説明

画像形成装置

【課題】本発明は、画像読取ユニットの画像読取精度を高めることを課題とする。
【解決手段】画像形成装置10は、画像読取ユニット20と、画像形成ユニット30と、排紙空間40と、支持体50とを有する。支持体50は、上方からみると、L字状に形成されており、排紙空間40の後側と右側の2方向を囲むように形成されている。支持体50は、画像形成ユニット30の上部に設けられ、上面が画像読取ユニット20の下部に固定されている。画像読取ユニット20は、左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)の各幅寸法が画像形成ユニット30の上部よりも小さい寸法に形成されている。画像読取ユニット20は、X方向及びY方向の幅寸法が画像形成ユニット30の上部よりも小さく形成されており、且つ後部側及び右側にずらした位置に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に画像形成ユニットと画像読取ユニットとの間に排紙空間を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像形成装置は、原稿を読み取る画像読取ユニットと、読み取った画像情報を記録紙に形成する画像形成ユニットと、記録紙を供給する給紙部と、画像情報を形成された記録紙が排出される排紙部とを有する構成となっている。
【0003】
この種の画像形成装置においては、省スペース化を図るため、給紙部を画像形成ユニットの下部に収納すると共に、画像形成ユニットの上部に画像読取ユニットを搭載し、画像形成ユニットと画像読取ユニットとの間に排紙空間を設けたものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の画像形成装置では、画像形成ユニットの後部側に設けられた支持部から前部側に延在するアームを含めた数点の部品を組み合わせた載置部に画像読取ユニットを載置して支持する構成であるので、載置部の平面精度を高めることが難しく、画像読取ユニットの載置姿勢がゆがみ、その結果、画像読取ユニットによる画像読取精度に影響して記録紙に転写される画像品質が低下するという問題があった。
【0005】
また、画像形成装置においては、操作部を任意の角度に調整できると共に、調整後の回動位置に安定的に保持されることが要望されている。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、少なくとも排紙空間の二方向の側面を囲むように形成された支持体により画像読取ユニットを安定的に支持することで上記課題を解決した画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、画像形成ユニットの上部に画像読取ユニットを載置し、前記画像形成ユニットと前記画像読取ユニットとの間に排紙空間を有する画像形成装置において、
前記画像形成ユニットの上部に少なくとも前記排紙空間の二方向の側面を囲むように形成された支持体を設け、
前記支持体を介して前記画像読取ユニットを前記画像形成ユニットの上部に固定することを特徴とする。
(2)本発明の前記支持体は、前記排紙空間の一辺に対向するように延在形成された第1の支持部と、前記第1の支持部と直交し、且つ前記排紙区間の他辺に対向するように延在形成された第2の支持部とを有し、
前記第1の支持部及び前記第2の支持部は、前記画像形成ユニットの垂直方向の荷重を受ける垂直フレーム上に配されたことを特徴とする。
(3)本発明の前記画像読取ユニットは、前記画像形成ユニットの上部よりも小さく形成されており、少なくとも前記画像形成ユニットの後部側に所定距離ずらした位置で前記支持体上に固定されることを特徴とする。
(4)本発明の前記支持体は、樹脂材により形成されていることを特徴とする。
(5)本発明の前記支持体は、一体成型されたことを特徴とする。
(6)本発明の前記支持体は、金属材からなる補強部材を有することを特徴とする。
(7)本発明の前記支持体は、前記排紙空間と外部との間を連通する通気路を有することを特徴とする。
(8)本発明の前記画像形成ユニットは、前記垂直フレームの下部に弾性部材を有することを特徴とする。
(9)本発明は、(1)乃至(8)の何れかに記載の画像形成装置であって、
入力操作を行う操作部と、
前記画像形成ユニットの上部に設けられ、前記操作部を上下方向及び水平方向の各方向に回動可能に支持する支持機構と、
前記操作部を任意の回動位置に保持するトルク発生部と、
を備えたことを特徴とする。
(10)本発明の前記支持機構は、
前記操作部の後面側に固定される第1の固定部と、
前記画像形成ユニットの上部に固定される第2の固定部と、
前記第1の固定部及び前記第2の固定部に対し上下方向及び水平方向に回動可能に連結されるヒンジユニットと、
を有することを特徴とする。
(11)本発明の前記ヒンジユニットは、
前記第1の固定部に対して上下方向に回動可能に連結される第1のヒンジと、
前記第2の固定部に対して水平方向に回動可能に連結される第2のヒンジと、
を有することを特徴とする。
(12)本発明の前記第1のヒンジは、前記第1の固定部を水平方向に貫通する第1の軸を有し、当該第1の軸により前記ヒンジユニットを水平方向に回動可能に支持することを特徴とする。
(13)本発明の前記第2のヒンジは、前記第2の固定部を垂直方向に貫通する第2の軸を有し、当該第2の軸により前記ヒンジユニットを水平方向に回動可能に支持することを特徴とする。
(14)本発明の前記ヒンジユニットは、前記第2のヒンジの下面を前記第2の固定部の上面に対し、一定間隔の隙間を介して対向配置されることを特徴とする。
(15)本発明は、前記ヒンジユニットを前記第2の固定部の上面に対し、一定圧力で保持されるように締結する締結部材を有することを特徴とする。
(16)本発明の前記ヒンジユニットは、前記第1、第2のヒンジのそれぞれに前記トルク発生部を有し、前記操作部が各方向に回動操作されると共に、前記操作部を当該回動位置に保持することを特徴とする。
(17)本発明は、(1)乃至(8)の何れかに記載の画像形成装置であって、
入力操作を行う操作部と、
前記画像形成ユニットの上部に設けられ、前記操作部を回動可能に支持する支持機構と、
前記支持体の端部に設けられ、前記画像形成ユニットのフレーム上部に当接し、前記支持体に作用する荷重による歪みを抑制するように形成された支持体補強部と、
を備えたことを特徴とする。
(18)本発明の前記支持体補強部は、
前記支持体と一体に形成され、複数の突出部がU字形状または四角形状を形成することを特徴とする。
(19)本発明の前記支持体補強部は、
前記支持体の端面より外側に突出する一対の垂直突出部と、
前記一対の垂直突出部を連結する水平連結部とを有することを特徴とする。
(20)本発明の前記操作部は、前記支持体の上面に横架された軸により回動可能に支持され、
前記支持体の上面には、前記軸と直交する方向に延在する固定部材が複数の締結部材により締結され、
前記複数の締結部材は、前記軸の前側と後側の各位置のそれぞれを締結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成ユニットと画像読取ユニットとの間に配された支持体が少なくとも排紙空間の二方向の側面を囲むように形成されたため、画像読取ユニットを二方向、例えば、後部側と左右側面の何れかで支持することになり、画像読取ユニットを安定状態に支持することができ、画像読取ユニットによる画像読取精度が向上して記録紙に転写される画像品質を高めることができる。
