説明

画像形成装置

【課題】画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、感光体ドラム62と、この感光体ドラム62との間に直流電圧を印加して放電することにより、感光体ドラム62を帯電させる帯電部66と、を有し、感光体ドラム62は、画像が形成される画像形成領域Pと画像が形成されない非画像形成領域Qとがあり、帯電部66による非画像形成領域Qの放電電流密度が、画像形成領域Pの放電電流密度よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電圧を印加し、被帯電体に接触または近接させて被帯電体を帯電処理する帯電部材について、有効帯電幅領域の端部側領域部分の電気抵抗値を、中央領域部分の電気抵抗値よりも有効帯電幅領域の端部へ向かうに従い徐々に高くした帯電部材を開示する。
【0003】
特許文献2は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体は該電子写真感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより帯電され、該電子写真感光体と該帯電部材とが接触し得る領域の端部における電子写真感光体が高いインピーダンスを有する電子写真感光体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−261507号公報
【特許文献2】特開平07−295340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る本発明は、像保持体と、前記像保持体との間に直流電圧を印加して放電することにより、前記像保持体を帯電させる帯電部材と、を有し、前記像保持体は、画像が形成される画像形成領域と画像が形成されない非画像形成領域とがあり、前記帯電部材による非画像形成領域の放電電流密度が、画像形成領域の放電電流密度よりも大きいことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に係る本発明は、前記帯電部材は円筒状に形成され、押圧することにより変形する表面層を有し、前記像保持体は円筒状に形成され、軸方向両側が非画像形成領域であり、当該非画像形成領域の間が画像形成領域であり、前記帯電部材と前記像保持体とは、軸方向が平行となるように接触し、前記帯電部材の軸方向両側を前記像保持体に向けて押圧する押圧手段をさらに有する請求項1記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項3に係る本発明は、前記像保持体の非画像形成領域の膜厚は、画像形成領域の膜厚よりも小さい請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項4に係る本発明は、前記像保持体の非画像形成領域の抵抗は、画像形成領域の抵抗よりも小さい請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項5に係る本発明は、前記帯電部材の非画像形成領域と対向する部分の抵抗は、画像形成領域と対向する部分の抵抗よりも小さい請求項2記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項6に係る本発明は、前記帯電部材の非画像形成領域と対向する部分のJIS B 0601に規定される表面粗さRaは、画像形成領域と対向する部分の表面粗さRaよりも小さい請求項2記載の画像形成装置。
【0012】
請求項7に係る本発明は、非画像形成領域を除電する除電手段をさらに有する請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、帯電部材と像保持体とを画像形成領域よりも先に非画像形成領域において近づけ易くすることができる。
【0015】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、より効果的に画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【0016】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、より効果的に画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【0017】
請求項5に係る本発明によれば、請求項2に係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、より効果的に画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【0018】
請求項6に係る本発明によれば、請求項2に係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、より効果的に画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【0019】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至6いずれかに係る本発明の効果に加え、本構成を有さない場合と比較して、より効果的に画像形成領域において不安定な放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の側面からの断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る像形成ユニット及びその周辺構造の概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係る感光体ドラムの断面の模式図の一例である。
