説明

画像形成装置

【課題】装置の大型化・重量化を招くことなく用紙のカールを矯正する。
【解決手段】定着装置1の用紙搬送方向下流で搬送路を第1搬送路71と第2搬送路72とに分岐させ、分岐点に切換え爪73を設ける。第1搬送路71と第2搬送路72とは上下方向に対向するように形成し、第1搬送路71と第2搬送路72との間にはダクト74を設ける。ダクト74の、第1搬送路71及び第2搬送路72に面する側面には通風孔741及び通風孔742を形成する。そして、ダクト74に冷却ファンから空気を供給して通風孔741及び通風孔742から吹き出させて、通過する用紙Pを冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、より詳細には、定着装置を通過した用紙に生じるカールを矯正する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体を一様に帯電させる帯電装置と、感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像をトナーによって可視像化する現像装置、感光体上のトナー画像を用紙に転写させる転写装置と、用紙上のトナー像を加熱・加圧することによって用紙に定着させる定着装置とを備える。ここで、一般的に使用される定着装置は、圧接した一対のローラのニップ部に用紙を通過させて加熱・加圧を行い、トナー画像を用紙に溶融定着するものである。
【0003】
トナー画像を用紙に溶融定着させると、トナーの収縮などによって用紙に反り(以下、「カール」と記すことがある)が生じる。カールした用紙が排紙トレイ等に排出されると積載不良が生じ、排紙トレイ等から用紙が落下することもある。さらには、排出された用紙によって、後続の用紙の排出が妨げられて用紙の詰まりが発生することもある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、カール検出部によって用紙のカール方向とカール量を検出し、検出結果に基づいて用紙の表裏の冷却を調整して用紙のカールを矯正する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-128839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記提案技術では、用紙のカール方向とカール量を検出するための光学検出手段及び用紙を冷却するための冷却ファンとダクト等が必要であり、装置の大型化・重量化を招くおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置の大型化・重量化を招くことなく用紙のカールを矯正できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、回転自在の静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電装置と、一様に帯電した静電潜像担持体の表面を露光し静電潜像担持体に潜像を形成する露光装置と、静電潜像担持体上に形成された潜像をトナーで可視像化する現像装置と、形成されたトナー画像を用紙に転写する転写装置と、転写されたトナー画像を加熱し用紙に溶融定着させる定着装置とを備えた画像形成装置であって、画像形成の入力条件から用紙のカール状態を予測するカール予測手段と、前記定着装置よりも用紙搬送方向下流側で分岐する、用紙の画像形成面側を冷却する第1搬送路及び用紙の非画像形成面側を冷却する第2搬送路と、用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換える切り換え手段とをさらに備え、前記カール予測手段によって予測された用紙のカール状態によって用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換えて用紙のカールを矯正することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0009】
ここで、第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に冷却手段を設けてもよい。この場合、冷却手段は、第1搬送路と第2搬送路とに面するようにそれぞれ通風孔が形成されたダクトと、ダクトに空気を送る冷却ファンとから構成されるものであってもよい。あるいは、第1搬送路と第2搬送路とに面した金属で構成された放熱部材であってもよい。
【0010】
また、用紙のカールをより効果的に矯正する観点からは、第1搬送路を、通過する用紙の画像形成面側が内側となる湾曲形状とし、第2搬送路を、通過する用紙の非画像形成面側が内側となる湾曲形状とするのが好ましい。
【0011】
そしてまた、第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に金属ローラを回動自在に設けると共に、第1搬送路と第2搬送路とにそれぞれニップ部が形成されるように第1ローラと第2ローラとを金属ローラに圧接させて、金属ローラと第1ローラとのニップ部又は金属ローラと第2ローラとのニップ部に用紙を通過させるようにしてもよい。
