説明

画像形成装置

【課題】メモリの無駄が生じることなく、消費電力をさらに削減する。
【解決手段】複合機Aは、DRAM31a〜31hと、DRAM31a〜31hに電力を供給する第1のDC/DCコンバータ32と、DRAM31a〜31hに電力を供給し、第1のDC/DCコンバータ32よりも低い電力で変換効率がよい第2のDC/DCコンバータ33a〜33dと、DRAM31a〜31hを予め定められた単位に区分して管理し、通常モード時には、DRAM31a〜31hに向けて第1のDC/DCコンバータ32に電力を供給させ、省電力モード時には、DRAM31a〜31hに向けて第2のDC/DCコンバータ33a〜33dに電力を供給させるとともに、DRAM31a〜31hの未使用の区分に対する電力の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機及び複合機などの画像形成装置は、環境意識の高まりによって更なる省電力化が望まれている。しかしながら、その省電力化の阻害要因となっているのが、メモリの大容量化である。画像形成装置におけるメモリは、オペレーティングシステム(OS)及び各アプリケーションプログラムのワークエリア、画像処理及び外部インターフェイスの入出力データの一時的な記憶領域として共有されており、機能の増加に伴って大容量化している。上位機では、機能の並行処理が多くなるので、メモリがさらに大容量化している。画像形成装置では、この大容量化に伴って増加したメモリの消費電力を削減する必要がある。
【0003】
下記特許文献1には、イメージスキャナやプリンタの入出力用の画像処理エリアとして使用される第1の共有メモリと、送信/受信の画像処理エリアとして使用される第2の共有メモリとの2つの共有メモリを備え、これらのうちの第1の共有メモリに対する電源制御を行うファクシミリ装置が開示されている。このファクシミリ装置は、待機状態のときに、第2共有メモリと起動検知に関する部分以外への電力供給をオフにすることで待機時の消費電力を削減する。また、下記特許文献2には、動作モードや電流検知に基づいて複数のDC/DCコンバータから変換効率のよいものに切り替える電源装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−331345号公報
【特許文献2】特開2004−12868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の装置は、第1の共有メモリが不足しても第2の共有メモリを利用したり、またその逆もできないので、システムに応じて十分な容量のそれぞれの共有メモリを確保する必要があり、無駄が多いという問題がある。さらに、上記特許文献2に記載の装置は、動作モードや電流検知に基づいて変換効率のよいDC/DCコンバータに切り替えているが、電力供給先がメモリである場合に、メモリの使用状況を考慮した電力供給を実現できるわけではないので、メモリの消費電力という観点から改善の余地が残されている。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、メモリの無駄が生じることなく、消費電力をさらに削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、メモリと、前記メモリに電力を供給する第1のDC/DCコンバータと、前記メモリに電力を供給し、前記第1のDC/DCコンバータよりも低い電力で変換効率がよい第2のDC/DCコンバータと、前記メモリを予め定められた単位に区分して管理し、通常モード時には、前記メモリに向けて前記第1のDC/DCコンバータに電力を供給させ、省電力モード時には、前記メモリに向けて前記第2のDC/DCコンバータに電力を供給させるとともに、前記メモリの未使用の前記区分に対する電力の供給を停止する制御手段とを具備するという手段を採用する。
【0008】
本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第2のDC/DCコンバータは、前記メモリの前記区分毎に設けられ、前記制御手段は、前記省電力モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に対応した前記第2のDC/DCコンバータに電力の供給を停止させるという手段を採用する。
【0009】
本発明では、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記第2のDC/DCコンバータと、前記メモリの前記区分各々とを接続する各電力線にスイッチが設けられ、前記制御手段は、前記省電力モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に接続される電力線に設けられた前記スイッチをオフ状態にするという手段を採用する。
【0010】
本発明では、画像形成装置に係る第4の解決手段として、上記第1〜第3のいずれか1つの解決手段において、前記第1のDC/DCコンバータは、前記メモリの前記区分毎に設けられ、前記制御手段は、前記通常モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に対応した前記第1のDC/DCコンバータに電力の供給を停止させるという手段を採用する。
【0011】
