説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、廃トナー収容容器を設置した画像形成装置を輸送する場合でも、輸送による振動等で、廃トナー収容容器と廃トナー搬送装置との接続部から装置内に廃トナーが飛散してしまうことを防止する。
【解決手段】中間転写ベルト11に残留したトナーを回収するクリーニング装置8と、クリーニング装置8により回収したトナーを搬送する廃トナー搬送装置9と、廃トナー搬送装置9に着脱可能に接続され廃トナー搬送装置9に設けられたトナー排出口9bから排出されるトナーを収容する廃トナー収容容器10と、廃トナー搬送装置9と廃トナー収容容器10との接続部13に設けられトナー排出口9bを開閉するシャッター部材9sと、装置の動作を制御する制御部80とを有し、制御部80が、ユーザからの信号を受けることで、画像形成動作の停止中に、廃トナー搬送装置9を所定の時間駆動して、回収したトナーを廃トナー収容容器10に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写後に像担持体に残留したトナーをクリーニング手段により回収し、回収したトナーをトナー搬送手段により搬送してトナー収容容器に収容する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、画像転写後に感光体ドラムや中間転写ベルトに残留したトナー(以下「廃トナー」)をクリーニング手段で回収し、その回収した廃トナーを廃トナー搬送手段にて搬送して、廃トナー収容容器に収容する構成のものが知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、中間転写ベルトや廃トナー収容容器の寿命は、画像形成装置の製品寿命に対して短いため、製品購入後にユーザが交換することを前提に、画像形成装置から着脱しやすいようユニット化されている。
【0004】
ユニット化された廃トナー収容容器と装置本体側の廃トナー搬送手段との接続部には、画像形成装置から廃トナー収容容器を取り外して交換する際に廃トナーがこぼれてしまうことを防止するために、シャッター部材が設けられている。具体的には、図8(a)に示すように、装置本体側の廃トナー搬送装置9の接続部13に、廃トナー収容容器10の着脱動作に連動して前記接続部13に設けられたトナー排出口9bを開閉し得るシャッター部材9sが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226139
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例では、画像形成装置に廃トナー収容容器を設置(接続)した状態においては、図9(b)に示すように廃トナー搬送装置9の接続部13でシャッター部材9sが開いた状態になっている。
【0007】
この状態のまま、廃トナー収容容器を設置した画像形成装置を引越しなどで輸送した場合、輸送中の振動により前記廃トナー搬送装置9との接続部13に図9(c)に示すような隙間gが生じ、その隙間gから廃トナーが装置内に飛散してしまうおそれがある。
【0008】
また、装置内に廃トナーが飛散した状態では、印刷した紙等の記録材に廃トナーが付着するなど画像不良が発生してしまうため、本体輸送後にユーザ自身が機内清掃をする必要が生じる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、廃トナー収容容器を設置した画像形成装置を輸送する場合でも、輸送による振動等で、廃トナー収容容器と廃トナー搬送装置との接続部から装置内に廃トナーが飛散してしまうことを防止できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、像担持体に担持したトナー像を記録材に転写して画像を形成する画像形成装置において、転写後に前記像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により回収したトナーを搬送するトナー搬送手段と、前記トナー搬送手段に着脱可能に接続され前記トナー搬送手段に設けられたトナー排出口から排出されるトナーを収容するトナー収容容器と、前記トナー搬送手段と前記トナー収容容器との接続部に設けられ前記トナー排出口を開閉するシャッター部材と、前記画像形成装置の動作を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段が、ユーザからの信号を受けることで、画像形成動作の停止中に、前記トナー搬送手段を所定の時間駆動して、回収したトナーを前記トナー収容容器に排出するトナー排出モードを実行可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トナー収容容器を接続した画像形成装置を一旦使用した後に輸送する場合でも、トナー搬送手段の駆動動作をユーザ自身が任意のタイミングで行うことにより、輸送時の振動等で接続部から装置の内部にトナーが飛散してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す断面図
