説明

画像形成装置

【課題】 用紙後端部にて発生する画像の乱れを良好に抑制すること。
【解決手段】 本発明の転写装置は、転写ローラと案内部材と案内部材支持フレームと突出支持部材とを備えている。案内部材は、側断面視にて薄板状で可撓性の部材であって、転写部位に記録媒体を案内するように、転写部位よりも記録媒体の搬送経路における上流側であって、搬送経路よりも転写ローラ側に設けられている。突出支持部材は、案内部材を通過した記録媒体の後端を支持するように、搬送経路における転写部位と案内部材との間にて案内部材支持フレームに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の周面上に担持された現像剤を、搬送中の記録媒体に転写するように構成された、転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザープリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、現像剤像(トナー像)を担持する像担持体(感光体ドラム)と、当該像担持体から現像剤像を静電的に引き寄せるための転写バイアスが印加される転写ローラとが、互いに当接した状態で設けられている。そして、かかる画像形成装置は、像担持体と転写ローラとの間を用紙が通過する際に、現像剤像を転写ローラ側に引き寄せて用紙に転写することで、用紙上に画像を形成するようになっている。
【0003】
ところで、このような画像形成装置においては、像担持体と転写ローラとが当接する部位よりも用紙搬送方向における上流側にて、像担持体と用紙とが離れていると、それらの間に生じる放電によって現像剤が飛散することで画像が汚れるという問題が生じる。そこで、この問題に対処するために、上述の部位よりも用紙搬送方向における上流側に、用紙を像担持体側へ寄せるための案内板を設ける、という提案が、従来なされている(例えば特開2003−5535号公報等参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置において、案内板を用紙後端が通過した直後に、用紙がその剛性により急激に像担持体から離れることで、当該用紙後端の近傍部分にて画像の乱れが発生することがあった。本発明は、このような課題に対処するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の転写装置は、像担持体の周面上に担持された現像剤を、搬送中の記録媒体に転写するように構成されている。具体的には、かかる転写装置は、転写ローラと、案内部材と、案内部材支持フレームと、を備えている。
【0006】
前記転写ローラは、前記現像剤を前記像担持体の前記周面から前記記録媒体に転写するために前記像担持体と対向配置されていて、前記記録媒体の搬送と同期して回転するように設けられている。前記案内部材は、側断面視にて薄板状で可撓性の部材であって、転写部位(前記像担持体と前記転写ローラとが最近接しつつ対向する部位:典型的には前記像担持体と前記転写ローラとが当接する部位)に前記記録媒体を案内するように、前記転写部位よりも前記記録媒体の搬送経路における上流側であって、前記搬送経路よりも前記転写ローラ側に設けられている。前記案内部材支持フレームは、前記案内部材を支持する部材であって、前記転写部位よりも前記搬送経路における上流側にて、前記搬送経路よりも前記転写ローラ側に設けられている。
【0007】
前記案内部材は、具体的には、前記搬送経路に沿って見た際の一端側の部分(前記案内部材支持フレームに固定された固定部とは反対側の部分)である揺動部が、前記固定部よりも、前記搬送経路側且つ当該搬送経路における下流側に設けられている。
【0008】
本発明の特徴は、前記転写装置が、
前記搬送経路に向かって突出することで前記案内部材を通過した前記記録媒体の後端を支持するように、前記搬送経路における前記転写部位と前記案内部材との間にて前記案内部材支持フレームに設けられた、側断面視にて剛体状で不撓性の突出支持部材
をさらに備えたことにある。
【0009】
前記突出支持部材は、非発泡性の合成樹脂(前記案内部材支持フレームを構成する合成樹脂と同等の剛性を有する材質:例えば前記案内部材支持フレームと同材質)から構成されていてもよい。また、前記突出支持部材は、前記案内部材支持フレームと継ぎ目なく一体成形されていてもよい。
【0010】
前記突出支持部材は、前記案内部材における前記揺動部が前記記録媒体との当接によって前記案内部材支持フレームに近接するように揺動する際に、当該案内部材と干渉しない位置に設けられていてもよい。
【0011】