【図4】本発明の実施形態に係る帯電部の斜視図である。
【図5】感光体ドラムと帯電部との間における放電の特性を説明する説明図である。
【図6】感光体ドラム及び帯電部の接触部分周辺の概略図である。
【図7】感光体ドラムと接触する帯電部の軸方向に対する位置関係を示す概略図である。
【図8】第二実施形態に係る感光体ドラム及び帯電部の接触部分周辺の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置10の側面からの断面図を示す。
【0022】
画像形成装置10は画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12の上部は、画像の形成された記録媒体が排出される排出部14として用いられる。
【0023】
画像形成装置本体12には、装着用開閉部(非図示)と給紙用開閉部24とがそれぞれ、この画像形成装置本体12に対して開閉自在に設けられている。
【0024】
装着用開閉部は、像形成剤収容容器として用いられる収容容器30Y、30M、30C、30Kを画像形成装置本体12内に装着する際、あるいは、収容容器30Y、30M、30C、30Kを画像形成装置本体12内から取り外す際に開かれる。また、装着用開閉部は、画像形成を行う際に閉じられる。
【0025】
給紙用開閉部24は、画像形成装置本体12の前側から記録媒体を供給する際に開かれる。
【0026】
収容容器30Y、30M、30C、30Kにはそれぞれ、像形成剤として用いられるイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーが収容されている。
収容容器30Y、30M、30Cはそれぞれ、形状及び大きさが同様に構成されており、略同一の容積のトナーを収容するようになっている。
収容容器30Kは、収容容器30Y、30M、30Cよりも縦長に構成され、これら収容容器30Y、30M、30Cよりも体積が大きく、これら収容容器30Y、30M、30Cよりも収容するトナーの容積が大きくなるようになっている。
【0027】
収容容器30Y、30M、30Cと収容容器30Kとは、収容できるトナーの容積が異なるものの、有する部材及び機能は同一に構成されている。
【0028】
画像形成装置本体12内には、像形成部40と、この像形成部40に記録媒体を供給する記録媒体供給装置42と、記録媒体の搬送に用いられる搬送路44が設けられている。
像形成部40、記録媒体供給装置42、及び搬送路44によって、記録媒体に画像を形成する画像形成手段が構成される。
【0029】
像形成部40は、例えば4個の像形成ユニット52Y、52M、52C、52Kと、潜像形成装置54と、転写装置56とにより構成される。像形成ユニット52Y、52M、52C、52KはそれぞれY、M、C、Kのトナーを用いて現像剤像を形成する。
像形成ユニット52Y、52M、52C、52Kはそれぞれ、対応する色が異なるものの同様の構成となっているため、以下、各色に対応するY、M、C、Kを省略して「像形成ユニット52」のように総称する場合がある。各色に対応する他の構成(収容容器30、感光体ドラム62等)についても同様とする。
【0030】
像形成ユニット52はそれぞれ、像保持体として用いられる感光体ドラム62と、この感光体ドラム62の表面をクリーニングするクリーニング装置64と、感光体ドラム62を帯電する帯電部66と、潜像形成装置54によって感光体ドラム62の表面に形成された静電潜像を、トナーにより現像してトナー像を形成する現像装置68と、を有する。
【0031】
現像装置68にはそれぞれ、収容容器30から対応する色のトナーが供給される。
【0032】
転写装置56は、転写媒体として用いられるベルト状の中間転写体72と、1次転写装置として用いられる1次転写ロール74Y、74M、74C、74Kと、2次転写装置として用いられる2次転写ロール76と、中間転写体72の表面をクリーニングするクリーニング装置78と、を有する。
【0033】
中間転写体72は、感光体ドラム62それぞれに形成されたトナー像が重ねられるようにして転写される。中間転写体72は、支持部材として用いられる例えば4つの支持ロール82a、82b、82c、82dによって回転自在に支持されている。
【0034】
1次転写ロール74Y、74M、74C、74Kはそれぞれ、感光体ドラム62Y、62M、62C、62Kに形成された各色に対応するトナー像を、中間転写体72に転写する。
【0035】
2次転写ロール76は、中間転写体72に転写された各色のトナー像を、記録媒体に転写する。
【0036】
記録媒体供給装置42は、例えば記録媒体を積層した状態で収納する記録媒体収納容器92と、この記録媒体収納容器92に収納された最上位の記録媒体を抽出する抽出ロール94と、この抽出ロール94で抽出された記録媒体を像形成部40に向けて搬送する搬送ロール96と、この搬送ロール96に接触し、搬送ロール96との間で記録媒体を分離する分離ロール98と、を有する。
【0037】
記録媒体収納容器92は、例えば画像形成装置本体12の前側(図1における左側)に引き出せるようになっており、この画像形成装置本体12から引き出された状態で記録媒体が補充される。
【0038】
搬送路44は、主搬送路100と、反転搬送路102と、補助搬送路104とにより構成される。
