説明

画像形成装置

【課題】本発明は、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制するようにした画像形成装置を提供する。
【解決手段】周回移動可能な中間転写ベルト32と、像保持体18上のトナー像を中間転写ベルトに一次転写する一次転写手段102と、中間転写ベルトの移動方向において一次転写手段102の下流側に設けられる二次転写ロール42と二次転写ロールに対向して設けられる二次転写対向ロール40との間に中間転写ベルトとシート部材Pとを挿通させることで形成される二次転写ニップ部N2に、二次転写を行うための電力が供給され、二次転写ニップ部において中間転写ベルト32に一次転写されたトナー像をシート部材に二次転写する二次転写手段104と、中間転写ベルトの移動方向において二次転写ニップ部の下流側で中間転写ベルトに接触して設けられ、中間転写ベルトを通じて二次転写ニップ部に電力を供給する給電部110と、を有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図1に示されるように、中間転写ベルト(2)に接離自在な転写ロール(5)と、中間転写ベルト(2)の内側の対向ロール(6)とを備え、転写ロール(5)が中間転写ベルト(2)に当たる時、転写ロール(5)の中心と対向ロール(6)の中心とを結ぶ線と中間転写ベルト(2)とがなす角度αを90度未満とした画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、図1に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成装置と、回転移動する中間転写体Bと、第1転写領域Q3でトナー像を中間転写体Bに転写する第1転写器(21)と、2次転写領域Q4に記録シートSを搬送し通過させる記録シート搬送装置(35〜38)と、2次転写領域Q4で中間転写体Bおよび記録シートSを挟持し、中間転写体Bの裏面を支持し電気的に絶縁された芯材(29a)と半導電層(29b)とにより構成された内側転写ロール(29)および記録シートSの裏面に当る外側転写ロール(30)と、前記半導電層(29b)に接触する電極部材(31)と、中間転写体B上のトナー像を記録シートSに転写する2次転写電圧を印加する2次転写電圧印加手段(32)とから構成される画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、図2に示されるように、中間転写ベルト(21)に転写したトナー像(6)を転写材(7)に2次転写するときに、2次転写ベルト(31)を1次転写ユニットの2本の2次転写ロ−ラ(26,27)間の中間転写ベルト(21)に圧接し、2次転写ベルト(31)と中間転写ベルト(21)を比較的大きな面積で接触させ、2次転写ベルト(31)と中間転写ベルト(21)の接触面に加えられる圧力を小さくし、中間転写ベルト(21)に形成されたトナー像のトナーに過大な圧力を加えることを防ぎ、欠陥のない良質なトナー像を転写材(7)に形成するようにした画像形成装置が開示されている。
【0005】
特許文献4には、図1に示されるように、トナー像を像保持体上に形成し、そのトナー像を像保持体と転写材保持体で挟持搬送する転写材に転写させるものであって、像保持体と転写材保持体は転写材を挟んで接触する接触部で、その両者の表面が同じ向きに移動するように駆動される画像形成装置において、接触部よりも転写材の移動方向上流側の像保持体(11)表面と転写材(15)表面との間にはトナー像を像保持体(11)側へ移動させる方向の電界を形成し、接触部よりも下流側の像保持体表面と転写材表面との間ではトナー像を転写材(15)側へ移動させる方向の電界を形成する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−90780号公報
【特許文献2】特開平10−228182号公報
【特許文献3】特開2009−237430号公報
【特許文献4】特開2004−62050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制するようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の画像形成装置は、静電潜像が形成される像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、周回移動可能なベルトと、第一の転写部材を備え、前記現像装置によって現像された前記像保持体上のトナー像を前記ベルトに転写する第一の転写手段と、前記ベルトの移動方向において前記第一の転写手段の下流側に設けられる第二の転写部材と前記第二の転写部材に対向して設けられる対向部材とを備え、前記第二の転写部材と前記対向部材との間に前記ベルトと記録媒体とを挿通させることで形成される転写ニップ部に二次転写を行うための電力が供給され、前記転写ニップ部において前記ベルトに一次転写されたトナー像を前記記録媒体に二次転写する第二の転写手段と、前記ベルトの移動方向において前記転写ニップ部の下流側で前記ベルトに接触して設けられ、前記ベルトを通じて前記転写ニップ部に電力を供給する給電部と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ベルトは、複数個の懸架ロールに懸架されて周回移動可能とされており、前記対向部材は、前記複数個の懸架ロールの内の1個を兼ねていると共に、絶縁材から構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3の画像形成装置は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、前記第二の転写部材の抵抗は、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4の画像形成装置は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記第一の転写手段は、前記像保持体との間で前記ベルトを挟むように配置される前記第