説明

画像形成装置

【課題】転写部材あるいは記録材保持体の偏心に起因する、転写における濃度むらの発生を抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、周面に画像を保持して回転する感光体ドラム11と、外周面および内周面を有し且つ軸方向両端が開口する円筒状の形状を備え、感光体ドラム11の周面に接触して回転し、感光体ドラム11上の画像を外周面に保持された用紙Sに転写する転写ドラム21と、転写ドラム21と感光体ドラム11とが接する転写ニップ部よりも転写ドラム21の回転方向上流側で、転写ドラム21の内周面に接触し且つ転写ドラム21を回転駆動する転写ドラム駆動ロール83と、転写ドラム21と転写ドラム駆動ロール83とが接する駆動ニップ部よりも転写ドラム21の回転方向上流側で、転写ドラム21の外周面に回転可能に接触する転写ドラム支持ロール31とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、画像を保持して回転する感光体ドラムと、感光体ドラムに対向して回転可能に配置され、外周面に装着された記録紙に、感光体ドラムに形成された画像を転写するクランプドラムとを備え、クランプドラムの軸方向両端に設けられた回転軸を中心として、クランプドラムを回転駆動するものが存在する(特許文献1参照)。
また、他の公報記載の従来技術として、形成された画像を担持する像担持体の外周面に、回転可能な3つの支持部材を接触配置することで、像担持体を3個所の支持点にて回転可能に支持するものが存在する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−180517号公報
【特許文献2】特開平10−288877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、転写部材あるいは記録材保持体の偏心に起因する、転写における濃度むらの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、外周面および内周面を有する円筒状の形状を備えるとともに回転可能に設けられ、当該外周面または当該外周面との間を通過する記録材に、回転する像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、前記転写部材の内周面に回転可能に接触して配置され、当該内周面を介して当該転写部材を回転駆動する駆動部材と、前記転写部材の外周面に回転可能に接触して配置される回転部材を含み、前記駆動部材とともに当該転写部材を回転可能に支持する支持手段とを含む画像形成装置である。
請求項2記載の発明は、前記支持手段は、前記回転部材とともに前記転写部材の前記外周面に回転可能に接触して配置される他の回転部材をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記回転部材は、前記転写部材と前記駆動部材との接触部位よりも当該転写部材の回転方向上流側において、当該転写部材の前記外周面に接触して配置され、前記他の回転部材は、前記転写部材と前記駆動部材との接触部位よりも当該転写部材の回転方向下流側であって、当該転写部材と前記回転部材との接触部位よりも当該転写部材の前記回転方向上流側において、当該転写部材の前記外周面に接触して配置されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記像保持体が、前記他の回転部材を兼ねることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記駆動部材は、前記回転部材よりも前記他の回転部材に近い側に配置されることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
請求項6記載の発明は、前記駆動部材の軸方向長さが、前記他の回転部材の軸方向長さよりも長いことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項7記載の発明は、前記駆動部材が、前記転写部材における軸方向の一端側において当該転写部材の内周面に回転可能に接触して配置される第1回転体と、前記転写部材における軸方向の他端側において当該転写部材の内周面に回転可能に接触して配置される第2回転体とを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項8記載の発明は、前記転写部材において、前記外周面の表面粗さに比べて前記内周面の表面粗さがより粗いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0006】
請求項9記載の発明は、ドラム状の形状を有するとともに回転可能に設けられ、周面に形成された画像を保持する像保持体と、外周面および内周面を有する円筒状の形状を備えるとともに回転可能に設けられ、前記像保持体の前記周面に接触するとともに当該外周面に記録材を保持する記録材保持体と、前記像保持体上の画像を前記記録材保持体に保持された前記記録材に転写するための転写バイアスを供給する電源と、前記記録材保持体と前記像保持体との接触部位よりも当該記録材保持体の回転方向上流側において、当該記録材保持体の内周面に回転可能に接触して配置される内部回転体と、前記内部回転体を回転させるための駆動力を供給する駆動源と、前記記録材保持体と前記内部回転体との接触部位よりも当該記録材保持体の回転方向上流側において、当該記録材保持体の外周面に回転可能に接触して配置される外部回転体とを含む画像形成装置である。
請求項10記載の発明は、前記駆動源が、前記記録材保持体の内側に配置されることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置である。
請求項11記載の発明は、前記電源が、前記外部回転体を介して前記記録材保持体に前記転写バイアスを供給することを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材の偏心に起因する、転写における濃度むらの発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材をより安定した状態で回転させることができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、駆動部材から転写部材に伝達される駆動力の変動を、より抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像形成装置の構成をより簡易なものとすることができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、像保持体と転写部材との接触部位における転写部材の速度変動をより抑制することができる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、像保持体と転写部材との接触部位における軸方向の圧力変動をより抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材の内側においてより多くの空間を確保することができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、転写部材の駆動力をより高めることができる。
