説明

画像形成装置

【課題】通信回線を介して省電力モードへの移行が完了したことを通知できるようにする。
【解決手段】原稿の画像を読取る読取り制御部と、画像を用紙に印刷する印刷制御部とを有する画像形成装置において、前記読取り制御部は、前記印刷制御部から受信した省電力への移行指示にしたがって省電力への移行処理が完了すると、第2の通信制御部により通信を遮断し、前記印刷制御部は、第1の通信制御部により前記読取り制御部へ前記省電力への移行指示を送信した後、前記通信が遮断されたことを検知して電源制御部112により前記読取り制御部への電力供給を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、予め定められた省電力モード移行条件を満足した場合、構成要素の中で特に消費電力が大きい定着器を含むプリンタエンジンへの電力供給を切断して消費電力を低減させる省電力モードへ移行するものがある。
また、近年では、プリンタエンジンに加え、制御部としてのプリンタコントローラ(印刷制御部)やスキャナコントローラ(読取り制御部)への電力供給を切断して、さらに消費電力を低減させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような画像形成装置には、省電力モードに移行する場合、プリンタコントローラとスキャナコントローラとが互いにコミュニケーションをとり、プリンタコントローラがスキャナコントローラに省電力モードへ移行するように通知し、スキャナコントローラが省電力モードに移行した後、プリンタコントローラがスキャナコントローラの電力供給を切断するようにしているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−2500号公報(段落「0063」〜段落「0067」、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、プリンタコントローラとスキャナコントローラとは、USB(Universal Serial Bus)等の通信回線で接続され、プリンタコントローラが通信回線を介してスキャナコントローラに省電力モードへ移行するように指示を通知した後、そのスキャナコントローラが省電力モードへの移行が完了したか否かの通知を行うために、その通信回線とは別の信号線を設ける必要があるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、通信回線を介して省電力モードへの移行が完了したことを通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、原稿の画像を読取る読取り制御部と、画像を用紙に印刷する印刷制御部とを有する画像形成装置において、前記印刷制御部に、通信回線で接続された前記読取り制御部との間で通信を行うとともに、前記通信の状態を監視する第1の通信制御部と、前記読取り制御部への電力供給を制御する電源制御部と、前記読取り制御部に、前記第1の通信制御部と前記通信回線で接続され、前記印刷制御部との間で通信を行うとともに、前記通信を遮断する第2の通信制御部とを備え、前記読取り制御部は、前記印刷制御部から受信した省電力への移行指示にしたがって省電力への移行処理が完了すると、前記第2の通信制御部により前記通信を遮断し、前記印刷制御部は、前記第1の通信制御部により前記読取り制御部へ前記省電力への移行指示を送信した後、前記通信が遮断されたことを検知して前記電源制御部により前記読取り制御部への電力供給を切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、通信回線を介して省電力モードへの移行が完了したことを通知できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施例におけるプリンタコントローラの構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における画像形成装置の構成を示すブロック図
【図3】第1の実施例におけるスキャナ通信制御部の構成を示すブロック図
【図4】第1の実施例におけるスキャナコントローラの構成を示すブロック図
【図5】第1の実施例におけるプリンタ通信制御部の構成を示すブロック図
【図6】第1の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャート
【図7】第1の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャート
【図8】第1の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャート
【図9】第1の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャート
【図10】第2の実施例におけるスキャナ通信制御部の構成を示すブロック図
【図11】第2の実施例におけるプリンタ通信制御部の構成を示すブロック図
【図12】第2の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャート
【図13】第2の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャート
【図14】第2の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャート
【図15】第2の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図2は第1の実施例における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2において、画像形成装置としての複合機100は、プリンタ、複写機、スキャナ装置、およびファクシミリ装置として用いられるものである。
【0011】
複合機100は、画像を用紙に印刷する印刷制御部としてのプリンタコントローラ1と、原稿の画像を読取る読取り制御部としてのスキャナコントローラ2と、プリントエンジン4と、スキャナ5と、ファクシミリとしてのFAX6と、操作部7と、メイン電源8と、サブ電源9とにより構成され、プリンタコントローラ1は通信回線を介して上位装置としてのホストPC(Personal Computer)3と接続されている。また、プリンタコントローラ1は、USB(Universal Serial Bus)等の通信回線を介してスキャナコントローラ2と接続されている。
