説明

画像形成装置

【課題】ノズル数が多くなるに従って分割するブロック数が増加しても、駆動手段の数を低減できる画像形成装置の提供。
【解決手段】コントローラと駆動手段によって複数のノズル列を駆動する駆動パルスを含む1つの駆動波形Pv12が生成出力され、コントローラからは、駆動波形Pv12を、複数のノズル列の内の1つのノズル列用の駆動パルスからなる駆動波形Pv1と1つのノズル列と異なるノズル列用の駆動パルスからなる駆動波形Pv2に切り分けるための分離信号B1、B2とが出力されて、1つのノズル列を駆動するための駆動パルスP11、P21、P31からなる駆動波形Pv1と、1つのノズル列と異なるノズル列を駆動するための駆動パルスP12、P22、P32からなる駆動波形Pv2とが切り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
画像形成装置においては、高画質、高速化を図るためにノズル数が増加する傾向にあり、そのため、すべてのノズルを1つの駆動手段で駆動できないことがある。そこで、ノズル列を複数のブロックに分割して、各ブロック毎に駆動手段を備え、あるいは、複数のノズル列を有する場合に各ノズル列毎に駆動手段を備えることが行われている。
【0005】
例えば、ノズル列を複数のノズル群ブロックに分けて、各ノズル群ブロックをそれぞれ独立に吐出制御する複数の吐出駆動手段が設けられ、吐出駆動手段によりノズル群ブロック単位で同ブロック内のノズルについて同位相の吐出タイミングにより吐出駆動が行われる一方、異なるブロック間では位置ズレに応じた位相差でそれぞれの吐出タイミングを異ならせた吐出駆動が行われるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【0006】
また、1つのヘッド内が複数の駆動ユニットに分割された複数のヘッドを駆動するヘッド駆動手段を備え、このヘッド駆動手段は、駆動波形を生成出力する波形生成部と、この波形生成部からの駆動波形を増幅する複数の電流増幅部とを有し、1つの電流増幅部の出力で異なるヘッドにまたがる複数の駆動ユニットを駆動するものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−083026号公報
【特許文献2】特開2004−195792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したように複数のブロックに分割して各ブロック毎に駆動手段(駆動波形データから駆動波形を生成出力する部分の意味で用いる)を設ける構成にあっては、ノズル数が多くなるに従って分割するブロック数も増加して、駆動手段の数も増加するという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、駆動手段の数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生手段を駆動する駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、1又は2以上のノズル列数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、
前記1つの駆動波形を1又は2以上のノズル列に対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、
前記切り分けられた駆動波形で各ノズル列の圧力発生手段を駆動する
構成とした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生手段を駆動する駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、複数の駆動ブロックに分けられた前記ノズル列の1又は2以上のブロック数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、
前記1つの駆動波形を1又は2以上のブロックに対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、
前記切り分けられた駆動波形で各ブロックの圧力発生手段を駆動する
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、駆動波形生成手段は、1又は2以上のノズル列数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、前記1つの駆動波形を1又は2以上のノズル列に対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、前記切り分けられた駆動波形で各ノズル列の圧力発生手段を駆動する構成としたので、駆動手段の数を低減できる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置によれば、駆動波形生成手段は、複数の駆動ブロックに分けられたノズル列の1又は2以上のブロック数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、1つの駆動波形を1又は2以上のブロックに対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、切り分けられた駆動波形で各ブロックの圧力発生手段を駆動する構成としたので、駆動手段の数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の説明に供するブロック説明図である。