請求項9記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、記録材保持体の偏心に起因する、転写における濃度むらの発生を抑制することができる。
請求項10記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像形成装置をより小型化することができる。
請求項11記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、画像形成装置の構成をより簡易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における画像形成装置の構成の一例を示した図である。
【図2】実施の形態1における感光体ドラムおよび転写ドラムの駆動系の構成の一例を示した図である。
【図3】実施の形態1の感光体ドラムおよび転写ドラムの駆動系における寸法関係を説明するための図である。
【図4】実施の形態1に係る感光体ドラムおよび転写ドラムの駆動系における、転写ドラム、転写ドラム駆動ロール、転写ドラム支持ロールおよび感光体ドラムの位置関係を説明するための図である。
【図5】実施の形態1における感光体ドラムおよび転写ドラムの駆動系の構成の変形例を示した図である。
【図6】実施の形態2における画像形成装置の構成の一例を示した図である。
【図7】実施の形態2に係る感光体ドラムおよび転写ドラムの駆動系における、転写ドラム、転写ドラム駆動ロール、転写ドラム支持ロールおよび感光体ドラムの位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における画像形成装置の構成の一例を示した図である。
この画像形成装置は、トナー像の形成を行う画像形成部10と、画像形成部10で形成されたトナー像を記録材の一例としての用紙Sに転写する転写部20と、転写部20によって用紙Sに転写されたトナー像を定着する定着部40と、転写部20に対しトナー像を転写するための用紙Sを供給する用紙供給部50とを備える。また、この画像形成装置は、画像形成部10、転写部20、定着部40および用紙供給部50等の動作を制御する制御部100をさらに備えている。
【0010】
これらのうち、画像形成部10は、他の回転部材あるいは像保持体の一例としての感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11を露光する露光装置13と、帯電および露光によって感光体ドラム11に形成された静電潜像をトナーによって現像するロータリ現像装置14と、現像されたトナー像を転写した後に感光体ドラム11上に残ったトナー等を清掃する清掃装置15とを備えている。
【0011】
感光体ドラム11は、その表面(周面)に感光層(図示せず)を備えるとともに、回転軸11aを中心に矢印A方向に回転するように取り付けられる。そして、帯電装置12、露光装置13、ロータリ現像装置14、清掃装置15は、感光体ドラム11の周囲に、矢印A方向に沿って、この順番に配置されている。ここで、感光体ドラム11の外径は、例えば30mmとなっている。
【0012】
帯電装置12は、本実施の形態においては接触ローラ型の放電装置であり、感光体ドラム11とともに回転しながら感光体ドラム11を帯電する。
露光装置13は、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光照射を行うことで、静電潜像を形成する。なお、本実施の形態の露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って複数の発光素子(例えばLED)を配列した構成を有している。
【0013】
ロータリ現像装置14は、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って延びる回転軸14aと、回転軸14aの周囲に配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器14Y、14M、14C、14Kとを備えている。また、ロータリ現像装置14は、回転軸14aを中心として矢印D方向に回転するように構成されており、感光体ドラム11と対向する位置(以下の説明では現像位置という)に、いずれかの現像器が停止するようになっている。そして、ロータリ現像装置14は、露光装置13によって形成された感光体ドラム11上の静電潜像を、現像位置に停止した現像器にて現像する。なお、ロータリ現像装置14の外径は、例えば100mmとなっている。
【0014】
清掃装置15は、感光体ドラム11の表面に残ったトナーやトナー以外の付着物を除去する。本実施の形態の清掃装置15は、ブレード方式のクリーナで構成されている。
【0015】
また、転写部20は、感光体ドラム11に対向し、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って延び且つ回転可能に配置される転写ドラム21と、転写ドラム21の外周面にて用紙Sの搬送方向先端を把持する先端グリッパ22と、転写ドラム21の外周面にて用紙Sの搬送方向後端を把持する後端グリッパ23と、回転する転写ドラム21の位相を検知する位相センサ25とを備えている。ここで、転写ドラム21は、感光体ドラム11との対向位置において感光体ドラム11の回転方向(矢印A方向)と同じ向きとなる矢印B方向に回転するように構成されている。なお、転写ドラム21の外径は、例えば120mmとなっている。このように、本実施の形態では、転写ドラム21の外径が、感光体ドラム11の外径よりも大きく設定されている。
【0016】
これらのうち、転写部材あるいは記録材保持体の一例としての転写ドラム21は、円筒形状を有し且つ軸方向両端すなわち図中手前側および奥側が開口する基部21Aと、この基部21Aの外周面に設けられた弾性層21Bとを備えている。ここで、弾性層21Bは、図1に示すようにC字状の断面形状を有しており、基部21Aの外周面のうち、基部21Aの軸方向に沿う一部領域を除く部位を覆うようになっている。このため、転写ドラム21における基部21Aの外周面のうち、弾性層21Bによって覆われない部位は、基部21Aが露出した露出部21Cとなっている。また、弾性層21Bの周方向の長さは、この画像形成装置で使用することが可能な最大サイズの用紙Sの長さよりも大きくなるように設定されている。
【0017】
本実施の形態における基部21Aは導電性を有する中空管で構成され、例えば金属が用いられている。一方、弾性層21Bは半導電性を有する弾性部材で構成され、例えばポリウレタン等の樹脂が用いられている。また、基部21Aには、高圧電源(図示せず)により、トナーとは逆極性の転写バイアスが印加されるようになっている。これに対し、感光体ドラム11は接地されている。
なお、以下の説明においては、感光体ドラム11と、転写ドラム21とが対向する位置を、転写位置Trと称する。
【0018】
また、先端グリッパ22は、転写ドラム21の外周面上のうち、露出部21Cと弾性層21Bの回転方向先端側とに跨る位置に、転写ドラム21の軸方向に沿って設けられている。そして、先端グリッパ22は、転写ドラム21に対して取り付けられており、転写ドラム21の回転に伴って先端グリッパ22も回転するようになっている。
【0019】