【0012】
あるいは、第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に、第1搬送路と第2搬送路とに面するように回動自在に無端状ベルトを設けると共に、無端状ベルトの内部に空気を送る冷却ファンを設け、第1搬送路と第2搬送路とにそれぞれニップ部が形成されるように第3ローラと第4ローラとを無端状ベルトに圧接させて、無端状ベルトと第3ローラとのニップ部又は無端状ベルトと第4ローラとのニップ部に用紙を通過させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置では、画像形成の入力条件から用紙のカール状態を予測し、予測された用紙のカール状態によって用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換えて、用紙のカールを矯正するので、装置の大型化・重量化を招くことなく、どちらの方向の用紙のカールについても矯正できる。また、用紙のカールが矯正されるので、排出トレイ等における積載不良を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図2】図1の画像形成装置における定着装置1から排紙口までの概略構成図。
【図3】図1の画像形成装置における第1動作説明図。
【図4】図1の画像形成装置における第2動作説明図。
【図5】本発明に係る画像形成装置の第2実施形態を示す要部断面図。
【図6】本発明に係る画像形成装置の第3実施形態を示す要部断面図。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第4実施形態を示す要部断面図。
【図8】本発明に係る画像形成装置の第5実施形態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0016】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図を示す。図1に示す画像形成装置8は、画像を形成するプリンタ部81と、原稿画像を読み取るイメージリーダ部82と、使用者が画像形成条件を入力したり装置の状態等を表示する操作表示部83とを備える。イメージリーダ部82は、不図示の原稿ガラス板の上に載置された原稿を、スキャナを移動して読み取る公知のもので、不図示のCCDイメージセンサにより電気信号に変換された画像データが得られる。
【0017】
プリンタ部81には、トナー像を担持し、時計回りに回転する円筒状の感光体(静電潜像担持体)Dの周囲に、感光体Dの表面を一様に帯電させる帯電装置2と、感光体D表面に光を照射して静電潜像を形成する露光装置3と、感光体Dにトナーを供給し感光体D上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置4と、現像装置4によって形成された感光体D上のトナー像を用紙Pに転写する転写ローラ(転写装置)5と、用紙Pに転写されずに感光体D上に残留したトナーを除去するクリーニング装置6とが設けられている。
【0018】
帯電装置2は、スコロトロン方式の帯電装置であって、感光体Dに対向する面側が開口した箱状のシールド電極22と、シールド電極22内に張架された放電電極21と、シールド電極22の開口に取り付けられたグリッド電極23とを有する。放電電極21に数kVの電圧が印加されるとコロナ放電が発生し、これに感光体Dの表面が一様に帯電される。なお、帯電装置2の種類は特に限定されるものでなく、ローラ方式の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材等を用いてももちろん構わない。
【0019】
露光装置3は、帯電装置2によって一様に帯電された感光体Dの表面に、例えばパソコンなどの外部装置から入力される画像データに基づいて、選択的に光を照射して露光を行い、感光体Dの表面に所定の静電潜像を形成する。
【0020】
現像装置4は、ハウジング41と、感光体Dに対向し回転可能に設けられた現像ローラ42と、現像ローラ42に向かって現像剤を搬送する搬送ローラ43とを備える。ハウジング41内にはトナーとキャリア(いずれも不図示)とからなる現像剤が収容されている。現像ローラ42に現像バイアス電圧を印加すると、現像ローラ42に印加される電圧と感光体Dの静電潜像との電位差によってトナーが感光体Dに移動し、感光体D上の静電潜像がトナーによって可視像化(トナー画像)される。
【0021】
転写ローラ5は、転写ローラ5に連結された駆動モータ(不図示)によって回転可能に設けられるとともに付勢部材(不図示)によって感光体Dに圧接している。また転写ローラ5には、不図示の電圧印加手段によって、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加される。感光体Dと転写ローラ5との間を用紙Pが通過する際に、転写ローラ5に前記電圧が印加され、感光体Dに形成されたトナー画像が用紙Pに転写する。
