が速くなり、中間転写ベルト11における二次転写ニップ部T2に図10(c)中の矢印方向の接線力が生じた場合、二次転写ローラ20の下流部である図10A部のテンションは低くなる。一方、二次転写ローラ20の上流部である図10B部のテンションが高くなる。
【0106】
このため、連結部材83は中間転写ベルト11のテンションとの釣り合いから図10(c)に示すように押し上げられる。すると、連結部材83の動きに同期して、テンション検知部材85が変位し、その変位量は光学式測距センサ55を用いて検知することが可能となる。
【0107】
本実施形態のテンション検知機構50は、中間転写ベルト11の2か所のテンションのつり合いで決まるテンション検知部材85の位置でテンション検知を行っている。つまり、バネ等を介さず中間転写ベルト11のテンションのみでテンション検知を行っている。このため、より高精度で応答性の高い検知が可能となる。
【0108】
本実施形態においても、第1実施形態で説明したのと同様に、テンション検知部材85の位置に応じた光学式測距センサ55の検知結果を、二次転写駆動モータ29にフィードバックしている。このとき、二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態において、中間転写ベルト11のテンションと連結部材83の釣り合い状態で検知されるテンションAD値を制御目標値としている。
【0109】
以上説明したとおり、本実施形態においては、上述したようなリンク機構によって、1つ光学式測距センサ55でテンションの検知が可能になる。また、中間転写ベルト11のテンションのみでテンション検知をする。これにより、より高精度で応答性の高いテンション検知が可能になる。
【0110】
〔第5実施形態〕
本実施形態は、制御目標値を決定する補正モードの他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した実施形態のいずれかと同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0111】
二次転写ローラ20によるニップ圧や中間転写ベルト11の材質などによっては、前回転中に発生したA部とB部のテンション差が、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態であっても解消しきらない場合がある。つまり、制御目標値を略零にすることができない。このような場合でも、A部とB部のテンション差が略零の状態であるテンションAD値を検知して、これを制御目標値とする補正モードについて図11、図12を用いて説明する。図11は第5実施形態に係る状態とテンションAD値の関係を示す図である。
【0112】
図11の状態Sは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に速い場合を示す。この場合、テンションAD値はプラス側で変移していく。
【0113】
反対に、図11の状態Uは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度が、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度より相対的に遅い場合を示す。この場合、テンションAD値はマイナス側で変移していく。
【0114】
図11の状態S及び状態Uはプラスとマイナスで値は異なるものの、テンションAD値は同じ変移状態を示す。すなわち、前回転中(D状態)では二次転写ニップ部T2における接線力が上昇する。転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入するタイミング(E状態の開始点)で接線力は急減して、徐々に解消する。そして、テンションAD値が略零になることなく定常状態となる。後回転(F状態)で、再び接線力が上昇する。
【0115】
一方、図11の状態Tは二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度と、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度が略等しい場合を示す。この場合では、画像形成動作を通してテンションAD値は略零を維持して推移する。つまり、前回転中(D状態)や後回転(F状態)で二次転写ニップ部T2における接線力が上昇することはない。
【0116】
つまり、ベルト駆動モータ28による中間転写ベルト11の搬送速度に対して、二次転写駆動モータ29による中間転写ベルト11の搬送速度を変化させていったときを考える。すると、前回転中と転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態で、テンションAD値が略等しくなる条件が存在する。この等しくなったときのテンションAD値が制御目標値となる。
【0117】
図12は第5実施形態に係る二次転写駆動モータとテンションAD値との関係図である。具体的には、E状態開始の直前のテンションAD値とE状態の後半のテンションAD値を二次転写駆動モータ29回転数設定に応じてプロットしたグラフである。ここで、E状態開始の直前とは、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入する直前であり、E状態の後半とは、トナー像が二次転写ニップ部T2に介在して、略定常状態になったときである。
【0118】
図12において、設定上で中間転写ベルト11と二次転写ローラ20が等速となる二次転写駆動モータ29回転数に対する増減率を%で表示している。図12のように、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に突入する直前のテンションAD値は、多次式で近似される変化を示す。トナー像が二次転写ニップ部T2に介在して、略定常状態になったときのテンションAD値は、一次式で近似される変化を示す。なお、このグラフは実験的に求めたデータに基づいている。
【0119】
二つの近似式は1点で交差する。この交点は、前回転(D状態)から転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態(E状態)になってもテンションAD値が変化しないことを意味する。このように、テンション検知機構50での検知結果と、二次転写駆動モータ29に駆動される二次転写ローラ20の速度による相関関係から、制御目標値を決定する。すなわち、前述の交点のテンションAD値が制御目標値となる。
【0120】
以上説明したとおり、本実施形態においては、上記二つの近似式の交点であるテンションAD値を算出して、これを制御目標値としている。これによって、前回転中に発生したA部とB部のテンション状態差が、転写材及びトナー像が二次転写ニップ部T2に介在する状態で解消しきらない場合においても制御目標値を決定することができる。
【0121】
尚、本実施形態ではA部とB部のテンション差が略零の状態であるテンションAD値を検知する説明をした。しかし、第2実施形態や第3実施形態のように光学式測距センサ55が2つで構成される場合には、テンションAD値の代わりにテンションAD値差分を検知することで、同様の効果が得られる。
【0122】
〔第6実施形態〕
本実施形態は、制御目標値を決定する補正モードの他の実施態様について説明する。それ以外は、前述した第1実施形態から5のいずれかと同じであるため、その差異に関してのみ説明を行う。
【0123】
本実施形態は、図6、図9、図11におけるE部において、二次転写部にトナー像だけを介在させるものである。トナー像は、トナー像が二次転写ニップ部T2に介在する間(E状態)にA部とB部のテンション差を十分に小さくするような、濃度、幅、長さになるように設定される。この補正モードで使用するトナー像として、本実施形態では50%ブラックのハーフトーン画像を、幅方向はLTRサイズ、長さ方向は30mmで形成した。
【0124】
トナー像の濃度が低い場合や幅が短い場合には、トナーによる潤滑効果が不十分になって、二次転写中にA部の緩み及びB部の張りは十分には解消されない。その結果、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確にならず、適切な制御目標値が得られない。同様に、トナー像の長さが短い場合には、二次転写中にA部の緩み、及びB部の張りが十分に解消されるよりも前に、トナー像が二次転写ニップ部T2を通過してしまう。その結果、前回転中(D状態)と二次転写ニップ部T2に転写材及びトナー像が介在する状態(E状態)で検知されるテンション検知差が明確にならず、適切な制御目標値が得られない。