一方、後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面上に、転写ドラム21の軸方向に沿って設けられている。そして、後端グリッパ23は、転写ドラム21に対し独立して回転できるように構成されている。これにより、本実施の形態では、転写ドラム21の外周面上での先端グリッパ22と後端グリッパ23との位置関係(距離)が変えられるようになっている。
【0020】
さらに、位相センサ25は、転写ドラム21の外周面に対向して配置されており、転写ドラム21の外周面に設けられたマーク(図示せず)を検知することで、回転する転写ドラム21の位相を測定する。
【0021】
また、定着部40は、加熱源(図示せず)を有し回転可能に設置される加熱ロール41と、この加熱ロール41に圧接される加圧ロール42とを有している。
さらに、用紙供給部50は、転写ドラム21の下方において用紙Sを内部に収容する用紙収容部51、用紙収容部51から用紙Sを取り出す取り出しロール52、取り出しロール52によって取り出された用紙Sを、タイミングを合わせて搬送するレジストロール53、そしてレジストロール53から送り出された用紙Sの搬送方向を切り替えるゲート54を備えている。
【0022】
ここで、以下の説明においては、用紙収容部51からレジストロール53に至る用紙Sの搬送経路を供給経路60、レジストロール53からゲート54を介して転写ドラム21に向かう図中左側に示す用紙Sの搬送経路を第1給紙経路61、レジストロール53からゲート54を介して転写位置Trに向かう図中右側に示す用紙Sの搬送経路を第2給紙経路62、とそれぞれ称する。また、転写ドラム21の外周面における用紙Sの搬送経路を回転経路63、転写位置Trから定着部40に向かう用紙Sの搬送経路を排紙経路64、とそれぞれ称する。
【0023】
また、本実施の形態の画像形成装置は、感光体ドラム11と転写ドラム21とが対向する転写位置Trよりも転写ドラム21の回転方向上流側且つ転写ドラム21の外側において、転写ドラム21を回転可能に支持する転写ドラム支持部30を備えている。この転写ドラム支持部30は、転写ドラム21(より具体的には基部21A)の外周面に接触して配置され、回転軸31aを中心に回転する転写ドラム支持ロール31を有している。回転部材あるいは外部回転体の一例としての転写ドラム支持ロール31は、転写ドラム21の矢印B方向への回転に伴って連れ回るようになっている。なお、本実施の形態においては、感光体ドラム11(および後述する感光体ドラム支持ロール16)と転写ドラム支持ロール31とによって、支持手段が構成されている。
【0024】
さらに、本実施の形態の画像形成装置は、上記転写位置Trよりも矢印B方向上流側且つ感光体ドラム11と転写ドラム支持ロール31とが接触する位置よりも矢印B方向下流側となる転写ドラム21の内側において、転写ドラム21を回転可能に支持するとともに転写ドラム21を矢印B方向に回転させる駆動力を伝達する転写ドラム駆動ロール83を備えている。駆動部材あるいは内部回転体の一例としての転写ドラム駆動ロール83は、回転軸83aを中心として矢印C方向に回転駆動されることにより、転写ドラム21を矢印B方向に回転させるようになっている。なお、転写ドラム駆動ロール83は、後述する転写駆動部80(図2参照)の構成要素の一つである。
【0025】
図2は、図1に示す画像形成装置における感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動系の構成の一例を示した図である。ここで、図2(a)は駆動系の斜視図であり、図2(b)は駆動系の要部断面図である。
【0026】
図2(b)に示すように、感光体ドラム11、転写ドラム21、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83のそれぞれの軸方向両端よりも外側であって、図1に示す画像形成装置の手前側(図中に「F」で示す)にはフロント側フレーム91が、また、画像形成装置の奥側(図中に「R」で示す)にはリア側フレーム92が、それぞれ設けられている。なお、図2(a)では、これらフロント側フレーム91およびリア側フレーム92の記載を省略している。
【0027】
ここで、感光体ドラム11の回転軸11aは、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92の両者を貫通するように、両フレームに対し位置を固定した状態で回転可能に取り付けられている。また、感光体ドラム11の軸方向両端よりも外側であって、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92よりも内側となる部位において、感光体ドラム11の回転軸11aには、それぞれ感光体ドラム支持ロール16が取り付けられている。これら2つの感光体ドラム支持ロール16は、それぞれ、感光体ドラム11よりも大きな径(同じ大きさの径)を有しており、軸方向への移動が規制された状態で、回転軸11aに対し回転可能に取り付けられている。
【0028】
そして、本実施の形態の画像形成装置は、画像形成装置の奥側に取り付けられて感光体ドラム11を回転駆動する感光体駆動部70をさらに備えている。この感光体駆動部70は、駆動源となる感光体駆動モータ71と、感光体駆動モータ71の駆動力を感光体ドラム11に伝達する感光体駆動ギア列72とを有している。
【0029】
ここで、感光体駆動モータ71は、リア側フレーム92よりも手前側に配置されており、その駆動軸は、リア側フレーム92の奥側に突出するようにリア側フレーム92を貫通して取り付けられている。また、感光体駆動ギア列72は、リア側フレーム92よりも奥側に配置されており、感光体駆動モータ71の駆動軸と感光体ドラム11の回転軸11aとをギア結合することにより、感光体駆動モータ71からの駆動力を感光体ドラム11に伝達するようになっている。
【0030】
また、本実施の形態の画像形成装置は、上述した転写ドラム駆動ロール83を含み、転写ドラム21を回転駆動する転写駆動部80をさらに備えている。この転写駆動部80は、駆動源の一例としての転写駆動モータ81と、転写駆動モータ81の駆動力を転写ドラム駆動ロール83に伝達する転写駆動ギア列82と、転写ドラム駆動ロール83とを有している。
【0031】
本実施の形態において、転写ドラム駆動ロール83の外周面すなわち転写ドラム21との接触面は、例えばウレタンゴム等で構成されている。また、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aは、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92の両者を貫通するように、両フレームに対し回転可能に取り付けられている。さらに、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aには、転写ドラム駆動ロール83を転写ドラム21の内周面に押し付けるためのバネ(図示せず)が取り付けられており、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aは、バネの力による移動が許容されるように、両フレームに対しスライド自在に取り付けられている。
【0032】
