画像形成装置
【課題】複数の制御部を用いた分散制御を行うとともに、複数の制御部の中で、各制御部の制御負荷に基づき、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、複数の制御部を備え、分散制御を実施するとともに、監視実行権を有する何れか1つの制御部が各制御部の異常状態を監視する。さらに、各制御部は、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を自身の処理負荷から判定し、監視実行権を有している場合に監視可否情報が予め定められた情報を満たしていなければ、満たしている他の制御部へ監視実行権を委譲する。
【解決手段】本画像形成装置は、複数の制御部を備え、分散制御を実施するとともに、監視実行権を有する何れか1つの制御部が各制御部の異常状態を監視する。さらに、各制御部は、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を自身の処理負荷から判定し、監視実行権を有している場合に監視可否情報が予め定められた情報を満たしていなければ、満たしている他の制御部へ監視実行権を委譲する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造を有する複数のCPU群を有する分散制御システムによって実現された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置のプリンタデバイス制御では、1つのCPUによる集中制御が行われている。しかし、制御の一点集中によるCPU負荷の増大によって、より高性能なCPUが必要となる。さらに、プリンタデバイスの制御負荷の増大に伴い、通信ケーブル(通信束線)をCPU基板から離れた制御負荷ドライバユニットまで引き回す必要があり、長大な通信ケーブルが多数必要となっていた。このような問題を解決するために、電子写真システムを構成する各制御モジュールを個々のサブCPUに分割する制御形態が注目されている。
【0003】
このように複数のCPUにより個々の部分モジュール制御機能を分割して制御システムを構築する例については、いくつかの制御機器製品分野で提案されている。例えば、車両における機能モジュールを階層的に配置し分散制御を行うシステムや、階層的な制御構造をロボット・自動化機器に適用しているシステムが。また、これらの複数のサブCPU同士は全体をシステムとして動作させるための通信部を当然有しており、各CPUは、通信部を通じてCPU間で情報共有やシステムの制御を実現している。
【0004】
このような通信部を介して分割制御するシステム(以下、分散システムと称する。)では、異常検知が重要な課題となる。分散システムにおける異常には、通信部自体の物理的異常と各CPUを動作させるアプリケーションソフトが引き起こす論理的異常が存在する。物理的異常の検知には、例えばシリアル通信のパリティチェックやCRCチェックが一般的な技術として知られている。また、CAN(Control Area Network)におけるエラー回数をカウントしてネットワークから切り出す技術等のように各通信プロトコル独自でネットワークの信頼性をさらに向上させる技術が知られている。これらの物理的異常を検知する技術はハードウェアによって実現されているケースも多く精度良く異常検知を行うことができる。
【0005】
一方、論理的異常の検知では以下のような技術が提案されている。例えば、特許文献1には、マスタCPUと、スレーブCPUと、異常が検知された場合に当該マスタCPU及びスレーブCPUにリセット信号を供給するタイマとを備えるコントローラが提案されている。当該マスタCPUは、自身が正常なときに一定時間ごとにタイマをクリアする信号をタイマに出力する。即ち、マスタCPUに異常が発生した場合は上記タイマをクリアする信号が出力されず、タイマが満了するためマスタCPU及びスレーブCPUにリセット信号が通知されることとなる。また、マスタCPUは、スレーブCPUから出力されたデータを監視し、当該データからスレーブCPUで異常が発生したと判断した場合にはスレーブCPUに対して強制リセット信号を供給している。また、特許文献2には、自己デバイスとは異なる他のデバイスを監視し、その監視結果をデバイス管理サーバ又は当該他のデバイスに通知する他デバイス監視機能を備えるデバイスが提案されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、異常監視用の監視制御回路部を別途設けた電子制御装置が提案されている。当該監視制御回路部は、不揮発プログラムメモリの内容と入力センサ群の動作状態とに応動して電気負荷群を制御するマイクロプロセッサに対して、照会パケットによって多数の質問事項を順次送信し、マイクロプロセッサからの応答内容と正解情報とを比較して異常判定を行う。マイクロプロセッサは、照会パケットの受信間隔を診断して監視制御回路部の監視動作を逆監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−186691号公報
【特許文献2】特開2004−220562号公報
【特許文献3】特開2005−031865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術例を分散システムに適用することは以下に記載する問題がある。例えば、マスタCPUからタイマをクリアする方法では、スレーブCPUに異常が発生した場合にマスタCPUで検知することが難しい。したがって、スレーブCPUにおける最適な異常処理制御を実現することが困難となる。また、特許文献2の場合、異常情報は検知したノード及びそれを通知された別ノードしか受け取ることができず、その他のノードは当該異常を知ることが困難となる。さらに、監視するノードの制御負荷が大きくなると、一般的に負荷制御よりも実行優先度の低い異常検知制御の実行頻度が下がるため、異常が発生してから検知するまでの時間が増大してしまう。また、特許文献3のように、監視制御回路部や異常検知専用ノードを有する場合には、当然ながらコストの増大を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、複数の制御部を用いた分散制御を行うとともに、複数の制御部の中で、各制御部の制御負荷に基づき、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、第1の制御部と、第2の制御部と、第3の制御部とを備え、各制御部を用いて分散制御を行う画像形成装置として実現できる。第1の制御部及び第2の制御部は、異常状態を監視するための監視実行権を有する場合に、第3の制御部の異常状態を監視する監視手段を備え、第1の制御部は、自身の処理負荷に応じて異常状態を監視可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、第1の制御部は、監視実行権を有する場合に、判定手段によって異常状態を監視不可能であると判定されると、第2の制御部に監視実行権を委譲することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の制御部を用いた分散制御を行うとともに、複数の制御部の中で、各制御部の制御負荷に基づき、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1000の概観を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成部300の構成例を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係るマスタCPU、サブマスタCPU及びスレーブCPUの関連を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置1000の制御基板の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るマスタCPUとサブマスタCPUとの間の異常検知制御の制御フローを示すシーケンス図である。
【図6】本実施形態に係る状態通知のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るアイドル間隔の計算方法を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る監視実行権を有するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る状態要求を受信したCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係るサブマスタCPUとスレーブCPUとの間の異常検知制御の制御フローを示すシーケンス図である。
【図11】本実施形態に係る状態要求を送信するサブマスタCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係るサブマスタCPUとスレーブCPUとの間の異常が検知された場合の制御フローを示すシーケンス図である。
【図13】本実施形態に係る監視実行権を委譲するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<画像形成装置の構成>
以下では、図1乃至図13を参照して、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1000の概観を示す。画像形成装置1000は、自動原稿搬送装置100、画像読取部200、画像形成部300、及び操作部10を備える。図1に示すように、画像読取部200は、画像形成部300の上に載置されている。さらに、画像読取部200上には、自動原稿搬送装置(DF)100が載置されている。また、本画像形成装置1000は、複数の制御部(CPU)を用いて分散制御を実現する。各CPUの構成については、図3を用いて後述する。
【0014】
自動原稿搬送装置100は、原稿を自動的に原稿台ガラス上に搬送する。画像読取部200は、自動原稿搬送装置100から搬送された原稿を読み取って画像データを出力する。画像形成部300は、自動原稿搬送装置100から出力された画像データやネットワークを介して接続された外部装置から入力された画像データに従って記録材に画像を形成する。操作部10は、ユーザが各種操作を行うためのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を有する。さらに、操作部10は、タッチパネル等の表示部を有し、ユーザに対して情報を提示することもできる。
【0015】
次に、図2を参照して、画像形成部300の詳細について説明する。なお、本実施形態の画像形成部300は電子写真方式を採用している。なお、図2の参照番号の末尾に示すアルファベットY、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナーに対応した各エンジンを示す。以下では、全てのトナーに対応するエンジンを示す場合は末尾のアルファベットY、M、C、Kを省略して参照番号を記載し、個別に示す場合は参照番号の末尾にアルファベットY、M、C、Kを付記して記載する。
