画像形成装置
【課題】画像の印字品質を低下させる要因の発生を抑制して、高い印字品質の画像を確保する。
【解決手段】画像形成装置は、現像剤200によって形成される現像剤像を担持する現像剤像担持体(無端状ベルト体21)を有している。その現像剤像担持体21は、表面に、粗さ形成粒子104を有している。粗さ形成粒子104の平均粒径dは、現像剤200の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす大きさになっている。
【解決手段】画像形成装置は、現像剤200によって形成される現像剤像を担持する現像剤像担持体(無端状ベルト体21)を有している。その現像剤像担持体21は、表面に、粗さ形成粒子104を有している。粗さ形成粒子104の平均粒径dは、現像剤200の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす大きさになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤像担持体を用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスによって画像を形成する画像形成装置は、現像剤像を像担持体上に形成する画像形成機構、現像剤像を像担持体から記録材に転写する画像転写機構、及び、記録材に転写された現像剤像を記録材に定着させる画像定着機構を有する構成となっている。
【0003】
画像形成機構は、静電潜像及び現像剤像が形成される像担持体を備えている。画像形成機構は、その像担持体の周囲に、帯電部材と現像部材とを備えている。また、像担持体の周囲には、帯電部材と現像部材との間に、露光ユニットが配置されている。
【0004】
帯電部材は、像担持体の表面を一様に帯電させる部材である。
露光ユニットは、上位装置から送信される印刷命令に基づいて、帯電部材によって帯電された像担持体を部分的に露光して、静電潜像を像担持体に形成するユニットである。
現像部材は、静電潜像が形成された像担持体に現像剤を供給して、現像剤によって静電潜像を現像剤像として現像(可視化)する部材である。現像剤像は、現像部材によって像担持体の表面に形成される。
【0005】
画像転写機構は、像担持体の表面に形成された現像剤像を像担持体から現像剤像担持体又は記録材に転写する機構である。
画像定着機構は、現像剤像が転写された記録材を加熱及び加圧して、現像剤を溶融させて、現像剤像を記録材に定着させる機構である。
【0006】
係る構成において、現像剤像担持体のクリーニング性能の劣化を回避するために、現像剤像担持体が規定された画像形成装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−225969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の画像形成装置は、現像剤像担持体に起因する、画像の印字品質を低下させる要因となる様々な現象(以下、「画像の品質低下要因」と称する)が発生する。そのため、従来の画像形成装置は、予め定められた基準を満たさない画像(印字品位の低い画像)を形成する場合がある、という課題があった。
【0009】
なお、印字品位の低い画像とは、具体的には、「ベタ濃度ガサツキ」や、「ハーフトーン粒状性」の不均一な領域、「細線中抜け」等が発生している画像を意味している。
「ベタ濃度ガサツキ」とは、ベタ印刷画像の中に現像剤の不均一な領域が発生する現象を意味している。
「ハーフトーン粒状性」とは、ハーフトーン画像の中に粒状性(グレイネス)が悪いドットが発生する現象を意味している。
「細線中抜け」とは、細線画像(例えば、幅1〜2mm程度の線の画像)の中で現像剤が剥がれた領域が発生する現象を意味している。
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、現像剤像担持体に起因する、画像の品質低下要因の発生を抑制して、高い印字品質の画像を確保する画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、画像形成装置であって、現像剤像を担持する現像剤像担持体を有し、前記現像剤像担持体は、表面に、粗さ形成粒子を有し、前記粗さ形成粒子の平均粒径dは、現像剤の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成とする。
【0012】
この画像形成装置は、現像剤像担持体の粗さ形成粒子の平均粒径dが、現像剤の平均粒径Dに対して、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成となっている。
【0013】
粗さ形成粒子は、この「(1/2)×D<d<D」の関係(以下、「規定」と称する)を満たさない場合に、以下のような、「画像の品質低下要因」が発生する。
【0014】
例えば、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、現像剤像担持体及びその現像剤像担持体に付着する現像剤の外添剤は、互いの接触確率が増加して、互いに頻繁に摺擦される。これにより、粗さ形成粒子が現像剤像担持体の表層から脱落したり、外添剤が現像剤から脱落したりし易くなる。そのため、画像形成装置は、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも小さい値の現像剤像担持体を用いると、例えば、現像剤像担持体の表層の摩耗や、現像剤像担持体の表層への外添剤の付着、現像剤像担持体に対するクリーニング不良等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合に、画像形成装置は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0015】
一方、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも大きい値の場合(「D≦d」の場合)に、現像剤は、粗さ形成粒子と粗さ形成粒子との間に埋没し易くなる。そのため、画像形成装置は、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも大きい値の現像剤像担持体を用いると、例えば、現像剤の転写不良や、現像剤像担持体に対するクリーニング性の低下、清掃部材の損傷等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合も、画像形成装置は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0016】
これに対して、本発明に係る画像形成装置は、現像剤像担持体の粗さ形成粒子の平均粒径dが前記した規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たすため、これらの画像の品質低下要因の発生を抑制することができる。その結果、この画像形成装置は、高い印字品質の画像を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現像剤像担持体に起因する、画像の品質低下要因の発生を抑制して、高い印字品質の画像を確保する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(1)である。
【図3】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(2)である。
【図4】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(3)である。
【図5A】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(1)である。
【図5B】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(2)である。
【図6A】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(3)である。
【図6B】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(4)である。
【図7】実験に対する評価基準を示す図である。
【図8】実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図(1)である。
【図9】実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図(2)である。
【図10】実施形態2に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0020】
[実施形態1]
本実施形態1に係る画像形成装置1は、後記する「ベタ濃度ガサツキ」、「ハーフトーン粒状性」、「細線中抜け」、及び、「クリーニング性」等を良化させることによって、画像の印字品質を向上させることを目的とする。そのために、画像形成装置1は、現像剤像担持体としての後記するベルト21の表層の表面に粗さ形成粒子104を塗布し、その平均粒径d(μm)をトナーの平均粒径Dとの対比関係で規定する。
【0021】
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置の構成の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の概略的な側面の構成を示している。
【0022】
ここでは、本実施形態1に係る画像形成装置1が、電子写真プロセスによって画像を形成する、タンデム型の中間転写方式のカラープリンタとして構成されている場合を想定して説明する。なお、「中間転写方式」は、現像剤像を無端状ベルト体に1次転写し、その後に、現像剤像を無端状ベルト体から記録材に2次転写する構成を意味している。以下、画像形成装置1を「プリンタ1」と称する。また、以下、「画像形成」動作を「印刷(又は、印字)」動作と称する場合もある。
【0023】
図1に示すように、プリンタ1は、現像剤像を像担持体上に形成する画像形成機構3、現像剤像を像担持体から記録材に転写する画像転写機構4、及び、記録材に転写された現像剤像を記録材に定着させる画像定着機構5を有している。また、プリンタ1は、記録材としての用紙9を収容する給紙ユニット2と、印刷が終了した用紙9を集積するスタッカ6とを有している。
【0024】
画像形成機構3は、静電潜像及び現像剤像が形成される像担持体11を備えている。像担持体11は、金属性のシャフトとその周囲を覆う感光体とによってドラム状に構成されている。以下、像担持体11を「感光体ドラム11」と称する。
【0025】
画像形成機構3は、感光体ドラム11に形成された後記する静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像(可視化)するユニットである。画像形成機構3は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。以下、画像形成機構3を「現像ユニット3」と称する。
【0026】
なお、ここでは、プリンタ1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及び、シアン(C)の各色に対応して、4つの現像ユニット3を有しているものとして説明する。4つの現像ユニット3は、内部に収容される現像剤(トナー)200(図2及び図3参照)の色が異なる以外は、同じ構成となっている。4つの現像ユニット3は、それぞれ、各感光体ドラム11が後記する無端状ベルト体21と当接するように、無端状ベルト体21の上に、配置されている。
【0027】
現像ユニット3は、感光体ドラム11の周囲に、帯電ローラ12と現像ローラ14とを備えている。また、感光体ドラム11の周囲には、帯電ローラ12と現像ローラ14との間に、露光ユニット13が配置されている。
【0028】
帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電部材である。
露光ユニット13は、上位装置から送信される印刷命令に基づいて、帯電ローラ12によって帯電された感光体ドラム11を部分的に露光して、静電潜像を感光体ドラム11に形成するユニットである。露光ユニット13は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。ここでは、露光ユニット13がLED(Light Emitting Diode)ヘッドとして構成されている場合を想定して説明する。
【0029】
現像ローラ14は、静電潜像が形成された感光体ドラム11に現像剤(以下、「トナー」と称する)200(図2及び図3参照)を供給して、トナー200によって静電潜像を現像剤像(以下、「トナー像」と称する)として現像(可視化)する現像部材である。トナー像は、現像ローラ14によって感光体ドラム11の表面に形成される。感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は、画像転写機構4によって転写体(ここでは、無端状ベルト体21)に転写される。
【0030】
画像転写機構4は、無端状ベルト体21、駆動ローラ22、従動ローラ23,24、1次転写ローラ25、2次転写ローラ26、及び、清掃部材としてのクリーニングブレード27を有している。
【0031】
無端状ベルト体(以下、「ベルト」と称する)21は、現像剤像としてのトナー像を担持する現像剤像担持体となって、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を用紙9に転写するための中間転写体である。ベルト21は、4つの現像ユニット3の各感光体ドラム11と当接する。トナー像は、感光体ドラム11からベルト21に一旦転写される。その後に、用紙9がベルト21とともに走行する際に、トナー像は、ベルト21から用紙9に転写される。
【0032】
駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、ベルト21を張架する張架手段である。駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、例えば、張架力6(kg)±10(%)でベルト21を張架している。ベルト21は、駆動ローラ22及び従動ローラ23によって水平方向に張架され、また、下側部分が従動ローラ24によって下方向に突出するように支持されている。ベルト21は、駆動ローラ22の回転に伴って、走行する。ベルト21の側部には、図示せぬガイド部材が設けられている。そのガイド部材は、ベルト21の側部に当接して、ベルト21の蛇行を防止する。
【0033】
1次転写ローラ25は、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に1次転写する転写部材である。1次転写ローラ25は、感光体ドラム11と対向するように、ベルト21の内周側に配置されている。1次転写ローラ25は、トナー像と逆極性の電圧が印加されることによって、感光体ドラム11からトナー像を引き寄せる。これにより、プリンタ1は、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に1次転写する。
【0034】
2次転写ローラ26は、ベルト21から記録材としての用紙9に2次転写する転写部材である。2次転写ローラ26は、ベルト21を介して従動ローラ24と対向するように、ベルト21の外周に配置されている。したがって、2次転写ローラ26は、ベルト21の下側に突出する部分の頂点でベルト21と対向して配置されている。2次転写ローラ26は、トナー像と逆極性の電圧が印加されることによって、ベルト21からトナー像を引き寄せる。その際に、プリンタ1は、給紙ユニット2から繰り出された用紙9をベルト21と2次転写ローラ26との間で走行させる。これによって、プリンタ1は、トナー像をベルト21から用紙9に2次転写する。
【0035】
クリーニングブレード27は、ベルト21の表面と接触することによって、2次転写後にベルト21に残留するトナー200を除去(クリーニング)する清掃部材である。
【0036】
用紙9に2次転写されたトナー像は、画像定着機構5によって用紙9に定着される。
画像定着機構5は、用紙9に転写されたトナー像を用紙9に定着させるユニットである。画像定着機構5は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。以下、画像定着機構5を「定着ユニット5」と称する。
【0037】
<画像形成装置の動作>
係る構成において、プリンタ1は、以下のように動作する。
プリンタ1は、上位装置から印刷命令を受信すると、印刷命令を解析して、印刷すべき画像データを取得する。そして、プリンタ1は、印刷動作を開始する。
【0038】
このとき、帯電ローラ12が、感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
次に、LEDヘッド13が、印刷命令に基づいて、一様に帯電された感光体ドラム11の表面を部分的に露光して、感光体ドラム11に静電潜像を形成する。
そして、現像ローラ14が、トナー200を感光体ドラム11に供給して、静電潜像をトナー像として現像(可視像化)する。
この後、1次転写ローラ25が、感光体ドラム11からトナー像を引き寄せて、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に転写する。
【0039】
なお、印刷すべき画像データがカラー画像である場合に、以上の動作が4つの現像ユニット3のそれぞれで行われる。これにより、4つのトナー像が、ベルト21に重ねて転写される。その結果、カラーのトナー像が、ベルト21の表面に形成される。
【0040】
プリンタ1は、給紙ユニット2から用紙9を搬送機構に繰り出して、用紙9を2次転写ローラ26まで搬送する。そして、プリンタ1は、2次転写ローラ26が、ベルト21からトナー像を引き寄せて、トナー像をベルト21から用紙9に転写する。
【0041】
この後、プリンタ1は、トナー像が転写された用紙9を定着ユニット5まで搬送する。そして、プリンタ1は、定着ユニット5が、用紙9を加熱及び加圧して、トナー像を溶融させる。これにより、プリンタ1は、トナー像を用紙9に定着させる。
【0042】
プリンタ1は、トナー像が定着された用紙9をスタッカ6に排出して集積する。
また、プリンタ1は、クリーニングブレード27が、用紙9への転写後にベルト21の上に残留するトナー200やその他の異物を除去する。
【0043】
<無端状ベルト体の構造>
ところで、プリンタ1は、ベルト21の表層の表面の粗さ(サイズ)に起因して、画像の印字品質を低下させる要因となる様々な現象(以下、「画像の品質低下要因」と称する)が生じる。本実施形態1に係るベルト21は、このようなベルト21の表層の表面の粗さに起因する画像の品質低下要因を無くすことを目的にして開発されたものである。以下に、各種の実験を通して得られたベルト21の構造につき説明する。
【0044】
ここでは、ベルト21として、2種類のベルト21a,21b(図2及び図3参照)を用意した。ベルト21aは、図2に示すように、弾性層102(図3参照)を持たないベルトである。一方、ベルト21bは、図3に示すように、弾性層102を持つベルトである。以下、ベルト21aとベルト21bとを区別する場合に、ベルト21aを「弾性層無しベルト21a」と称し、ベルト21bを「弾性層有りベルト21b」と称する。
【0045】
また、ここでは、トナー200として、2種類のトナー201,202を用意した。トナー201は、粉砕法によって形成された、真球度の低いトナーである。トナー202は、乳化重合法によって形成された、真球度の高いトナーである。以下、トナー201とトナー202とを区別する場合に、トナー201を「粉砕トナー201」と称し、トナー202を「球形トナー202」と称する。
【0046】
以下、図2〜図4を参照して、ベルト21としてのベルト21a,21bの構成につき説明する。図2〜図4は、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図である。図2は、弾性層無しベルト21aの断面形状を模式的に示している。また、図3は、弾性層有りベルト21bの断面形状を模式的に示している。また、図4は、後記する粗さ形成粒子104の配置状態を示している。
【0047】
図2に示すように、弾性層無しベルト21aは、内周面側に、ベルト基材101を備え、ベルト基材101の外周面側表面にバインダ層103が形成された構成となっている。バインダ層103は、表面に、粗さ形成粒子104を固着する層である。粗さ形成粒子104は、ベルト21の表層110の表面に粗さとなる凹凸を形成するための粒子である。バインダ層103及び粗さ形成粒子104は、弾性層無しベルト21aの表層110を形成している。弾性層無しベルト21aの表層110は、図4に示すように、隣接する粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104とが平均ピッチLの間隔で離間するように、粗さ形成粒子104が配置されている。これにより、弾性層無しベルト21aは、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。