【図2】画像形成装置の斜視図
【図3】廃トナー収容容器と廃トナー搬送手段の斜視図
【図4】(a)〜(b)は廃トナー搬送手段と廃トナー収容容器の接続部の状態を示す部分断面図
【図5】第1実施形態に係る廃トナー搬送装置の廃トナー排出シーケンス制御の流れを示すフローチャート図
【図6】(a)、(b)は廃トナー搬送装置の駆動構成を示す部分断面図、(c)は廃トナー搬送装置の駆動構成を示す斜視図
【図7】第2実施形態に係る廃トナー搬送装置の廃トナー排出シーケンス制御の流れを示すフローチャート図
【図8】(a)、(b)は廃トナー収容容器と廃トナー搬送手段との接続部の構成の一例を示す部分断面図
【図9】(a)〜(c)は廃トナー収容容器と廃トナー搬送手段との接続部からのトナー漏れの様子を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
〔第1実施形態〕
まず画像形成装置の全体構成について、図1を参照して概要説明する。なお、図1はカラー画像形成装置の一態様であるフルカラーレーザービームプリンタ100の全体構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示すカラー画像形成装置100は、水平方向に並設された複数の感光体ドラム1を備えている。ここでは、複数の感光体ドラム1として、4個の感光体ドラム1a,1b,1c,1dを備えた構成を例示している。各感光体ドラム1は、駆動手段(不図示)によって、図1中の時計回り方向に回転駆動される。
【0016】
各感光体ドラム1は、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4、及びクリーニング装置6と一体にユニット化されたプロセスカートリッジ7(7a,7b,7c,7d)として、画像形成装置に着脱可能に構成されている。帯電ローラ2(2a,2b,2c,2d)は、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する。現像装置4(4a,4b,4c,4d)は、感光体ドラム1に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。現像装置4a,4b,4c,4dはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを夫々収納した現像器から構成される。クリーニング装置6(6a,6b,6c,6d)は、転写後に感光体ドラム1の表面に残った転写残トナーを除去する。
【0017】
スキャナユニット3(3a,3b,3c,3d)は、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1に静電潜像を形成する。スキャナユニット3は、感光体ドラム1の下方向に配置され、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモーター(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラーに照射され、ミラーを介して感光体ドラムに照射される。
【0018】
中間転写装置5は、感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向した一次転写ローラ12a,12b,12c,12dと、複数(ここでは2つ)のローラにて水平方向に支持される中間転写ベルト11で構成される。中間転写装置5は、各感光体ドラム1に形成されたトナー像を各一次転写ローラ12(12a,12b,12c,12d)により中間転写ベルト11に転写させる。中間転写ベルト11の端部には、搬送路を介して二次転写ローラ21が配置されている。
【0019】
また、クリーニング装置8は、転写後に中間転写ベルト11の表面に残ったトナー(以下「廃トナー」)を除去される。廃トナー搬送装置9は、クリーニング装置8により回収した廃トナーを搬送する。廃トナー収容容器10は、廃トナー搬送装置9により搬送されてきた廃トナーを収容する。
【0020】
給送部16は、画像形成部に記録材Sを給送搬送するものであり、複数枚の記録材Sが給送カセット17に収納されている。給送ローラ18は給送カセット17内の記録材Sを1枚ずつ分離給送し、その搬送方向下流には、記録材Sを搬送する搬送ローラ対19とレジストローラ対20が配置されている。
【0021】
画像形成装置100には、図2に示すように、開閉可能なドア部材50,51が設けられている。中間転写装置5と廃トナー収容容器10は、寿命に達した場合に交換できるように、それぞれ画像形成装置100に対して着脱可能に設けられている。中間転写装置5又は廃トナー収容容器10が寿命に到達した場合に、各ドア部材を開くことで、それぞれが画像形成装置から着脱して交換することができる。