【0039】
主搬送路100は、記録媒体供給装置42から供給された記録媒体を排出部14に向けて搬送する搬送路である。主搬送路100には、記録媒体の搬送方向上流側から順に、レジストロール112と、2次転写ロール76と、定着装置114と、排出ロール116とが配置されている。
【0040】
レジストロール112は、停止した状態から所定のタイミングで回転を開始し、中間転写体72にトナー像が転写されるタイミングに合致するように、記録媒体を中間転写体72と2次転写ロール76との接触部分(ニップ部分)に供給する。
【0041】
定着装置114は、転写装置56によりトナー像が転写された記録媒体にこのトナー像を定着させる。
【0042】
排出ロール116は、定着装置114によってトナー像が定着された記録媒体を排出部14に排出する。また、排出ロール116は、記録媒体の両面に画像を形成する場合、排出部14に記録媒体を排出するときとは反対方向に回転し、一方の面に画像が形成された記録媒体を、後端側から反転搬送路102へ搬送する。
【0043】
反転搬送路102は、一方の面に画像が形成された記録媒体を反転させるとともに、再度、レジストロール112の上流側に向けて搬送する搬送路である。反転搬送路102には、例えば2つの反転搬送ロール118a、118bが配置されている。
【0044】
補助搬送路104は、給紙用開閉部24が画像形成装置本体12に対して開かれた状態において、この画像形成装置本体12の前側から記録媒体を供給する際に用いられる。補助搬送路104には、レジストロール112に向けて記録媒体を搬送する補助搬送ロール120と、この補助搬送ロール120に接触し記録媒体を分離する分離ロール122とが配置されている。
【0045】
画像形成装置本体12内には、感光体ドラム62の膜厚(膜減り)を測定する膜厚測定部130が設けられている。
膜厚測定部130は、感光体ドラム62の膜厚の測定に関して、例えば、印刷した記録媒体の枚数(以下、「印刷枚数」と称する)の測定、感光体ドラム62の回転数の測定、もしくはトナーの使用量の測定、又はこれらを組み合わせたもの等の測定を行うようにしてもよい。
【0046】
また、画像形成装置本体12内には、帯電部66に印加する電圧を設定する電圧設定部140が設けられている。電圧設定部140には、膜厚測定部130が測定した測定結果が通知されるようになっている。
電圧設定部140は、膜厚測定部130の測定結果に基づいて、印加する電圧を設定するようになっている。
【0047】
次に、像形成ユニット52の詳細について説明する。
図2は、像形成ユニット52及びその周辺構造の概略図を示す。
【0048】
感光体ドラム62の周囲には、クリーニング装置64、帯電部66、現像装置68、及び、中間転写体72を介して1次転写ロール74、が配置されている。
【0049】
クリーニング装置64は、感光体ドラム62表面に残留したトナーや紙粉等を除去するクリーニングブレード200と、このクリーニングブレード200により除去したトナー等を回収する回収容器202と、この回収容器202に回収されたトナー等の漏洩を防止する漏洩防止部材204と、により構成される。
【0050】
帯電部66は、感光体ドラム62の回転方向(以下、単に「回転方向」と称する場合がある)に沿うようにして設けられている。
なお、回転方向に対して現像装置68に近い側を、回転方向下流側とする。
【0051】
帯電部66は、ロール状に形成され、感光体ドラム62と接触して帯電(接触帯電)させる帯電ロールとして構成されている。
接触帯電には、帯電部66と感光体ドラム62とが、放電を生じる程度に近接して帯電することが含まれるとする。
【0052】
また、帯電部66には、この帯電部66の表面を清掃する清掃部材226が設けられている。清掃部材226は、帯電部66の回転に従動して回転するようになっている。
【0053】
帯電部66には、この帯電部66に電圧を印加する印加部210が設けられている。
本実施形態においては、印加部210が帯電部66に直流の電圧を印加する方式(DC帯電方式)となっている。
なお、印加部210が、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する方式(AC+DC帯電方式)としてもよい。
【0054】
上述したように、電圧設定部140には、膜厚測定部130から測定結果が通知される。
このように、電圧設定部140は、膜厚測定部130の測定結果に基づいて、印加部210に印加する電圧を設定するように構成されている。
【0055】
次に、感光体ドラム62の詳細について説明する。
図3は、感光体ドラム62の断面の模式図の一例を示す。
【0056】
感光体ドラム62は、導電性基材170上に下引層172が設けられ、この下引層172上に、電荷発生層174、電荷輸送層176、及び保護層178これらにより形成される感光層が設けられた構成となっている。
【0057】
導電性基材170の材質としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、及び金属ベルト、又は、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が用いられる。
ここで導電性とは、体積抵抗率が1013 Ωcm未満であることを示す。
【0058】
感光体ドラム62がレーザープリンターに使用される場合、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するため、導電性基材170の表面は、例えば、中心線平均粗さ(Ra75)で0.04 μm以上0.5 μm以下とする。
