説明

画像形成装置

【課題】 延長トレイの位置を自由に変更することができ、かつ、自動的に延長トレイを収納可能とすることでユーザの使い勝手を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 筐体の開口部を覆うとともに、筐体に対して水平な軸線の周りに回転可能であり、かつ、開口部を開放した状態で用紙を載置することが可能なカバートレイ7と、カバートレイ7に設けられ、その用紙が載置される載置面7Bとほぼ平行な方向において収納位置と延長位置との間で変位可能な延長トレイ9と、延長トレイ9を常に収納位置に向けて付勢するコイルバネ11と、延長トレイ9のコイルバネ11による付勢方向への動きを複数段階で規制するロック機構と、カバートレイ7が閉じられる作動に連動してロック機構による規制を解除するロック解除機構とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、装置筐体に対して回転して開いた際に用紙を載置可能な給紙トレイを装置筐体の側面に設けるとともに、給紙トレイの回転作動に連動して給紙トレイの回転軸と直交する方向に伸縮する延長トレイを給紙トレイに設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−180048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置では、給紙トレイの回転に連動して常に同じ位置に延長トレイが延長されてしまうので、様々なサイズの用紙を載置することができず、ユーザの使い勝手がよくないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、延長トレイの位置を自由に変更することができ、かつ、自動的に延長トレイを収納可能とすることでユーザの使い勝手を向上させることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、用紙に画像を形成する画像形成部(5)と、用紙を画像形成部(5)に給紙するための開口(3A)が設けられた装置筐体(3)と、開口(3A)を覆うとともに、装置筐体(3)に対して水平な軸線の周りに回転可能であり、かつ、開口(3A)を開放した状態で用紙を載置することが可能なカバートレイ(7)と、カバートレイ(7)に設けられ、その用紙が載置される載置面(7B)とほぼ平行な方向において収納位置と延長位置との間で変位可能な延長トレイ(9)と、延長トレイ(9)を常に収納位置に向けて付勢する第1弾性部材(11)と、延長トレイ(9)の弾性部材(11)による付勢方向への動きを複数段階で規制するロック機構(9B、13、13A、17)と、カバートレイ(7)が閉じられる作動に連動してロック機構(9B、13、13A、17)による規制を解除するロック解除機構(15、15B、3B)とを具備することを特徴とする。
【0007】
これにより、本願発明では、延長トレイ(9)を延長位置側に変位させる場合には、ユーザが手動にて行うこととなるので、ユーザが使う用紙サイズに応じてユーザが必要な量だけ延長トレイ(9)を延長位置側に変位させることができる。
【0008】
また、延長位置側に変位した延長トレイ(9)は、ユーザによるカバートレイ(7)を閉じる動作に連動して収容位置に変位するので、ユーザは、別途、延長トレイ(9)を収納位置側に変位させる動作をする必要がなく、ユーザの使い勝手が向上する。
【0009】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る開いた状態のカバートレイ7の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る開いた状態のカバートレイ7の上面図である。
【図5】(a)は図3のA部拡大図であり、(b)は図5(a)のA−A断面図である。
【図6】(a)〜(c)は図4のA−A断面におけるロック爪13Aとラック9Bとの係合状態変化を示す図であり、(d)〜(f)は図4のB−B断面における当接突起部15B、カム突起部3B及びカバートレイ7の作動を示す図である。
【図7】(a)は図3のB部拡大図であり、(b)は図3のC部拡大図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る開いた状態のカバートレイ7の上面図である。
