説明

画像形成装置

【課題】
濃度補正処理の実行可否と該濃度補正処理に係る補正率とをユーザ単位で設定可能とすることで、ユーザに対して利便性が高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】
ユーザ識別情報を含む印刷データを受信する受信部と、前記ユーザ識別情報により識別されるユーザ毎に対応して予め設定された補正情報を記憶する記憶部と、前記受信部を介して受信した前記印刷データから前記ユーザ識別情報を取得し、前記記憶部を参照して識別されたユーザに対応する前記補正情報を取得する補正情報取得部と、取得された前記補正情報に基づいて、前記印刷データの濃度を補正する補正部と、前記印刷データに基づいて、媒体に画像形成を行う画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作成した印刷データに対して濃度補正等の印刷機能を適用させて使用するユーザに対して与えられた機能制限の有無により、該印刷データに対する補正処理の実行や補正処理の実行の抑制を行う画像形成装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−109701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示されるような従来技術においては、印刷データに対して濃度補正処理を適用させて印刷を実行させたい場合、該濃度補正処理に係る補正率をユーザ単位で設定することができず、ユーザに対する利便性が低いといった問題点があった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、濃度補正処理の実行可否と該濃度補正処理に係る補正率とをユーザ単位で設定可能とすることで、ユーザに対して利便性が高い画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、ユーザ識別情報を含む印刷データを受信する受信部と、前記ユーザ識別情報により識別されるユーザ毎に対応して予め設定された補正情報を記憶する記憶部と、前記受信部を介して受信した前記印刷データから前記ユーザ識別情報を取得し、前記記憶部を参照して識別されたユーザに対応する前記補正情報を取得する補正情報取得部と、取得された前記補正情報に基づいて、前記印刷データの濃度を補正する補正部と、前記印刷データに基づいて、媒体に画像形成を行う画像形成部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、濃度補正処理の実行可否と該濃度補正処理に係る補正率とをユーザ単位で設定可能とすることができ、ユーザに対して利便性が高い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】印刷装置の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図2】操作パネルを説明する図である。
【図3】管理テーブルの構成例を説明する図である。
【図4】パターンテーブルを説明する図である。
【図5】印刷装置に対するユーザのログイン認証に係る動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】ログイン認証画面の一形態を説明する図である。
【図7】濃度制限値の設定例を説明する図である。
【図8】印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】濃度補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】濃度補正処理を説明する図である。
【図11】印刷装置の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図12】操作パネルを説明する図である。
【図13】管理テーブルの構成例を説明する図である。
【図14】パターンテーブルを説明する図である。
【図15】印刷装置に対するユーザのログイン認証に係る動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】ログイン認証画面の一形態を説明する図である。
【図17】濃度制限値の設定例を説明する図である。
【図18】印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】濃度補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】濃度補正処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置としての印刷装置102の機能構成を説明するための機能ブロック図である。印刷装置102は、例えば、電子写真方式等の印刷エンジンを備え、受信した印刷データに基づく画像を記憶媒体上に印刷することが可能な画像形成装置である。
【0011】
印刷装置102は、受信部としての送受信部103と、制御部104と、画像形成部としての印刷部105と、解析部106と、操作パネル107と、設定部108と、補正情報取得部としてのユーザ管理部109と、記憶部としての管理テーブル110と、補正部111と、パターンテーブル112とを備える。