具体的には、前記案内部材における前記揺動部が前記記録媒体との当接によって前記案内部材支持フレームに近接するように揺動する際に当該案内部材が前記案内部材支持フレームと当接する最も前記転写部位側の部位を支持部位と称した場合に、
前記突出支持部材は、
前記支持部位を中心として当該支持部位と前記案内部材の前記揺動部側の端縁を結ぶ線分を半径とする円と重ならないように、当該円の外側に設けられていてもよい。
【0012】
前記突出支持部材の前記搬送経路側の端部は、前記支持部位と前記転写部位と、を結んだ直線よりも、前記搬送経路側に突出するように設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
かかる構成を備えた本発明の転写装置においては、前記記録媒体の前記後端が前記案内部材を通過しても、当該後端が、前記案内部材よりも下流側にて前記搬送経路に向かって突出する前記突出支持部材によって、良好に(剛性的に)支持される。これにより、前記記録媒体の前記後端が前記案内部材を通過した際に前記記録媒体が前記像担持体の前記周面から急激に離れることが、良好に抑制される。したがって、本発明によれば、前記記録媒体の前記後端付近における、前記現像剤の転写乱れの発生が、可及的に抑制される。
【0014】
特に、前記案内部材における前記揺動部が、前記記録媒体との当接によって、前記案内部材支持フレームに近接するように(すなわち前記搬送経路から離隔する方向に)揺動する際に、当該案内部材と干渉しない位置に、前記突出支持部材が設けられることで、前記記録媒体の前記後端が前記案内部材を通過した際に、当該後端が前記突出支持部材に確実に当接して良好に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタの概略構成を示す側断面図である。
【図2】図1に示されている案内フィルム支持部を拡大して示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている、本発明の具現化の一つの具体例)について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
<レーザープリンタの概略構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側断面図である。以下、図1における右側(図中y軸負側)を、当該レーザープリンタ1の「前面」側と称し、図1における左側(図中y軸正側)を、当該レーザープリンタ1の「背面」側と称する。また、図1における上下方向(図中z軸方向)を、当該レーザープリンタ1の「高さ方向」又は「上下方向」と称し、図1における左右方向(図中y軸方向)を、当該レーザープリンタの「前後方向」と称する。さらに、図1の紙面と垂直な方向(図中x軸方向)を、当該レーザープリンタ1の「幅方向」あるいは「用紙幅方向」と称する。
【0018】
レーザープリンタ1は、その内部にて、シート状の記録媒体である用紙Pを用紙搬送経路PP(paper path:図中2点鎖線で示されている)に沿って搬送しつつ、当該用紙P上に現像剤(トナー)による像(以下、「トナー像」と称する。)を形成するように構成されている。なお、図1における用紙搬送経路PPに沿って用紙Pが搬送される方向(すなわち用紙搬送経路PPの任意の位置における接線方向)を、以下「用紙搬送方向」と称する。
【0019】
具体的には、本実施形態に係るレーザープリンタ1は、フィーダーユニット2と、プロセスカートリッジ3と、露光部4と、給紙部5と、定着部6と、排紙部7と、を備えている。フィーダーユニット2及びプロセスカートリッジ3は、レーザープリンタ1の本体部10に対して脱着自在に装着されている。また、プロセスカートリッジ3、露光部4、給紙部5、定着部6、及び排紙部7は、本体部10内に収容されている。
【0020】
本体部10は、本体フレーム11と、外側カバー12と、を備えている。外側カバー12は、本体部10のケーシングを構成する略直方体形状の部材であり、合成樹脂板により一体に形成されている。この外側カバー12は、本体部10内に収容される上述の各部を支持するための本体フレーム11を外側から覆うように設けられている。
【0021】
外側カバー12の上面12aには、排紙トレイ12bが設けられている。この排紙トレイ12bは、上面12aに形成された凹部であって、上面12aの前面側から背面側に向かって斜め下方に延びるように形成された斜面によって形成されている。外側カバー12の上部であって、排紙トレイ12bの下端部の上方には、開口部からなる排紙口12cが設けられている。すなわち、排紙トレイ12bは、排紙口12cから排出された用紙Pを受け止めるようになっている。
【0022】