【0048】
なお、粗さ形成粒子104の平均ピッチLは、トナー粒径をD、粗さ形成粒子104の粒径をdとした場合に、「L≦D+d」であることが好ましい。
【0049】
弾性層無しベルト21aは、トナー200として粉砕トナー201を用いた場合に、図2(a)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、粉砕トナー201が付着する。また、弾性層無しベルト21aは、トナー200として球形トナー202を用いた場合に、図2(b)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、球形トナー202が付着する。
【0050】
図3に示すように、弾性層有りベルト21bは、内周面側に、ベルト基材101を備え、ベルト基材101の上に弾性層102が形成され、さらに、弾性層102の上にバインダ層103が形成された構成となっている。弾性層102は、予め設定された弾性を有する層である。弾性層有りベルト21bの表層110は、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図4に示すように、隣接する粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104とが平均ピッチLの間隔で離間するように、粗さ形成粒子104が配置されている。これにより、弾性層有りベルト21bは、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。
【0051】
弾性層有りベルト21bは、トナー200として粉砕トナー201を用いた場合に、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図3(a)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、粉砕トナー201が付着する。また、弾性層有りベルト21bは、トナー200として球形トナー202を用いた場合に、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図3(b)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、球形トナー202が付着する。
【0052】
(1.弾性層無しベルト21a(図2参照)の製造方法)
以下に、ベルト21の製造方法につき説明する。
(1)まず、ベルト基材101(以下、「ベルト基材層101」と称する場合もある)を形成する。ここでは、押し出し成型によってベルト基材層101を形成する場合を想定して説明する。ただし、ベルト基材層101の形成方法は、押し出し成型に限定されるものでなく、インフレーション成型、射出成型、遠心成型、ディップ成型等の成型方法を使用してもよい。
【0053】
(1−1)まず、ベルト基材層101を形成するために、ベルト基材層101の材料となる樹脂を生成する。具体的には、例えば、導電性発現のために、カーボンブラックをポリアミドイミド(以下、「PAI」と称する)に適量配合し、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」と称する)の溶液中にて混合撹拌して、ベルト基材101の材料となる樹脂を生成する。なお、ここでは、ヤング率が2.0(GPa)以上(好ましくは3.0(GPa)以上)で、かつ、5.5(GPa)未満(好ましくは5.0(GPa)未満)のPAIを使用するものとする。
【0054】
(1−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、80〜120(℃)で樹脂を所定時間加熱する。そして、200〜350(℃)に昇温して、樹脂を所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂を脱型する。このとき、円筒状金型の口金から樹脂を連続的に押し出す。これにより、所定の寸法の、PAIによって構成されたベルト基材101が形成される。
【0055】
このとき形成されるベルト基材101(以下、「脱型時のベルト基材101」と称する)は、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。ここでは、膜厚が100±10(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト基材101が形成されるものとして説明する。そのために、円筒状金型の口金は、ベルト基材101の膜厚が100±10(μm)、内周長が624±1.5(mm)となるように、調整されている。
【0056】
(1−3)脱型時のベルト基材101は、前記した通り、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。そのため、ベルト基材101は、所定の幅長(1本分のベルト21の幅長)に切断される。これにより、1本分の幅長のベルト基材101が形成される。ここでは、膜厚が100±10(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト基材101が形成されたものとする。
【0057】
(2)次に、ベルト21の表層110を構成する材料(以下、「表層材」と称する)を、ベルト基材101の上に塗装する。ここでは、スプレー塗装によって塗装する場合を想定して説明する。
【0058】
(2−1)まず、表層材をベルト基材101の上に塗装するために、表層材(図示せず)を生成する。具体的には、例えば、粗さ形成粒子104としてのアクリル粒子をバインダ層103としてのウレタン系の水系塗料に適量分散配合して、表層材を生成する。
【0059】
ただし、粗さ形成粒子104には、様々なものを用いることができる。粗さ形成粒子104としては、例えば、アクリル粒子以外に、シリカ(SiO2)や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、粗さ形成粒子104として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0060】
また、粗さ形成粒子104は、粒子表面の自由エネルギーの値が小さいと、トナー200との粘着性が低下するため、好ましくは、粒子表面の自由エネルギーが小さな値の粒子を用いるとよい。
【0061】
また、粗さ形成粒子104の添加量は、好ましくは、使用するトナー200の平均粒径D(図2及び図3参照)や、粗さ形成粒子104を含む表層材の塗装方法に応じて、適宜調整するとよい。また、粗さ形成粒子104の添加量は、さらに好ましくは、粗さ形成粒子104を固着するバインダ層103とトナーとの接触面積を減らす程度の量であるとよい。
【0062】
(2−2)次に、ベルト基材101を金型にセットし、表層材をベルト基材101の外周面側にスプレー塗装する。これにより、ベルト基材101の表面に、表層110として、バインダ層103を形成する。このとき形成されるバインダ層103には、粗さ形成粒子104が固着している。これにより、弾性層無しベルト21aが製造される。
【0063】
ここでは、総膜厚が(100±10+バインダ層103の厚さ)(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)の弾性層無しベルト21aが製造されたものとする。
【0064】
ただし、表層材の塗装方法は、スプレー塗装に限定されるものでない。表層材の塗装方法としては、例えば、ロールコータ塗装や、バーコート塗装、静電塗装、ディップ塗装等の、他の方法に変更することも可能である。また、表層材の塗装は、表層材と弾性層102との接着性を向上させるために、表層材の下層となる弾性層102の外周面に下地処理材(プライマー)を塗布するようにしてもよい。また、表層110の膜厚は、塗布する表層材の濃度や塗布量によって調整することができる。
【0065】
なお、本実施形態1では、ベルト21は、表層110の表面を研磨するのではなく、表面に粗さ形成粒子104を塗布することによって、表層110の表面の粗さを調整している。これは、表面の粗さを調整する対象物が軟らかい物体である場合に、粗さ形成粒子104を塗布する方が、研磨する方よりも、粗さが均一な面を広い範囲でかつ高精度に得ることができるとともに、整形のコントロールをし易いからである。つまり、表面の粗さを調整する対象物が軟らかい物体である場合に、研磨する方は、精度が低く、整形のコントロールがし難いからである。
【0066】
(2.弾性層有りベルト21b(図3参照)の製造方法)
(1)まず、ベルト基材層101を形成する。ここでは、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、ベルト基材層101を形成する場合を想定して説明する。ただし、弾性層有りベルト21bの製造では、ベルト基材101を1本分のベルト21の幅長に切断するのは、弾性層102を形成した後である。
【0067】
(1−1)まず、ベルト基材層101を形成するために、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、ベルト基材層101の材料となる樹脂を生成する。
【0068】
(1−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、80〜120(℃)で樹脂を所定時間加熱する。そして、200〜350(℃)に昇温して、樹脂を所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂を脱型する。このとき、円筒状金型の口金から樹脂を連続的に押し出す。これにより、所定の寸法の、PAIによって構成されたベルト基材101が形成される。ここでは、膜厚が100±10(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト基材101が形成されるものとして説明する。
【0069】
(2)次に、弾性層102をベルト基材101の上に形成する。
(2−1)まず、弾性層102をベルト基材101の上に形成するために、弾性層102の材料となる樹脂を生成する。具体的には、例えば、導電性発現のために、イオン導電剤を熱可塑性ポリウレタンに適量配合して、弾性層102の材料となる樹脂を生成する。
【0070】
(2−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、90〜100(℃)で所定時間加熱する。そして、ベルト基材101を円筒状金型に挿入して、樹脂とベルト基材101とを密着させる。この後、100〜120(℃)に昇温して、樹脂とベルト基材101とを所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂とベルト基材101とを脱型する。これにより、所定の寸法の、ベルト基材層101と弾性層102とを有するベルト21の原管(以下、「ベルト21の弾性原管(図示せず)」と称する)が形成される。
【0071】
このとき形成されるベルト21の弾性原管(以下、「脱型時のベルト基材101の弾性原管」と称する)は、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。ここでは、膜厚が300±30(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト21の弾性原管が形成されるものとして説明する。そのために、円筒状金型の口金は、ベルト21の弾性原管の膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)となるように、調整されている。
【0072】
(2−3)脱型時のベルト21の弾性原管は、前記した通り、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。そのため、ベルト21の弾性原管は、所定の幅長(1本分のベルト21の幅長)に切断される。これにより、1本分の幅長のベルト基材層101及び弾性層102を有する部材(以下、「ベルト弾性基材」と称する)101Aが形成される。ここでは、膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト弾性基材101Aが形成されたものとする。
【0073】
(3)次に、表層材を弾性基材101Aの上に塗装する。ここでは、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、表層材をベルト弾性基材101Aの上に塗装する場合を想定して説明する。
【0074】
(3−1)まず、表層材をベルト弾性基材101Aの上に塗装するために、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、表層材を生成する。
【0075】
(2−2)次に、ベルト弾性基材101Aを金型にセットし、表層材をベルト弾性基材101Aの外周面側にスプレー塗装する。これにより、ベルト弾性基材101Aの表面に、表層110として、バインダ層103を形成する。このとき形成されるバインダ層103には、粗さ形成粒子104が固着している。これにより、弾性層有りベルト21bが製造される。
【0076】
ここでは、総膜厚が(300±30+バインダ層103の厚さ)(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)の弾性層有りベルト21bが製造されたものとする。
【0077】
(製造方法についての補足説明)
ところで、本実施形態1では、ベルト基材101の材料として、PAIを使用している。PAIは、アミド基と1〜2個のイミド基とが有機基を介して結合されることによって結合体を形成し、さらに、その結合体が1つの単位となって複数の他の結合体と結合することによって形成された高分子体である。
【0078】
PAIは、有機基が脂肪族であるか又は芳香族であるかによって、脂肪族PAI及び芳香族PAIのいずれか一方に分類される。本実施形態1に使用するPAIは、屈曲耐久性や機械的特性の観点から、芳香族PAIであることが好ましい。なお、「芳香族」とは、基本的には、イミド基及びアミド基と結合する有機基が1つ又は2つのベンゼン環によって構成された有機化合物を意味している。
【0079】
本実施形態1に使用するPAIは、完全にイミド閉環したものであってもよいし、又は、完全にイミド閉環していないアミド酸の段階のものであってもよい。ただし、本実施形態1に使用するPAIは、好ましくは、イミド化率が少なくとも50(%)以上、より好ましくは、イミド化率が70(%)以上のものであるとよい。それは、PAIは、含有するアミド酸が多いと、寸法変化率が大きくなり易いからである。
【0080】
なお、イミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(以下、「FT−IR」と称する)によって測定される、イミド基由来の吸収ピーク(1780cm−1)の赤外光の強度とベンゼン環由来の吸収ピーク(1510cm−1)の赤外光の強度との比率に基づいて、特定することができる。
【0081】
ベルト基材101は、一般的に、芳香族環やイミド基の多い分子構造にすることにより、ヤング率を高くすることができ、逆に、芳香族環やイミド基の少ない分子構造にすることにより、ヤング率を低くすることができる。
【0082】
ベルト基材101の材料は、本実施形態1で使用したPAIに限定されない。ベルト基材101の材料は、屈曲耐久性や機械的特性の観点から、ベルト21の走行時の張力変形が一定範囲である材料が望ましく、また、蛇行防止手段との間で摺動を繰り返すため、側部の摩耗や、折れ、割れ等のダメージを受け難い材料であることが望ましい。
【0083】
例えば、ベルト基材101の材料は、本実施形態1で使用したPAIと同様に、ヤング率が2.0(GPa)以上(好ましくは3.0(GPa)以上)で、かつ、5.5(GPa)未満(好ましくは、5.0(GPa)未満)のポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂、及び、これら各々を主体とした混合物を用いても構わない。
【0084】
ベルト基材101を回転成型で形成するにあたり、溶媒は、使用する材料により、適宜決定される。溶媒としては、有機極性溶媒がよく用いられ、特に、前記したNMPや、N,N−ジメチルアセトアミド類が多用される。また、溶媒としては、ジメチルスルホキシドや、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等を用いてもよい。これらは、溶媒として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0085】
なお、N,N−ジメチルアセトアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドや、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等が挙げられる。
【0086】
ベルト基材層101の回転成型に用いる円筒状金型の回転速度は、ベルト21の厚み精度及び厚みプロファイルの観点から、5〜1000rpm(好ましくは10〜500rpm)がよい。
【0087】
なお、ベルト21を形成する方法としては、大径の円筒状金型と小径の円筒状金型とを組み合わせ、その隙間にベルト21を形成する方法がある。また、ベルト21を形成する方法としては、材料を円筒状金型の外周面に塗布又は浸漬して、ベルト21を形成する方法もある。これらの場合であっても、材料や製造条件は、同様である。
【0088】
また、ベルト21を形成する方法としては、前記した押し出し成型やインフレーション成型により、ベルト21を形成する方法もある。これらの場合に、無溶剤でベルト21を形成することが可能であり、また、異なる材質のベルト21を同時に形成することも可能である。
【0089】
また、ベルト基材層101に用いるカーボンブラックの種類としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらは、カーボンブラックとして、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0090】
カーボンブラックの種類は、導電性の目標値に応じて適宜選択することができる。本実施形態に係るプリンタ1は、特に、チャンネルブラックやファーネスブラック等の種類のカーボンブラックを用いる。カーボンブラックは、好ましくは、用途に応じて、酸化処理やグラフト処理等を施したものや、溶媒への分散性の向上処理が施されたもの等を使い分けて使用するとよい。
【0091】
カーボンブラックの含有量は、添加するカーボンブラックの種類及びその目的に応じて適宜決定される。本実施形態1では、カーボンブラックの含有量は、ベルト21に要求される機械的強度等から、ベルト21の組成樹脂の固形分に対し、3〜40(重量%)、好ましくは5〜30(重量%)、さらに好ましくは5〜25(重量%)となっている。
【0092】
また、弾性層102としては、電気抵抗の均一性に優れ、かつ、イオン導電性を有する弾性材料であることが好ましい。例えば、公知のイオン導電性ゴムや、エラストマー、イオン導電剤が添加されたゴム等が、このような弾性材料として用いることができる。
【0093】
イオン導電性ゴムとしては、例えば、組成物中に極性基を持つゴム材料が挙げられる。具体的には、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴムやボリウレタンエラストマー等が挙げられる。
【0094】
その中でも、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーが、以下の点で、弾性層102の材料として、特に好ましい。なぜなら、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーは、可塑剤のように染み出すことがないため、プリンタ1の内部で長期間使用しても、ベルト21と接触する部材(例えば感光体ドラム11等)が汚れるのを回避することができるからである。
【0095】
例えば、プリンタ1は、長期間使用しても、ベルト21と接触する部材が汚れるのを回避することが好ましい。そのためには、ベルト21は、可塑剤のように染み出し易い物質を、弾性層102の材料に用いない方がよい。この点について、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーは、可塑剤のように染み出すことがないため、ベルト21と接触する部材が汚れるのを回避することができる。
【0096】
イオン導電剤としては、例えば、アンモニウム塩や、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド塩等が挙げられる。これらは、イオン導電剤として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0097】
なお、アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等が挙げられる。
