説明

画像形成装置

【課題】連続して搬送される第1の記録材と第2の記録材の間隔が規定の距離よりも狭まった場合に、規定の距離に補正する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成を行う記録材を連続して搬送する際に、先行する第1の記録材と、後続する第2の記録材の間隔として規定の距離をとる画像形成装置であって、第1の記録材と第2の記録材の搬送中に、第1の記録材の後端を検知してから第2の記録材の後端を検知するまでの時間を計測する計測手段と、計測手段による計測値が予め定められた閾値を下回った場合、第2の記録材の搬送だけを、閾値と計測値の差分の時間分停止する停止制御を行うことで、第1の記録材と第2の記録材の間隔を規定の距離に戻す制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成が行われる記録材を搬送する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プリンタやコピー機等の画像形成装置では、より早く印刷結果を出力することが高い品質であると考えられている。従って、画像形成装置の制御では、無駄な待ち時間をなくしたり、動作の時間を短縮したりすることで、より早い印刷速度を実現することが求められている。そのような印刷速度向上の技術の一例として、先行する1枚目の用紙(記録材の一例)を搬送しているときに、搬送路上のセンサが1枚目の用紙後端を検知したタイミングで(まだ1枚目の用紙の搬送中に)、後続となる2枚目の用紙の搬送を開始するように制御することで、1枚目の用紙のプリント終了から2枚目の用紙のプリント開始までの時間を短縮し、印刷速度を向上させる技術が既に知られている。例えば特許文献1には、搬送路上に用紙後端検知センサを設置し、1枚目の用紙の後端を用紙後端センサが検知したタイミングで分離ローラ(用紙台から用紙を1枚分離し搬送を開始するローラ)を駆動し、2枚目の用紙の搬送を開始することにより、2枚の用紙の間隔を狭め、印刷のロスタイムを軽減させる構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した記録材搬送技術では、1枚目の用紙の後端が検知されたタイミングで、2枚目の用紙の搬送を開始しているに過ぎなかった。つまり、1枚目の用紙の後端の検知後にその1枚目の用紙がスキューするなどの理由により、1枚目の用紙と2枚目の用紙の間隔が規定の距離よりも狭まる事態が起こりうる。そのため、1枚目の用紙と2枚目の用紙の重送が発生し、ジャムが起こるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連続して搬送される第1の記録材と第2の記録材の間隔が規定の距離よりも狭まった場合に、規定の距離に補正する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明の態様は、画像形成を行う記録材を連続して搬送する際に、先行する第1の記録材と、後続する第2の記録材の間隔として規定の距離をとる画像形成装置であって、第1の記録材と第2の記録材の搬送中に、第1の記録材の後端を検知してから第2の記録材の後端を検知するまでの時間を計測する計測手段と、計測手段による計測値が予め定められた閾値を下回った場合、第2の記録材の搬送だけを、閾値と計測値の差分の時間分停止する停止制御を行うことで、第1の記録材と第2の記録材の間隔を規定の距離に戻す制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連続して搬送される第1の記録材と第2の記録材の間隔が規定の距離よりも狭まった場合に、規定の距離に補正することで、搬送中の記録材間の距離が狭くなりすぎることによる重送、ジャムを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機構部の要部平面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置に第2・第3用紙トレイを接続した場合の構成と用紙搬送経路について説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において用紙のスキューによりジャムが発生するメカニズムについて説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置において用紙のスキューによりジャムが発生するメカニズムについて説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の制御部の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の用紙間隔補正制御の例1について説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の用紙間隔補正制御の例1について説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の用紙間隔補正制御の例2について説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の用紙間隔補正制御の例3について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
まず、本実施形態の概要を説明する。本実施形態は、連続して複数の用紙(記録材の一例)を搬送する処理に際して、以下の特徴を有する。要するに、例えば第3用紙トレイから用紙を給紙する際に、第2用紙トレイの用紙後端センサにより2枚の用紙の後端を検知し、その距離を検出することで、実際の2枚の用紙の距離を把握する。その結果を用いて搬送ローラの動作を制御し、1枚目もしくは2枚目の用紙の搬送速度を調節する。このような制御により、用紙間を通常の距離(予め定められた規定の距離。正常な距離)に復帰させるため、2枚の用紙間の距離が狭くなりすぎることによる重送、ジャムを防ぐことができることが特徴になっている。このような特徴について、以下具体例を用いて詳細に解説する。
