説明

画像形成装置

【課題】コストをかけずにノイズ対策を図ることができる画像形成装置のケーブルの取り回し技術を提供する。
【解決手段】
一般に、実施形態によれば、画像形成装置の基板ケース31,32は、装置筐体110内に配置される複数の電気部品172,182,192と複数の接続箇所で電気的に接続される制御基板17〜19を保持する。ケース支持部は、基板ケースを、装置筐体における被メンテナンス部102が近接配置される側面と平行な所定方向において被メンテナンス部の少なくとも一部と第1範囲で同じ位置にある第1位置と、所定方向における被メンテナンス部と同じ位置にある範囲が第1範囲よりも狭い第2位置と、の間で移動可能に装置筐体に支持する。制御基板は、複数の接続箇所それぞれが、基板ケースが第1位置にあるときに、接続対象となる電気部品に対応する位置となるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、画像形成装置のケーブルの取り回し技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成するMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置が用いられている(例えば、特許文献1)。
このような画像形成装置は、モータやソレノイド等の装置内部にあるメカを制御するための基板、および装置全体のシステムをコントロールするための基板等を備える。これらの基板は、メンテナンス時の着脱の容易性、オプションによる追加装着の容易性、および外気による冷却の容易性を考慮して、一般的に、装置筺体の背面にネジ等により固定される。
【0003】
しかしながら、基板が固定される装置筺体の背面には、ファンやモータ等のメンテナンス対象となる被メンテナンス部がある。基板は、これらの被メンテナンス部を覆うように装置筺体の背面に固定される。従って、従来の画像形成装置では、被メンテナンス部のメンテナンス時に基板を装置筺体から取り外す必要があり、被メンテナンス部にアクセスしにくいという問題がある。また、従来の画像形成装置では、メンテナンス時に基板を装置筺体から取り外すこととなるので、取り外した基板を立てかけておくと基板が倒れて基板にダメージを与えしまうおそれがあるという問題もある。
【0004】
これらの問題に対し、装置筺体の背面に基板ケースを回動可能に設け、この基板ケースに基板が固定される画像形成装置がある。この装置では、基板ケースの左右いずれかの端部に、基板ケースを装置筺体に対して回動可能に支持する支持部がある。装置筺体の背面にある被メンテナンス部へアクセスする際には、支持部を支点として基板ケースを装置筺体の背面から離れる側に回動させることで、基板ケースを装置筺体から取り外すことなく被メンテナンス部へアクセスできる。また、メンテナンス時にも基板を基板ケースを介して装置筺体側に取り付けた状態にできるので、メンテナンス時に基板にダメージを与えてしまうことを抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この装置では、装置筺体内に収容された電気部品と基板とを接続する各ケーブルは、支持部近傍を通る構成を採用するのが一般的である。この場合、各ケーブルが近接するので信号にノイズが生じやすく、ノイズ対策にコストがかかるという問題がある。
【0006】
また、この装置では、各ケーブルは支持部近傍を経由するので、装置筺体側または基板側に対する接続点が支持部から遠い位置にあるケーブルは全長が長くなってしまい、これによってもコストがかかるという問題がある。
【0007】
この明細書は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、コストをかけずにノイズ対策を図ることができる画像形成装置のケーブルの取り回し技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一般に、実施形態によれば、画像形成装置は、被メンテナンス部と、装置筐体と、基板ケースと、ケース支持部と、制御基板と、を備える。被メンテナンス部はメンテナンス対象である。装置筐体は、被メンテナンス部を装置中央よりも側面側に近い位置に配置するように収容する。基板ケースは、装置筐体内に配置される複数の電気部品と複数の接続箇所で電気的に接続される制御基板を保持する。ケース支持部は、基板ケースを、装置筐体における被メンテナンス部が近接配置される側面と平行な所定方向において被メンテナンス部の少なくとも一部と第1範囲で同じ位置にある第1位置と、所定方向における被メンテナンス部と同じ位置にある範囲が第1範囲よりも狭い第2位置と、の間で移動可能に装置筐体に支持する。制御基板は、複数の接続箇所それぞれが、基板ケースが第1位置にあるときに、接続対象となる電気部品に対応する位置となるように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