転写駆動部80を構成する転写駆動モータ81は、フロント側フレーム91よりも奥側且つリア側フレーム92よりも手前側に配置されており、その駆動軸は、フロント側フレーム91の手前側に突出するようにフロント側フレーム91を貫通して取り付けられている。特に、本実施の形態では、転写駆動モータ81が転写ドラム21における開口部の内側に位置するように、転写駆動モータ81の取り付け位置が設定されている。また、転写駆動ギア列82は、フロント側フレーム91より手前側に配置されており、転写駆動モータ81の駆動軸と転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aとをギア結合することにより、転写駆動モータ81からの駆動力を転写ドラム駆動ロール83に伝達するようになっている。
【0033】
また、転写ドラム支持部30を構成する転写ドラム支持ロール31は、フロント側フレーム91の奥側とリア側フレーム92の手前側とに、それぞれ1つずつ設けられている。そして、手前側に設けられる転写ドラム支持ロール31の回転軸31aは、フロント側フレーム91に対して回転可能に取り付けられている。一方、奥側に設けられる転写ドラム支持ロール31の回転軸31aは、リア側フレーム92に対して回転可能に取り付けられている。
【0034】
ここで、各転写ドラム支持ロール31は、半径が異なる2つのロールを一体化した構造を有する、フランジ付きのロールにて構成される。そして、手前側の転写ドラム支持ロール31は、大径となる部位がフロント側フレーム91に、また、小径となる部位がリア側フレーム92に、それぞれ対向するように配置されている。一方、奥側の転写ドラム支持ロール31は、大径となる部位がリア側フレーム92に、小径となる部位がフロント側フレーム91に、それぞれ対向するように配置されている。そして、各転写ドラム支持ロール31において、小径となる部位の外周面は例えばウレタンゴム等で構成されており、大径となる部位については例えば金属で構成されている。また、本実施の形態では、各転写ドラム支持ロール31に高圧電源(図示せず)が接続されており、各転写ドラム支持ロール31における大径となる部位すなわち金属で構成された部位を介して、転写ドラム21の基部21Aに転写バイアスを供給するようになっている。
【0035】
これに対し、転写ドラム21は、フロント側フレーム91とリア側フレーム92との間に、これらフロント側フレーム91およびリア側フレーム92とは直接接触しないように取り付けられている。そして、転写ドラム21では、基部21Aの外周面のうち基部21Aの軸方向両端部を除く部位を、弾性層21Bが覆っている。このため、転写ドラム21では、図1に示す露出部21Cに加えて、基部21Aの軸方向両端部も、外部に露出するようになっている。
【0036】
そして、感光体ドラム11は、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bと軸方向に沿って接触しており、また、感光体ドラム11の両端部よりも外側に取り付けられた2つの感光体ドラム支持ロール16は、転写ドラム21の軸方向両端において、転写ドラム21に設けられた基部21Aにそれぞれ接触している。このようにして、感光体ドラム11および感光体ドラム支持ロール16は、転写ドラム21の外周面に接触している。
【0037】
また、転写ドラム駆動ロール83は、その軸方向に沿って転写ドラム21の内周面に接触している。
【0038】
さらに、2つの転写ドラム支持ロール31は、転写ドラム21の軸方向両端において、転写ドラム21に設けられた基部21Aの外周面と側面とに、それぞれ接触している。そして、基部21Aの外周面には、転写ドラム支持ロール31の小径部(ウレタンゴム製)が接触配置され、基部21Aの側面には、転写ドラム支持ロール31の大径部(金属製)の内側側面が接触配置される。また、2つの転写ドラム支持ロール31のうち、例えば手前側に設けられた転写ドラム支持ロール31には、この転写ドラム支持ロール31をリア側に向けて押すバネ(図示せず)が取り付けられている。
【0039】
以上説明したような構造を有することにより、転写ドラム21は、感光体ドラム11、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83を介して、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92に、間接的且つ回転可能に支持されている。また、フランジ付きの2つの転写ドラム支持ロール31を用いて転写ドラム21を支持することにより、転写ドラム21が矢印B方向(図1参照)に回転する際の軸方向へのぶれを抑制している。
【0040】
図3は、本実施の形態の感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動系における寸法関係を説明するための図である。
ここで、感光体ドラム11の軸方向の長さを感光体ドラム幅Wpと称し、転写ドラム21における基部21Aの軸方向の長さを転写ドラム幅Wtと称し、転写ドラム21における弾性層21Bの軸方向の長さを転写ドラム弾性層幅Wteと称し、転写ドラム駆動ロール83の軸方向の長さを転写駆動ロール幅Wdと称する。また、一対の感光体ドラム支持ロール16における内端同士の距離を感光体支持内端幅Wpiと称し、一対の感光体ドラム支持ロール16における外端同士の距離を感光体支持外端幅Wpoと称する。さらに、一対の転写ドラム支持ロール31における内端同士の距離を転写支持内端幅Wtiと称し、一対の転写ドラム支持ロール31における外端同士の距離を転写支持外端幅Wtoと称する。
そして、本実施の形態では、これらが、
Wto>Wt>Wpo>Wd>Wpi≒Wti>Wp>Wte
なる関係を有している。
【0041】
ここで、本実施の形態では、転写ドラム21における弾性層21Bの軸方向両端よりも外側に、感光体ドラム11の軸方向両端が位置しており、この感光体ドラム11の軸方向両端よりも外側に、転写ドラム駆動ロール83の軸方向両端が位置している。また、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83の軸方向両端よりも外側に、転写ドラム21における基部21Aの軸方向両端が位置している。さらに、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83の軸方向両端が、各感光体ドラム支持ロール16の内端と外端との間に位置している。さらにまた、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83の軸方向両端が、各転写ドラム支持ロール31の内端と外端との間に位置している。
【0042】
図4は、本実施の形態に係る感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動系における、転写ドラム21、転写ドラム駆動ロール83、転写ドラム支持ロール31および感光体ドラム11の位置関係を説明するための図である。ここで、図4(a)は、各構成要素の相互の位置および転写ドラム駆動ロール83から転写ドラム21を介して感光体ドラム11および転写ドラム支持ロール31にかかる力を説明するための図である。また、図4(b)は転写ドラム21に対する感光体ドラム11、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83の距離の関係を説明するための図である。
【0043】