【0016】
像担持体としてフルカラー静電画像を形成するための感光ドラム(以下、単に「感光体」と称する。)225は、モータで矢印Aの方向に回転可能に設けられる。感光体225の周囲には、一次帯電装置221、露光装置218、現像装置223、転写装置220、クリーナ装置222、除電装置271及び表面電位計273が配置されている。
【0017】
現像装置223Kはモノクロ現像のための現像装置であり、感光体225K上の潜像をKのトナーで現像する。また現像装置223Y、M、Cはフルカラー現像のための現像装置であり、現像装置223Y、M、Cは、感光体225Y、M、C上の潜像をそれぞれY、M、Cのトナーで現像する。感光体225上に現像された各色のトナー像は、転写装置220によって中間転写体である転写ベルト226に一括で多重転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。
【0018】
転写ベルト226は、ローラ227、228、229に張架されている。ローラ227は、駆動源に結合されて転写ベルト226を駆動する駆動ローラとして機能し、ローラ228は転写ベルト226の張力を調節するテンションローラとして機能する。また、ローラ229は、2次転写装置231としての転写ローラのバックアップローラとして機能する。転写ローラ脱着ユニット250は、2次転写装置231を転写ベルト226に接着させるか、又は離脱させるための駆動ユニットである。2次転写装置231を通過した後の転写ベルト226の下部にはクリーナブレード232が設けられており、転写ベルト226上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
【0019】
カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材(記録紙)は、レジストローラ255、給紙ローラ対235及び縦パスローラ対236、237によってニップ部、つまり2次転写装置231と転写ベルト226との当接部に給送される。なお、その際2次転写装置231は、転写ローラ脱着ユニット250ことによって転写ベルト226に当接されている。転写ベルト226上に形成されたトナー像は、このニップ部で記録材上に転写される。その後、トナー像が転写された記録材は、定着装置234でトナー像が熱定着されて装置外へ排出される。
【0020】
カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材の有無を検知するためのシートなし検知センサ243、244、245を備える。また、カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材のピックアップ不良を検知するための給紙センサ247、248、249を備える。
【0021】
ここで、画像形成部300による画像形成動作について説明する。画像形成が開始されると、カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材は、ピックアップローラ238、239、254により1枚毎に給紙ローラ対235に搬送される。記録材は、給紙ローラ対235によりレジストローラ255へと搬送されると、その直前のレジストセンサ256により記録材の通過が検知される。
【0022】
レジストセンサ256により記録材の通過が検知された時点で、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は停止しているレジストローラ255に突き当たり搬送が停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように搬送位置が固定され、記録材の搬送方向が搬送経路に対してずれた状態の斜行が補正される。以下では、この処理を位置補正と称する。位置補正は、以降の記録材に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。位置補正後、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は、2次転写装置231へ供給される。なお、レジストローラ255は、駆動源に結合され、クラッチによって駆動が伝えられることで回転駆動を行う。
【0023】
次に、一次帯電装置221に電圧を印加して感光体225の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電させる。続いて、帯電された感光体225上の画像部分が所定の露光部電位になるようにレーザスキャナ部からなる露光装置218で露光を行い潜像が形成される。露光装置218はプリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られてくる画像データに基づいてレーザ光をオン、オフすることによって画像に対応した潜像を形成する。なお、表面電位計273は、一次帯電装置221によって一様にその表面を帯電された感光体225の表面電位を測定し、出力する。
【0024】
また、現像装置223の現像ローラには各色毎に予め設定された現像バイアスが印加されており、上記潜像は、現像ローラの位置を通過する際にトナーで現像され、トナー像として可視化される。トナー像は、転写装置220により転写ベルト226に転写され、さらに2次転写装置231で、給紙部より搬送された記録材に転写された後、レジスト後搬送パス268を通過し、定着搬送ベルト230を介して、定着装置234へと搬送される。
【0025】
定着装置234では、まずトナーの吸着力を補って画像乱れを防止するために、定着前帯電器251、252で帯電され、さらに定着ローラ233でトナー画像が熱定着される。その後、記録材は、排紙フラッパ257により排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙ローラ270によってそのまま排紙トレイ242に排紙される。
【0026】
感光体225上に残留したトナーは、クリーナ装置222で除去、回収される。最後に、感光体225は、除電装置271で一様に0ボルト付近まで除電されて、次の画像形成サイクルに備える。
【0027】
画像形成装置1000によるカラーの画像形成開始タイミングは、Y、M、C、Kの同時転写であるため転写ベルト226上の任意の位置に画像形成を行うことが可能である。しかし、感光体225Y、M、C上のトナー像を転写する位置のずれ分をタイミング的にシフトさせながら画像形成開始タイミングを決定する必要がある。
【0028】
なお、画像形成部300においては、記録材を連続的にカセット240、241及び手差し給紙部253より給送させることが可能である。この場合、先行する記録材のシート長を考慮し、記録材が重なり合わないような最短の間隔でカセット240、241及び手差し給紙部253からの給紙を行う。上述したように、位置補正後に、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は2次転写装置231へ供給されるが、2次転写装置231に到達すると、再びレジストローラ255が一時停止される。これは、後続の記録材に対して先行する記録材と同様に位置補正を行うためである。
【0029】
次に、記録材の裏面に画像を形成する場合の動作について詳細に説明する。記録材の裏面に画像を形成する際には、まず記録材の表面への画像形成が先行して実行される。表面のみの画像形成であれば、定着装置234でトナー像が熱定着された後に、そのまま排紙トレイ242に排紙される。一方、引き続き裏面の画像形成を行なう場合、センサ269で記録材が検知されると、排紙フラッパ257により裏面パス259側に搬送パスが切り替えられ、それに併せた反転ローラ260の回転駆動により記録材が両面反転パス261に搬送される。その後、記録材は、送り方向幅の分だけ両面反転パス261に搬送された後に反転ローラ260の逆回転駆動により進行方向が切り替えられ、表面に画像形成された画像面を下向きにして両面パス搬送ローラ262の駆動により両面パス263に搬送される。
【0030】
続いて、記録材は、両面パス263を再給紙ローラ264に向かって搬送されると、その直前の再給紙センサ265により通過が検知される。再給紙センサ265により記録材の通過が検知されると、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は、停止している再給紙ローラ264に突き当たり搬送が一時停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように位置が固定され、記録材の搬送方向が再給紙パス内の搬送経路に対してずれる斜行が補正される。以下では、この処理を再位置補正と称する。
【0031】
再位置補正は、以降の記録材裏面に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。再位置補正後、再給紙ローラ264を起動させることにより、記録材は、表裏が逆転した状態で再度給紙パス266上に搬送される。その後の画像形成動作については、上述した表面の画像形成動作と同じであるためここでは省略する。このように表裏両面に画像形成された記録材は、そのまま排紙フラッパ257より排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙トレイ242に排紙される。
【0032】
なお、本画像形成部300においては、両面印刷時においても、記録材の連続給送が可能である。しかしながら、記録材への画像形成や形成されたトナー像の定着などを行うための装置は1系統しか有していないため、表面への印刷と裏面への印刷を同時に行うことはできない。したがって、両面印刷時においては、画像形成部300に対し、カセット240、241及び手差し給紙部253からの記録材と、裏面印刷のために反転させて画像形成部に再度給送された記録材とは交互に画像形成されることとなる。
【0033】
本画像形成部300は、図2に示す各制御負荷を、後述する搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、定着モジュール283という4つの制御ブロックに分けて各々が自律的に制御されている。さらに、これらの4つの制御ブロックを統括して画像形成装置として機能させるためのマスタモジュール284を有する。以下では、各モジュールの制御構成について図3を用いて説明する。
【0034】