以上に詳述したように、この明細書によれば、コストをかけずにノイズ対策を図ることができる画像形成装置のケーブルの取り回し技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の斜視図である。
【図2】画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図3】画像形成装置のシステムブロック図である。
【図4】読取部の無い画像形成装置を背面側から見た斜視図である。
【図5】基板ケースが固定されている状態を示す図である。
【図6】基板のコネクタの位置と電気部品との位置関係を示す図である。
【図7】基板ケースの上部のガイド部を示す図である。
【図8】規制部の一例を示す図である。
【図9】規制部の他の例を示す図である。
【図10】基板ケースの下部をガイドするガイド部を示す図である。
【図11】背面側から見た第2実施形態の装置本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、画像形成装置1の斜視図である。図1において、上下方向を+−Z方向とし、右左方向を+−X方向とし、前後方向を+−Y方向とする。
画像形成装置1は、MFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、タッチパネル11でユーザの操作入力を受け付けると、ADF12にセットされたシートを画像読取部13で読み取り、画像データや印刷枚数等のコマンド等を含む印刷ジョブを生成する。画像形成装置1は、給紙カセット14内のシートを画像形成部22に送り、印刷ジョブに基づいて画像形成部22により画像をシートに形成する。画像形成装置1の右側面(背面側から画像形成装置1を見た場合には左側面)には、USB(Universal Serial Bus)のコネクタ15がある。画像形成装置1は、読み取った画像データを、コネクタ15に接続するUSBメモリに転送できる。
【0012】
図2は、画像形成装置1の内部構成を示す図である。
画像読取部13は、原稿台131やADF12にセットされたシート上の画像をCCD132(Charge Coupled Device)にて読み取る。画像形成装置1は、図1の要素11〜15,22の他、給紙部21、定着排紙部23、およびADU24(Automatic Duplex Unit)を備える。給紙部21は、ピックアップローラ211等により給紙カセット14からシートを取り出し、シートを搬送ローラ212により画像形成部22に搬送する。画像形成部22では、レーザユニット221がレーザにより現像器ユニット222の各色毎の感光体2221Y〜2221K上に静電潜像を形成する。現像器ユニット222は、感光体2221Y〜2221K上の静電潜像を現像し、感光体2221Y〜2221K上に各色毎のトナー像を形成する。感光体2221Y〜2221Kは、各色のトナー像を転写ユニット223の転写ベルト2231上に重ねて転写し、1枚のカラートナー像を形成する。転写ベルト2231は、転写位置Pにてトナー像をシートに転写する。定着排紙部23は、定着器231によりシートを加熱押圧し、画像をシートに定着させた後、シートを排紙トレイ232に排紙する。ADU24は、一方の面に画像が形成されたシートを反転させた後、シートを転写位置Pに送る。
【0013】
各要素11〜15、21〜24は、フレームに組み付けられて一体となり、装置本体100を構成する。装置本体100の外面である前記フレームや板金等は、装置筐体110を構成する。装置筐体110は、後述するモータ等の被メンテナンス部を、装置1中央よりも側面側(背面側)に近い位置に配置するように収容する。
【0014】
図3は、画像形成装置1のシステムブロック図である。
画像形成装置1は、SLG基板16(Soda Lime Glass)、IMG基板17(Image Substrate、第1基板)、SYS基板18(System Substrate、第1基板)、LGS基板19(Logical Substrate、第2基板)、およびHDD20(Hard Disk Drive)を備える。各基板16〜19(制御基板)は、適宜に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、およびCPU(Central Processing Unit)を備える。
SLG基板16は、CCD132の駆動制御を行うとともに、CCD132が出力する画像データに対し、シューティング補正および3ライン補正等の処理を行う。
IMG基板17は、SLG基板16が出力する画像データに対し、色変換、墨入れ、ガンマ補正、圧縮、および伸長等の処理を行う。
【0015】
SYS基板18は、IMG基板17が出力する画像データに対し、ブラックオーバープリント、彩度調整、明度調整、およびコントラスト調整等の処理を行う。SYS基板18は、画像データをHDD20に格納する。SYS基板18は、USBホストとしての機能を有し、コネクタ15に接続するUSBメモリに対して画像データを送受信できる。SYS基板18は、給紙部21、画像形成部22、定着排紙部23、およびADU24等、画像形成装置1の各部の制御を司る。