【0009】
さらに、本発明によれば、操作部を上下方向及び水平方向の任意の角度に回動操作できると共に、操作部を当該回動位置に安定状態に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による画像形成装置の一実施例を斜め左方向からみた斜視図である。
【図2】本発明による画像形成装置の一実施例を斜め右方向からみた斜視図である。
【図3】画像読取ユニットが搭載された画像形成ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【図4】画像読取ユニットが外された状態の画像形成ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【図5】支持体を上方からみた平面図である。
【図6】画像読取ユニットが搭載された画像形成ユニットを上方からみた平面図である。
【図7】支持体の構造を示す斜視図である。
【図8】支持体を上方からみた平面図である。
【図9】支持体の通気路を示す平面図である。
【図10】支持体の通気路を示す斜視図である。
【図11A】後側垂直フレームを斜め上方前側からみた斜視図である。
【図11B】後側垂直フレームを斜め下方前側からみた斜視図である。
【図11C】後側垂直フレームを斜め上方後側からみた斜視図である。
【図11D】後側垂直フレームを上方からみた平面図である。
【図12】画像形成ユニットのフレーム構造を斜め下方からみた斜視図である。
【図13】操作部の支持機構を斜め後方からみた斜視図である。
【図14】操作部の支持機構を斜め後方からみた分解斜視図である。
【図15A】操作部の支持機構を上方からみた平面図である。
【図15B】操作部を左方向に回動させた際の支持機構の動作を示す平面図である。
【図15C】操作部を右方向に回動させた際の支持機構の動作を示す平面図である。
【図16A】操作部の支持機構を右側方からみた側面図である。
【図16B】操作部を上方に90度回動させた状態を示す側面図である。
【図17】操作部を上下方向、水平方向に回動可能に支持する各ヒンジを示す分解斜視図である。
【図18A】操作部を上下方向に回動可能に支持する第1のトルクヒンジを拡大して示す斜視図である。
【図18B】操作部を水平方向に回動可能に支持する第2のトルクヒンジを拡大して示す斜視図である。
【図19A】操作部を上下方向に回動可能に支持する第1のトルクヒンジの取付構造を示す横断面図である。
【図19B】図19A中Y−Y線に沿う縦断面図である。
【図20】操作部を支持するヒンジが変形した場合の動作不良を示す側面図である。
【図21】支持機構の固定構造を示す縦断面図である。
【図22】支持機構の固定構造の変形例を示す縦断面図である。
【図23A】画像形成装置の支持体補強部を示す斜視図である。
【図23B】支持体補強部を拡大して示す平面図である。
【図24】操作部の支持機構の変形例を拡大して示す平面図である。
【図25A】支持体補強部の変形例を示す斜視図である。
【図25B】支持体補強部の変形例を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
〔画像形成装置の全体構成〕
図1は本発明による画像形成装置の一実施例を斜め左方向からみた斜視図である。図2は本発明による画像形成装置の一実施例を斜め右方向からみた斜視図である。尚、図1及び図2は画像形成装置の全体構成の概略を示しており、画像形成装置を構成する各部の詳細な構造については後述する。
【0013】
図1及び図2に示されるように、画像形成装置10は、画像読取ユニット20と、画像形成ユニット30と、排紙空間40と、支持体50とを有する。画像読取ユニット20は、原稿を読み取るスキャナ部を有し、当該スキャナ部の上面が蓋24により開閉される。
画像形成ユニット30は、読み取った画像情報に対応するトナーを記録紙に転写して定着させる。
【0014】
排紙空間40は、画像情報を形成された記録紙が排出される空間であり、画像読取ユニット20と画像形成ユニット30との間に形成されている。支持体50は、画像形成ユニット30の上部に設けられ、上面が画像読取ユニット20の下部に固定されている。尚、支持体50は、画像形成ユニット30の筐体(カバー部材)によって覆われており、外観からは見えないように設けられている。
【0015】
画像読取ユニット20は、左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)の各幅寸法が画像形成ユニット30の上部よりも小さい寸法に形成されている。そして、画像読取ユニット20は、後部側及び右側にずらして載置される。すなわち、画像読取ユニット20は、後端面が画像形成ユニット30の後面と一致し、右側面が画像形成ユニット30の右側面と一致するように取り付けられている。
【0016】
そのため、画像読取ユニット20の左側面及び前端面と画像形成ユニット30の上面との間に段差が形成されており、この段差によって排紙空間40に排出された記録紙を視認しやすくなっている。そのため、操作者は、排紙空間40に排出された記録紙を確認しやく、記録紙の取り出しも容易に行える。
【0017】
さらに、画像形成ユニット30の上部前側には、操作部60が取り付けられている。尚、操作部60は、例えば、電源スイッチなどのスイッチ類、及びタッチパネル方式の液晶パネル等が設けられている。
〔画像形成ユニット30の内部構造〕
図3は画像読取ユニット20が搭載された画像形成ユニット30の内部構造を示す斜視図である。図4は画像読取ユニット20が外された状態の画像形成ユニット30の内部構造を示す斜視図である。尚、図3及び図4においては、画像形成ユニット30の筐体が外されて内部構造が露出されている。
【0018】
図3及び図4に示されるように、画像読取ユニット20は、支持体50の上部に載置された状態で固定されている。支持体50は、上方からみると、L字状に形成されており、少なくとも排紙空間40の後側と右側の2方向を囲むように形成されている。そして、画像読取ユニット20は、X方向及びY方向の幅寸法が画像形成ユニット30の上部よりも小さく形成されており、且つ後部側及び右側にずらした位置に取り付けられているので、支持体50によって安定的に支持される。
【0019】
また、支持体50は、画像読取ユニット20を水平状態に支持すると共に、X方向及びY方向の各側面が排紙空間40の後側と右側の境界を画定する。尚、支持体50は、L字状に形成しても良いし、あるいはコ字状に形成して排紙空間40の後側、左側、右側の3方向を囲むように形成しても良い。
【0020】
また、支持体50は、画像形成ユニット30のフレーム構造体70を構成している。フレーム構造体70は、上記支持体50の他に、前側垂直フレーム72と、後側垂直フレーム74と、左側板フレーム76と、右側板フレーム78とを有する。前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74は、画像読取ユニット20及び支持体50の荷重を支えると共に、画像形成ユニット30の各部品(トナー収納体など)を保持する複数の取付孔79が形成されている。
