説明

画像形成装置

【課題】空間清浄機能を有する構成において装置本体の内部から排出される臭気成分を含む排気の拡散を抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置10は、背面の第1排気口31へ空気が流れるダクト102と、第1排気口31から排気する第1ファン106と、異物を除去するフィルタ104と、第1排気口31を覆って排気を上方へ案内する案内ダクト110と、を有している。ここで、案内ダクト110によって第1排気口31と第2排気口33が仕切られているので、第2排気口33から排出される臭気成分を含む流速の低い排気F2が、第1排気口31から排出された流速の高い排気F1によって部屋の内部に拡散するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の複写機は、ソーターの下部に空気清浄機を配置している。
【0003】
特許文献2の複写機は、空気清浄機を内蔵しており、感光体、定着装置の近くに空気清浄機を配置している。
【0004】
特許文献3の画像形成装置は、空気清浄機を備えており、画像形成部と空気清浄機とのコントローラを分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3059719号
【特許文献2】特開2002−169432号
【特許文献3】特開2008−112064号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、空間清浄機能を有する構成において装置本体の内部から排出される臭気成分を含む排気の拡散を抑制することができる画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、装置本体の前面に形成された吸気口から背面に形成された第1排気口へ空気が流れるダクトと、前記吸気口から吸気すると共に前記第1排気口から排気する空気流を生成するファンと、前記ファンで吸気又は排気された空気中の異物を除去するフィルタと、前記装置本体の背面に設けられ前記装置本体の内部で発生した臭気成分を含む空気が排気される第2排気口、及び前記第1排気口の一方を覆って、前記装置本体の背面に設けられ、一方からの排気を他方からの排気の経路から隔てて上方へ案内する案内ダクトと、を有する。
【0008】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、前記装置本体の幅方向で前記第1排気口と前記第2排気口が重なっていない。
【0009】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、前記ファンが前記ダクト内に設けられ、前記案内ダクトが前記第1排気口側に設けられている。
【0010】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、前記案内ダクトは、排気方向と交差する方向の断面積が前記第1排気口側の断面積よりも大きい部分に異物の侵入を抑制するルーバーが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、第1排気口又は第2排気口を覆う案内ダクトを設けていない構成に比べて、空間清浄機能を有する構成において装置本体の内部から排出される臭気成分を含む排気の拡散を抑制することができる。
【0012】
請求項2の発明は、装置本体の幅方向で第1排気口と第2排気口が重なっている構成に比べて、案内ダクトを簡単な構造とすることができる。
【0013】
請求項3の発明は、第1排気口を覆う案内ダクトを有していない構成に比べて、ファンの動作音を低減することができる。
【0014】
請求項4の発明は、第1排気口にルーバーを設けた構成に比べて、ルーバーによる風切り音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体図である。
【図2】(A)本発明の実施形態に係る画像形成装置の平面図である。(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置の縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の背面の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る案内ダクトの斜視図である。
【図5】(A)、(B)本発明の実施形態に係る画像形成装置の内外における空気の流れを示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る画像形成装置の背面の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。
【0017】
図1には、実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、上下方向(矢印Y方向)の下側から上側へ向けて、詳細を後述する空間清浄機100の一部が収容された清浄機収容部12と、清浄機収容部12の上に設けられ記録媒体の一例としての記録用紙Pが収容される用紙収容部14と、用紙収容部14の上に設けられ用紙収容部14から供給される記録用紙Pに画像形成を行う画像形成部16と、清浄機収容部12及び用紙収容部14の背面側に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部18と、を含んで構成されている。
