説明

画像形成装置

【課題】定着部に搬送される前にトナー画像が形成される用紙を予熱する。
【解決手段】搬送路901,902,903で搬送された用紙は画像形成部2で画像が形成され、定着部11で定着処理がされる。両面印刷時において、定着処理された用紙がスイッチバックされて搬送路905に送られ、反転されて搬送路902に送られる。熱伝導ローラ22は画像形成部2より上流側に配置されている。搬送路901,902,903で搬送される用紙P2の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、搬送路905で搬送される用紙P1の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くなるように、用紙P1,P2を搬送するタイミングが制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙に形成されたトナー画像を加熱により定着させる方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、定着部と、トナー画像が転写された用紙を定着部に搬送する記録媒体搬送ベルトと、定着部で定着処理された用紙から熱を吸収するヒートパイプと、ヒートパイプで吸収された熱を記録媒体搬送ベルトに伝導する熱輸送ベルトと、を備えたものがある(例えば特許文献1参照)。この画像形成装置によれば、定着処理された用紙の熱を記録媒体搬送ベルトに伝導できるので、記録媒体搬送ベルトで搬送されているトナー画像が転写された用紙に対して定着部へ送る前に予熱することができる。従って、定着部において定着に必要な熱を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−20824号公報(段落0050〜段落0059)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体搬送ベルトはカラー機に備えられるものである。上記特許文献に記載の技術によれば、定着処理された用紙に含まれる熱を記録媒体搬送ベルトに伝導して、このベルト上でトナー画像が転写された用紙を予熱しているので、モノクロ機では適用しにくい問題がある。
【0005】
本発明は、定着部に搬送される前にトナー画像が形成される用紙を予熱することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、第1の搬送路と、前記第1の搬送路に配置されており、前記第1の搬送路で搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部より下流側で前記第1の搬送路に配置されており、前記第1の搬送路で搬送されてきた前記トナー画像が形成された前記用紙を、加熱して前記トナー画像を前記用紙に定着させる定着部と、第2の搬送路と、給紙部からの前記用紙を、前記第1の搬送路へ送り、前記第1の搬送路で搬送させて前記画像形成部及び前記定着部に送り、両面印刷時において、定着処理された前記用紙をスイッチバックさせて前記第2の搬送路に送り、前記第2の搬送路で搬送されてきた前記用紙を反転させて前記第1の搬送路に送る用紙送り手段と、前記用紙送り手段により前記第1の搬送路で搬送される一方の用紙と前記第2の搬送路で搬送される他方の用紙との両方に接触した状態をとることが可能に、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路との間で前記定着部より上流側に配置された熱伝導部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、第1の搬送路で搬送される一方の用紙と第2の搬送路で搬送される他方の用紙との両方に接触した状態をとることが可能に、第1の搬送路と第2の搬送路との間で定着部より上流側に熱伝導部材を配置している。このため、両面印刷時において、定着処理された他方の用紙が第2の搬送路で搬送されている際に、その用紙に含まれる熱が熱伝導部材に伝導する。よって、熱伝導部材を介してその用紙に含まれる熱を第1の搬送路で搬送されている一方の用紙に伝導させることができる。従って、第1の搬送路で搬送されている一方の用紙を定着部に送る前に予熱することができる。そして、本発明によれば、熱伝導部材を第1の搬送路と第2の搬送路との間に配置している構成なので、両面印刷のためのスイッチバック機構を有するモノクロ機に対して容易に適用することができる。
【0008】
上記構成において、前記両面印刷される一方の用紙と他方の用紙において、前記第1の搬送路で搬送される前記一方の用紙の先端が前記熱伝導部材に到達するタイミングを、前記第2の搬送路で搬送される前記他方の用紙の先端が前記熱伝導部材に到達するタイミングより遅くなるように、前記一方の用紙及び前記他方の用紙を前記用紙送り手段によって搬送するタイミングを制御するタイミング制御部を含む。