【0010】
本実施形態の画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図2は同機構部の要部平面説明図である。
【0011】
フレーム21を構成する左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材であるガイドロッド31とステー32とでキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによって同じく図示しないタイミングベルトを介して図2の矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0012】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド34を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0013】
記録ヘッド34を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0014】
本実施形態では、全インク吐出口を同時に駆動させる以外に、時間的に分割して駆動させることができる。全インク吐出口を同時に駆動させると、各インク吐出口間のクロストークの影響による記録品位の低下や、一時的に大電流が必要になることにより電源の大容量化などの不利益が生じる場合があるが、時分割駆動することでこれらの不利益を避けることができる。
【0015】
この記録ヘッド34にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)22を介して接続している。
【0016】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34に各色のインクを供給するための各色のサブタンク35を搭載している。この各色のサブタンク35には各色のインク供給チューブ36を介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填4にはインクカートリッジ10内のインクを送液するための供給ポンプユニット24が設けられ、また、インク供給チューブ36は這い回しの途中でフレーム21を構成する後板21Cに係止部材25にて保持されている。
【0017】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び該給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0018】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0019】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、ETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0020】
そして、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0021】
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド34による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。このガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド34側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
【0022】
この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによって搬送ローラ52が回転駆動されることによって搬送ベルト51が図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
【0023】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。ここで、排紙ローラ62と排紙コロ63との間から排紙トレイ3までの高さは排紙トレイ3にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
【0024】
また、図1において、画像形成装置装置本体の背面部には、両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0025】
さらに、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という)82a〜82d(区別しないときは「キャップ82」という)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。ここでは、キャップ82aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ82b〜82dは保湿用キャップとしている。
【0026】
そして、この維持回復機構81による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ82に排出されたインク、あるいはワイパーブレード83に付着してワイパークリーナで除去されたインク、空吐出受け84に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0027】
また、図2に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口89などを備えている。
【0028】
さらに、装置本体1の内部後方側にはホストとの間でデータを送受するためのUSBなどの通信回路部(インタフェース)が設けられるとともに、この画像形成装置全体の制御を司る制御部を構成する制御回路基板が設けられている。
【0029】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド47で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0030】