【図9】(a)は本発明の第2実施形態に係る回転軸50の斜視図であり、(b)は本発明の第2実施形態に係る回転操作棒15の斜視図であり、(c)は回転軸50と回転操作棒15とを係合させた状態を示す斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は図8のA−A断面におけるロック爪13Aとラック9Bとの係合状態変化を示す図であり、(d)〜(f)は図8のB−B断面における突出部13D、15D及びカバートレイ7の作動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態はモノクロ方式の画像形成装置に本発明を適用したものであり、以下に本実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.画像形成装置の概要
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等の記録シート(以下、用紙という。)に画像を形成する電子写真方式の画像形成部5が収納されており、この画像形成部5は、感光ドラム5Aに担持された現像剤像(トナー像)を用紙に転写することにより用紙に画像を形成する。
【0012】
また、筐体3の水平方向一端側(本実施形態では、前面側)には、図2に示すように、画像形成部5に用紙を給紙するための開口部3Aが設けられている。この開口部3Aを覆うカバートレイ7は、筐体3の下端側に設定された回転軸7Aを揺動中心として開口部3Aを覆うように閉塞する位置と開口部3Aを開放する位置との間で揺動回転できる。
【0013】
なお、以下、開口部3Aが開放された状態(図1の二点鎖線で示す状態)をカバートレイ7Bが開いた状態といい、開口部3Aが覆われた状態(図1の実線で示す状態)をカバートレイ7が閉じた状態という。因みに、回転軸7Aは、その軸方向が開口部3Aの開口方向(本実施形態では、前後方向)に対して直交する水平方向と一致するように設定されている。
【0014】
そして、開いた状態のカバートレイ7の上面には、画像形成部5に給紙される用紙を載置するための載置面7Bが設定されており、この載置面7Bには、回転軸7Aから離れる方向に変位可能な延長トレイ9がカバートレイ7の軸方向中央に設けられている。
【0015】
延長トレイ9は、その移動方向に延びる帯板状に構成されたものであって、延長トレイ9全体がカバートレイ7に重なる収納位置(例えば、図1の実線で示す位置)と、延長トレイ9の少なくとも一部がカバートレイ7からずれた延長位置(例えば、図1の二点鎖線で示す位置)との間でカバートレイ7(載置面7B)に対して平行移動することができる。
【0016】
そして、延長トレイ9の回転軸7Aに対して離れた側の端部である離隔側の端部には、図1に示すように、載置面7Bから直角に立ち上がる方向に突出し、給紙される用紙の給紙方向後端と接触可能なリアガイド面9Aが設けられている。
【0017】
一方、延長トレイ9の離隔側と反対側である収納位置側の端部には、図3及び図4に示すように、延長トレイ9を回転軸7A側に変位させる弾性力を延長トレイ9に作用させるコイルバネ11が設けられており、このコイルバネ11は、その軸方向一端が延長トレイ9の収納位置側端部に連結され、軸方向他端がカバートレイ7のうち回転軸7A側に連結されている。つまり、延長トレイ9はコイルバネ11によって常に収容位置に向けて付勢されている。
【0018】
2.ロック機構及びロック解除機構
ロック機構とは、コイルバネ11による延長トレイ9の動きを複数段階で規制するための機構であり、ロック解除機構は、ロック機構による規制を解除するための機構である。以下、その詳細を説明する。
【0019】
延長トレイ9の変位方向と直交する方向かつ水平方向である幅方向の一端側には、図5(a)〜図5(b)に示すように、延長トレイ9の変位方向に沿って離隔側から収納位置側に延びるラック9Bが一体構成されている。このラック9Bには、延長トレイ9の変位方向に沿って複数の凸部及び凹部が形成されている。
【0020】
そして、カバートレイ7のうちラック9Bに対応し、延長トレイ9と対向する位置には、図4に示すように、延長トレイ9の変位方向と平行に、延長トレイ9から回転軸7A側に延びるロック操作棒13が設けられており、このロック操作棒13は、その延び方向を回転中心軸線として回転できるようにカバートレイ7に組み付けられている。
【0021】