【図2】記録ヘッドの一例を示す平面説明図である。
【図3】コントローラから出力する吐出データ及び制御信号と駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
【図4】駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
【図5】セレクタの説明に供するブロック説明図である。
【図6】駆動波形の切り分け(切り出し)の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態の説明に供するブロック説明図である。
【図8】同じくセレクタのブロック説明図である。
【図9】駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
【図10】駆動波形の切り分けの説明に供する説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態の説明に供するブロック説明図である。
【図12】コントローラから出力する吐出データ及び制御信号並び駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
【図13】駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
【図14】駆動波形の切り分けの説明に供する説明図である。
【図15】本発明を適用した画像形成装置の一例を示す側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同実施形態の説明に供するブロック説明図、図2は記録ヘッドの一例を示す平面説明図である。
記録ヘッド1は、図2に示すように、複数のノズル2が配列された複数(ここでは、4列とする)のノズル列3A、3B、3C、3D(区別しないときは「ノズル列3」という。)を有している。各ノズル列3は、幅が2インチで、ノズル3の配列ピッチ(ノズルピッチ)は150dpiとする。また、この記録ヘッド1では、圧力発生手段として圧電素子10(図1)を使用し、各ノズル列3A〜3Dの各ノズル2に対応する圧電素子10を圧電素子列5A〜5Dとする。
【0016】
図1を参照して、コントローラ101は、内部に格納された駆動波形データを駆動手段102A、102Bに転送し、また、画像データ及び制御信号を記録ヘッド1及びヘッドドライバを含むヘッドユニット100に転送する。
【0017】
駆動手段102A、102Bは、コントローラ101からの駆動波形データをD/A変換器によってD/A変換し、電流増幅器によって増幅して駆動波形Pv12、Pv34として出力する。ここで、駆動手段102Aから生成出力される駆動波形Pv12は、ノズル列3A、3Bに対応する圧電素子列5A、5Bの各圧電素子10を駆動するための駆動波形であり、駆動手段102Bから生成出力される駆動波形Pv34は、ノズル列3C、3Dに対応する圧電素子列5C、5Dの各圧電素子10を駆動するための駆動波形である。
【0018】
この場合、駆動手段102Aとコントローラ101内の駆動波形データを格納した部分及び当該駆動波形データを読み出す部分で1つの駆動波形生成手段が構成され、駆動手段102Aとコントローラ101内の駆動波形データを格納した部分及び当該駆動波形データを読み出す部分で他の1つの駆動波形生成手段が構成される。
【0019】
ヘッドユニット100内には、セレクタ103とアナログスイッチ群104が配置されている。セレクタ103は、コントローラ101からの制御信号を受けて指定されるアナログスイッチ群104のアナログスイッチがON状態になり、ON状態になったアナログスイッチに対応する圧電素子10に駆動波形を構成する所要の駆動信号が印加される。
【0020】
次に、コントローラから出力する2列分のノズル列に対応する吐出データ及び制御信号と駆動手段から出力する駆動波形について図3及び図4を参照して説明する。
コントローラ101からは、計2ビットの吐出データD1、D2と、シフトクロックと、ラッチ信号と、マスク信号M1〜M3と、駆動波形Pv12からノズル列3A用の駆動波形、ノズル列3B用の駆動波形を切り出す(駆動波形Pv12をノズル列3A用の駆動波形とノズル列3B用の駆動波形に切り分ける)ための分離信号B1、B2とが出力される。駆動手段102Aからは、駆動波形Pv12が出力される。
【0021】
ここで、駆動波形Pv12は、図4にも示すように、例えば圧電素子列5Aの圧電素子10を駆動するための駆動信号である駆動パルスP11、P21、P31と、圧電素子列5Bの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP12、P22、P32とを、P11、P12、P21、P22、P31、P32の順に時系列で含む波形である。すなわち、1つの駆動波形Pv12には、2つのノズル列3A、3Bに対応する圧電素子列5A、5Bの各圧電素子10を駆動するための駆動信号(駆動パルス)を含んでいる。なお、図示しないが、駆動波形Pv34も同様に2つのノズル列3C、3Dに対応する圧電素子列5C、5Dの各圧電素子10を駆動するための駆動信号(駆動パルス)を含んでいる。