【0012】
プリンタコントローラ1は、CPU(Central Processing Unit)等の演算手段および制御手段やメモリ等の記憶手段等により構成され、プリントエンジン4の制御と、スキャナコントローラ2からのデータ受信制御と、ホストPC3との間の通信制御とを行うとともに、複合機100の電源制御を行うものである。
【0013】
スキャナコントローラ2は、CPU等の演算手段および制御手段やメモリ等の記憶手段等により構成され、スキャナ5の機構制御および原稿読取り制御と、FAX6のデータ送受信制御と、操作部7の表示手段の表示制御および入力手段の入力制御とを行うものである。このスキャナコントローラ2は、スキャナ5で読取った原稿の画像データやFAX6で受信した画像データをプリンタコントローラ1へ送信する送信制御を行う。
【0014】
ホストPC3は、複合機100で印刷するデータを生成し、USBやLAN(Local Area Network)等の通信回線を介してそのデータを複合機100へ送信し、また複合機100から装置状態を表すステータス情報(以下、「ステータス」という。)等を受信するコンピュータである。
【0015】
プリントエンジン4は、プリンタコントローラ1の指示に基づいて、プリンタコントローラ1においてホストPC3から受信したデータまたはスキャナコントローラ2から受信した原稿の画像データから生成された画像形成データを紙媒体に印刷するものである。
スキャナ5は、操作部7からの指示やホストPC3からの指示により、コピー機能やスキャン機能を実現するために原稿の読取りを行うものである。
FAX6は、ファクシミリ装置であり、電話回線を介して画像データ等の送受信を行うものである。
【0016】
操作部7は、液晶ディスプレイ等の表示手段や複数のスイッチやボタン等の入力手段から構成されるものであり、複合機100の諸設定やコピーやスキャン等の動作の開始、省電力モードからの復帰指示等を行うユーザの操作を受け付けるものである。
メイン電源8は、複合機100の主要部分の電源であり、省電力モードの場合には切断される電源である。
サブ電源9は、複合機100の中で、省電力モード中も動作する部分への電力を供給するものであり、省電力モード中でも切断されない電源である。
【0017】
このように構成された複合機100は、メイン電源8およびサブ電源9から電力が供給されている通常モードにおいて待機状態が所定時間継続する等の所定の条件を満たすとメイン電源8からの電力供給を切断し、サブ電源9からの電力供給で動作する省電力モードへ移行する。
【0018】
図1は第1の実施例におけるプリンタコントローラの構成を示すブロック図である。
図1において、プリンタコントローラ1は、メインCPU101と、プリンタROM制御部102と、プリンタROM103と、プリンタRAM制御部104と、プリンタRAM105と、スキャナ通信制御部106と、プリンタ制御部107と、サブCPU108と、サブROM109と、ホスト通信制御部110と、スキャナ状態監視部111と、電源制御部112とにより構成され、それぞれの部位はメインCPUバスおよびメインDMA(Direct Memory Access)バスによって接続されている。
【0019】
メインCPUバスは、メインCPU101およびサブCPU108からアクセス可能な部分が接続される内部バスである。また、メインDMAバスは、スキャナ通信制御部106、プリンタ制御部107、およびホスト通信制御部110のようにプリンタRAM105と直接データの送受信を行う部位と、プリンタRAM制御部104とを接続している。
【0020】
メインCPU101は、プリンタコントローラ1全体を制御する中央処理装置であり、プリンタROM103またはプリンタRAM105からプログラム(ソフトウェア)をフェッチすることによって動作する。
プリンタROM制御部102は、メインCPU101からプリンタROM103へのアクセスを制御するものであり、メインCPUバスのインタフェースからプリンタROM103のインタフェースへの変換を行うものである。
【0021】
プリンタROM103は、不揮発性のメモリ(例えば、NOR型のFLASH ROMやNAND型のFLASH ROM等)であり、メインCPU101を動作させるためのプログラムが格納される。
プリンタRAM制御部104は、メインCPU101からのメインCPUバスを介したプリンタRAM105へのアクセスや、スキャナ通信制御部106、プリンタ制御部107、およびホスト通信制御部110からのメインDMAバスを介したアクセスを制御するものであり、メインCPUバスおよびメインDMAバスのそれぞれのバスのインタフェースからプリンタRAM105のインタフェースへの変換を行うものである。
【0022】
プリンタRAM105は、揮発性で高速アクセスが可能なメモリ(例えば、DDR SDRAMやDDR2 SDRAM、DDR3 SDRAMのような揮発性のメモリデバイスでセルフリフレッシュモードがあるもの)であり、メインCPU101が動作するめのプログラムやスキャナコントローラ2から受信した原稿を読取った画像データやホストPC3から受信した印刷データ等が格納される。なお、セルフリフレッシュとは、メモリデバイス単体でリフレッシュ動作を行い、メモリデバイスの外部からの制御がなくてもメモリ内容が保持できる機能のことである。
【0023】
第1の通信制御部としてのスキャナ通信制御部106は、スキャナコントローラ2との通信を制御するものであり、図3に示すようにコマンド送信部1061と、ステータス受信部1062と、通信状態監視部1063とにより構成される。
図3において、コマンド送信部1061は、スキャナコントローラ2に対してコマンド(指令)を送信するものであり、省電力モードへの移行指示や原稿読取り画像データの有無やスキャナコントローラ2の状態を確認する指示を送信する。
【0024】
ステータス受信部1062は、コマンド送信部1061から送信したコマンドに対するスキャナコントローラ2の応答を受信し、またスキャナコントローラ2のスキャナ5で読取った画像データを受信するものである。