図3は、本実施形態に係るマスタCPU、サブマスタCPU及びスレーブCPUの関連を模式的に示す図である。本実施形態において、マスタモジュール284に備えられるマスタCPU(マスタ制御部/第1層制御部)1001は、プリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られる指示及び画像データに基づいて画像形成装置1000の全体を制御する。また、画像形成を実行するための搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、及び定着モジュール283は、各機能を制御するサブマスタCPU(サブマスタ制御部/第2層制御部)601、901、701、801を備える。サブマスタCPU601、901、701、801はマスタCPU1001により制御される。さらに、各機能モジュールは、さらに、各機能を実行するための制御負荷を動作させるためのスレーブCPU(スレーブ制御部/第3層制御部)602、603、604、605、902、903、702、703、704、705、706、802、803を備える。スレーブCPU602、603、604、605はサブマスタCPU601に、スレーブCPU902、903はサブマスタCPU901に、スレーブCPU702、703、704、705、706はサブマスタCPU701に、スレーブCPU802、803はサブマスタCPU801に制御される。本画像形成装置は、これらの複数のCPUを備え、分散制御システムを実現している。
【0035】
図3に示すように、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901は共通のネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。サブマスタCPU601、701、801、901同士の間もネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。なお、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901はリング接続されるものでもよい。サブマスタCPU601は、さらに、高速シリアル通信バス(第2信号線)612、613、614、615を介して、複数のスレーブCPU602、603、604、605のそれぞれと1対1接続(ピアツーピア接続)されている。同様に、サブマスタCPU701は、高速シリアル通信バス(第2信号線)711、712、713、714、715を介して、それぞれスレーブCPU702、703、704、705、706と接続される。サブマスタCPU801は、高速シリアル通信バス(第2信号線)808、809を介して、それぞれスレーブCPU802、803と接続される。サブマスタCPU901は、高速シリアル通信バス(第2信号線)909、910を介して、それぞれスレーブCPU902、903と接続される。ここで、高速シリアル通信バスは、短距離高速通信に用いられる。
【0036】
本実施形態に係る画像形成装置1000において、タイミングに依存した応答性が必要とされる制御に関しては、各サブマスタCPUに統括された機能モジュール内で実現されるように機能分割されている。そのため、末端の制御負荷を駆動するための各スレーブCPUと各サブマスタCPUとの間の通信は、応答性のよい高速シリアル通信バスによって接続されている。つまり、上記第2信号線には、上記第1信号線よりもデータ転送のタイミング精度が高い信号線が用いられる。
【0037】
一方、サブマスタCPU601、701、801、901とマスタCPU1001との間では、精密な制御タイミングを必要としない、画像形成動作の大まかな処理の流れを統括するようなやり取りだけが行われる。例えば、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、画像形成前処理開始、給紙開始、画像形成後処理開始といった指示を出す。また、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、コントローラ460から指示されたモード(例えばモノクロモードや両面画像形成モードなど)に基づいた指示を画像形成開始の前に出す。サブマスタCPU601、701、801、901のそれぞれの間でも、精密なタイミング制御を必要としないやり取りだけが行われる。すなわち、画像形成装置の制御を、相互に精密なタイミング制御を必要としない制御単位に分け、それぞれのサブマスタCPUがそれぞれの制御単位を精密なタイミングで制御する。これにより、本画像形成装置1000では、通信トラフィックを最小限に抑え、低速で安価なネットワーク型通信バス1002で接続することを可能としている。なお、マスタCPU、サブマスタCPU、及びスレーブCPUについては、実装される制御基板が必ずしも一律である必要はなく、装置実装上の事情に合わせて可変的に配置させることが可能である。
【0038】
次に、図4を参照して、本実施形態における具体的なマスタCPU、サブマスタCPU、スレーブCPUの基板構成上の配置について説明する。本実施形態によれば、図4に示すように、様々な制御基板の構成を採用することができる。例えば、サブマスタCPU601とスレーブCPU602、603、604、605とは、同一の基板上に実装されている。また、サブマスタCPU701及びスレーブCPU702、703、704、又は、サブマスタCPU801及びスレーブCPU802、803のように、サブマスタCPUと個々のスレーブCPUが独立の基板として実装されてもよい。また、スレーブCPU705、706のように一部のスレーブCPUが同一の基板上に実装されてもよい。また、サブマスタCPU901及びスレーブCPU902のように、サブマスタCPUとスレーブCPUの一部だけが同一基板上に配置されてもよい。
【0039】
<異常検知制御>
次に、本発明の特徴となる異常検知制御について説明する。従来の分散制御やネットワークコンピューティングの異常検知制御では、所定の1つのモジュールや1つのノードが統括的に他のモジュールや他のノードの異常状態を検知している。このような場合、異常検知制御を実施しているモジュールやノード自身に異常が発生すると、制御システム全体の異常検知が機能しなくなるという問題がある。また、異常検知制御の実行は概して優先順位が下げられているため、当該モジュールやノードにおいて、異常検知制御以外の処理が多く発生すればするほど、異常検知制御の単位時間あたりの実行回数が低減されるという問題もある。これは、異常検知専用にモジュールやノードを用意することによって解決可能だが、当然コストの増大に繋がる。また、決められたモジュールやノード同士で異常を検知することによって、異常検知制御の負荷を分散させる方式も考えられる。しかしながら、監視対象が少なくなるために異常を検知したときの異常発生時処理等においてシステム全体における処理が複雑となり、望まれる処理を実行することが困難となる可能性がある。特に、本実施形態で説明している画像形成装置では例えば用紙搬送を行っている全てのモータを同時に停止させなければ用紙が搬送パス内で折れ曲がる可能性がある。このような問題を解決するために、本発明では監視実行権を委譲する方式を採用する。
【0040】
まず、図5を参照して、本実施形態における基本的な異常検知制御の制御フローについて説明する。このフローではマスタCPU1001が異常検知処理を実行するための監視実行権を有しているパターンを示している。まず、マスタCPU1001は、S1401でサブマスタCPU601へ搬送状態要求1を送信し、S1402でサブマスタCPU701へ作像状態要求を送信し、S1403でサブマスタCPU801へ定着状態要求を送信し、S1404でサブマスタCPU901へ搬送状態要求2を送信する。これに対して、サブマスタCPU601は、S1405でマスタCPU1001へ搬送状態通知1を送信する。また、サブマスタCPU701は、S1406でマスタCPU1001へ作像状態通知を送信する。また、サブマスタCPU801は、S1407でマスタCPU1001へ定着状態通知を送信する。さらに、サブマスタCPU901は、S1408でマスタCPU1001へ搬送状態通知2を送信する。ここで、マスタCPU1001は、通知された各状態に基づいて異常状態を判断する。なお、本実施形態に係る画像形成装置では、上記マスタCPU1001の異常状態の監視機能を各サブマスタCPUも保有しており、監視実行権を有する何れか1つのCPUが上記異常状態の監視処理を実行する。
【0041】
各サブマスタCPUから送信される状態通知を図6に示す。上記S1405乃至S1408で各サブマスタCPUから送信される状態通知のデータには、図6に示すように、送信先1501、CPU状態1502及び送信元1503の情報が含まれる。CPU状態1502の詳細を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、CPU状態1502には、自身の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報が含まれる。さらに、状態情報が正常を示す場合、CPU状態1502には、アイドル間隔に依存して当該CPUが監視実行権を保有することが可能か又は不可能かを示す情報、即ち、異常状態を監視可能か又は監視不可能かを示す監視可否情報を示す情報が含まれている。ここで、アイドル間隔とは、当該CPUに搭載されたリアルタイムOSにおいて、実行優先順位が最も低いタスクに処理実行権が回ってくる間隔を示す。即ち、実行待ちタスクが多いほど、又は、実行待ちタスクにおける処理負荷が大きいほどアイドル間隔が広がることとなる。ここで、表2を参照して、アイドル間隔と監視可能との関係について説明する。
【0044】
【表2】
【0045】
例えば、本実施形態では、表2に示すように、当該CPUのアイドル間隔が10〜50msecであれば異常状態の監視を可能(1)と定義し、50〜100msecであれば可能(2)と定義し、100msecを超える場合は不可能と定義する。各CPUは、マスタCPU1001へ、CPU状態にこれらの監視可能情報を付加して送信する。また、CPU状態が異常である場合は、上記監視可能情報を通知する。また、可能(1)は、いつでも監視実行権を保有することが可能であることを示し、可能(2)は他に可能(1)の状態のCPUが存在しなければ監視実行権を保有することが可能であることを示す。このように、CPU状態1502は、自身の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報と、自身の状態が正常である場合に異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を示す情報とを含む。
【0046】
次に、図7を参照して、アイドル間隔の計算方法について説明する。以下で説明する処理は、各CPUが自身のアイドル間隔を計算するために行われる。基本的にはシステムを構成するマスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901において実行されるフローである。ここではマスタCPU1001が処理する例について説明する。
【0047】
S1600において、マスタCPU1001は、予め定められたアイドル間隔、本実施形態では10msecの待機処理を実行する。例えば、マスタCPU1001は、10msecのタイマを発行し、タイマが満了するごとにS1601乃至S1603の処理を行なう。続いて、マスタCPU1001は、S1601で現在時刻Tcを取得し、S1602で前回取得した時刻Tpとの差を求めることによりアイドル間隔を算出する。さらに、S1603において、マスタCPU1001は、前回時刻Tpを現在時刻Tcに設定し、S1600に処理を戻す。なお、マスタCPU1001の処理負荷が大きくなるほど、算出されるアイドル間隔が10msecよりも長くなる。