LGS基板19は、SYS基板18が出力する画像データに対し、スムージング処理および画像エリア処理等を行う。LGS基板19は、画像データに基づいて画像形成部22のレーザユニット221を制御する。LGS基板19は、SYS基板18からの制御信号に基づいて、画像形成装置1の各部を制御する。具体的に、LGS基板19は、画像形成装置1の各部のモータやクラッチ、ソレノイド等の可動部材、および高圧トランス等を制御する。
【0016】
図4は、画像読取部13が外された状態の装置本体100を背面101側から見た斜視図である。
装置筺体110の背面101には、装置筺体110内の部材に駆動力を供給するモータ102が露出する。画像形成装置1では、給紙部21、画像形成部22、定着排紙部23、およびADU24毎に、駆動力を供給するモータや各部を冷却するファンが1つまたは複数ある。モータ102は、各部21〜24のいずれかのものであり、メンテナンス対象となる。以下、モータ102を被メンテナンス部102と称する。装置本体100の背面101側には、モータ102以外の図示しない他のモータや、図示しないファンが組み付けられている。これらの要素は、メンテナンス対象であり、被メンテナンス部である。また、装置筺体110内部に電気部品があり、該電気部品にアクセスするために装置筺体110の背面101にある開口を閉塞するカバー等も被メンテナンス部と称する。
【0017】
装置筺体110の背面101には、被メンテナンス部102を覆うように基板17〜19およびHDD20が取り付けられる。以下、基板17〜19およびHDD20の取付構造3を説明する。
取付構造3は、基板ケース31,32、ガイド部41,42(ケース支持部)、ケーブル33、後述する規制部34、およびストッパ35を備える。
基板ケース31,32は、装置筐体110内に配置されるファン102等の複数の電気部品と複数の接続箇所で電気的に接続される制御基板17〜19を保持する。基板ケース31,32は、ガイド部41,42にガイドされることにより、装置筺体110の背面101に沿って左右にスライド可能である。基板ケース31,32は、一面が開いた箱状であり、収容空間内の底部分が平面状の基板保持部311,321となっている。基板ケース31,32は、板金を加工して製作される。基板ケース31,32は、左右並んだ状態で接続され、一体となっている。基板ケース31,32は、基板保持部311,321が垂直となるように配置される。
【0018】
基板保持部311は、IMG基板17、SYS基板18、およびHDD20を基板保持部311と平行に保持する。基板保持部311は、これらのIMG基板17、SYS基板18、およびHDD20のいずれかまたは全部を積層させて保持してもよい。基板保持部321は、基板保持部321と平行にLGS基板19を保持する。基板ケース31,32の下端部は、平面状の底面部312,322となっている。底面部312,322には、左右方向(+−X方向)に延びる開口部313,323がある。基板ケース31,32の上端部は、平面状の天面部314,324となっている。天面部314,324には、左右方向(+−X方向)に延びる開口部315,325がある。
基板ケース31,32の左右方向の合わせた長さは、装置筺体110の背面101の左右方向の長さとほぼ等しい。
【0019】
ストッパ35は、突起351およびストッパ突起352を備える。突起351は、基板ケース31の装置筺体110との対向面にある。ストッパ突起352は、装置筺体110の背面101にある。基板ケース31,32が所定量以上右方にスライドすると、突起351がストッパ突起352に当接し、基板ケース31,32のガイド部41,42からの落下が防止される。
【0020】
図5は、基板ケース31,32が装置筺体110に固定されている状態を示す図である。
基板ケース31,32は、装置1が動作する通常時は左右に並んだ状態で装置筺体110にネジ36(図7)により固定され、被メンテナンス部102を覆う。
基板ケース31は、装置筺体110の背面101側から装置筺体110を見る場合に基板ケース32よりも左側(図5中左側)に固定され、装置筺体110の背面101に露出する被メンテナンス部102を覆う。USBメモリが接続するコネクタ15は、装置筺体110の図5中左側の側面にある。基板ケース31は、USBホスト機能を有するSYS基板18を保持するため、LGS基板19を保持する基板ケース32よりも、コネクタ15に近い図5中左側に固定される。
【0021】
基板ケース31、32に保持された基板17〜19の上部にはコネクタ(接続箇所)がある。基板ケース31,32が装置筺体110に固定されている状態において、ケーブル33の一部は、基板ケース31,32の天面部314,324にある開口部315、325を通って、基板17〜19の上部にあるコネクタに差し込まれる。