【0098】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
【0099】
弾性層102は、電子導電剤が配合される場合がある。この場合に、電子導電剤として、例えば、カーボンブラック等が用いられる。
【0100】
弾性層102の材料となる樹脂は、弾性層102の成型方法に応じて、溶媒で希釈される場合がある。その際に、希釈に使用される溶媒としては、例えば、芳香族系溶媒や、エステル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒、アミド系溶媒、又は、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0101】
なお、芳香族系溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン等が挙げられる。
また、エステル系溶媒としては、例えば、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル等が挙げられる。
また、アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0102】
また、表層110を構成するバインダ層103の材料としては、非粘着性の材料であれば、特に種類を限定しない。例えば、バインダ層103の材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の材料が好ましい。これらは、バインダ層103の材料として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0103】
なお、フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。
【0104】
また、フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオライド(THV)等が挙げられる。
【0105】
また、アクリル樹脂は、アクリル基を持った高分子化合物からなる樹脂である。アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸エステルや、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0106】
また、ポリウレタン樹脂としては、例えば、主鎖にエステル結合を有するポリエステル系ウレタン樹脂や、主鎖にエーテル結合を有するポリエーテル系ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、シリコーン樹脂は、主骨格にシロキサン結合を有する高分子化合物である。
【0107】
なお、ベルト21の製造方法は、前記した方法に限定されるものではない。ベルト21は、以下のような公知の方法で製造してもよい。例えば、ベルト21の製造方法としては、(1)表層110、弾性層102、ベルト基材層101の順に遠心成形する方法や、(2)弾性層102、ベルト基材層101の順に遠心成形し、形成された部材を脱型した後に、表層110をその部材の上に塗布する方法、(3)ベルト基材101のみを遠心成形し、ベルト基材101を脱型した後に、弾性層102、表層110の順に、これらをベルト基材101の上に塗布する方法等が挙げられる。
【0108】
このようなベルト21は、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。そのベルト21は、後記する図5A及び図5Bに示す実験を行ったところ、ベルト21の表層110の粗さ形成粒子104の平均粒径をdとし、使用するトナー200(ここでは、粉砕トナー201及び球形トナー202)の平均粒径をDとする場合に、以下の式1の関係(以下、「式1の規定」と称する)を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
(1/2)×D<d<D …(式1)
【0109】
また、ベルト21は、後記する図6A及び図6Bに示す実験を行ったところ、ベルト21の表層110の粗さ形成粒子104の平均粒径をdとし、粗さ形成粒子104を固着するバインダ層103の膜厚をHとする場合に、以下の式2の関係(以下、「式2の規定」と称する)を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
(1/2)×d<H<d …(式2)
【0110】
なお、粗さ形成粒子104の平均粒径dやトナー200の平均粒径Dは、以下のようにして測定される。粗さ形成粒子104の平均粒径dは、例えば、細胞計数分析装置(ベックマンコールター社製、コールターマルチサイザーIII)を用い、アパチャー径を100μmに設定して、3万個分の粗さ形成粒子104の体積平均粒径を測定し、その3万個分の粗さ形成粒子104の体積平均粒径の値(μm)が適用される。同様に、トナー200の平均粒径Dも、例えば、細胞計数分析装置(ベックマンコールター社製、コールターマルチサイザーIII)を用い、アパチャー径を100μmに設定して、3万個分のトナー200の体積平均粒径を測定し、その3万個分のトナー200の体積平均粒径の値(μm)が適用される。
【0111】
<無端状ベルト体の最適な構造を導き出すための実験>
以下、図5A及び図5B、並びに、図6A及び図6Bに示す実験の内容について、説明する。図5A及び図5B、並びに、図6A及び図6Bは、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。
【0112】
実験は、トナー200として、以下の製造方法によって製造された、粉砕トナー201(図2(a)及び図3(a)参照)と球形トナー202(図2(b)及び図3(b)参照)を用いて行った。
【0113】
以下に、トナー200の製造方法につき説明する。
(1.粉砕トナー201(図2(a)及び図3(a)参照)の製造方法)
粉砕トナー201の粒子は、主構成組成をポリエステル樹脂とする構成となっている。粉砕トナー201の粒子は、粉砕法によって、形成される。粉砕トナー201は、シリカや酸化チタン微粉末等がその粒子に加えられて、ミキサーで撹拌することによって、生成される。実験では、粉砕トナー201として、平均粒径が5.7(μm)のものが使用された。なお、粉砕トナー201は、個々の粒子が歪んだ形状になっているため、真球度は存在しない。
【0114】
(2.球形トナー202(図2(b)及び図3(b)参照)の製造方法)
球形トナー202の粒子は、主成分をスチレン−アクリル共重合体とし、パラフィンワックスを9重量部内包する構成となっている。球形トナー202の粒子は、乳化重合法によって、スチレン−アクリル共重合体及びパラフィンワックスを混合することによって、形成される。球形トナー202は、シリカや酸化チタン微粉末等がその粒子に加えられて、ミキサーで撹拌されることによって、生成される。実験では、球形トナー202として、平均粒径が5.5(μm)で、真球度が0.95のものが使用された。真球度は、「1.00」に近くなるほど、真球に近くなる。
【0115】
なお、乳化重合法とは、溶媒中で球形トナー202の結着樹脂であるスチレン−アクリル共重合体の一次粒子を作成し、一次粒子と同じ溶媒に、乳化剤(界面活性剤)によってエマルション化させた着色剤を混合し、さらに、必要に応じて、ワックスや荷電制御剤等を混合し、それらを凝集させることによって、トナー粒子を生成する方法である。球形トナー202の粒子は、溶媒から取り出され、洗浄され、乾燥させられることによって、不要な溶媒成分及び副生成物成分が除去される。
【0116】
(実験で用いたプリンタの仕様)
実験では、株式会社沖データ製プリンタC910を用いて行った。ただし、実験では、直接転写方式のカラープリンタとして構成されていたプリンタC910を、中間転写方式のカラープリンタに改造して行った。
【0117】
実験では、トナー200として、平均粒径を5.7(μm)とする、5.3〜6.1(μm)の粒径の粒子を含むトナー201,202を用いた。
また、記録材として、A4サイズの用紙9を用いて、印字パターンとして、ブラックのベタ濃度、ハーフトーン、及び、細線の3通りの印刷を行った。
【0118】
また、ベルト21として、粗さ形成粒子104が塗布される下層の表面の十点平均粗さRzが5(μm)のベルト21a,21bを用いた。なお、「粗さ形成粒子104が塗布される下層」とは、弾性層無しベルト21aでは、ベルト基材101となり、一方、弾性層有りベルト21bでは、弾性層102となる。また、ベルト21の十点平均粗さRzの「5(μm)」という値は、JISによって定められた基準長さの標準値「0.8(mm)」を基準長さにして、測定された値である。
【0119】
また、ベルト21の線速は、およそ90(mm/sec)に設定した。
実験では、プリンタ1は、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24として、いずれも直径25(mm)のものを使用した。ただし、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、この径に限定されるものではない。一般的なプリンタ1は、コストや、装置の小型化等の要因により、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24として、例えば、直径10〜50(mm)のものを使用することが多い。
【0120】
実験では、プリンタ1は、駆動ローラ22及び従動ローラ23がベルト21を支持し、スプリングによってベルト21を6(kg)±10(%)の力で張架した。ただし、ベルト21を張架する手段は、これに限定されるものではない。
【0121】
また、ベルト21を張架する力も、使用するベルト21の材料やベルト21の走行手段に応じて、適宜選択される。ベルト21を張架する力は、一般的に、ベルト21に対し2〜8(kg)±10(%)の力で張架することが多い。
【0122】
実験では、クリーニングブレード27は、ゴム硬度JIS_A72(°)、厚さ1.5(mm)のウレタンゴムにより、線圧4.3(g/mm)になるように設定した。これは、ウレタンゴム等の弾性材からなるブレード方式が、残留トナーや異物等を除去する機能に優れ、その構成が簡単かつコンパクトで低コストであるからである。また、ゴム材料としては、高硬度で、しかも弾性に富み、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、耐オゾン性等に卓越しているウレタンゴムが最適であるからである。
【0123】
一般に、クリーニングブレード27として使用されるウレタンゴムは、クリーニング性を維持するために、硬度が、JIS_A60〜90(°)であることが好ましく、特に、70〜85(°)であるとよい。また、ウレタンゴムは、破断伸びが、250〜500(%)であることが好ましく、特に、300〜400(%)であるとよい。また、ウレタンゴムは、永久伸びが、1.0〜5.0(%)であることが好ましく、特に、1.0〜2.0(%)であるとよい。また、ウレタンゴムは、反発弾性が、10〜70(%)であることが好ましく、特に、30〜50(%)であるとよい。各物性は、JIS_K6301に基づいて測定することができる。
【0124】
また、クリーニングブレード27は、ベルト21との接触の線圧が、1〜6(g/mm)であることが好ましく、特に、2〜5(g/mm)であるとよい。その理由は、線圧が低すぎると、ベルト21に対するクリーニングブレード27の押圧力が不足するため、クリーニング不良(トナーをベルト21から完全に除去できない現象)が発生し易くなるからである。また、その理由は、線圧が高すぎると、クリーニングブレード27がベルト21と面接触するようになるため、摩擦抵抗が過剰になり、ベルト21に対するクリーニングブレード27の押圧力がトナーに対するクリーニングブレード27の除去力よりも勝り、その結果、トナーがベルト21に貼り付く、いわゆるフィルミング現象と称されるクリーニング不良や、クリーニングブレード27のメクレ等の不具合が発生し易くなるからである。
【0125】
まず、第1種目の実験として、図5Aに示す実験データA1〜A24の実験を行った。
実験データA1〜A6は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層無しベルト21aと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA7〜A12は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層無しベルト21aと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
実験データA13〜A18は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA18〜A24は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
【0126】
次に、第2種目の実験として、図6Aに示す実験データB1〜B10の実験を行った。
実験データB1〜B5は、平均粒径dを粒径3(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、バインダ層103の膜厚Hが1.0〜4.0(μm)の、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
実験データB6〜B10は、平均粒径dを5(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、バインダ層103の膜厚Hが2.0〜6.0(μm)の、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
【0127】
なお、図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bに示す粗さ形成粒子104の平均粒径dには、以下の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを1(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.3〜1.7(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを2(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.6〜3.4(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを3(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.9〜5.1(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを4(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.2〜6.8(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを5(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.5〜8.5(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを6(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.8〜10.2(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
【0128】
実験では、「ベタ濃度ガサツキ」、「ハーフトーン粒状性」、「細線中抜け」、及び、「クリーニング性」で、評価を判定した。以下に、図7を参照して、評価基準につき説明する。図7は、実験に対する評価基準を示す図である。
【0129】
図7に示すように、「ベタ濃度ガサツキ」とは、ベタ印刷で発生した白抜現象を意味している。「白抜現象」は、例えば、トナーが用紙9の凹部にまで転写されずに、下地が露出することによって、発生する。「白抜現象」が発生した部分(以下、「白抜部分」と称する)は、がさついて見える部分となっている。「ベタ濃度ガサツキ」に対する評価は、その白抜部分の発生の有無や発生の程度を識別することによって行われる。「ベタ濃度ガサツキ」が発生すると、がさついた画像が用紙9に形成される。
【0130】
図7に示すように、「ハーフトーン粒状性」とは、ハーフトーン印刷した場合の、印刷画像を構成するドットの形状の良否を意味している。「ハーフトーン粒状性」の評価は、ドットの形状が正円形である場合を良好とし、ドットの形状が正円から歪んでいる場合や、ドットの内部が透けて下地が見える場合を不良として判定される。「ハーフトーン粒状性」が発生すると、不鮮明な画像が用紙9に形成される。
【0131】
図7に示すように、「細線中抜け」とは、細線(例えば、約1〜2(mm)の幅の線)を印刷した場合に、「中抜け」と称される、細線の中の欠落部分を意味している。「中抜け」は、例えば、トナー200がベルト21から剥がれることによって発生する。「細線中抜け」の評価は、中抜けがない場合を良好とし、中抜けがある場合を不良として判定される。「細線中抜け」が発生すると、不正確な画像が用紙9に形成される。
【0132】
「クリーニング性」とは、ベルト21に残留する転写後のトナー200の除去性能を意味している。「クリーニング性」の評価は、転写後のトナー200をベルト21から十分に除去できる場合を良好とし、転写後のトナー200をベルト21から十分に除去できない場合を不良として判定される。「クリーニング性」が低下すると、汚れた画像が用紙9に形成される。
【0133】
実験では、画像の印字品質に基づいて、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4通りに分けて評価が判定された。判定結果として、「◎」及び「○」が、「問題無し」であることを意味している。特に、「◎」は、「○」よりも優れていることを意味している。また、「△」が、ベタ濃度ガサツキや、ハーフトーン粒状性悪化、細線中のヌケ、クリーニング不良等が軽微に発生するものの、「実用上問題無し」であることを意味している。また、「×」が、「実用上問題有り」であることを意味している。
【0134】
実験では、1万枚印刷して、1枚でも図7の最下段に示す絵の現象が発生した場合に、評価を「×」として判定した。また、目視では現象の発生を確認することができなかったものの、顕微鏡で10倍に拡大して見ることにより、現象の発生を確認することができた場合に、評価を「△」として判定した。
【0135】
図5Aの結果によれば、ベルト21は、前記した「式1の規定」、すなわち、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
【0136】
なお、確認のために、図5Bに示す実験データA25〜A29の実験を行った。
実験データA25,A26は、平均粒径dを2.85μmとする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA27,A28は、平均粒径dを5.7μmとする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA29は、粗さ形成粒子104が塗布されていない、弾性層102とベルト基材101とからなるベルトと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
【0137】
図5Bの結果によっても、ベルト21は、前記した「式1の規定」、すなわち、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。また、念のため、平均粒径が5〜6.5(μm)の粉砕トナー201を用いて同様の実験を行ったところ、同様の効果を確認することができた。
【0138】
なお、式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)において、「≦」ではなく、「<」で規定している理由は、以下の通りである。すなわち、式1の規定は、測定のバラツキが起こり得るトナー201,202の平均粒径Dと粗さ形成粒子104の平均粒径dとの対比関係で範囲を規定している。そのため、ベルト21は、式1の規定の臨界付近で、同じ試料を用いた場合に、良好な結果が得られるときと良好な結果が得られないときとが発生する。そこで、本実施形態1は、粒径分布を考慮すると、式1の規定を、「≦」ではなく、「<」で規定することによって、さらに確実な効果を得ることを意図している。
【0139】
例えば、図5Bに示すように、実験での下限値である平均粒径d=2.85(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データA25,A26では、実験データA25で、良好な結果が得られなかったが、実験データA26で、良好な結果が得られた。
【0140】