【0009】
この構成によれば、第1の搬送路で搬送される一方の用紙の先端が熱伝導部材に到達するタイミングを、第2の搬送路で搬送される他方の用紙の先端が熱伝導部材に到達するタイミングより遅くなるようにされている。よって、第2の搬送路で搬送される定着処理された他方の用紙に含まれる熱が熱伝導部材に伝導された後に、第1の搬送路で搬送される一方の用紙が熱伝導部材に到達する。従って、一方の用紙の全体にむらなく熱を伝導させることができる。
【0010】
上記構成において、前記熱伝導部材は複数あり、前記タイミング制御部は、前記第1の搬送路で搬送される前記一方の用紙の先端が、前記複数の熱伝導部材のうち前記第1の搬送路における最も上流側の熱伝導部材に到達するタイミングを、前記第2の搬送路で搬送される前記他方の用紙の先端が当該最も上流側の熱伝導部材に到達するタイミングより遅くなるように、前記一方の用紙及び前記他方の用紙を前記用紙送り手段によって搬送するタイミングを制御する。
【0011】
この構成によれば、複数の熱伝導部材の全てに熱が伝導された状態で、第1の搬送路で搬送される一方の用紙に熱を伝導させることができる。従って、複数の熱伝導部材を備える構成において、一方の用紙の全体にむらなく熱を伝導させることができる。
【0012】
上記構成において、前記熱伝導部材は熱伝導ローラを含む。
【0013】
この構成によれば、第2の搬送路で搬送されている定着処理された他方の用紙が熱伝導ローラに接触した箇所を、熱伝導ローラの回転により、一方の用紙と接触させることができる。従って、第2の搬送路で搬送されている定着処理された他方の用紙に含まれる熱を、迅速に第1の搬送路で搬送されている一方の用紙に伝導させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、定着部に搬送される前にトナー画像が形成される用紙を予熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタの内部構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示すプリンタの電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示すプリンタの内部構成において、定着部へ搬送される用紙P2の先端が熱伝導ローラに到達するタイミングを、スイッチバックされて搬送される用紙P1の先端がその熱伝導ローラに到達するタイミングより遅くされている状態を示す図である。
【図4】図1に示すプリンタの動作を説明するフローチャートである。
【図5】図1に示すプリンタの内部構成において、用紙P1がピックアップされて搬送されている状態を示す図である。
【図6】図1に示すプリンタの内部構成において、熱伝導ローラ21,22が定着部へ搬送される用紙P2とスイッチバックされて搬送される用紙P1とに同時に接触している状態を示す図である。
【図7】図1に示すプリンタの内部構成において、定着部へ搬送される用紙P1の先端が熱伝導ローラに到達するタイミングを、スイッチバックされて搬送される用紙P2の先端がその熱伝導ローラに到達するタイミングより遅くされている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタ1の内部構成を概略的に示す断面図である。プリンタ1は、プリンタ本体1a内に画像形成部2が設けられている。画像形成部2は、用紙に対する画像形成(印刷)を行うものであり、同図中の矢印方向に回転可能に構成された例えばアモルファスシリコンからなる像担持体としての感光体ドラム3、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6及びクリーニング部7等を備えている。
【0017】
帯電部4は、感光体ドラム3表面を所定電位に均一に帯電させるものである。露光部5は所謂レーザ走査ユニットであり、パソコンから送信されてきた画像データ等に基づき生成されたレーザービームを感光体ドラム3表面に照射し、感光体ドラム3上に静電潜像を形成するものである。現像部6は、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対して、トナーカートリッジ61から供給されるトナーを付着させることで、トナー画像として静電潜像を顕在化させるものである。クリーニング部7は、後述の転写部10によるトナー転写が終了した後、感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを清掃するものである。
【0018】