【0048】
次に、図8を参照して、監視実行権を有するCPUの処理内容について説明する。ここでは、一例として、マスタCPU1001が監視実行権を有しているものとする。S1701において、マスタCPU1001は、サブマスタCPU601、701、801、901に状態要求を送信する。続いて、S1702において、マスタCPU1001は、受信準備を開始し、S1703で各CPUから通知されてくる状態通知を受信したか否かを判定する。ここで、状態通知を受信した場合はS1704に進み、受信していない場合は定期的にS1703の処理を繰り返す。
【0049】
S1704において、マスタCPU1001は、受信した状態通知のCPU状態1502を確認し、異常状態になっているか否かを判定する。異常状態になっている場合はS1705に進み、マスタCPU1001は、異常処理を開始する。この異常処理の詳細については後述する。一方、異常状態でない場合はS1706に進み、マスタCPU1001は、全CPUから状態通知を受信したか否かを判定する。ここで、受信していればS1703に戻り、受信していなければ処理を終了する。
【0050】
次に、図9を参照して、状態要求を受信したCPUの処理内容について説明する。ここでは、一例として、状態要求を受信したサブマスタCPU801の処理について説明する。状態要求を受信するとS1801において、サブマスタCPU801は、図7のフローチャートに基づいて算出した現状の自身のアイドル間隔に基づいて、監視実行権を受け取ることが可能か否かを表2に示す情報を用いて判定する。続いて、S1802において、サブマスタCPU801は、下層のCPUが存在する場合に、即ち、スレーブCPUを制御している場合に、当該スレーブCPUの異常状態を取得する。ここで、サブマスタCPU801は、スレーブCPU802と803とを制御しているため、当該スレーブCPUから異常状態を取得する。
【0051】
次に、S1803において、サブマスタCPU801は、S1801で判定した監視可否情報及び取得したスレーブCPUの状態情報に基づいて、CPU状態(表1)を判定する。続いて、S1804において、サブマスタCPU801は、判定した情報を状態要求を送信したマスタCPU1001へ送信し、処理を終了する。
【0052】
次に、図10及び図11を参照して、サブマスタCPUがスレーブCPUに対して送信する状態要求について説明する。ここでは、図5のS1403において定着状態要求をサブマスタCPU801が受信し、スレーブCPU802、803の状態情報を取得する処理について記載する。図10に示すように、S1403の定着状態要求を受信すると、サブマスタCPU801は、S1901でスレーブCPU802へスレーブ状態要求1を送信し、S1902でスレーブCPU803へスレーブ状態要求2を送信する。その後、サブマスタCPU801は、S1903でスレーブCPU802からスレーブ状態通知1を受信し、S1904でスレーブCPU803からスレーブ状態通知2を受信する。このように、サブマスタCPUは、制御対象となるスレーブCPUの異常状態を取得する。
【0053】
図11は、図9のS1802におけるサブマスタCPU801の詳細な処理を示す。まず、S2001において、サブマスタCPU801は、各スレーブCPUに対して状態要求を送信する(S1901、S1902)。続いて、S2002において、サブマスタCPU801は、状態要求に対する応答の受信処理を開始し、S2003でスレーブCPUから状態情報を受信したか否かを判定する。ここで、状態情報を受信していればS2004に進み、受信していなければS2003の処理を定期的に繰り返す。S2004において、サブマスタCPU801は、さらに、S2001で状態要求を送信した全てのスレーブCPUから状態情報を受信したか否かを判定する。ここで、未受信の場合はS2003に戻り、受信している場合はS1803に進む。
【0054】
次に、図12を参照して、異常が検知された場合の制御フローについて説明する。まず、S2101乃至S2104において、マスタCPU1001は、各サブマスタCPU601、701、801、901に対して状態要求を送信する。ここで、マスタCPU1001は、各状態要求を通知すると同時に、各サブマスタCPUから状態を通知されるまでの待ち時間(所定時間T1)をタイマで計時する。
【0055】
図12の例では、サブマスタCPU601、701、901が、それぞれS2105、2106、2107において、状態情報をマスタCPU1001へ送信している。一方、サブマスタCPU801は、所定時間T1内に状態情報をマスタCPU1001へ送信していない。ここで、マスタCPU1001は、所定時間T1(2108)内に状態情報の通知が確認できない場合は、当該CPU(ここでは、サブマスタCPU801となる。)に異常が発生したと判断する。異常が発生したと判断した場合、S2109において、マスタCPU1001は、異常発生通知を各サブマスタCPUに対して通知する。
【0056】
図12では状態要求を通知してから所定時間T1が経過するまでにサブマスタCPU801から状態通知が無いため、異常が発生したと判断している。このとき、サブマスタCPU801自身が異常な状態になっている場合や、スレーブCPU802、803からの状態通知が無いためにマスタCPU1001に状態通知ができない場合が想定される。
【0057】
次に、図13を参照して、マスタCPU1001が監視実行権を委譲する際の制御について説明する。まず、S2201において、マスタCPU1001は、監視処理が可能かどうかを判断する。ここで、マスタCPU1001は、上述した計算方法によって計算したアイドル間隔と表2から導き出される状態が可能(1)であれば、監視実行権の委譲は必要ないと判断し、処理を終了する。また、可能(2)又は不可能と判断した場合はS2202に進み、マスタCPU1001は、監視可能状態のCPUが他にあるか否かを判定する。この場合、対象はサブマスタCPU601、701、801、901となる。具体的には、マスタCPU1001は、通常の状態監視処理によって通知された各CPUの状態から可能(1)又は可能(2)の状態のCPUが存在するかを検索し、存在した場合はS2203に進む。一方、存在しない場合は処理を終了する。
【0058】
S2203において、マスタCPU(第1の制御部)1001は、対象CPU(第2の制御部)に対して、監視実行権に関する委譲要求を通知する。続いて、S2204において、マスタCPU1001は、対象のCPUからの通知(Ack)を待ち、Ackを受信するとS2205に進み、監視実行権に関する受領応答であれば、監視実行権を委譲して処理を終了する。監視実行権の受領応答で無い場合は、S2202へと戻り、他のCPU(第2の制御部とは異なる他の制御部)の検索を行う。ここで、S2202で再度監視実行権の委譲が可能なCPUが有るか否かを判定するのは、対象CPU(他の制御部)が状態通知をした後に状態が変更されている可能性があるためである。その後、監視実行権に関する受領応答を送信したCPUは、上述した状態監視処理を実行することとなる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数の制御部(第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部)を備え、分散制御を行うとともに、監視実行権を有する何れか1つの制御部が各制御部の異常状態を監視する。さらに、各制御部は、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を自身の処理負荷から判定し、監視実行権を有している場合に監視可否情報が予め定められた情報を満たしていなければ、満たしている他の制御部へ監視実行権を委譲する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、処理負荷に応じて、各制御部の異常状態を監視する制御部が切り替わるため、複数の制御部の中で、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、階層構造を有する複数のCPU群を有する分散制御システムによって実現された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置のプリンタデバイス制御では、1つのCPUによる集中制御が行われている。しかし、制御の一点集中によるCPU負荷の増大によって、より高性能なCPUが必要となる。さらに、プリンタデバイスの制御負荷の増大に伴い、通信ケーブル(通信束線)をCPU基板から離れた制御負荷ドライバユニットまで引き回す必要があり、長大な通信ケーブルが多数必要となっていた。このような問題を解決するために、電子写真システムを構成する各制御モジュールを個々のサブCPUに分割する制御形態が注目されている。
【0003】
このように複数のCPUにより個々の部分モジュール制御機能を分割して制御システムを構築する例については、いくつかの制御機器製品分野で提案されている。例えば、車両における機能モジュールを階層的に配置し分散制御を行うシステムや、階層的な制御構造をロボット・自動化機器に適用しているシステムが。また、これらの複数のサブCPU同士は全体をシステムとして動作させるための通信部を当然有しており、各CPUは、通信部を通じてCPU間で情報共有やシステムの制御を実現している。
【0004】
このような通信部を介して分割制御するシステム(以下、分散システムと称する。)では、異常検知が重要な課題となる。分散システムにおける異常には、通信部自体の物理的異常と各CPUを動作させるアプリケーションソフトが引き起こす論理的異常が存在する。物理的異常の検知には、例えばシリアル通信のパリティチェックやCRCチェックが一般的な技術として知られている。また、CAN(Control Area Network)におけるエラー回数をカウントしてネットワークから切り出す技術等のように各通信プロトコル独自でネットワークの信頼性をさらに向上させる技術が知られている。これらの物理的異常を検知する技術はハードウェアによって実現されているケースも多く精度良く異常検知を行うことができる。
【0005】
一方、論理的異常の検知では以下のような技術が提案されている。例えば、特許文献1には、マスタCPUと、スレーブCPUと、異常が検知された場合に当該マスタCPU及びスレーブCPUにリセット信号を供給するタイマとを備えるコントローラが提案されている。当該マスタCPUは、自身が正常なときに一定時間ごとにタイマをクリアする信号をタイマに出力する。即ち、マスタCPUに異常が発生した場合は上記タイマをクリアする信号が出力されず、タイマが満了するためマスタCPU及びスレーブCPUにリセット信号が通知されることとなる。また、マスタCPUは、スレーブCPUから出力されたデータを監視し、当該データからスレーブCPUで異常が発生したと判断した場合にはスレーブCPUに対して強制リセット信号を供給している。また、特許文献2には、自己デバイスとは異なる他のデバイスを監視し、その監視結果をデバイス管理サーバ又は当該他のデバイスに通知する他デバイス監視機能を備えるデバイスが提案されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、異常監視用の監視制御回路部を別途設けた電子制御装置が提案されている。当該監視制御回路部は、不揮発プログラムメモリの内容と入力センサ群の動作状態とに応動して電気負荷群を制御するマイクロプロセッサに対して、照会パケットによって多数の質問事項を順次送信し、マイクロプロセッサからの応答内容と正解情報とを比較して異常判定を行う。マイクロプロセッサは、照会パケットの受信間隔を診断して監視制御回路部の監視動作を逆監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−186691号公報