【0022】
次に、ヘッドユニットのセレクタについて図5のブロック説明図を参照して説明する。
セレクタ103は、コントローラ101からのシフトクロックで吐出データD1、D2をそれぞれロードするシフトレジスタ201a、201bと、コントローラ101からのラッチ信号でシフトレジスタ201a、201bの各レジストデータをラッチするラッチ202a、202bと、ラッチ202a、202bの出力データ(ラッチデータ)とマスク信号M1ないしM3との論理演算をする論理回路203a〜203cと、論理回路203a〜203cの出力の論理演算をする論理回路204と、論理回路204とコントローラ101からの分離信号B1との論理演算をする論理回路205とを有し、論理回路205の出力でアナログスイッチ群104のアナログスイッチASをON/OFFする。なお、コントローラ101の分離信号B1、B2を出力する部分と論理回路205によって複数のノズル列用の駆動信号を含む1つの駆動波形から各ノズル列に対応する駆動信号からなる駆動波形に切り分ける切り分け手段を構成している。
【0023】
ここで、吐出データD1、D2は上述したように4値のデータであり、吐出させる滴の大きさに応じて、次のとおり設定している。
【0024】
【表1】

【0025】
コントローラ101から転送された吐出データD1、D2は、セレクタ103内のシフトレジスタ201a、201bにシフトクロックでロードされる。圧電素子数分の吐出データD1、D2がロードされた後、ラッチ信号によりシフトレジスタ201a、201bにロードされたデータがセレクタ103内のラッチ202a、202bにセットされる。
【0026】
ここで、この例では、ノズル列3の1列当たりのノズル2の数をn個とし、2つのノズル列を1つの駆動波形で駆動するので、1つの駆動波形に対応する圧電素子数は2n個(圧電素子番号1〜2n)となり、シフトレジスタ201a、201bには第1番目から第2n番目までのデータがロードされる。
【0027】
図5のセレクタ103において、シフトレジスタ201aのビット番号[0:2n−1]は圧電素子番号[1:2n]に対応し、吐出データD1、D2の[0:2n−1]は圧電素子番号[1:2n]に対応しているとすると、吐出データD1、D2をデータ(2n−1),データ(2n−2),・・・,データ(0)の順に出力することにより、例えば、ラッチ202aのビット(bit)0が「1」で、ラッチ202bのビット0が「1」のとき、マスク信号M3が「1」で、かつ、分離信号B1が「1」のとき、論理回路205の出力が「1」となってアナログスッチASがON状態になり、第1番目の圧電素子10が駆動波形Pv1の駆動信号によって駆動される。
【0028】
次に、駆動波形の切り分け(切り出し)について図6を参照して説明する。
コントローラ101からは、図6(a)、(b)に示すように、駆動波形Pv12を、ノズル列3A用の駆動パルスからなる駆動波形Pv1とノズル列3B用の駆動パルスからなる駆動波形Pv2に切り分けるための分離信号B1、B2とが出力される。これにより、前述したように、セレクタ103の論理回路205によって、分離信号B1が「1」のときに、同図(c)に示す駆動波形Pv12のうちの駆動パルスP11、P21、P31が出力されるので、同図(d)に示すようにノズル列3Aを駆動するための駆動パルスP11、P21、P31からなる駆動波形Pv1が切り出される。また、分離信号B2が「1」のときに、同図(c)に示す駆動波形Pv12のうちの駆動パルスP12、P22、P32が出力されるので、同図(e)に示すようにノズル列3Bを駆動するための駆動パルスP12、P22、P32からなる駆動波形Pv2が切り出される。
【0029】
このとき、切り出されたノズル列3Aの駆動波形Pv1とノズル列3Bの駆動波形Pv2は位相が異なり、互いの駆動パルスが変化するタイミングが重ならない。これにより、1つの駆動手段102Aで2列のノズル列3A、3Bを駆動しても、ピーク電流は増加しないため、2つのノズル列を駆動することが可能となる。
【0030】
なお、ノズル列3C、3Dを駆動する駆動波形Pv34の切り分け(切り出し)についても上記説明と同様である。
【0031】
このように、駆動波形生成手段は、1又は2以上のノズル列数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、1つの駆動波形を1又は2以上のノズル列に対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、切り分けられた駆動波形で各ノズル列の圧力発生手段を駆動する構成とすることで、駆動手段(D/A変換器及び電流増幅器、電圧増幅器など)の数を低減できる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7は同実施形態の説明に供するブロック説明図、図8はセレクタのブロック説明図である。
本実施形態では、4列のノズル列3A〜3Dを有し、各ノズル列3は幅が1インチでノズルピッチが150dpiのヘッドユニット100を駆動している。ノズル幅が1インチであるため、各列のノズル数は151ノズルである。このようなヘッドユニット100を駆動するとき、2列のノズル列(約300ノズル)を同時に駆動できるため、1つの駆動手段102から生成される1つの駆動波形Pv14から位相の異なる2つの駆動波形Pv12、Pv34に切り分け、それぞれの駆動波形Pv12で2列のノズル列3A、3Bを、駆動波形Pv34で2列のノズル列3C、3Dを駆動することにより、1つの駆動手段102で4列のノズル列3を駆動することができる。