一の転写部材を含んで構成されており、前記第一の転写部材の抵抗と、前記第一の転写部材と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗との合計抵抗が、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5の画像形成装置は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記第一の転写手段は、前記像保持体との間で前記ベルトを挟むように配置される前記第一の転写部材を含んで構成されており、前記第一の転写部材と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの長さが、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの長さよりも長く設定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6の画像形成装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記対向部材の表面の電荷を除去する電荷除去手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の画像形成装置によれば、転写ニップ部に二次転写を行うための電力を供給する給電部をベルトの移動方向において転写ニップ部の下流側でベルトに接触して設けない場合(給電部を対向部材に設ける場合)に比べて、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の請求項2に記載の画像形成装置によれば、対向部材を絶縁材から構成しない場合に比べて、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の画像形成装置によれば、第二の転写部材の抵抗を給電部と転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも小さく設定しない場合に比べて、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項4に記載の画像形成装置によれば、第一の転写部材の抵抗と、第一の転写部材と転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗との合計抵抗が、給電部と転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも大きく設定されない場合に比べて、第二の転写手段側から第一の転写手段側へ流れ込む電流を抑制することができ、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の請求項5に記載の画像形成装置によれば、第一の転写部材と転写ニップ部との間に配されるベルトの長さが、給電部と転写ニップ部との間に配されるベルトの長さよりも長く設定されない場合に比べて、第一の転写部材の材質に関わらず第二の転写手段側から第一の転写手段側へ流れ込む電流を抑制することができ、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明の請求項6に記載の画像形成装置によれば、対向部材の表面の電荷を除去する電荷除去手段を設けない場合に比べて、第二の転写手段における転写不良を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の転写装置を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の転写装置の二次転写の態様を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の転写装置に対する比較例としての転写装置の二次転写の態様を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の転写装置の二次転写の態様を等価回路を用いて説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、添付の図面に基づいて説明する。
【0022】
(全体構成)
図1に示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0023】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっており、この処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が装置本体10A内の中央に設けられている。
【0024】
また、露光装置14の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、略水平方向に間隔をおいて配置されている。以下、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載する。
【0025】
これらの4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、すべて同様に構成されており、予め決められた速度で回転駆動される円柱状の像保持体18と、この像保持体18の外周面を帯電する一次帯電用の帯電部材20と、前述した露光装置14の画像露光によって像保持体18の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた色のトナーで現像してトナー像として可視化する現像装置22と、像保持体18の外周面を清掃する清掃ブレード24とを含んで構成されている。また、帯電部材20の下側には、円柱状の帯電部材20と接して帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64が設けられている。
【0026】