【0012】
送受信部103は、例えば、文書作成ソフトウェアや画像形成ソフトウェア等の適当なアプリケーションソフトウェアで作成された印刷データを送信することが可能な外部装置101と、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)ケーブル等の電気信号線を介して接続されており、印刷データや印刷コマンド等の送受信を行う。
【0013】
制御部104は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備え、解析部106、操作パネル107、設定部108、ユーザ管理部109、補正部111の動作を制御することで、印刷装置102全体の動作を統括的に制御する。
【0014】
印刷部105は、印刷データに基づいて編集されて生成した2値画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する印刷エンジンを備える。印刷エンジンとしては、上記電子写真方式以外にも、例えば、インクジェット方式、ドットマトリックスインパクト方式等の印刷エンジンを用いることができ、その使用に制限は無い。
【0015】
解析部106は、送受信部103を介して受信した印刷データの解析を行うとともに、該印刷データを印刷部105が解釈可能な2値画像データに編集する。
【0016】
操作パネル107は、図2に例示するような外観を有し、装置状態やユーザによる入力情報を表示する、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備える表示パネル201と、ユーザによるログイン認証情報や設定変更情報の入力を受付ける操作キー202、及び操作ボタン203とを備えるユーザインタフェースである。
【0017】
設定部108は、操作パネル107を介して受付けた情報に基づき、印刷装置102の設定変更、又は設定変更された内容を印刷装置102に適用する。
【0018】
ユーザ管理部109は、印刷装置102を使用するユーザの識別情報、並びに該ユーザに対応して予め設定された補正情報を一元的に管理する。具体的には、ユーザ管理部109は、図3(a)に示すような、ユーザID、ユーザ名、パスワード、濃度補正処理の実行可否を設定した濃度制限値、及び濃度制限値に基づき該濃度補正処理が実行可とされたときに、解析部106が編集作成した2値画像データに対して適用される補正度合いを設定した補正率を含む管理テーブル110を備える。そして、ユーザ管理部109は、必要に応じて管理テーブル110から上記設定値を取得する。
【0019】
補正部111は、解析部106が編集作成した2値画像データに対してユーザ毎に設定された補正パターンを掛け合わせることで濃度補正処理を実行する。補正部111は、図4に示すような、管理テーブル110において設定されている補正率毎の補正パターンを保持するパターンテーブル112を備える。ここで、図4に示されるパターンテーブル112は、上記補正率と、これに対応した補正パターンとを有する。
【0020】
次に、本実施形態に係る印刷装置102の動作について説明する。図5は、印刷装置102に対するユーザのログイン認証に係る動作を説明するためのフローチャートであり、図6は、ユーザによるログイン認証情報を受付ける操作パネル107のログイン認証画面の一形態を説明する図である。
【0021】
図6に示すように、ユーザは、操作パネル107の表示パネル201を介して表示されたログイン認証画面を介してユーザIDと、パスワードを入力する。
【0022】
図5のステップs5−1において、制御部104は操作パネル107を介してのユーザのログイン認証を検知すると、その旨をユーザ管理部109に通知する。
【0023】
制御部104からの通知を受けたユーザ管理部109は、操作パネル107を介して入力されたログイン認証情報に基づき、管理テーブル110を参照する。そして、ユーザ管理部109は、ログイン認証情報たるユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル110に存在するか否か確認する。
【0024】
上記ユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル110に存在する場合、ユーザ管理部109はその旨を設定部108に通知し、通知を受けた設定部108は、管理テーブル110から通知を受けたユーザに対応する濃度制限値と補正率の値とを取得し、該設定を適用する(ステップs5−2)。
【0025】
なお、s5−1からs5−2に係る処理において、ユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル110上に存在しない場合、ユーザ管理部109は、その旨を制御部104に通知してログイン認証に係る処理を終了させてもよいし、また、ユーザ管理部109は、新たに、ユーザIDとパスワードとの入力画面を含んだ図示せぬユーザ新規登録画面を操作パネル107に表示させ、ユーザに対してユーザ登録を促す形態としても構わない。なお、このとき、ユーザ新規登録画面と連動して新規登録したユーザに対応する濃度制限値と補正率とを入力する入力画面を準備し、該入力内容を管理テーブル110に反映させることもユーザに対する利便性を向上させる上で好適である。