中心線平均粗さ(Ra75)が0.04 μm未満であると干渉防止効果が不十分となる傾向があり、0.5 μmより大きくなると、画質が粗くなる傾向がある。
【0059】
表面粗さを調整する方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う液体ホーニングや、回転する砥石に支持体を圧接し連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が用いられる。
また、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法が用いられる。
【0060】
下引層172は、リーク耐性、キャリアブロック性を付与する層である。
下引層172は、例えば、結着樹脂に無機粒子を含有するようにして構成される。
【0061】
下引層172に使用される結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の高分子樹脂化合物、あるいは、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂等が挙げられる。
【0062】
下引層172中には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いてもよい。
添加物としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等が用いられる。
【0063】
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)102 Ωcm以上1011 Ωcm以下のものが用いられる。
体積抵抗率が102 Ωcm未満であると十分なリーク耐性が得られず、1011 Ωcmよりも高いと残留電位上昇を引き起こす場合がある。
無機粒子としては、例えば、酸化錫や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の無機粒子(導電性金属酸化物)が用いられる。
【0064】
また、無機粒子は表面処理を行ったものでもよく、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものなど二種以上混合して用いてもよい。無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50 nm以上2000 nm以下の範囲である。
【0065】
無機粒子としては、例えば、BET法による比表面積が10 m2/g以上のものが用いられる。比表面積値が10 m2/g未満であると帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい傾向がある。
【0066】
下引層172は、例えば、ビッカース硬度が35以上とされる。
【0067】
下引層172は、例えば、15 μm以上50 μm以下とされる。
下引層172の厚さが15 μm未満であるときには、充分な耐リーク性能を得ることができず、50 μm以上であるときには長期使用した場合に残留電位が残りやすくなるため画像濃度異常を招く場合がある。
【0068】
電荷発生層174は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する層である。
【0069】
電荷発生材料としては、例えば、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、酸化亜鉛、三方晶系セレン等が用いられる。
電荷発生材料としては、例えば、光源の露光波長が380 nm以上500 nm以下の場合には無機顔料が望ましく、700 nm以上800 nm以下の場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が用いられる。
【0070】
電荷発生層174に使用される結着樹脂としては、例えば、絶縁性樹脂、あるいは、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーが挙げられる。
具体的には、結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が用いられる。
これらの結着樹脂は一種を単独で又は二種以上を混合して用いられる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、例えば、質量比で10:1から1:10までの範囲内でとする。
ここで絶縁性とは、体積抵抗率が1013 Ωcm以上であることをいう。
【0071】
電荷発生層174の膜厚は、例えば、0.1 μm以上5.0 μm以下とする。
【0072】
電荷発生層174は、上記電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散した塗布液を用いて形成される。
【0073】
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらは一種を単独で又は二種以上を混合して用いられる。
【0074】
また、電荷発生材料及び結着樹脂を溶剤中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等が用いられる。これらの分散方法により、分散による電荷発生材料の結晶型の変化が防止される。
【0075】