同様に、実験での上限値である平均粒径d=5.7(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データA27,A28では、実験データA27で、良好な結果が得られなかったが、実験データA28で、良好な結果が得られた。
【0141】
また、実験では、前記した通り、ベルト21として、粗さ形成粒子104が塗布される下層の表面の十点平均粗さRzが5(μm)のベルト21a,21bを用いた。ただし、ベルト21a,21bは、これに限らない。例えば、各種の実験によれば、粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21として、表面の十点平均粗さRzが少なくとも1〜20(μm)の範囲にあるベルト21であれば、実験結果が粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21の表面の粗さに依存しないことが確認された。
【0142】
本実施形態1において、「(1/2)×D<d<D」(ここでは、2.85<d<5.7(μm))の関係を満たす平均粒径dの粗さ形成粒子104を塗布した後のベルト21の表面の十点平均粗さRzを測定したところ、十点平均粗さRzが1.5〜7(μm)の範囲であった。
【0143】
ここで、粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21の表面の十点平均粗さRzは、4(μm)であり、前記の粗さ形成粒子104を塗布した後のベルト21の表面の十点平均粗さRzの範囲内にあった。しかしながら、ベルト21は、図5Bの実験データA29に示されるように、ベルト21に粗さ形成粒子104を塗布しない場合において、良好な結果が得られていない。
【0144】
つまり、図5Bの実験データA29によれば、ベルト21は、粗さ形成粒子104を塗布しない場合に、画像品位が向上するものではなく、粗さ形成粒子104を塗布することによって、本発明による効果が得られるものであることが確認できた。
【0145】
また、図6Aの結果によれば、ベルト21は、前記した「式2の規定」、すなわち、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
【0146】
なお、確認のために、図6Bに示す実験データB2a,B4a,B7a,B9aの実験を行った。実験データB2a,B4a,B7a,B9aは、検証のために、実験データB2,B4,B7,B9と同じ実験を再度行った場合のデータを示している。
基材101とからなるベルト21と、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
【0147】
図6Bの結果によっても、ベルト21は、前記した「式2の規定」、すなわち、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。また、平均粒径が5〜6.5(μm)の粉砕トナー201を用いて同様の実験を行ったところ、同様の効果を確認することができた。
【0148】
なお、式2の規定(「(1/2)×d<H<d」の関係)において、「≦」ではなく、「<」で規定している理由は、以下の通りである。すなわち、式2の規定は、測定のバラツキが起こり得る粗さ形成粒子104の平均粒径dとバインダ層103の層厚Hとの対比関係で範囲を規定している。そのため、ベルト21は、式2の規定の臨界付近で、同じ試料を用いた場合に、良好な結果が得られるときと良好な結果が得られないときとが発生する。そこで、本実施形態1は、粒径分布を考慮すると、式2の規定を、「≦」ではなく、「<」で規定することによって、さらに確実な効果を得ることを意図している。
【0149】
例えば、図6A及び図6Bに示すように、平均粒径d=3(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での下限値であるバインダ層103の層厚H=1.5(μm)の弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB2,B2aでは、実験データB2で、良好な結果が得られたが、実験データB2aで、良好な結果が得られなかった。
【0150】
同様に、平均粒径d=3(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での上限値である平均粒径d=3.0(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB4,B4aでは、実験データB4で、良好な結果が得られなかったが、実験データB4aで、良好な結果が得られた。
【0151】
また、例えば、図6A及び図6Bに示すように、平均粒径d=5(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での下限値であるバインダ層103の層厚H=2.5(μm)の弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB7,B7aでは、実験データB7で、良好な結果が得られたが、実験データB7aで、良好な結果が得られなかった。
【0152】
同様に、平均粒径d=5(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での上限値である平均粒径d=5.0(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB9,B9aでは、実験データB9で、良好な結果が得られなかったが、実験データB9aで、良好な結果が得られた。
【0153】
<式1の規定及び式2の規定についての考察>
以下に、図8及び図9を参照して、式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)及び式2の規定(「(1/2)×d<H<d」の関係)が好ましい理由を説明する。図8及び図9は、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図である。
【0154】
ここでは、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定又は式2の規定から外れた場合に、どのような「画像の品質低下要因」が発生するのかを説明することによって、式1の規定及び式2の規定による利点を反証的に説明する。
【0155】
(1.式1の規定が好ましい理由)
式1の規定が好ましい第1の理由は、図8(a)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、外添剤301がトナー200から脱落したりし易くなるからである。
【0156】
例えば、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、ベルト21及びトナーの外添剤301は、互いの接触確率が増加して、互いに頻繁に摺擦される。これにより、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、外添剤301がトナーから脱落したりし易くなる。そのため、プリンタ1は、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値のベルト21を用いると、例えば、ベルト21の表層110の摩耗や、ベルト21の表層110への外添剤301の付着、ベルト21に対するクリーニング不良等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合に、プリンタ1は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0157】
式1の規定が好ましい第2の理由は、図8(c)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも大きい値の場合(「D≦d」の場合)に、トナーが粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に埋没し易くなるからである。そのため、プリンタ1は、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも大きい値のベルト21を用いると、例えば、トナー200の転写不良や、ベルト21に対するクリーニング性の低下、クリーニングブレード27の損傷等の画像の品質低下要因が発生し易くなる。その結果、この場合も、プリンタ1は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0158】
これに対して、図8(b)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たす場合に、第1の理由及び第2の理由で前記したような画像の品質低下要因の発生を抑制することができる。その結果、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たす場合に、プリンタ1は、品質の高い画像形成を行うことができる。
【0159】
(2.式2の規定が好ましい理由)
式2の規定が好ましい第1の理由は、バインダ層103の膜厚Hが式2の規定よりも薄い場合(「H≦(1/2)×d」の場合)に、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、ベルト21の表層110が摩耗し易くなるからである。ベルト21は、この場合に、満足する印字品質を提供する手段としての機能(例えば、ベルト21の表層110からの粗さ形成粒子104の脱落やベルト21の表層110の摩耗等を抑制する機能)を維持できなくなる。
【0160】
式2の規定が好ましい第2の理由は、バインダ層103の膜厚Hが式2の規定よりも厚い場合(「d≦H」の場合)に、粗さ形成粒子104がバインダ層103に埋没し易くなるからである。ベルト21は、この場合も、満足する印字品質を提供する手段としての機能(ベルト21の表層110の摩耗や、ベルト21の表層110への外添剤301の付着、ベルト21に対するクリーニング不良等を抑制する機能)を維持できなくなる。
【0161】
なお、図5A、図6Aの結果より、弾性層102を有するベルト21は、さらにベタ濃度及びガサツキにおいて高い印字品質の画像を確保する上で好ましい。
これは以下により説明できる。
【0162】
ベルト21に弾性層102が存在すると、転写時にベルト21の表層110と用紙9とが柔らかく接触するので、ベルト21と用紙9の接触面積が広がり、凸凹の大きな用紙9への転写性が良好になる。
これは、ベルト21の弾性層102が、感光体ドラム11とベルト21との間のトナーに加わる圧力を、ベルト21に適度に逃すことができ、トナーに必要以上の圧力が加わらなくなり、トナーの凝集を抑制することができ、結果として、ガサツキ画像の発生を効果的に防止することができるからである。
【0163】
また、ベルト21は、表層110の下層がベルト基材101のみである場合に、つまり、表層110の下層に弾性層102を設けない場合に、図5Aに示すように、クリーニング性に対して優れた結果が得られる。
このように、ベルト21は、弾性層102を設けるか否かによって、求める画像品質に対応することができる。
【0164】
この現象は、表面の凸凹が大きな用紙9(例えば、表面がざらざらしている用紙や、半紙のようなすき目がある用紙等)を記録材として用いる場合に、顕著である。
また、表面の凸凹が大きな用紙9は、表面に繊維や充填剤等が露出しているベルト21の表層110と馴染み難い傾向があると考えられる。
このような用紙9は、ベルト21の上に形成されたトナー像を、用紙9に転写する際に、トナーが用紙9の凹部にまで転写されずに、がさついた印字(白抜現象)が発生し易い。
したがって、用紙9に対する転写性能を向上させるためには、弾性層102を有するベルト21が効果的である。
【0165】
以上の通り、本実施形態1に係るベルト21によれば、粗さ形成粒子104の平均粒径dがトナー200の平均粒径Dに対して「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成とすることにより、画像の品質低下要因の発生を抑制することができ、その結果、高い印字品質の画像を確保することができる。
【0166】
また、ベルト21によれば、好ましくは、バインダ層103の層厚Hが粗さ形成粒子104の平均粒径dに対して「(1/2)×d<H<d」の関係を満たす構成とすることにより、さらに、画像の品質低下要因の発生を抑制することができ、その結果、高い印字品質の画像を確保することができる。
【0167】
[実施形態2]
本実施形態2に係るベルト21A(図示せず)は、実施形態1に係るベルト21と比較すると、表層110のバインダ層103に固体潤滑剤が分散配合されている点で相違している。
実施形態2に係るベルト21Aにつき説明する。
なお、ベルト21Aは、実施形態1に係るベルト21(図2及び図3参照)と同じ構成となっている。そのため、ここでは、ベルト21Aの各構成要素については、実施形態1に係るベルト21の構成要素と同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。
また、ベルト21Aの、実施形態1に係るベルト21と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0168】
本実施形態2では、実施形態1に係るベルト21と同様に、ベルト21Aのベルト弾性基材101Aとして、膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト弾性基材101Aが形成されたものとする。
【0169】
本実施形態2では、この後に、バインダ層103としてのウレタン系の水系塗料に、粗さ形成粒子104としての平均粒径3(μm)のアクリル粒子と、ベルト21Aのバインダ層103の固体潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を適宜添加分散させた表層材を生成した。
そして、表層110のバインダ層103の膜厚が2(μm)となるように、その表層材を、スプレー塗装にてベルト弾性基材101Aに塗装した。これにより、本実施形態2に係るベルト21Aが製造される。
【0170】
なお、本実施形態2では、固体潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いたが、固体潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛以外に、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の金属石鹸系のステアリン酸化合物を、硬度、耐熱温度、溶解性等を考慮して、適宜使用することができる。
【0171】
そのベルト21Aは、後記する図10に示す実験を行ったところ、固体潤滑剤がバインダ層103に添加されたベルト21Aは、異音発生を起こさない点でよい、ことが判明した。
【0172】
以下、図10に示す実験の内容について、説明する。図10は、実施形態2に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。図10は、静摩擦係数と異音の有無とを計測して、静穏性を評価した結果を示している。
【0173】
図10は、固体潤滑剤がバインダ層103に添加されていない実施形態1に係るベルト21をプリンタ1に搭載した場合の実験データC1と、固体潤滑剤がバインダ層103に添加された本実施形態2に係るベルト21Aをプリンタ1に搭載した場合の実験データCBと示している。
【0174】
実験の評価方法、評価条件、及び、判定方法は、LL環境(温度10(℃)、湿度20(%)の環境)下で行った以外は、実施形態1と同様に行なった。
また、ベルト21の表層110の摩擦係数は、新東科学株式会社製TRIBOGEAR14FVを用いて測定した。
【0175】
評価は、プリンタ1をLL環境(温度10(℃)、湿度20(%)の環境)下に24時間放置した後に、プリンタ1の電源を投入し、ベルト21又はベルト21Aが走行する際の異音発生の有無を確認することによって行った。その結果、図10に示す実験データC1,C2を取得することができた。
【0176】
図10の結果によれば、本実施形態2に係るベルト21Aは、実施形態1に係るベルト21と比較すると、前記した条件下でも異音発生を起こさない点でよい、ことが判明した。したがって、固体潤滑剤をバインダ層103に添加することは、静穏性を向上させる点で有効である。
【0177】
以下に、その理由を説明する。
異音は、ベルト21の表層110と、クリーニングブレード27(図1参照)との摩擦により発生する。この現象は、特に、LL環境下で、クリーニングブレード27のゴム弾性が低下している場合に発生し易い。
【0178】
一方、固体潤滑剤をバインダ層103に添加すると、ベルト21Aは、固体潤滑剤がベルト21Aの表層110全体に分散されるため、クリーニングブレード27との静摩擦が低減する。これにより、ベルト21Aは、円滑な回転が可能なり、その結果、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制することができる。
【0179】
また、プリンタ1は、クリーニングブレード27に接触しない領域に、固体潤滑剤の供給部材を設ける必要がないため、コストや、各構成要素の装置内での配置の自由度が増す利点がある。
【0180】
このように、ステアリン酸亜鉛のような固体潤滑剤をバインダ層103に添加することは、ベルト21Aの円滑な回転を可能とし、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制する点で好ましい。
以上の通り、本実施形態2に係るベルト21Aによれば、ステアリン酸亜鉛のような固体潤滑剤を添加することは、円滑な回転が可能なり、その結果、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制することができる。
【0181】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本発明は、プリンタに限らず、無端状ベルト体を有する、ファクシミリ装置、複写機、MFP等の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Printerの略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
また、本発明は、感光体ベルト、定着ベルト、搬送ベルト等の、無端状ベルト体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0182】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 給紙ユニット
3 画像形成機構(現像ユニット)
4 画像転写機構
5 画像定着機構(定着ユニット)
6 スタッカ
9 用紙(記録材)
11 感光体ドラム(像担持体)
12 帯電ローラ(帯電部材)
13 露光ユニット(LEDヘッド)
14 現像ローラ(現像部材)
21 無端状ベルト体(現像剤像担持体、中間転写体)
21a 弾性層無しベルト
21b 弾性層有りベルト
22 駆動ローラ
23,24 従動ローラ
25 1次転写ローラ
26 2次転写ローラ
27 クリーニングブレード(清掃部材)
101 ベルト基材(ベルト基材層)
102 弾性層
103 バインダ層
104 粗さ形成粒子
201 トナー粒子(現像剤粒子)
202 トナー粒子(現像剤粒子)
D トナー(現像剤)の平均粒径
d 粗さ形成粒子の平均粒径
H バインダ層の膜厚
L 粗さ形成粒子の平均ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤像担持体を用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスによって画像を形成する画像形成装置は、現像剤像を像担持体上に形成する画像形成機構、現像剤像を像担持体から記録材に転写する画像転写機構、及び、記録材に転写された現像剤像を記録材に定着させる画像定着機構を有する構成となっている。
【0003】
画像形成機構は、静電潜像及び現像剤像が形成される像担持体を備えている。画像形成機構は、その像担持体の周囲に、帯電部材と現像部材とを備えている。また、像担持体の周囲には、帯電部材と現像部材との間に、露光ユニットが配置されている。
【0004】
帯電部材は、像担持体の表面を一様に帯電させる部材である。
露光ユニットは、上位装置から送信される印刷命令に基づいて、帯電部材によって帯電された像担持体を部分的に露光して、静電潜像を像担持体に形成するユニットである。
現像部材は、静電潜像が形成された像担持体に現像剤を供給して、現像剤によって静電潜像を現像剤像として現像(可視化)する部材である。現像剤像は、現像部材によって像担持体の表面に形成される。
【0005】
画像転写機構は、像担持体の表面に形成された現像剤像を像担持体から現像剤像担持体又は記録材に転写する機構である。
画像定着機構は、現像剤像が転写された記録材を加熱及び加圧して、現像剤を溶融させて、現像剤像を記録材に定着させる機構である。
