説明

画像形成装置

【課題】 従来より高速にブートを完了することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFP10は、ブートコードを記憶するメインASIC21と、メインASIC21から取得したブートコードに基づいてブートを実行するサブASIC22と、メインASIC21およびサブASIC22を接続するSPI23と、メインASIC21およびサブASIC22を接続し通信速度がSPI23より高速であるPCIe24とを備えており、メインASIC21は、サブASIC22がPCIe24を利用可能になるためのサブ用第1ブートコードと、PCIe24経由でサブASIC22に送信されるサブ用第2ブートコードとを記憶するROM21cと、サブ用第1ブートコードをSPI23経由でサブASIC22に送信した後で、サブ用第2ブートコードをPCIe24経由でサブASIC22に送信するCPU21aとを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の装置から取得したブートコードに基づいてブートを実行する装置を備えている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、他の装置から取得したブートコードに基づいてブートを実行する装置を備えている画像形成装置として、ネットワーク上のストレージ装置から取得したブートコードに基づいてブートを実行する制御装置を備えている画像複写装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、制御装置がネットワーク上のストレージ装置から1種類のバスを経由してブートコードを取得するので、制御装置がネットワーク上のストレージ装置からブートコードを取得する速度が常に一定である。そのため、従来の画像形成装置においては、通信速度が遅いバスを経由する場合には、ブートの完了自体が遅くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、従来より高速にブートを完了することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えており、前記コード記憶装置は、前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になる前のブートコードを通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信し、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になった後のブートコードを高速通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信するので、従来より高速にブートを完了することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記コード実行装置は、前記高速通信手段を利用可能になったことを前記コード記憶装置に通知する高速利用可通知手段を備えており、前記コード送信手段は、前記高速利用可通知手段からの通知を受けた後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、コード送信手段が高速利用可通知手段からの通知を受けた後で、コード送信手段が高速経由コードを高速通信手段経由でコード実行装置に送信するので、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になった直後にブートコードを高速通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信することができる。したがって、本発明の画像形成装置は、更に高速にブートを完了することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、記録媒体に印刷を実行する印刷手段と、前記画像形成装置の外部の装置とネットワーク経由で通信を行うためのネットワーク通信手段とを備えており、前記コード記憶装置は、前記印刷手段を制御する印刷制御手段を備えており、前記コード実行装置は、前記ネットワーク通信手段を制御するネットワーク通信制御手段と、前記コード記憶装置のスリープ状態を解除するスリープ解除手段とを備えていても良い。
【0011】
本発明の画像形成装置は、従来より高速にブートを完了することができるので、印刷を制御する処理装置であるコード記憶装置と、ネットワーク経由の通信を制御する処理装置であるコード実行装置とを省エネのために分けている構成において、高速にブートが完了されるコード実行装置によってネットワーク経由の通信が従来より早期に制御可能になる。したがって、本発明の画像形成装置は、ネットワーク経由の印刷ジョブを従来より早期に印刷することができる。
【0012】
また、本発明のプログラムは、ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えている画像形成装置の前記コード記憶装置によって実行されるプログラムであって、前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段として前記コード記憶装置を機能させることを特徴とする。
【0013】