なお、図4においては、感光体ドラム11そのものではなく、感光体ドラム11と同軸に配置される感光体ドラム支持ロール16を図示しており、転写ドラム21そのものではなく、転写ドラム21における基部21Aを図示している。また、以下の説明においては、図4(a)に例示したように、基部21Aにおける外側の面を外周面211と呼び、基部21Aにおける内側の面を内周面212と呼ぶ。さらに、以下の説明においては、図4(a)に例示したように、感光体ドラム支持ロール16と基部21Aの外周面211との接触部位を転写ニップ部Nt(記録材保持体と像保持体との接触部位に対応)と称し、転写ドラム支持ロール31と基部21Aの外周面211との接触部位を支持ニップ部Ns(転写部材と上流側回転体との接触部位に対応)と称し、転写ドラム駆動ロール83と基部21Aの内周面212との接触部位を駆動ニップ部Nd(転写部材と駆動部材との接触部位、あるいは、記録材保持体と内部回転体との接触部位に対応)と称する。さらにまた、以下の説明においては、図4(b)に例示したように、基部21A(転写ドラム21)において、支持ニップ部Nsから回転方向(矢印B方向)に沿って駆動ニップ部Ndに至る距離を第1の長さL1とし、駆動ニップ部Ndから回転方向(矢印B方向)に沿って転写ニップ部Ntに至る距離を第2の長さL2とし、両者の和すなわち支持ニップ部Nsから回転方向(矢印B方向)に沿って転写ニップ部Ntに至る距離を外周面支持長L0とする。
【0044】
本実施の形態の画像形成装置は、外周面211および内周面212を有する円筒状の基部21Aと基部21Aの外周面211に形成された弾性層21Bとを含み、回転可能に設けられる転写ドラム21と、転写ドラム21における基部21Aの内周面212に回転可能に接触配置され、駆動ニップ部Ndを介して転写ドラム21を回転駆動する転写ドラム駆動ロール83と、駆動ニップ部Ndよりも転写ドラム21の回転方向(矢印B方向)上流側となる支持ニップ部Nsにおいて、転写ドラム21における基部21Aの外周面211に回転可能に接触配置される転写ドラム支持ロール31と、駆動ニップ部Ndよりも転写ドラム21の回転方向(矢印B方向)下流側となる転写ニップ部Ntにおいて、転写ドラム21における基部21Aの外周面211に回転可能に接触配置される感光体ドラム支持ロール16(および感光体ドラム11)とを備えていることになる。
【0045】
また、本実施の形態では、基部21Aのうち、転写ドラム駆動ロール83に接触して駆動を受ける内周面212の表面粗さが、感光体ドラム支持ロール16および転写ドラム支持ロール31と接触する外周面211の表面粗さよりも、より大きいものとされている。この例では、外周面211の表面粗さ(算術平均粗さ)Raが1.6以下に設定されるのに対し、内周面212の表面粗さ(算術平均粗さ)Raが3.2以上に設定されている。
【0046】
そして、本実施の形態では、図4(b)に示したように、第1の長さL1および第2の長さL2がL1≒L2の関係を有するように、基部21A(転写ドラム21)の周方向に対する、感光体ドラム支持ロール16(感光体ドラム11)、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83の取り付け位置を設定している。本実施の形態では、上述したように、転写ドラム駆動ロール83が図示しないバネにより基部21Aの内周面212に押し付けられている。このため、駆動ニップ部Ndにおいて、基部21Aの内周面212には、転写ドラム駆動ロール83により第1の力Fdが加えられる。ここで、本実施の形態では、第1の長さL1および第2の長さL2がほぼ等しく設定されているために、基部21Aにかかる第1の力Fdのうち感光体ドラム11が受ける第2の力Ftと、基部21Aにかかる第1の力Fdのうち転写ドラム支持ロール31が受ける第3の力Fsとが、ほぼ等しくなる(Ft≒Fs)。なお、外周面支持長L0は、基部21Aの周長の半分未満とすることが望ましい。
【0047】
では次に、図1に示す画像形成装置における画像形成動作を、図1乃至図4を参照しつつ説明する。なお、ここでは、1枚の用紙S上にイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の4色を含むフルカラー画像を形成する場合を例として説明を行う。ここで、図1においてゲート54が図中反時計回り方向に回転することで、第1給紙経路61を開放するとともに第2給紙経路62を閉鎖する位置を第1位置と呼び、図1においてゲート54が図中時計回り方向に回転することで、第1給紙経路61を閉鎖するとともに第2給紙経路62を開放する位置を第2位置と呼ぶ。なお、ここでは説明しないが、第2給紙経路62は、1枚の用紙S上に単色の画像を形成する場合に使用される。
【0048】
そして、画像形成動作開始前の初期状態では、感光体ドラム11、そして転写ドラム21の駆動が、すべてOFF(停止状態)にあるものとする。また、初期状態では、転写ドラム21への印加バイアスがOFFに設定されているものとする。さらに、初期状態では、図1にも示したように、現像位置に黒の現像器14Kが配置され、ゲート54が第1給紙経路61および第2給紙経路62の両者を開放する位置(待機位置)に配置されているものとする。さらにまた、初期状態では、先端グリッパ22および後端グリッパ23が、ともに開状態にあるものとする。
【0049】
画像形成動作の開始に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をOFFからONに切り替えることで、それぞれを予め決められた周速度で回転させる。より具体的に説明すると、制御部100は、感光体駆動部70を介して感光体ドラム11を回転させ、転写駆動部80を介して転写ドラム21を回転させる。このとき、感光体駆動部70では、感光体駆動モータ71による駆動力が感光体駆動ギア列72および回転軸11aを介して感光体ドラム11に伝達され、その結果、感光体ドラム11が矢印A方向に回転する。また、転写駆動部80では、転写駆動モータ81による駆動力が転写駆動ギア列82および回転軸83aを介して転写ドラム駆動ロール83に伝達され、その結果、転写ドラム駆動ロール83が矢印B方向に回転する。なお、転写ドラム21の周速度は、感光体ドラム11の周速度よりも例えば1%未満程度だけ高速に設定される。このとき、先端グリッパ22は転写ドラム21とともに回転するのに対して、後端グリッパ23は転写ドラム21とともに回転することなく静止している。また、制御部100は、フルカラーでの画像形成動作の開始に伴い、ゲート54を待機位置から第1位置に移動させる。
【0050】
次に、制御部100は、ロータリ現像装置14を回転させ、現像位置にイエローの現像器14Yを配置させる。そして、制御部100は、帯電装置12、露光装置13および現像位置にある現像器(ここではイエローの現像器14Y)を駆動させる。これに伴い、回転する感光体ドラム11の感光層が帯電装置12によって帯電された後、露光装置13による露光が行われることにより、感光体ドラム11には静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像がイエローの現像器14Yによって現像され、静電潜像に応じたイエローのトナー像が形成された後、転写位置Trに向かって移動していく。
【0051】