【0006】
係る構成において、現像剤像担持体のクリーニング性能の劣化を回避するために、現像剤像担持体が規定された画像形成装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−225969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の画像形成装置は、現像剤像担持体に起因する、画像の印字品質を低下させる要因となる様々な現象(以下、「画像の品質低下要因」と称する)が発生する。そのため、従来の画像形成装置は、予め定められた基準を満たさない画像(印字品位の低い画像)を形成する場合がある、という課題があった。
【0009】
なお、印字品位の低い画像とは、具体的には、「ベタ濃度ガサツキ」や、「ハーフトーン粒状性」の不均一な領域、「細線中抜け」等が発生している画像を意味している。
「ベタ濃度ガサツキ」とは、ベタ印刷画像の中に現像剤の不均一な領域が発生する現象を意味している。
「ハーフトーン粒状性」とは、ハーフトーン画像の中に粒状性(グレイネス)が悪いドットが発生する現象を意味している。
「細線中抜け」とは、細線画像(例えば、幅1〜2mm程度の線の画像)の中で現像剤が剥がれた領域が発生する現象を意味している。
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、現像剤像担持体に起因する、画像の品質低下要因の発生を抑制して、高い印字品質の画像を確保する画像形成装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、画像形成装置であって、現像剤像を担持する現像剤像担持体を有し、前記現像剤像担持体は、表面に、粗さ形成粒子を有し、前記粗さ形成粒子の平均粒径dは、現像剤の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成とする。
【0012】
この画像形成装置は、現像剤像担持体の粗さ形成粒子の平均粒径dが、現像剤の平均粒径Dに対して、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成となっている。
【0013】
粗さ形成粒子は、この「(1/2)×D<d<D」の関係(以下、「規定」と称する)を満たさない場合に、以下のような、「画像の品質低下要因」が発生する。
【0014】
例えば、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、現像剤像担持体及びその現像剤像担持体に付着する現像剤の外添剤は、互いの接触確率が増加して、互いに頻繁に摺擦される。これにより、粗さ形成粒子が現像剤像担持体の表層から脱落したり、外添剤が現像剤から脱落したりし易くなる。そのため、画像形成装置は、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも小さい値の現像剤像担持体を用いると、例えば、現像剤像担持体の表層の摩耗や、現像剤像担持体の表層への外添剤の付着、現像剤像担持体に対するクリーニング不良等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合に、画像形成装置は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0015】
一方、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも大きい値の場合(「D≦d」の場合)に、現像剤は、粗さ形成粒子と粗さ形成粒子との間に埋没し易くなる。そのため、画像形成装置は、粗さ形成粒子の平均粒径dが規定よりも大きい値の現像剤像担持体を用いると、例えば、現像剤の転写不良や、現像剤像担持体に対するクリーニング性の低下、清掃部材の損傷等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合も、画像形成装置は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0016】
これに対して、本発明に係る画像形成装置は、現像剤像担持体の粗さ形成粒子の平均粒径dが前記した規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たすため、これらの画像の品質低下要因の発生を抑制することができる。その結果、この画像形成装置は、高い印字品質の画像を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、現像剤像担持体に起因する、画像の品質低下要因の発生を抑制して、高い印字品質の画像を確保する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(1)である。
【図3】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(2)である。
【図4】実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図(3)である。
【図5A】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(1)である。
【図5B】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(2)である。
【図6A】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(3)である。
【図6B】実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図(4)である。
【図7】実験に対する評価基準を示す図である。
【図8】実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図(1)である。
【図9】実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図(2)である。
【図10】実施形態2に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0020】
[実施形態1]
本実施形態1に係る画像形成装置1は、後記する「ベタ濃度ガサツキ」、「ハーフトーン粒状性」、「細線中抜け」、及び、「クリーニング性」等を良化させることによって、画像の印字品質を向上させることを目的とする。そのために、画像形成装置1は、現像剤像担持体としての後記するベルト21の表層の表面に粗さ形成粒子104を塗布し、その平均粒径d(μm)をトナーの平均粒径Dとの対比関係で規定する。
【0021】
<画像形成装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態1に係る画像形成装置の構成の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る画像形成装置の構成を示す図である。図1は、実施形態1に係る画像形成装置1の概略的な側面の構成を示している。
【0022】
ここでは、本実施形態1に係る画像形成装置1が、電子写真プロセスによって画像を形成する、タンデム型の中間転写方式のカラープリンタとして構成されている場合を想定して説明する。なお、「中間転写方式」は、現像剤像を無端状ベルト体に1次転写し、その後に、現像剤像を無端状ベルト体から記録材に2次転写する構成を意味している。以下、画像形成装置1を「プリンタ1」と称する。また、以下、「画像形成」動作を「印刷(又は、印字)」動作と称する場合もある。
【0023】
図1に示すように、プリンタ1は、現像剤像を像担持体上に形成する画像形成機構3、現像剤像を像担持体から記録材に転写する画像転写機構4、及び、記録材に転写された現像剤像を記録材に定着させる画像定着機構5を有している。また、プリンタ1は、記録材としての用紙9を収容する給紙ユニット2と、印刷が終了した用紙9を集積するスタッカ6とを有している。
【0024】
画像形成機構3は、静電潜像及び現像剤像が形成される像担持体11を備えている。像担持体11は、金属性のシャフトとその周囲を覆う感光体とによってドラム状に構成されている。以下、像担持体11を「感光体ドラム11」と称する。
【0025】
画像形成機構3は、感光体ドラム11に形成された後記する静電潜像を現像剤像(トナー像)として現像(可視化)するユニットである。画像形成機構3は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。以下、画像形成機構3を「現像ユニット3」と称する。
【0026】
なお、ここでは、プリンタ1は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及び、シアン(C)の各色に対応して、4つの現像ユニット3を有しているものとして説明する。4つの現像ユニット3は、内部に収容される現像剤(トナー)200(図2及び図3参照)の色が異なる以外は、同じ構成となっている。4つの現像ユニット3は、それぞれ、各感光体ドラム11が後記する無端状ベルト体21と当接するように、無端状ベルト体21の上に、配置されている。
【0027】
現像ユニット3は、感光体ドラム11の周囲に、帯電ローラ12と現像ローラ14とを備えている。また、感光体ドラム11の周囲には、帯電ローラ12と現像ローラ14との間に、露光ユニット13が配置されている。
【0028】
帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる帯電部材である。
露光ユニット13は、上位装置から送信される印刷命令に基づいて、帯電ローラ12によって帯電された感光体ドラム11を部分的に露光して、静電潜像を感光体ドラム11に形成するユニットである。露光ユニット13は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。ここでは、露光ユニット13がLED(Light Emitting Diode)ヘッドとして構成されている場合を想定して説明する。
【0029】
現像ローラ14は、静電潜像が形成された感光体ドラム11に現像剤(以下、「トナー」と称する)200(図2及び図3参照)を供給して、トナー200によって静電潜像を現像剤像(以下、「トナー像」と称する)として現像(可視化)する現像部材である。トナー像は、現像ローラ14によって感光体ドラム11の表面に形成される。感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は、画像転写機構4によって転写体(ここでは、無端状ベルト体21)に転写される。
【0030】
画像転写機構4は、無端状ベルト体21、駆動ローラ22、従動ローラ23,24、1次転写ローラ25、2次転写ローラ26、及び、清掃部材としてのクリーニングブレード27を有している。
【0031】
無端状ベルト体(以下、「ベルト」と称する)21は、現像剤像としてのトナー像を担持する現像剤像担持体となって、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像を用紙9に転写するための中間転写体である。ベルト21は、4つの現像ユニット3の各感光体ドラム11と当接する。トナー像は、感光体ドラム11からベルト21に一旦転写される。その後に、用紙9がベルト21とともに走行する際に、トナー像は、ベルト21から用紙9に転写される。
【0032】
駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、ベルト21を張架する張架手段である。駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、例えば、張架力6(kg)±10(%)でベルト21を張架している。ベルト21は、駆動ローラ22及び従動ローラ23によって水平方向に張架され、また、下側部分が従動ローラ24によって下方向に突出するように支持されている。ベルト21は、駆動ローラ22の回転に伴って、走行する。ベルト21の側部には、図示せぬガイド部材が設けられている。そのガイド部材は、ベルト21の側部に当接して、ベルト21の蛇行を防止する。
【0033】
1次転写ローラ25は、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に1次転写する転写部材である。1次転写ローラ25は、感光体ドラム11と対向するように、ベルト21の内周側に配置されている。1次転写ローラ25は、トナー像と逆極性の電圧が印加されることによって、感光体ドラム11からトナー像を引き寄せる。これにより、プリンタ1は、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に1次転写する。
【0034】
2次転写ローラ26は、ベルト21から記録材としての用紙9に2次転写する転写部材である。2次転写ローラ26は、ベルト21を介して従動ローラ24と対向するように、ベルト21の外周に配置されている。したがって、2次転写ローラ26は、ベルト21の下側に突出する部分の頂点でベルト21と対向して配置されている。2次転写ローラ26は、トナー像と逆極性の電圧が印加されることによって、ベルト21からトナー像を引き寄せる。その際に、プリンタ1は、給紙ユニット2から繰り出された用紙9をベルト21と2次転写ローラ26との間で走行させる。これによって、プリンタ1は、トナー像をベルト21から用紙9に2次転写する。
【0035】
クリーニングブレード27は、ベルト21の表面と接触することによって、2次転写後にベルト21に残留するトナー200を除去(クリーニング)する清掃部材である。
【0036】
用紙9に2次転写されたトナー像は、画像定着機構5によって用紙9に定着される。
画像定着機構5は、用紙9に転写されたトナー像を用紙9に定着させるユニットである。画像定着機構5は、プリンタ1に対して装着及び取り外しが自在な構成となっている。以下、画像定着機構5を「定着ユニット5」と称する。
【0037】
<画像形成装置の動作>
係る構成において、プリンタ1は、以下のように動作する。
プリンタ1は、上位装置から印刷命令を受信すると、印刷命令を解析して、印刷すべき画像データを取得する。そして、プリンタ1は、印刷動作を開始する。
【0038】
このとき、帯電ローラ12が、感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
次に、LEDヘッド13が、印刷命令に基づいて、一様に帯電された感光体ドラム11の表面を部分的に露光して、感光体ドラム11に静電潜像を形成する。
そして、現像ローラ14が、トナー200を感光体ドラム11に供給して、静電潜像をトナー像として現像(可視像化)する。
この後、1次転写ローラ25が、感光体ドラム11からトナー像を引き寄せて、トナー像を感光体ドラム11からベルト21に転写する。
【0039】
なお、印刷すべき画像データがカラー画像である場合に、以上の動作が4つの現像ユニット3のそれぞれで行われる。これにより、4つのトナー像が、ベルト21に重ねて転写される。その結果、カラーのトナー像が、ベルト21の表面に形成される。
【0040】
プリンタ1は、給紙ユニット2から用紙9を搬送機構に繰り出して、用紙9を2次転写ローラ26まで搬送する。そして、プリンタ1は、2次転写ローラ26が、ベルト21からトナー像を引き寄せて、トナー像をベルト21から用紙9に転写する。
【0041】
この後、プリンタ1は、トナー像が転写された用紙9を定着ユニット5まで搬送する。そして、プリンタ1は、定着ユニット5が、用紙9を加熱及び加圧して、トナー像を溶融させる。これにより、プリンタ1は、トナー像を用紙9に定着させる。
【0042】
プリンタ1は、トナー像が定着された用紙9をスタッカ6に排出して集積する。
また、プリンタ1は、クリーニングブレード27が、用紙9への転写後にベルト21の上に残留するトナー200やその他の異物を除去する。
【0043】
<無端状ベルト体の構造>
ところで、プリンタ1は、ベルト21の表層の表面の粗さ(サイズ)に起因して、画像の印字品質を低下させる要因となる様々な現象(以下、「画像の品質低下要因」と称する)が生じる。本実施形態1に係るベルト21は、このようなベルト21の表層の表面の粗さに起因する画像の品質低下要因を無くすことを目的にして開発されたものである。以下に、各種の実験を通して得られたベルト21の構造につき説明する。
【0044】
ここでは、ベルト21として、2種類のベルト21a,21b(図2及び図3参照)を用意した。ベルト21aは、図2に示すように、弾性層102(図3参照)を持たないベルトである。一方、ベルト21bは、図3に示すように、弾性層102を持つベルトである。以下、ベルト21aとベルト21bとを区別する場合に、ベルト21aを「弾性層無しベルト21a」と称し、ベルト21bを「弾性層有りベルト21b」と称する。
【0045】
また、ここでは、トナー200として、2種類のトナー201,202を用意した。トナー201は、粉砕法によって形成された、真球度の低いトナーである。トナー202は、乳化重合法によって形成された、真球度の高いトナーである。以下、トナー201とトナー202とを区別する場合に、トナー201を「粉砕トナー201」と称し、トナー202を「球形トナー202」と称する。
【0046】
以下、図2〜図4を参照して、ベルト21としてのベルト21a,21bの構成につき説明する。図2〜図4は、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体の構成を示す図である。図2は、弾性層無しベルト21aの断面形状を模式的に示している。また、図3は、弾性層有りベルト21bの断面形状を模式的に示している。また、図4は、後記する粗さ形成粒子104の配置状態を示している。
【0047】
図2に示すように、弾性層無しベルト21aは、内周面側に、ベルト基材101を備え、ベルト基材101の外周面側表面にバインダ層103が形成された構成となっている。バインダ層103は、表面に、粗さ形成粒子104を固着する層である。粗さ形成粒子104は、ベルト21の表層110の表面に粗さとなる凹凸を形成するための粒子である。バインダ層103及び粗さ形成粒子104は、弾性層無しベルト21aの表層110を形成している。弾性層無しベルト21aの表層110は、図4に示すように、隣接する粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104とが平均ピッチLの間隔で離間するように、粗さ形成粒子104が配置されている。これにより、弾性層無しベルト21aは、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。
【0048】
なお、粗さ形成粒子104の平均ピッチLは、トナー粒径をD、粗さ形成粒子104の粒径をdとした場合に、「L≦D+d」であることが好ましい。
【0049】
弾性層無しベルト21aは、トナー200として粉砕トナー201を用いた場合に、図2(a)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、粉砕トナー201が付着する。また、弾性層無しベルト21aは、トナー200として球形トナー202を用いた場合に、図2(b)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、球形トナー202が付着する。
【0050】
図3に示すように、弾性層有りベルト21bは、内周面側に、ベルト基材101を備え、ベルト基材101の上に弾性層102が形成され、さらに、弾性層102の上にバインダ層103が形成された構成となっている。弾性層102は、予め設定された弾性を有する層である。弾性層有りベルト21bの表層110は、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図4に示すように、隣接する粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104とが平均ピッチLの間隔で離間するように、粗さ形成粒子104が配置されている。これにより、弾性層有りベルト21bは、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。
【0051】
弾性層有りベルト21bは、トナー200として粉砕トナー201を用いた場合に、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図3(a)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、粉砕トナー201が付着する。また、弾性層有りベルト21bは、トナー200として球形トナー202を用いた場合に、弾性層無しベルト21aの場合と同様に、図3(b)に示すように、粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に、球形トナー202が付着する。
【0052】
(1.弾性層無しベルト21a(図2参照)の製造方法)
以下に、ベルト21の製造方法につき説明する。