【0026】
ところで、ユーザによる濃度制限値と補正率との設定値は、ログイン認証後においても変更可能である。具体的には、ユーザは、図7に示すような、設定部108が操作パネル107の表示パネル201に表示させる設定変更画面を介して濃度制限値と補正率との設定変更を行う。
【0027】
すなわち、ユーザは、まず、濃度制限値の「ON/OFF」の設定を行う。ここで、例えば、図7(a).変更前に示されるように、ユーザにより濃度制限値として「OFF」が選択された場合、補正部111は、印刷時に濃度補正処理を実行しない。一方、図7(b).変更後に示されるように、ユーザにより濃度制限値として「ON」が選択された場合、補正率の設定値入力ボックスがアクティブとなり、所望の補正率の入力が可能となる。本実施形態においては、該補正率の初期値は100%であり、50〜100%の範囲で補正率の設定変更が可能である。なお、図7(b).変更後に示される例は、ユーザにより濃度制限値として「ON」が選択され、補正率が100%から75%に変更されたときの設定変更画面の例を示したものである。そして、濃度制限値として「ON」が選択された場合、補正部111は、補正率の設定値入力ボックスに入力された数値に基づき印刷時に濃度補正処理を実行する。なお、先の図3(a).設定変更前に示したものは、上記設定変更前に係る管理テーブル110の例を示し、同図3(b).設定変更後に示したものは、上記設定変更が適用された後の管理テーブル110の例を示すものである。
【0028】
次に、印刷装置102の印刷処理について図8のフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザは、印刷装置102に対する自身のユーザIDを入力し、印刷を実行させると、外部装置101は印刷データを作成する。作成された印刷データには、ユーザにより入力されたユーザIDが付加され、印刷装置102に対して送信される。
【0029】
外部装置101から送信された印刷データを送受信部103を介して受信すると(ステップs8−1)、解析部106は、受信した印刷データの解析を行うとともに(ステップs8−2)、該印刷データを印刷部105が解釈可能な2値画像データに編集する。
【0030】
また、解析部106は、印刷データに付加されたユーザIDを解析し、解析して判明したユーザIDをユーザ管理部109に通知する。
【0031】
通知を受けたユーザ管理部109は、管理テーブル110を参照して通知を受けたユーザIDの照合を行い、一致するものがあれば、そのユーザIDに対応する濃度制限値を取得する(ステップs8−3)。
【0032】
次に、ユーザ管理部109は、取得した濃度制限値がON、又はOFFの何れかに設定されているかを判定する。ここで、取得した濃度制限値がONである場合(ステップs8−4 YES)、ユーザ管理部109は、管理テーブル110において設定されている補正率を取得するとともに、該補正率に基づき濃度補正処理を実行するよう補正部111に指示を与える。
【0033】
ユーザ管理部109から濃度補正処理を実行するよう指示を受けた補正部111は、濃度補正処理を実行する(ステップs8−5)。なお、ステップs8−5における濃度補正処理については、後ほど説明する。
【0034】
補正部111による濃度補正処理が終了すると、印刷部105は、濃度補正処理された補正画像データに基づき、記録媒体上に印刷を実行する。
【0035】
ところで、解析部106から通知を受けたユーザIDに一致するものが管理テーブル110に無い場合、又は取得した濃度制限値がOFFである場合(ステップs8−4 NO)、ユーザ管理部109は、濃度補正処理を実行せず、解析部106が編集作成した印刷データに基づく2値画像データを記録媒体上に印刷するよう指示を与える。
【0036】
次に、図8のステップs8−5に係る濃度補正処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0037】
まず、ユーザ管理部109は、、管理テーブル110において設定されている補正率を取得するとともに(ステップs9−1)、該補正率に基づき濃度補正処理を実行するよう補正部111に指示を与える。
【0038】
濃度補正処理の実行指示を受けた補正部111は、ユーザ管理部109が取得した補正率に対応する補正パターンを図4に示すパタンテーブル112から取得する(ステップs9−2)。
【0039】
次に、補正部111は、解析部106が編集作成した印刷データに基づく2値画像データと補正パターンとを掛け合わせ、つまり、2値画像データと補正パターンとで各画素値の論理積を取り、その結果を基に補正画像データを作成する(ステップs9−3)。なお、図10の(a)は、濃度補正処理前の2値画像データ、(b)は、補正率75%に対応する補正パターン、(c)は、濃度補正処理後の2値画像データである補正画像データをそれぞれ示したものである。
【0040】