【特許文献2】特開2004−220562号公報
【特許文献3】特開2005−031865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術例を分散システムに適用することは以下に記載する問題がある。例えば、マスタCPUからタイマをクリアする方法では、スレーブCPUに異常が発生した場合にマスタCPUで検知することが難しい。したがって、スレーブCPUにおける最適な異常処理制御を実現することが困難となる。また、特許文献2の場合、異常情報は検知したノード及びそれを通知された別ノードしか受け取ることができず、その他のノードは当該異常を知ることが困難となる。さらに、監視するノードの制御負荷が大きくなると、一般的に負荷制御よりも実行優先度の低い異常検知制御の実行頻度が下がるため、異常が発生してから検知するまでの時間が増大してしまう。また、特許文献3のように、監視制御回路部や異常検知専用ノードを有する場合には、当然ながらコストの増大を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、複数の制御部を用いた分散制御を行うとともに、複数の制御部の中で、各制御部の制御負荷に基づき、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、第1の制御部と、第2の制御部と、第3の制御部とを備え、各制御部を用いて分散制御を行う画像形成装置として実現できる。第1の制御部及び第2の制御部は、異常状態を監視するための監視実行権を有する場合に、第3の制御部の異常状態を監視する監視手段を備え、第1の制御部は、自身の処理負荷に応じて異常状態を監視可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、第1の制御部は、監視実行権を有する場合に、判定手段によって異常状態を監視不可能であると判定されると、第2の制御部に監視実行権を委譲することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の制御部を用いた分散制御を行うとともに、複数の制御部の中で、各制御部の制御負荷に基づき、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1000の概観を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成部300の構成例を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係るマスタCPU、サブマスタCPU及びスレーブCPUの関連を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態に係る画像形成装置1000の制御基板の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係るマスタCPUとサブマスタCPUとの間の異常検知制御の制御フローを示すシーケンス図である。
【図6】本実施形態に係る状態通知のデータフォーマットの一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るアイドル間隔の計算方法を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る監視実行権を有するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る状態要求を受信したCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係るサブマスタCPUとスレーブCPUとの間の異常検知制御の制御フローを示すシーケンス図である。
【図11】本実施形態に係る状態要求を送信するサブマスタCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係るサブマスタCPUとスレーブCPUとの間の異常が検知された場合の制御フローを示すシーケンス図である。
【図13】本実施形態に係る監視実行権を委譲するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<画像形成装置の構成>
以下では、図1乃至図13を参照して、本実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置1000の概観を示す。画像形成装置1000は、自動原稿搬送装置100、画像読取部200、画像形成部300、及び操作部10を備える。図1に示すように、画像読取部200は、画像形成部300の上に載置されている。さらに、画像読取部200上には、自動原稿搬送装置(DF)100が載置されている。また、本画像形成装置1000は、複数の制御部(CPU)を用いて分散制御を実現する。各CPUの構成については、図3を用いて後述する。
【0014】
自動原稿搬送装置100は、原稿を自動的に原稿台ガラス上に搬送する。画像読取部200は、自動原稿搬送装置100から搬送された原稿を読み取って画像データを出力する。画像形成部300は、自動原稿搬送装置100から出力された画像データやネットワークを介して接続された外部装置から入力された画像データに従って記録材に画像を形成する。操作部10は、ユーザが各種操作を行うためのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)を有する。さらに、操作部10は、タッチパネル等の表示部を有し、ユーザに対して情報を提示することもできる。
【0015】
次に、図2を参照して、画像形成部300の詳細について説明する。なお、本実施形態の画像形成部300は電子写真方式を採用している。なお、図2の参照番号の末尾に示すアルファベットY、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックのトナーに対応した各エンジンを示す。以下では、全てのトナーに対応するエンジンを示す場合は末尾のアルファベットY、M、C、Kを省略して参照番号を記載し、個別に示す場合は参照番号の末尾にアルファベットY、M、C、Kを付記して記載する。
【0016】
像担持体としてフルカラー静電画像を形成するための感光ドラム(以下、単に「感光体」と称する。)225は、モータで矢印Aの方向に回転可能に設けられる。感光体225の周囲には、一次帯電装置221、露光装置218、現像装置223、転写装置220、クリーナ装置222、除電装置271及び表面電位計273が配置されている。
【0017】
現像装置223Kはモノクロ現像のための現像装置であり、感光体225K上の潜像をKのトナーで現像する。また現像装置223Y、M、Cはフルカラー現像のための現像装置であり、現像装置223Y、M、Cは、感光体225Y、M、C上の潜像をそれぞれY、M、Cのトナーで現像する。感光体225上に現像された各色のトナー像は、転写装置220によって中間転写体である転写ベルト226に一括で多重転写されて、4色のトナー像が重ね合わされる。
【0018】
転写ベルト226は、ローラ227、228、229に張架されている。ローラ227は、駆動源に結合されて転写ベルト226を駆動する駆動ローラとして機能し、ローラ228は転写ベルト226の張力を調節するテンションローラとして機能する。また、ローラ229は、2次転写装置231としての転写ローラのバックアップローラとして機能する。転写ローラ脱着ユニット250は、2次転写装置231を転写ベルト226に接着させるか、又は離脱させるための駆動ユニットである。2次転写装置231を通過した後の転写ベルト226の下部にはクリーナブレード232が設けられており、転写ベルト226上の残留トナーがブレードで掻き落とされる。
【0019】
カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材(記録紙)は、レジストローラ255、給紙ローラ対235及び縦パスローラ対236、237によってニップ部、つまり2次転写装置231と転写ベルト226との当接部に給送される。なお、その際2次転写装置231は、転写ローラ脱着ユニット250ことによって転写ベルト226に当接されている。転写ベルト226上に形成されたトナー像は、このニップ部で記録材上に転写される。その後、トナー像が転写された記録材は、定着装置234でトナー像が熱定着されて装置外へ排出される。
【0020】
カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材の有無を検知するためのシートなし検知センサ243、244、245を備える。また、カセット240、241及び手差し給紙部253は、それぞれ記録材のピックアップ不良を検知するための給紙センサ247、248、249を備える。
【0021】
ここで、画像形成部300による画像形成動作について説明する。画像形成が開始されると、カセット240、241及び手差し給紙部253に格納された記録材は、ピックアップローラ238、239、254により1枚毎に給紙ローラ対235に搬送される。記録材は、給紙ローラ対235によりレジストローラ255へと搬送されると、その直前のレジストセンサ256により記録材の通過が検知される。
【0022】
レジストセンサ256により記録材の通過が検知された時点で、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は停止しているレジストローラ255に突き当たり搬送が停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように搬送位置が固定され、記録材の搬送方向が搬送経路に対してずれた状態の斜行が補正される。以下では、この処理を位置補正と称する。位置補正は、以降の記録材に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。位置補正後、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は、2次転写装置231へ供給される。なお、レジストローラ255は、駆動源に結合され、クラッチによって駆動が伝えられることで回転駆動を行う。
【0023】