この構成により、本発明のプログラムを実行するコード記憶装置を備えている画像形成装置は、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になる前のブートコードを通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信し、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になった後のブートコードを高速通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信するので、従来より高速にブートを完了することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成システムは、ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置を備えている画像形成装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えており、前記コード記憶装置は、前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成システムは、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になる前のブートコードを通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信し、コード実行装置が高速通信手段を利用可能になった後のブートコードを高速通信手段経由でコード記憶装置からコード実行装置に送信するので、従来より高速に画像形成装置のブートを完了することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置は、従来より高速にブートを完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】図1に示すROMに記憶されているブートコードを示す図である。
【図3】図1に示すサブASICのブートの処理手順を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図5】図4に示すコード記憶部に記憶されているブートコードを示す図である。
【図6】図4に示すMFPのブートの処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。
【0021】
図1に示すように、MFP10は、MFP10全体を制御するメインコントローラ20と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する本発明の印刷手段としてのプリントエンジン30と、プリントエンジン30を制御するエンジンコントローラ40と、種々の情報を表示する表示部50と、利用者によって種々の操作が入力される操作部60と、原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナ70と、PC(Personal Computer)などの図示していない外部の装置とLAN(Local Area Network)などのネットワーク経由で通信を行うための本発明のネットワーク通信手段としてのネットワーク通信部80と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でFAX通信を行うためのファクシミリ通信部90とを備えている。
【0022】
メインコントローラ20は、ブートコードを記憶する処理装置である本発明のコード記憶装置としてのメインASIC(Application Specific Integrated Circuit)21と、メインASIC21から取得したブートコードに基づいてブートを実行する処理装置である本発明のコード実行装置としてのサブASIC22と、メインASIC21およびサブASIC22を接続する本発明の通信手段としてのSPI(Serial Peripheral Interface)23と、メインASIC21およびサブASIC22を接続し通信速度がSPI23より高速である本発明の高速通信手段としてのPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)24とを備えている。
【0023】
メインASIC21は、CPU(Central Processing Unit)21aと、CPU21aの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)21bと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)21cとを備えている。CPU21aは、ROM21cに記憶されているプログラムを実行することによってメインASIC21を動作させる演算処理装置である。RAM21bは、CPU21aによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0024】
メインASIC21は、メインコントローラ20の機能のうち、サブASIC22の機能以外の機能を実現するものである。例えば、メインASIC21のCPU21aは、エンジンコントローラ40を介してプリントエンジン30を制御するようになっており、本発明の印刷制御手段を構成している。
【0025】
サブASIC22は、CPU22aと、CPU22aの作業領域として用いられるRAM22bとを備えている。CPU22aは、メインASIC21のROM21cに記憶されているプログラムを実行することによってサブASIC22を動作させる演算処理装置である。RAM22bは、CPU22aによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0026】
サブASIC22は、メインコントローラ20の機能のうち、ネットワーク通信部80を介した通信の機能を実現するものである。このように、サブASIC22のCPU22aは、ネットワーク通信部80を制御するようになっており、本発明のネットワーク通信制御手段を構成している。
【0027】
SPI23は、PCIe24と比較して低速なバスである。PCIe24は、SPI23と比較して高速なバスである。なお、サブASIC22は、CPU22aによるRAM22bの準備処理の完了後に、PCIe24を利用可能となる。
【0028】
プリントエンジン30は、例えば、スキャナ70によって生成された画像データや、外部の装置からネットワーク通信部80を介して受信された印刷データや、外部のファクシミリ装置からファクシミリ通信部90を介して受信されたFAXデータなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0029】