一方、画像形成動作の開始に対応して、制御部100は用紙供給部50から用紙Sの供給を行わせる。すなわち、制御部100は、取り出しロール52を用いて用紙収容部51から取り出した用紙Sを供給経路60内に進入させ、回転を停止したレジストロール53によって先端側をせき止めることにより一旦停止させる。そして、制御部100は、回転する転写ドラム21に取り付けられた先端グリッパ22が給紙位置に到達する際に、用紙Sの先端が給紙位置に到達するように、レジストロール53の回転を開始させる。これに伴い、用紙Sは、供給経路60から第1給紙経路61を介して給紙位置に到達する。そして、制御部100は、用紙Sの先端が給紙位置に到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開状態から閉状態へと移行させる。これにより、用紙Sの先端は、転写ドラム21に機械的に把持される。
【0052】
次に、転写ドラム21に把持された用紙Sの先端が転写位置Trに到達する(1回目)。このとき、制御部100は、転写ドラム21に把持された用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、感光体ドラム11上のイエローのトナー像の形成領域の移動方向先端が転写位置Trに到達するように、位相センサ25からの位相信号に基づいて露光装置13の制御を行っている。そして、制御部100は、用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONへと切り替える。これにより、転写位置Trでは、用紙Sに対するイエローのトナー像の転写が開始される。
【0053】
また、この例では、用紙Sの先端が転写位置Trに到達した後、用紙Sの後端が給紙位置に到達する。そして、制御部100は、位相センサ25による検知結果に基づき、用紙Sの後端が後端グリッパ23との対向部に到達するのに合わせて、後端グリッパ23を回転させるとともに開状態から閉状態へと移行させる。その結果、用紙Sの全体が、転写ドラム21の弾性層21Bに巻き付いた状態で回転経路63に沿って搬送されることになる。
【0054】
さらに、この例では、用紙Sの後端が給紙位置に到達した後、感光体ドラム11へのイエローのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。また、この例では、イエローのトナー像の転写が終了するのに伴ってロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(イエローの現像器14Yからマゼンタの現像器14Mへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するマゼンタのトナー像の形成を開始させる。
【0055】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの先端が転写位置Trに到達する(2回目)。そして、制御部100は、用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONへと切り替える。
【0056】
また、この例では、用紙Sの後端が給紙位置に到達した後、この用紙Sに対応する感光体ドラム11へのマゼンタのトナー像の現像が終了する。そして、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。また、この例では、用紙Sに対するマゼンタのトナー像の転写が終了するのに伴ってロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(マゼンタの現像器14Mからシアンの現像器14Cへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対するシアンのトナー像の形成を開始させる。
【0057】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの先端が転写位置Trに到達する(3回目)。そして、制御部100は、用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONへと切り替える。
【0058】
また、この例では、用紙Sの後端が給紙位置に到達した後、この用紙Sに対応する感光体ドラム11へのシアンのトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、転写ドラム21に把持された用紙Sの後端が転写位置Trを通過する。そして、制御部100は、用紙Sの後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。また、この例では、用紙Sに対するシアンのトナー像の転写が終了するのに伴ってロータリ現像装置14を駆動させ、現像位置に配置された現像器の切り替え(シアンの現像器14Cから黒の現像器14Kへの切り替え)を行う。そして、制御部100は、感光体ドラム11に対する黒のトナー像の形成を開始させる。
【0059】
転写ドラム21の回転に伴って転写ドラム21の露出部21Cが転写位置Trを通過した後、転写ドラム21に把持されることで回転経路63内を移動する用紙Sの先端が転写位置Trに到達する(4回目)。そして、制御部100は、用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをOFFからONへと切り替える。
【0060】
また、この例では、用紙Sの先端が転写位置Trに到達するのに合わせて、制御部100が、先端グリッパ22を閉状態から開状態へと移行させる。これにより、用紙Sの先端は、転写位置Trを通過した後、回転経路63から離れ、排紙経路64を介して定着部40に向けて移動していく。用紙Sが定着部40に突入することにより、用紙Sに重ね転写されたフルカラートナー像は、用紙S上に定着される。このとき、用紙Sは、転写位置Trにおいて、感光体ドラム11と転写ドラム21の弾性層21Bとによって挟まれた状態で搬送されることになる。
【0061】
そして、この例では、用紙Sの後端が給紙位置に到達した後、この用紙Sに対応する感光体ドラム11への黒のトナー像の現像が終了する。また、これに続いて、用紙Sの後端が転写位置Trに到達するのに合わせて、転写ドラム21に印加する転写バイアスをONからOFFに切り替える。
【0062】
一方、この例では、用紙Sの後端が転写位置Trに到達するタイミングに合わせて、制御部100が、後端グリッパ23を閉状態から開状態へと移行させ、その後、後端グリッパ23の回転を停止させる。これにより、用紙Sの後端は、転写位置Trを通過した後、回転経路63から離れ、排紙経路64を介して定着部40に搬送されていく。なお、用紙Sが転写位置Trを通過することにより、用紙Sは、転写ドラム21側から搬送力を受けなくなるが、この時点で、この用紙Sの先端は既に定着部40を通過していることから、用紙Sは、定着部40から受ける搬送力によって搬送されていくことになる。そして、定着部40を通過することにより、トナー像が定着された用紙Sは、図示しない排紙積載部に排出、積載される。
【0063】
その後、画像形成動作の終了に伴い、制御部100は、感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動をONからOFFに切り替えることで、それぞれの回転を停止させる。すなわち、制御部100は、感光体駆動モータ71および転写駆動モータ81の駆動を停止させる。