【0021】
また、後側垂直フレーム74の後面側(後側)には、電装ボックス80が取り付けられている。電装ボックス80には、各制御回路の各電子部品が実装された基板が収納されている。
〔支持体50の取付状態〕
図5は支持体50を上方からみた平面図である。図5に示されるように、支持体50は、樹脂材により一体成型されており、X方向に延在する第1の支持部52と、第1の支持部52と直交するY方向に延在する第2の支持部54とを有する。
【0022】
第1の支持部52は、前後方向(Y方向)の幅L1が第2の支持部54の左右方向(X方向)の幅L2よりも大きく(L1>L2)形成されており、画像読取ユニット20の荷重を上面で安定的に支持することができる。
【0023】
また、第2の支持部54の上面には、金属材料により形成された補強部材100が埋設される凹部55が設けられている。補強部材100は、Y方向に延在形成された金属ステーからなり、凹部55に設けられた複数のネジ孔にネジ等の締結部材により固定される。これにより、支持部50は、補強部材100により歪みや捩れなどの変形が生じないように補強されて剛性が向上しており、画像読取ユニット20の平面精度を保つように支持することができる。
【0024】
また、補強部材100の後端部には、電装ボックス80をネジ止めする接続部102が設けられている。そして、補強部材100の接続部102に電装ボックス80をネジ止めすることで、電装ボックス80内の基板のアース端子(GND)が金属材からなる補強部材100に電気的に接続される。
【0025】
また、補強部材100の前端部には、操作部60と接続される接続部104が設けられている。そして、補強部材100の接続部104に操作部60の金属ステーをネジ止めすることで、操作部60内の基板のアース端子(GND)が金属材からなる補強部材100に電気的に接続される。これにより、操作部60と電装ボックス80との間、及び画像読取ユニット20と電装ボックス80との間が補強部材100を介して電気的に接続されると共に、操作部60、電装ボックス80、画像読取ユニット20がアースされる。
【0026】
図6は画像読取ユニット20が搭載された画像形成ユニット30を上方からみた平面図である。図6に示されるように、画像読取ユニット20は、原稿を載置するスキャナ面22の下側のスキャナ装置を有し、スキャナ面22の後方には蓋24が回動可能に設けられている。
【0027】
画像読取ユニット20は、下面のほぼ3/4の面積が支持体50の第1の支持部52、第2の支持部54の上面(載置面)に当接しており、X方向及びY方向に歪みや捩れが生じないように支持される。また、画像読取ユニット20の重心Gは、第1の支持部52上にあるので、支持部50により安定的に支持される。これにより、画像読取ユニット20は、荷重が後側に配置された第1の支持部52により支持されるため、自重による歪みや捩れが抑制されて平面精度が維持され、画像読取精度が向上して画像形成の品質が高められる。
〔支持体50の構成〕
ここで、支持体50の構成について、さらに説明する。
【0028】
図7は支持体50の構造を拡大して示す斜視図である。図8は支持体を上方からみた平面図である。
【0029】
図7に示されるように、支持体50は、下面側に画像形成ユニット30の上部に当接する第1の当接部51と、第2の当接部53とを有する。第1の当接部51は、第1の支持部52の下面より突出するように形成され、第2の当接部53は第2の支持部54の下面より突出するように形成される。尚、第1の当接部51及び第2の当接部53の輪郭形状については、後述する。
【0030】
また、支持体50の上面に形成された凹部55には、前述した補強部材100を固定するためのねじ孔55aと、後述する操作部60を回動可能に支持する固定部材を締結するためのねじ孔55bとが設けられている。
【0031】
図7及び図8に示されるように、支持体50は、樹脂材により一体成型されており、軽量化と画像読取ユニット20の載置面(上面)の平面精度を確保することができる。また、支持体50においては、第1の支持部52の左側端部に、筐体の後側板にネジにより締結される締結凹部56aが設けられている。
【0032】
さらに、第1の支持部52の右側には、筐体の後側板にネジにより締結される締結凹部56b、56cが設けられ、第2の支持部54の前側端部には、筐体の前側板にネジにより締結される締結凹部57が設けられている。
【0033】
また、第1の支持部52の左側端部上面には、画像読取ユニット20を締結するための締結部58が2箇所に突出しており、第2の支持部54の右側面には、画像読取ユニット20を締結するための締結凹部59が3箇所に設けられている。
【0034】
支持体50の上面の画像読取ユニット20が載置される載置ポイント110a〜110eは、例えば、円柱形状の突起などからなり、第1の支持部52の左側端部上面、第1の支持部52の右側角部上面、第2の支持部54の前側上面の3箇所に分散配置されている。また、載置ポイント110a〜110eは、L字状に形成された支持体50の上面の擬似3箇所で、画像読取ユニット20の荷重を支持する。そのため、例えば、画像読取ユニット20のY軸回りのローリングモーメントは、左側の載置ポイント110a、110bと右側の載置ポイント110c、110eによって抑制される。また、画像読取ユニット20のX軸回りのピッチングモーメントは、後側の載置ポイント110a、110cと前側の載置ポイント110d、110eによって抑制される。
【0035】
従って、画像読取ユニット20は、上記支持体50の支持構造によって歪みや捩れが抑制されるため、平面精度がより高精度に維持される。これにより、画像読取ユニット20による画像読取り精度が向上するため、画像形成の品質が高められる。
【0036】
さらに、支持体50は、図8中一点鎖線で示すフレーム構造体70の前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74によって支えられている。そして、支持体50を画像形成ユニット30の上部に固定するための締結凹部56a〜56c、57は、それぞれフレーム構造体70の前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74とほぼ重なる位置に設けられている。そのため、支持体50は、上面側の各載置ポイント110a〜110eで画像読取ユニット20の荷重を受けると共に、下面側の締結凹部56a〜56c、57の近傍に配された前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74によって支持される。
【0037】
従って、画像読取ユニット20及び支持体50の荷重は、前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74によって安定的に支持される。すなわち、画像読取ユニット20は、上記のような支持体50と前側垂直フレーム72及び後側垂直フレーム74との相対位置により安定的に支持されることで、歪みや捩れが抑制されるため、このことからも平面精度がより高精度に維持され、画像読取精度が向上して画像形成の品質が高められる。