このとき、図示しない制御回路によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0031】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0032】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ33は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド34がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド34をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド34の安定した吐出性能を維持する。
【0033】
図3は、上述した本実施形態の画像形成装置に第2・第3用紙トレイを接続した場合の構成と用紙搬送経路について説明する図である。この図3について説明する。
【0034】
図3において、「プリンタ本体」は図1に示す画像形成装置全体に相当し、「本体用紙トレイ」は図1に示す給紙トレイ2に相当する。そして、本実施形態の画像形成装置は、図3に示すように、第2用紙トレイをプリンタ本体の下部、第3用紙トレイを第2用紙トレイの下部にそれぞれ接続できる。
【0035】
図3において、第2用紙トレイから給紙された用紙は、第2用紙トレイ内の用紙搬送路を通って上方向に搬送され、プリンタ本体の搬送路へ入る。このとき、用紙の後端(上方向へ搬送されているときの用紙最下端)が第2用紙トレイの用紙後端センサにより検知されると、次の用紙が第2用紙トレイから給紙され、搬送が開始される。第3用紙トレイからの給紙についても同様である。
【0036】
図4、図5は、図3に示す本実施形態の画像形成装置の構成において、用紙のスキューによりジャムが発生するメカニズムについて説明する図である。図4、図5についてそれぞれ説明する。
【0037】
図4は、第3給紙トレイから給紙された1枚目の用紙後端が後端検知センサに検知された直後の用紙の位置関係を示している。図4に示すように、1枚目の用紙が後端検知センサに検知されたタイミングで、2枚目の用紙の搬送が開始されている。このとき、1枚目の用紙と2枚目の用紙の間隔は、正常な距離(規定の距離)がとられるものとする。
【0038】
図5は、第3給紙トレイから給紙された1枚目の用紙後端が後端検知センサに検知された後、スキューが発生した場合について示している。このとき、図5の右図のように、1枚目の用紙は搬送経路(搬送方向)に対して平行ではなく、傾いた状態となる。そして、図5の右図のように用紙が重なったままプリンタ本体まで搬送されると、用紙が蛇腹状に折りたたまれ詰まってしまい、ジャムの原因となる。
【0039】
図6は、上記本実施形態の画像形成装置の制御部の構成例を示すブロック図である。この図6について説明する。
【0040】
図6に示すように、制御部は、本実施形態の特徴に係る用紙間隔補正制御(詳細は後述)を司るマイクロコンピュータで構成した制御用マイコン601を備えている。なお、図6に図示していないが、制御部は、印刷制御を司るマイクロコンピュータで構成した印刷制御用マイコンも備えている。
【0041】
アプリケーション98を通してユーザより印刷命令があった場合、OS(例えば、Windows(登録商標)に実装されているGDI(Graphic Device Interface)等)99は画像形成装置で出力する画像データをプリンタドライバ100に伝達する。
【0042】
プリンタドライバ100は、アプリケーション98から伝達された画像データを、画像形成装置本体が処理できる形式の印写画像データに変換して、通信経路101を経由して画像形成装置に入力する。
【0043】
制御用マイコン601は、通信回路101から入力される印写画像データに基づいて用紙42に画像を形成するために、前述したように、図示しないキャリッジ駆動モータや搬送モータをキャリッジ駆動モータ駆動回路603及び搬送モータ駆動回路605を介して駆動制御するとともに、記録ヘッド34の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成して、ヘッド駆動回路609に与えるなどの制御を行う。
【0044】
制御用マイコン601には、キャリッジ33の位置を検出するキャリッジ位置検出回路602からの検出信号が入力され、制御用マイコン601はこの検出信号に基づいてキャリッジ33の移動位置及び移動速度を制御する。キャリッジ位置検出回路602は、例えば、キャリッジ33の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を、キャリッジ33に搭載されたフォトセンサで読み取って計数することで、キャリッジ33の位置を検出する。キャリッジ駆動モータ駆動回路603は、制御用マイコン601から入力されるキャリッジ移動量に応じてキャリッジ駆動モータを回転駆動させて、キャリッジ33を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0045】
制御用マイコン601には、搬送ベルト51の移動量(搬送量)を検出する搬送量検出回路604からの検出信号が入力され、制御用マイコン601はこの検出信号に基づいて搬送ベルト51の移動量及び移動速度を制御する。搬送量検出回路604は、例えば、搬送ローラ52の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することで搬送量を検出する。搬送モータ駆動回路605は、制御用マイコン601から入力される搬送量に応じて搬送モータを回転駆動させて、搬送ローラ52を回転駆動して搬送ベルト51を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0046】