本発明では、画像形成装置に係る第5の解決手段として、上記第1〜第4のいずれか1つの解決手段において、前記制御手段は、動的に前記メモリの使用領域の割り当てを変更し、使用領域が割り当てられていない未使用の前記区分の電力の供給を停止するという手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、用途に応じて複数のメモリを設けないので、用途に応じて設けられたメモリそれぞれに十分な容量を確保することによるメモリの無駄が生じることがない。また、本発明は、省電力モード時、メモリの未使用の前記区分に対する電力の供給を停止するので、メモリの消費電力を従来よりも削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における共有メモリ部3の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態におけるCPU8によって管理されるメモリ空間の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態における第1のDC/DCコンバータ32の変換効率(a)と、第2のDC/DCコンバータ33a〜33dの変換効率(b)とを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態におけるDRAM31a〜31hの電力供給停止の様子を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る複合機Aは、コピー機能、プリント機能、スキャン機能、ファクシミリ送信受信機能及び電子メール送信機能を併せ持つ画像形成装置である。このような複合機Aは、図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、共有メモリ部3、画像処理部4、用紙搬送画像形成部5、通信部6、ROM(Read Only Memory)7、CPU(Central Processing Unit)8を備える。
【0015】
操作表示部1は、操作キー11及びタッチパネル12を備えており、ユーザと複合機Aとを関係付けるマンマシンインタフェースとして機能する。操作表示部1は、押下された操作キー11またはタッチパネル12に表示された操作ボタンの操作指示をCPU8に出力するとともに、CPU8の制御信号に基づいてタッチパネル12に種々の画面を表示する。
【0016】
画像読取部2は、CPU8から入力される制御信号に基づいてADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の画像(原稿画像)をラインセンサで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを共有メモリ部3に出力する。
【0017】
共有メモリ部3は、複合機Aの各種機能(コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能等)で共有されるメモリである。具体的に、共有メモリ部3は、複合機Aに搭載されたOSや常駐状態にあるアプリケーションプログラム(OSと同時に起動し、そのまま常に起動しているプログラム)のワークエリアとして用いられる。また、共有メモリ部3は、原稿画像データ、通信部6がクライアントコンピュータから受信したプリント画像データ及び通信部6が電話回線から受信したファクシミリ画像データを一時的に記憶するワークエリアとしても用いられ、これら画像データを読み出して画像処理部4に出力する。なお、共有メモリ部3の詳細については後述する。
【0018】
画像処理部4は、CPU8から入力される制御信号に基づいて、共有メモリ部3から入力される画像データに対して各種画像処理(例えば、拡大縮小コピーに対応した画像処理)を施すとともに、画像データを画像形成形式の画像データに変換、すなわち光の三原色に対応したRGB画像データ(カラー画像データ)をY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)及びK(ブラック)を基準色とするYMCK画像データに変換して用紙搬送画像形成部5に出力する。
【0019】
用紙搬送画像形成部5は、プリントエンジン(感光ドラム、帯電器、現像装置及び定着ローラなど)、給紙ローラ及び排紙ローラなどを備える。用紙搬送画像形成部5は、CPU8の制御信号に基づいて給紙カセット(図示略)から記録用紙を給紙ローラで搬送し、画像処理部4から入力された画像データに基づく画像を記録用紙に転写するとともに定着させ、当該記録用紙を排紙ローラによって排紙トレイ(図示略)に排出する。
【0020】
通信部6は、CPU8の制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またローカルエリアネットワークを介してクライアントコンピュータなどと通信を行うものである。すなわち、この通信部6は、イーサネット(登録商標)などのLAN規格に準拠した通信機能と、G3などのファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。通信部6は、例えば、電子メールの送信またはファクシミリの送受信を行うことができる。
【0021】