また、プリンタ1は、画像形成部2に対する給紙を行う給紙部8、用紙の搬送を行う搬送部9、及び感光体ドラム3上のトナー画像を用紙に転写する転写部10、及び用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着部11を備えている。給紙部8は、各種サイズの用紙を収納する給紙カセット81、収納されている用紙を取り出すための用紙持ち上げ部材82やピックアップローラ83を備え、給紙カセット81から用紙を1枚ずつ送り出す。
【0019】
搬送部9は、用紙搬送経路である搬送路901〜906中の用紙を搬送するための搬送ローラ921〜925(これらを纏めて搬送ローラ920という)、及び排出ローラ926を備え、給紙カセット81から送り出された用紙を、搬送路901、902を経て後述の転写ローラ101と感光体ドラム3とのニップ部へ向けて搬送するとともに、トナー画像が転写された用紙を搬送路903を経て定着部11へ搬送し、さらに、定着部11で定着処理された用紙を搬送路904を経て排出ローラ926によってプリンタ本体1a上部の排出トレイ12へ排出する。
【0020】
転写部10は、転写ローラ101を備え、搬送されてきた用紙を介して転写ローラ101を感光体ドラム3に押し付けた状態で、感光体ドラム3上に顕在化されたトナー画像を用紙に転写させるものである。搬送路903における転写部10の下流側適所には、定着部11が設けられている。定着部11は、用紙に転写されたトナー画像を定着させるものである。定着部11はヒートローラ11a及び圧ローラ11bからなり、ヒートローラ11aの熱によって用紙上のトナーを溶かし、圧ローラ11bによって圧力を加えて用紙上にトナー画像を定着させる。
【0021】
なお、プリンタ1は、手差し給紙を行うための手差し給紙部13を備えていてもよく、この場合、手差し給紙部13における手差しトレイ131を開状態にして、搬送路906経由で用紙を給紙してもよい。
【0022】
ところで、プリンタ1には、両面印刷モードにおいて、用紙の裏表両面に対して印刷を行うための両面印刷機能が備えられている。搬送部9はこの両面印刷を可能とするべく、搬送される用紙を反転させる用紙反転機能(スイッチバック機構)を備えている。この両面印刷時の動作を、搬送部9の用紙搬送動作と併せて説明する。
【0023】
先ず、給紙カセット81から送り出された用紙は、搬送路901及び902を経て画像形成部2まで搬送される。画像形成部2は搬送されてきた用紙の一方の面(表面)に画像を形成する。画像が形成された用紙は搬送路903を経て定着部11まで搬送されて定着処理が行われ、この定着処理が施された用紙は搬送路904を経て排出ローラ926まで搬送される。そして、排出ローラ926(スイッチバックローラと称してもよい)の正転から逆転への切り替えによってこの用紙が引き戻されて搬送路904を逆送され、搬送路905に搬送される。搬送路905に搬送されたこの用紙は、搬送路901の一部分(搬送路9011)及び搬送路902を経て反転されて、再び画像形成部2に搬送される。画像形成部2ではこの用紙の他方の面(裏面)に画像を形成する。このようにして両面に画像が形成された用紙は、搬送路903及び904を経て排出ローラ926によって排出トレイ12に排出される。
【0024】
プリンタ1はさらに、二つの熱伝導ローラ21,22を備える。熱伝導ローラ21,22は熱伝導部材の一例であり、アルミニウム等の熱伝導性の優れた材料で構成される。熱伝導ローラ21は定着部11より上流側でかつ画像形成部2より下流側に配置されている。熱伝導ローラ21は搬送路903で搬送されている用紙と搬送路905で搬送されている用紙とに接触可能に配置されている。
【0025】
熱伝導ローラ22は画像形成部2より上流側に配置されている。熱伝導ローラ22は搬送路902で搬送されている用紙と搬送路905で搬送されている用紙とに接触可能に配置されている。熱伝導ローラ21,22は、これらのローラと用紙が接触した際に生じる力で回転するようにしてもよいし、用紙をスムーズに搬送できるように用紙を送る方向(反時計方向)に熱伝導ローラ21,22をモータで回転させてもよい。
【0026】
図1に示すプリンタ1の主な構成要素についてまとめると以下のようになる。
【0027】
搬送路901、搬送路902及び搬送路903により第1の搬送路が構成され、搬送路905により第2の搬送路が構成される。第1の搬送路と第2の搬送路とは合流箇所910で合流している。
【0028】
画像形成部2は第1の搬送路に配置されており、第1の搬送路で搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。
【0029】
定着部11は画像形成部2より下流側に第1の搬送路に配置されており、第1の搬送路で搬送されてきたトナー画像が形成された用紙を、加熱してトナー画像を用紙に定着させる。
【0030】