以上のように、第1の実施形態によれば、濃度補正処理の実行可否と該濃度補正処理に係る補正率とをユーザ単位で設定可能とすることができ、ユーザに対して利便性が高い画像形成装置を提供することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、第1の実施形態に係る印刷装置102の構成に加え、解析部1106が算出部1107、及び判定部1109を新たに備え、算出部1107が算出した印字面積率とユーザにより設定された補正率とを比較し、判定部1109がその大小を判定する点が第1の実施形態とは異なる。
【0042】
図11は、第2の実施形態に係る画像形成装置としての印刷装置1102の機能構成を説明するための機能ブロック図である。印刷装置1102は、例えば、電子写真方式等の印刷エンジンを備え、受信した印刷データに基づく画像を記憶媒体上に印刷することが可能な画像形成装置である。
【0043】
印刷装置1102は、受信部としての送受信部1103と、制御部1104と、画像形成部としての印刷部1105と、解析部1106と、算出部1107と、判定部1108と、操作パネル1109と、設定部1110と、補正情報取得部としてのユーザ管理部1111と、記憶部としての管理テーブル1112と、補正部1113と、パターンテーブル1114とを備える。
【0044】
送受信部1103は、例えば、文書作成ソフトウェアや画像形成ソフトウェア等の適当なアプリケーションソフトウェアで作成された印刷データを送信することが可能な外部装置1101と、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)ケーブル等の電気信号線を介して接続されており、印刷データや印刷コマンド等の送受信を行う。
【0045】
制御部1104は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備え、解析部1106、算出部1107、判定部1108、操作パネル1109、設定部1110、ユーザ管理部1111、補正部1113の動作を制御することで、印刷装置1102全体の動作を統括的に制御する。
【0046】
印刷部1105は、印刷データに基づいて編集されて生成した2値画像データに基づく画像を記録媒体上に印刷する印刷エンジンを備える。印刷エンジンとしては、上記電子写真方式以外にも、例えば、インクジェット方式、ドットマトリックスインパクト方式等の印刷エンジンを用いることができ、その使用に制限は無い。
【0047】
解析部1106は、送受信部1103を介して受信した印刷データの解析を行うとともに、該印刷データを印刷部1105が解釈可能な2値画像データに編集する。また、解析部1106は、算出部1107と、判定部1108とを備える。
【0048】
算出部1107は、解析部1106が解析した印刷データの全画素数と実際に印字される画素数とから、印刷データの記録媒体に対する印字面積率を算出する。ここで、印刷データの全画素数とは、印字可能な全領域に印字された場合の画素数である。なお、印字面積率は、下記式(1)から算出される。
【0049】
印字面積率(%)=印字される画素数/印刷データの全画素数 (1)
【0050】
判定部1108は、算出部1107により算出された上記印字面積率とユーザにより設定された補正率とを比較し、その値の大小を判定する。
【0051】
操作パネル1109は、図12に例示するような外観を有し、装置状態やユーザによる入力情報を表示する、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備える表示パネル1201と、ユーザによるログイン認証情報や設定変更情報の入力を受付ける操作キー1202、及び操作ボタン1203とを備えるユーザインタフェースである。
【0052】
設定部1110は、操作パネル1109を介して受付けた情報に基づき、印刷装置1102の設定変更、又は設定変更された内容を印刷装置1102に適用する。
【0053】
ユーザ管理部1111は、印刷装置1102を使用するユーザの識別情報、並びに該ユーザに対応して予め設定された補正情報を一元的に管理する。具体的には、ユーザ管理部1111は、図13(a)に示すような、ユーザID、ユーザ名、パスワード、濃度補正処理の実行可否を設定した濃度制限値、及び濃度制限値に基づき該濃度補正処理が実行可とされたときに、解析部1106が編集作成した2値画像データに対して適用される補正度合いを設定した補正率を含む管理テーブル1112を備える。そして、ユーザ管理部1111は、必要に応じて管理テーブル1112から上記設定値を取得する。
【0054】
補正部1113は、解析部1106が編集作成した2値画像データに対してユーザ毎に設定された補正パターンを掛け合わせることで濃度補正処理を実行する。補正部1113は、図14に示すような、管理テーブル1112において設定されている補正率毎の補正パターンを保持するパターンテーブル1114を備える。ここで、図14に示されるパターンテーブル1114は、上記補正率と、これに対応した補正パターンとを有する。
【0055】
次に、本実施形態に係る印刷装置1102の動作について説明する。図15は、印刷装置1102に対するユーザのログイン認証に係る動作を説明するためのフローチャートであり、図16は、ユーザによるログイン認証情報を受付ける操作パネル1109のログイン認証画面の一形態を説明する図である。
【0056】
図16に示すように、ユーザは、操作パネル1109の表示パネル1201を介して表示されたログイン認証画面を介してユーザIDと、パスワードを入力する。