エンジンコントローラ40は、図示していないCPUと、CPUの作業領域として用いられる図示していないRAMと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶している図示していないROMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによってエンジンコントローラ40を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0030】
表示部50は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0031】
操作部60は、表示部50とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスから構成されている。
【0032】
ネットワーク通信部80は、例えば、スキャナ70によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリントエンジン30で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりするようになっている。
【0033】
ファクシミリ通信部90は、例えば、スキャナ70によって生成された画像データを外部のファクシミリ装置にFAX送信したり、プリントエンジン30で印刷されるためのFAXデータを外部のファクシミリ装置から受信したりするようになっている。
【0034】
図2は、ROM21cに記憶されているブートコードを示す図である。
【0035】
図2に示すように、ROM21cは、メインASIC21用のブートコードであるメイン用ブートコード25を記憶している。また、ROM21cは、サブASIC22用のブートコードであるサブ用ブートコード26を記憶しており、本発明のコード記憶手段を構成している。サブ用ブートコード26は、RAM22bの準備処理以前のブートコードであるサブ用第1ブートコード26aと、RAM22bの準備処理後のブートコードであるサブ用第2ブートコード26bとを備えている。ここで、サブASIC22は、上述したように、CPU22aによるRAM22bの準備処理の完了後に、PCIe24を利用可能となる。つまり、サブ用第1ブートコード26aは、サブASIC22がPCIe24を利用可能になるためのブートコードであり、本発明の高速利用化コードを構成している。また、サブ用第2ブートコード26bは、後述するように、PCIe24経由でサブASIC22に送信されるブートコードであり、本発明の高速経由コードを構成している。
【0036】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0037】
MFP10が起動されるとき、メインASIC21のCPU21aは、ROM21cからメイン用ブートコード25を読み出し、読み出したメイン用ブートコード25をRAM21b上に展開してブートを完了する。
【0038】
図3は、サブASIC22のブートの処理手順を示すシーケンス図である。
【0039】
また、メインASIC21のCPU21aは、図3に示すように、ROM21cからサブ用ブートコード26を読み出し、読み出したサブ用ブートコード26をサブASIC22に転送する処理を開始する(S101)。なお、CPU21aは、サブ用ブートコード26をサブASIC22に転送する処理を開始すると、サブ用ブートコード26の全てをサブASIC22に転送するまで、他の処理を実行しない。
【0040】
次いで、CPU21aは、ROM21cから読み出したサブ用ブートコード26のサブ用第1ブートコード26aをSPI23経由でサブASIC22に転送してサブASIC22のRAM22bに直接展開する(S102)。このように、CPU21aは、サブ用ブートコード26をサブASIC22に送信するようになっており、本発明のコード送信手段を構成している。なお、CPU21aは、サブASIC22のRAM22bへのサブ用第1ブートコード26aの展開を完了すると、サブASIC22のCPU22aにブートを開始させるための信号(以下「ブート開始信号」という。)を図示していない信号線を介してCPU22aに送信する。
【0041】
サブASIC22のCPU22aは、メインASIC21のCPU21aからブート開始信号を受信すると、RAM22bに展開されているサブ用第1ブートコード26aに基づいてブートを実行する。つまり、CPU22aは、サブ用第1ブートコード26aに基づいてRAM22bの準備処理を実行する(S111)。
【0042】
CPU22aは、RAM22bの準備処理を完了すると、RAM22bの準備処理の完了を図示していない信号線を介してメインASIC21のCPU21aに通知する(S112)。ここで、RAM22bの準備処理は、サブASIC22がPCIe24を利用可能にする処理である。すなわち、S112の通知は、サブASIC22がPCIe24を利用可能になったことの通知である。このように、CPU22aは、サブASIC22がPCIe24を利用可能になったことをメインASIC21に通知するようになっており、本発明の高速利用可通知手段を構成している。
【0043】
メインASIC21のCPU21aは、RAM22bの準備処理の完了の通知をサブASIC22のCPU22aから図示していない信号線を介して受けると、ROM21cから読み出したサブ用ブートコード26のサブ用第2ブートコード26bをPCIe24経由でサブASIC22に転送する(S103)。
【0044】
サブASIC22のCPU22aは、メインASIC21からPCIe24経由でサブ用第2ブートコード26bを受信すると、受信したサブ用第2ブートコード26bをRAM22b上に展開してブートを実行する。つまり、CPU22aは、サブ用第2ブートコード26bに基づいて残りのブート処理を実行する(S113)。
【0045】