通信状態監視部1063は、コマンド送信部1061から送信したコマンドに対するスキャナコントローラ2からの応答の有無を監視するものである。この通信状態監視部1063は、スキャナコントローラ2へ送信したコマンド(指示)に対する応答が受信できないとき、スキャナコントローラ2との通信が遮断されたことを検知する。
【0025】
ここで、スキャナ通信制御部106は、通信制御のマスタ(主局)であり、スキャナコントローラ2(従局)との通信は、コマンド送信部1061によってコマンドを送信することで開始され、送信したコマンドに対するステータスをステータス受信部1062で受信することで完了する。
このように構成されたスキャナ通信制御部106は、USB等の通信回線で接続されたスキャナコントローラ2との間で通信を行うとともに、その通信の状態を監視する。
【0026】
図1の説明に戻り、プリンタ制御部107は、プリンタRAM105に格納された読取り画像データや印刷データの画像処理を行い、画像処理したデータをプリントエンジン4へ送信するものである。
サブCPU108は、サブROM109に格納されたプログラム(ソフトウェア)をフェッチして動作する中央処理装置であり、ホストPC3との通信制御や複合機100の電源制御を行うものである。
【0027】
サブROM109は、不揮発性のメモリ(例えば、NOR型のFLASH ROMやNAND型のFLASH ROM等)であり、サブCPU108を動作させるためのプログラムが格納される。
ホスト通信制御部110は、ホストPC3との通信を制御するものであり、ホストPC3から印刷データを受信し、またホストPC3へ複合機100のステータスを送信する。
【0028】
スキャナ状態監視部111は、スキャナコントローラ2からの電源起動要求の有無を、信号線を介して監視するものである。
電源制御部112は、メイン電源8からの電力供給を制御するものであり、複合機100が通常動作モードである場合には、図3に示すスキャナ通信制御部106の通信状態監視部1063の状況に応じてメインCPU101によってメイン電源8からの電力供給を切断し、複合機100が省電力モードである場合には、スキャナ状態監視部111の状況に応じてサブCPU108によってメイン電源8からの電力供給を開始する。
【0029】
なお、図中一点鎖線9aで囲まれた部分が、サブ電源9から電力供給される部分であり、複合機100が省電力モードになっても電力供給が切断されない。一方、一点鎖線9aで囲まれていない部分は、複合機100が省電力モードになった場合には電力供給が切断される。
また、後述するように、この電源制御部112によりスキャナコントローラ2への電力供給を制御することができるようになっている。
【0030】
図4は第1の実施例におけるスキャナコントローラの構成を示すブロック図である。
図4において、スキャナコントローラ2は、スキャナCPU201と、スキャナROM制御部202と、スキャナROM203と、スキャナRAM制御部204と、スキャナRAM205と、プリンタ通信制御部206と、スキャナ制御部207と、FAX制御部208と、操作制御部209と、復帰要因監視部210と、電源起動要求部211とにより構成され、それぞれの部位はスキャナCPUバスおよびスキャナDMAバスによって接続されている。
【0031】
スキャナCPUバスは、スキャナCPU201からアクセス可能な部分が接続される内部バスである。また、スキャナDMAバスは、プリンタ通信制御部206およびスキャナ制御部207のようにスキャナRAM205と直接データの送受信を行う部位と、スキャナRAM制御部204とを接続している。
スキャナCPU201は、スキャナコントローラ2全体を制御する中央処理装置であり、スキャナROM203またはスキャナRAM205からプログラム(ソフトウェア)をフェッチすることによって動作する。
【0032】
スキャナROM制御部202は、スキャナCPU201からスキャナROM203へのアクセスを制御するものであり、スキャナCPUバスのインタフェースからスキャナROM203のインタフェースへの変換を行うものである。
スキャナROM203は、不揮発性のメモリ(例えば、NOR型のFLASH ROMやNAND型のFLASH ROM等)であり、スキャナCPU201を動作させるためのプログラムが格納される。
【0033】
スキャナRAM制御部204は、スキャナCPU201からのスキャナCPUバスを介したスキャナRAM205へのアクセスや、プリンタ通信制御部206、およびスキャナ制御部207からのスキャナDMAバスを介したアクセスを制御するものであり、スキャナCPUバスおよびスキャナDMAバスのそれぞれのバスのインタフェースからスキャナRAM205のインタフェースへの変換を行うものである。
【0034】
記憶手段としてのスキャナRAM205は、揮発性で高速アクセスが可能なメモリ(例えば、DDR SDRAMやDDR2 SDRAM、DDR3 SDRAMのような揮発性のメモリデバイスでセルフリフレッシュモードがあるもの)であり、スキャナCPU201が動作するためのプログラムやスキャナ制御部207で原稿を読取った画像データ、FAX制御部208で受信した画像データ等が格納される。
【0035】
第2の通信制御部としてのプリンタ通信制御部206は、プリンタコントローラ1との通信を制御するものであり、図5に示すようにコマンド受信部2061と、ステータス送信部2062と、通信遮断部2063とにより構成される。
【0036】
図5において、コマンド受信部2061は、プリンタコントローラ1から送信されるコマンドを受信するためのものであり、省電力モードへの移行指示や原稿読取り画像データの有無やスキャナコントローラ2の状態を確認する指示を受信する。
ステータス送信部2062は、コマンド受信部2061で受信したコマンドに対する応答をプリンタコントローラ1へ送信するものであり、各コマンドに対する応答に加え、スキャナ5で読取った画像データも送信する。
【0037】