また、ロック操作棒13の延び方向における延長トレイ9側には、図5(a)〜図5(b)に示すように、ラック9Bと係合可能な係合突起部をなすロック爪13Aが設けられており、本実施形態では、ロック爪13Aとロック操作棒13とは樹脂にて一体形成されている。
【0022】
このため、ロック爪13Aは、図6(a)〜図6(c)に示すように、ロック操作棒13の回転に連動してラック9Bと係合した係合位置(図6(a)の位置)と係合が解除された解除位置(図6(b)又は図6(c)の位置)との間で回転変位する。
【0023】
つまり、ロック爪13Aがラック9Bの凸部又は凹部と係合することで、コイルバネ11の弾性力に対抗して延長トレイ9が収容位置側に移動することを規制する。一方、ロック爪13Aが解除位置にある場合には、コイルバネ11の弾性力により延長トレイ9が収容位置まで移動するとともに、延長トレイ9が収容位置にある状態が保持される。
【0024】
また、ロック操作棒13の延び方向における回転軸7A側端部には、図7(a)に示すように、後述する回転操作棒15の長手方向一端に設けられた傘歯車15Aに噛み合う傘歯車13Bが設けられている。ロック操作棒13と回転操作棒15とは傘歯車13B、15Aを介して連結されており、この傘歯車13B、15Aによってカバートレイ7の閉じる方向への回転をロック操作棒13に伝達する。
【0025】
また、回転操作棒15は、図4に示すように、カバートレイ7の回転軸線と平行な方向に延びた回転操作部材であって、カバートレイ7に回転可能に支持されている。
そして、回転操作棒15の長手方向他端側には、図7(b)に示すように、装置本体(筐体3)側に設けられたカム突起部3B側に突出する当接突起部15Bが一体形成されている。この当接突起部15Bは、図6(d)〜図6(f)に示すように、カバートレイ7の閉作動に対して、回転操作棒15の回転を抑制する。
【0026】
また、回転操作棒15には、図7(b)に示すように、回転操作棒15に回転力を付与する係合保持バネ17が設けられており、この係合保持バネ17による回転力の向きは、ラック9Bとロック爪13Aとの係合状態を維持するための向きである。つまり、係合保持バネ17は、回転操作棒15及びロック操作棒13を介してロック爪13Aとラック9Bとの係合状態を維持するために開くときのカバートレイ7の回転方向と逆向きの回転力を回転操作棒15に付与している。
【0027】
3.ロック機構及びロック解除機構の作動
<ロック(規制)作動>
ロック爪13Aとラック9Bとが係合すると、上述したように、コイルバネ11の弾性力に対抗して延長トレイ9が収容位置側に移動することを規制されるので、延長トレイ9は変位しない。
【0028】
ところで、ロック爪13Aのラック9B側の面、並びにラック9Bの凸部又は凹部のロック爪13A側の面は、共に滑らかな曲面に構成されているので、カバートレイ7が開いた状態で、収納位置又は延長位置に向けてユーザが延長トレイ9に操作力を及ぼすと、ロック爪13Aはラック9Bの凸部に乗り上げるように変位し、ロック爪13Aとラック9Bとの係合が解除されて延長トレイ9が当該操作力の向きに変位する。
【0029】
しかし、ロック爪13Aには、係合保持バネ17から係合状態を維持するための力が常に作用しているので、ユーザからの操作力が消失すると、直ちにロック爪13Aとラック9Bとが係合状態となり、コイルバネ11による延長トレイ9の動きが複数段階で規制される。
【0030】
<ロック(規制)解除作動>
カバートレイ7が開いた状態から閉じた状態に回転した場合には、図6(d)〜図6(f)に示すように、当接突起部15Bとカム突起部3Bとが接触しているので、回転操作棒15はカバートレイ7と同様に回転することができない。このため、回転操作棒15の回転角がカバートレイ7の回転角より小さくなるので、回転操作棒15はカバートレイ7に対して相対的に回転した状態となる。
【0031】
つまり、カバートレイ7が開いた状態では、当接突起部15Bはカバートレイ7と略平行な状態となっており(図6(d)参照)、この状態では、ロック爪13Aはラック9Bと係合している(図6(a)参照)。
【0032】
そして、カバートレイ7が開いた状態から略90度回転してカバートレイ7が閉じられても、当接突起部15Bがカム突起部3Bと当接するため、回転操作棒15の回転量は90度より小さいため(図6(f)参照)、回転操作棒15がカバートレイ7に対して相対的に回転した状態となる。このため、傘歯車13Bが傘歯車15A周りを回転しながら移動するし、ロック操作棒13が回転するので、ロック爪13Aがラック9Bから離間し、係合状態が解除される(図6(c)参照)。