〔支持体50の通気路〕
図9は支持体50の通気路を示す平面図である。図10は支持体50の通気路を示す斜視図である。
【0038】
図9及び図10に示されるように、支持体50は、下面側に第1の当接部51と、第2の当接部53とを有する。第1の当接部51及び第2の当接部53は、図9中のハッチングで示すように形成された壁部である。第1の当接部51と第2の当接部53との間には、排気空間40と外部との間を連通する通気路120が形成されている。通気路120は、一端が排気空間40に開口し、他端が右側面に開口している。
【0039】
このように支持体50は、排紙空間40の空気を外部に排出するための通気路120を内蔵する構成であるため、通気用のダクトを別個に設ける必要がなく、その分部品点数の削減、及びコストダウンを図ることができる。
〔フレーム構造体70の構成〕
図11Aは後側垂直フレーム74を斜め上方前側からみた斜視図である。図11Bは後側垂直フレーム74を斜め下方前側からみた斜視図である。図11Cは後側垂直フレーム74を斜め上方後側からみた斜視図である。図11Dは垂直フレームを上方からみた平面図である。
【0040】
図11A〜図11Cに示されるように、後側垂直フレーム74は、垂直壁74aと、垂直壁74aの四辺より直角に曲げられた上面74b、左側面74c、下面74d、右側面74eとを有する。垂直壁74aの後面側には、上面74b、左側面74c、下面74d、右側面74eに囲まれた凹部空間74fが形成されている。垂直壁74aには、複数の取付孔79及び右側板フレーム78の端部が固定される段部77が設けられている。
【0041】
このように後側垂直フレーム74は、垂直壁74aの4辺に上面74b、左側面74c、下面74d、右側面74eが直角になるように板金を曲げ加工したものであり、画像読取ユニット20及び支持体50の荷重を十分に支える強度を有すると共に、軽量化が図られる。
【0042】
また、後側垂直フレーム74の下面74dには、ゴム部材などからなる弾性部材130が固定されている。この弾性部材130は、振動や外力を吸収する粘弾性を有する。
【0043】
図11Dに示されるように、後側垂直フレーム74の上面74bには、支持体50を締結するための締結用孔74b1が各角部付近に設けられている。
【0044】
尚、前側垂直フレーム72については、上記後側垂直フレーム74と同様な構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0045】
図12は画像形成ユニット30のフレーム構造70を斜め下方からみた斜視図である。図12に示されるように、前側垂直フレーム72及び上記後側垂直フレーム74の下面には、複数の弾性部材130が取り付けられている。
【0046】
各弾性部材130は、画像形成装置10の底部に設けられ、当該画像形成装置10が設置される設置面(床面)に当接する。従って、画像形成装置10の全荷重は、前側垂直フレーム72及び上記後側垂直フレーム74を介して各弾性部材130により支えられる。また、画像形成装置10の振動特性(固有振動周波数)に応じて弾性部材130を形成するゴム部材の粘弾性係数を選択することによって、画像読取ユニット20の振動を効果的に減衰させることができる。
【0047】
また、例えば、操作者が画像読取ユニット20に手をついて体重をかけた場合は、各弾性部材130の弾性変形により、荷重による変形が吸収されるため、フレーム構造70が変形せず、画像読取ユニット20に歪みや捩れが生じず、画像読取精度の低下が防止される。よって、画像形成装置10に外力が作用した場合でも画像形成の品質を維持することができる。
〔操作部60の支持機構200の構成〕
図13は操作部60の支持機構200を斜め後方からみた斜視図である。図14は操作部60の支持機構200を斜め後方からみた分解斜視図である。図13及び図14に示されるように、操作部60は、画像形成ユニット30の上部取付部32に固定された支持機構200により回動可能に支持される。また、支持機構200は、操作部60の後面を上下方向(θx方向)及び水平方向(θz方向)の各方向に回動可能に支持しており、操作部60を任意の回動位置に保持するように構成されている。
【0048】
支持機構200は、支持部(第1の固定部)210と、固定ベース(第2の固定部)220と、ヒンジユニット230とを有する。支持部210は、操作部60の後面側に固定された一対の腕部210A、210Bよりなる。一対の腕部210A、210Bは、操作部60の後方に平行に突出しており、その先端の対向する側面にはX軸方向に貫通する軸受け孔212A、212Bが設けられている。
【0049】
固定ベース220は、下面側が画像形成ユニット30の上部取付部32に載置され、4本の締結ネジ221が支持体50の各ネジ孔55bに螺入されことで固定される。また、固定ベース220の上面には、各上面角部の締結用孔222と、上面側中央の非円形凹部224と、一対のヒンジユニット取付用ネジ孔226とが設けられている。
【0050】
ヒンジユニット230は、一対の腕部210A、210Bに対し上下方向(θx方向)に回動可能に連結される第1のヒンジ230Aと、固定ベース220に対し水平方向(θz方向)に回動可能に連結される第2のヒンジ230Bとを有する。
【0051】
第1のヒンジ230Aは、一対の腕部210A、210Bの間に挿入された状態でY軸方向の両側から第1のトルクヒンジ240が嵌合固定される。また、第2のヒンジ230Bは、固定ベース220の上面に載置され、第2のトルクヒンジ250が上方から嵌合固定される。尚、各トルクヒンジ240、250は、後述するように、夫々内周側と外周側との相対変位により操作部60を回動位置に保持するためのトルクを発生するトルク発生部を有する。
【0052】
また、ヒンジユニット230は、第2のトルクヒンジ250の外周側に嵌合する嵌合部232と、嵌合部232の周囲に形成された水平方向(θz方向)の回動規制部234とを有する。第2のトルクヒンジ250の外周形状が非円形状(小判形状)に形成されており、嵌合部232の壁部233は、第2のトルクヒンジ250の外周形状に対応する非円形形状に形成されている。また、第2のトルクヒンジ250の下端部は、嵌合部232を貫通して固定ベース220の非円形凹部224に係合する。
【0053】
回動規制部234は、嵌合部232の外周と同心円状に形成された一対の円弧状貫通穴236、237を有する。一対の円弧状貫通穴236、237には、それぞれネジ238、239が上方から挿入され、円弧状貫通穴236、237とネジ238、239との相対位置により水平方向(θz方向)の回動範囲が規制される。従って、ヒンジユニット230は、円弧状貫通穴236、237の周方向端部がネジ238、239の何れかに当接するまで回動可能である。
【0054】
また、一対のネジ238、239は、上方からみて中心線に対して左右対称となる位置に螺入されるため、ヒンジユニット230の後部側が固定ベース220から浮き上がらないように締結すると共に、ヒンジユニット230の水平方向(θz方向)の回動範囲が中心線の両側にほぼ等しい所定角度となるように規制する。
〔支持機構200の動作〕