制御用マイコン601は、給紙コロ駆動回路610に給紙コロ駆動指令を与えることによって給紙コロ43を一回転させる。制御用マイコン601は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路611を介して維持回復機構駆動用モータ(図示せず)を回転駆動することにより、キャップ82の昇降、ワイパーブレード83の昇降を行わせる。
【0047】
制御用マイコン601は、インク供給モータ駆動回路612を介して供給ポンプユニット24のポンプを駆動するためのインク供給モータを駆動制御し、カートリッジ装填部4に装填されたインクカートリッジ10からサブタンク35に対してインクを補充供給する。
【0048】
制御用マイコン601には、サブタンク35が満タン状態にあることを検知するサブタンク満タンセンサ613からの検知信号、カートリッジ装填部4の前カバー6の開閉を検知するカートリッジカバーセンサ614からの検知信号などが入力される。
【0049】
また、制御用マイコン601は、カートリッジ通信回路615を通じて、カートリッジ装填部4に装着された各インクカートリッジ10の色毎に設けられる記憶手段である不揮発性メモリ(図示せず)に記憶されている情報を取り込んで、所要の処理を行って、本体記憶手段である不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)616に格納保持する。
【0050】
制御用マイコン601は、RTC(Real Time Clock)617を通じて、日付(年月日)と時刻(時分秒)を取得する。
【0051】
本実施形態の画像形成装置では、以上説明した図6の制御系によって、搬送される2枚の用紙の間隔を規定の距離に補正する制御(以下、用紙間隔補正制御という)が行われる。この制御の具体例について以下にそれぞれ説明する。
【0052】
〔例1〕
図7、図8は、2枚目の用紙の用紙送りを一時停止することで、狭まりすぎた用紙間隔を規定の距離に補正する制御について説明する図である。
【0053】
図7は、本実施形態の画像形成装置が、用紙が重送したときの用紙の位置関係の例を表した図である。画像形成装置の不揮発メモリには、予め、閾値(例えば、1枚目の用紙後端から2枚目の用紙先端までの規定の距離+2枚目の用紙における搬送方向の距離(長さ)を、予め定められた通常速度で割ることで算出された時間を示す値)が保存されている。そして、画像形成装置は、用紙の連続搬送を行う際、1枚目の用紙後端を検知してから2枚目の用紙後端を検知するまでの時間を計測する。次に、画像形成装置は、この計測値が上記閾値を下回った場合、用紙間が規定の距離よりも狭まっている状態(例えば、図7に示すように用紙が重送している状態、又は、図示していないが重送が発生しそうな状態)であるとして、用紙間隔補正制御が必要であると判断する。なお、1枚目の用紙先端を検知してから1枚目の用紙後端を検知しないままに閾値(上記とは別の閾値。例えば、1枚目の用紙先端を検出してから2枚目の用紙先端を検出するまでの規定の時間を示す値)以上の時間が経過した場合、画像形成装置は、用紙間隔補正制御ではなく、全用紙の搬送を停止する制御を行うようにしてもよい。
【0054】
画像形成装置は、用紙間隔補正制御が必要であると判断すると、閾値と計測値(1枚目の用紙後端の検知から2枚目の用紙後端の検知まで実際にかかった時間)との差分を不揮発メモリに保存しておく。そして、画像形成装置は、用紙間隔補正制御として、図8に示すように、装置本体(プリンタ本体)の用紙送りローラの駆動は継続させ、第2用紙トレイの用紙送りローラの駆動は停止させる制御を行う。装置本体の用紙送りローラは1枚目の用紙、第2用紙トレイの用紙送りローラは2枚目の用紙を搬送しているから、上記制御により、1枚目の用紙と2枚目の用紙の距離は離れる。そして、用紙間の距離を正常な距離(規定の距離)とするために、画像形成装置は、第2用紙トレイの用紙送りローラを停止する時間を上記「閾値と計測値との差分」にする。例えば、計測値が閾値よりもs秒(閾値と計測値との差分の一例)短かった場合、画像形成装置は、装置本体の用紙送りローラの駆動は継続させたまま、s秒間だけ第2用紙トレイの用紙送りローラの駆動を停止させる。
【0055】
〔例2〕
図9は、2枚目の用紙の用紙送り速度を遅くすることで、狭まりすぎた用紙間隔を規定の距離に補正する制御について説明する図である。
【0056】
画像形成装置は、上記例1と同様にして用紙間隔補正制御が必要であると判断すると、図9に示すように、装置本体の用紙送りローラは通常速度での駆動を継続させ、第2用紙トレイの用紙送りローラは通常速度より遅い速度(低速)で駆動させるように制御する。装置本体の用紙送りローラは1枚目の用紙、第2用紙トレイの用紙送りローラは2枚目の用紙を搬送しているから、上記制御により、1枚目の用紙と2枚目の用紙の距離は離れる。そして、用紙間の距離を正常な距離(規定の距離)とするために、画像形成装置は、第2用紙トレイの用紙送りローラを低速にする時間を調節する。低速にする時間は、次の式で表現できる。
((v1−v2)×s)/(|t1−t2|×d)
v1:装置本体の用紙送りローラの通常駆動速度
v2:第2用紙トレイの用紙送りローラの低速駆動速度
s:閾値
t1:1枚目用紙の後端検知時刻
t2:2枚目用紙の後端検知時刻
d:目標距離
【0057】
〔例3〕
図10は、1枚目の用紙の用紙送り速度を早くすることで、狭まりすぎた用紙間隔を規定の距離に補正する制御について説明する図である。
【0058】
画像形成装置は、上記例1と同様にして用紙間隔補正制御が必要であると判断すると、図10に示すように、装置本体の用紙送りローラは通常速度より速い速度(高速)で駆動させ、第2用紙トレイの用紙送りローラは通常速度での駆動を継続させるように制御する。装置本体の用紙送りローラは1枚目の用紙、第2用紙トレイの用紙送りローラは2枚目の用紙を搬送しているから、上記制御作により、1枚目の用紙と2枚目の用紙の距離は離れる。そして、用紙間の距離を正常な距離(規定の距離)とするために、画像形成装置は、装置本体の用紙送りローラを高速にする時間を調節する。高速にする時間は、次の式で表現できる。
((v1−v2)×s)/(|t1−t2|×d)
v1:装置本体の用紙送りローラの高速駆動速度
v2:第2用紙トレイの用紙送りローラの通常駆動速度