【0018】
また、画像形成装置10は、装置本体の一例としての筐体22を有している。筐体22は、清浄機収容部12を囲む第1筐体23と、用紙収容部14を囲む第2筐体24と、画像形成部16を囲む第3筐体25と、を含んで構成されている。
【0019】
図2(B)に示すように、第3筐体25の前面側には開口25Eが形成されており、この開口25Eを覆うカバー部材27が設けられている。また、図2(A)に示すように、カバー部材27は、それぞれヒンジ部材(図示省略)により回転可能に設けられた左カバー27A及び右カバー27Bで構成されている。そして、左カバー27A及び右カバー27Bが観音扉式に開閉され、あるいは、これらが個別に開閉されることで、画像形成部16の前面側が開放され又は覆われる(閉じられる)ようになっている。
【0020】
図3に示すように、筐体22は、画像形成装置10の背面を構成する後壁29を有している。後壁29には、後述する第1ダクト102からの排気を行うための第1排気口31と、第2ダクト80(図1参照)からの排気を行うための第2排気口33とが形成されている。第1排気口31と第2排気口33は、筐体22の幅方向(矢印X方向)で重ならない配置とされている。なお、後壁29は、第1筐体23、第2筐体24、及び第4筐体25の後壁を一体化した構成となっている。
【0021】
なお、以後の説明では、画像形成装置10を正面視して、筐体22の上下方向を矢印Y方向、左右方向(水平方向)を矢印X方向、奥行き方向(水平方向)を矢印Z方向と記載する。また、必要に応じて、左方向、下方向、手前方向をマイナス(−)とし、右方向、上方向、奥方向をプラス(+)として各方向を区別する場合がある。
【0022】
図1に示すように、清浄機収容部12は、第1筐体23の矢印Z方向手前側で且つ画像形成装置10の前面の下部を構成する前壁23Aを有している。前壁23Aの正面視の幅方向(矢印X方向)全面には、矢印X方向に長いスリット(長孔)が矢印Y方向に複数並んだ吸気口26が形成されており、この吸気口26を通って空気が流入するようになっている。なお、清浄機収容部12の詳細については、後述する。
【0023】
用紙収容部14は、記録用紙Pが収容され第2筐体24に対して矢印Z方向に出し入れ可能とされた用紙収容ユニット28が設けられている。また、用紙収容部14には、用紙収容ユニット28内に収容された記録用紙Pを画像形成装置10内に設けられた搬送路32に送り出す送り出しロール34が設けられており、搬送路32における送り出しロール34よりも下流側には、記録用紙Pを一枚ずつ搬送するそれぞれ一対の搬送ロール36及び搬送ロール38が設けられている。
【0024】
第3筐体25の底壁25Aには、記録用紙Pが通過可能な大きさの貫通孔25Bが形成されており、貫通孔25Bによって第2筐体24の内部と第3筐体25の内部が繋がっている。そして、この貫通孔25Bを通って第2筐体24から第3筐体25内へ記録用紙Pを搬送可能となっている。また、搬送路32における記録用紙Pの搬送方向で搬送ロール38よりも下流側には、記録用紙Pを一旦停止させるとともに、決められたタイミングで転写位置Qへ送り出す位置合せロール42が設けられている。
【0025】
さらに、第3筐体25の左側壁25C(矢印−X方向側の側壁)には、記録用紙Pが通過可能な大きさの貫通孔25Dが形成されており、左側壁25Cにおける貫通孔25Dの下側には、排紙部44が設けられている。そして、搬送路32は、位置合せロール42から排紙部44までの経路も含んで構成されている。
【0026】
一方、画像形成部16内には、画像形成ユニット50が設けられている。画像形成ユニット50は、感光体52と、帯電器54と、露光装置56と、現像装置58と、転写ロール62と、クリーニング装置64と、除電ランプ66とを含んで構成されている。
【0027】
画像形成ユニット50の中央には、円筒状の感光体52が設けられている。感光体52は、内部が接地されており、図示しない駆動手段によって矢印R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体52の上方で且つ感光体52の外周面と対向する位置には、感光体52の外周面を帯電する帯電器54が設けられている。
【0028】
帯電器54は、チャージワイヤ54Aとグリッド電極54Bを有しており、チャージワイヤ54Aに電源(図示省略)から電力を供給すると共にグリッド電極54Bに調整用の電圧を印加して、感光体52との電位差によるコロナ放電により、感光体52の外周面を帯電させるようになっている。また、感光体52の回転方向(矢印R方向)における帯電器54よりも下流側で且つ感光体52の外周面と対向する位置には、露光装置56が設けられている。
【0029】
露光装置56は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電器54により帯電した感光体52の外周面に、画像信号に基づき光を照射(露光)して、静電潜像を形成するようになっている。なお、露光装置56はLED方式に限らず、例えば、レーザ光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。また、感光体52の回転方向で露光装置56の露光光が照射される部位よりも下流側には、感光体52の外周面に形成された静電潜像を決められた色のトナー(ここでは一例として、黒(K))で現像して可視化させる(現像剤像を形成する)現像装置58が設けられている。