【0033】
つまり、駆動手段102からはノズル列3A〜3Dを駆動するための駆動パルスを含む1つの駆動波形Pv14が出力される。これを前記第1実施形態と同様に、分離信号B1、B2とセレクタ103によって、2つの駆動波形Pv12とPv34に切り分ける。なお、図8に示すセレクタ103と前記図5で説明したセレクタ103との違いは、シフトレジスタ201a、201b及びラッチ202a、202bのビット番号が異なるだけである。ただし、図5ではnの数が約300に対して図8ではnの数が約150となるため実質的には同じである。
【0034】
ここで、本実施形態における駆動波形とその切り分け(切り出し)について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図、図10は駆動波形の切り分けの説明に供する説明図である。
コントローラ101の駆動波形データから駆動手段102によって、図9に示すように、圧電素子列5A、5Bの圧電素子10を駆動するための駆動信号である駆動パルスP112、P212、P312と、圧電素子列5C、5Dの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP134、P234、P334とを、交互に順に時系列で含む駆動波形が出力される。すなわち、1つの駆動波形Pv14には、4つのノズル列3A〜3Dに対応する圧電素子列5A〜5Dの各圧電素子10を2列のノズル列を1つの単位として駆動するための駆動信号(駆動パルス)を含んでいる。つまり、ここでは、1つの駆動波形に4列のノズル列を駆動する駆動信号を含んでいる。
【0035】
そして、コントローラ101からは、図10(a)、(b)に示すように、駆動波形Pv14を、ノズル列3A、3B用の駆動パルスからなる駆動波形Pv12とノズル列3B、3D用の駆動パルスからなる駆動波形Pv34に切り分けるための分離信号B1、B2とが出力される。これにより、セレクタ103の論理回路205によって、分離信号B1が「1」のときに、同図(c)に示す駆動波形Pv14のうちの駆動パルスP112、P212、P312が出力されるので、同図(d)に示すようにノズル列3A、3Bを駆動するための駆動パルスP112、P212、P312からなる駆動波形Pv12が切り出される。また、分離信号B2が「1」のときに、同図(c)に示す駆動波形Pv14のうちの駆動パルスP134、P234、P334が出力されるので、同図(e)に示すようにノズル列3C、3Dを駆動するための駆動パルスP134、P234、P334からなる駆動波形Pv34が切り出される。
【0036】
このとき、切り出されたノズル列3A、3Bの駆動波形Pv12とノズル列3C、3Dの駆動波形Pv34は位相が異なり、互いの駆動パルスが変化するタイミングが重ならない。これにより、1つの駆動手段102で4列のノズル列3A〜3Dを駆動しても、ピーク電流は増加しないため、4つのノズル列を駆動することが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供するブロック説明図、図12はコントローラから出力する吐出データ及び制御信号並び駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図である。
本実施形態では、4列のノズル列3A〜3Dを有し、各ノズル列3は幅が2インチでノズルピッチが150dpiのヘッドユニット100を駆動している。ノズル幅が2インチであるため、各列のノズル数は約300ノズルである。このようなヘッドユニット100を駆動するとき、1列のノズル列(約300ノズル)を同時に駆動できるため、1つの駆動手段102から生成される1つの駆動波形Pv0から位相の異なる4つの駆動波形Pv1、Pv2、Pv3、Pv4に切り分け、それぞれの駆動波形Pv1でノズル列3Aを、駆動波形Pv2でノズル列3Bを、駆動波形Pv3でノズル列3Cを、駆動波形Pv4でノズル列3Dを駆動することにより、1つの駆動手段102で4列のノズル列3を駆動することができる。
【0038】
つまり、図12に示すように、駆動手段102からはノズル列3A〜3Dを駆動するための駆動パルスを含む1つの駆動波形Pv0が出力される。これを、コントローラ101から出力する4つの分離信号B1〜B4とセレクタ103によって、4つの駆動波形Pv1〜Pv4に切り分ける。
【0039】
ここで、本実施形態における駆動波形とその切り分け(切り出し)について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は駆動手段から出力する駆動波形の説明に供する説明図、図14は駆動波形の切り分けの説明に供する説明図である。