ROM7は、複合機Aに搭載されるOS(オペレーティングシステム)、複合機Aの各種機能(コピー機能、プリント機能、ファクシミリ送信/受信機能等)を実現するアプリケーションプログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。なお、アプリケーションプログラム等の容量が大きな場合には、ROM7に代えてハードディスク等の外部記憶装置を備えていてもよい。
【0022】
CPU8は、ROM7に記憶されている制御プログラム(アプリケーションプログラム)に基づき、操作表示部1が受け付ける操作指示及び通信部6が外部のクライアントコンピュータなどから受信する各種指示に応じて複合機Aの全体動作を制御する。例えば、画像読取部2による画像データの読み取り制御、あるいは、共有メモリ部3に記憶されている原稿画像データ、プリント画像データ、及びファクシミリ画像データ等の各種画像データのプリント制御や送信制御を行う。
【0023】
また、CPU8は、共有メモリ部3を管理するとともに、複合機Aの各部を制御して消費電力の低減を図る。例えば、ユーザによる操作表示部1の操作が一定時間行われない場合、あるいは通信部6がクライアントコンピュータなどからの指示を受信しない場合に、操作表示部1、画像読取部2、共有メモリ部3、画像処理部4及び用紙搬送画像形成部5などを省電力モードに移行させることによって、待機時の消費電力を低減している。本実施形態において、複合機Aは共有メモリ部3の消費電力を低減する点を特徴としているが、その詳細については後述する。
【0024】
次に、共有メモリ部3について詳細に説明する。共有メモリ部3は、図2に示すように、DRAM31a〜31h(メモリ)、第1のDC/DCコンバータ32、第2のDC/DCコンバータ33a〜33b及び電力制御部34を備えており、CPU8の制御の下で各種データの書き込み及び読み出しを行う。なお、DRAM31a〜31hは、本実施形態におけるメモリである。また、CPU8及び電力制御部34は、本実施形態における制御手段を構成する。
【0025】
DRAM31a〜31hは、例えばセルフリフレッシュ機能をするSDRAM(Synchronous DRAM)等の揮発性メモリである。なお、本実施形態において、DRAM31a〜31hは、パッケージングされたDRAMチップであるとする。上記セルフリフレッシュ機能とは、DRAMの外部に設けられたリフレッシュ回路を用いずに、DRAMに内蔵された回路を用いてリフレッシュを行う機能であり、図2では図示を省略しているがCPU8の制御の下で実行される。このセルフリフレッシュ機能を用いることで、ある程度の消費電力を削減できる。
【0026】
また、DRAM31a〜31hは、予め定められた単位に区分、つまり、図2に示すように、2つのDRAMを単位として4つに区分されている。具体的には、DRAM31a,31bが含まれる区分D1と、DRAM31c,31dが含まれる区分D2と、DRAM31e,31fが含まれる区分D3と、DRAM31g,31hが含まれる区分D4とに区分されている。このようにDRAM31a〜31hを区分するのは、DRAM31a〜31hに対する電力の供給及び停止を区分毎に制御することで、待機時における消費電力を削減するためである。なお、DRAM31a〜31hの容量は、複合機Aで必要となるメモリ容量とDRAMの数に応じて適宜設定される。
【0027】
CPU8は、このようなDRAM31a〜31hを、図3に示すように、1つのメモリ空間に統合して管理する。図3において、領域M1は区分D1に含まれるDRAM31a,31bが配置される領域であり、領域M2は区分D2に含まれるDRAM31c,31dが配置される領域である。また、領域M3は区分D3に含まれるDRAM31e,31fが配置される領域であり、領域M4は区分D4に含まれるDRAM31g,31hが配置される領域である。これらの領域M1〜M4は、アドレスが小さな下位側からアドレスが大きな上位側に順に連続するように配置されている。
【0028】
CPU8は、メモリ空間においてメモリの使用領域(例えば、ワークエリア)が連続したものとなるように使用領域の割り当てを行う。また、CPU8は、メモリ空間のアドレスに応じた優先度を設定してDRAM21a〜21hを管理する。例えば、CPU8は、常駐状態で使用される領域に、高い優先度が設定されたアドレス(即ち、アドレスが小さな下位側)のメモリ空間を割り当て、一時的に使用される領域に、低い優先度が設定されたアドレス(即ち、アドレスが大きな上位側)のメモリ空間を割り当てる。
【0029】
ここで、常駐状態で使用される領域は、例えばOSや常駐状態にあるアプリケーションプログラムのワークエリアとして用いられる領域であり、一時的に使用される領域は、例えば通信部6が電話回線から受信するファクシミリ画像データを一時的に記憶するワークエリアとして用いられる領域である。
【0030】
さらに、CPU8は、メモリ空間に割り当てた使用領域に連続しない空き領域(以下、隙間領域と称す)が生じた場合には、その隙間領域よりも低い優先度が設定されたアドレス(即ち、アドレスが大きな上位側)に割り当てられている使用領域を隙間領域に割り当てる。このような制御を行うのは、待機時における共有メモリ部3の消費電力を削減するためである。
【0031】
図2に戻り、第1のDC/DCコンバータ32は、電力制御部34の制御の下、通常モード時に、電源から供給される電力の電圧変換を行い、DRAM31a〜31hに供給するものである。第1のDC/DCコンバータ32は、大電力の供給が可能であり、高負荷時、つまり第2のDC/DCコンバータ33a〜33dよりも高い電力で変換効率がよい。第1のDC/DCコンバータ32は、例えば、図4(a)に示すように、1.8V固定出力のものであれば、1A程度で変換効率が85%を上回り、10mA程度で変換効率が約75%になる。