【0030】
現像装置58は、本体となるケース部材58Aを有しており、ケース部材58A内にトナーカートリッジ(図示省略)からトナー供給路を経由して供給されるトナー(K)及びキャリアから成る現像剤(図示省略)が充填されている。また、ケース部材58Aの開口部には、外周面が感光体52の外周面と対向する現像ロール58Bが設けられている。
【0031】
現像ロール58Bは、回転可能に設けられた円筒状の現像スリーブ及び現像スリーブ(符号は省略する)の内側に固定された複数の磁極から成る磁性部材で構成されており、現像スリーブが回転することで現像剤(キャリア)の磁気ブラシが形成されると共に、規制部材(図示省略)で層厚が規制されることで、現像スリーブの外周面に現像剤層を形成するようになっている。そして、現像スリーブの外周面の現像剤層は、感光体52に対向する位置に搬送され、感光体52の外周面に形成された潜像(静電潜像)にトナーを付着させて現像を行う。
【0032】
一方、感光体52の回転方向で現像装置58よりも下流側であり且つ感光体52の下側であって、搬送路32(記録用紙P)を挟んで感光体52の反対側には、感光体52の外周面に形成されたトナー画像を搬送されてきた記録用紙Pに転写させる転写ロール62が設けられている。転写ロール62は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体52との電位差で感光体52のトナー画像を記録用紙Pに転写するようになっている。なお、感光体52と転写ロール62との接触位置が転写位置Qである。
【0033】
矢印R方向で転写ロール62よりも下流側であり、感光体52の外周面と対向する位置には、転写位置Qにおいて記録用紙Pに転写されずに感光体52の外周面に残留した残留トナーなどを清掃するクリーニング装置64が設けられている。クリーニング装置64は、感光体52の外周面に接触するクリーニングブレード及びブラシロール(符号は省略する)により残留トナーなどを回収する構成となっている。また、矢印R方向におけるクリーニング装置64の下流側で且つ帯電器54の上流側の位置には、残留トナーなどを回収した後の感光体52の外周面を除電する除電ランプ66が設けられている。
【0034】
一方、搬送路32における記録用紙Pの搬送方向(矢印Aで図示)で転写位置Qよりも下流側には、転写ロール62によってトナー画像が転写された記録用紙Pにトナー画像を定着させる定着装置70が設けられている。
【0035】
定着装置70は、記録用紙Pのトナー画像面側(図示の上側)に配置され、通電により発熱する熱源(一例として、ハロゲンランプ)を有する加熱ロール72と、加熱ロール72の下側に配置され記録用紙Pを加熱ロール72の外周面に向けて加圧する加圧ロール74とを含んで構成されている。そして、定着装置70によりトナー画像が定着された記録用紙Pは、貫通孔25Dから排紙部44へ排出される。
【0036】
ここで、第3筐体25内における定着装置70の上方には、第2排気口33(図3参照)に臭気成分(帯電器54(図1参照)でのコロナ放電で生じたオゾン臭や溶融したトナー(樹脂)の臭いを含む)を含んだ空気を流すための第2ダクト80が設けられている。
【0037】
第2ダクト80は、定着装置70の周囲から吸気するための筒状の第1吸気部82Aと、帯電器54の周囲から吸気するための筒状の第2吸気部82Bとが設けられており、第1吸気部82Aの開口が定着装置70側に配置され、第2吸気部82Bの開口が帯電器54側に配置されている。また、第2ダクト80の内部で第2排気口33側には、吸気して第2排気口33から排気を行う第2ファン84が設けられている。
【0038】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0039】
図1に示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置(図示省略)又は外部から画像データが露光装置56に出力される。続いて、帯電器54により感光体52の外周面(表面)が帯電される。そして、露光装置56から画像データに応じて出射された光は、帯電器54により帯電された感光体52の外周面を露光し、感光体52の表面に静電潜像が形成される。さらに、感光体52の外周面に形成された静電潜像は、現像装置58によって黒(K)のトナー画像として現像される。
【0040】
一方、用紙収容ユニット28内の記録用紙Pは、送り出しロール34によって搬送路32へ送り出されると共に、搬送ロール36及び搬送ロール38により搬送される。そして、位置合せロール42まで搬送路32を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合せロール42により、感光体52の回転(トナー画像の移動)に合わせて転写位置Qに搬送される。そして、感光体52の外周面のトナー画像は、転写位置Qに搬送されてきた記録用紙P上に転写ロール62によって転写される。
【0041】
続いて、トナー画像が転写された記録用紙Pは定着装置70に搬送され、トナー画像が加熱ロール72及び加圧ロール74によって加熱、加圧されることにより、記録用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙部44に排出される。
【0042】
次に、空間清浄機100について説明する。
【0043】