コントローラ101の駆動波形データから駆動手段102によって、図13に示すように、圧電素子列5Aの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP11、P21、P31と、圧電素子列5Bの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP12、P22、P32と、圧電素子列5Cの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP13、P23、P33と、圧電素子列5Dの圧電素子10を駆動するための駆動パルスP14、P24、P34とを、交互に順に時系列で含む駆動波形Pv0が出力される。すなわち、1つの駆動波形Pv0には、4つのノズル列3A〜3Dに対応する圧電素子列5A〜5Dの各圧電素子10を各ノズル列をそれぞれ1つの単位として駆動するための駆動信号(駆動パルス)を含んでいる。つまり、ここでは、1つの駆動波形に4列のノズル列を駆動する駆動信号を含んでいる。
【0040】
そして、コントローラ101からは、図14(a)〜(d)に示すように、駆動波形Pv0を、ノズル列3A用の駆動パルスからなる駆動波形Pv1と、ノズル列3B用の駆動パルスからなる駆動波形Pv2と、ノズル列3C用の駆動パルスからなる駆動波形Pv3と、ノズル列3D用の駆動パルスからなる駆動波形Pv4とに切り分けるための分離信号B1〜B4が出力される。
【0041】
これにより、セレクタ103の論理回路205によって、分離信号B1が「1」のときに、同図(e)に示す駆動波形Pv0のうちの駆動パルスP11、P21、P31が出力されるので、同図(d)に示すようにノズル列3Aを駆動するための駆動パルスP11、P21、P31からなる駆動波形Pv1が切り出される。また、分離信号B2が「1」のときに、同図(e)に示す駆動波形Pv0のうちの駆動パルスP12、P22、P32が出力されるので、同図(g)に示すようにノズル列3Bを駆動するための駆動パルスP12、P22、P32からなる駆動波形Pv2が切り出される。分離信号B3が「1」のときに、同図(e)に示す駆動波形Pv0のうちの駆動パルスP13、P23、P33が出力されるので、同図(h)に示すようにノズル列3Cを駆動するための駆動パルスP13、P23、P33からなる駆動波形Pv3が切り出される。分離信号B4が「1」のときに、同図(e)に示す駆動波形Pv0のうちの駆動パルスP14、P24、P34が出力されるので、同図(i)に示すようにノズル列3Dを駆動するための駆動パルスP14、P24、P34からなる駆動波形Pv4が切り出される。
【0042】
このとき、切り出されたノズル列3A〜3Dの駆動波形Pv1〜Pv4はそれぞれ位相が異なり、互いの駆動パルスが変化するタイミングが重ならない。これにより、1つの駆動手段102で4列のノズル列3A〜3Dを駆動しても、ピーク電流は増加しないため、4つのノズル列を駆動することが可能となる。
【0043】
次に、本発明を適用した画像形成装置の一例について図15を参照して説明する。なお、図15は同装置の側面説明図である。
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402等を有し、装置本体401の下方側に多数枚の記録媒体(用紙)403を積載可能な給紙トレイ404を備え、この給紙トレイ404から給紙される用紙403を取り込み、搬送機構405によって用紙403を搬送しながら画像形成部402によって所要の画像を記録した後、装置本体401の側方に装着された排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0044】
また、装置本体401に対して着脱可能な両面ユニット407を備え、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しながら両面ユニット407内に取り込み、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構405に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ406に用紙403を排紙する。
【0045】
ここで、画像形成部402は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C),ブラック(K)の各色の液滴を吐出する、ライン型の4個の本発明に係る液体吐出ヘッドと当該液体吐出ヘッドにインクを供給するサブタンクを一体化して構成した記録ヘッド411y、411m、411c、411k(色を区別しないときには「記録ヘッド411」という。)を備え、各記録ヘッド411は液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けてヘッドホルダ413に装着している。
【0046】
なお、1つの記録ヘッド411は、複数のサブタンク一体型の本発明に係る液体吐出ヘッドをベース部材に所定の位置関係で配列して構成しているが、1つのフルライン型液体吐出ヘッドで構成することもできる。
【0047】
また、各記録ヘッド411に対応してヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412y、412m、412c、412k(色を区別しないときには「維持回復機構412」という。)を備え、パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412を構成するキャッピング部材などを対向させる。
【0048】