外側カバー12の前面側には、開口部が形成されていて、この開口部を塞ぐように板状の前面カバー12dが装着されている。この前面カバー12dの下端部には、当該前面カバー12dの回転中心を構成する穴12d1が形成されている。外側カバー12の上述の開口部における、穴12d1に対応する位置には、一対のピン12fが、用紙幅方向に沿って立設されている。このピン12fが前面カバー12dの穴12d1に挿入されることで、前面カバー12dは、当該ピン12fを中心に用紙搬送方向に沿って開閉可能に支持されている。すなわち、本実施形態のレーザープリンタ1は、前面カバー12dが前面側(図中右側)に開かれることで、プロセスカートリッジ3が当該レーザープリンタ1の前面側から着脱されるように構成されている。
【0023】
本体部10に供給される用紙Pを積層保持するフィーダーユニット2は、本体部10の下端部に対して前後方向にスライドすることで着脱自在に構成されている。このフィーダーユニット2は、箱状のフィーダーケース21と、このフィーダーケース21に装着された用紙押圧板22及び分離パッド23と、を備えている。
【0024】
用紙押圧板22は、背面側(図1における分離パッド23から遠い方)の端部を中心に揺動可能に支持されている。用紙押圧板22の前面側(図1における分離パッド23に近い方)の端部は、図示しない付勢手段によって上方に付勢されている。分離パッド23は、フィーダーケース21における前面側の端部近傍であって、用紙押圧板22よりも用紙搬送方向における下流側に配置されていて、下方から図示しないバネによって上方に付勢されている。分離パッド23の上側の表面は、ゴム等の、用紙Pの表面よりも摩擦係数が高い材質によって構成されている。
【0025】
プロセスカートリッジ3のケーシングを構成するドラムフレーム31には、現像カートリッジ32が脱着自在に装着されている。現像カートリッジ32のケーシングを構成する現像ユニットケース32a内には、非磁性一成分乾式現像剤としてのトナーが収容されている。現像ユニットケース32aにおける、背面側の端部には、現像ローラ32bが、回転可能に支持されている。現像ローラ32bは、画像形成時にて図中矢印で示されている方向に回転駆動されるようになっている。
【0026】
現像ローラ32bの側方であって、現像ユニットケース32aの内側寄りの位置には、供給ローラ32cが回転可能に支持されている。この供給ローラ32cは、画像形成時にて図中矢印で示されている方向(現像ローラ32bの回転方向と同一方向)に回転駆動されることで、帯電したトナーを現像ローラ32bの周面上に担持させるようになっている。
【0027】
現像ローラ32bの周面であって、現像ローラ32bの上述の態様の回転駆動による当該周面の移動方向における供給ローラ32cとの接触部よりも下流側の部分と当接するように、層厚規制ブレード32dが、現像ユニットケース32aに固定されている。この層厚規制ブレード32dは、その先端が現像ローラ32bの周面と当接することで、現像ローラ32bの周面上のトナーの密度及び帯電量を調整するように、構成及び配置されている。
【0028】
現像カートリッジ32は、ドラムフレーム31内に収容された感光体ドラム33の側方に配置されている。この現像カートリッジ32は、静電潜像が形成される感光体ドラム33の周面である静電潜像担持面33aにトナーを供給することで、当該静電潜像担持面33a上にトナーを画像状に配列させつつ担持させる(静電潜像をトナーにより現像する)ように構成されている。感光体ドラム33は、画像形成時に、用紙Pの搬送と同期して回転軸33bを中心に図中矢印で示されている方向(現像ローラ32bの回転方向と反対方向)に回転駆動されるように、ドラムフレーム31によって回転可能に支持されている。
【0029】
感光体ドラム33の上方には、静電潜像担持面33aを一様に帯電させるための帯電器34が配置されている。帯電器34は、ドラムフレーム31によって支持されている。
【0030】
ドラムフレーム31内には、静電潜像担持面33a上に担持されたトナーを搬送中の用紙Pに転写するための転写ローラ35が収容されている。この転写ローラ35は、その周面35aの上部が転写部位TPにて感光体ドラム33と用紙搬送経路PPを挟んで対向するように、感光体ドラム33の下方で且つプロセスカートリッジ3の底部に配置されている。本実施形態においては、転写ローラ35は、弾性変形可能な導電性ゴムローラからなり、転写部位TPにて、感光体ドラム33と互いに押圧することで用紙搬送経路PPに沿って所定(例えば1〜2mm)の幅をもって面接触するように設けられている。
【0031】
転写ローラ35は、ドラムフレーム31によって、金属製の回転軸35bを中心に回転可能に支持されていて、画像形成時に感光体ドラム33の回転と同期して(すなわち用紙Pの搬送と同期して)図中矢印で示されている方向(感光体ドラム33と連れ回る方向)に回転するようになっている。また、転写ローラ35と感光体ドラム33との間に所定の転写バイアス電圧が印加されるように、回転軸35bは、図示しない電源と電気的に接続されている。