また、露光装置14には、4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kに共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザが設けられており、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射されるようになっている。
【0027】
なお、半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0028】
また、この露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム28によって密閉されている。そして、フレーム28の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に向けて透過させる透明なガラス製のウインドウ30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
【0029】
一方、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方には、転写ユニット21が設けられている。そして、この転写ユニット21は、無端状の中間転写ベルト32と、中間転写ベルト32を懸架する2個の懸架ロール36、40と、中間転写ベルト32の外周面を清掃する清掃ブレード38と、中間転写ベルト32を挟んで像保持体18Y、18M、18C、18Kの反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kと、を備えている。懸架ロール36は、中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与ロールとして構成され、懸架ロール40は回転駆動して中間転写ベルト32を矢印方向に周回させる駆動ロールとして構成されている。
【0030】
この4つの一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kによって、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、中間転写ベルト32上に、多重に転写される構成となっている。
【0031】
また、中間転写ベルト32を挟んで懸架ロール40の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト32により搬送され、懸架ロール40と二次転写ロール42に挟まれ、搬送経路56に沿って搬送される記録媒体の一例としてのシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0032】
さらに、二次転写ロール42に対してシート部材Pの搬送方向下流側には、シート部材Pに転写されたトナー像を熱及び圧力によりシート部材Pに定着する定着装置44が設けられている。
【0033】
また、定着装置44の下流側には、トナー像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
【0034】
一方、画像形成装置10の装置本体10A内の下側には、シート部材Pが積載される給紙部材50が設けられている。さらに、この給紙部材50に積載されたシート部材Pを搬送経路56へ送り出す給紙ロール52が設けられ、給紙ロール52の下流側には、シート部材Pを1枚ずつ分離して搬送る分離ロール54が設けられている。また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合せロール58が設けられている。これにより、給紙部材50から供給されたシート部材Pは、予め決められたタイミングで回転する位置合せロール58によって中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接する位置(二次転写位置)へ送り出される構成となっている。
【0035】
さらに、排出ロール46の隣りには、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。これにより、両面用搬送経路62に沿って搬送されるシート部材Pは、表裏が反転された状態で、位置合せロール58へと再度搬送され、今度は、シート部材Pの裏面にトナー像が転写・定着されて排出部48上に排出されるようになっている。
【0036】
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0037】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力され、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材20によって帯電した像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。像保持体18上に形成された静電潜像は、現像装置22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
【0038】
さらに、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方に渡って配置された転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写される。
【0039】
また、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写された各色のトナー像は、二次転写ロール42により、給紙部材50から給紙ロール52、分離ロール54、位置合せロール58によって搬送経路56に予め決められたタイミングで搬送されたシート部材Pに二次転写される。
【0040】
さらに、トナー像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。シート部材Pに転写されたトナー像は、定着装置44によってシート部材Pに定着され、定着された後、画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
【0041】