【0022】
クリーニング装置6は、感光体Dに圧接するクリーニングブレード61を備え、感光体D表面に残留する未転写トナーを感光体Dから除去する。
【0023】
プリンタ部81の下部には、用紙Pを収納した給紙カセット51がプリンタ部81に対して着脱自在に配置されている。給紙カセット51内に収納された用紙Pは、給紙カセット51の上方側部に配置された給紙ローラ52の回転によって最上紙から順に1枚ずつ搬送路50に送り出される。給紙カセット51から送り出された用紙Pは、レジストローラ対53に搬送され、レジストローラ対53から感光体Dの回転とタイミングを合わせて転写ローラ5と感光体Dとのニップ部に送り出され、前述の通りトナー画像が用紙Pに転写される。
【0024】
さらに、プリンタ部81は、感光体Dから用紙Pに転写されたトナー画像を定着させる定着装置1を備えている。定着装置1は、ハロゲンヒータHを内蔵した定着ローラ11と、定着ローラ11に圧接する加圧ローラ12とを有する。定着ローラ11と加圧ローラ12とのニップ部を用紙Pが通過する際に加熱及び加圧されてトナー画像が用紙Pに溶融定着される。そして、用紙Pは、第1搬送路71又は第2搬送路72を通って排出口55から本体側面の排紙トレイ85に排出される。
【0025】
画像形成装置8は、画像形成装置8に関係する構成要素を総合的に制御する制御装置84を備えており、この制御装置84は、感光体D、現像ローラ42、転写ローラ5、給紙ローラ52、搬送ローラ53及び定着ローラ11などの回転駆動と帯電装置2、露光装置3、現像装置4、ハロゲンヒータHなどの作動を制御する。もちろん、制御装置84の制御動作は、操作表示部83から使用者が入力した設定条件に従って実行される。
【0026】
定着装置1のニップ部を通過した用紙Pにカールが生じることがある。カール方向及びカール量は用紙Pの種類によって様々であるが、トナーの付着状態や用紙の種類によってカール方向を予測することは可能である。例えば、表1に示すように、用紙の種類や坪量が定まれば用紙Pのカール方向がわかる。そこで、本発明では、操作表示部83から入力された用紙の種類や秤量のデータを利用して、カール予測手段841(図1に図示)で用紙のカール方向を予測し、予測されたカール方向によって用紙Pを通過させる搬送路を選択し、当該搬送路を通過させることによって用紙のカールを矯正するようにした。なお、カール予測手段841に予め入力されていない用紙を使用する場合などには、試しの画像形成を行って用紙のカール方向を確認した上で、操作表示部83から搬送路を選択決定するようにしてもよい。
【0027】
【表1】

【0028】
図2に、図1の画像形成装置における定着装置1から排紙口55までの概略構成図を示す。定着装置1の用紙搬送方向下流で、搬送路は第1搬送路71と第2搬送路72とに分岐し、その分岐点には、切換え爪(切換え手段)73が軸731を中心として揺動可能に設けられている。第1搬送路71と第2搬送路72とは上下方向に対向するように形成され、排出口55の手前で両搬送路は再び合流する。第1搬送路71と第2搬送路72との間にはダクト(冷却手段)74が形成されている。ダクト74の、第1搬送路71及び第2搬送路72に面する側面にはそれぞれ通風孔741及び通風孔742が形成されている。そして、ダクト74には冷却ファン(不図示)が接続されている。冷却ファンの設置位置に特に限定はなく、他の部分を冷却するファンを利用しても構わない。
【0029】
第1搬送路71と第2搬送路72との間のダクト74よりも用紙搬送方向下流側には、正転及び逆転自在の可逆ローラ54が設けられている。そして、第1搬送路71及び第2搬送路72にそれぞれニップ部が形成されるように、従動ローラ541及び従動ローラ542が可逆ローラ54に圧接している。可逆ローラ54は、第1搬送路71を用紙Pが搬送する場合は時計回りに回転し、第2搬送路72を用紙Pが搬送する場合は反時計回りに回転する。この可逆ローラの回転制御は、切換え爪73の切換え制御と連動して行われる。
【0030】
このような構成の画像形成装置において、例えば、用紙として坪量151g/m以上の上質紙を用いた場合、表1から画像形成面が凹面となるカールが生じることが予想される。そこでこの場合には、図3に示すように、切換え爪73を第1搬送路71を封鎖し、第2搬送路72を開放する位置に揺動させて、定着装置1を通過した用紙Pを第2搬送路72へ導く。第2搬送路72では、ダクト74の通風孔742から空気が吹き出して用紙Pの非画像形成面を積極的に冷却する。これにより、用紙Pの非画像形成面が収縮し、画像形成面での収縮と均衡して用紙Pのカールが矯正される。
【0031】