図15Aは操作部60の支持機構200を上方からみた平面図である。図15Aに示されるように、支持機構200により支持された操作部60は、ヒンジユニット230に嵌合する第2のトルクヒンジ250を回動中心として水平方向(θz方向)に回動する。操作部60が正面を向いている場合、一対の円弧状貫通穴236、237は、円弧状部分のほぼ中間点に各ネジ238、239が位置している。各ネジ238、239は、頭部が一対の円弧状貫通穴236、237の溝幅よりも大径であるので、ヒンジユニット230が水平方向に回動される際、円弧状貫通穴236、237が周方向にスライドするようにガイドすると共に、上方への変位を抑制する。
【0055】
また、ヒンジユニット230は、各ネジ238、239の締付けにより一定の締付けトルクで固定されると共に、固定ベース220の上面との間に一定間隔の隙間を介して回動可能に支持されており、操作部60をZ軸回りのθz方向に回動可能に支持する。
【0056】
図15Bは操作部60を左方向に回動させた際の支持機構200の動作を示す平面図である。図15Bに示されるように、操作部60は、時計回りに回動されると、ヒンジユニット230が第2のトルクヒンジ250を中心として+θz方向に回動する。そのため、操作部60が時計回り(+θz方向)に回動される際は、第2のトルクヒンジ250の軸側(固定側)と筒状側(回動側)との相対変位によりトルクが発生して操作部60の水平方向のがたつきが抑制される。これにより、操作部60は、+θz方向に回動操作された場合、任意の回動位置に安定的に保持される。
【0057】
さらに、操作部60を正面からみて左方向(時計回り)に回動させると、ヒンジユニット230の左側の円弧状貫通穴236の左側端部が左側のネジ238に当接して時計回りの回動が規制される。また、操作部60が時計回りに回動操作された状態でも、ヒンジユニット230の円弧状貫通穴236、237が各ネジ238、239により固定ベース220に対して回動可能に保持されている。
【0058】
図15Cは操作部60を右方向に回動させた際の支持機構200の動作を示す平面図である。図15Cに示されるように、操作部60は、右方向(反時計回り)に回動されると、ヒンジユニット230が第2のトルクヒンジ250を中心として−θz方向に回動する。そのため、操作部60が反時計回り(−θz方向)に回動される際は、第2のトルクヒンジ250の軸側(固定側)と筒状側(回動側)との相対変位によりトルクが発生して操作部60の水平方向のがたつきが抑制される。これにより、操作部60は、−θz方向に回動操作された場合、任意の回動位置に安定的に保持される。
【0059】
さらに、操作部60を正面からみて右方向(反時計回り)に回動させると、ヒンジユニット230の右側の円弧状貫通穴237の右側端部が右側のネジ239に当接して反時計回りの回動が規制される。また、操作部60が反時計回りに回動操作された状態でも、ヒンジユニット230の円弧状貫通穴236、237が各ネジ238、239により固定ベース220に対して回動可能に保持されている。
【0060】
このように、操作部60は、ヒンジユニット230が第2のトルクヒンジ250を中心としてθz方向に回動するため、操作部60が水平方向(θz方向)の時計回り、反時計回りに回動操作される際は、第2のトルクヒンジ250の軸側(固定側)と筒状側(回動側)との相対変位によりトルクが発生して操作部60の水平方向の回動動作のがたつきが解消される。また、操作部60を支持するヒンジユニット230は、各ネジ238、239と一対の円弧状貫通穴236、237との相対位置によって水平方向(θz方向)の回動範囲を規制される。
【0061】
図16Aは操作部60の支持機構200を右側方からみた側面図である。図16Aに示されるように、操作部60は、一対の腕部210A、210Bの軸受け孔212A、212Bに嵌合された第1のトルクヒンジ240により上下方向(θx方向)に回動可能に支持されている。尚、本実施例において、操作部60は、正面の操作面を垂直にした垂直状態から上方(+θx方向)に回動させることができるが、一対の腕部210A、210Bの下面側が固定ベース220に当接するため、垂直状態から下方(−θx方向)に回動させることが制限されている。
【0062】
また、第1のトルクヒンジ240は、環状側が一対の腕部210A、210Bの軸受け孔212A、212Bに嵌合され、軸側がヒンジユニット230の第1のヒンジ230Aの係合凹部231に嵌合される。そのため、操作部60は、操作者が操作しやすい任意の方向に向くように上下方向の回動位置が調整されると共に、第1のトルクヒンジ240の軸側(固定側)と筒状側(回動側)との相対変位によりトルクが発生して上下方向のがたつきが抑制される。
【0063】
図16Bは操作部60を上方に90度回動させた状態を示す側面図である。図16Bに示されるように、操作部60の支持機構200は、操作部60の操作面が上方に向くように回動させることができる。この場合、操作部60を上下方向(θx方向)に回動させる際、第1のトルクヒンジ240の軸側と筒状側との相対変位により上下方向(θx方向)のトルクが発生して操作部60が上下方向の任意の回動位置に安定的に保持される。
〔トルクヒンジ240、250の構成〕
図17は操作部60を上下方向、水平方向に回動可能に支持する各ヒンジを示す分解斜視図である。図17に示されるように、支持機構200では、θx方向の回動中心となる第1のトルクヒンジ240と、θz方向の回動中心となる第2のトルクヒンジ250とを有する。
【0064】
図18Aは操作部60を上下方向に回動可能に支持する第1のトルクヒンジ240を拡大して示す斜視図である。図18Aに示されるように、第1のトルクヒンジ240は、筒状に形成された樹脂製ハウジング242と、樹脂製ハウジング242を貫通する中空穴に圧入された軸側の金属シャフト244とから構成されている。
【0065】
樹脂製ハウジング242は、外周より半径方向に突出する突出部243を有する。また、金属シャフト244の端部には、断面形状が四角形状とされた係合部246が設けられている。
【0066】
尚、樹脂製ハウジング242の突出部243は、後述する止めネジにより腕部210A、210Bの軸受け孔212A、212Bに形成された係止溝214A、214Bに嵌合係止される。また、金属シャフト244の係合部246は、断面形状が四角形(非円形)に形成されており、ヒンジユニット230の第1のヒンジ230Aの左右側面に形成された係合凹部231に嵌合して回動を規制される。
【0067】
第1のトルクヒンジ240は、操作部60を上下方向(θx方向)に回動させる際、金属シャフト244と樹脂製ハウジング242との間の摩擦によりトルクを発生するトルク発生部を有する。そのため、第1のトルクヒンジ240は、操作部60が上下方向に回動されると共に、トルクを付与して操作部60のθx方向のがたつきを抑制する。
【0068】
図18Bは操作部60を水平方向に回動可能に支持する第2のトルクヒンジ250を拡大して示す斜視図である。図18Bに示されるように、第2のトルクヒンジ250は、筒状側の樹脂製ハウジング252と、樹脂製ハウジング252を貫通する中空穴に圧入された軸側の金属シャフト254と、樹脂製ハウジング252の外周と一体に形成された小判形状の鍔部256とから構成されている。また、金属シャフト254の下端部には、断面形状が小判形状(非円形状)とされた係合部258を有する。