基板17〜19の下部にもコネクタがある。ケーブル33の一部は、基板ケース31,32の底面部312,322にある開口部313、323を通って、基板17〜19の下部にあるコネクタに差し込まれる。基板17〜19は、ケーブル33を介して装置筺体110内のモータ等の電気部品と接続する。
【0022】
本実施形態では、装置筺体110の背面101側にある被メンテナンス部102のメンテナンス時には、ネジ36を外すとともにケーブル33を基板17〜19から外す。ケーブル33は、基板ケース31,32内から開口部313、323を介して基板ケース31,32外に引き抜く。そして、基板ケース31,32を右方にスライドさせ(図4参照)、装置筺体110の背面101側にある被メンテナンス部102にアクセスする。
なお、本実施形態では、基板ケース31,32は、装置筺体110への固定位置からは右方にのみスライドでき、左方にはガイド部41,42やその他の機構によりスライドできないものとする。しかしながら、基板ケース31,32は、装置筺体110への固定位置から右方および左方のいずれにもスライドできてもよいし、図4に示すスライド方向とは反対方向の左方にのみスライドするものであってもよい。
【0023】
ガイド部41,42は、基板ケース31,32が装置筺体110の背面101に沿って左右にスライドすることをガイドする。ガイド部41は、基板ケース31,32の上部をガイドし、ガイド部42は、基板ケース31,32の下部をガイドする。
ガイド部41,42は、基板ケース31,32を、被メンテナンス部102が配置される背面101と平行な左右方向において、第1位置と第2位置との間で移動可能に装置筐体110に支持する。
【0024】
第1位置は、本実施形態では基板ケース31,32が装置筺体110に固定される位置であり、基板ケース31,32が被メンテナンス部102を覆う位置である。第2位置は、本実施形態では、図4に示すように、基板ケース31,32の少なくとも一部が第1位置よりも装置筐体110から離間する位置である。
換言すると、第1位置は、基板ケース31,32を、メンテナンス時における装置1外からの被メンテナンス部102へのアクセスを遮る位置である。第2位置は、装置1外からの被メンテナンス部102へのアクセスを可能とする位置である。
また、換言すると、第1位置は、装置筐体110における被メンテナンス部102が近接配置される背面101(側面)と平行な左右方向(所定方向)において被メンテナンス部102の少なくとも一部と第1範囲で同じ位置にある位置である。第2位置は、左右方向における被メンテナンス部102と同じ位置にある範囲が第1範囲よりも狭い位置である。
【0025】
図6は、基板17〜19のコネクタ171、181,191の位置と電気部品172,182,192との位置関係を示す図である。
基板17〜19では、複数のコネクタ171、181,191(図6では基板17、19においては1つのみ図示)それぞれが、基板ケース31,32が図6の第1位置にある時に、接続対象となるモータ等の電気部品172,182,192に対応する位置となるように配置されている。ここで、対応とは、例えば電気部品172,182,192とコネクタ171、181,191とが+−Y方向上に並ぶ位置であり、各ケーブル33が束ねられたりしてひとまとまりにされない位置である。
これにより、本実施形態では、各ケーブル33同士が離れるので、ケーブル33を流れる信号にノイズが生じることを抑制できる。
また、本実施形態では、従来の画像形成装置のように、基板ケース17〜19を支持する支持部近傍を各ケーブル33が経由すること、を不要にできるので、各ケーブル33の全長を短くできてコストを抑制できる。
【0026】
図7は、基板ケース31の上部のガイド部41を示す図である。なお、図7では、分かりやすくするため、基板ケース31上にIMG基板17のみを描いた。しかしながら、実際は、基板ケース31上には基板17,18およびHDD20が固定される。また、基板ケース32の上部にも同様のガイド部41がある。
ガイド部41は、装置筺体110側にあるレール部411と、基板ケース31,32側にあるスライダ部412とを備える。レール部411は、金属製であり、装置筺体110の背面101に沿って左右に延びる。スライダ部412は、金属製の基板ケース31,32の一部であり、鉤状である。スライダ部412は、レール部411に嵌まり、レール部411上をスライドする。
【0027】
ネジ36は、基板ケース31,32を貫通してレール部411にねじ込まれ、基板ケース31,32を装置筺体110に固定する。基板ケース31,32の上部は、ネジ36およびガイド部41を介して装置筺体110と導電する。
規制部34は、装置筺体110に取り付けられてケーブル33の一部分を互いに離間させ、かつケーブル33が他のケーブル33に近接する側に移動することを規制する。規制部34は、図7において紙面垂直方向(+−X方向)に複数ある。各規制部34は、各ケーブル33が接続する基板17〜19のコネクタ171、181,191と、+−X方向において近い位置にある。規制部34は、各ケーブル33を互いに離れた地点に経由させればよく、ケーブル33の一部を装置筺体110に対して固定してもよい。各規制部34において、ケーブル33の軸方向への移動は可能であってもよい。