【0032】
ドラムフレーム31の下部には、用紙Pの向き及び搬送タイミングを調整するための上側レジストローラ36が、回転自在に支持されている。上側レジストローラ36は、感光体ドラム33と転写ローラ35とが用紙搬送経路PPを挟んで対向する転写部位TPよりも、用紙搬送方向における上流側にて、用紙搬送経路PPよりも上方に配置されている。
【0033】
ドラムフレーム31内には、静電潜像担持面33aをクリーニングするためのクリーニング部37が配置されている。このクリーニング部37は、感光体ドラム33の回転による静電潜像担持面33aの移動方向における転写部位TPよりも下流側にて、静電潜像担持面33aと、所定の圧力をもって接触するように設けられている。
【0034】
露光部4は、ドラムフレーム31の上方に配置されている。露光部4は、露光部カバー41と、ポリゴンミラー42と、反射鏡43,44,及び45と、を備えている。
【0035】
ポリゴンミラー42は、所定の回転数で回転駆動されるように、露光部カバー41に固定された図示しないモータの回転駆動軸によって支持されている。このポリゴンミラー42は、上述のモータによって回転駆動されつつ、図示しないレーザー発光部にて画像データに基づいて生成されたレーザービームを反射することで、当該レーザービームを用紙幅方向に沿って走査するように構成されている。反射鏡43,44,及び45は、ポリゴンミラー42にて反射されたレーザービーム(図中一点鎖線で示されている)を、静電潜像担持面33a上に照射し得るように、露光部カバー41内にて支持されている。
【0036】
給紙部5は、給紙ローラ51と、紙粉除去ローラ52と、上流側用紙ガイド53及び54と、下側レジストローラ55と、下流側用紙ガイド56と、を備えている。
【0037】
給紙ローラ51は、本体フレーム11によって回転可能に支持されている。この給紙ローラ51は、その周面が分離パッド23と所定の圧力をもって接するように、当該分離パッド23と対向して配置されている。紙粉除去ローラ52は、分離パッド23よりも前面側(給紙時の給紙ローラ51の回転方向における下流側)にて、本体フレーム11によって回転可能に支持されている。この紙粉除去ローラ52は、その周面が給紙ローラ51と接するように配置されている。
【0038】
上流側用紙ガイド53及び54は、用紙Pを用紙搬送経路PPに沿って上側レジストローラ36と下側レジストローラ55とが対向する位置まで案内するように設けられている。下側レジストローラ55は、用紙搬送経路PPを挟んで上述の上側レジストローラ36と対向するように、用紙搬送経路PPよりも下方に設けられている。この下側レジストローラ55は、上側レジストローラ36と協働することで用紙Pの向き及び搬送タイミングを調整するためのローラであって、上側レジストローラ36と当接するように、転写部位TPよりも用紙搬送方向における上流側に配置されている。
【0039】
定着部6は、転写部位TPよりも用紙搬送方向における下流側に配置されている。この定着部6は、定着部カバー61と、ヒートローラ62と、加圧ローラ63と、を備えている。
【0040】
定着部カバー61は、プロセスカートリッジ3とヒートローラ62及び加圧ローラ63との間に介在することで、プロセスカートリッジ3が可及的に加熱されないように設けられている。ヒートローラ62は、表面が離型処理された金属製の円筒内にハロゲンランプを収容してなり、図示しないモータによって図中矢印で示されている方向に回転駆動され得るように、定着部カバー61内にて回転可能に支持されている。加圧ローラ63は、シリコンゴム製のローラであり、ヒートローラ62に対して所定の圧力をもって押圧されつつ当該ヒートローラ62に従動して図中矢印で示されている方向に回転され得るように、定着部カバー61内にて回転可能に支持されている。
【0041】
排紙部7は、定着部6よりも用紙搬送方向における下流側に配置されていて、用紙搬送ローラ71と、排紙ローラ72と、用紙ガイド73と、を備えている。用紙搬送ローラ71は、図示しないモータによって回転駆動される一対のローラ対であって、定着部6の近傍に配置されている。排紙ローラ72は、図示しないモータによって回転駆動される一対のローラ対であって、排紙口12cの近傍に配置されている。用紙ガイド73は、用紙Pを用紙搬送ローラ71から用紙搬送経路PPに沿って排紙ローラ72までガイドするように設けられている。
【0042】
<ドラムフレームの詳細な構成>