図2(B)に示すように、空間清浄機100は、第1筐体23内に設けられたダクトの一例としての第1ダクト102と、第1ダクト102内に設けられたフィルタ104及びファンの一例としての第1ファン106と、第1排気口31を覆う案内ダクト110と、案内ダクト110に設けられたルーバー114と、を含んで構成されている。
【0044】
第1ダクト102は、角筒状に形成されており、一方の端部(開口)が第1筐体23内の吸気口26側に取付けられ、他方の端部(開口)が第1排気口31側に取付けられている。これにより、吸気口26から第1排気口31へ空気が案内されるようになっている。また、第1ダクト102の一方の端部で吸気口26に隣接する部位には、フィルタ104が取付けられている。
【0045】
フィルタ104は、第1ダクト102内の吸気口26側のX−Y面を覆って設けられており、異物(埃、花粉、ウィルスなど)を排気中から除去する空間清浄機能を有している。なお、フィルタ104が吸気中の臭気成分を取り除く機能を有していてもよい。
【0046】
第1ファン106は、第1ダクト102の他方の端部で第1排気口31に隣接する部位に矢印X方向に並んで2台取付けられており、制御部18(図1参照)により駆動源(図示省略)が駆動されることで回転し、吸気口26から吸気をすると共に第1ダクト102内の空気を第1排気口31から案内ダクト110へ排気する。なお、第1ファン106の出力(吸気及び排気能力)は、第2ファン84(図1参照)の出力よりも大きくなっている。
【0047】
図2(A)に示すように、案内ダクト110は、平面視で後壁29側を開口側とする「コ」字状に形成されており、後壁29に取付けられている。また、図3に示すように、案内ダクト110は、第1排気口31から画像形成装置10の上端へ向けて間隔が拡がるように斜めに配置され矢印X方向で対向する2枚の側壁110Aと、側壁110Aの矢印+Z方向の端部を含んで第1排気口31を覆う後壁110Bと、側壁110A及び後壁110Bの底部を構成すると共に矢印+Y方向(上方)に向けて湾曲した湾曲壁110C(図2(B)参照)とを有しており、第1排気口31から矢印+Z方向に排出された空気の流れが矢印+Y方向へ案内(偏向)されるようになっている。
【0048】
このように、案内ダクト110は、画像形成装置10の背面視で逆台形状となっており、第1排気口31側の矢印X方向の幅をW1、上端側(排気が流れる方向の下流端側)の矢印X方向の幅をW2として、W1<W2となるように拡幅されている。
【0049】
即ち、図4に示すように、案内ダクト110の上部は、排気方向(矢印+Y方向)と交差する方向の断面積(X−Z面の断面積)S2が、第1排気口31側の断面積S1よりも大きくなっている。ここで、X−Z面の断面積が最も大きい部位を拡幅部110Dとして、拡幅部110Dにルーバー114が設けられている。ルーバー114は、複数の板材を並べて構成されており、空気が通過可能で且つ案内ダクト110内への異物の侵入を抑制する大きさの開口を有している。
【0050】
一方、図2(B)に示すように、案内ダクト110の内壁面には、一例として、グラスウール製の吸音材115が貼り付けられている。なお、図3に示すように、制御部18を構成する複数の基板は、画像形成装置10を背面視して(矢印+Z方向側から見て)、案内ダクト110が設けられていない領域で且つ第2排気口33よりも下方に設置されており、制御部18が占有する取付けスペースによって、画像形成装置10の矢印+Z方向の幅が拡がらないようになっている。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0052】
図5(A)に示すように、空間清浄機100において、制御部18(図1参照)が第1ファン106を回転させると、画像形成装置10の外部から吸気口26を通って第1ダクト102内に空気が流入する(吸気される)。このとき、吸気口26から第1ダクト102内に侵入しようとする異物がフィルタ104で取除かれる。そして、第1ダクト102内に流入した空気は、フィルタ104で清浄化され第1ダクト102内を第1ファン106に向けて流れると共に、第1排気口31から案内ダクト110内に排気される。
【0053】
一方、図1に示すように、画像形成ユニット50による画像形成が開始され、制御部18が第2ファン84を回転させると、帯電器54の周囲の空気及び定着装置70の周囲の空気が第2ダクト80内に吸気される。そして、第2ダクト80内に流入した空気は、第2ダクト80内を第2ファン84に向けて流れると共に、第2排気口33(図3参照)から案内ダクト110内(図3参照)に排気される。
【0054】
続いて、図5(B)に示すように、第1排気口31からの排気(F1)は、案内ダクト110に沿って矢印+Y方向に流れ、ルーバー114から清浄な空気(F3)が排気される。そして、ルーバー114から排気された空気F3は、画像形成装置10が設置された部屋の内部を循環する。即ち、空間清浄機100として機能する。
【0055】
ここで、案内ダクト110が、第1排気口31及び第2排気口33の一方である第1排気口31を覆っており、第1排気口31からの排気(F1)を他方である第2排気口33からの排気(F2)の経路から隔てて上方へ案内する。即ち、案内ダクト110によって第1排気口31と第2排気口33が仕切られているので、第1排気口31からの排気F1と第2排気口33からの排気F2が混ざることがなくなる。これにより、出力の小さい第2ファン84(図1参照)によって第2排気口33から排出され臭気成分を含む流速の低い排気F2が、出力の大きい第1ファン106によって第1排気口31から排出された流速の高い排気F1によって流されることが抑制される。そして、臭気成分を含む排気F2が部屋の内部に拡散することが抑制される。