【0028】
規制部34の一例を図8に示す。この例では、規制部34は、樹脂製のクランプ部材であり、弾性変形するU字状の湾曲部341を備える。湾曲部341にケーブル33を嵌めることで、各ケーブル33の一部は、互いに離れた地点を経由することになる。本例の場合、ケーブル33は、軸方向においても規制部34に固定されることとなるが、規制部34は、ケーブル33を軸方向には移動可能にクランプしてもよい。規制部34の他の例を図9に示す。本例では、規制部34は、テープであり、ケーブル33の上から装置筺体110に貼られてケーブル33の一部を装置筺体110に固定する。
【0029】
このように、本実施形態では、装置筺体110内の各電気部品から装置筺体110の背面101側まで引き回された各ケーブル33は、その一部分が、互いに離れた位置で規制部34により装置筺体110に対して固定される。従って、各ケーブル33は、互いに離れた位置にある規制部34を経由して基板17〜19に至るので、本実施形態では、ケーブル33同士が隣接することを確実に抑制でき、ケーブル33を流れる信号にノイズが生じることを十分に抑制できる。
【0030】
本実施形態では、各ケーブル33の一部を装置筺体110に固定する各規制部34が、各ケーブル33が接続する基板17〜19のコネクタ171、181,191に対応する位置にある。そのため、装置筺体110の背面101にある被メンテナンス部102のメンテナンス時に、ケーブル33を基板17〜19から抜いて基板ケース31,32をスライドさせても、メンテナンスが終了して基板ケース31,32を元の位置に戻した際には、各ケーブル33が基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191の近くに位置する。そのため、各ケーブル33を基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191に接続しやすく、また接続ミスの発生を抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態では、基板17〜19上のコネクタ171、181,191は、基板ケース31,32が装置筺体110に固定される第1位置にある時に、接続対象となる電気部品172,182,192に対応する位置となるように基板17〜19上に配置されている。従って、例え規制部34が無かった場合においても、被メンテナンス部102のメンテナンス時に、各ケーブル33は、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191の近くに位置することとなり、接続ミスの発生を抑制できる。
【0032】
図10は、基板ケース31の下部をガイドするガイド部42を示す図である。基板ケース32の下部をガイドするガイド部42も、図10のガイド部42と同様の構成をしている。
ガイド部42は、装置筺体110側にある底面支持部421と、基板ケース31,32側にあるサイド支持部422とを備える。底面支持部421は、金属製である。底面支持部421は、第1底面支持部423、第2底面支持部424、および溝部425を備える。
【0033】
第1底面支持部423は、ガイド方向(+−X方向)に延び、基板ケース31,32の下部における装置筺体110に近接する+Y方向側を支持する。第1底面支持部423は、平面状で第2底面支持部424よりも装置筺体110側にあり、第2底面支持部424よりも底面部312,322との接触面積が大きい。第1底面支持部423は、底面部312,322と接触し、底面部312,322と導電する。
第2底面支持部424は、垂直に立つ板状であり、ガイド方向(+−X方向)に延びる。第2底面支持部424は、基板ケース31,32の下部における装置筺体110から離隔する−Y方向側を支持する。
溝部425は、第1底面支持部423と第2底面支持部424との間にある。溝部425内にはケーブル33が通る。
【0034】
基板ケース31,32のサイド支持部422は、底面部312,322の装置筺体110から離隔する側(−Y方向)端部から垂下する。サイド支持部422は、第2底面支持部424の外面に接し、第2底面支持部424と導電する。基板ケース31,32にある開口部313,323は、サイド支持部422が第2底面支持部424の外面と接触する状態の際に、+−Y方向において第1底面支持部423と重ならない位置にある。
ガイド部42は、基板ケース31,32の下部をガイドすることに加え、基板ケース31,32の下部をアースする機能も有する。本実施形態では、第1底面支持部423と底面部312,322との接触面積が大きいので、基板ケース31,32を十分にアースできる。
【0035】