逆に、非画像形成面が凹面となるカールが生じることが予想される場合には、図4に示すように、切換え爪73を第2搬送路72を封鎖し、第1搬送路71を開放する位置に揺動させて、定着装置1を通過した用紙Pを第1搬送路71へ導く。第1搬送路71では、ダクト74の通風孔741から空気が吹き出して用紙Pの画像形成面を積極的に冷却する。これにより、用紙Pの画像形成面が収縮し、非画像形成面での収縮と均衡して用紙Pのカールが矯正される。
【0032】
なお、図3及び図4に示した実施形態では、通風孔741及び通風孔742から常に空気を噴出させていたが、通風孔741及び通風孔742にシャッターを設けて、用紙Pが通過しない搬送路側の通風孔を塞ぎ、用紙Pが通過する搬送路側の通風孔のみから空気を噴出させる構成としてもよい。かかる構成によれば、冷却ファンをより小型にすることが可能となる。シャッターによる通風孔の開閉は、切換え爪73の切換えと連動して行えばよい。
【0033】
また、図5に示すように、第1搬送路71を、通過する用紙Pの画像形成面側が内側となる湾曲形状とし、第2搬送路72を、通過する用紙の非画像形成面側が内側となる湾曲形状として用紙Pのカールをより効果的に矯正するようにしてもよい。すなわち、第1搬送路71には、画像形成面側が凸にカールした用紙が搬送されるので、第1搬送路71の形状を非画像形成面側が凸に湾曲した形状とすることによって、用紙Pにはカールを矯正する方向の力が加わる。同様に、第2搬送路72には、非画像形成面側が凸にカールした用紙Pが搬送されるので、第2搬送路72の形状を画像形成面側が凸に湾曲した形状とすることによって、用紙Pにはカールを矯正する方向の力が加わる。このように、通風孔741及び通風孔742から吹き出す空気による冷却と共に、搬送路の形状による機械的な外力を用紙Pに加えると、用紙Pのカールはより効果的に矯正されるようになる。
【0034】
図6に、本発明に係る画像形成装置の第3実施形態例を示す。この図に示す画像形成装置が、図2に示した画像形成装置と異なる点は、第1搬送路71と第2搬送路72の間に、ダクト74(図2に図示)に替えて放熱部材(冷却手段)75を設けた点にある。放熱部材75の上面と下面とは、第2搬送路72と第1搬送路71とにそれぞれ臨んでいる。放熱部材75は中空構造で伝熱性の高い金属材料で構成されており、内部には放熱フィン751が形成されている。放熱部材75の表面から吸収した熱は、内部に伝わり放熱フィン751から放熱される。
【0035】
このような構成の画像形成装置において、第1搬送路71では用紙Pの画像形成面を接触冷却し、第2搬送路72では用紙Pの非画像形成面を接触冷却する。これにより、前記実施形態と同様に、用紙Pの、放熱部材75と接触した面が収縮して、他方側面の収縮と均衡して用紙Pのカールが矯正される。
【0036】
図7に、本発明に係る画像形成装置の第4実施形態例を示す。この図に示す画像形成装置では、第1搬送路71と第2搬送路72との間に正転・逆転可能な金属ローラ76が設けられている。そして、第1搬送路71及び第2搬送路72にそれぞれニップ部が形成されるように第1ローラ77a及び第2ローラ77bが金属ローラ76に圧接している。なお、第1ローラ77a及び第2ローラ77bは、金属ローラ76に比べて熱伝導率の低い素材で形成されている。
【0037】
このような構成の画像形成装置において、第1搬送路71では、用紙Pの画像形成面が金属ローラ76と接触してより早く冷却され、第2搬送路72では、用紙Pの非画像形成面が金属ローラ76と接触してより早く冷却される結果、金属ローラ76と接触した面が収縮して、他方側面の収縮と均衡して用紙Pのカールが矯正される。なお、金属ローラ76の回転制御は切換え爪73の切換え制御と連動して行われ、第1搬送路71に用紙Pが搬送されるときは、金属ローラ76は時計回りに回転し、第2搬送路72に用紙Pが搬送されるときは反時計回りに回転する。また、金属ローラ76を中空構造とし、金属ローラ76の中を冷却空気が流れる構成として、金属ローラ76の冷却効果をより高いものとしてもよい。
【0038】
図8に、本発明に係る画像形成装置の第5実施形態例を示す。この図に示す画像形成装置では、第1搬送路71と第2搬送路72との間に無端状ベルト78が設けられている。無端状ベルト78は、ローラ791とローラ792との間に正転・逆転可能に張架され、第1搬送路71及び第2搬送路72の搬送面の一部をなしている。そして、第1搬送路71及び第2搬送路72にそれぞれニップ部が形成されるように第3ローラ77c及び第4ローラ77dが無端状ベルト78に圧接している。そして、無端状ベルト78の内部には不図示の冷却ファンから空気が供給される。
【0039】
このような構成の画像形成装置において、第1搬送路71では、用紙Pの画像形成面が無端状ベルト78に接触して冷却され、第2搬送路72では、用紙Pの非画像形成面が無端状ベルト78に接触して冷却される。この結果、用紙Pの、無端状ベルト78に接触した面が収縮して、他方側面の収縮と均衡して用紙Pのカールが矯正される。なお、無端状ベルト78の回転制御は切換え爪73の切換え制御と連動して行われ、第1搬送路71に用紙Pが搬送されるときは、無端状ベルト78は時計回りに回転し、第2搬送路72に用紙Pが搬送されるときは反時計回りに回転する。