以上のようにMFP10が起動された後、利用者によってMFP10が一定時間利用されないなどの所定の条件が満たされたとき、メインASIC21のCPU21aは、メインASIC21をスリープ状態に移行させて省エネを実現する。メインASIC21がスリープ状態であるとき、MFP10の外部の装置から印刷データが送られてくると、サブASIC22のCPU22aは、ネットワーク通信部80を介して印刷データを受信するとともに、メインASIC21のスリープ状態を解除する信号を図示していない信号線を介してメインASIC21のCPU21aに送信する。この信号を受けたメインASIC21のCPU21aは、ROM21cからメイン用ブートコード25を読み出し、読み出したメイン用ブートコード25をRAM21b上に展開してブートを完了する。このように、サブASIC22のCPU22aは、メインASIC21のスリープ状態を解除するようになっており、本発明のスリープ解除手段を構成している。
【0046】
以上に説明したように、MFP10は、サブASIC22がPCIe24を利用可能になる前のブートコードであるサブ用第1ブートコード26aをSPI23経由でメインASIC21からサブASIC22に送信し(S102)、サブASIC22がPCIe24を利用可能になった後のブートコードであるサブ用第2ブートコード26bをPCIe24経由でメインASIC21からサブASIC22に送信する(S103)ので、従来より高速にブートを完了することができる。
【0047】
また、MFP10は、メインASIC21のCPU21aがサブASIC22のCPU22aからの通知(S112)を受けた後でサブ用第2ブートコード26bをPCIe24経由でサブASIC22に送信する(S103)ので、サブASIC22がPCIe24を利用可能になった直後に、ブートコードをPCIe24経由でメインASIC21からサブASIC22に送信することができる。したがって、MFP10は、更に高速にブートを完了することができる。
【0048】
MFP10は、従来より高速にブートを完了することができるので、印刷を制御する処理装置であるメインASIC21と、ネットワーク経由の通信を制御する処理装置であるサブASIC22とを省エネのために分けている構成であるが、高速にブートが完了されるサブASIC22によってネットワーク経由の通信が従来より早期に制御可能になる。したがって、MFP10は、ネットワーク経由の印刷ジョブを従来より早期に印刷することができる。
【0049】
なお、メインASIC21のCPU21aは、サブASIC22のCPU22aからの通知(S112)を受けた後でサブ用第2ブートコード26bをPCIe24経由でサブASIC22に送信する(S103)ようになっているが、サブ用第1ブートコード26aをSPI23経由でサブASIC22に送信した後(S102)、所定の時間の経過時に、サブ用第2ブートコード26bをPCIe24経由でサブASIC22に送信する(S103)ようになっていても良い。このようになっている場合、サブASIC22からメインASIC21への通知(S112)は、省略されても良い。
【0050】
本実施の形態において、サブASIC22は、メインコントローラ20の機能のうち、ネットワーク通信部80を介した通信の機能を実現するものであり、メインASIC21は、メインコントローラ20の機能のうち、サブASIC22の機能以外の機能を実現するものである。しかしながら、メインASIC21およびサブASIC22の機能の分担は、上述した分担に限られるものではない。
【0051】
本発明の通信手段は、本実施の形態においてSPI23であるが、他の種類のバスであっても良い。同様に、本発明の高速通信手段は、本実施の形態においてPCIe24であるが、他の種類のバスであっても良い。
【0052】
本発明の高速通信手段がPCIe24以外のバスである場合、サブASIC22が高速通信手段を利用可能になるための処理は、RAM22bの準備処理に限らず、高速通信手段の種類によって様々である。
【0053】
本実施の形態において、メインASIC21からサブASIC22へのブートコードの転送は、SPI23経由の転送と、PCIe24経由の転送という2段階の転送であるが、転送速度が徐々に高速になる3段階以上の転送であっても良い。
【0054】
なお、本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンタなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【0055】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0056】
図4は、本実施の形態に係る画像形成システム210のブロック図である。
【0057】
図4に示すように、画像形成システム210は、本発明の画像形成装置としてのMFP220と、MFP220のブートコードを記憶する処理装置である本発明のコード記憶装置としてのPC230と、MFP220およびPC230を接続するネットワーク240とを備えている。
【0058】
MFP220は、MFP220全体を制御するメインコントローラ221の他、第1の実施の形態に係るMFP10(図1参照。)と同様に、図示していないプリントエンジン、エンジンコントローラ、表示部、操作部、スキャナ、ネットワーク通信部およびファクシミリ通信部を備えている。
【0059】
メインコントローラ221は、図示していないCPUと、CPUの作業領域として用いられる図示していないRAMと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶している図示していないROMとを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行することによってメインコントローラ221を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0060】