第1底面支持部423には、切り込み部426(規制部)がある。切り込み部426は、ガイド方向に直交する+−Y方向に延びる。切り込み部426は、第1底面支持部423において+−X方向に複数ある。各切り込み部426には、ケーブル33が1本通る。各切り込み部426には、ノイズの発生を低い水準に抑えることができる程度の複数本のケーブル33が通ってもよい。装置筺体110側から延びる各ケーブル33は、切り込み部426、溝部425、基板ケース31,32の開口部313,323を通って、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191に接続する。
不図示のテープ等からなる規制部34は、ケーブル33の一部を互いに離れた位置で、溝部425内や装置筺体110の適宜の場所に固定する。
【0036】
本実施形態では、基板17〜19の下部のコネクタに接続するケーブル33も、切り込み部426や不図示の規制部34により、互いに近接する方向への移動が規制されており、従来のようにケーブル33を一部分に集めることが無い。そのため、基板17〜19の下部のコネクタに接続するケーブル33においても、信号にノイズが生じることを従来よりも抑制できる。
また、基板17〜19の下部のコネクタ171、181,191に接続する各ケーブル33の移動を、切り込み部426や不図示の規制部34が、各ケーブル33が接続するコネクタ171、181,191に対応する各位置で規制する。そのため、メンテナンスが終了して基板ケース31,32を元の位置に戻した際には、基板17〜19の下部に接続する各ケーブル33も、対応するコネクタ171、181,191の近くに位置する。従って、本実施形態では、基板17〜19の下部に接続する各ケーブル33も、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191に接続しやすい。
【0037】
(第2実施形態)
図11は、背面101側から見た装置本体100Aの斜視図である。
本実施形態は、基板ケース31A,32Aが別体であることが第1実施形態と異なる。基板ケース31A,32Aは、それぞれガイド部41,42にガイドされて左右に別個にスライドできる。不図示の規制部34は、ケーブル33の一部を、装置筺体110において互いに離れた位置に位置づける。
本実施形態では、画像形成装置1Aにおいて、背面101右側(図11右側)の奥部分は胴内排紙部分となっている。そのため、画像形成装置1Aの背面101において、右側は、装置筺体110の背面101からのアクセス率が低い。一方、装置筺体110の背面101の左側には、モータ等の被メンテナンス部102がある。そのため、装置筺体110の背面101の左側は、被メンテナンス部102のメンテナンスのためにアクセス率が高い。
【0038】
基板ケース31A,32Aは、装置1が動作する通常時は、左右に並んだ状態で装置筺体110にネジ36により固定される。この際、基板ケース31A,32A上の基板17〜19の各コネクタ171、181,191には対応するケーブル33が接続する。
装置筺体110の背面101の左側にある被メンテナンス部102のメンテナンス時は、左側の基板ケース31Aを固定しているネジ36を外すとともに、基板17,18に接続するケーブル33を外した後、基板ケース31Aを左側にスライドさせる。これにより、装置筺体110の背面101の左側が露出し、被メンテナンス部102をメンテナンスできる。メンテナンスの終了時には、基板ケース31Aを右側にスライドさせ、基板ケース31Aを元の位置に戻した後、各ケーブル33を基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191に差し込む。そして、ネジ36により基板ケース31Aを装置筺体110に固定する。
【0039】
本実施形態でも、ケーブル33が規制部34により互いに離れた位置で装置筺体110に位置付けられるので、ケーブル33内を通る信号にノイズが生じることを抑制できる。また、ケーブル33を基板17〜19から外した際に、各ケーブル33は、規制部34により、元の位置から大きく外れることなく位置が保持される。そのため、基板ケース31A,32Aを元の位置に戻した際に、各ケーブル33のコネクタは、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191に応じた位置に位置することとなる。従って、本実施形態でも、各ケーブル33のコネクタを、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191へ容易に接続できるとともに、基板17〜19の対応するコネクタ171、181,191へのケーブル33の接続ミスを抑制できる。
【0040】
なお、ケーブル33は、1本毎の信号線であってもよい。また、ケーブル33は、信号線が途中までひとまとまりになっており、基板17〜19に接続する先端側では信号線同士が分岐するハーネスであってもよい。ケーブル33が上記ハーネスである場合、規制部36は、信号線がひとまとまりになっているハーネスの途中部分を装置筺体110に固定等により位置づける。