(1)まず、ベルト基材101(以下、「ベルト基材層101」と称する場合もある)を形成する。ここでは、押し出し成型によってベルト基材層101を形成する場合を想定して説明する。ただし、ベルト基材層101の形成方法は、押し出し成型に限定されるものでなく、インフレーション成型、射出成型、遠心成型、ディップ成型等の成型方法を使用してもよい。
【0053】
(1−1)まず、ベルト基材層101を形成するために、ベルト基材層101の材料となる樹脂を生成する。具体的には、例えば、導電性発現のために、カーボンブラックをポリアミドイミド(以下、「PAI」と称する)に適量配合し、N−メチルピロリドン(以下、「NMP」と称する)の溶液中にて混合撹拌して、ベルト基材101の材料となる樹脂を生成する。なお、ここでは、ヤング率が2.0(GPa)以上(好ましくは3.0(GPa)以上)で、かつ、5.5(GPa)未満(好ましくは5.0(GPa)未満)のPAIを使用するものとする。
【0054】
(1−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、80〜120(℃)で樹脂を所定時間加熱する。そして、200〜350(℃)に昇温して、樹脂を所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂を脱型する。このとき、円筒状金型の口金から樹脂を連続的に押し出す。これにより、所定の寸法の、PAIによって構成されたベルト基材101が形成される。
【0055】
このとき形成されるベルト基材101(以下、「脱型時のベルト基材101」と称する)は、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。ここでは、膜厚が100±10(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト基材101が形成されるものとして説明する。そのために、円筒状金型の口金は、ベルト基材101の膜厚が100±10(μm)、内周長が624±1.5(mm)となるように、調整されている。
【0056】
(1−3)脱型時のベルト基材101は、前記した通り、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。そのため、ベルト基材101は、所定の幅長(1本分のベルト21の幅長)に切断される。これにより、1本分の幅長のベルト基材101が形成される。ここでは、膜厚が100±10(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト基材101が形成されたものとする。
【0057】
(2)次に、ベルト21の表層110を構成する材料(以下、「表層材」と称する)を、ベルト基材101の上に塗装する。ここでは、スプレー塗装によって塗装する場合を想定して説明する。
【0058】
(2−1)まず、表層材をベルト基材101の上に塗装するために、表層材(図示せず)を生成する。具体的には、例えば、粗さ形成粒子104としてのアクリル粒子をバインダ層103としてのウレタン系の水系塗料に適量分散配合して、表層材を生成する。
【0059】
ただし、粗さ形成粒子104には、様々なものを用いることができる。粗さ形成粒子104としては、例えば、アクリル粒子以外に、シリカ(SiO2)や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらは、粗さ形成粒子104として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0060】
また、粗さ形成粒子104は、粒子表面の自由エネルギーの値が小さいと、トナー200との粘着性が低下するため、好ましくは、粒子表面の自由エネルギーが小さな値の粒子を用いるとよい。
【0061】
また、粗さ形成粒子104の添加量は、好ましくは、使用するトナー200の平均粒径D(図2及び図3参照)や、粗さ形成粒子104を含む表層材の塗装方法に応じて、適宜調整するとよい。また、粗さ形成粒子104の添加量は、さらに好ましくは、粗さ形成粒子104を固着するバインダ層103とトナーとの接触面積を減らす程度の量であるとよい。
【0062】
(2−2)次に、ベルト基材101を金型にセットし、表層材をベルト基材101の外周面側にスプレー塗装する。これにより、ベルト基材101の表面に、表層110として、バインダ層103を形成する。このとき形成されるバインダ層103には、粗さ形成粒子104が固着している。これにより、弾性層無しベルト21aが製造される。
【0063】
ここでは、総膜厚が(100±10+バインダ層103の厚さ)(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)の弾性層無しベルト21aが製造されたものとする。
【0064】
ただし、表層材の塗装方法は、スプレー塗装に限定されるものでない。表層材の塗装方法としては、例えば、ロールコータ塗装や、バーコート塗装、静電塗装、ディップ塗装等の、他の方法に変更することも可能である。また、表層材の塗装は、表層材と弾性層102との接着性を向上させるために、表層材の下層となる弾性層102の外周面に下地処理材(プライマー)を塗布するようにしてもよい。また、表層110の膜厚は、塗布する表層材の濃度や塗布量によって調整することができる。
【0065】
なお、本実施形態1では、ベルト21は、表層110の表面を研磨するのではなく、表面に粗さ形成粒子104を塗布することによって、表層110の表面の粗さを調整している。これは、表面の粗さを調整する対象物が軟らかい物体である場合に、粗さ形成粒子104を塗布する方が、研磨する方よりも、粗さが均一な面を広い範囲でかつ高精度に得ることができるとともに、整形のコントロールをし易いからである。つまり、表面の粗さを調整する対象物が軟らかい物体である場合に、研磨する方は、精度が低く、整形のコントロールがし難いからである。
【0066】
(2.弾性層有りベルト21b(図3参照)の製造方法)
(1)まず、ベルト基材層101を形成する。ここでは、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、ベルト基材層101を形成する場合を想定して説明する。ただし、弾性層有りベルト21bの製造では、ベルト基材101を1本分のベルト21の幅長に切断するのは、弾性層102を形成した後である。
【0067】
(1−1)まず、ベルト基材層101を形成するために、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、ベルト基材層101の材料となる樹脂を生成する。
【0068】
(1−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、80〜120(℃)で樹脂を所定時間加熱する。そして、200〜350(℃)に昇温して、樹脂を所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂を脱型する。このとき、円筒状金型の口金から樹脂を連続的に押し出す。これにより、所定の寸法の、PAIによって構成されたベルト基材101が形成される。ここでは、膜厚が100±10(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト基材101が形成されるものとして説明する。
【0069】
(2)次に、弾性層102をベルト基材101の上に形成する。
(2−1)まず、弾性層102をベルト基材101の上に形成するために、弾性層102の材料となる樹脂を生成する。具体的には、例えば、導電性発現のために、イオン導電剤を熱可塑性ポリウレタンに適量配合して、弾性層102の材料となる樹脂を生成する。
【0070】
(2−2)次に、その樹脂を円筒状金型に注型し、円筒状金型を回転させつつ、90〜100(℃)で所定時間加熱する。そして、ベルト基材101を円筒状金型に挿入して、樹脂とベルト基材101とを密着させる。この後、100〜120(℃)に昇温して、樹脂とベルト基材101とを所定時間加熱してから、円筒状金型から樹脂とベルト基材101とを脱型する。これにより、所定の寸法の、ベルト基材層101と弾性層102とを有するベルト21の原管(以下、「ベルト21の弾性原管(図示せず)」と称する)が形成される。
【0071】
このとき形成されるベルト21の弾性原管(以下、「脱型時のベルト基材101の弾性原管」と称する)は、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。ここでは、膜厚が300±30(μm)で、内周長が624±1.5(mm)のベルト21の弾性原管が形成されるものとして説明する。そのために、円筒状金型の口金は、ベルト21の弾性原管の膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)となるように、調整されている。
【0072】
(2−3)脱型時のベルト21の弾性原管は、前記した通り、ベルト21が幅方向に数個分繋がった状態となっている。そのため、ベルト21の弾性原管は、所定の幅長(1本分のベルト21の幅長)に切断される。これにより、1本分の幅長のベルト基材層101及び弾性層102を有する部材(以下、「ベルト弾性基材」と称する)101Aが形成される。ここでは、膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト弾性基材101Aが形成されたものとする。
【0073】
(3)次に、表層材を弾性基材101Aの上に塗装する。ここでは、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、表層材をベルト弾性基材101Aの上に塗装する場合を想定して説明する。
【0074】
(3−1)まず、表層材をベルト弾性基材101Aの上に塗装するために、前記したベルト21aを製造する場合と同様にして、表層材を生成する。
【0075】
(2−2)次に、ベルト弾性基材101Aを金型にセットし、表層材をベルト弾性基材101Aの外周面側にスプレー塗装する。これにより、ベルト弾性基材101Aの表面に、表層110として、バインダ層103を形成する。このとき形成されるバインダ層103には、粗さ形成粒子104が固着している。これにより、弾性層有りベルト21bが製造される。
【0076】
ここでは、総膜厚が(300±30+バインダ層103の厚さ)(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)の弾性層有りベルト21bが製造されたものとする。
【0077】
(製造方法についての補足説明)
ところで、本実施形態1では、ベルト基材101の材料として、PAIを使用している。PAIは、アミド基と1〜2個のイミド基とが有機基を介して結合されることによって結合体を形成し、さらに、その結合体が1つの単位となって複数の他の結合体と結合することによって形成された高分子体である。
【0078】
PAIは、有機基が脂肪族であるか又は芳香族であるかによって、脂肪族PAI及び芳香族PAIのいずれか一方に分類される。本実施形態1に使用するPAIは、屈曲耐久性や機械的特性の観点から、芳香族PAIであることが好ましい。なお、「芳香族」とは、基本的には、イミド基及びアミド基と結合する有機基が1つ又は2つのベンゼン環によって構成された有機化合物を意味している。
【0079】
本実施形態1に使用するPAIは、完全にイミド閉環したものであってもよいし、又は、完全にイミド閉環していないアミド酸の段階のものであってもよい。ただし、本実施形態1に使用するPAIは、好ましくは、イミド化率が少なくとも50(%)以上、より好ましくは、イミド化率が70(%)以上のものであるとよい。それは、PAIは、含有するアミド酸が多いと、寸法変化率が大きくなり易いからである。
【0080】
なお、イミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(以下、「FT−IR」と称する)によって測定される、イミド基由来の吸収ピーク(1780cm−1)の赤外光の強度とベンゼン環由来の吸収ピーク(1510cm−1)の赤外光の強度との比率に基づいて、特定することができる。
【0081】
ベルト基材101は、一般的に、芳香族環やイミド基の多い分子構造にすることにより、ヤング率を高くすることができ、逆に、芳香族環やイミド基の少ない分子構造にすることにより、ヤング率を低くすることができる。
【0082】
ベルト基材101の材料は、本実施形態1で使用したPAIに限定されない。ベルト基材101の材料は、屈曲耐久性や機械的特性の観点から、ベルト21の走行時の張力変形が一定範囲である材料が望ましく、また、蛇行防止手段との間で摺動を繰り返すため、側部の摩耗や、折れ、割れ等のダメージを受け難い材料であることが望ましい。
【0083】
例えば、ベルト基材101の材料は、本実施形態1で使用したPAIと同様に、ヤング率が2.0(GPa)以上(好ましくは3.0(GPa)以上)で、かつ、5.5(GPa)未満(好ましくは、5.0(GPa)未満)のポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂、及び、これら各々を主体とした混合物を用いても構わない。
【0084】
ベルト基材101を回転成型で形成するにあたり、溶媒は、使用する材料により、適宜決定される。溶媒としては、有機極性溶媒がよく用いられ、特に、前記したNMPや、N,N−ジメチルアセトアミド類が多用される。また、溶媒としては、ジメチルスルホキシドや、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等を用いてもよい。これらは、溶媒として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0085】
なお、N,N−ジメチルアセトアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドや、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等が挙げられる。
【0086】
ベルト基材層101の回転成型に用いる円筒状金型の回転速度は、ベルト21の厚み精度及び厚みプロファイルの観点から、5〜1000rpm(好ましくは10〜500rpm)がよい。
【0087】
なお、ベルト21を形成する方法としては、大径の円筒状金型と小径の円筒状金型とを組み合わせ、その隙間にベルト21を形成する方法がある。また、ベルト21を形成する方法としては、材料を円筒状金型の外周面に塗布又は浸漬して、ベルト21を形成する方法もある。これらの場合であっても、材料や製造条件は、同様である。
【0088】
また、ベルト21を形成する方法としては、前記した押し出し成型やインフレーション成型により、ベルト21を形成する方法もある。これらの場合に、無溶剤でベルト21を形成することが可能であり、また、異なる材質のベルト21を同時に形成することも可能である。
【0089】
また、ベルト基材層101に用いるカーボンブラックの種類としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。これらは、カーボンブラックとして、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0090】
カーボンブラックの種類は、導電性の目標値に応じて適宜選択することができる。本実施形態に係るプリンタ1は、特に、チャンネルブラックやファーネスブラック等の種類のカーボンブラックを用いる。カーボンブラックは、好ましくは、用途に応じて、酸化処理やグラフト処理等を施したものや、溶媒への分散性の向上処理が施されたもの等を使い分けて使用するとよい。
【0091】
カーボンブラックの含有量は、添加するカーボンブラックの種類及びその目的に応じて適宜決定される。本実施形態1では、カーボンブラックの含有量は、ベルト21に要求される機械的強度等から、ベルト21の組成樹脂の固形分に対し、3〜40(重量%)、好ましくは5〜30(重量%)、さらに好ましくは5〜25(重量%)となっている。
【0092】
また、弾性層102としては、電気抵抗の均一性に優れ、かつ、イオン導電性を有する弾性材料であることが好ましい。例えば、公知のイオン導電性ゴムや、エラストマー、イオン導電剤が添加されたゴム等が、このような弾性材料として用いることができる。
【0093】
イオン導電性ゴムとしては、例えば、組成物中に極性基を持つゴム材料が挙げられる。具体的には、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリウレタンゴムやボリウレタンエラストマー等が挙げられる。
【0094】
その中でも、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーが、以下の点で、弾性層102の材料として、特に好ましい。なぜなら、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーは、可塑剤のように染み出すことがないため、プリンタ1の内部で長期間使用しても、ベルト21と接触する部材(例えば感光体ドラム11等)が汚れるのを回避することができるからである。
【0095】
例えば、プリンタ1は、長期間使用しても、ベルト21と接触する部材が汚れるのを回避することが好ましい。そのためには、ベルト21は、可塑剤のように染み出し易い物質を、弾性層102の材料に用いない方がよい。この点について、ポリウレタンゴムやポリウレタンエラストマーは、可塑剤のように染み出すことがないため、ベルト21と接触する部材が汚れるのを回避することができる。
【0096】
イオン導電剤としては、例えば、アンモニウム塩や、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド塩等が挙げられる。これらは、イオン導電剤として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0097】
なお、アンモニウム塩としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等が挙げられる。
【0098】
また、アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
【0099】
弾性層102は、電子導電剤が配合される場合がある。この場合に、電子導電剤として、例えば、カーボンブラック等が用いられる。
【0100】
弾性層102の材料となる樹脂は、弾性層102の成型方法に応じて、溶媒で希釈される場合がある。その際に、希釈に使用される溶媒としては、例えば、芳香族系溶媒や、エステル系溶媒、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒、アミド系溶媒、又は、これらの混合溶媒等が挙げられる。
【0101】
なお、芳香族系溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン等が挙げられる。
また、エステル系溶媒としては、例えば、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル等が挙げられる。
また、アミド系溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0102】
また、表層110を構成するバインダ層103の材料としては、非粘着性の材料であれば、特に種類を限定しない。例えば、バインダ層103の材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の材料が好ましい。これらは、バインダ層103の材料として、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0103】
なお、フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられる。
【0104】
また、フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオライド(THV)等が挙げられる。
【0105】
また、アクリル樹脂は、アクリル基を持った高分子化合物からなる樹脂である。アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸エステルや、メタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0106】
また、ポリウレタン樹脂としては、例えば、主鎖にエステル結合を有するポリエステル系ウレタン樹脂や、主鎖にエーテル結合を有するポリエーテル系ウレタン樹脂等が挙げられる。
また、シリコーン樹脂は、主骨格にシロキサン結合を有する高分子化合物である。
【0107】
なお、ベルト21の製造方法は、前記した方法に限定されるものではない。ベルト21は、以下のような公知の方法で製造してもよい。例えば、ベルト21の製造方法としては、(1)表層110、弾性層102、ベルト基材層101の順に遠心成形する方法や、(2)弾性層102、ベルト基材層101の順に遠心成形し、形成された部材を脱型した後に、表層110をその部材の上に塗布する方法、(3)ベルト基材101のみを遠心成形し、ベルト基材101を脱型した後に、弾性層102、表層110の順に、これらをベルト基材101の上に塗布する方法等が挙げられる。