また、電荷発生層174を形成する際には、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等が用いられる。
【0076】
電荷輸送層176は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
【0077】
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物などの正孔輸送性化合
物が用いられる。
これらの電荷輸送材料は一種を単独で又は二種以上を混合して用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
電荷輸送層176に使用される結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。
これらの結着樹脂は一種を単独で又は二種以上を混合して用いられる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、例えば、質量比で10:1から1:5とする。
【0079】
高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等が用いられる。高分子電荷輸送材は単独で成膜してもよいし、結着樹脂と混合して成膜してもよい。
【0080】
電荷輸送層176の膜厚は、例えば、5 μm以上50 μm以下とする。
【0081】
電荷輸送層176は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の有機溶剤を単独又は二種以上混合して用いられる。
【0082】
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層174の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等が用いられる。
【0083】
保護層178は、感光体ドラム62における最表面層であり、最表面の磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、かつ、トナーの転写効率を上げるために設けられる層である。
保護層178としては、バインダー樹脂中に導電性粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性粒子を分散したもの、シリコーンやアクリル等のハードコート剤、あるいは、強度、電気特性、画質維持性などの観点から架橋構造を有するもの、酸化しやすい電荷輸送性材料を含むもの、これらが用いられる。
架橋構造を形成するものとしては、例えば、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂等が用いられる。
【0084】
このように、感光体ドラム62は、帯電可能な膜が表面に形成された構造となっている。
【0085】
感光体ドラム62は、上記構成に限らず、導電性基材170上に下引層172が設けられ、この下引層172上に電荷輸送層176、電荷発生層174、保護層178が順次形成された感光層が設けられるようにしてもよい。
また、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層)として形成するようにしてもよい。
なお、下引層172を設けないようにしてもよい。
【0086】
次に、帯電部66の詳細について説明する。
図4は、帯電部66の斜視図を示す。
【0087】
帯電部66は、芯金(シャフト)230と、この芯金230の外周面に配設された弾性層232と、この弾性層232の外周面に配設された表面層234と、により構成される。
帯電部66の弾性層232と表面層234とは、押圧されることにより変形するようになっている。
帯電部66は、上記構成に限らず、芯金230と弾性層232との間に接着層(プライマー層)を、弾性層232と表面層234との間に抵抗調整層又は以降防止層を、表面層234の外側に保護層(コーティング層)を設けるようにしてもよい。
【0088】
芯金230は、導電性の部材により棒状に形成されている。芯金230は、中空状(筒状)の部材であってもよいし、非中空状の部材であってもよい。
芯金230の材質としては、例えば、鉄や銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属、あるいは、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば、樹脂やセラミック等)、導電剤が分散された部材等が用いられる。
【0089】
弾性層232は、例えば、弾性材料と、導電剤と、により構成される。また、弾性層232には、必要に応じて添加剤が含まれる。
【0090】
弾性材料としては、例えば、イソプレンゴムやクロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロリルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム、及びこれらのブレンドゴム等が用いられる。
弾性材料は、発砲したものであってもよいし、無発泡のものであってもよい。