搬送部9及びピックアップローラ83は用紙送り手段として機能し、給紙部8からの用紙を、第1の搬送路へ送り、第1の搬送路で搬送させて画像形成部2及び定着部11に送り、両面印刷時において、定着処理された用紙をスイッチバックさせて第2の搬送路に送り、第2の搬送路で搬送されてきた用紙を反転させて第1の搬送路に送る。
【0031】
熱伝導ローラ21,22は、上記用紙送り手段により第1の搬送路で搬送される一方の用紙と第2の搬送路で搬送される他方の用紙との両方に接触した状態をとることが可能に、第1の搬送路と第2の搬送路との間で定着部11より上流側に配置されている。
【0032】
図2は図1に示すプリンタ1の電気的な構成の一例を示すブロック図である。プリンタ1は給紙部8、画像形成部2、定着部11、ネットワークI/F部30、制御部40、操作表示部50及びローラ駆動モータ71,72,73等を備える。給紙部8、画像形成部2及び定着部11に関しては図1で説明しているので、説明を省略する。
【0033】
ネットワークI/F部30はLAN等のネットワークを介して接続されたパソコン等の情報処理装置との間における種々のデータの送受信を制御するものである。操作表示部50は、プリンタ1のフロント部等に設けられ、ユーザからの各種指示命令が入力される入力キーとして機能し、又は所定の情報を表示するものである。
【0034】
ローラ駆動モータ71はピックアップローラ83を駆動するモータであり、ローラ駆動モータ72は搬送ローラ920を駆動するモータであり、ローラ駆動モータ73は排出ローラ926を駆動するモータである。
【0035】
ローラ駆動モータ73は正逆方向に排出ローラ926を回転させることがでる。用紙を排出トレイ12へ導くときは、排出ローラ926を正方向に回転させる。用紙をスイッチバックさせて搬送路905へ導くときは、排出ローラ926を逆方向に回転させる。
【0036】
制御部40はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる。CPUはプリンタ1を動作させるために必要な制御を、画像形成部2等のプリンタ1の上記構成要素に対して実行する。ROMはプリンタ1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及び作業領域等に利用される。
【0037】
制御部40はモータ制御部41を備える。モータ制御部41はローラ駆動モータ71,72,73の回転を制御する。モータ制御部41はタイミング制御部42を備える。図3に示すように、タイミング制御部42は用紙P1の先端が熱伝導ローラ22を通過した後に、用紙P2の先端が熱伝導ローラ22を通過するように、用紙P1及び用紙P2を搬送するタイミングを制御する。つまり、両面印刷される用紙P1(他方の用紙)と用紙P2(一方の用紙)において、搬送路901,902,903(第1の搬送路)で搬送される用紙P2の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、搬送路905(第2の搬送路)で搬送される用紙P1の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くなるようにする。従って、上記タイミングになるように、タイミング制御部42は、ローラ駆動モータ71を駆動するタイミングを制御してピックアップローラ83を回転させて、用紙P2を搬送路901,902,903へ送り出し、また、ローラ駆動モータ73を駆動するタイミングを制御して排出ローラ926を逆方向に回転させて、用紙P1を搬送路905へ送り出す。
【0038】
次に、プリンタ1の動作について説明する。図4はその動作を説明するフローチャートである。モータ制御部41(図2)はローラ駆動モータ71,72を回転させる制御をして、ピックアップローラ83、搬送ローラ920を回転させる。これにより、図5に示すように、ピックアップローラ83の回転により給紙部8の用紙P1はピックアップされて、搬送ローラ920の回転により、搬送路901を経由して搬送路902,903へ送り出される(ステップS1)。
【0039】
搬送路902で搬送された用紙P1は搬送ローラ920の回転により画像形成部2に送られ、画像形成部2は用紙P1の表面に画像を形成する。その後、用紙P1は搬送路903で搬送されて定着部11に送られる。定着部11は用紙P1の表面に形成された画像を加圧加熱して定着させる(ステップS3)。
【0040】
定着処理された用紙P1は搬送ローラ920の回転により搬送路903から搬送路904へ搬送される。モータ制御部41(図2)は、ローラ駆動モータ73を制御して排出ローラ926を逆回転させることにより用紙P1をスイッチバックさせて搬送路905へ送り、またローラ駆動モータ71を制御してピックアップローラ83を回転させることにより、次の用紙P2を搬送路901へ送る(ステップS5)。
【0041】