【0040】
なお、図7及び図8に示した実施形態では、金属ローラ76や無端状ベルト78によっても用紙Pが搬送されるので、可逆ローラ54及びこれに圧接する従動ローラ541と従動ローラ542とは設けなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の画像形成装置では、画像形成の入力条件から用紙のカール状態を予測し、予測された用紙のカール状態によって用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換えて、用紙のカールを矯正するので、装置の大型化・重量化を招くことなく、どちらの方向の用紙のカールについても矯正でき有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 定着装置
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置(転写ローラ)
8 画像形成装置
D 静電潜像担持体(感光体)
P 用紙
71 第1搬送路
72 第2搬送路
73 切換え手段
74 ダクト(冷却手段)
75 放熱部材(冷却手段)
76 金属ローラ
77a 第1ローラ
77b 第2ローラ
77c 第3ローラ
77d 第4ローラ
78 無端状ベルト
741,742 通風孔
841 カール予測手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在の静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電装置と、一様に帯電した静電潜像担持体の表面を露光し静電潜像担持体に潜像を形成する露光装置と、静電潜像担持体上に形成された潜像をトナーで可視像化する現像装置と、形成されたトナー画像を用紙に転写する転写装置と、転写されたトナー画像を加熱し用紙に溶融定着させる定着装置とを備えた画像形成装置であって、
画像形成の入力条件から用紙のカール状態を予測するカール予測手段と、
前記定着装置よりも用紙搬送方向下流側で分岐する、用紙の画像形成面側を冷却する第1搬送路及び用紙の非画像形成面側を冷却する第2搬送路と、
用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換える切り換え手段とをさらに備え、
前記カール予測手段によって予測された用紙のカール状態によって用紙の搬送先を第1搬送路と第2搬送路とに切り換えて用紙のカールを矯正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に冷却手段を設けた請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却手段が、第1搬送路と第2搬送路とに面するようにそれぞれ通風孔が形成されたダクトと、ダクトに空気を送る冷却ファンとから構成される請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却手段が、第1搬送路と第2搬送路とに面した金属で構成された放熱部材である請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1搬送路を、通過する用紙の画像形成面側が内側となる湾曲形状とし、第2搬送路を、通過する用紙の非画像形成面側が内側となる湾曲形状とした請求項2〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に金属ローラを回動自在に設けると共に、第1搬送路と第2搬送路とにそれぞれニップ部が形成されるように第1ローラと第2ローラとを金属ローラに圧接させて、金属ローラと第1ローラとのニップ部又は金属ローラと第2ローラとのニップ部に用紙を通過させる請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
第1搬送路と第2搬送路とを対向するように形成し、第1搬送路と第2搬送路との間に、第1搬送路と第2搬送路とに面するように回動自在に無端状ベルトを設けると共に、無端状ベルトの内部に空気を送る冷却ファンを設け、第1搬送路と第2搬送路とにそれぞれニップ部が形成されるように第3ローラと第4ローラとを無端状ベルトに圧接させて、無端状ベルトと第3ローラとのニップ部又は無端状ベルトと第4ローラとのニップ部に用紙を通過させる請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194246(P2012−194246A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56499(P2011−56499)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】