次に、一次帯電装置221に電圧を印加して感光体225の表面を予定の帯電部電位で一様にマイナス帯電させる。続いて、帯電された感光体225上の画像部分が所定の露光部電位になるようにレーザスキャナ部からなる露光装置218で露光を行い潜像が形成される。露光装置218はプリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られてくる画像データに基づいてレーザ光をオン、オフすることによって画像に対応した潜像を形成する。なお、表面電位計273は、一次帯電装置221によって一様にその表面を帯電された感光体225の表面電位を測定し、出力する。
【0024】
また、現像装置223の現像ローラには各色毎に予め設定された現像バイアスが印加されており、上記潜像は、現像ローラの位置を通過する際にトナーで現像され、トナー像として可視化される。トナー像は、転写装置220により転写ベルト226に転写され、さらに2次転写装置231で、給紙部より搬送された記録材に転写された後、レジスト後搬送パス268を通過し、定着搬送ベルト230を介して、定着装置234へと搬送される。
【0025】
定着装置234では、まずトナーの吸着力を補って画像乱れを防止するために、定着前帯電器251、252で帯電され、さらに定着ローラ233でトナー画像が熱定着される。その後、記録材は、排紙フラッパ257により排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙ローラ270によってそのまま排紙トレイ242に排紙される。
【0026】
感光体225上に残留したトナーは、クリーナ装置222で除去、回収される。最後に、感光体225は、除電装置271で一様に0ボルト付近まで除電されて、次の画像形成サイクルに備える。
【0027】
画像形成装置1000によるカラーの画像形成開始タイミングは、Y、M、C、Kの同時転写であるため転写ベルト226上の任意の位置に画像形成を行うことが可能である。しかし、感光体225Y、M、C上のトナー像を転写する位置のずれ分をタイミング的にシフトさせながら画像形成開始タイミングを決定する必要がある。
【0028】
なお、画像形成部300においては、記録材を連続的にカセット240、241及び手差し給紙部253より給送させることが可能である。この場合、先行する記録材のシート長を考慮し、記録材が重なり合わないような最短の間隔でカセット240、241及び手差し給紙部253からの給紙を行う。上述したように、位置補正後に、レジストローラ255を起動させることにより、記録材は2次転写装置231へ供給されるが、2次転写装置231に到達すると、再びレジストローラ255が一時停止される。これは、後続の記録材に対して先行する記録材と同様に位置補正を行うためである。
【0029】
次に、記録材の裏面に画像を形成する場合の動作について詳細に説明する。記録材の裏面に画像を形成する際には、まず記録材の表面への画像形成が先行して実行される。表面のみの画像形成であれば、定着装置234でトナー像が熱定着された後に、そのまま排紙トレイ242に排紙される。一方、引き続き裏面の画像形成を行なう場合、センサ269で記録材が検知されると、排紙フラッパ257により裏面パス259側に搬送パスが切り替えられ、それに併せた反転ローラ260の回転駆動により記録材が両面反転パス261に搬送される。その後、記録材は、送り方向幅の分だけ両面反転パス261に搬送された後に反転ローラ260の逆回転駆動により進行方向が切り替えられ、表面に画像形成された画像面を下向きにして両面パス搬送ローラ262の駆動により両面パス263に搬送される。
【0030】
続いて、記録材は、両面パス263を再給紙ローラ264に向かって搬送されると、その直前の再給紙センサ265により通過が検知される。再給紙センサ265により記録材の通過が検知されると、本実施形態では所定の時間が経過した後に一端搬送動作を中断する。その結果、記録材は、停止している再給紙ローラ264に突き当たり搬送が一時停止されるが、その際記録材の進行方向端部が搬送経路に対して垂直になるように位置が固定され、記録材の搬送方向が再給紙パス内の搬送経路に対してずれる斜行が補正される。以下では、この処理を再位置補正と称する。
【0031】
再位置補正は、以降の記録材裏面に対する画像形成方向の傾きを最小化するために必要となる。再位置補正後、再給紙ローラ264を起動させることにより、記録材は、表裏が逆転した状態で再度給紙パス266上に搬送される。その後の画像形成動作については、上述した表面の画像形成動作と同じであるためここでは省略する。このように表裏両面に画像形成された記録材は、そのまま排紙フラッパ257より排紙パス258側に搬送パスが切り替えられることにより、排紙トレイ242に排紙される。
【0032】
なお、本画像形成部300においては、両面印刷時においても、記録材の連続給送が可能である。しかしながら、記録材への画像形成や形成されたトナー像の定着などを行うための装置は1系統しか有していないため、表面への印刷と裏面への印刷を同時に行うことはできない。したがって、両面印刷時においては、画像形成部300に対し、カセット240、241及び手差し給紙部253からの記録材と、裏面印刷のために反転させて画像形成部に再度給送された記録材とは交互に画像形成されることとなる。
【0033】
本画像形成部300は、図2に示す各制御負荷を、後述する搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、定着モジュール283という4つの制御ブロックに分けて各々が自律的に制御されている。さらに、これらの4つの制御ブロックを統括して画像形成装置として機能させるためのマスタモジュール284を有する。以下では、各モジュールの制御構成について図3を用いて説明する。
【0034】
図3は、本実施形態に係るマスタCPU、サブマスタCPU及びスレーブCPUの関連を模式的に示す図である。本実施形態において、マスタモジュール284に備えられるマスタCPU(マスタ制御部/第1層制御部)1001は、プリンタ制御I/F215を介してコントローラ460より送られる指示及び画像データに基づいて画像形成装置1000の全体を制御する。また、画像形成を実行するための搬送モジュールA280、搬送モジュールB281、作像モジュール282、及び定着モジュール283は、各機能を制御するサブマスタCPU(サブマスタ制御部/第2層制御部)601、901、701、801を備える。サブマスタCPU601、901、701、801はマスタCPU1001により制御される。さらに、各機能モジュールは、さらに、各機能を実行するための制御負荷を動作させるためのスレーブCPU(スレーブ制御部/第3層制御部)602、603、604、605、902、903、702、703、704、705、706、802、803を備える。スレーブCPU602、603、604、605はサブマスタCPU601に、スレーブCPU902、903はサブマスタCPU901に、スレーブCPU702、703、704、705、706はサブマスタCPU701に、スレーブCPU802、803はサブマスタCPU801に制御される。本画像形成装置は、これらの複数のCPUを備え、分散制御システムを実現している。
【0035】
図3に示すように、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901は共通のネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。サブマスタCPU601、701、801、901同士の間もネットワーク型通信バス(第1信号線)1002によってバス接続される。なお、マスタCPU1001と複数のサブマスタCPU601、701、801、901はリング接続されるものでもよい。サブマスタCPU601は、さらに、高速シリアル通信バス(第2信号線)612、613、614、615を介して、複数のスレーブCPU602、603、604、605のそれぞれと1対1接続(ピアツーピア接続)されている。同様に、サブマスタCPU701は、高速シリアル通信バス(第2信号線)711、712、713、714、715を介して、それぞれスレーブCPU702、703、704、705、706と接続される。サブマスタCPU801は、高速シリアル通信バス(第2信号線)808、809を介して、それぞれスレーブCPU802、803と接続される。サブマスタCPU901は、高速シリアル通信バス(第2信号線)909、910を介して、それぞれスレーブCPU902、903と接続される。ここで、高速シリアル通信バスは、短距離高速通信に用いられる。
【0036】
本実施形態に係る画像形成装置1000において、タイミングに依存した応答性が必要とされる制御に関しては、各サブマスタCPUに統括された機能モジュール内で実現されるように機能分割されている。そのため、末端の制御負荷を駆動するための各スレーブCPUと各サブマスタCPUとの間の通信は、応答性のよい高速シリアル通信バスによって接続されている。つまり、上記第2信号線には、上記第1信号線よりもデータ転送のタイミング精度が高い信号線が用いられる。
【0037】
一方、サブマスタCPU601、701、801、901とマスタCPU1001との間では、精密な制御タイミングを必要としない、画像形成動作の大まかな処理の流れを統括するようなやり取りだけが行われる。例えば、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、画像形成前処理開始、給紙開始、画像形成後処理開始といった指示を出す。また、マスタCPU1001はサブマスタCPUに、コントローラ460から指示されたモード(例えばモノクロモードや両面画像形成モードなど)に基づいた指示を画像形成開始の前に出す。サブマスタCPU601、701、801、901のそれぞれの間でも、精密なタイミング制御を必要としないやり取りだけが行われる。すなわち、画像形成装置の制御を、相互に精密なタイミング制御を必要としない制御単位に分け、それぞれのサブマスタCPUがそれぞれの制御単位を精密なタイミングで制御する。これにより、本画像形成装置1000では、通信トラフィックを最小限に抑え、低速で安価なネットワーク型通信バス1002で接続することを可能としている。なお、マスタCPU、サブマスタCPU、及びスレーブCPUについては、実装される制御基板が必ずしも一律である必要はなく、装置実装上の事情に合わせて可変的に配置させることが可能である。
【0038】
次に、図4を参照して、本実施形態における具体的なマスタCPU、サブマスタCPU、スレーブCPUの基板構成上の配置について説明する。本実施形態によれば、図4に示すように、様々な制御基板の構成を採用することができる。例えば、サブマスタCPU601とスレーブCPU602、603、604、605とは、同一の基板上に実装されている。また、サブマスタCPU701及びスレーブCPU702、703、704、又は、サブマスタCPU801及びスレーブCPU802、803のように、サブマスタCPUと個々のスレーブCPUが独立の基板として実装されてもよい。また、スレーブCPU705、706のように一部のスレーブCPUが同一の基板上に実装されてもよい。また、サブマスタCPU901及びスレーブCPU902のように、サブマスタCPUとスレーブCPUの一部だけが同一基板上に配置されてもよい。