さらに、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へと搬送する。そして、両面用搬送経路62に沿ってシート部材Pを搬送することで、シート部材Pの表裏が反転され、シート部材Pが再度位置合せロール58へと搬送される。今度は、シート部材Pの裏面にトナー像が転写・定着され、転写・定着された後、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
【0042】
(要部構成)
上記した画像形成装置10に含まれる転写装置100について改めて説明すると、図2に示すように、転写装置100は、移動可能なベルトの一例としての中間転写ベルト32と、像保持体18に形成されたトナー像を中間転写ベルト32に一次転写する一次転写手段(第一の転写手段)102と、中間転写ベルト32に一次転写されたトナー像をシート部材Pに二次転写する二次転写手段(第二の転写手段)104と、を有している。
【0043】
中間転写ベルト32は、例えば1×1010Ω・cmの体積電気抵抗率を有する半導電性の材料から構成されている。
【0044】
一次転写手段102は、像保持体18との間で中間転写ベルト32を挟むように像保持体18に対向して配置される第一の転写部材の一例としての一次転写ロール34と、一次転写ロール34と像保持体18との間で中間転写ベルト32を挟むことで形成される一次転写ニップ部N1で一次転写を行うための電力を供給する一次転写電源部106と、を有している。
【0045】
尚、図2では、各色のうち二次転写手段104に最も接近して配置されるブラックKの一次転写手段102について示しているが、他の色の一次転写手段102についても同様である。以下、一次転写ロール34と一次転写電源部106を有する一次転写手段102として、ブラックKについてのものを代表にとって説明する。
【0046】
一次転写ロール34は、導電性を有する心金34aと、その周囲に設けられる半導電性の発砲ゴム材34bとから構成されている。一次転写電源部106のプラス極が一次転写ロール34の心金34aに接続されており、それにより発砲ゴム材34bの一次転写ニップ部N1近傍の中間転写ベルト32をプラスに帯電させる。一次転写ニップ部N1において、マイナスの電荷を帯びるトナーが静電作用によって像保持体18から中間転写ベルト32へと移動することで、トナー像が像保持体18から中間転写ベルト32に一次転写される。
【0047】
一次転写電流I1は、一次転写電源部106→心金34a→発砲ゴム材34b→中間転写ベルト32を通って流れ、中間転写ベルト32をプラスに帯電させ、トナーを転写し、帯電部材20によって帯電された像保持体18の表面電荷を打ち消す。
【0048】
二次転写手段104は、中間転写ベルト32の移動方向において一次転写手段102の下流側に設けられる第二の転写部材の一例としての二次転写ロール42と、二次転写ロール42に対向して設けられる対向部材の一例としての懸架ロール40とを有し、二次転写ロール42と懸架ロール40との間に中間転写ベルト32とシート部材Pとを挿通させることで形成される二次転写ニップ部N2に二次転写を行うための電力が供給されることで、中間転写ベルト32に一次転写されたトナー像がシート部材Pに二次転写されるように構成されている。
【0049】
尚、懸架ロール40は、中間転写ベルト32を懸架する2個の懸架ロール36、40の内の1個であるが、二次転写ニップ部N2を形成するための二次転写ロール42に対向して設けられる二次転写対向部材であるため、以下、懸架ロール40を「二次転写対向ロール40」と呼ぶ。
【0050】
二次転写ロール42は、導電性を有する心金42aと、その周囲に設けられる半導電性の発砲ゴム材42bとから構成されている。発砲ゴム材42bは、中間転写ベルト32の体積電気抵抗率(例えば1×1010Ω・cm)に比べて小さい体積電気抵抗率(例えば1×10Ω・cm)を有している。
【0051】
二次転写対向ロール40は、絶縁材から構成されている。ここで、絶縁材とは、中間転写ベルト32の体積電気抵抗率(例えば1×1010Ω・cm)よりも100〜1000倍の体積電気抵抗率(例えば1×1012〜13Ω・cm)を有する高抵抗材をいう。
【0052】
二次転写対向ロール40の近傍には、電荷除去手段の一例としての除電布108が設けられている。除電布108はその一端部が二次転写対向ロール40の回転方向における二次転写ニップ部N2の上流側の位置において二次転写対向ロール40に接触するようにして設けられおり、他端部はアース接続されている。この除電布108により、二次転写対向ロール40の表面の電荷が除去されるようになっている。尚、電荷除去手段として非接触型のものを用いてもよい。
【0053】
中間転写ベルト32の移動方向において二次転写ニップ部N2の下流側には、給電部110が設けられている。給電部110は、清掃ブレード38の対向するように中間転写ベルト32の内周面に接触して設けられる対向ロール112と、対向ロール112に接続される二次転写電源部114とから構成されている。対向ロール112は金属材などの導電性材から構成されている。対向ロール112には、二次転写電源部114のマイナス極が接続されている。給電部110は、二次転写電源部114から対向ロール112と中間転写ベルト32とを通じて二次転写ニップ部N2に二次転写を行うための電力を供給している。
【0054】
図3に示すように、本実施形態の転写装置100にあっては、二次転写ニップ部N2の下流側に給電部110を設け、中間転写ベルト32を通じて二次転写ニップ部N2に電力を供給する構成としたため、給電部110(具体的には対向ロール112)と二次転写ニップ部N2との間に配される中間転写ベルト32は、マイナスに帯電される。それに伴い、二次転写ニップ部N2を介して相対する二次転写ロール42の発砲ゴム材42bの外周面(二次転写ニップ部N2とその上流側近傍における外周面)は、プラスに帯電される。それにより、二次転写ニップ部N2において、マイナスの電荷を帯びるトナーが静電作用によって中間転写ベルト32からシート部材Pへと移動し、トナー像が中間転写ベルト32からシート部材Pに二次転写される。