【0056】
また、空間清浄機100では、第1排気口31と第2排気口33が矢印X方向で重ならない配置とされているため、案内ダクト110が矢印Y方向に真っ直ぐな形状となる。これにより、案内ダクト110が簡単な構造となる。
【0057】
さらに、空間清浄機100では、第1ファン106が第1ダクト102内に設けられ、第1排気口31が案内ダクト110で覆われており、案内ダクト110内に吸音材115(図5(A)参照)が設けられているので、第1ファン106の動作音が、画像形成装置10の外部へ漏れることが抑制される。これにより、第1ファン106の動作音が低減される。
【0058】
加えて、空間清浄機100では、第1排気口31ではなく、案内ダクト110の下流端(図示の上端)を構成する拡幅部110Dにルーバー114を配置したので、第1ファン106からの排気が直接ルーバー114に当ることがなくなる。さらに、案内ダクト110は、第1排気口31側よりも拡幅部110D側の方が、流路面積(図4の断面積S2)が大きいため、排気F1の流速は、拡幅部110Dに近づくほど減速されることになる。これにより、第1排気口31にルーバー114を設けた構成に比べて、ルーバー114による風切り音が低減される。
【0059】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0060】
画像形成装置10は、モノクロに限らず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び黒(K)のトナーを用いた多色のものであってもよい。また、フィルタ104は、第1ファン106よりも下流側に設けられていてもよい。ここで、第1排気口31、第2排気口33のそれぞれを独立して覆うダクトが設けられた構成では、第1排気口31及び第2排気口33の一方を覆って、一方からの排気を他方からの排気の経路から隔てて上方へ案内する構成となっていれば、この一方の排気口を覆うダクトが、本実施形態の案内ダクトに相当する。
【0061】
さらに、図6に示すように、他の実施例として、第1排気口31側ではなく、第2排気口33側のみを覆う案内ダクト120を設けてもよい。案内ダクト120は、平面視で後壁29側を開口側とする「コ」字状に形成されており、後壁29に取付けられている。また、案内ダクト120は、第2排気口33から画像形成装置10の上端へ向けて間隔が拡がるように斜めに配置され矢印X方向で対向する2枚の側壁120Aと、側壁120Aの矢印+Z方向の端部を含んで第2排気口33を覆う後壁120Bと、側壁120A及び後壁120Bの底部を構成すると共に矢印+Y方向(上方)に向けて湾曲した湾曲壁120Cとを有している。
【0062】
これにより、案内ダクト120では、第2排気口33から矢印+Z方向に排出された空気の流れが矢印+Y方向へ案内(偏向)されるようになっている。そして、画像形成装置10では、第2排気口33から排出された臭気成分を含む排気が、第1排気口31からの排気に対して隔離され、部屋の内部に拡散することが抑制される。なお、案内ダクト120は、矢印+Y方向に向かって拡幅しない(断面積が変化しない)真っ直ぐな形状であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 画像形成装置
22 筐体(装置本体の一例)
26 吸気口
31 第1排気口
33 第2排気口
102 第1ダクト(ダクトの一例)
104 フィルタ
106 第1ファン(ファンの一例)
110 案内ダクト
110D 拡幅部
114 ルーバー
120 案内ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の前面に形成された吸気口から背面に形成された第1排気口へ空気が流れるダクトと、
前記吸気口から吸気すると共に前記第1排気口から排気する空気流を生成するファンと、
前記ファンで吸気又は排気された空気中の異物を除去するフィルタと、
前記装置本体の背面に設けられ前記装置本体の内部で発生した臭気成分を含む空気が排気される第2排気口、及び前記第1排気口の一方を覆って、前記装置本体の背面に設けられ、一方からの排気を他方からの排気の経路から隔てて上方へ案内する案内ダクトと、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体の幅方向で前記第1排気口と前記第2排気口が重なっていない請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ファンが前記ダクト内に設けられ、
前記案内ダクトが前記第1排気口側に設けられている請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記案内ダクトは、排気方向と交差する方向の断面積が前記第1排気口側の断面積よりも大きい部分に異物の侵入を抑制するルーバーが設けられている請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203250(P2012−203250A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68742(P2011−68742)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】