【0064】
本実施の形態に係る画像形成装置では、円筒状の転写ドラム21を、その内側から1箇所(転写ドラム駆動ロール83)にて回転可能に支持し、且つ、その外側から2箇所(転写ドラム支持ロール31および感光体ドラム11)にて回転可能に支持するようにした。また、転写ドラム駆動ロール83による転写ドラム21の支持位置に対し、転写ドラム支持ロール31および感光体ドラム11による支持位置を、転写ドラム駆動ロール83による支持位置に対し回転方向上流側および回転方向下流側とした。さらに、転写ドラム21を、その内側に配置された転写ドラム駆動ロール83によって回転駆動するようにした。これにより、転写ドラム21の外周面を3点で回転可能に支持する構成と比較して、円筒状の転写ドラム21の偏心に起因する回転むらが抑制されることになる。また、転写ドラム21の外周面を3点で回転可能に支持する構成と比較して、転写部20がより小型化されることにもなる。そして、転写ドラム21の変形および偏心に伴う、転写画像における濃度むら(バンディング)の発生も抑制される。
【0065】
また、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83が転写ドラム21の内周面と接触する駆動ニップ部Ndの位置と、感光体ドラム11が転写ドラム21の外周面と接触する転写ニップ部Ntの位置とを、転写ドラム21の回転方向に対してずらして配置するようにした。このため、転写ドラム21を駆動するために転写ドラム駆動ロール83を転写ドラム21の内周面に押し付ける圧力を加える構成を採用した場合であっても、転写ニップ部Ntにおける転写ドラム21の変形およびこれに伴う転写画像での面内むらが抑制されることになる。
【0066】
さらに、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83における転写駆動ロール幅Wdを、感光体ドラム11における感光体ドラム幅Wpよりも大きくするようにした。これにより、転写ニップ部Ntにおける転写ドラム21の軸方向のたわみが抑制されることになる。
【0067】
さらにまた、本実施の形態では、転写ドラム21における基部21Aの外周面211よりも、内周面212の表面粗さをより粗くした。これにより、転写ドラム駆動ロール83の駆動力が転写ドラム21により伝達されやすくなり、スリップ等によるロスが低減される。
【0068】
なお、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83を一本(一連)で構成していたが、これに限られるものではない。
図5は、実施の形態1における感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動系の構成の変形例を示した図である。ここで、図5(a)は駆動系の斜視図であり、図5(b)は駆動系の要部断面図である。
【0069】
図5に示す例では、転写ドラム駆動ロール83を、2本のロール部材すなわち第1転写駆動ロール83Fと第2転写駆動ロール83Rとで構成している点が、図2に示すものとは異なっている。ここで、第1転写駆動ロール83Fはフロント側フレーム91の内側に配置され、第2転写駆動ロール83Rはリア側フレーム92の内側に配置されている。そして、これら第1転写駆動ロール83Fおよび第2転写駆動ロール83Rの両者は、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92に回転可能に貫通配置される回転軸83aに取り付けられている。
【0070】
実施の形態で説明した転写ドラム21は、図1にも示したように、その外周面に先端グリッパ22が取り付けられている。この先端グリッパ22は、例えば転写ドラム21の軸方向中央部に取り付けられている。そして、先端グリッパ22の構成によっては、先端グリッパ22が開閉するに際して、基部21Aの内側に突出してくる場合がある。
【0071】
このため、図5に示す例では、先端グリッパ22の開閉動作に伴って先端グリッパ22の構成要素が基部21Aの内側に突出してきた場合であっても、その構成要素が転写ドラム駆動ロール83にぶつかることがないように、転写ドラム21の内側且つ転写ドラム21の軸方向両端側に、第1転写駆動ロール83Fおよび第2転写駆動ロール83Rを配置している。
【0072】
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2における画像形成装置の構成の一例を示した図である。この画像形成装置の基本構成は、実施の形態1と同じであるが、転写ドラム21に対する転写ドラム駆動ロール83の取り付け位置が、実施の形態1とは異なっている。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
図7は、実施の形態2に係る感光体ドラム11および転写ドラム21の駆動系における、転写ドラム21、転写ドラム駆動ロール83、転写ドラム支持ロール31および感光体ドラム11の位置関係を説明するための図である。ここで、図7(a)は、各構成要素の相互の位置および転写ドラム駆動ロール83から転写ドラム21を介して感光体ドラム11および転写ドラム支持ロール31にかかる力を説明するための図である。また、図7(b)は転写ドラム21に対する感光体ドラム11、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83の距離の関係を説明するための図である。
【0074】
なお、図7においては、感光体ドラム11そのものではなく、感光体ドラム11と同軸に配置される感光体ドラム支持ロール16を図示しており、転写ドラム21そのものではなく、転写ドラム21における基部21Aを図示している。
【0075】
本実施の形態では、図7(b)に示したように、第1の長さL1および第2の長さL2がL1<L2の関係を有するように、基部21A(転写ドラム21)の周方向に対する、感光体ドラム支持ロール16(感光体ドラム11)、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83の取り付け位置を設定している。すなわち、本実施の形態では、転写ドラム駆動ロール83が、転写ドラム支持ロール31よりも感光体ドラム支持ロール16(感光体ドラム11)に近い側に配置されている。
【0076】
本実施の形態では、実施の形態1で説明したように、転写ドラム駆動ロール83が図示しないバネにより基部21Aの内周面212に押し付けられている。このため、駆動ニップ部Ndにおいて、基部21Aの内周面212には、転写ドラム駆動ロール83により第1の力Fdが加えられる。ここで、本実施の形態では、第1の長さL1および第2の長さL2がL1<L2に設定されているために、基部21Aにかかる第1の力Fdのうち感光体ドラム11が受ける第2の力Ftが、基部21Aにかかる第1の力Fdのうち転写ドラム支持ロール31が受ける第3の力Fsよりも大きくなる(Ft>Fs)。なお、外周面支持長L0は、基部21Aの周長の半分未満とすることが望ましい。
【0077】