通信遮断部2063は、コマンド受信部2061でプリンタコントローラ1から省電力モードへの移行コマンドを受信し、スキャナコントローラ2の省電力モードへの移行処理が完了した後に、ステータス送信部2062の送信処理を停止させるものである。ステータス送信部2062の送信処理を停止させることにより、プリンタコントローラ1からのコマンドに対して応答しないようにすることができる。
【0038】
ここで、プリンタ通信制御部206は、通信制御のスレーブ(従局)であり、プリンタコントローラ1(主局)との通信は、コマンド受信部2061によってコマンドを受信することで開始され、受信したコマンドに対するステータスをステータス送信部2062で送信することで完了する。
このように構成されたプリンタ通信制御部206は、USB等の通信回線で接続されたプリンタコントローラ1の図1に示すスキャナ通信制御部106との間で通信を行うとともに、その通信を遮断することができるようになっている。
【0039】
図4の説明に戻り、スキャナ制御部207は、スキャナ5のイメージセンサ、モータ、クラッチ等を制御し、原稿の画像データを読取るものであり、読み取った画像データをスキャナRAM205へ送信する。
FAX制御部208は、FAX6のモデムを制御し、電話回線を介して画像データ等のデータの送受信を行うものであり、電話回線を介して受信したデータはスキャナRAM205へ送信し、また電話回線を介して送信するデータはスキャナRAM205から受信する。
【0040】
操作部制御部209は、操作部7の表示手段の書き換えなどの制御を行うとともに、操作部7のスイッチや省電力解除ボタンを含む複数のボタンの押下状態を識別し、それに応じた制御を行うものである。
復帰要因監視部210は、FAX6のモデムからの割込み信号状態や操作部7の省電力モード解除ボタンの押下状態を、省電力モードから通常モードへの復帰要因として監視するものであり、監視した状態を電源起動要求部211へ通知する。
【0041】
電源起動要求部211は、プリンタコントローラ1への電源の起動を要求するものであり、複合機100が省電力モードの場合に、復帰要因監視部210で省電力モードから通常モードへの復帰要因の発生を判別したとき、プリンタコントローラ1に電源の起動を要求する。
【0042】
なお、図中一点鎖線9b、9cで囲まれた部分が、サブ電源9から電力供給される部分であり、複合機100が省電力モードになっても電力供給が切断されない。一方、一点鎖線9b、9cで囲まれていない部分は、複合機100が省電力モードになった場合には電力供給が切断される。
【0043】
上述した構成の作用について説明する。
まず、複合機のプリンタコントローラが行う省電力モード移行処理を図6の第1の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図2を参照しながら説明する。
【0044】
S1:プリンタコントローラ1のメインCPU101は、省電力モードへの移行タイミングであるか否かを判別し、省電力モードへの移行タイミングであると判別すると処理をS2へ移行し、省電力モードへの移行タイミングでないと判別した場合、省電力モードへの移行タイミングを待機する。
ここで、省電力モードへの移行タイミングとは、ホストPC3からのデータ受信が所定の時間を経過しても行われない場合やスキャナ5で原稿の読取りが所定の時間を経過しても行われなかった場合等の複合機100の待機状態が所定の時間継続した場合である。
【0045】
S2:メインCPU101は、図3に示すコマンド送信部1061を介してスキャナコントローラ2へ省電力モードへの移行コマンドを送信する。
S3:スキャナコントローラ2へ省電力モードへの移行コマンドを送信したメインCPU101は、プリンタコントローラ1で必要な諸情報をプリンタRAM105に記憶させて保存する。
【0046】
ここで、プリンタコントローラ1で必要な諸情報とは、メインCPU101の動作に必要な動作設定情報や印刷制御で必要になる各種パラメータ等である。
また、メインCPU101は、プリンタコントローラ1で必要な諸情報をプリンタRAM105に保存するとともに、図示しないレジスタに省電力モードへの移行を示す情報を記憶させて保存する。このレジスタは、サブ電源9から電源供給される部分に存在し、省電力モードになっても記憶内容が消去されないものである。
【0047】
S4:諸情報が保存されたプリンタRAM105は、メインCPU101によりプリンタRAM制御部104を介してセルフリフレッシュモードに設定される。
S5:プリンタRAM105をセルフリフレッシュモードに設定したメインCPU101は、図3に示すコマンド送信部1061を介してスキャナコントローラ2に、スキャナコントローラ2が省電力モードへ移行したことを確認するコマンドを送信する。
【0048】
S6:メインCPU101が、スキャナコントローラ2が省電力モードへ移行したことを確認するコマンドを送信すると、図3に示す通信状態監視部1063は、コマンドに対する応答の有無を監視し、応答が有る場合、S5へ処理を移行し、再度スキャナコントローラ2が省電力モードへ移行したことを確認するコマンドを送信する。一方、コマンドに対する応答がない場合、処理をS7へ移行する。
【0049】
S7:コマンドに対する応答がない場合、通信状態監視部1063は、スキャナコントローラ2との通信が遮断されたと判断してメインCPU101に通信が遮断されたことを通知し、メインCPUは電源制御部112を介してメイン電源8からの電力供給を切断する。このようにしてプリンタコントローラ1は省電力モードに移行する。
【0050】
次に、複合機のスキャナコントローラが行う省電力モード移行処理を図7の第1の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2および図4を参照しながら説明する。
【0051】
S10:スキャナコントローラ2のスキャナCPU201は、プリンタ通信制御部206を介してプリンタコントローラ1から省電力モードへの移行コマンドを受信したか否かを判別し、省電力モードへの移行コマンドを受信したと判別すると処理をS11へ移行し、省電力モードへの移行コマンドを受信していないと判別した場合、省電力モードへの移行コマンドの受信を待機する。
【0052】
S11:省電力モードへの移行コマンドを受信したと判別したスキャナCPU201は、スキャナコントローラ2で必要な諸情報をスキャナRAM205に記憶させて保存する。