【0069】
第2のトルクヒンジ250は、樹脂製ハウジング252の内周面と金属シャフト254の外周面との相対変位によりトルクを発生するトルク発生部を有する。
【0070】
第2のトルクヒンジ250は、樹脂製ハウジング252の鍔部256がヒンジユニット230の嵌合部232に嵌合され、且つ金属シャフト254の係合部258が固定ベース220の非円形凹部224に嵌合される。従って、操作部60が水平方向(θz方向)に回動操作された場合、樹脂製ハウジング252と金属シャフト254との間で相対変位が生じる。
【0071】
そのため、第2のトルクヒンジ250は、操作部60が水平方向に回動されると共に、トルクを付与して操作部60のθz方向のがたつきを抑制する。
〔トルクヒンジ240の取付構造〕
図19Aは操作部60を上下方向に回動可能に支持する第1のトルクヒンジ240の取付構造を示す横断面図である。図19Bは図19A中Y−Y線に沿う縦断面図である。
【0072】
図19A及び図19Bに示されるように、第1のトルクヒンジ240は、操作部60の後面に設けられた一対の腕部210A、210Bの軸受け孔212A、212BにX方向の両側から挿入され、金属シャフト244の端部に形成された係合部246がヒンジユニット230の第1のヒンジ230Aの側面に形成された四角形状の係合凹部231に嵌合される。これにより、第1のトルクヒンジ240の金属シャフト244は、ヒンジユニット230の第1のヒンジ230Aと結合される。尚、金属シャフト244の係合部246は、第1のヒンジ230Aの上方から螺入された止めネジ260により係止されて抜け防止される。
【0073】
さらに、第1のトルクヒンジ240の樹脂製ハウジング242は、腕部210A、210Bの上方から軸受け孔212A、212Bに向けて螺入された止めネジ260により突出部243を係止される。これにより、第1のトルクヒンジ240の樹脂製ハウジング242は、操作部60の腕部210A、210Bと結合される。
【0074】
そのため、操作部60を上下方向(θx方向)に回動させると、第1のトルクヒンジ240の樹脂製ハウジング242と金属シャフト244とが相対的に回動し、金属シャフト244の外周面と樹脂製ハウジング242の内周面との間でトルクが発生する。よって、第1のトルクヒンジ240は、操作部60を上下方向に回動させる際のがたつきを抑制すると共に、操作部60を上下方向の所定回動位置に保持できる。
【0075】
図19Bに示されるように、第2のトルクヒンジ250は、上方よりヒンジユニット230の第2のヒンジ230Bに挿入されると共に、金属シャフト254の下端部の係合部258が固定ベース220の底部に形成された非円形凹部224に嵌合される。さらに、係合部258は、側方より螺入された止めネジ270により係止され、抜け防止される。
【0076】
これにより、第2のトルクヒンジ250の金属シャフト254は、固定ベース220と結合される。また、固定ベース220の非円形凹部224の周囲に形成された上面とヒンジユニット230の下面との間には、一定間隔の隙間Sが形成されている。
【0077】
また、第2のトルクヒンジ250の樹脂製ハウジング252の鍔部256は、ヒンジユニット230の嵌合部232に嵌合されると共に、嵌合部232の側方より螺入された止めネジ270により係止される。これにより、第2のトルクヒンジ250の樹脂製ハウジング252は、ヒンジユニット230と結合される。
【0078】
そのため、操作部60を水平方向に回動させると、ヒンジユニット230が固定ベース220を回動すると共に、第2のトルクヒンジ250の樹脂製ハウジング252と金属シャフト254とが相対的にθz方向に回動し、金属シャフト254の外周面と樹脂製ハウジング252の内周面との間でトルクが発生する。よって、第2のトルクヒンジ250は、操作部60を水平方向に回動させる際のがたつきを抑制すると共に、操作部60を所定回動位置に保持できる。
〔支持機構200の固定構造〕
ここで、第2のトルクヒンジ250の変形防止について説明する。
【0079】
図20は操作部60を支持するヒンジが変形した場合の動作不良を示す側面図である。図20に示されるように、操作部60は、支持機構200の構成により垂直状態から下方(−θx方向)に回動させることが制限されている。しかしながら、操作部60を下方(−θx方向)に回動させようとする力が作用した場合、一対の腕部210A、210Bが固定ベース220に当接するため、てこの原理で第2のトルクヒンジ250に対して大きな力が働き、第2のトルクヒンジ250を変形させるおそれがある。
【0080】
支持機構200には、このような第2のトルクヒンジ250の変形による操作部60の傾きを防止する固定構造300が設けられている。
【0081】
図21は支持機構200の固定構造300を示す縦断面図である。図21に示されるように、固定構造300は、固定ベース220の上面にヒンジユニット230を回動可能に支持する一対の上部支持部310が突出しており、各上部支持部310の上面にはネジ孔320が垂下方向に設けられている。さらに、固定ベース220の下面には、下部支持部340が突出している。下部支持部340は、上部支持部310の下方に位置しており、上部取付部32の穴33に嵌合する。
【0082】
各上部支持部310のネジ孔320には、一対の鍔付きネジ(締結部材)330が螺入される。また、各上部支持部310は、ヒンジユニット230の円弧状貫通穴236、237に嵌合する。鍔付きネジ330は、頭部鍔部332が円弧状貫通穴236、237の溝幅より大径であり、ネジ部334が支持部310のネジ孔320に螺入されると共に、一定の締付けトルクでヒンジユニット230を保持する。
【0083】
また、ヒンジユニット230は、一対の鍔付きネジ330により一対の支持部310に保持されることで、固定ベース220の上面側に対して一定間隔の隙間Sが形成される。そして、操作部60の荷重は、一対の鍔付きネジ330により支持されるため、ヒンジユニット230の第2のヒンジ230Bに挿入された第2のトルクヒンジ250には作用しない。これにより、操作部60を下方に回動させようとする力が加えられても、一対の鍔付きネジ330により当該力が支えられて第2のトルクヒンジ250の変形が防止される。
〔支持機構200の固定構造の変形例〕
図22は支持機構200の固定構造300の変形例を示す縦断面図である。図22に示されるように、固定構造300の変形例では、円弧状貫通穴236、237に一対のかしめピン(締結部材)350が挿入されている。かしめピン350は、頭部352が円弧状貫通穴236、237の溝幅より大径であり、下端354が下方からかしめ加工されて、テーパ状に拡径されている。
【0084】
これにより、ヒンジユニット230は、一対のかしめピン350の頭部352と下端354により一定のトルクで保持されると共に、下面と固定ベース220の上面との間に一定間隔の隙間Sが形成される。そして、操作部60の荷重は、一対のかしめピン350により支持されるため、ヒンジユニット230の第2のヒンジ230Bに挿入された第2のトルクヒンジ250には作用しない。これにより、操作部60を下方に回動させようとする力が加えられても、一対のかしめピン350により当該力が支えられて第2のトルクヒンジ250の変形が防止される。