【0033】
なお、カバートレイ7が閉じた状態から開かれると、回転操作棒15は、係合保持バネ17の弾性力によりカバートレイ7と同様に回転することができず、回転操作棒15の回転角がカバートレイ7の回転角より小さくなるので、回転操作棒15はカバートレイ7に対して相対的に回転した状態となる。このため、傘歯車13Bが傘歯車15A周りを回転しながら移動し、ロック操作棒13が回転するので、ロック爪13Aがラック9B側に移動し、係合状態となる。
【0034】
4.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
上述したように、本実施形態では、延長トレイ9を延長位置側に変位させる場合には、ユーザが手動にて行うこととなるので、ユーザが使う用紙サイズに応じてユーザが必要な量だけ延長トレイ9を延長位置側に変位させることができる。
【0035】
また、延長位置側に変位した延長トレイ9は、ユーザによるカバートレイ7を閉じる動作に連動して収容位置に変位するので、ユーザは、別途、延長トレイ9を収納位置側に変位させる動作をする必要がなく、ユーザの使い勝手が向上する。
【0036】
また、本実施形態では、ラック9Bには凹凸が設けられているため、普段はロック機構により延長トレイ9の変位が規制(ロック)されていても、必要なときに延長トレイ9を容易に変位させることができるので、ユーザが意図する位置に延長トレイ9を変位させることができる。
【0037】
また、ロック機構の構造が簡素(シンプル)な構成であるので、延長トレイ9を収納位置側又は延長位置側に容易に変位させることができる。
また、本実施形態では、ロック操作棒13を自身の中心軸線の周りに回転させることで、ラック9Bとロック爪13Aとの係合を解除できるので、ロック操作棒13の動作スペースを小さくできる。
【0038】
また、本実施形態では、ロック機構による規制(ロック)を解除するときのみ回転操作棒15を回転させるので、カバートレイ7を開閉操作する際の操作力が過度に大きくなってしまうことを抑制できる。
【0039】
また、本実施形態では、リアガイド面9Aに用紙後端を当てるように接触させることにより、容易に用紙後端を揃えた状態でカバートレイ7に用紙を載置することができる。
すなわち、例えば特許文献1に記載の画像形成装置では、実質的に1種類の用紙サイズしか揃えることができないが、本実施形態では、リアガイド面9Aをユーザの意図した位置とすることができるので、様々なサイズの用紙に対してもリアガイド面を効果的に使用することができる。
【0040】
5.発明特定事項と実施形態との関係
本実施形態では、ロック操作棒13が特許請求の範囲に記載されたロック部材に相当し、回転操作棒15が特許請求の範囲に記載された回転操作部材に相当する。
【0041】
(第2実施形態)
第1実施形態では、傘歯車13B、15Aにより連動機構を構成したが、本実施形態は、図8に示すように、ロック操作棒13及び回転操作棒15それぞれに互いに当接する突出部13D、15D等を設けて連動機構を構成したものである。なお、第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
【0042】
1.連動機構の詳細
本実施形態では、開口部3Aに対して揺動するカバートレイ7を有し、カバートレイ7には延長トレイ9とロック操作棒13と回転操作棒15が設けられている。
【0043】
カバートレイ7は、筐体3に設けられた回転軸50をカバートレイ7の軸穴(図示せず。)に挿入することで筐体3に対して揺動可能に組み付けられている。
回転軸50は、図9(a)に示すように、断面視半円形状になっており、平面部51と円周部52を備えており、その軸方向端部のうち筐体3の右側面側の端部は筐体3と一体形成されている。
【0044】
回転操作棒15は、回転軸50の軸方向に延びる円柱形上の回転操作部材である。図9(b)に示すように、回転操作棒15の回転軸50側の端部は切欠かれた形状になっており、回転軸50の平面部51と面で接触するような切欠き15Cを備えている(図9(c)参照)。
【0045】
回転操作棒15の軸方向端部のうち回転軸50と反対側の端部側には、回転操作棒15の軸方向と直交する向きであって、画像形成装置1の設置面に直交する鉛直方向から延長トレイ9側に傾けた方向に突出する突出部15Dが備えられている。