ここで、スキャナコントローラ2で必要な諸情報とは、スキャナCPU201の動作に必要な動作設定情報や原稿の読取り制御、FAX制御で必要になる各種パラメータ(設定情報)等である。
【0053】
また、スキャナCPU201は、スキャナコントローラ2で必要な諸情報をプリンタRAM105に保存するとともに、図示しないレジスタに省電力モードへの移行を示す情報を記憶させて保存する。このレジスタは、サブ電源9から電源供給される部分に存在し、省電力モードになっても記憶内容が消去されないもの、すなわち不揮発性の省電力移行情報記憶手段である。
【0054】
S12:諸情報が保存されたスキャナRAM205は、スキャナCPU201によりスキャナRAM制御部204を介してセルフリフレッシュモードに設定(遷移)される。
S13:スキャナRAM205をセルフリフレッシュモードに設定したスキャナCPU201は、図5に示す通信遮断部2063を介してステータス送信部2062の動作を停止させ、プリンタコントローラ1へのステータスの応答を停止する。
【0055】
スキャナコントローラ2は、省電力モードへの移行処理の途中でも、プリンタコントローラ1からコマンドを受信した場合には、そのコマンドに応答するが、ここで、プリンタコントローラ1へのステータスの応答を停止することにより、プリンタコントローラ1との通信を遮断したことになる。
【0056】
S14:プリンタコントローラ1へのステータスの応答を停止したスキャナCPU201は、プリンタコントローラ1によりメイン電源8からの電力供給が切断されるのを待機し、メイン電源8からの電力供給が切断されることでスキャナコントローラ2は省電力モードに移行する。
【0057】
このように、プリンタコントローラ1から省電力モードへ移行する指示の通知を受けたスキャナコントローラ2が、省電力モードへの移行処理を完了すると、プリンタコントローラ1との通信を遮断するようにしたことにより、プリンタコントローラ1とスキャナコントローラ2との間に省電力モードへの移行が完了したことを示す特別な信号線を設けることなく、プリンタコントローラ1はスキャナコントローラ2との間で通信が遮断されたことを検知してスキャナコントローラ2が省電力モードへの移行処理を完了したことを判別することができ、プリンタコントローラ1によりスキャナコントローラ2への電力供給を切断することができる。
【0058】
次に、複合機のプリンタコントローラが行う省電力モードからの復帰処理を図8の第1の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1および図2を参照しながら説明する。
【0059】
S20:プリンタコントローラ1のサブCPU108は、電源起動要求の有無を判別し、電源起動要求があると判別すると処理をS21へ移行し、電源起動要求がないと判別した場合、電源起動要求を待機する。
ここで、電源起動要求とは、ホスト通信制御部110でホストPC3からのデータを受信することやスキャナ状態監視部111でスキャナコントローラ2から電源要求信号を受信することである。
【0060】
S21:電源起動要求があると判別したサブCPU108は、電源制御部112を介してメイン電源8からの電力供給を開始する。
S22:メイン電源8からの電力供給が開始されるとメインCPU101は、プリンタROM103からプログラムをフェッチし、電力供給される前(復帰前)の状態を確認する。
【0061】
ここで、電力供給される前の状態の確認とは、メイン電源8およびサブ電源9の両方が切断された状態、すなわち複合機100全体の電力供給が切断された状態、もしくは省電力モードの状態のいずれかであったことを確認することであり、図示しないレジスタに記憶されている内容を参照することにより、いずれかの状態であったかを確認することができる。このレジスタには、電力供給される前の状態が省電力モードであった場合には、省電力モードへ移行したことを示す情報が保存されており、一方電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であった場合には、情報が保存されていない初期状態になっている。
【0062】
S23:メインCPU101は、電力供給される前の状態が省電力モードであったと判定した場合、すなわち省電力モードから復帰したと判定した場合、処理をS24へ移行し、一方電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であったと判定した場合、処理をS26へ移行する。
【0063】
S24:電力供給される前の状態が省電力モードであったと判定したメインCPU101は、プリンタRAM制御部104を介してプリンタRAM105のセルフリフレッシュモードを解除して通常のリフレッシュモードに戻す。
【0064】
S25:プリンタRAM105を通常のリフレッシュモードに戻したメインCPU101は、省電力モードから通常モードへの復帰に必要な処理を行い、S28へ移行する。ここで、省電力モードから通常モードへの復帰に必要な処理とは、省電力モードへ移行するときにプリンタRAM105に保存した情報を読み出し、この情報にしたがってメインCPU101が省電力モードへ移行する前と同等の動作ができるようにする処理である。
【0065】
S26:一方、S23において、電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であったと判定したメインCPU101は、プリンタROM制御部102を介してプリンタROM103からプログラムをフェッチし、プリンタRAM105にアクセスするために、プリンタRAM制御部104の諸設定を行う。
ここで、プリンタRAM制御部104の諸設定とは、プリンタRAM105にアクセスするためのタイミング設定やメモリのマッピング設定等である。
【0066】
S27:プリンタRAM制御部104の諸設定を行ったメインCPU101は、プリンタROM103に格納されているプログラムをプリンタRAM105にコピー(転送)し、以後プリンタRAM105からプログラムをフェッチして動作を行い、プリンタRAM制御部104以外の部位の初期化処理を行う。ここで、初期化処理とは、プリンタ制御部107が動作できるようにするための設定等である。