メインコントローラ221は、CPUがプログラムを実行することによって、PC230との通信を行う低速通信部221aおよび高速通信部221bとして機能する。高速通信部221bが使用するプロトコルは、低速通信部221aが使用するプロトコルと比較して通信速度が高速である。メインコントローラ221は、PC230から取得したブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であり、本発明のコード実行装置を構成している。
【0061】
PC230は、図示していないCPUと、CPUの作業領域として用いられる図示していないRAMと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶している図示していないROMおよびHDD(Hard Disk Drive)とを備えている。CPUは、ROMやHDDに記憶されているプログラムを実行することによってPC230を動作させる演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0062】
PC230は、MFP220のブートコードを記憶する本発明のコード記憶手段としてのコード記憶部230aをHDDによって構成している。
【0063】
また、PC230は、CPUがプログラムを実行することによって、MFP220のブートコードをMFP220のメインコントローラ221に送信する本発明のコード送信手段としてのコード送信部230bと、メインコントローラ221の低速通信部221aと通信を行う低速通信部230cと、メインコントローラ221の高速通信部221bと通信を行う高速通信部230dとして機能する。
【0064】
なお、MFP220のメインコントローラ221の低速通信部221aと、PC230の低速通信部230cとは、メインコントローラ221およびPC230をネットワーク240経由で接続するようになっており、本発明の通信手段を構成している。また、MFP220のメインコントローラ221の高速通信部221bと、PC230の高速通信部230dとは、通信速度が低速通信部221aおよび低速通信部230cより高速なプロトコルによってメインコントローラ221およびPC230をネットワーク240経由で接続するようになっており、本発明の高速通信手段を構成している。
【0065】
図5は、コード記憶部230aに記憶されているMFP220のブートコード231を示す図である。
【0066】
図5に示すように、コード記憶部230aに記憶されているMFP220のブートコード231は、MFP220のメインコントローラ221が高速通信部221bを利用可能になるためのブートコードである本発明の高速利用化コードとしての第1ブートコード231aと、高速通信部221bでメインコントローラ221に送信されるブートコードである本発明の高速経由コードとしての第2ブートコード231bとを備えている。
【0067】
次に、MFP220の動作について説明する。
【0068】
MFP220が起動されるとき、メインコントローラ221のCPUは、ネットワーク240経由でPC230にMFP220のブートコード231を要求する。
【0069】
図6は、MFP220のブートの処理手順を示すシーケンス図である。
【0070】
PC230のコード送信部230bは、MFP220からブートコード231が要求されると、図6に示すように、コード記憶部230aからブートコード231を読み出し、読み出したブートコード231をMFP220に送信する処理を開始する(S301)。
【0071】
次いで、コード送信部230bは、コード記憶部230aから読み出したブートコード231の第1ブートコード231aを低速通信部230cおよび低速通信部221a経由でMFP220に送信する(S302)。
【0072】
MFP220のメインコントローラ221は、PC230から低速通信部230cおよび低速通信部221a経由で第1ブートコード231aを受信すると、受信した第1ブートコード231aをRAM上に展開してブートを実行する。つまり、メインコントローラ221は、第1ブートコード231aに基づいて高速通信部221bの利用化処理を実行する(S311)。
【0073】
メインコントローラ221は、高速通信部221bの利用化処理を完了すると、高速通信部221bを利用可能になったことを低速通信部221aおよび低速通信部230c経由でPC230に通知する(S312)。
【0074】
PC230のCPUは、メインコントローラ221が高速通信部221bを利用可能になったことの通知をMFP220から低速通信部221aおよび低速通信部230c経由で受けると、コード記憶部230aから読み出したブートコード231の第2ブートコード231bを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でMFP220に送信する(S303)。
【0075】
MFP220のメインコントローラ221は、PC230から高速通信部230dおよび高速通信部221b経由で第2ブートコード231bを受信すると、受信した第2ブートコード231bをRAM上に展開してブートを実行する。つまり、メインコントローラ221は、第2ブートコード231bに基づいて残りのブート処理を実行する(S313)。
【0076】
以上に説明したように、画像形成システム210は、MFP220が高速通信部221bを利用可能になる前のブートコードである第1ブートコード231aを低速通信部230cおよび低速通信部221a経由でPC230からMFP220に送信し(S302)、MFP220が高速通信部221bを利用可能になった後のブートコードである第2ブートコード231bを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でPC230からMFP220に送信する(S303)ので、従来より高速にMFP220のブートを完了することができる。
【0077】