【0057】
図15のステップs15−1において、制御部1104は操作パネル1109を介してのユーザのログイン認証を検知すると、その旨をユーザ管理部1111に通知する。
【0058】
制御部1104からの通知を受けたユーザ管理部1111は、操作パネル1109を介して入力されたログイン認証情報に基づき、管理テーブル1112を参照する。そして、ユーザ管理部1111は、ログイン認証情報たるユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル1112に存在するか否か確認する。
【0059】
上記ユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル1112に存在する場合、ユーザ管理部1111はその旨を設定部1110に通知し、通知を受けた設定部1110は、管理テーブル1112から通知を受けたユーザに対応する濃度制限値と補正率の値とを取得し、該設定を適用する(ステップs15−2)。
【0060】
なお、s15−1からs15−2に係る処理において、ユーザIDとパスワードとの組み合わせが管理テーブル1112上に存在しない場合、ユーザ管理部1111は、その旨を制御部1104に通知してログイン認証に係る処理を終了させてもよいし、また、ユーザ管理部1111は、新たに、ユーザIDとパスワードとの入力画面を含んだ図示せぬユーザ新規登録画面を操作パネル1109に表示させ、ユーザに対してユーザ登録を促す形態としても構わない。なお、このとき、ユーザ新規登録画面と連動して新規登録したユーザに対応する濃度制限値と補正率とを入力する入力画面を準備し、該入力内容を管理テーブル1112に反映させることもユーザに対する利便性を向上させる上で好適である。
【0061】
ところで、ユーザによる濃度制限値と補正率との設定値は、ログイン認証後においても変更可能である。具体的には、ユーザは、図17に示すような、設定部1110が操作パネル1109の表示パネル1201に表示させる設定変更画面を介して濃度制限値と補正率との設定変更を行う。
【0062】
すなわち、ユーザは、まず、濃度制限値の「ON/OFF」の設定を行う。ここで、例えば、図17(a).変更前に示されるように、ユーザにより濃度制限値として「OFF」が選択された場合、補正部1113は、印刷時に濃度補正処理を実行しない。一方、図17(b).変更後に示されるように、ユーザにより濃度制限値として「ON」が選択された場合、補正率の設定値入力ボックスがアクティブとなり、所望の補正率の入力が可能となる。本実施形態においては、該補正率の初期値は100%であり、50〜100%の範囲で補正率の設定変更が可能である。なお、図17(b).変更後に示される例は、ユーザにより濃度制限値として「ON」が選択され、補正率が100%から75%に変更されたときの設定変更画面の例を示したものである。そして、濃度制限値として「ON」が選択された場合、補正部1113は、補正率に入力された数値に基づき印刷時に濃度補正処理を実行する。なお、先の図13(a).設定変更前に示したものは、上記設定変更前に係る管理テーブル1112の例を示し、同図13(b).設定変更後に示したものは、上記設定変更が適用された後の管理テーブル1112の例を示すものである。
【0063】
次に、印刷装置1102の印刷処理について図18のフローチャートを用いて説明する。まず、ユーザは、印刷装置1102に対する自身のユーザIDを入力し、印刷を実行させると、外部装置1101は印刷データを作成する。作成された印刷データには、ユーザにより入力されたユーザIDが付加され、印刷装置1102に対して送信される。
【0064】
外部装置1101から送信された印刷データを送受信部1103を介して受信すると(ステップs18−1)、解析部1106は、受信した印刷データの解析を行うとともに(ステップs18−2)、該印刷データを印刷部1105が解釈可能な2値画像データに編集する。
【0065】
また、解析部1106は、印刷データに付加されたユーザIDを解析し、解析して判明したユーザIDをユーザ管理部1111に通知する。
【0066】
通知を受けたユーザ管理部1111は、管理テーブル1112を参照して通知を受けたユーザIDの照合を行い、一致するものがあれば、そのユーザIDに対応する濃度制限値を取得する(ステップs18−3)。
【0067】
次に、ユーザ管理部1111は、取得した濃度制限値がON、又はOFFの何れかに設定されているかを判定する。ここで、取得した濃度制限値がONである場合(ステップs18−4 YES)、ユーザ管理部1111は、管理テーブル1112において設定されている補正率を取得するとともに、該補正率に基づき濃度補正処理を実行するよう補正部1113に指示を与える。
【0068】
ユーザ管理部1112から濃度補正処理を実行するよう指示を受けた補正部1113は、濃度補正処理を実行する(ステップs18−5)。なお、ステップs18−5における濃度補正処理については、後ほど説明する。
【0069】
補正部1113による濃度補正処理が終了すると、印刷部1105は、濃度補正処理された補正画像データに基づき、記録媒体上に印刷を実行する。
【0070】