【0067】
S28:S25における通常モードへの復帰に必要な処理またはS27における初期化処理を行ったメインCPU101は、スキャナ通信制御部106を介してスキャナコントローラ2に状態確認コマンドを送信する。
S29:スキャナコントローラ2に状態確認コマンドを送信したメインCPU101は、スキャナコントローラ2からの応答を確認し、応答がない場合は処理をS28へ移行してスキャナコントローラ2からの応答を待機し、スキャナコントローラ2からの応答があった場合、スキャナコントローラ2との通信が可能になったと判断してプリンタコントローラ1は通常モードに移行(復帰)する。
【0068】
次に、複合機のスキャナコントローラが行う省電力モードからの復帰処理を図9の第1の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2および図4を参照しながら説明する。
【0069】
S30:スキャナコントローラ2の復帰要因監視部210は、省電力モードからの復帰要因の有無を判別し、復帰要因があると判別すると処理をS31へ移行し、復帰要因がないと判別した場合、復帰要因の発生を待機する。
S31:復帰要因があると判別した復帰要因監視部210は、復帰要因があることを電源起動要求部211へ通知し、電源起動要求部211はプリンタコントローラ1に電源起動要求を通知する。
【0070】
S32:プリンタコントローラ1に電源起動要求を通知するとスキャナコントローラ2は、プリンタコントローラ1を介してメイン電源8から電力供給が開始されるのを待つ。
S33:メイン電源8からの電力供給が開始されるとスキャナCPU201は、スキャナROM203からプログラムをフェッチし、電力供給される前(復帰前)の状態を確認する。
【0071】
ここで、電力供給される前の状態の確認とは、メイン電源8およびサブ電源9の両方が切断された状態、すなわち複合機100全体の電力供給が切断された状態、もしくは省電力モードの状態のいずれかであったことを確認することであり、図示しないレジスタに記憶されている内容を参照することにより、いずれかの状態であったかを確認することができる。このレジスタには、電力供給される前の状態が省電力モードであった場合には、省電力モードへ移行したことを示す情報が保存されており、一方電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であった場合には、情報が保存されていない初期状態になっている。
【0072】
S34:スキャナCPU201は、電力供給される前の状態が省電力モードであったと判定した場合、すなわち省電力モードから復帰したと判定した場合、処理をS35へ移行し、一方電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であったと判定した場合、処理をS37へ移行する。
S35:電力供給される前の状態が省電力モードであったと判定したスキャナCPU201は、スキャナRAM制御部204を介してスキャナRAM205のセルフリフレッシュモードを解除して通常のリフレッシュモードに戻す。
【0073】
S36:スキャナRAM205を通常のリフレッシュモードに戻したスキャナCPU201は、省電力モードから通常モードへの復帰に必要な処理を行い、S39へ移行する。ここで、省電力モードから通常モードへの復帰に必要な処理とは、省電力モードへ移行するときにスキャナRAM205に保存した情報を読み出し、この情報にしたがってスキャナCPU201が省電力モードへ移行する前と同等の動作ができるようにする処理である。
【0074】
S37:一方、S34において、電力供給される前の状態が複合機100全体の電力供給が切断された状態であったと判定したスキャナCPU201は、スキャナROM制御部202を介してスキャナROM203からプログラムをフェッチし、スキャナRAM205にアクセスするために、スキャナRAM制御部204の諸設定を行う。
ここで、スキャナRAM制御部204の諸設定とは、スキャナRAM205にアクセスするためのタイミング設定やメモリのマッピング設定等である。
【0075】
S38:スキャナRAM制御部204の諸設定を行ったスキャナCPU201は、スキャナROM203に格納されているプログラムをスキャナRAM205にコピー(転送)し、以後スキャナRAM205からプログラムをフェッチして動作を行い、スキャナRAM制御部204以外の部位の初期化処理を行う。ここで、初期化処理とは、スキャナ制御部207、FAX制御部208、および操作部制御部209が動作できるようにするための設定等である。
【0076】
S39:S36における通常モードへの復帰に必要な処理またはS38における初期化処理を行ったスキャナCPU201は、プリンタ通信制御部206を介してプリンタコントローラ1に状態確認コマンドに対する応答として準備完了ステータスを送信し、通常モードに移行(復帰)する。
【0077】
以上説明したように、第1の実施例では、プリンタコントローラから省電力モードへ移行する指示の通知を受けたスキャナコントローラが省電力モードへの移行が完了すると、プリンタコントローラとの通信を遮断するようにしたことにより、プリンタコントローラとスキャナコントローラとの間に省電力モードへの移行が完了したことを示す特別な信号線を設けることなく、プリンタコントローラはスキャナコントローラとの間で通信が遮断されたことを検知してスキャナコントローラが省電力モードへの移行が完了したことを判別することができるという効果が得られる。
【0078】
また、プリンタコントローラは、スキャナコントローラが省電力モードへの移行が完了したことを検知した後にスキャナコントローラの電源を切断することができるようになるという効果が得られる。
【実施例2】
【0079】
第2の実施例の構成は、プリンタコントローラのスキャナ通信制御部およびスキャナコントローラのプリンタ通信制御部が第1の実施例の構成と異なっている。その第2の実施例の構成を図10の第2の実施例におけるスキャナ通信制御部の構成を示すブロック図および図11の第2の実施例におけるプリンタ通信制御部の構成を示すブロック図に基づいて図1および図4を参照しながら説明する。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図10において、第1の通信制御部としてのスキャナ通信制御部306は、コマンド送信部1061と、ステータス受信部1062と、信号状態監視部3063とにより構成されている。