【0032】
第2のDC/DCコンバータ33a〜33dは、区分D1〜D4毎に設けられ、電力制御部34の制御の下、省電力モード時に、電源から供給される電力の電圧変換を行い、区分D1〜D4毎に電力を供給する。第2のDC/DCコンバータ33a〜33dは、低負荷時、つまり第1のDC/DCコンバータ32よりも低い電力で変換効率がよい。第2のDC/DCコンバータ33a〜33dは、例えば、図4(b)に示すように、100mA程度で変換効率が約90%になる。
【0033】
電力制御部34は、DRAM31a〜31hを上記区分D1〜D4で管理し、CPU8の制御の下、DRAM31a〜31hに対する電力の供給を区分D1〜D4毎に制御する。具体的に、電力制御部34は、省電力モード時、1つの区分に含まれるDRAMの全てが使用されていない状況である場合に、その区分に含まれるDRAMに対する電力の供給を停止する制御を行う。電力制御部34は、例えば、区分D3に含まれるDRAM31e,31fの双方が全く使用されていない状況であれば、その区分D3に含まれるDRAM31e,31fに対する電力の供給を停止するように第2のDC/DCコンバータ33cを制御する。
【0034】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る複合機Aの動作について図5を参照して詳しく説明する。
CPU8は、通常モード時に、省電力モード移行の条件が整った場合(ユーザによる操作表示部1の操作が一定時間なされない場合、あるいは、通信部6がクライアントコンピュータからの指示が一定時間受信しない場合)に、通常モードから省電力モードへの移行動作を開始する(ステップS1)。CPU8は、ステップS1において省電力状態への移行動作を開始すると、管理しているメモリ空間の空き領域を検索し(ステップS2)、隙間領域(連続しない空き領域)が有るか否か判定する(ステップS3)。
【0035】
ここで、図6を参照して、メモリ空間の領域M1〜M4にわたってOSのワークエリアW1、常駐状態にあるアプリケーションプログラムのワークエリアW2、画像形成部17で用いられるワークエリアW3及び通信部6で受信されるファクシミリ画像データを受信するワークエリアW4が連続して割り当てられている場合を考える。
【0036】
CPU8は、このような場合に、領域M1〜M4の全てに使用領域が割り当てられており、かつメモリ空間に隙間領域が存在しないので、ステップS3において『NO』と判定する。そして、CPU8は、領域M1〜M4に配置されたDRAM21a〜21hをセルフリフレッシュモードに移行させる(ステップS4)。CPU8は、ステップS4が完了すると、自身を省電力状態に移行する(ステップS5)とともに、DC/DCコンバータの切り替え指示を電力制御部34に出力する。電力制御部34は、ステップS5の後に、電力の供給元を第1のDC/DCコンバータ32から第2のDC/DCコンバータ33a〜33dに切り替え(ステップS6)、これにより省電力状態への移行が完了する。
【0037】
CPU8は、これに対し、図6(b)に示すように、図6(a)に示す連続的に割り当てられたワークエリアW1〜W4のうちのワークエリアW3が開放されて隙間領域が生じている場合に、ステップS3において『YES』と判定する。そして、CPU8は、動的に使用領域(区分)の割り当てを変更する処理を行う(ステップS7)。具体的には、CPU8は、図6(b)に示すワークエリアW4(隙間領域よりも低い優先度が設定されたアドレスに割り当てられているワークエリア)を、図6(c)に示すように、ワークエリアW2に連続するように、隙間領域に割り当てる。
【0038】
以上の処理が終了すると、図6(c)に示すように、メモリ空間の領域M4に使用領域が割り当てられていない、すなわち領域M4(区分D4)が未使用状態になる。そして、CPU8は、ステップS4において、領域M1〜M4に配置されたDRAM21a〜21hをセルフリフレッシュモードに移行させる。CPU8は、ステップS4が完了すると、ステップS5において、自身を省電力状態に移行する。この際、CPU8は、DC/DCコンバータの切り替え指示を電力制御部34に出力するが、それとともに領域M4に配置された区分D4に含まれるDRAM21g,21hへの電力供給の停止指示も電力制御部34に出力する。
【0039】
電力制御部34は、ステップS5の後に、ステップS6において、電力の供給元を第1のDC/DCコンバータ32から第2のDC/DCコンバータ33a〜33dに切り替えるとともに、第2のDC/DCコンバータ33dを制御し、未使用の領域M4に配置された区分D4に含まれるDRAM21g,21hへの電力供給を停止させ、これにより省電力状態への移行が完了する。
【0040】
なお、省電力状態移行時に図6(c)中のワークエリアW4も開放されている場合には、図6(d)に示すように、メモリ空間の領域M3,M4に使用領域が割り当てられていない状態になる。電力制御部34は、この状態の場合には、ステップS6において領域M4に配置された区分D4に含まれるDRAM31g,31hへの電力供給を停止させる。
【0041】