【0055】
二次転写ロール42の心金42aはアース接続されており、二次転写電流I2は、心金42a→発砲ゴム材42b→シート部材P→中間転写ベルト32→対向ロール112→二次転写電源部114を通って流れる。
【0056】
図4は、本実施形態に係る転写装置100の対する比較例としての転写装置200の二次転写の態様を説明する説明図である。
【0057】
転写装置200の二次転写対向ロール202は、導電性を有する心金202aと、その周囲に設けられる半導電性の発砲ゴム材202bとから構成されている。そして、二次転写電源部114のマイナス極が二次転写対向ロール202の心金202aに接続されている。それにより、発砲ゴム材202bの外周面はマイナスに帯電される。それに伴い、二次転写ニップ部N2を介して相対する二次転写ロール42の発砲ゴム材42bの外周面(二次転写ニップ部N2とその上下流側近傍における外周面)は、プラスに帯電される。尚、二次転写電流I2は、心金42a→発砲ゴム材42b→シート部材P→中間転写ベルト32→発砲ゴム材202b→心金202a→二次転写電源部114を通って流れる。
【0058】
ここで、転写装置200にあっては、二次転写電源部114を二次転写対向ロール202に設けて二次転写対向ロール202の外周面を帯電させているので、二次転写ニップ部N2のシート部材Pの搬送方向における上流側の二次転写ロール42と二次転写対向ロール202との間には、ここにシート部材Pが介在することで放電(パッシェン放電)204が起きる程度の電界Eが発生している。
【0059】
そして放電204が起きると、放電204によって生成された陽イオンがトナー粒子に付着して一部のトナー粒子を逆極性であるプラスに帯電させる。そうすると、二次転写ニップ部N2において本来シート部材Pに二次転写されるべきトナー粒子が中間転写ベルト32に付着したままとなり、シート部材Pには白抜けと呼ばれる画像欠陥(転写不良)206が生じる。
【0060】
特に、両面印刷時においては、シート部材Pが定着装置44を一度通過するため乾燥して高抵抗化しているため、二次転写ニップ部N2に供給する電力(二次転写電圧)を高く設定する必要があり、この場合、二次転写ニップ部N2の上流側の二次転写ロール42と二次転写対向ロール202との間には強い電界Eが生じる。このため、放電204が起き易く、画像欠陥206が生じ易くなる。
【0061】
これに対し、図3に示すように、本実施形態に係る転写装置100では、給電部110を二次転写ニップ部N2の下流側に設け、中間転写ベルト32を通じて二次転写ニップ部N2に電力を供給するように構成しているので、二次転写ニップ部N2の上流側の帯電量が抑制されて二次転写ロール42と二次転写対向ロール40との間に電界Eが発生するのが抑制されるようになっている。即ち、二次転写ニップ部N2の上流側に発生する電界Eに起因してトナーが逆極性に帯電することが抑制される。
【0062】
また、二次転写対向ロール40は、中間転写ベルト32を懸架するための懸架ロール40としての機能を兼ねているため、半周に渡って中間転写ベルト32と接触されている。しかしながら、二次転写対向ロール40は絶縁材から構成されているため、二次転写対向ロール40への通電は抑制されるようになっている。そのため、二次転写対向ロール40の外周面がマイナスに帯電するのが抑制され、その結果、二次転写ニップ部N2の上流側の二次転写ロール42と二次転写対向ロール40との間に電界Eが発生するのが一層抑制されるようになっている。即ち、二次転写ニップ部N2の上流側に発生する電界Eに起因してトナーが逆極性に帯電することが一層抑制される。
【0063】
さらに、二次転写対向ロール40にはその回転方向における二次転写ニップ部N2の上流側に除電布108を設けているため、二次転写対向ロール40の外周面がマイナスに帯電されることがあったとしても、この除電布108によって二次転写対向ロール40の外周面のマイナス電荷は除去される。その結果、二次転写ニップ部N2の上流側の二次転写ロール42と二次転写対向ロール40との間に電界Eが発生するのがさらに一層抑制されるようになっている。即ち、二次転写ニップ部N2の上流側に発生する電界Eに起因してトナーが逆極性に帯電することがさらに一層抑制される。
【0064】
図5は、本実施形態の転写装置100の二次転写の態様を等価回路を用いて説明する説明図である。図中の符号116は、給電部110の対向ロール112と中間転写ベルト32とが接触する接触位置を示している。RbXは、接触位置116と二次転写ニップ部N2との間に配される中間転写ベルト32の抵抗を示している。RbYは、一次転写ニップ部N1(ブラックKの一次転写手段102の一次転写ニップ部N1)と二次転写ニップ部N2との間に配される中間転写ベルト32の抵抗を示している。R1は、一次転写ロール34(主として発砲ゴム材34b)の抵抗を示し、R2は二次転写ロール42(主として発砲ゴム材42b)とシート部材Pの抵抗を示している。
【0065】
また、Xは、接触位置116と二次転写ニップ部N2との間に配されるベルトの長さを等価回路上において模式的に示している。Yは、一次転写ニップ部N1と二次転写ニップ部N2との間に配されるベルトの長さを等価回路上において模式的に示している。
【0066】
本実施形態の転写装置100においては、抵抗R2を抵抗RbXよりも小さく設定している。即ち、接触位置116と二次転写ニップ部N2との間に配される中間転写ベルト32での電圧降下を二次転写ロール42での電圧降下よりも大きくなるように設定し、二次転写ロール42の外周面に誘起される電位が小さくなる(外周面のプラス帯電量を少なくする)ようにしている。
【0067】
このため、二次転写ニップ部N2の上流側の二次転写ロール42と二次転写対向ロール40との間に電界Eが発生するのがより一層抑制されるようになっている。加えて、二次転写ニップ部N2における電位が低くなるため、中間転写ベルト32が半導電性の材料から構成されているとしても、一次転写手段102側から二次転写手段104側への流れ込み電流I12が生じるのが抑制されるようになっている。
【0068】