信号状態監視部3063は、スキャナコントローラ2との間を接続するUSBの通信信号の状態を監視し、通信信号が通信可能状態であるか、または遮断状態であるかを判別するものである。この信号状態監視部3063は、スキャナコントローラ2との間の通信回線としてのUSBの信号状態が遮断状態であると判別したとき、スキャナコントローラ2との間の通信が遮断されたと判別する。
【0081】
図11において、プリンタ通信制御部406は、コマンド受信部2061と、ステータス送信部2062と、通信信号制御部4064とにより構成されている。
通信信号制御部4064は、コマンド受信部2061でプリンタコントローラ1から省電力モードへの移行コマンドを受信し、スキャナコントローラ2の省電力モードへの移行処理が完了した後、プリンタコントローラ1との通信信号の状態を遮断状態にするものである。
【0082】
この通信信号制御部4064は、通常モードのときは、ステータス送信部2062から送信されるステータスを通信信号として出力するが、省電力モードへの移行処理が完了した後は、通信信号の状態を通信の遮断を示すレベルに固定する。
【0083】
上述した構成の作用について説明する。
まず、複合機のプリンタコントローラが行う省電力モード移行処理を図12の第2の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1、図2および図10を参照しながら説明する。
S101〜S104:図6におけるS1〜S4と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0084】
S105:プリンタRAM105をセルフリフレッシュモードに設定したメインCPU101は、図10に示す信号状態監視部3063は、通信信号が遮断状態であるか否かを判別する。
ここで、通信信号が遮断状態であるとは、通常モードの通信状態では発生しないレベルの信号状態であることである。例えば、スキャナコントローラ2との通信がUSBを使用する場合、通信が遮断された状態(省電力モード)では、通信信号であるD+およびD−がともにLOWレベルであることとする。これは、通常モードの通信状態では、通信信号であるD+およびD−はともにLOWレベルになることはないので、信号状態監視部3063は、通信信号であるD+およびD−がともにLOWレベルであることを検知して通信信号が遮断状態であると判別することができる。
【0085】
信号状態監視部3063は、通信信号が遮断状態でないと判別すると通信信号が遮断状態になるまで待機し、一方通信信号が遮断状態であると判別するとスキャナコントローラ2との通信が遮断されたことをメインCPU101へ通知して処理をS106へ移行する。
【0086】
S106:スキャナコントローラ2との通信が遮断されたことの通知を受けたメインCPUは、電源制御部112を介してメイン電源8からの電力供給を切断する。このようにしてプリンタコントローラ1は省電力モードに移行する。
【0087】
次に、複合機のスキャナコントローラが行う省電力モード移行処理を図13の第2の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モード移行処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2、図4および図11を参照しながら説明する。
S110〜S112:図7におけるS10〜S12と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0088】
S113:スキャナRAM205をセルフリフレッシュモードに設定したスキャナCPU201は、図11に示す通信信号制御部4064を介して通信信号を遮断状態にする。
ここで、通信信号を遮断状態にするとは、通信信号を通常モードの通信状態では発生しないレベルの信号状態にすることである。例えば、スキャナコントローラ2との通信がUSBを使用する場合、通信が遮断された状態(省電力モード)では、通信信号であるD+およびD−をともにLOWレベルにする。これは、通常モードの通信状態では、通信信号であるD+およびD−はともにLOWレベルになることはないので、通信信号制御部4064は、通信信号であるD+およびD−をともにLOWレベルにすることにより、通信信号が遮断状態であることを表すことができる。
【0089】
S114:プリンタコントローラ1への通信を遮断したスキャナCPU201は、プリンタコントローラ1によりメイン電源8からの電力供給が切断されるのを待機し、メイン電源8からの電力供給が切断されることでスキャナコントローラ2は省電力モードに移行する。
【0090】
このように、プリンタコントローラ1が、スキャナコントローラ2との間の通信信号の状態により、スキャナコントローラ2との間の通信が遮断されたことを判別するようにしたことにより、スキャナコントローラ2は、プリンタコントローラ1からのコマンドに対するステータスを出力することなく、省電力モードへの移行が完了したことをプリンタコントローラ1に知らせることができる。
【0091】
次に、複合機のプリンタコントローラが行う省電力モードからの復帰処理を図14の第2の実施例におけるプリンタコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1、図2および図10を参照しながら説明する。
S120〜S127:図8におけるS20〜S27と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0092】
S128:S125における通常モードへの復帰に必要な処理またはS127における初期化処理を行ったメインCPU101は、スキャナ通信制御部106の信号状態監視部3063を介して通信信号の状態が通信可能状態か遮断状態かを判別し、通信信号の状態が遮断状態である場合、通信信号の状態が通信可能状態になるまで待機し、通信信号の状態が通信可能状態である場合、スキャナコントローラ2との通信が可能になったと判断してプリンタコントローラ1は通常モードに移行(復帰)する。