【0022】
本実施形態では、クリーニング装置8は、中間転写装置5とともに画像形成装置に対して着脱可能に設けられている。
【0023】
画像形成装置100の上部には、消耗品の交換タイミングなどを表示する表示部70aと操作ボタン70bを備えた操作パネル70が配置されている。ユーザは、この操作パネル70を操作して画像形成装置に対し制御命令を実行することができる。
【0024】
画像形成装置100は、装置の動作を制御する制御部(制御手段)80を備えている。制御部80は、操作パネル70からの入力情報や各種検知等の情報処理を行い、画像形成装置の動作を制御する。
【0025】
次に画像形成動作について説明する。
【0026】
まず、プロセスカートリッジ7a,7b,7c,7dが、印刷タイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて感光体ドラム1a,1b,1c,1dが、時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のプロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラ2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与する。スキャナユニット3は、その感光体ドラム1の周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1の周面上に静電潜像を形成する。現像装置4内の現像ローラは、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1の周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0027】
各感光体ドラム1に形成されたトナー像は、各感光体ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界により、中間転写ベルト11上に順次転写される。
【0028】
一方、給送部より給送された記録材Sは、搬送ローラ対19にて搬送され、レジストローラ対20にて搬送方向に対する傾きが補正されて、中間転写ベルト11と二次転写ローラ21との間に向けて搬送される。
【0029】
そして、中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11と二次転写ローラ21との間に形成された電界により、搬送されてきた記録材S上に転写される。
【0030】
4色のトナー像を転写された記録材Sは定着部30に搬入され、定着部30で前記トナー像が熱定着された後、排出ローラ対31,32によって搬送される。そして排出ローラ対32から排出直後に、除電部材(不図示)にて一部除電をされた後、排出部40に排出される。
【0031】
ここで、図3を参照して、転写後に中間転写ベルト上に残留した廃トナーの回収について説明する。
【0032】
クリーニング装置8は、像担持体としての中間転写ベルト11に担持したトナー像を記録材Sに転写した後に前記中間転写ベルト11に残留したトナーを回収するクリーニング手段である。
【0033】
クリーニング装置8は、中間転写ベルト11に対して当接するクリーニングブレード8aにより、回転する中間転写ベルト11上から廃トナーを掻き取り、ケース8cに回収する。
【0034】
クリーニング装置8のケース8cに回収された廃トナーは、トナー搬送手段を構成する搬送スクリュー8bにより中間転写ベルト11の長手方向(ベルト回転方向と直交する方向)一方の端部に向けて搬送される。ケース8cの端部まで搬送された廃トナーは、搬送スクリュー8bの回転に伴い廃トナー搬送装置9に向けて押し出される。
【0035】
廃トナー搬送装置9は、前記クリーニング装置8内に設けられた搬送スクリュー8bとともに、前記クリーニング装置8により回収した廃トナーを搬送する。本実施形態では、トナー搬送手段は、前記クリーニング装置の内部(搬送スクリュー8b)から画像形成装置(搬送スクリュー9a)にわたって設けられている。このトナー搬送手段のうち、廃トナー搬送装置9の搬送スクリュー9aは、画像形成装置100に固定されている。
【0036】
廃トナー搬送装置9は、DCモータ等の駆動源9m、駆動伝達部(不図示)、トナー搬送手段を構成する搬送スクリュー9aを備えている。廃トナー搬送装置9は、駆動源9mの駆動を駆動伝達部を介して搬送スクリュー9aに伝達し、搬送スクリュー9aによってケース9c内の廃トナーWTを搬送する。
【0037】
クリーニング装置8から廃トナー搬送装置9内に押し出された廃トナーは、ケース9cの底面に堆積し、その後搬送スクリュー9aにより廃トナー収容容器10との接続部の方向に搬送される。ケース9cの端部まで搬送された廃トナーWTは、図4(a)〜(c)に示すように、搬送スクリュー9aの回転に伴い廃トナー収容容器10に落下堆積する。