ドラムフレーム31は、一対の側板311と、上部ビーム312と、底板313と、を備えている。上部ビーム312及び底板313は、一対の側板311の間に架け渡されるように設けられている。上部ビーム312は、用紙搬送経路PPよりも上方にて、帯電器34やクリーニング部37を支持するように設けられている。
【0043】
底板313には、用紙搬送方向における転写部位TPよりも上流側且つ上側レジストローラ36よりも下流側にて、用紙入口開口313aが設けられている。用紙入口開口313aは、用紙幅方向に沿ったスリット状の開口部として形成されている。すなわち、用紙入口開口313aは、当該レーザープリンタ1における最大用紙サイズに対応する幅(例えば、当該最大用紙サイズがA4用紙である場合には約210mm)よりも若干(少なくとも数mm程度)広い幅に形成されている。また、底板313には、転写部位TPよりも用紙搬送方向における下流側にて、用紙出口開口313bが設けられている。用紙出口開口313bも、上述の用紙入口開口313aと同様の幅に形成されている。
【0044】
ドラムフレーム31の底板313における、上述の用紙入口開口313aと用紙出口開口313bとの間の部分である、転写ローラカバー314及び案内フィルム支持部315は、用紙搬送経路PPよりも下方(すなわち転写ローラ35側)に配置されている。転写ローラカバー314は、側断面視にて略U字状の板状部材であって、転写ローラ35を下側から覆うように設けられている。
【0045】
本発明の「案内部材支持フレーム」に相当する案内フィルム支持部315は、転写ローラ35よりも用紙搬送方向における上流側にて、転写部位TPに用紙Pを良好に誘導するように設けられている。具体的には、案内フィルム支持部315は、転写ローラカバー314の用紙入口開口313a側の上端部から用紙入口開口313aに向けて延出するように、当該転写ローラカバー314と一体に形成されている。この案内フィルム支持部315には、本発明の「案内部材」としての案内フィルム316が装着されている。
【0046】
図2は、図1に示されている案内フィルム支持部315を拡大して示す側断面図である。以下、図2を参照しつつ、案内フィルム支持部315及び案内フィルム316の構成及び配置の詳細について説明する。
【0047】
案内フィルム支持部315は、搬送面対向部3151と、案内フィルム固定部3152と、を有している。搬送面対向部3151は、案内フィルム支持部315における転写ローラカバー314に隣接する略平板状の部分であって、用紙搬送経路PPに対向するように設けられている。具体的には、本実施形態においては、搬送面対向部3151は、転写部位TPの側断面視における用紙搬送経路PPに沿った両端縁を結んだ直線よりもわずかに上方(感光体ドラム33側)に設けられている。
【0048】
案内フィルム固定部3152は、搬送面対向部3151の用紙搬送方向における上流側の端部から斜め下方に向かう下り斜面を形成するように設けられている。すなわち、案内フィルム固定部3152は、上述の斜面上に案内フィルム316を支持することで、当該案内フィルム316を、側断面視にて転写部位TPよりも上側(感光体ドラム33側)に向けて突出させるように形成されている。
【0049】
転写部位TPと案内フィルム316との間には、突出支持部材3153が、案内フィルム316を通過した用紙Pの後端を支持するように、搬送面対向部3151から用紙搬送経路PPに向かって突設されている。本実施形態においては、突出支持部材3153は、搬送面対向部3151の用紙搬送方向における下流側の端部に対応する位置に配置されている。
【0050】
本実施形態においては、突出支持部材3153は、非発泡性(すなわちスポンジではない)で不撓性(すなわちゴムではない)の材質からなり、搬送面対向部3151と継ぎ目なく一体成形されている。すなわち、突出支持部材3153は、ドラムフレーム31を構成する所定の剛性を有する合成樹脂と同材質によって構成されている。また、突出支持部材3153は、側断面視にて剛体状(すなわち側断面視にて「片持ち支持された薄板状」ではない形状)に形成されている。具体的には、本実施形態においては、側断面視にて略矩形状(より詳細には正方形状)に形成されている。
【0051】
案内フィルム316は、側断面視にて薄板状で可撓性の部材であって、転写部位TPに用紙Pを案内するように、当該転写部位TPよりも用紙搬送方向における上流側であって、用紙搬送経路PPよりも下側(転写ローラ35側)に設けられている。この案内フィルム316は、上述のように、案内フィルム支持部315によって上述の態様に支持されている。すなわち、案内フィルム316の用紙搬送方向における上流側の端部である基端部3161は、案内フィルム固定部3152に固定されている。そして、案内フィルム316の用紙搬送方向における下流側の端縁である自由端3162が、基端部3161から用紙搬送経路PP側及び用紙搬送方向における下流側に向けて突出するように、案内フィルム316が支持されている。