【0039】
<異常検知制御>
次に、本発明の特徴となる異常検知制御について説明する。従来の分散制御やネットワークコンピューティングの異常検知制御では、所定の1つのモジュールや1つのノードが統括的に他のモジュールや他のノードの異常状態を検知している。このような場合、異常検知制御を実施しているモジュールやノード自身に異常が発生すると、制御システム全体の異常検知が機能しなくなるという問題がある。また、異常検知制御の実行は概して優先順位が下げられているため、当該モジュールやノードにおいて、異常検知制御以外の処理が多く発生すればするほど、異常検知制御の単位時間あたりの実行回数が低減されるという問題もある。これは、異常検知専用にモジュールやノードを用意することによって解決可能だが、当然コストの増大に繋がる。また、決められたモジュールやノード同士で異常を検知することによって、異常検知制御の負荷を分散させる方式も考えられる。しかしながら、監視対象が少なくなるために異常を検知したときの異常発生時処理等においてシステム全体における処理が複雑となり、望まれる処理を実行することが困難となる可能性がある。特に、本実施形態で説明している画像形成装置では例えば用紙搬送を行っている全てのモータを同時に停止させなければ用紙が搬送パス内で折れ曲がる可能性がある。このような問題を解決するために、本発明では監視実行権を委譲する方式を採用する。
【0040】
まず、図5を参照して、本実施形態における基本的な異常検知制御の制御フローについて説明する。このフローではマスタCPU1001が異常検知処理を実行するための監視実行権を有しているパターンを示している。まず、マスタCPU1001は、S1401でサブマスタCPU601へ搬送状態要求1を送信し、S1402でサブマスタCPU701へ作像状態要求を送信し、S1403でサブマスタCPU801へ定着状態要求を送信し、S1404でサブマスタCPU901へ搬送状態要求2を送信する。これに対して、サブマスタCPU601は、S1405でマスタCPU1001へ搬送状態通知1を送信する。また、サブマスタCPU701は、S1406でマスタCPU1001へ作像状態通知を送信する。また、サブマスタCPU801は、S1407でマスタCPU1001へ定着状態通知を送信する。さらに、サブマスタCPU901は、S1408でマスタCPU1001へ搬送状態通知2を送信する。ここで、マスタCPU1001は、通知された各状態に基づいて異常状態を判断する。なお、本実施形態に係る画像形成装置では、上記マスタCPU1001の異常状態の監視機能を各サブマスタCPUも保有しており、監視実行権を有する何れか1つのCPUが上記異常状態の監視処理を実行する。
【0041】
各サブマスタCPUから送信される状態通知を図6に示す。上記S1405乃至S1408で各サブマスタCPUから送信される状態通知のデータには、図6に示すように、送信先1501、CPU状態1502及び送信元1503の情報が含まれる。CPU状態1502の詳細を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、CPU状態1502には、自身の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報が含まれる。さらに、状態情報が正常を示す場合、CPU状態1502には、アイドル間隔に依存して当該CPUが監視実行権を保有することが可能か又は不可能かを示す情報、即ち、異常状態を監視可能か又は監視不可能かを示す監視可否情報を示す情報が含まれている。ここで、アイドル間隔とは、当該CPUに搭載されたリアルタイムOSにおいて、実行優先順位が最も低いタスクに処理実行権が回ってくる間隔を示す。即ち、実行待ちタスクが多いほど、又は、実行待ちタスクにおける処理負荷が大きいほどアイドル間隔が広がることとなる。ここで、表2を参照して、アイドル間隔と監視可能との関係について説明する。
【0044】
【表2】
【0045】
例えば、本実施形態では、表2に示すように、当該CPUのアイドル間隔が10〜50msecであれば異常状態の監視を可能(1)と定義し、50〜100msecであれば可能(2)と定義し、100msecを超える場合は不可能と定義する。各CPUは、マスタCPU1001へ、CPU状態にこれらの監視可能情報を付加して送信する。また、CPU状態が異常である場合は、上記監視可能情報を通知する。また、可能(1)は、いつでも監視実行権を保有することが可能であることを示し、可能(2)は他に可能(1)の状態のCPUが存在しなければ監視実行権を保有することが可能であることを示す。このように、CPU状態1502は、自身の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報と、自身の状態が正常である場合に異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を示す情報とを含む。
【0046】
次に、図7を参照して、アイドル間隔の計算方法について説明する。以下で説明する処理は、各CPUが自身のアイドル間隔を計算するために行われる。基本的にはシステムを構成するマスタCPU1001とサブマスタCPU601、701、801、901において実行されるフローである。ここではマスタCPU1001が処理する例について説明する。
【0047】
S1600において、マスタCPU1001は、予め定められたアイドル間隔、本実施形態では10msecの待機処理を実行する。例えば、マスタCPU1001は、10msecのタイマを発行し、タイマが満了するごとにS1601乃至S1603の処理を行なう。続いて、マスタCPU1001は、S1601で現在時刻Tcを取得し、S1602で前回取得した時刻Tpとの差を求めることによりアイドル間隔を算出する。さらに、S1603において、マスタCPU1001は、前回時刻Tpを現在時刻Tcに設定し、S1600に処理を戻す。なお、マスタCPU1001の処理負荷が大きくなるほど、算出されるアイドル間隔が10msecよりも長くなる。
【0048】
次に、図8を参照して、監視実行権を有するCPUの処理内容について説明する。ここでは、一例として、マスタCPU1001が監視実行権を有しているものとする。S1701において、マスタCPU1001は、サブマスタCPU601、701、801、901に状態要求を送信する。続いて、S1702において、マスタCPU1001は、受信準備を開始し、S1703で各CPUから通知されてくる状態通知を受信したか否かを判定する。ここで、状態通知を受信した場合はS1704に進み、受信していない場合は定期的にS1703の処理を繰り返す。
【0049】
S1704において、マスタCPU1001は、受信した状態通知のCPU状態1502を確認し、異常状態になっているか否かを判定する。異常状態になっている場合はS1705に進み、マスタCPU1001は、異常処理を開始する。この異常処理の詳細については後述する。一方、異常状態でない場合はS1706に進み、マスタCPU1001は、全CPUから状態通知を受信したか否かを判定する。ここで、受信していればS1703に戻り、受信していなければ処理を終了する。
【0050】
次に、図9を参照して、状態要求を受信したCPUの処理内容について説明する。ここでは、一例として、状態要求を受信したサブマスタCPU801の処理について説明する。状態要求を受信するとS1801において、サブマスタCPU801は、図7のフローチャートに基づいて算出した現状の自身のアイドル間隔に基づいて、監視実行権を受け取ることが可能か否かを表2に示す情報を用いて判定する。続いて、S1802において、サブマスタCPU801は、下層のCPUが存在する場合に、即ち、スレーブCPUを制御している場合に、当該スレーブCPUの異常状態を取得する。ここで、サブマスタCPU801は、スレーブCPU802と803とを制御しているため、当該スレーブCPUから異常状態を取得する。
【0051】
次に、S1803において、サブマスタCPU801は、S1801で判定した監視可否情報及び取得したスレーブCPUの状態情報に基づいて、CPU状態(表1)を判定する。続いて、S1804において、サブマスタCPU801は、判定した情報を状態要求を送信したマスタCPU1001へ送信し、処理を終了する。
【0052】
次に、図10及び図11を参照して、サブマスタCPUがスレーブCPUに対して送信する状態要求について説明する。ここでは、図5のS1403において定着状態要求をサブマスタCPU801が受信し、スレーブCPU802、803の状態情報を取得する処理について記載する。図10に示すように、S1403の定着状態要求を受信すると、サブマスタCPU801は、S1901でスレーブCPU802へスレーブ状態要求1を送信し、S1902でスレーブCPU803へスレーブ状態要求2を送信する。その後、サブマスタCPU801は、S1903でスレーブCPU802からスレーブ状態通知1を受信し、S1904でスレーブCPU803からスレーブ状態通知2を受信する。このように、サブマスタCPUは、制御対象となるスレーブCPUの異常状態を取得する。
【0053】
図11は、図9のS1802におけるサブマスタCPU801の詳細な処理を示す。まず、S2001において、サブマスタCPU801は、各スレーブCPUに対して状態要求を送信する(S1901、S1902)。続いて、S2002において、サブマスタCPU801は、状態要求に対する応答の受信処理を開始し、S2003でスレーブCPUから状態情報を受信したか否かを判定する。ここで、状態情報を受信していればS2004に進み、受信していなければS2003の処理を定期的に繰り返す。S2004において、サブマスタCPU801は、さらに、S2001で状態要求を送信した全てのスレーブCPUから状態情報を受信したか否かを判定する。ここで、未受信の場合はS2003に戻り、受信している場合はS1803に進む。
【0054】
次に、図12を参照して、異常が検知された場合の制御フローについて説明する。まず、S2101乃至S2104において、マスタCPU1001は、各サブマスタCPU601、701、801、901に対して状態要求を送信する。ここで、マスタCPU1001は、各状態要求を通知すると同時に、各サブマスタCPUから状態を通知されるまでの待ち時間(所定時間T1)をタイマで計時する。
【0055】
図12の例では、サブマスタCPU601、701、901が、それぞれS2105、2106、2107において、状態情報をマスタCPU1001へ送信している。一方、サブマスタCPU801は、所定時間T1内に状態情報をマスタCPU1001へ送信していない。ここで、マスタCPU1001は、所定時間T1(2108)内に状態情報の通知が確認できない場合は、当該CPU(ここでは、サブマスタCPU801となる。)に異常が発生したと判断する。異常が発生したと判断した場合、S2109において、マスタCPU1001は、異常発生通知を各サブマスタCPUに対して通知する。
【0056】