【0093】
次に、複合機のスキャナコントローラが行う省電力モードからの復帰処理を図15の第2の実施例におけるスキャナコントローラの省電力モードからの復帰処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図2、図4および図11を参照しながら説明する。
S130〜S138:図9におけるS30〜S38と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0094】
S139:S136における通常モードへの復帰に必要な処理またはS138における初期化処理を行ったスキャナCPU201は、プリンタ通信制御部206の通信信号制御部4064を介して通信信号の状態を通信可能状態にし、通常モードに移行(復帰)する。
【0095】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、プリンタコントローラがスキャナコントローラとの間の通信信号の状態により、スキャナコントローラとの間の通信が遮断されたことを判別するようにしたことにより、スキャナコントローラは、プリンタコントローラからのコマンドに対するステータスを出力することなく、省電力モードへの移行が完了したことをプリンタコントローラに知らせることができるという効果が得られる。
【0096】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置を複合機として説明したが、それに限られることなく、画像形成装置を複写機やファクシミリ装置等としても良い。
また、第1の実施例および第2の実施例では、プリンタコントローラおよびスキャナコントローラを複合機に実装した形態で説明したが、プリンタコントローラをプリンタに実装し、スキャナコントローラはスキャナに実装するようにしてプリンタとスキャナとは別々の装置とした形態であっても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 プリンタコントローラ
2 スキャナコントローラ
3 ホストPC
4 プリントエンジン
5 スキャナ
6 FAX
7 操作部
8 メイン電源
9 サブ電源
100 複合機
101 メインCPU
102 プリンタROM制御部
103 プリンタROM
104 プリンタRAM制御部
105 プリンタRAM
106、306 スキャナ通信制御部
107 プリンタ制御部
108 サブCPU
109 サブROM
110 ホスト通信制御部
111 スキャナ状態監視部
112 電源制御部
201 スキャナCPU
202 スキャナROM制御部
203 スキャナROM
204 スキャナRAM制御部
205 スキャナRAM
206、406 プリンタ通信制御部
207 スキャナ制御部
208 FAX制御部
209 操作制御部
210 復帰要因監視部
211 電源起動要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読取る読取り制御部と、画像を用紙に印刷する印刷制御部とを有する画像形成装置において、
前記印刷制御部に、
通信回線で接続された前記読取り制御部との間で通信を行うとともに、前記通信の状態を監視する第1の通信制御部と、
前記読取り制御部への電力供給を制御する電源制御部と、
前記読取り制御部に、
前記第1の通信制御部と前記通信回線で接続され、前記印刷制御部との間で通信を行うとともに、前記通信を遮断する第2の通信制御部とを備え、
前記読取り制御部は、前記印刷制御部から受信した省電力への移行指示にしたがって省電力への移行処理が完了すると、前記第2の通信制御部により前記通信を遮断し、
前記印刷制御部は、前記第1の通信制御部により前記読取り制御部へ前記省電力への移行指示を送信した後、前記通信が遮断されたことを検知して前記電源制御部により前記読取り制御部への電力供給を切断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記第1の通信制御部は、前記第2の通信制御部へ送信した指示に対する応答が受信できないとき、前記通信が遮断されたことを検知することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
前記第1の通信制御部は、前記通信回線の信号状態が遮断状態であると判別したとき、前記通信が遮断されたと判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
前記通信回線を、USB(Universal Serial Bus)とし、
前記第1の通信制御部は、前記通信回線の通信信号であるD+およびD−がともにLOWレベルのとき、前記通信が遮断されたと判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項の画像形成装置において、
前記第1の通信制御部は、前記通信回線の主局であり、
前記第2の通信制御部は、前記通信回線の従局であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項の画像形成装置において、
前記読取り制御部は、セルフリフレッシュモードへ遷移可能な揮発性の記憶手段を備え、
前記省電力への移行処理は、前記読取り制御部に設定されている情報を前記記憶手段に記憶させるとともに、前記記憶手段をセルフリフレッシュモードへ遷移させる処理としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
前記読取り制御部は、不揮発性の省電力移行情報記憶手段を備え、
前記省電力への移行処理は、省電力へ移行したことを示す情報を前記省電力移行情報記憶手段に記憶させる処理としたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−244606(P2012−244606A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116231(P2011−116231)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】