【0091】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤等が用いられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、熱分解カーボン、グラファイト、もしくは、アルミニウムや銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属又は合金、もしくは、酸化スズや酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物、もしくは、絶縁性物質の表面を導電化処理したもの、これらが用いられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウムやラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸素塩又は塩素酸塩等、もしくは、リチウムやマグネシウム等のアルカリ金属の過塩素酸素塩又は塩素酸塩等、もしくは、アルカリ土類金属の過塩素酸素塩又は塩素酸塩等、これらが用いられる。
導電剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
添加剤としては、例えば、軟化剤や可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム)等が用いられる。
【0093】
弾性層232の厚みは、例えば、1 mm以上10 mm以下程度であり、体積抵抗率は、103 Ωcm以上1014 Ωcm以下程度に構成される。
【0094】
表面層234は、例えば、樹脂により構成される。表面層234には、必要に応じて、所定の表面粗さを付与する粗さ付与粒子、導電剤、添加剤が含まれる。
【0095】
樹脂としては、アクリル樹脂やセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、共重合ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)、尿素樹脂等、これらが用いられる。
【0096】
共重合ナイロンは、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、これらの内のいずれか一種又は複数種を重合単位として含むものである。また、この共重合体には、重合単位としてナイロン6やナイロン66等が含まれるようにしてもよい。
さらに、樹脂としては、弾性層232に用いられる弾性材料を適用するようにしてもよい。
【0097】
粗さ付与粒子としては、導電性粒子や非導電性粒子が用いられる。
ここで導電性とは、体積抵抗率が1013 Ωcm未満であることを示し、非導電性とは、体積抵抗率が1013 Ωcm以上であることを示す。
【0098】
導電性粒子としては、例えば、弾性層232に用いられる導電剤が適用される。
非導電性粒子としては、樹脂粒子(ポリイミド樹脂粒子やメタクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等)、無機粒子(クレイ粒子やカオリン粒子、タルク粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子等)、及びセラミック粒子等、これらが用いられる。
【0099】
粗さ付与粒子は、樹脂に用いられるものと同種のもので構成するようにしてもよい。このような構成の場合、本構成を有さない場合と比較して、粗さ付与粒子と樹脂との相溶性、密着性が向上する。
【0100】
表面層234に用いられる導電剤、添加剤としては、例えば、上述した弾性層232に用いられる導電剤、添加剤が適用される。
【0101】
次に、感光体ドラム62及び帯電部66の構成について説明する。
図5は、感光体ドラム62と帯電部66との間における放電の特性を説明する説明図を示す。
図6は、感光体ドラム62及び帯電部66の接触部分周辺の概略図を示す。
【0102】
まず、放電の特性について、感光体ドラム62と帯電部66を用いて説明する。
【0103】
放電は、感光体ドラム62を帯電するための電圧(以下、「帯電電圧」と称する)が大きいほど、感光体ドラム62と帯電部66との距離(以下、「ギャップ長」と称する)が長い箇所で発生する。
ここで「帯電電圧」とは、感光体ドラム62を帯電するのに要する電圧を示す。
例えば、感光体ドラム62に設定された値が「-600 V」である場合、感光体ドラム62を「0 V」から「-600 V」とするとき、帯電電圧は「-600 V」となり、感光体ドラム62を「-200 V」から「-600 V」とするとき、帯電電圧は「-400 V」となる。
【0104】
放電は、ギャップ長が長いほど不安定になり易い。このため、ギャップ長の長い放電は、画像形成の欠陥(画像欠陥:例えば、横筋状のディフェクト等)の要因となる。
【0105】
また、先に発生した放電(第一の放電)は、被帯電体(感光体ドラム62)を所定の範囲で帯電させる。このため、第一の放電における所定の範囲内にあって後に発生する放電(第二の放電)は、第一の放電よりも帯電電圧が小さくなりギャップ長が短くなる。
同様に、第二の放電が帯電させる範囲内にあって、この第二の放電よりも後に発生する放電(第三の放電)は、さらに、帯電電圧が小さくなりギャップ長が短くなる。
【0106】
具体的には、図5に示すように、帯電部66の回転軸方向に沿って位置A、B、Cの順に放電が生じるとする。この場合、位置Aにおける放電により、その周囲である位置B、Cに対応する部分の感光体ドラム62が帯電される(本例において、感光体ドラム62は負の電位に帯電するとしている)。
このため、位置B、Cにおける帯電電圧は、位置Aにおける帯電電圧よりも小さくなる。
【0107】
さらに、その後生じる位置Bにおける放電により、その周囲である位置Cに対応する部分の感光体ドラム62が帯電される。
このため、位置Cにおける帯電電圧は、位置Bにおける帯電電圧よりも小さくなる。