【0038】
廃トナー搬送装置9の廃トナー収容容器10との接続部13には、廃トナー収容容器10へのトナー排出口9bが設けられ、このトナー排出口9bを開閉するシャッター部材9sが設けられている。
【0039】
廃トナー収容容器10は、廃トナー搬送装置9の接続部13に着脱可能に接続される。廃トナー収容容器10は、廃トナー搬送装置9の接続部13に設けられたトナー排出口9bから排出されるトナーを収容する。
【0040】
次に廃トナー搬送装置内の廃トナーを廃トナー収容容器に排出する廃トナー排出シーケンスについて、図2、図3および図5(制御の流れを示すフローチャート)を参照して説明する。
【0041】
この廃トナー排出シーケンスは、制御部80がユーザからの信号を受けることで行われるトナー排出モードであり、画像形成動作の停止中に、廃トナー搬送装置9を所定時間駆動して、回収したトナーを廃トナー収容容器10に排出する動作モードである。
【0042】
まず、ユーザが画像形成装置の輸送を行う前に、本体上部の操作パネル70を操作して廃トナー排出モードを選択し、本シーケンスの実行を指示する。
【0043】
操作パネル70からの入力情報は画像形成装置の制御部80に達した後、制御部80は画像形成停止中であるか画像形成処理中であるのか否かを確認する(ステップS11)。この際、もし画像形成処理中である場合、画像形成処理中かつ廃トナー排出シーケンス実行待機中である旨を、操作パネル70の表示部70aに表示する(ステップS12)。
【0044】
一方、画像形成停止中である場合には、廃トナー排出シーケンスを開始する(ステップS13)。まず、廃トナー搬送装置9の駆動源9mを駆動し(ステップS14)、駆動伝達部(不図示)を介して搬送スクリュー9aを回転させる。搬送スクリュー9aの回転により、廃トナー搬送装置9のケース9c内に残っている廃トナーは順次廃トナー収容容器10に排出される。
【0045】
廃トナー排出動作中、満載検知手段(不図示)により、廃トナー収容容器10内が廃トナーで満載であるか否かを検知する(ステップS15)。
【0046】
もし廃トナー排出動作中に、満載検知手段(不図示)が、廃トナー収容容器10が満載である旨の信号を検知した場合には、廃トナー搬送装置9の駆動源9mを停止した後、廃トナー収容容器10の交換メッセージを表示部70aに表示する(ステップS16)。この後、ユーザにより廃トナー収容容器10が交換されたことが検知された場合には(ステップS17)、廃トナー排出シーケンスを再開する。
【0047】
一方、廃トナー排出動作中、すなわち廃トナー搬送装置9の駆動源9mの駆動中に、廃トナー収容容器10の満載検知がされない場合、所定の時間まで駆動源9mを駆動した後に停止させる(ステップS18)。
【0048】
従来の画像形成装置では、新品状態から画像形成装置を設置し使用した後には、本体内の廃トナー搬送装置(搬送経路)内に廃トナーが必ず残る。そのため、本体設置使用後に引越しなどで輸送した場合、図9(d)に示すように、輸送中の振動により廃トナー搬送装置9と廃トナー収容容器10との接続部13に隙間gが生じ、その隙間gから廃トナーが装置内に飛散してしまうおそれがある。
【0049】
そこで、本実施形態では、前述したように、制御部80が、ユーザからの信号を受けることで、画像形成動作の停止中に、廃トナー搬送装置9を所定の時間駆動して、回収したトナーを廃トナー収容容器10に排出するトナー排出モードを実行可能である。
【0050】
ここで、廃トナー排出モードにおいて廃トナー搬送装置9を駆動する所定の時間とは、廃トナー搬送装置9の搬送経路(ケース9c)内部に残留し得る最大量のトナーが搬送されて無くなるまでの時間であり、予め設定された時間である。
【0051】
このように、本実施形態によれば、廃トナー搬送装置内の廃トナーの排出を、ユーザ自身が任意のタイミングで実行することができる。この機能を用いて、画像形成装置を一旦設置使用した後に輸送するような場合には、ユーザ自身が輸送前に予め廃トナー搬送装置内の廃トナーを排出しておくことができる。その結果、図4(d)に示すように、輸送中の振動により廃トナー搬送装置9と廃トナー収容容器10との接続部13に隙間gが生じても、その隙間gから廃トナーが画像形成装置内に漏れ出すことを防止できる。よって、輸送後であっても飛散トナーによる画像不良を生じることなく使用することができ、ユーザに装置内の清掃を強いることもない。
【0052】
本実施形態によれば、廃トナー収容容器10を接続した画像形成装置を一旦使用した後に輸送する場合でも、廃トナー搬送装置9の駆動動作をユーザ自身が任意のタイミングで行うことにより、輸送時の振動等で接続部13から装置の内部にトナーが飛散してしまうことを防止できる。
【0053】