〔支持体補強部の構成〕
図23Aは画像形成装置の支持体補強部を示す斜視図である。図23Bは支持体補強部を拡大して示す平面図である。図23A、図23Bに示されるように、支持体50の第2の当接部53には、一対の支持体補強部400A、400Bが設けられている。各支持体補強部400A、400Bは、支持体50の第2の当接部53と一体に形成されており、Y方向の端部より前側に突出する複数の突出部がU字形状又は四角形状に形成されてなる。
【0085】
本実施例の各支持体補強部400A、400Bは、第2の当接部53の前側壁面より外側(前側)に突出する一対の垂直突出部410と、一対の垂直突出部410の底部間を連結する水平連結部420とを有する。一対の垂直突出部410は、垂直方向(Z方向)に延在するように形成されており、所定間隔で平行に配されている。
【0086】
水平連結部420は、水平方向(X方向)に延在形成されており、フレーム構造体70の前側垂直フレーム72の上部に当接し、且つ一対の垂直突出部410の底部を塞ぐように連結している。そのため、支持体補強部400は、装置正面からみると、U字形状に形成されており、一対の垂直突出部410間には、垂直方向に延在する溝430が形成されている。さらに、垂直突出部410の上端間を水平連結部420により連結することで装置正面からみると四角形状の支持体補強部が形成される。
【0087】
また、各支持体補強部400A、400Bは、一対の垂直突出部410が支持体50の前側壁面(端面)より下方に延在しているため、装置側面からみるとL字状に形成され、底部の水平連結部420が前側垂直フレーム72の上部にビスなどのねじを有する締結ネジ440により締結される。従って、支持体補強部400A、400Bは、支持体50を水平状態に支持するため、支持体50に圧縮応力又は引っ張り応力が作用した場合には、支持体50の歪を抑制することができる。すなわち、支持体50は上面に取り付けられた画像読取ユニット20が読み取り動作を行う際に発生する荷重の変動や反力の作用による応力が作用しても、支持体補強部400A、400Bにより支持体50の剛性が高まり、画像読取ユニット20を水平状態に支持することができる。
【0088】
従って、支持体補強部400A、400Bにより画像読取ユニット20の読み取り動作に伴う荷重変動による支持体50の歪みが抑制され、結果的に画像読取ユニット20の水平状態が安定的に維持されて読み取り精度が向上する。
【0089】
図24は操作部の支持機構の変形例を拡大して示す平面図である。図24に示されるように、操作部60は、背面側の腕部210A、210Bを貫通するX方向に延在する軸450により上下方向に回動可能に支持される。また、軸450は、軸方向(X方向)と直交するY方向に延在する固定部材460により保持される。固定部材460は、軸450の前側と後側の2箇所ずつの各位置に計4本の締結ネジ470からなる締結部材により締結される締結用孔462を有する。この締結用孔462は、図23Bに示されるように、補強部材100に設けられた4箇所の孔106及び支持体50の凹部55に設けられた4箇所のネジ孔55b(図7、図8参照)と一致する。
【0090】
このように、固定部材460は、軸450の前側と後側(Y方向の前後)の2箇所ずつの各位置が計4本の締結ネジ470が支持体50の各ネジ孔55bに螺入されことで締結されるため、操作部60を上方向に回動操作した際に前側を持ち上げる力(後方へのモーメント)が作用した場合、または操作部60を下方向に回動操作した際に後側を持ち上げる力(前方へのモーメント)が作用した場合でも軸450をがたつきのない状態に保持することができる。
〔支持体補強部の変形例〕
図25Aは支持体補強部の変形例を示す斜視図である。図25Bは支持体補強部の変形例を拡大して示す平面図である。
【0091】
図25A及び図25Bに示されるように、変形例の支持体補強部500は、支持体50の第2の当接部53と一体に形成されており、支持体50の端部より前側に突出する複数の突出部がU字形状に形成されてなる。
【0092】
また、支持体補強部500は、第2の当接部53の前端より外側に突出する一対の垂直突出部510と、一対の垂直突出部510の底部間を連結する水平連結部520とを有する。一対の垂直突出部510は、所定間隔離間して垂直方向に延在するように形成されている。
【0093】
水平連結部520は、水平方向に延在形成されており、フレーム構造体70の前側垂直フレーム72の上部に当接し、且つ一対の垂直突出部510の底部を塞ぐように連結している。そのため、支持体補強部500は、装置正面からみると、U字形状に形成されており、一対の垂直突出部510間には、四角形状の凹部530が形成されている。さらに、垂直突出部510の上端間を水平連結部520により連結することで装置正面からみると四角形状の支持体補強部が形成される。
【0094】
また、支持体補強部500は、垂直突出部510が支持体50の前側端面より下方に延在しているため、装置側面からみるとL字状に形成され、底部の水平連結部520が前側垂直フレーム72の上部にビスなどの締結ネジ540からなる締結部材により締結される。従って、支持体補強部500は、支持体50を水平状態に支持するため、支持体50に圧縮応力又は引っ張り応力が作用した場合には、支持体50の歪を抑制することができる。すなわち、支持体50は上面に取り付けられた画像読取ユニット20が読み取り動作を行う際に発生する荷重の変動や反力の作用による圧縮応力又は引っ張り応力が作用しても、支持体補強部500により支持体50の剛性が高まり、画像読取ユニット20を水平状態に支持することができる。
【0095】
従って、支持体補強部500により画像読取ユニット20の読み取り動作に伴う荷重変動による支持体50の歪みが抑制され、結果的に画像読取ユニット20の水平状態が安定的に維持されて読み取り精度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0096】
上記実施例の画像形成装置は、複写機あるいはファクシミリなどに適用することができると共に、複写機、ファクシミリ、プリンタ、スキャナなどとして使用される複合機にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
10 画像形成装置
20 画像読取ユニット
22 スキャナ面
30 画像形成ユニット
32 上部取付部
40 排紙空間
50 支持体
52 第1の支持部
54 第2の支持部
55 凹部
56a〜56c、57、59 締結凹部
60 操作部
70 フレーム構造体
72 前側垂直フレーム
74 後側垂直フレーム
74a 垂直壁
74b 上面
74c 左側面
74d 下面
74e 右側面
74f 凹部空間
76 左側板フレーム
77 段部
78 右側板フレーム
79 取付孔
80 電装ボックス
100 補強部材
102、104 接続部
110a〜110e 載置ポイント
120 通気路
130 弾性部材
200 支持機構
210 支持部(第1の固定部)
210A、210B 腕部
212A、212B 軸受け孔
220 固定ベース(第2の固定部)
221 締結ネジ
222 締結用孔
224 非円形凹部
226 取付用ネジ孔
230 ヒンジユニット
230A 第1のヒンジ