また、画像形成システム210は、PC230のCPUがMFP220のメインコントローラ221からの通知(S312)を受けた後で第2ブートコード231bを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でMFP220に送信する(S303)ので、MFP220が高速通信部230dおよび高速通信部221bを利用可能になった直後に、ブートコードを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でPC230からMFP220に送信することができる。したがって、画像形成システム210は、更に高速にブートを完了することができる。
【0078】
なお、PC230のCPUは、MFP220のメインコントローラ221からの通知(S312)を受けた後で第2ブートコード231bを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でMFP220に送信する(S303)ようになっているが、第1ブートコード231aを低速通信部230cおよび低速通信部221a経由でMFP220に送信した後(S302)、所定の時間の経過時に、第2ブートコード231bを高速通信部230dおよび高速通信部221b経由でMFP220に送信する(S303)ようになっていても良い。このようになっている場合、MFP220からPC230への通知(S312)は、省略されても良い。
【0079】
本実施の形態において、PC230からMFP220へのブートコードの送信は、低速通信部230cおよび低速通信部221a経由の送信と、高速通信部230dおよび高速通信部221b経由の送信という2段階の送信であるが、送信速度が徐々に高速になる3段階以上の送信であっても良い。
【0080】
なお、本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンタなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0081】
10 MFP(画像形成装置)
21 メインASIC(コード記憶装置)
21a CPU(コード送信手段、印刷制御手段)
21c ROM(コード記憶手段)
22 サブASIC(コード実行装置)
22a CPU(高速利用可通知手段、ネットワーク通信制御手段、スリープ解除手段)
23 SPI(通信手段)
24 PCIe(高速通信手段)
26 サブ用ブートコード
26a サブ用第1ブートコード(高速利用化コード)
26b サブ用第2ブートコード(高速経由コード)
30 プリントエンジン(印刷手段)
80 ネットワーク通信部(ネットワーク通信手段)
210 画像形成システム
220 MFP(画像形成装置)
221 メインコントローラ(コード実行装置)
221a 低速通信部(通信手段)
221b 高速通信部(高速通信手段)
230 PC(コード記憶装置)
230a コード記憶部(コード記憶手段)
230b コード送信部(コード送信手段)
230c 低速通信部(通信手段)
230d 高速通信部(高速通信手段)
231 ブートコード
231a 第1ブートコード(高速利用化コード)
231b 第2ブートコード(高速経由コード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えており、
前記コード記憶装置は、前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コード実行装置は、前記高速通信手段を利用可能になったことを前記コード記憶装置に通知する高速利用可通知手段を備えており、
前記コード送信手段は、前記高速利用可通知手段からの通知を受けた後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
記録媒体に印刷を実行する印刷手段と、前記画像形成装置の外部の装置とネットワーク経由で通信を行うためのネットワーク通信手段とを備えており、
前記コード記憶装置は、前記印刷手段を制御する印刷制御手段を備えており、
前記コード実行装置は、前記ネットワーク通信手段を制御するネットワーク通信制御手段と、前記コード記憶装置のスリープ状態を解除するスリープ解除手段とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えている画像形成装置の前記コード記憶装置によって実行されるプログラムであって、
前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段として前記コード記憶装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
ブートコードを記憶する処理装置であるコード記憶装置と、前記コード記憶装置から取得した前記ブートコードに基づいてブートを実行する処理装置であるコード実行装置を備えている画像形成装置と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続する通信手段と、前記コード記憶装置および前記コード実行装置を接続し通信速度が前記通信手段より高速である高速通信手段とを備えており、
前記コード記憶装置は、前記コード実行装置が前記高速通信手段を利用可能になるための前記ブートコードである高速利用化コードと、前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信される前記ブートコードである高速経由コードとを記憶するコード記憶手段と、前記高速利用化コードを前記通信手段経由で前記コード実行装置に送信した後で、前記高速経由コードを前記高速通信手段経由で前記コード実行装置に送信するコード送信手段とを備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−15812(P2012−15812A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150481(P2010−150481)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】