図3に示すように、搬送路901,902,903で搬送される用紙P2の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、スイッチバックされて搬送路905で搬送される用紙P1の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くする。これは、用紙P1をピックアップローラ83により送り出してから、次の用紙P2をピックアップローラ83により送り出すタイミングを調整することにより、実行することができる。このため、用紙P1をピックアップローラ83により送り出してから、次の用紙P2をピックアップローラ83により送り出すタイミングのデータが、タイミング制御部42には予め記憶されている。タイミング制御部42はそのデータを基にして、ローラ駆動モータ71を駆動するタイミングを制御してピックアップローラ83を回転させて、次の用紙P2を搬送路901,902,903へ送り出す。
【0042】
図6に示すように、搬送路902で搬送された用紙P2は搬送ローラ920の回転により画像形成部2に送られる。画像形成部2は用紙P2の表面に画像を形成する。そして、用紙P2は搬送路903で搬送されて定着部11に送られる。定着部11は用紙P2の表面に形成された画像を加圧加熱して定着させる。一方、定着処理された用紙P1は搬送路905で搬送されている(ステップS7)。熱伝導ローラ21,22は搬送路901,902,903で搬送される用紙P2と搬送路905で搬送される用紙P1とに同時に接触できるように配置されている。これにより、定着処理により用紙P1に含まれる熱は、熱伝導ローラ21,22を介して、用紙P2に伝導される。従って、用紙P2は定着部11で定着処理される前に予熱される。
【0043】
定着処理された用紙P2は搬送ローラ920の回転により搬送路903から搬送路904へ搬送される。モータ制御部41はローラ駆動モータ73を制御して排出ローラ926を逆回転させることにより用紙P2をスイッチバックさせて搬送路905へ送る。一方、搬送ローラ920の回転により、搬送路905で搬送されている用紙P1は反転して、搬送路902に送られる(ステップS9)。
【0044】
図7に示すように、搬送路901,902,903で搬送される用紙P1の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、スイッチバックされて搬送路905で搬送される用紙P2の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くする。これは、用紙P2を搬送路904で一度停止させてから、排出ローラ926を逆回転させてスイッチバックを開始するタイミングを調整することにより、実行することができる。このため、用紙P2を搬送路904で一度停止させてから、排出ローラ926を逆回転させてスイッチバックを開始するタイミングのデータが、タイミング制御部42には予め記憶されている。タイミング制御部42はそのデータを基にして、ローラ駆動モータ73を駆動するタイミングを制御して排出ローラ926を回転させて、次の用紙P2を搬送路905へ送り出す。
【0045】
搬送路902で搬送された用紙P1は搬送ローラ920の回転により画像形成部2に送られ、画像形成部2は用紙P1の裏面に画像を形成する。その後、用紙P1は搬送路903で搬送されて定着部11に送られる。定着部11は用紙P1の裏面に形成された画像を加圧加熱して定着させる。一方、定着処理された次の用紙P2は搬送路905で搬送されている(ステップS11)。定着処理により次の用紙P2に含まれている熱は、熱伝導ローラ21,22を介して、用紙P1に伝導される。従って、用紙P1は定着部11で定着処理される前に予熱される。
【0046】
定着処理された用紙P1は搬送ローラ920の回転により搬送路903から搬送路904へ搬送される。モータ制御部41は、ローラ駆動モータ73を制御して排出ローラ926を正回転させており、両面印刷された用紙P1を排出トレイ12に排出する(ステップS13)。
【0047】
搬送ローラ920の回転により、搬送路905で搬送されている用紙P2は反転して、搬送路902に送られる。搬送路902で搬送された用紙P2は搬送ローラ920の回転により画像形成部2に送られ、画像形成部2は用紙P2の裏面に画像を形成する。その後、用紙P2は搬送路903で搬送されて定着部11に送られる。定着部11は用紙P2の裏面に形成された画像を加圧加熱して定着させる(ステップS15)。
【0048】
そして、定着処理された用紙P2は搬送ローラ920の回転により搬送路903から搬送路904へ搬送される。モータ制御部41は、ローラ駆動モータ73を制御して排出ローラ926を正回転させており、両面印刷された用紙P2を排出トレイ12に排出する(ステップS17)。
【0049】