給紙トレイ404の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体401内に給紙され、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿ってレジストローラ425と搬送ベルト433との間に送り込まれ、所定のタイミングでガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に送り込まれる。
【0049】
また、搬送ガイド部材443には両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bも形成されている。更に、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内するガイド部材427も配置している。
【0050】
搬送機構405は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト433と、この搬送ベルト433を帯電させるための帯電ローラ434と、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持するプラテン部材435と、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付ける押さえコロ436と、その他図示しないが、搬送ベルト433に付着した記録液(インク)を除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなどを有している。なお、搬送機構としては例えばエアー吸引によって搬送ベルトに被記録媒体を吸着させるものなども使用できる。
【0051】
この搬送機構405の下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438及び拍車439を備えている。
【0052】
このように構成した画像形成装置において、搬送ベルト433は矢示方向に周回移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電され、帯電した搬送ベルト433上に用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト433に強力に吸着した用紙403は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。
【0053】
そして、搬送ベルト433を周回させて用紙403を移動させ、記録ヘッド411から液滴を吐出することで、用紙403上に所要の画像が形成され、画像が記録された用紙403は排紙ローラ438によって排紙トレイ406に排紙される。
【0054】
なお、上記実施形態では、複数のノズル列を有する場合に、1又は複数のノズル列単位の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成する例で説明しているが、1つのノズル列を複数のブロックに分割して、1又は複数のブロック単位の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成する場合も、上記説明の1ノズル列を1ブロックとすることで同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 記録ヘッド
2 ノズル
3A〜3D ノズル列
5A〜5D 圧電素子列
10 圧電素子
100 ヘッドユニット
101 コントローラ
102、102A、102B 駆動手段
103 セレクタ
104 アナログスイッチ群
201a、201b シフトレジスタ
202a、202b ラッチ
205 論理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生手段を駆動する駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、1又は2以上のノズル列数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、
前記1つの駆動波形を1又は2以上のノズル列に対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、
前記切り分けられた駆動波形で各ノズル列の圧力発生手段を駆動する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生手段を駆動する駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、複数の駆動ブロックに分けられた前記ノズル列の1又は2以上のブロック数分の駆動信号を含む1つの駆動波形を生成出力し、
前記1つの駆動波形を1又は2以上のブロックに対応する複数の駆動波形に切り分ける手段を備え、
前記切り分けられた駆動波形で各ブロックの圧力発生手段を駆動する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−131099(P2012−131099A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284603(P2010−284603)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】