図12では状態要求を通知してから所定時間T1が経過するまでにサブマスタCPU801から状態通知が無いため、異常が発生したと判断している。このとき、サブマスタCPU801自身が異常な状態になっている場合や、スレーブCPU802、803からの状態通知が無いためにマスタCPU1001に状態通知ができない場合が想定される。
【0057】
次に、図13を参照して、マスタCPU1001が監視実行権を委譲する際の制御について説明する。まず、S2201において、マスタCPU1001は、監視処理が可能かどうかを判断する。ここで、マスタCPU1001は、上述した計算方法によって計算したアイドル間隔と表2から導き出される状態が可能(1)であれば、監視実行権の委譲は必要ないと判断し、処理を終了する。また、可能(2)又は不可能と判断した場合はS2202に進み、マスタCPU1001は、監視可能状態のCPUが他にあるか否かを判定する。この場合、対象はサブマスタCPU601、701、801、901となる。具体的には、マスタCPU1001は、通常の状態監視処理によって通知された各CPUの状態から可能(1)又は可能(2)の状態のCPUが存在するかを検索し、存在した場合はS2203に進む。一方、存在しない場合は処理を終了する。
【0058】
S2203において、マスタCPU(第1の制御部)1001は、対象CPU(第2の制御部)に対して、監視実行権に関する委譲要求を通知する。続いて、S2204において、マスタCPU1001は、対象のCPUからの通知(Ack)を待ち、Ackを受信するとS2205に進み、監視実行権に関する受領応答であれば、監視実行権を委譲して処理を終了する。監視実行権の受領応答で無い場合は、S2202へと戻り、他のCPU(第2の制御部とは異なる他の制御部)の検索を行う。ここで、S2202で再度監視実行権の委譲が可能なCPUが有るか否かを判定するのは、対象CPU(他の制御部)が状態通知をした後に状態が変更されている可能性があるためである。その後、監視実行権に関する受領応答を送信したCPUは、上述した状態監視処理を実行することとなる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数の制御部(第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部)を備え、分散制御を行うとともに、監視実行権を有する何れか1つの制御部が各制御部の異常状態を監視する。さらに、各制御部は、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を自身の処理負荷から判定し、監視実行権を有している場合に監視可否情報が予め定められた情報を満たしていなければ、満たしている他の制御部へ監視実行権を委譲する。これにより、本実施形態に係る画像形成装置は、処理負荷に応じて、各制御部の異常状態を監視する制御部が切り替わるため、複数の制御部の中で、他の制御部の異常状態を監視可能な制御部が監視処理を実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の制御部と、第2の制御部と、第3の制御部とを備え、各制御部を用いて分散制御を行う画像形成装置であって、
前記第1の制御部及び前記第2の制御部は、
異常状態を監視するための監視実行権を有する場合に、前記第3の制御部の異常状態を監視する監視手段を備え、
前記第1の制御部は、
自身の処理負荷に応じて前記異常状態を監視可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記監視実行権を有する場合に、前記判定手段によって前記異常状態を監視不可能であると判定されると、前記第2の制御部に前記監視実行権を委譲することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記監視手段は、
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を取得する取得手段と、
前記他の制御部から取得した前記監視可否情報に基づいて、前記監視実行権を委譲する対象の制御部を決定する決定手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段は、さらに
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から、それぞれの状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報を取得し、
前記監視手段は、
前記取得手段によって取得された前記状態情報が異常を示す場合に、当該制御部が異常状態であると判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記監視手段は、
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から前記取得手段によって監視可否情報が取得できない場合に、当該制御部が異常状態であると判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の制御部は、
前記第2の制御部に前記監視実行権を委譲するときに、前記第2の制御部に対して前記監視実行権を委譲する委譲要求を送信し、該委譲要求に対する受領応答を受信した場合は、前記第2の制御部に対して前記監視実行権を委譲し、該委譲要求に対する受領応答を受信できない場合は、該第2の制御部とは異なる他の制御部であって、かつ、監視可否情報が予め定められた情報を示す前記他の制御部に対して該委譲要求を送信することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記監視可否情報には、
前記異常状態の監視が可能である状態と、前記異常状態の監視が可能である状態の他の制御部が存在しなければ前記監視実行権を保有する状態と、前記異常状態の監視が不可能である状態とが含まれ、
前記予め定められた情報とは、前記異常状態の監視が可能である状態を示すことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の制御部は、記録材に画像を形成する画像形成装置の全体を制御する第1層制御部であり、
前記第2の制御部は、前記第1層制御部により制御され、画像形成を実行するための複数の機能を制御する複数の第2層制御部を含み、
前記監視実行権は、前記第1層制御部及び前記複数の第2層制御部の何れか1つに与えられることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第3の制御部は、前記第2層制御部により制御され、前記複数の機能を実現するための負荷を制御する複数の第3層制御部を含み、
前記第2層制御部は、
制御対象となる前記第3層制御部の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
第1の制御部と、第2の制御部と、第3の制御部とを備え、各制御部を用いて分散制御を行う画像形成装置であって、
前記第1の制御部及び前記第2の制御部は、
異常状態を監視するための監視実行権を有する場合に、前記第3の制御部の異常状態を監視する監視手段を備え、
前記第1の制御部は、
自身の処理負荷に応じて前記異常状態を監視可能か否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記監視実行権を有する場合に、前記判定手段によって前記異常状態を監視不可能であると判定されると、前記第2の制御部に前記監視実行権を委譲することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記監視手段は、
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から、異常状態を監視可能か否かを示す監視可否情報を取得する取得手段と、
前記他の制御部から取得した前記監視可否情報に基づいて、前記監視実行権を委譲する対象の制御部を決定する決定手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取得手段は、さらに
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から、それぞれの状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報を取得し、
前記監視手段は、
前記取得手段によって取得された前記状態情報が異常を示す場合に、当該制御部が異常状態であると判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記監視手段は、
前記異常状態を監視する対象となる他の制御部から前記取得手段によって監視可否情報が取得できない場合に、当該制御部が異常状態であると判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の制御部は、
前記第2の制御部に前記監視実行権を委譲するときに、前記第2の制御部に対して前記監視実行権を委譲する委譲要求を送信し、該委譲要求に対する受領応答を受信した場合は、前記第2の制御部に対して前記監視実行権を委譲し、該委譲要求に対する受領応答を受信できない場合は、該第2の制御部とは異なる他の制御部であって、かつ、監視可否情報が予め定められた情報を示す前記他の制御部に対して該委譲要求を送信することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記監視可否情報には、
前記異常状態の監視が可能である状態と、前記異常状態の監視が可能である状態の他の制御部が存在しなければ前記監視実行権を保有する状態と、前記異常状態の監視が不可能である状態とが含まれ、
前記予め定められた情報とは、前記異常状態の監視が可能である状態を示すことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の制御部は、記録材に画像を形成する画像形成装置の全体を制御する第1層制御部であり、
前記第2の制御部は、前記第1層制御部により制御され、画像形成を実行するための複数の機能を制御する複数の第2層制御部を含み、
前記監視実行権は、前記第1層制御部及び前記複数の第2層制御部の何れか1つに与えられることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第3の制御部は、前記第2層制御部により制御され、前記複数の機能を実現するための負荷を制御する複数の第3層制御部を含み、
前記第2層制御部は、
制御対象となる前記第3層制御部の状態が正常であるか又は異常であるかを示す状態情報を取得することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−16850(P2012−16850A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154357(P2010−154357)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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