ところで、解析部1106から通知を受けたユーザIDに一致するものが管理テーブル1112に無い場合、又は取得した濃度制限値がOFFである場合(ステップs18−4 NO)、ユーザ管理部1111は、濃度補正処理を実行せず、解析部1106が編集作成した印刷データに基づく2値画像データを記録媒体上に印刷するよう指示を与える。
【0071】
次に、図18のステップs18−5に係る濃度補正処理について、図19のフローチャートを用いて説明する。
【0072】
まず、ユーザ管理部1111は、管理テーブル1112において設定されている補正率を取得するする(ステップs19−1)。
【0073】
次に、算出部1107は、解析部1106が解析した印刷データの全画素数と実際に印字される画素数とから、印刷データの記録媒体に対する印字面積率を算出する(ステップs19−2)。
【0074】
そして、判定部1108は、算出部1107により算出された印字面積率とステップs19−1においてユーザ管理部1111により取得された補正率とを比較し、その値の大小を判定する(ステップs19−3)。
【0075】
算出部1107により算出された算出結果、つまり、印字面積率の値が補正率の値以上である場合(ステップs19−4 YES)、ユーザ管理部1111は、該補正率に基づき濃度補正処理を実行するよう補正部1113に指示を与える。
【0076】
濃度補正処理の実行指示を受けた補正部1113は、ユーザ管理部109が取得した補正率に対応する補正パターンを図14に示すパタンテーブル1114から取得する(ステップ19−5)。
【0077】
次に、補正部1113は、解析部1106が編集作成した印刷データに基づく2値画像データと補正パターンとを掛け合わせ、つまり、2値画像データと補正パターンとで各画素値の論理積を取り、その結果を基に補正画像データを作成する(ステップs19−6)。なお、図20の(a)は、濃度補正処理前の2値画像データ、(b)は、補正率75%に対応する補正パターン、(c)は、濃度補正処理後の2値画像データである補正画像データをそれぞれ示したものである。
【0078】
なお、ステップs19−4において、印字面積率の値が補正率の値に満たない場合(ステップs19−4 NO)、ユーザ管理部1111は、濃度補正処理を終了し、解析部1106が編集作成した印刷データに基づく2値画像データを記録媒体上に印刷するよう指示を与える。
【0079】
以上のように、第2の実施形態によれば、印字面積率の値が補正率の値以上である場合には濃度補正処理が実行され、印字面積率の値が補正率の値に満たない場合には濃度補正処理が実行されないため、ユーザに対する利便性をより柔軟に向上させることができる。
【0080】
本発明は、画像形成装置としてプリンタ以外にも、MFPや、ファクシミリ、複写装置等にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
101、1101 外部装置
102、1102 印刷装置
103、1103 送受信部
104、1104 制御部
105、1105 印刷部
106、1106 解析部
107、1109 操作パネル
108、1110 設定部
109、1111 ユーザ管理部
110、1112 管理テーブル
111、1113 補正部
112、1114 パターンテーブル
1107 算出部
1108 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ識別情報を含む印刷データを受信する受信部と、
前記ユーザ識別情報により識別されるユーザ毎に対応して予め設定された補正情報を記憶する記憶部と、
前記受信部を介して受信した前記印刷データから前記ユーザ識別情報を取得し、前記記憶部を参照して識別されたユーザに対応する前記補正情報を取得する補正情報取得部と、
取得された前記補正情報に基づいて、前記印刷データの濃度を補正する補正部と、
前記印刷データに基づいて、媒体に画像形成を行う画像形成部とを備えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記補正情報は、濃度補正パターンテーブルで表される印字率情報であること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正情報は、前記補正部による前記印刷データの濃度補正の実行可否情報を含むこと
を特徴とする請求項1、又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷データを解析し、印字面積率を算出する算出部と、
前記補正情報と前記印字面積率とを比較し、前記補正部による前記印刷データの濃度補正の実行可否を判定する判定部とを備え、
前記補正部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記補正の実行の可否を制御すること
を特徴とする請求項1、又は請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−150233(P2012−150233A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8169(P2011−8169)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】