【0108】
このようなベルト21は、粗さ形成粒子104に起因する凹凸が、表層110の表面に形成されている。そのベルト21は、後記する図5A及び図5Bに示す実験を行ったところ、ベルト21の表層110の粗さ形成粒子104の平均粒径をdとし、使用するトナー200(ここでは、粉砕トナー201及び球形トナー202)の平均粒径をDとする場合に、以下の式1の関係(以下、「式1の規定」と称する)を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
(1/2)×D<d<D …(式1)
【0109】
また、ベルト21は、後記する図6A及び図6Bに示す実験を行ったところ、ベルト21の表層110の粗さ形成粒子104の平均粒径をdとし、粗さ形成粒子104を固着するバインダ層103の膜厚をHとする場合に、以下の式2の関係(以下、「式2の規定」と称する)を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
(1/2)×d<H<d …(式2)
【0110】
なお、粗さ形成粒子104の平均粒径dやトナー200の平均粒径Dは、以下のようにして測定される。粗さ形成粒子104の平均粒径dは、例えば、細胞計数分析装置(ベックマンコールター社製、コールターマルチサイザーIII)を用い、アパチャー径を100μmに設定して、3万個分の粗さ形成粒子104の体積平均粒径を測定し、その3万個分の粗さ形成粒子104の体積平均粒径の値(μm)が適用される。同様に、トナー200の平均粒径Dも、例えば、細胞計数分析装置(ベックマンコールター社製、コールターマルチサイザーIII)を用い、アパチャー径を100μmに設定して、3万個分のトナー200の体積平均粒径を測定し、その3万個分のトナー200の体積平均粒径の値(μm)が適用される。
【0111】
<無端状ベルト体の最適な構造を導き出すための実験>
以下、図5A及び図5B、並びに、図6A及び図6Bに示す実験の内容について、説明する。図5A及び図5B、並びに、図6A及び図6Bは、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。
【0112】
実験は、トナー200として、以下の製造方法によって製造された、粉砕トナー201(図2(a)及び図3(a)参照)と球形トナー202(図2(b)及び図3(b)参照)を用いて行った。
【0113】
以下に、トナー200の製造方法につき説明する。
(1.粉砕トナー201(図2(a)及び図3(a)参照)の製造方法)
粉砕トナー201の粒子は、主構成組成をポリエステル樹脂とする構成となっている。粉砕トナー201の粒子は、粉砕法によって、形成される。粉砕トナー201は、シリカや酸化チタン微粉末等がその粒子に加えられて、ミキサーで撹拌することによって、生成される。実験では、粉砕トナー201として、平均粒径が5.7(μm)のものが使用された。なお、粉砕トナー201は、個々の粒子が歪んだ形状になっているため、真球度は存在しない。
【0114】
(2.球形トナー202(図2(b)及び図3(b)参照)の製造方法)
球形トナー202の粒子は、主成分をスチレン−アクリル共重合体とし、パラフィンワックスを9重量部内包する構成となっている。球形トナー202の粒子は、乳化重合法によって、スチレン−アクリル共重合体及びパラフィンワックスを混合することによって、形成される。球形トナー202は、シリカや酸化チタン微粉末等がその粒子に加えられて、ミキサーで撹拌されることによって、生成される。実験では、球形トナー202として、平均粒径が5.5(μm)で、真球度が0.95のものが使用された。真球度は、「1.00」に近くなるほど、真球に近くなる。
【0115】
なお、乳化重合法とは、溶媒中で球形トナー202の結着樹脂であるスチレン−アクリル共重合体の一次粒子を作成し、一次粒子と同じ溶媒に、乳化剤(界面活性剤)によってエマルション化させた着色剤を混合し、さらに、必要に応じて、ワックスや荷電制御剤等を混合し、それらを凝集させることによって、トナー粒子を生成する方法である。球形トナー202の粒子は、溶媒から取り出され、洗浄され、乾燥させられることによって、不要な溶媒成分及び副生成物成分が除去される。
【0116】
(実験で用いたプリンタの仕様)
実験では、株式会社沖データ製プリンタC910を用いて行った。ただし、実験では、直接転写方式のカラープリンタとして構成されていたプリンタC910を、中間転写方式のカラープリンタに改造して行った。
【0117】
実験では、トナー200として、平均粒径を5.7(μm)とする、5.3〜6.1(μm)の粒径の粒子を含むトナー201,202を用いた。
また、記録材として、A4サイズの用紙9を用いて、印字パターンとして、ブラックのベタ濃度、ハーフトーン、及び、細線の3通りの印刷を行った。
【0118】
また、ベルト21として、粗さ形成粒子104が塗布される下層の表面の十点平均粗さRzが5(μm)のベルト21a,21bを用いた。なお、「粗さ形成粒子104が塗布される下層」とは、弾性層無しベルト21aでは、ベルト基材101となり、一方、弾性層有りベルト21bでは、弾性層102となる。また、ベルト21の十点平均粗さRzの「5(μm)」という値は、JISによって定められた基準長さの標準値「0.8(mm)」を基準長さにして、測定された値である。
【0119】
また、ベルト21の線速は、およそ90(mm/sec)に設定した。
実験では、プリンタ1は、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24として、いずれも直径25(mm)のものを使用した。ただし、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24は、この径に限定されるものではない。一般的なプリンタ1は、コストや、装置の小型化等の要因により、駆動ローラ22及び従動ローラ23,24として、例えば、直径10〜50(mm)のものを使用することが多い。
【0120】
実験では、プリンタ1は、駆動ローラ22及び従動ローラ23がベルト21を支持し、スプリングによってベルト21を6(kg)±10(%)の力で張架した。ただし、ベルト21を張架する手段は、これに限定されるものではない。
【0121】
また、ベルト21を張架する力も、使用するベルト21の材料やベルト21の走行手段に応じて、適宜選択される。ベルト21を張架する力は、一般的に、ベルト21に対し2〜8(kg)±10(%)の力で張架することが多い。
【0122】
実験では、クリーニングブレード27は、ゴム硬度JIS_A72(°)、厚さ1.5(mm)のウレタンゴムにより、線圧4.3(g/mm)になるように設定した。これは、ウレタンゴム等の弾性材からなるブレード方式が、残留トナーや異物等を除去する機能に優れ、その構成が簡単かつコンパクトで低コストであるからである。また、ゴム材料としては、高硬度で、しかも弾性に富み、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、耐オゾン性等に卓越しているウレタンゴムが最適であるからである。
【0123】
一般に、クリーニングブレード27として使用されるウレタンゴムは、クリーニング性を維持するために、硬度が、JIS_A60〜90(°)であることが好ましく、特に、70〜85(°)であるとよい。また、ウレタンゴムは、破断伸びが、250〜500(%)であることが好ましく、特に、300〜400(%)であるとよい。また、ウレタンゴムは、永久伸びが、1.0〜5.0(%)であることが好ましく、特に、1.0〜2.0(%)であるとよい。また、ウレタンゴムは、反発弾性が、10〜70(%)であることが好ましく、特に、30〜50(%)であるとよい。各物性は、JIS_K6301に基づいて測定することができる。
【0124】
また、クリーニングブレード27は、ベルト21との接触の線圧が、1〜6(g/mm)であることが好ましく、特に、2〜5(g/mm)であるとよい。その理由は、線圧が低すぎると、ベルト21に対するクリーニングブレード27の押圧力が不足するため、クリーニング不良(トナーをベルト21から完全に除去できない現象)が発生し易くなるからである。また、その理由は、線圧が高すぎると、クリーニングブレード27がベルト21と面接触するようになるため、摩擦抵抗が過剰になり、ベルト21に対するクリーニングブレード27の押圧力がトナーに対するクリーニングブレード27の除去力よりも勝り、その結果、トナーがベルト21に貼り付く、いわゆるフィルミング現象と称されるクリーニング不良や、クリーニングブレード27のメクレ等の不具合が発生し易くなるからである。
【0125】
まず、第1種目の実験として、図5Aに示す実験データA1〜A24の実験を行った。
実験データA1〜A6は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層無しベルト21aと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA7〜A12は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層無しベルト21aと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
実験データA13〜A18は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA18〜A24は、平均粒径dを1〜6(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
【0126】
次に、第2種目の実験として、図6Aに示す実験データB1〜B10の実験を行った。
実験データB1〜B5は、平均粒径dを粒径3(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、バインダ層103の膜厚Hが1.0〜4.0(μm)の、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
実験データB6〜B10は、平均粒径dを5(μm)とする粗さ形成粒子104が塗布された、バインダ層103の膜厚Hが2.0〜6.0(μm)の、弾性層有りベルト21bと、球形トナー202とを用いて行った実験データである。
【0127】
なお、図5A及び図5B並びに図6A及び図6Bに示す粗さ形成粒子104の平均粒径dには、以下の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを1(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.3〜1.7(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを2(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.6〜3.4(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを3(μm)とする粗さ形成粒子104は、0.9〜5.1(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを4(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.2〜6.8(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを5(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.5〜8.5(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
平均粒径dを6(μm)とする粗さ形成粒子104は、1.8〜10.2(μm)の範囲の粒径の粒子が含まれている。
【0128】
実験では、「ベタ濃度ガサツキ」、「ハーフトーン粒状性」、「細線中抜け」、及び、「クリーニング性」で、評価を判定した。以下に、図7を参照して、評価基準につき説明する。図7は、実験に対する評価基準を示す図である。
【0129】
図7に示すように、「ベタ濃度ガサツキ」とは、ベタ印刷で発生した白抜現象を意味している。「白抜現象」は、例えば、トナーが用紙9の凹部にまで転写されずに、下地が露出することによって、発生する。「白抜現象」が発生した部分(以下、「白抜部分」と称する)は、がさついて見える部分となっている。「ベタ濃度ガサツキ」に対する評価は、その白抜部分の発生の有無や発生の程度を識別することによって行われる。「ベタ濃度ガサツキ」が発生すると、がさついた画像が用紙9に形成される。
【0130】
図7に示すように、「ハーフトーン粒状性」とは、ハーフトーン印刷した場合の、印刷画像を構成するドットの形状の良否を意味している。「ハーフトーン粒状性」の評価は、ドットの形状が正円形である場合を良好とし、ドットの形状が正円から歪んでいる場合や、ドットの内部が透けて下地が見える場合を不良として判定される。「ハーフトーン粒状性」が発生すると、不鮮明な画像が用紙9に形成される。
【0131】
図7に示すように、「細線中抜け」とは、細線(例えば、約1〜2(mm)の幅の線)を印刷した場合に、「中抜け」と称される、細線の中の欠落部分を意味している。「中抜け」は、例えば、トナー200がベルト21から剥がれることによって発生する。「細線中抜け」の評価は、中抜けがない場合を良好とし、中抜けがある場合を不良として判定される。「細線中抜け」が発生すると、不正確な画像が用紙9に形成される。
【0132】
「クリーニング性」とは、ベルト21に残留する転写後のトナー200の除去性能を意味している。「クリーニング性」の評価は、転写後のトナー200をベルト21から十分に除去できる場合を良好とし、転写後のトナー200をベルト21から十分に除去できない場合を不良として判定される。「クリーニング性」が低下すると、汚れた画像が用紙9に形成される。
【0133】
実験では、画像の印字品質に基づいて、「◎」、「○」、「△」、及び、「×」の4通りに分けて評価が判定された。判定結果として、「◎」及び「○」が、「問題無し」であることを意味している。特に、「◎」は、「○」よりも優れていることを意味している。また、「△」が、ベタ濃度ガサツキや、ハーフトーン粒状性悪化、細線中のヌケ、クリーニング不良等が軽微に発生するものの、「実用上問題無し」であることを意味している。また、「×」が、「実用上問題有り」であることを意味している。
【0134】
実験では、1万枚印刷して、1枚でも図7の最下段に示す絵の現象が発生した場合に、評価を「×」として判定した。また、目視では現象の発生を確認することができなかったものの、顕微鏡で10倍に拡大して見ることにより、現象の発生を確認することができた場合に、評価を「△」として判定した。
【0135】
図5Aの結果によれば、ベルト21は、前記した「式1の規定」、すなわち、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
【0136】
なお、確認のために、図5Bに示す実験データA25〜A29の実験を行った。
実験データA25,A26は、平均粒径dを2.85μmとする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA27,A28は、平均粒径dを5.7μmとする粗さ形成粒子104が塗布された、弾性層有りベルト21bと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
実験データA29は、粗さ形成粒子104が塗布されていない、弾性層102とベルト基材101とからなるベルトと、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
【0137】
図5Bの結果によっても、ベルト21は、前記した「式1の規定」、すなわち、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。また、念のため、平均粒径が5〜6.5(μm)の粉砕トナー201を用いて同様の実験を行ったところ、同様の効果を確認することができた。
【0138】
なお、式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)において、「≦」ではなく、「<」で規定している理由は、以下の通りである。すなわち、式1の規定は、測定のバラツキが起こり得るトナー201,202の平均粒径Dと粗さ形成粒子104の平均粒径dとの対比関係で範囲を規定している。そのため、ベルト21は、式1の規定の臨界付近で、同じ試料を用いた場合に、良好な結果が得られるときと良好な結果が得られないときとが発生する。そこで、本実施形態1は、粒径分布を考慮すると、式1の規定を、「≦」ではなく、「<」で規定することによって、さらに確実な効果を得ることを意図している。
【0139】
例えば、図5Bに示すように、実験での下限値である平均粒径d=2.85(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データA25,A26では、実験データA25で、良好な結果が得られなかったが、実験データA26で、良好な結果が得られた。
【0140】
同様に、実験での上限値である平均粒径d=5.7(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データA27,A28では、実験データA27で、良好な結果が得られなかったが、実験データA28で、良好な結果が得られた。
【0141】
また、実験では、前記した通り、ベルト21として、粗さ形成粒子104が塗布される下層の表面の十点平均粗さRzが5(μm)のベルト21a,21bを用いた。ただし、ベルト21a,21bは、これに限らない。例えば、各種の実験によれば、粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21として、表面の十点平均粗さRzが少なくとも1〜20(μm)の範囲にあるベルト21であれば、実験結果が粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21の表面の粗さに依存しないことが確認された。
【0142】
本実施形態1において、「(1/2)×D<d<D」(ここでは、2.85<d<5.7(μm))の関係を満たす平均粒径dの粗さ形成粒子104を塗布した後のベルト21の表面の十点平均粗さRzを測定したところ、十点平均粗さRzが1.5〜7(μm)の範囲であった。
【0143】
ここで、粗さ形成粒子104を塗布する前のベルト21の表面の十点平均粗さRzは、4(μm)であり、前記の粗さ形成粒子104を塗布した後のベルト21の表面の十点平均粗さRzの範囲内にあった。しかしながら、ベルト21は、図5Bの実験データA29に示されるように、ベルト21に粗さ形成粒子104を塗布しない場合において、良好な結果が得られていない。
【0144】
つまり、図5Bの実験データA29によれば、ベルト21は、粗さ形成粒子104を塗布しない場合に、画像品位が向上するものではなく、粗さ形成粒子104を塗布することによって、本発明による効果が得られるものであることが確認できた。
【0145】
また、図6Aの結果によれば、ベルト21は、前記した「式2の規定」、すなわち、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。
【0146】
なお、確認のために、図6Bに示す実験データB2a,B4a,B7a,B9aの実験を行った。実験データB2a,B4a,B7a,B9aは、検証のために、実験データB2,B4,B7,B9と同じ実験を再度行った場合のデータを示している。
基材101とからなるベルト21と、粉砕トナー201とを用いて行った実験データである。
【0147】
図6Bの結果によっても、ベルト21は、前記した「式2の規定」、すなわち、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たすときに、高い印字品質の画像を確保することが判明した。また、平均粒径が5〜6.5(μm)の粉砕トナー201を用いて同様の実験を行ったところ、同様の効果を確認することができた。
【0148】
なお、式2の規定(「(1/2)×d<H<d」の関係)において、「≦」ではなく、「<」で規定している理由は、以下の通りである。すなわち、式2の規定は、測定のバラツキが起こり得る粗さ形成粒子104の平均粒径dとバインダ層103の層厚Hとの対比関係で範囲を規定している。そのため、ベルト21は、式2の規定の臨界付近で、同じ試料を用いた場合に、良好な結果が得られるときと良好な結果が得られないときとが発生する。そこで、本実施形態1は、粒径分布を考慮すると、式2の規定を、「≦」ではなく、「<」で規定することによって、さらに確実な効果を得ることを意図している。
【0149】