前記各実施形態では、ケーブル33は、基板ケース31,31A,32,32Aの天面部314,324および底面部312,322を挿通して基板17〜19に接続する。しかしながら、ケーブル33は、基板ケース31,31A,32,32Aの天面部314,324および底面部312,322を挿通せずに乗り越えて基板17〜19に接続してもよい。
【0041】
前記各実施形態では、ケース支持部はガイド部41、42であったが、ケース支持部は、基板ケース31,31A,32,32Aをスライド自在に支持するものでなくてもよい。例えば、ケース支持部は、基板ケースの左右いずれかの端部に、基板ケースを装置筺体に対して回動可能に支持するものであってもよい。この場合、装置筺体の背面にある被メンテナンス部へアクセスする際には、支持部を支点として基板ケースを装置筺体の背面から離れる側に回動させる。
前記各実施形態では、基板ケース31,31A,32,32Aは、被メンテナンス部102を覆う第1位置と、第1位置よりも装置筐体110から離間する第2位置との間を移動した。しかしながら、基板ケースは、被メンテナンス部にアクセスする際に操作される関連部位(例えば被メンテナンス部を覆うケース)を覆う第1位置と、第1位置よりも関連部位から離間する第2位置との間を移動してもよい。
【0042】
記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、あるいは他のコンピュータ並びにそのデータベースなどが挙げられる。インストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。プログラムは、その一部または全部が、動的に生成される実行モジュールであってもよい。
前記各実施形態における各処理の順序は、前記実施形態で例示した順序と異なっていてもよい。
【0043】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0044】
1,1A…画像形成装置、17〜19…IMG基板、SYS基板、LGS基板(制御基板)、31,32,31A,32A…基板ケース、41,42…ガイド部(ケース支持部)、102…被メンテナンス部、110…装置筐体、172,182,192…電気部品。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2008−182594号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンス対象である被メンテナンス部と、
前記被メンテナンス部を装置中央よりも側面側に近い位置に配置するように収容する装置筐体と、
前記装置筐体内に配置される複数の電気部品と複数の接続箇所で電気的に接続される制御基板を保持する基板ケースと、
前記基板ケースを、前記装置筐体における前記被メンテナンス部が近接配置される側面と平行な所定方向において前記被メンテナンス部の少なくとも一部と第1範囲で同じ位置にある第1位置と、前記所定方向における前記被メンテナンス部と同じ位置にある範囲が前記第1範囲よりも狭い第2位置と、の間で移動可能に前記装置筐体に支持するケース支持部と、
前記複数の接続箇所それぞれが、前記基板ケースが前記第1位置にあるときに、接続対象となる電気部品に対応する位置となるように配置されている前記制御基板と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記ケース支持部は、前記基板ケースを前記側面に沿って第1位置と第2位置との間でスライド可能に支持する画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記基板ケースは、平面状の底面部を備え、
前記ケース支持部は、平面状で前記基板ケースのガイド方向に延びて前記底面部を支持し、前記基板ケースをガイドする際に前記底面部と接触し、前記底面部と導電する底面支持部を備える画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の装置において、
前記電気部品と前記接続箇所とを接続する複数のケーブルと、
前記装置筺体に取り付けられて前記ケーブルの一部分を互いに離間させ、かつ前記ケーブルが他のケーブルに近接する側に移動することを規制する規制部とを備える画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記規制部は、前記基板ケースよりも上方にあり、前記ケーブルは下方に垂れ下がって前記接続箇所に接続する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−226350(P2012−226350A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−90675(P2012−90675)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】