【0108】
したがって、帯電電圧は、位置A、B、Cの順に小さくなる。
すなわち、位置Bにおける放電のギャップ長は、位置Aよりも短く、この位置Bにおける放電は、位置Aよりも安定し易くなる。
さらに、位置Cにおける放電のギャップ長は、位置A、Bよりも短く、この位置Cにおける放電は、位置A、Bよりも安定し易くなる。
【0109】
発生する放電の電流密度(放電電流密度)が大きいほど、その周囲の帯電電圧は小さくなる。
ここで、放電電流密度とは、放電により電極間(感光体ドラム62及び帯電部66間)に流れる電流値を、放電空間における電流の流れと直交する方向の面積で除した値を示す。
【0110】
放電は、放電電流密度が大きい箇所(例えば、抵抗が低い箇所)ほど、先に発生し易い。
【0111】
また、放電は、感光体ドラム62及び帯電部66の回転に伴い、これらが先に接触する(放電を生じる程度の距離に近づく)箇所において、先に発生し易い。
例えば、感光体ドラム62及び帯電部66は、製造の精度上、歪みや表面形状のばらつき等が生じる場合があり、これらにより、放電する箇所の順序に違いが発生する程度に、接触する箇所に先後が発生する(回転軸方向に対して接触する時期に、放電の発生が先後する程度の僅かな差がある)ことがある。
【0112】
図6に示すように、感光体ドラム62及び帯電部66は、軸方向が平行となるように、画像が形成される画像形成領域Pと、回転軸方向に対してこの画像形成領域Pよりも外側(回転軸方向に対して端部側)であって画像が形成されない非画像形成領域Qとで接触(あるいは近接)している。
画像形成領域Pは、記録媒体に印刷される画像に影響を及ぼす領域を示し、非画像形成領域Qは、記録媒体に印刷される画像に影響を及ぼさない領域を示す。
【0113】
非画像形成領域Qにおける放電電流密度は、画像形成領域Pにおける放電電流密度よりも大きくなるように構成されている。
具体的には、例えば、帯電部66の抵抗について、非画像形成領域Qに対応する部分q1が、画像形成領域Pに対応する部分p1よりも小さくなるように構成されている。
抵抗は、表面抵抗率(Ω/□)や体積抵抗率(Ωcm)等により示されるものである。
【0114】
このように、非画像形成領域Qにおいて放電電流密度の大きな放電が発生することにより、本構成を有さない場合と比較して、画像形成領域Pにおける帯電電圧がより小さくなる。
本実施形態では、非画像形成領域Qである端部において、これより中央に位置する画像形成領域Pより先に放電電流密度の大きな放電が発生する。したがって、本構成を有さない場合と比較して、画像形成領域Pにおける帯電電圧がより小さくなる。
【0115】
上記構成に限らず、帯電部66の表面粗さについて、非画像形成領域Qに対応する部分q1が、画像形成領域Pに対応する部分p1よりも小さくなるように構成してもよい。
表面粗さは、JIS B 0601-2001により規定された算術平均粗さ(Ra)や十点平均粗さ(Rzjis)、最大高さ粗さ(Rz)等により示されるものである。
【0116】
あるいは、感光体ドラム62の抵抗について、非画像形成領域Qに対応する部分q2が、画像形成領域Pに対応する部分p2よりも小さくなるように構成するようにしてもよい。
【0117】
また、感光体ドラム62の膜厚について、非画像形成領域Qに対応する部分q2が、画像形成領域Pに対応する部分p2よりも小さくなるように構成するようにしてもよい。
【0118】
非画像形成領域Qに対応する部分q2の静電容量が、画像形成領域Pに対応する部分p2の静電容量よりも大きくなるように構成するようにしてもよい。
【0119】
また、帯電部66と感光体ドラム62とが、画像形成領域Pよりも非画像形成領域Qの方が接近するように押圧する押圧手段が設けられている。
例えば、押圧手段は、画像形成領域Pよりも非画像形成領域Qの方が押圧力が大きくなるように、帯電部66を感光体ドラム62に向けて押圧する。
【0120】
本実施形態において、押圧手段は、バネ等の弾性部材からなる付勢手段250であり、帯電部66は、この付勢手段250により感光体ドラム62側に付勢されている。
付勢手段250は、非画像形成領域Qにおいて、帯電部66の回転軸方向に対する両端部を感光体ドラム62側に付勢するように設けられている。
【0121】
感光体ドラム62と接触する帯電部66の軸方向における位置関係について説明する。
図7は、感光体ドラム62と帯電部66との接触部部を、この帯電部66の軸方向端部方向からみた概略図を示す。
【0122】
帯電部66は、付勢手段250により端部を付勢(押圧)されると弾性層232と表面層234とが変形する。このため、感光体ドラム62との帯電部66の接触部分の形状は、軸方向の位置によって異なることとなる。
帯電部66は、付勢手段250により付勢された軸方向端部側ほど大きく歪んだ形状となる。
【0123】
図7に示すように、帯電部66の軸方向中央部分(画像形成領域Pに対応する部分p1)の曲面L1よりも、画像形成領域Pに対応する部分p1の軸方向端部(非画像形成領域Qに対応する部分q1との境界に相当する部分)の曲面L2の方が、感光体ドラム62との距離が小さくなる(感光体ドラム62との距離が小さい範囲が増加する)形状となっている。
【0124】
また、曲面L2よりも、この曲面L2よりも軸方向端部側であり、非画像形成領域Qに相当する部分q2の軸方向中央部分の曲面L3の方が、感光体ドラム62との距離が小さくなる形状となっている。
同様に、曲面L3よりも、この曲面L3よりも軸方向端部側であり、非画像形成領域Qに相当する部分q2の軸方向端部の曲面L4の方が、感光体ドラム62との距離が小さくなる形状となっている。