三枚以上の用紙を両面印刷する場合は、ステップS1〜ステップS17が繰り返される。以上のように両面印刷において、二枚の用紙を一組として、用紙P1の表面の画像を定着処理することにより用紙P1に含まれる熱を利用して、用紙P2の表面の画像を定着させる前に用紙P2を予熱し、用紙P2の表面の画像を定着処理することにより用紙P2に含まれる熱を利用して、用紙P1の裏面の画像を定着させる前に用紙P1を予熱している。
【0050】
本実施形態の主な効果を説明する。本実施形態によれば、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙と搬送路905で搬送される他方の用紙とに同時に接触可能に、搬送路901,902,903と搬送路905との間に熱伝導ローラ21,22を配置している。このため、両面印刷時において、定着処理された他方の用紙が搬送路905で搬送されている際に、その用紙に含まれる熱が熱伝導ローラ21,22に伝導する。よって、熱伝導ローラ21,22を介してその用紙に含まれる熱を搬送路901,902,903で搬送されている一方の用紙に伝導させることができる。従って、搬送路901,902,903で搬送されている一方の用紙を定着部11に送る前に予熱することができる。その結果、定着部11において画像を定着させるのに必要な熱量が減少するので、定着部11の発熱量を減少させることができ、省エネルギー化することが容易となる。そして、本実施形態によれば、熱伝導ローラ21,22を、搬送路901,902,903と搬送路905との間に配置している構成なので、両面印刷のためのスイッチバック機構を有するモノクロ機に対して容易に適用することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、図3及び図7に示すように、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、搬送路905で搬送される他方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くされている。そのタイミングが早いと、搬送路905で搬送される他方の用紙に含まれる熱が熱伝導ローラ22に伝導される前に、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙が熱伝導ローラ22に到達する。その結果、一方の用紙の全体にむらなく熱を伝導させることができない。
【0052】
これに対して、本実施形態ではそのタイミングを遅くしているので、搬送路905で搬送される他方の用紙に含まれる熱が熱伝導ローラ22に伝導された後に、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙が熱伝導ローラ22に到達する。従って、一方の用紙の全体にむらなく熱を伝導させることができる。そして、一方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、他方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより遅くなるように、一方の用紙及び他方の用紙を搬送するタイミングを制御することが原因で、合流箇所910で一方の用紙と他方の用紙とが衝突しないように、合流箇所910と熱伝導ローラ22との距離が設定されている。
【0053】
上記タイミングを遅くする具体例として、一方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、他方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより、熱伝導ローラ22を半回転させる時間(言い換えれば、熱伝導ローラ22の半周分の距離)だけ遅くする。このようにすれば、熱伝導ローラ22のうち他方の用紙の先端が接触した箇所を一方の用紙の先端に接触させることができるので、熱を効率的に伝導させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、二つの熱伝導ローラ21,22を備えた構成において、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙の先端が熱伝導ローラ22(複数の熱伝導部材のうち第1の搬送路における最も上流側の熱伝導部材)に到達するタイミングを、搬送路905で搬送される他方の用紙の先端が熱伝導ローラ22(当該最も上流側の熱伝導部材、言い換えれば最後の熱伝導部材)に到達するタイミングより遅くなるようにしている。このため、二つの熱伝導ローラ21,22の全てに熱が伝導された状態で、搬送路901,902,903で搬送される一方の用紙に熱を伝導させることができる。従って、二つの熱伝導ローラ21,22を備える構成において、一方の用紙の全体にむらなく熱を伝導させることができる。
【0055】