したがって、外周面支持長L0および第1の力Fdが実施の形態1と同じであると仮定した場合、本実施の形態の感光体ドラム11が受ける第2の力Ftは、実施の形態1の場合よりも大きくなる。このように、転写ドラム21が感光体ドラム11を押し付ける力がより大きくなることから、感光体ドラム11と転写ドラム21の相互の位置変動が抑制され、また、転写ドラム21の変形による第1の力Fdの損失が抑制される。このため、実施の形態1で説明した構成と比較して、転写ドラム駆動ロール83によって転写ドラム21を駆動する力がより大きくなり、転写ドラム21の速度変動は、より抑制されることになる。
【0078】
なお、実施の形態1、2では、転写ドラム21の内周面側に転写ドラム駆動ロール83を接触配置する一方、転写ドラム21の外周面側に感光体ドラム11(および感光体ドラム支持ロール16)と転写ドラム支持ロール31とを接触配置するようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、転写ドラム21の内周面側に転写ドラム駆動ロール83および転写ドラム支持ロール31を接触配置する一方、転写ドラム21の外周面側に感光体ドラム11(および感光体ドラム支持ロール16)を接触配置するようにしてもよい。
【0079】
また、実施の形態1、2では、転写ドラム21に対し、転写ドラム駆動ロール83を挟むように、転写ドラム21の回転方向上流側および回転方向下流側に転写ドラム支持ロール31および感光体ドラム11(および感光体ドラム支持ロール16)を配置するようにしていたが、これらの配列順については変更して差し支えない。
【0080】
さらに、実施の形態1、2では、転写部材として、外周面に用紙Sを保持した状態で回転する転写ドラム21を転写部材として用いる場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えば感光体ドラム11に形成されたトナー像を、保持することなく用紙Sに転写する転写ロールに適用してもかまわない。
さらにまた、実施の形態1、2では、転写部材として、感光体ドラム11に形成されたトナー像を用紙Sに転写する場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えば感光体ドラム11に形成されたトナー像が一時的に転写される中間転写体に適用してもかまわない。
そして、実施の形態1、2では、感光体ドラム11が下流側回転体を兼ねる場合を例として説明を行ったが、これに限られるものではなく、感光体ドラム11とは別に下流側回転体を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10…画像形成部、11…感光体ドラム、12…帯電装置、13…露光装置、14…ロータリ現像装置、15…清掃装置、16…感光体ドラム支持ロール、20…転写部、21…転写ドラム、21A…基部、211…外周面、212…内周面、21B…弾性層、21C…露出部、30…転写ドラム支持部、31…転写ドラム支持ロール、40…定着部、50…用紙供給部、70…感光体駆動部、71…感光体駆動モータ、72…感光体駆動ギア列、80…転写駆動部、81…転写駆動モータ、82…転写駆動ギア列、83…転写ドラム駆動ロール、83a…回転軸、91…フロント側フレーム、92…リア側フレーム、100…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面および内周面を有する円筒状の形状を備えるとともに回転可能に設けられ、当該外周面または当該外周面との間を通過する記録材に、回転する像保持体に保持された画像を転写する転写部材と、
前記転写部材の内周面に回転可能に接触して配置され、当該内周面を介して当該転写部材を回転駆動する駆動部材と、
前記転写部材の外周面に回転可能に接触して配置される回転部材を含み、前記駆動部材とともに当該転写部材を回転可能に支持する支持手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記支持手段は、前記回転部材とともに前記転写部材の前記外周面に回転可能に接触して配置される他の回転部材をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転部材は、前記転写部材と前記駆動部材との接触部位よりも当該転写部材の回転方向上流側において、当該転写部材の前記外周面に接触して配置され、
前記他の回転部材は、前記転写部材と前記駆動部材との接触部位よりも当該転写部材の回転方向下流側であって、当該転写部材と前記回転部材との接触部位よりも当該転写部材の前記回転方向上流側において、当該転写部材の前記外周面に接触して配置されること
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像保持体が、前記他の回転部材を兼ねることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記回転部材よりも前記他の回転部材に近い側に配置されることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動部材の軸方向長さが、前記他の回転部材の軸方向長さよりも長いことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動部材が、
前記転写部材における軸方向の一端側において当該転写部材の内周面に回転可能に接触して配置される第1回転体と、
前記転写部材における軸方向の他端側において当該転写部材の内周面に回転可能に接触して配置される第2回転体と
を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写部材において、前記外周面の表面粗さに比べて前記内周面の表面粗さがより粗いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
ドラム状の形状を有するとともに回転可能に設けられ、周面に形成された画像を保持する像保持体と、
外周面および内周面を有する円筒状の形状を備えるとともに回転可能に設けられ、前記像保持体の前記周面に接触するとともに当該外周面に記録材を保持する記録材保持体と、
前記像保持体上の画像を前記記録材保持体に保持された前記記録材に転写するための転写バイアスを供給する電源と、
前記記録材保持体と前記像保持体との接触部位よりも当該記録材保持体の回転方向上流側において、当該記録材保持体の内周面に回転可能に接触して配置される内部回転体と、
前記内部回転体を回転させるための駆動力を供給する駆動源と、
前記記録材保持体と前記内部回転体との接触部位よりも当該記録材保持体の回転方向上流側において、当該記録材保持体の外周面に回転可能に接触して配置される外部回転体と
を含む画像形成装置。
【請求項10】
前記駆動源が、前記記録材保持体の内側に配置されることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記電源が、前記外部回転体を介して前記記録材保持体に前記転写バイアスを供給することを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−173564(P2012−173564A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36305(P2011−36305)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】