s:閾値
t1:1枚目用紙の後端検知時刻
t2:2枚目用紙の後端検知時刻
d:目標距離
【0059】
〔例4〕
画像形成装置は、装置毎に、用紙送りの速度やタイミングに一定の特性が出やすくなることが考えられる。例えば、ある画像形成装置では給紙コロの速度が速く、用紙後端検知後、通常より速く給紙を行うため2枚の用紙の距離が短くなりがちになる、などといったことが起こる。このような画像形成装置毎の特性のバラツキを解決するために、画像形成装置毎に、次の用紙の給紙タイミングを補正することを行う。つまり、図4で説明したように1枚目の用紙の後端検知直後に2枚目の用紙を給紙するのではなく、本例では、1枚目の用紙の後端検知から時間をおいて2枚目の用紙の給紙を行うようにする。このとき、給紙を遅らせる時間は次のようにして算出される。
Σ(|t1−t2|)/N
t1:重送の起こった過去N回の1枚目の用紙後端検知時刻
t2:重送の起こった過去N回の2枚目の用紙後端検知時刻
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、連続して搬送される第1の記録材と第2の記録材の間隔が規定の距離よりも狭まった場合に、規定の距離に補正することで、搬送中の記録材間の距離が狭くなりすぎることによる重送、ジャムを防止できる。また、他の効果として、画像形成装置毎の特性による記録材間の距離のばらつきを軽減する効果もある。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0063】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0064】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0065】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0066】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、プリンタ、コピー機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置及び記録材搬送装置全般に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
2 給紙トレイ
4 カートリッジ装填部
10 インクカートリッジ
21 フレーム
21A、21B 側板
21C 後板
22 ハーネス
24 供給ポンプユニット
25 係止部材
31 ガイドロット
32 ステー
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
35 サブタンク
36 インク供給チューブ
41 用紙積載部
42 用紙
45 ガイド部材
46 カウンタローラ
47 搬送ガイド部材
48 押さえ部材
49 先端加圧コロ
51 搬送ベルト
52 搬送ローラ
53 テンションローラ
56 帯電ローラ
57 ガイド部材
61 分離爪
62 排紙ローラ
63 排紙コロ
71 両面ユニット
72 手差しトレイ
81 維持回復機構
82 キャップ
83 ワイパーブレード
84、88 空吐出受け
89 開口
98 アプリケーション
99 OS(GDI)
100 プリンタドライバ
101 通信回路
601 制御用マイコン
602 キャリッジ位置検出回路
603 キャリッジ駆動モータ駆動回路
604 搬送量検出回路
605 搬送モータ駆動回路
606 紙サイズセンサ
607 紙位置センサ
609 ヘッド駆動回路
610 給紙コロ駆動回路
611 維持回復機構駆動用モータ駆動回路
612 インク供給モータ駆動回路
613 サブタンク満タンセンサ
614 カートリッジカバーセンサ
615 カートリッジ通信回路
616 不揮発メモリ
617 RTC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開昭62−116433号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を行う記録材を連続して搬送する際に、先行する第1の記録材と、後続する第2の記録材の間隔として規定の距離をとる画像形成装置であって、
前記第1の記録材と前記第2の記録材の搬送中に、前記第1の記録材の後端を検知してから前記第2の記録材の後端を検知するまでの時間を計測する計測手段と、
前記計測手段による計測値が予め定められた閾値を下回った場合、前記第2の記録材の搬送だけを、前記閾値と前記計測値の差分の時間分停止する停止制御を行うことで、前記第1の記録材と前記第2の記録材の間隔を前記規定の距離に戻す制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記停止制御の代わりとして、
前記第2の記録材を搬送する速度を、前記第1の記録材を搬送する速度よりも低速にする第1の速度変更制御を行うことで、前記第1の記録材と前記第2の記録材の間隔を前記規定の距離に戻すことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記停止制御及び前記第1の速度変更制御の代わりとして、
前記第1の記録材を搬送する速度を、前記第2の記録材を搬送する速度よりも高速にする第2の速度変更制御を行うことで、前記第1の記録材と前記第2の記録材の間隔を前記規定の距離に戻すことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
過去に重送が発生したときの記録材の間隔を所定数記録しておき、当該記録に基づいて前記第2の記録材の搬送を開始するタイミングを調節することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−180189(P2012−180189A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44477(P2011−44477)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】