また、本実施形態の転写装置100においては、抵抗R1と抵抗RbYとの合計抵抗を抵抗RbXよりも大きく設定している。そのため、二次転写手段104側から一次転写手段102側への流れ込み電流I21が生じるのが抑制されるようになっている。
【0069】
さらに、本実施形態の転写装置100においては、一次転写ニップ部N1と二次転写ニップ部N2との間に配されるベルトの長さYを接触位置116と二次転写ニップ部N2との間に配されるベルトの長さXよりも長く設定している。そのため、一次転写ロール34を低抵抗材(例えば金属材)から構成したとしても、抵抗RbY>抵抗RbXの関係が成立し、二次転写手段104側から一次転写手段102側への流れ込み電流I21が生じるのが抑制されるようになっている。
【0070】
尚、本実施形態の転写装置100においては、二次転写部材として二次転写ロール42を用いたが、シート部材Pを吸着しつつ搬送可能なベルト状の部材を用いてもよい。
【0071】
また、本実施形態の転写装置100においては、図1に示すように、装置全体として小型化を図るため、中間転写ベルト32を懸架ロール36と二次転写対向ロール40との2軸で懸架すると共に、懸架ロール36と二次転写対向ロール40と二次転写ロール42との軸心が直線状に並ぶようにそれらロールを配置し、それらロールの軸心を含む面に対して略垂直方向にシート部材Pが搬送されるように搬送経路56を配置している。このような配置関係においては、二次転写ニップN2の上流側にシート部材Pが介在することで放電204が起き易いものとなっている。そのため、本発明の如く構成することで、装置全体として小型化を図りつつ、二次転写手段の転写ニップ部の上流側に発生する電界に起因してトナーが逆極性に帯電することを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0072】
10 画像形成装置
14 露光装置
16 画像形成ユニット
18 像保持体
20 帯電部材
21 転写ユニット
22 現像装置
32 中間転写ベルト(ベルトの一例)
34 一次転写ロール(第一の転写部材の一例)
34a 心金
34b 発砲ゴム材
36 懸架ロール
38 清掃ブレード
40 懸架ロール、二次転写対向ロール(対向部材の一例)
42 二次転写ロール(第二の転写部材の一例)
42a 心金
42b 発砲ゴム材
44 定着装置
56 搬送経路
62 両面用搬送経路
100 転写装置
102 一次転写手段(第一の転写手段)
104 二次転写手段(第二の転写手段)
106 一次転写電源部
108 除電布(電荷除去手段の一例)
110 給電部
112 対向ロール
114 二次転写電源部
116 接触位置
204 放電
206 画像欠陥
E 電界
I1 一次転写電流
I2 二次転写電流
I12 流れ込み電流
I21 流れ込み電流
N1 一次転写ニップ部
N2 二次転写ニップ部
P シート部材(記録媒体の一例)
R1 抵抗
R2 抵抗
RbX 抵抗
RbY 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像装置と、
周回移動可能なベルトと、
第一の転写部材を備え、前記現像装置によって現像された前記像保持体上のトナー像を前記ベルトに転写する第一の転写手段と、
前記ベルトの移動方向において前記第一の転写手段の下流側に設けられる第二の転写部材と前記第二の転写部材に対向して設けられる対向部材とを備え、前記第二の転写部材と前記対向部材との間に前記ベルトと記録媒体とを挿通させることで形成される転写ニップ部に二次転写を行うための電力が供給され、前記転写ニップ部において前記ベルトに一次転写されたトナー像を前記記録媒体に二次転写する第二の転写手段と、
前記ベルトの移動方向において前記転写ニップ部の下流側で前記ベルトに接触して設けられ、前記ベルトを通じて前記転写ニップ部に電力を供給する給電部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルトは、複数個の懸架ロールに懸架されて周回移動可能とされており、
前記対向部材は、前記複数個の懸架ロールの内の1個を兼ねていると共に、絶縁材から構成される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二の転写部材の抵抗は、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも小さく設定されている請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一の転写手段は、前記像保持体との間で前記ベルトを挟むように配置される前記第一の転写部材を含んで構成されており、
前記第一の転写部材の抵抗と、前記第一の転写部材と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗との合計抵抗が、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの抵抗よりも大きく設定されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一の転写手段は、前記像保持体との間で前記ベルトを挟むように配置される前記第一の転写部材を含んで構成されており、
前記第一の転写部材と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの長さが、前記給電部と前記転写ニップ部との間に配されるベルトの長さよりも長く設定されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記対向部材の表面の電荷を除去する電荷除去手段を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−203254(P2012−203254A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68749(P2011−68749)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】