【0052】
なお、図2においては、用紙Pが存在しない時点(用紙Pの先端が到来する前又は用紙Pの後端が通過した後)の案内フィルム316の状態が一点鎖線で示され、通常の用紙P(市販のいわゆる「普通紙」)が1枚通過中の通常の撓み状態が実線で示され、厚手の用紙Pが1枚通過中等の最大限の撓み状態が点線で示されているものとする。図2に示されているように、基端部3161とは反対側(基端部3161よりも自由端3162側)の部分であって、基端部3161よりも用紙搬送経路PP側且つ用紙搬送方向における下流側の揺動部3163は、用紙Pの通過に伴って揺動するようになっている。
【0053】
ここで、案内フィルム316は、用紙Pの通過に伴って揺動部3163が揺動する際に、突出支持部材3153と干渉しないように設けられている。すなわち、揺動部3163が用紙Pとの当接によって用紙搬送経路PPから離隔する方向に(換言すれば搬送面対向部3151に近接するように)最大限揺動する際に案内フィルム316が案内フィルム支持部315と当接する最も転写部位TP側の部位を支持部位3164と称した場合に、突出支持部材3153は、支持部位3164を中心として当該支持部位3164と自由端3162とを結ぶ線分を半径とする円(図中矢印の付された円弧参照)と重ならないように、当該円の外側に設けられている。
【0054】
また、本実施形態においては、突出支持部材3153の用紙搬送経路PP側の端部は、支持部位3164と転写部位TPとを結んだ直線(支持部位3164と転写部位TPの用紙搬送方向における中心点とを結んだ直線:図2における一点鎖線参照)よりも、用紙搬送経路PP側に突出するように設けられている。
【0055】
<実施形態の構成による作用・効果>
次に、上述の実施形態の構成による作用・効果について、各図面を参照しつつ以下に説明する。
【0056】
上述の構成を備えた本実施形態においては、用紙Pの後端が案内フィルム316における自由端3162を通過しても、当該後端が、案内フィルム316よりも下流側にて用紙搬送経路PPに向かって突出する突出支持部材3153によって、良好に(剛性的に)支持される。これにより、用紙Pの後端が案内フィルム316を通過した際に用紙Pが静電潜像担持面33aから急激に離れることが、良好に抑制される。したがって、用紙Pの後端付近における、トナー像の転写乱れの発生が、可及的に抑制される。
【0057】
特に、案内フィルム316における揺動部3163が、用紙Pとの当接によって、案内フィルム支持部315に近接するように(すなわち用紙搬送経路PPから離隔する方向に)揺動する際に、案内フィルム316と干渉しない位置に、突出支持部材3153が設けられることで、用紙Pの後端が案内フィルム316を通過した際に、当該後端が突出支持部材3153に確実に当接して良好に支持される。
【0058】
また、突出支持部材3153の用紙搬送経路PP側の端部が、支持部位3164と転写部位TPとを結んだ直線(図2における一点鎖線参照)よりも、用紙搬送経路PP側に突出するように設けられることで、用紙Pの後端が案内フィルム316における自由端3162を通過してから転写部位TPに達するまでの間に用紙Pが静電潜像担持面33aから急激に離れることが、良好に抑制される。
【0059】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0060】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されている構成要素と同様の構成及び機能を有するものに対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0061】
本発明の適用対象たる画像形成装置は、レーザープリンタに限定されず、帯電したトナーを転写する機構を備えた画像形成装置に対して本発明は広く適用される。よって、本発明の「像担持体」は、感光体等の静電潜像担持体に限定されない。また、本発明の「像担持体」が感光体等の静電潜像担持体である場合であっても、かかる静電潜像担持体は、ドラム状のものに限定されない。
【0062】
突出支持部材3153の突出形状は、側断面視にて半円状、半楕円状、三角形状、台形状、等であってもよい。突出支持部材3153の断面形状は、用紙Pの当接によって弾性変形しなければ、中空であってもよい。また、突出支持部材3153は、搬送面対向部3151に対して接着等によって取り付けられていてもよい。さらに、突出支持部材3153の材質は、ドラムフレーム31と同等の剛性を有しているが異なる種類の合成樹脂であってもよい。