【0125】
このため、図7に示したように、本構成を有さない場合と比較して、帯電部66及び感光体ドラム62はその回転に伴い、非画像形成領域Qに対応する部分q1、q2が画像形成領域Pに対応する部分p1、p2よりも先に接触(あるいは近接)し易い構成となっているとともに、画像形成領域Pに対応する部分p1、p2は、その領域内の中央部側より端部側の方が先に接触(あるいは近接)し易い構成となっている。
【0126】
したがって、非画像形成領域Qに対応する部分q1、q2でもっとも先に放電が発生し、続いて画像形成領域Pに対応する部分p1、p2の軸方向端部側で放電が発生し、引き続き徐々に内側(軸方向中央部側)に順番に放電が発生していくことになる。
【0127】
帯電部66の軸方向の放電の起こる順番に従い、放電電流密度及び帯電電圧は、非画像形成領域Qに対応する部分q1、q2でもっとも大きく、その次に画像形成領域Pに対応する部分p1、p2の軸方向端部側で大きく、徐々に内側(軸方向中央部側)に向かうに従い小さくなっていく。
【0128】
したがって、本構成を有する場合、画像形成領域Pにおける放電電流密度及び帯電電圧は、軸方向端部から軸方向中央部に向かって小さくなる、すなわち放電のギャップ長が短くなるので、画像形成領域Pにおいて画像欠陥が非常に発生しにくくなる。
【0129】
なお、押圧手段として、画像形成領域P側と比較して非画像形成領域Q側に負荷がかかる状態で、帯電部66を感光体ドラム62に接触(あるいは近接)させて固定する固定部材を設けるようにしてもよい。
また、押圧手段は、感光体ドラム62を帯電部66に向けて押圧するように設けてもよい。
【0130】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
図8は、第二実施形態にかかる感光体ドラム62及び帯電部66の接触部分周辺の概略図を示す。
【0131】
第二実施形態においては、感光体ドラム62の非画像形成領域Qに対応する部分q2を除電する除電ランプ等の除電装置260が設けられている。
このため、本構成を有さない場合と比較して、非画像形成領域Qにおいて、電流が流れ易くなっている。すなわち、非画像形成領域Qにおける放電電流密度が、画像形成領域Pにおける放電電流密度よりも大きくなるように構成されている。
【0132】
なお、感光体ドラム62及び帯電部66等の構成は、これらの実施形態に限らず、それぞれの構成を組み合わせるようにしてもよく、目的に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0133】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 排出部
24 給紙用開閉部
40 像形成部
42 記録媒体供給装置
44 搬送路
52 像形成ユニット
54 潜像形成装置
56 転写装置
62 感光体ドラム
66 帯電部
68 現像装置
72 中間転写体
114 定着装置
130 膜厚測定部
140 電圧設定部
210 印加部
250 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、
前記像保持体との間に直流電圧を印加して放電することにより、前記像保持体を帯電させる帯電部材と、
を有し、
前記像保持体は、画像が形成される画像形成領域と画像が形成されない非画像形成領域とがあり、前記帯電部材による非画像形成領域の放電電流密度が、画像形成領域の放電電流密度よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電部材は円筒状に形成され、押圧することにより変形する表面層を有し、
前記像保持体は円筒状に形成され、軸方向両側が非画像形成領域であり、当該非画像形成領域の間が画像形成領域であり、
前記帯電部材と前記像保持体とは、軸方向が平行となるように接触し、
前記帯電部材の軸方向両側を前記像保持体に向けて押圧する押圧手段をさらに有する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体の非画像形成領域の膜厚は、画像形成領域の膜厚よりも小さい請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像保持体の非画像形成領域の抵抗は、画像形成領域の抵抗よりも小さい請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電部材の非画像形成領域と対向する部分の抵抗は、画像形成領域と対向する部分の抵抗よりも小さい請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材の非画像形成領域と対向する部分のJIS B 0601に規定される表面粗さRaは、画像形成領域と対向する部分の表面粗さRaよりも小さい請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
非画像形成領域を除電する除電手段をさらに有する請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173405(P2012−173405A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33379(P2011−33379)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】