以上のように、本実施形態では、OSや常駐状態にあるアプリケーションプログラムのワークエリアや、画像データを一時的に記憶するワークエリアそれぞれの用途に応じて複数のメモリを設けないので、用途に応じて設けられたメモリそれぞれに十分な容量を確保することによるメモリの無駄が生じることがない。また、本発明は、省電力モード時、DRAMの未使用の領域(区分)に対する電力の供給を停止するので、DRAMの消費電力を従来よりも削減することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、8つのDRAM31a〜31hが2つを単位として4つの区分D1〜D4に区分されている例について説明したが、共有メモリ部3に設けられるメモリを区分する単位及びその区分の仕方は任意である。
【0043】
(2)上記実施形態では、2つのDRAMチップを単位として区分する例について説明したが、複数のDRAMチップを有するSIMM(Single In-line Memory Module)やDIMM(Dual Inline Memory Module)等のメモリモジュールを単位として区分してもよい。また、本発明における第2のDC/DCコンバータは区分毎に設ければよく、上記実施形態のように4つに限るものではない。
【0044】
(3)上記実施形態では、区分D1〜D4毎に第2のDC/DCコンバータ33a〜33dを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、区分D1〜D4に対して1つ(または複数)の第2のDC/DCコンバータを接続し、第2のDC/DCコンバータと、区分D1〜D4各々とを接続する各電力線にスイッチが設けらる。そして、電力制御部34は、CPU8の制御の下、省電力モード時には、区分D1〜D4の未使用の区分に接続される電力線に設けられたスイッチをオフ状態にして、電力供給を停止するようにしてもよい。
【0045】
(3)上記実施形態では、区分D1〜D4に対して1つの第1のDC/DCコンバータ32を設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2のDC/DCコンバータ33a〜33dのように、区分D1〜D4毎に第1のDC/DCコンバータを設けるようにしてもよい。これにより、電力制御部34は、CPU8の制御の下、通常モード時であっても、第1のDC/DCコンバータを制御することにより、区分D1〜D4の未使用の区分に対する電力供給の停止を実行できる。
【符号の説明】
【0046】
A…複合機、1…操作表示部、2…画像読取部、3…共有メモリ部、4…画像処理部、5…用紙搬送画像形成部、6…通信部、7…ROM 、8…CPU、31a〜31h…DRAM、32…第1のDC/DCコンバータ、33a〜33d…第2のDC/DCコンバータ、34…電力制御部、D1〜D4…区分、M1〜M2…領域






【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと、
前記メモリに電力を供給する第1のDC/DCコンバータと、
前記メモリに電力を供給し、前記第1のDC/DCコンバータよりも低い電力で変換効率がよい第2のDC/DCコンバータと、
前記メモリを予め定められた単位に区分して管理し、通常モード時には、前記メモリに向けて前記第1のDC/DCコンバータに電力を供給させ、省電力モード時には、前記メモリに向けて前記第2のDC/DCコンバータに電力を供給させるとともに、前記メモリの未使用の前記区分に対する電力の供給を停止する制御手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のDC/DCコンバータは、前記メモリの前記区分毎に設けられ、
前記制御手段は、前記省電力モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に対応した前記第2のDC/DCコンバータに電力の供給を停止させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2のDC/DCコンバータと、前記メモリの前記区分各々とを接続する各電力線にスイッチが設けられ、
前記制御手段は、前記省電力モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に接続される電力線に設けられた前記スイッチをオフ状態にすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のDC/DCコンバータは、前記メモリの前記区分毎に設けられ、
前記制御手段は、前記通常モード時には、前記メモリの未使用の前記区分に対応した前記第1のDC/DCコンバータに電力の供給を停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、動的に前記メモリの使用領域の割り当てを変更し、使用領域が割り当てられていない未使用の前記区分の電力の供給を停止すること特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−131202(P2012−131202A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287310(P2010−287310)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】