【0063】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0064】
1…レーザープリンタ 3…プロセスカートリッジ
31…ドラムフレーム 313…底板
314…転写ローラカバー
315…案内フィルム支持部 3151…搬送面対向部
3152…案内フィルム固定部 3153…突出支持部材
316…案内フィルム 3161…基端部
3162…自由端 3163…揺動部
3164…支持部位
33…感光体ドラム 33a…静電潜像担持面
35…転写ローラ 35a…周面
P…用紙 PP…用紙搬送経路
TP…転写部位
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2003−5535号公報
【特許文献2】特開2006−301490号公報
【特許文献3】特開2008−26808号公報
【特許文献4】特開2008−26809号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の周面上に担持された現像剤を、搬送中の記録媒体に転写するように構成された、転写装置において、
前記現像剤を前記像担持体の前記周面から前記記録媒体に転写するために前記像担持体と対向配置されていて、前記記録媒体の搬送と同期して回転するように設けられた、転写ローラと、
前記像担持体と前記転写ローラとが最近接しつつ対向する転写部位よりも前記記録媒体の搬送経路における上流側にて、前記搬送経路よりも前記転写ローラ側に設けられた、案内部材支持フレームと、
前記転写部位に前記記録媒体を案内するように、前記転写部位よりも前記搬送経路における上流側にて前記案内部材支持フレームに装着された、側断面視にて薄板状で可撓性の案内部材と、
前記搬送経路に向かって突出することで前記案内部材を通過した前記記録媒体の後端を支持するように、前記搬送経路における前記転写部位と前記案内部材との間にて前記案内部材支持フレームに設けられた、側断面視にて剛体状で不撓性の突出支持部材と、
を備えたことを特徴とする、転写装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、転写装置であって、
前記突出支持部材は、非発泡性の合成樹脂からなることを特徴とする、転写装置。
【請求項3】
請求項2に記載の、転写装置であって、
前記突出支持部材は、前記案内部材支持フレームと継ぎ目なく一体成形されていることを特徴とする、転写装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の、転写装置であって、
前記案内部材は、前記搬送経路に沿って見た際の一端側の部分であって前記案内部材支持フレームに固定された固定部とは反対側の揺動部が、前記固定部よりも、前記搬送経路側且つ当該搬送経路における下流側に設けられていることを特徴とする、転写装置。
【請求項5】
請求項4に記載の、転写装置であって、
前記突出支持部材は、前記案内部材における前記揺動部が前記記録媒体との当接によって前記案内部材支持フレームに近接するように揺動する際に、当該案内部材と干渉しない位置に設けられていることを特徴とする、転写装置。
【請求項6】
請求項5に記載の、転写装置であって、
前記案内部材における前記揺動部が前記記録媒体との当接によって前記案内部材支持フレームに近接するように揺動する際に当該案内部材が前記案内部材支持フレームと当接する最も前記転写部位側の部位を支持部位と称した場合に、
前記突出支持部材は、
前記支持部位を中心として当該支持部位と前記案内部材の前記揺動部側の端縁を結ぶ線分を半径とする円と重ならないように、当該円の外側に設けられたことを特徴とする、転写装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の、転写装置であって、
前記突出支持部材の前記搬送経路側の端部は、
前記案内部材における前記揺動部が前記記録媒体との当接によって前記搬送経路から離隔するように揺動する際に当該案内部材が前記案内部材支持フレームと当接する最も前記搬送経路側の部位である支持部位と、前記転写部位と、を結んだ直線よりも、前記搬送経路側に突出するように設けられていることを特徴とする、転写装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−203225(P2012−203225A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68083(P2011−68083)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】