例えば、図6A及び図6Bに示すように、平均粒径d=3(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での下限値であるバインダ層103の層厚H=1.5(μm)の弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB2,B2aでは、実験データB2で、良好な結果が得られたが、実験データB2aで、良好な結果が得られなかった。
【0150】
同様に、平均粒径d=3(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での上限値である平均粒径d=3.0(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB4,B4aでは、実験データB4で、良好な結果が得られなかったが、実験データB4aで、良好な結果が得られた。
【0151】
また、例えば、図6A及び図6Bに示すように、平均粒径d=5(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での下限値であるバインダ層103の層厚H=2.5(μm)の弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB7,B7aでは、実験データB7で、良好な結果が得られたが、実験データB7aで、良好な結果が得られなかった。
【0152】
同様に、平均粒径d=5(μm)の粗さ形成粒子104を塗布した場合に、実験での上限値である平均粒径d=5.0(μm)の粗さ形成粒子104が塗布された弾性層有りベルト21bを試料として用いた実験データB9,B9aでは、実験データB9で、良好な結果が得られなかったが、実験データB9aで、良好な結果が得られた。
【0153】
<式1の規定及び式2の規定についての考察>
以下に、図8及び図9を参照して、式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)及び式2の規定(「(1/2)×d<H<d」の関係)が好ましい理由を説明する。図8及び図9は、それぞれ、実施形態1に係る無端状ベルト体に付着した現像剤の状態を示す図である。
【0154】
ここでは、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定又は式2の規定から外れた場合に、どのような「画像の品質低下要因」が発生するのかを説明することによって、式1の規定及び式2の規定による利点を反証的に説明する。
【0155】
(1.式1の規定が好ましい理由)
式1の規定が好ましい第1の理由は、図8(a)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、外添剤301がトナー200から脱落したりし易くなるからである。
【0156】
例えば、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値の場合(「d≦(1/2)×D」の場合)に、ベルト21及びトナーの外添剤301は、互いの接触確率が増加して、互いに頻繁に摺擦される。これにより、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、外添剤301がトナーから脱落したりし易くなる。そのため、プリンタ1は、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも小さい値のベルト21を用いると、例えば、ベルト21の表層110の摩耗や、ベルト21の表層110への外添剤301の付着、ベルト21に対するクリーニング不良等の「画像の品質低下要因」が発生し易くなる。その結果、この場合に、プリンタ1は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0157】
式1の規定が好ましい第2の理由は、図8(c)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも大きい値の場合(「D≦d」の場合)に、トナーが粗さ形成粒子104と粗さ形成粒子104との間に埋没し易くなるからである。そのため、プリンタ1は、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定よりも大きい値のベルト21を用いると、例えば、トナー200の転写不良や、ベルト21に対するクリーニング性の低下、クリーニングブレード27の損傷等の画像の品質低下要因が発生し易くなる。その結果、この場合も、プリンタ1は、画像の印字品質の低下が発生し易くなる。
【0158】
これに対して、図8(b)に示すように、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たす場合に、第1の理由及び第2の理由で前記したような画像の品質低下要因の発生を抑制することができる。その結果、粗さ形成粒子104の平均粒径dが式1の規定(「(1/2)×D<d<D」の関係)を満たす場合に、プリンタ1は、品質の高い画像形成を行うことができる。
【0159】
(2.式2の規定が好ましい理由)
式2の規定が好ましい第1の理由は、バインダ層103の膜厚Hが式2の規定よりも薄い場合(「H≦(1/2)×d」の場合)に、粗さ形成粒子104がベルト21の表層110から脱落したり、ベルト21の表層110が摩耗し易くなるからである。ベルト21は、この場合に、満足する印字品質を提供する手段としての機能(例えば、ベルト21の表層110からの粗さ形成粒子104の脱落やベルト21の表層110の摩耗等を抑制する機能)を維持できなくなる。
【0160】
式2の規定が好ましい第2の理由は、バインダ層103の膜厚Hが式2の規定よりも厚い場合(「d≦H」の場合)に、粗さ形成粒子104がバインダ層103に埋没し易くなるからである。ベルト21は、この場合も、満足する印字品質を提供する手段としての機能(ベルト21の表層110の摩耗や、ベルト21の表層110への外添剤301の付着、ベルト21に対するクリーニング不良等を抑制する機能)を維持できなくなる。
【0161】
なお、図5A、図6Aの結果より、弾性層102を有するベルト21は、さらにベタ濃度及びガサツキにおいて高い印字品質の画像を確保する上で好ましい。
これは以下により説明できる。
【0162】
ベルト21に弾性層102が存在すると、転写時にベルト21の表層110と用紙9とが柔らかく接触するので、ベルト21と用紙9の接触面積が広がり、凸凹の大きな用紙9への転写性が良好になる。
これは、ベルト21の弾性層102が、感光体ドラム11とベルト21との間のトナーに加わる圧力を、ベルト21に適度に逃すことができ、トナーに必要以上の圧力が加わらなくなり、トナーの凝集を抑制することができ、結果として、ガサツキ画像の発生を効果的に防止することができるからである。
【0163】
また、ベルト21は、表層110の下層がベルト基材101のみである場合に、つまり、表層110の下層に弾性層102を設けない場合に、図5Aに示すように、クリーニング性に対して優れた結果が得られる。
このように、ベルト21は、弾性層102を設けるか否かによって、求める画像品質に対応することができる。
【0164】
この現象は、表面の凸凹が大きな用紙9(例えば、表面がざらざらしている用紙や、半紙のようなすき目がある用紙等)を記録材として用いる場合に、顕著である。
また、表面の凸凹が大きな用紙9は、表面に繊維や充填剤等が露出しているベルト21の表層110と馴染み難い傾向があると考えられる。
このような用紙9は、ベルト21の上に形成されたトナー像を、用紙9に転写する際に、トナーが用紙9の凹部にまで転写されずに、がさついた印字(白抜現象)が発生し易い。
したがって、用紙9に対する転写性能を向上させるためには、弾性層102を有するベルト21が効果的である。
【0165】
以上の通り、本実施形態1に係るベルト21によれば、粗さ形成粒子104の平均粒径dがトナー200の平均粒径Dに対して「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす構成とすることにより、画像の品質低下要因の発生を抑制することができ、その結果、高い印字品質の画像を確保することができる。
【0166】
また、ベルト21によれば、好ましくは、バインダ層103の層厚Hが粗さ形成粒子104の平均粒径dに対して「(1/2)×d<H<d」の関係を満たす構成とすることにより、さらに、画像の品質低下要因の発生を抑制することができ、その結果、高い印字品質の画像を確保することができる。
【0167】
[実施形態2]
本実施形態2に係るベルト21A(図示せず)は、実施形態1に係るベルト21と比較すると、表層110のバインダ層103に固体潤滑剤が分散配合されている点で相違している。
実施形態2に係るベルト21Aにつき説明する。
なお、ベルト21Aは、実施形態1に係るベルト21(図2及び図3参照)と同じ構成となっている。そのため、ここでは、ベルト21Aの各構成要素については、実施形態1に係るベルト21の構成要素と同じ符号を付与することによって、その説明を省略する。
また、ベルト21Aの、実施形態1に係るベルト21と同じ動作及び効果についても、その説明を省略する。
【0168】
本実施形態2では、実施形態1に係るベルト21と同様に、ベルト21Aのベルト弾性基材101Aとして、膜厚が300±30(μm)、内周長が624±1.5(mm)、幅長が228±0.5(mm)のベルト弾性基材101Aが形成されたものとする。
【0169】
本実施形態2では、この後に、バインダ層103としてのウレタン系の水系塗料に、粗さ形成粒子104としての平均粒径3(μm)のアクリル粒子と、ベルト21Aのバインダ層103の固体潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛を適宜添加分散させた表層材を生成した。
そして、表層110のバインダ層103の膜厚が2(μm)となるように、その表層材を、スプレー塗装にてベルト弾性基材101Aに塗装した。これにより、本実施形態2に係るベルト21Aが製造される。
【0170】
なお、本実施形態2では、固体潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いたが、固体潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛以外に、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の金属石鹸系のステアリン酸化合物を、硬度、耐熱温度、溶解性等を考慮して、適宜使用することができる。
【0171】
そのベルト21Aは、後記する図10に示す実験を行ったところ、固体潤滑剤がバインダ層103に添加されたベルト21Aは、異音発生を起こさない点でよい、ことが判明した。
【0172】
以下、図10に示す実験の内容について、説明する。図10は、実施形態2に係る無端状ベルト体の実験データを示す図である。図10は、静摩擦係数と異音の有無とを計測して、静穏性を評価した結果を示している。
【0173】
図10は、固体潤滑剤がバインダ層103に添加されていない実施形態1に係るベルト21をプリンタ1に搭載した場合の実験データC1と、固体潤滑剤がバインダ層103に添加された本実施形態2に係るベルト21Aをプリンタ1に搭載した場合の実験データCBと示している。
【0174】
実験の評価方法、評価条件、及び、判定方法は、LL環境(温度10(℃)、湿度20(%)の環境)下で行った以外は、実施形態1と同様に行なった。
また、ベルト21の表層110の摩擦係数は、新東科学株式会社製TRIBOGEAR14FVを用いて測定した。
【0175】
評価は、プリンタ1をLL環境(温度10(℃)、湿度20(%)の環境)下に24時間放置した後に、プリンタ1の電源を投入し、ベルト21又はベルト21Aが走行する際の異音発生の有無を確認することによって行った。その結果、図10に示す実験データC1,C2を取得することができた。
【0176】
図10の結果によれば、本実施形態2に係るベルト21Aは、実施形態1に係るベルト21と比較すると、前記した条件下でも異音発生を起こさない点でよい、ことが判明した。したがって、固体潤滑剤をバインダ層103に添加することは、静穏性を向上させる点で有効である。
【0177】
以下に、その理由を説明する。
異音は、ベルト21の表層110と、クリーニングブレード27(図1参照)との摩擦により発生する。この現象は、特に、LL環境下で、クリーニングブレード27のゴム弾性が低下している場合に発生し易い。
【0178】
一方、固体潤滑剤をバインダ層103に添加すると、ベルト21Aは、固体潤滑剤がベルト21Aの表層110全体に分散されるため、クリーニングブレード27との静摩擦が低減する。これにより、ベルト21Aは、円滑な回転が可能なり、その結果、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制することができる。
【0179】
また、プリンタ1は、クリーニングブレード27に接触しない領域に、固体潤滑剤の供給部材を設ける必要がないため、コストや、各構成要素の装置内での配置の自由度が増す利点がある。
【0180】
このように、ステアリン酸亜鉛のような固体潤滑剤をバインダ層103に添加することは、ベルト21Aの円滑な回転を可能とし、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制する点で好ましい。
以上の通り、本実施形態2に係るベルト21Aによれば、ステアリン酸亜鉛のような固体潤滑剤を添加することは、円滑な回転が可能なり、その結果、プリンタ1の立ち上げ時の異音発生を抑制することができる。
【0181】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、本発明は、プリンタに限らず、無端状ベルト体を有する、ファクシミリ装置、複写機、MFP等の画像形成装置に用いることができる。なお、「MFP」とは、Multi Function Printerの略称で、プリンタにファクシミリ機能やスキャナ機能、コピー機能等を付加した装置である。
また、本発明は、感光体ベルト、定着ベルト、搬送ベルト等の、無端状ベルト体にも適用することができる。
【符号の説明】
【0182】
1 画像形成装置(プリンタ)
2 給紙ユニット
3 画像形成機構(現像ユニット)
4 画像転写機構
5 画像定着機構(定着ユニット)
6 スタッカ
9 用紙(記録材)
11 感光体ドラム(像担持体)
12 帯電ローラ(帯電部材)
13 露光ユニット(LEDヘッド)
14 現像ローラ(現像部材)
21 無端状ベルト体(現像剤像担持体、中間転写体)
21a 弾性層無しベルト
21b 弾性層有りベルト
22 駆動ローラ
23,24 従動ローラ
25 1次転写ローラ
26 2次転写ローラ
27 クリーニングブレード(清掃部材)
101 ベルト基材(ベルト基材層)
102 弾性層
103 バインダ層
104 粗さ形成粒子
201 トナー粒子(現像剤粒子)
202 トナー粒子(現像剤粒子)
D トナー(現像剤)の平均粒径
d 粗さ形成粒子の平均粒径
H バインダ層の膜厚
L 粗さ形成粒子の平均ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する現像剤像担持体を有し、
前記現像剤像担持体は、表面に、粗さ形成粒子を有し、
前記粗さ形成粒子の平均粒径dは、現像剤の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記粗さ形成粒子とバインダ層とから表層を形成している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記表層の下層に基材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記表層と基材との間に弾性層を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記表層は、前記バインダ層の膜厚をHとしたときに、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記粗さ形成粒子は、前記粗さ形成粒子の配列ピッチをLとしたときに、「L≦D+d」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、無端状ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
像担持体を備え、前記現像剤像を当該像担持体に形成する画像形成機構と、
転写体としての前記現像剤像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体に転写する、又は、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体とともに走行する記録材に転写する画像転写機構と、
前記記録材に転写された前記現像剤像を前記記録材に定着させる画像定着機構とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像形成装置において、
像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体に形成する画像形成機構と、
転写体としての前記現像剤像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体に転写した後、前記現像剤像を前記現像剤像担持体から記録材に転写する画像転写機構と、
前記記録材に転写された前記現像剤像を前記記録材に定着させる画像定着機構とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置において、
さらに、前記転写体としての前記現像剤像担持体を清掃する清掃部材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
現像剤像を担持する現像剤像担持体を有し、
前記現像剤像担持体は、表面に、粗さ形成粒子を有し、
前記粗さ形成粒子の平均粒径dは、現像剤の平均粒径をDとしたときに、「(1/2)×D<d<D」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記粗さ形成粒子とバインダ層とから表層を形成している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記表層の下層に基材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、前記表層と基材との間に弾性層を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記表層は、前記バインダ層の膜厚をHとしたときに、「(1/2)×d<H<d」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記粗さ形成粒子は、前記粗さ形成粒子の配列ピッチをLとしたときに、「L≦D+d」の関係を満たす
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記現像剤像担持体は、無端状ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
像担持体を備え、前記現像剤像を当該像担持体に形成する画像形成機構と、
転写体としての前記現像剤像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体に転写する、又は、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体とともに走行する記録材に転写する画像転写機構と、
前記記録材に転写された前記現像剤像を前記記録材に定着させる画像定着機構とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1に記載の画像形成装置において、
像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体に形成する画像形成機構と、
転写体としての前記現像剤像担持体を備え、前記現像剤像を前記像担持体から前記現像剤像担持体に転写した後、前記現像剤像を前記現像剤像担持体から記録材に転写する画像転写機構と、
前記記録材に転写された前記現像剤像を前記記録材に定着させる画像定着機構とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置において、
さらに、前記転写体としての前記現像剤像担持体を清掃する清掃部材を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−247610(P2012−247610A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118990(P2011−118990)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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