230B 第2のヒンジ
232 嵌合部
233 壁部
234 回動規制部
236、237 円弧状貫通穴
238、239 ネジ
240 第1のトルクヒンジ
242 樹脂製ハウジング
243 突出部
244 金属シャフト
246 係合部
250 第2のトルクヒンジ
252 樹脂製ハウジング
254 金属シャフト
256 鍔部
258 係合部
260、270 止めネジ
300 固定構造
310 上部支持部
320 ネジ孔
330 鍔付きネジ
340 下部支持部
350 かしめピン
400A、400B、500 支持体補強部
410、510 垂直突出部
420、520 水平連結部
430 溝
440、470、540 締結ネジ
450 軸
530 凹部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特許3981230号公報
【特許文献2】特開平9−15923号公報
【特許文献3】特許2846435号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成ユニットの上部に画像読取ユニットを載置し、前記画像形成ユニットと前記画像読取ユニットとの間に排紙空間を有する画像形成装置において、
前記画像形成ユニットの上部に少なくとも前記排紙空間の二方向の側面を囲むように形成された支持体を設け、
前記支持体を介して前記画像読取ユニットを前記画像形成ユニットの上部に固定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持体は、前記排紙空間の一辺に対向するように延在形成された第1の支持部と、前記第1の支持部と直交し、且つ前記排紙区間の他辺に対向するように延在形成された第2の支持部とを有し、
前記第1の支持部及び前記第2の支持部は、前記画像形成ユニットの垂直方向の荷重を受ける垂直フレーム上に配されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像読取ユニットは、前記画像形成ユニットの上部よりも小さく形成されており、少なくとも前記画像形成ユニットの後部側に所定距離ずらした位置で前記支持体上に固定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記支持体は、樹脂材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支持体は、一体成型されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記支持体は、金属材からなる補強部材を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記支持体は、前記排紙空間と外部との間を連通する通気路を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成ユニットは、前記垂直フレームの下部に弾性部材を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置であって、
入力操作を行う操作部と、
前記画像形成ユニットの上部に設けられ、前記操作部を上下方向及び水平方向の各方向に回動可能に支持する支持機構と、
前記操作部を任意の回動位置に保持するトルク発生部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記支持機構は、
前記操作部の後面側に固定される第1の固定部と、
前記画像形成ユニットの上部に固定される第2の固定部と、
前記第1の固定部及び前記第2の固定部に対し上下方向及び水平方向に回動可能に連結されるヒンジユニットと、
を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ヒンジユニットは、
前記第1の固定部に対して上下方向に回動可能に連結される第1のヒンジと、
前記第2の固定部に対して水平方向に回動可能に連結される第2のヒンジと、
を有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1のヒンジは、前記第1の固定部を水平方向に貫通する第1の軸を有し、当該第1の軸により前記ヒンジユニットを水平方向に回動可能に支持することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2のヒンジは、前記第2の固定部を垂直方向に貫通する第2の軸を有し、当該第2の軸により前記ヒンジユニットを水平方向に回動可能に支持することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記ヒンジユニットは、前記第2のヒンジの下面を前記第2の固定部の上面に対し、一定間隔の隙間を介して対向配置されることを特徴とする請求項11乃至13の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ヒンジユニットを前記第2の固定部の上面に対し、一定圧力で保持されるように締結する締結部材を有することを特徴とする請求項11乃至14の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ヒンジユニットは、前記第1、第2のヒンジのそれぞれに前記トルク発生部を有し、前記操作部が各方向に回動操作されると共に、前記操作部を当該回動位置に保持することを特徴とする請求項11乃至15の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置であって、
入力操作を行う操作部と、
前記画像形成ユニットの上部に設けられ、前記操作部を回動可能に支持する支持機構と、
前記支持体の端部に設けられ、前記画像形成ユニットのフレーム上部に当接し、前記支持体に作用する荷重による歪みを抑制するように形成された支持体補強部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
前記支持体補強部は、
前記支持体と一体に形成され、複数の突出部がU字形状または四角形状を形成することを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記支持体補強部は、
前記支持体の端面より外側に突出する一対の垂直突出部と、
前記一対の垂直突出部を連結する水平連結部とを有することを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記操作部は、前記支持体の上面に横架された軸により回動可能に支持され、
前記支持体の上面には、前記軸と直交する方向に延在する固定部材が複数の締結部材により締結され、
前記複数の締結部材は、前記軸の前側と後側の各位置のそれぞれを締結することを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【公開番号】特開2012−185462(P2012−185462A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71099(P2011−71099)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】