本実施形態によれば、熱伝導ローラ21,22を熱伝動部材として用いている。よって、搬送路905で搬送されている定着処理された他方の用紙が熱伝導ローラ21,22に接触した箇所を、熱伝導ローラ21,22の回転により、一方の用紙と接触させることができる。従って、搬送路905で搬送されている定着処理された他方の用紙に含まれる熱を迅速に搬送路901,902,903で搬送されている一方の用紙に伝導させることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、熱伝導ローラの数が二つを例に説明したが、熱伝導ローラの数は一つでもよいし、三つ以上でもよい。また、熱伝導ローラの換わりに、熱伝導部材として、回転しない部材を用いてもよい。
【0057】
回転しない部材を用いる場合、タイミングを遅くする具体例として、一方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングを、他方の用紙の先端が熱伝導ローラ22に到達するタイミングより、熱伝導部材において第2の搬送路側から第1の搬送路側へ熱が伝導するのに要する時間だけ遅くする。このようにすれば、一方の用紙の先端から予熱を開始できるので、熱を効率的に伝導させることができる。
【0058】
熱伝導ローラによれば、他方の用紙と接触した箇所を回転により一方の用紙に接触させて熱を伝導させる。従って、熱伝導部材として、熱伝導ローラの方が回転しない熱伝導部材よりも、上記タイミングを遅くする時間を短くできるので、印刷速度を上げることができ、その結果、単位時間当たりの印刷枚数を容易に増加させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 プリンタ(画像形成装置の一例)
2 画像形成部
11 定着部
21,22 熱伝導ローラ(熱伝導部材の一例)
41 タイミング制御部
901,902,903 搬送路(第1の搬送路の一例)
905 搬送路(第2の搬送路の一例)
P1,P2 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の搬送路と、
前記第1の搬送路に配置されており、前記第1の搬送路で搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部より下流側で前記第1の搬送路に配置されており、前記第1の搬送路で搬送されてきた前記トナー画像が形成された前記用紙を、加熱して前記トナー画像を前記用紙に定着させる定着部と、
第2の搬送路と、
給紙部からの前記用紙を、前記第1の搬送路へ送り、前記第1の搬送路で搬送させて前記画像形成部及び前記定着部に送り、両面印刷時において、定着処理された前記用紙をスイッチバックさせて前記第2の搬送路に送り、前記第2の搬送路で搬送されてきた前記用紙を反転させて前記第1の搬送路に送る用紙送り手段と、
前記用紙送り手段により前記第1の搬送路で搬送される一方の用紙と前記第2の搬送路で搬送される他方の用紙との両方に接触した状態をとることが可能に、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路との間で前記定着部より上流側に配置された熱伝導部材と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記両面印刷される一方の用紙と他方の用紙において、前記第1の搬送路で搬送される前記一方の用紙の先端が前記熱伝導部材に到達するタイミングを、前記第2の搬送路で搬送される前記他方の用紙の先端が前記熱伝導部材に到達するタイミングより遅くなるように、前記一方の用紙及び前記他方の用紙を前記用紙送り手段によって搬送するタイミングを制御するタイミング制御部を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記熱伝導部材は複数あり、
前記タイミング制御部は、前記第1の搬送路で搬送される前記一方の用紙の先端が、前記複数の熱伝導部材のうち前記第1の搬送路における最も上流側の熱伝導部材に到達するタイミングを、前記第2の搬送路で搬送される前記他方の用紙の先端が当該最も上流側の熱伝導部材に到達するタイミングより遅くなるように、前記一方の用紙及び前記他方の用紙を前記用紙送り手段によって搬送するタイミングを制御する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記熱伝導部材は熱伝導ローラを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−133162(P2012−133162A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285632(P2010−285632)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】