【0125】
以上説明したとおり、本実施形態においては、トナー像だけを二次転写ニップ部T2に送り、この時のテンション値を検知して、これを制御目標値としている。これによって、転写材を消費することなく制御目標値を決定することができる。これは、ユーザーにとって、より好ましい。
【符号の説明】
【0126】
T1…一次転写部
2…感光体ドラム
11…中間転写ベルト
12…ベルト駆動ローラ
20…二次転写ローラ
50…テンション検知機構
71…CPU
75…二次転写駆動モータ制御部
77…中間転写ベルト駆動モータ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に画像形成を行う画像形成部と、
像担持ベルトと、
前記像担持体におけるトナー像を前記像担持ベルトに転写する一次転写部と、
前記像担持ベルトの張架ローラを兼ね前記像担持ベルトを駆動する第一駆動部材と、
前記像担持ベルトに接し搬送力を有する第二駆動部材と、
前記像担持ベルトの張架状態を検知するテンション検知機構と、
制御部とを有し、
前記制御部は、前記像担持ベルトの張架状態が全周に渡って略等しい状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値として、前記第二駆動部材の駆動速度を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第二駆動部材は、前記像担持ベルトの外周面に接することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトに接触し前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く可動部材と、
前記可動部材の位置を検知するための可動部材検知部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記テンション検知機構は、
前記第二駆動部材の上流において前記像担持ベルトに接触して前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く第一可動部材と、
前記第二駆動部材の下流において前記像担持ベルトに接触して前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く第二可動部材と、
前記第一可動部材の位置を検知するための第一可動部材検知部と、
前記第二可動部材の位置を検知するための第二可動部材検知部とを有し、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態の差を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側のそれぞれにおいて前記像担持ベルトに接触し、前記像担持ベルトの張架状態に伴って一体として動く可動部材と、
前記可動部材の位置を検知するための可動部材検知部とを有し、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材の上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態の差を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
制御部は、
前記第一駆動部材と前記第二駆動部材との間に速度差がある場合には、前記像担持ベルトと前記第二駆動部材の接触部に転写材又はトナー像の少なくとも一方が介在する状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値とする補正モードを実施することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記テンション検知機構での検知結果と、前記第二駆動部材の速度による相関関係から、前記制御目標値を決定する補正モードを有することを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正モードでは、二次転写ニップ部に転写材やトナー像の少なくとも一方が介在する状態において、通常の画像形成時よりも二次転写バイアスを小さく設定することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に画像形成を行う画像形成部と、
像担持ベルトと、
前記像担持体におけるトナー像を前記像担持ベルトに転写する一次転写部と、
前記像担持ベルトの張架ローラを兼ね前記像担持ベルトを駆動する第一駆動部材と、
前記像担持ベルトに接し搬送力を有する第二駆動部材と、
前記像担持ベルトの張架状態を検知するテンション検知機構と、
制御部とを有し、
前記制御部は、前記像担持ベルトの張架状態が全周に渡って略等しい状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値として、前記第二駆動部材の駆動速度を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第二駆動部材は、前記像担持ベルトの外周面に接することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトに接触し前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く可動部材と、
前記可動部材の位置を検知するための可動部材検知部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記テンション検知機構は、
前記第二駆動部材の上流において前記像担持ベルトに接触して前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く第一可動部材と、
前記第二駆動部材の下流において前記像担持ベルトに接触して前記像担持ベルトの張架状態に伴って動く第二可動部材と、
前記第一可動部材の位置を検知するための第一可動部材検知部と、
前記第二可動部材の位置を検知するための第二可動部材検知部とを有し、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態の差を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記テンション検知機構は、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材よりも上流側及び下流側のそれぞれにおいて前記像担持ベルトに接触し、前記像担持ベルトの張架状態に伴って一体として動く可動部材と、
前記可動部材の位置を検知するための可動部材検知部とを有し、
前記像担持ベルトの移動方向における前記第二駆動部材の上流側及び下流側の前記像担持ベルトの張架状態の差を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
制御部は、
前記第一駆動部材と前記第二駆動部材との間に速度差がある場合には、前記像担持ベルトと前記第二駆動部材の接触部に転写材又はトナー像の少なくとも一方が介在する状態における前記テンション検知機構の検知結果を制御目標値とする補正モードを実施することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記テンション検知機構での検知結果と、前記第二駆動部材の速度による相関関係から、前記制御目標値を決定する補正モードを有することを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正モードでは、二次転写ニップ部に転写材やトナー像の少なくとも一方が介在する状態において、通常の画像形成時よりも二次転写バイアスを小さく設定することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−123044(P2012−123044A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271435(P2010−271435)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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