【0046】
ロック操作棒13の延び方向における回転軸50側の端部には、図8に示すように、ロック操作棒13の回転軸線から離れる方向であって、突出部15D側である右側に向かって画像形成装置1の設置面と平行な水平方向に突出する突出部13Dが備えられている。
【0047】
また、ロック操作棒13の軸方向中央には、係合保持バネ17が備えられている。係合保持バネ17は、ロック爪13Aがラック9Bに向けて回転する向きにロック操作棒13を回転させる力を付与しており、カバートレイ7を開いた状態で、突出部13Dが右側に水平に突出する位置に保持している(図10(a)、図10(d)参照)。
【0048】
カバートレイ7を閉じる方向へ揺動させると、ロック操作棒13はカバートレイ7と連動して揺動する。このとき、回転操作棒15の切欠き15Cが平面部51に当接しているため、回転操作棒15は回転せずに固定されたままである(図10(b)、図10(e)参照)。
【0049】
カバートレイ7を揺動させると、カバートレイ7を閉じた状態に移動する途中でロック操作棒13の突出部13Dと回転操作棒15の突出部15Dとが当接する。突出部13D,15Dが当接した後さらにカバートレイ7を揺動させると、ロック操作棒13は、突出部13Dを突出部15Dに押されながら揺動することになる。これによって、突出部13Dはロック操作棒13の軸を中心として右向きの回転力を突出部15Dから受けるので、ロック操作棒13が右回転し、ロック爪13Aのラック9Bへの係合状態を解除する(図10(c)、図10(f)参照)。
【0050】
2.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、ロック操作棒13及び回転操作棒15それぞれに互いに当接する突出部13D、15Dを備え、カバートレイ7を閉じる回転に連動させて、突出部13Dに回転力を与え、ロック爪13Aの係合を解除する構成となっている。
【0051】
これにより、カバートレイ7を閉じる動作によって、カバートレイ7に対して延長させた延長トレイ9を収納させることができ、ユーザが延長トレイ9を収納する動作をする必要がない。
【0052】
また、連動機構としてロック操作棒13と回転操作棒15とに互いに当接する突出部13D、15Dを備えるだけなので、簡素な構成で連動機構を構成することができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、当接突起部15Bがカム突起部3Bと当接して回転操作棒15の回転を抑制するものを記載したが、本発明では、当接突起部15Bが装置筐体3もしくは、画像形成装置1の設置面に当接することで回転操作棒15の回転を抑制する構成としてもよい。
【0053】
また、上述の実施形態では、ラック9Bを延長トレイ9に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ロック操作棒13(ロック部材)にラック9Bを設け、延長トレイ9にロック爪13Aを設けてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、連動機構として傘歯車13B、15Aを使用したものを記載したが、連動機構としてロック操作棒13と回転操作棒15の互いに軸の位置が異なる歯車を備えることによって、ロック操作棒13に設けられた歯車を回転操作棒に設けられた歯車の周方向沿って回転させながら移動させ、ロック操作棒13自体をカバートレイ7に対して持ち上げるように構成してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態に示されたロック機構及びロック解除機構は、これらの一例であり、上述の実施形態に示された構成に限定されるものではない。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1…画像形成装置、3…筐体、3A…開口部、3B…カム突起部、5…画像形成部、
7…カバートレイ、7A…回転軸、7B…載置面、9…延長トレイ、
9A…リアガイド面、9B…ラック、11…コイルバネ、13…ロック操作棒、
13A…ロック爪、13B…傘歯車、15…回転操作棒、15A…傘歯車、
15B…当接突起部、17…係合保持バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
用紙を前記画像形成部に給紙するための開口が設けられた装置筐体と、
前記開口を覆うとともに、前記装置筐体に対して水平な軸線の周りに回転可能であり、かつ、前記開口を開放した状態で用紙を載置することが可能なカバートレイと、
前記カバートレイに設けられ、その用紙が載置される載置面とほぼ平行な方向において収納位置と延長位置との間で変位可能な延長トレイと、
前記延長トレイを常に前記収納位置に向けて付勢する第1弾性部材と、
前記延長トレイの前記弾性部材による付勢方向への動きを複数段階で規制するロック機構と、
前記カバートレイが閉じられる作動に連動して前記ロック機構による規制を解除するロック解除機構と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記延長トレイの変位方向とほぼ平行であって、前記延長トレイと対向するロック部材と、
前記延長トレイの変位方向に沿って複数の凸部及び凹部を有するラックと、
前記ラックの前記凸部又は凹部に係合することで前記延長トレイが前記収容位置側に移動することを規制するロック爪とからなり、
前記延長トレイには前記ラック又は前記ロック爪のいずれか一方が備えられ、
前記ロック部材には、前記ラック又は前記ロック爪のいずれか他方が備えられており、
前記ロック解除機構は、前記延長トレイ及び前記ロック部材のうちいずれか一方を、前記ラックと前記ロック爪との係合を解除する方向に操作することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記変位方向と平行に延びる自身の中心軸線の周りに回転可能であり、
前記ロック部材が回転することによって、前記ラックと前記ロック爪との係合が解除されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ロック解除機構は、
前記カバートレイの回転軸と平行な方向に延び、前記カバートレイに対して回転可能な回転操作部材と、
前記回転操作部材に備えられ、前記カバートレイを閉じるときに前記装置筐体または前記装置筐体の設置面と当接する当接部と、
前記カバートレイの閉じる方向への回転を前記ロック部材に伝達することで前記ロック部材を回転させる連動機構と、を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連動機構は、
前記ロック部材の前記ラックまたは前記ロック爪が設けられた一端の反対側に設けられ、前記ロック部材の中心軸から遠ざかる方向に突出する第1突出部と、
前記回転操作部材に設けられ、前記第1突出部に向けて突出する第2突出部と、を備え、
前記カバートレイを閉じる方向への回転によって、前記第1突出部と前記第2突出部が当接し、前記ロック部材を回転させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ロック部材に設けられ、前記ラックと前記ロック爪とが係合する方向に前記ロック部材を回転させる力を付与する第2弾性部材を有することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記連動機構は、
前記ロック部材の前記ラック又は前記ロック爪が設けられた一端の反対側の他端に設けられる第1歯車と、
前記回転操作部材に備えられ、前記第1歯車と噛合う第2歯車であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置
【請求項8】
前記第1歯車および前記第2歯車は、傘歯車であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記回転操作部材または前記ロック部材の少なくとも一方に設けられ、前記ラックと前記ロック爪とが係合する方向に前記ロック部材を回転させる力を付与する第2弾性部材を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記延長トレイには前記載置面から直角に立ち上がる方向に突出し、用紙の給紙方向後端と接触可能なリアガイド面が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188233(P2012−188233A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53155(P2011−53155)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】