また、本実施形態は、トナー搬送手段のうち、画像形成装置100に固定された廃トナー搬送装置9の内部のトナーを廃トナー収容容器10に搬送する構成である。すなわち、廃トナー搬送装置の駆動時間を最小限にすることにより、消費電力および部品の消耗を抑制しつつ、画像形成装置の輸送時の廃トナーの機内飛散を防止できる。
【0054】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施形態において、前述した第1実施形態と同等の機能を有する部材には同一符号を付し、説明を省略している。
【0055】
本実施形態では、廃トナー搬送装置9に振動を与える振動付与手段を有している。前記振動付与手段は、前記トナー排出モードの実行時のトナー搬送手段(搬送スクリュー)によるトナー搬送の前後に動作する。以下、詳しく説明する。
【0056】
本実施形態における廃トナー搬送装置9の駆動構成を図6(a)〜(c)に示す。
【0057】
駆動源9mの軸上の駆動ギア9eは、振動付与手段を構成する第一ラチェット部材9kのギア部9k2が噛み合っている。第一ラチェット部材9kのカップリング部9k1は、振動付与手段を構成する第二ラチェット部材9jのカップリング部9j1と噛み合っている。第一ラチェット部材9kと第二ラチェット部材9jのカップリング部9k1,9j1は、図6(c)に示すようにラチェット形状になっている。駆動源9mの正回転時(図6(a))には、ラチェット形状のカップリング部9k1,9j1が噛み合い、第一ラチェット部材9kから第二ラチェット部材9jに駆動力が伝達される。一方、駆動源9mの逆回転時(図6(b))には、ラチェット形状の斜面部分が接触するため、第一ラチェット部材9kが第二ラチェット部材9jから退避して、第一ラチェット部材9kの駆動力が第二ラチェット部材9jに伝達されない。
【0058】
第二ラチェット部材9jのギア部9j2は、廃トナー搬送スクリュー9aを保持するギア9uと噛み合っており、駆動源9mの駆動力を最終的に伝達し廃トナー搬送スクリュー9aを回す構成になっている。第一ラチェット部材9kの一端はバネ部材9nにて第二ラチェット部材9jの方向に付勢されており、両部材のカップリング部9k1,9j1は噛み合っている。
【0059】
次に廃トナー搬送装置内の廃トナーを廃トナー収容容器に排出する廃トナー排出シーケンスについて、図7(制御の流れを示すフローチャート)を参照して説明する。
【0060】
この廃トナー排出シーケンスも、前述した実施形態と同様に、制御部80がユーザからの信号を受けることで行われるトナー排出モードであり、画像形成動作の停止中に、廃トナー搬送装置9を所定時間駆動して、回収したトナーを廃トナー収容容器10に排出する。
【0061】
まず、ユーザが画像形成装置の輸送を行う前に、本体上部の操作パネル70を操作して廃トナー排出モードを選択し、本シーケンスの実行を指示する。
【0062】
操作パネル70からの入力情報は画像形成装置の制御部80に達した後、制御部80は画像形成停止中であるか画像形成処理中であるのか否かを確認する(ステップS21)。この際、もし画像形成処理中である場合、画像形成処理中かつ廃トナー排出シーケンス実行待機中である旨を、操作パネル70の表示部70aに表示する(ステップS22)。
【0063】
一方、画像形成停止中である場合には、廃トナー排出シーケンスを開始する(ステップS23)。まず、廃トナー搬送装置9の駆動源9mを駆動し(ステップS24)、駆動伝達部(不図示)を介して搬送スクリュー9aを正回転させる。搬送スクリュー9aの回転により、廃トナー搬送装置9のケース9c内に残っている廃トナーは順次廃トナー収容容器10に排出される。
【0064】
廃トナー排出動作中、満載検知手段(不図示)により、廃トナー収容容器10内が廃トナーで満載であるか否かを検知する(ステップS25)。
【0065】
もし廃トナー排出動作中に、満載検知手段(不図示)が、廃トナー収容容器10が満載である旨の信号を検知した場合には、廃トナー搬送装置9の駆動源9mを停止した後、廃トナー収容容器10の交換メッセージを表示部70aに表示する(ステップS26)。この後、ユーザにより廃トナー収容容器10が交換されたことが検知された場合には(ステップS27)、廃トナー排出シーケンスを再開する。
【0066】
一方、廃トナー排出動作中、すなわち廃トナー搬送装置9の駆動源9mの駆動中に、廃トナー収容容器10の満載検知がされない場合、所定の時間まで駆動源9mを駆動した後に停止させる(ステップS28)。
【0067】
その後、廃トナー搬送装置9の駆動源9mを逆回転させる(ステップS29)。第一ラチェット部材9kに逆回転方向の駆動力が伝達されると、図6(b)に示すように第二ラチェット部材9jのカップリング部9j1の傾斜面に第一ラチェット部材9kのカップリング部9k1の傾斜面が乗り上げ、両部材の噛み合いが外れた状態になる。
【0068】
この後、更に同方向に回転し続けると、両部材のカップリング形状の位相が合ったところで、図6(a)に示すように第一ラチェット部材9kが乗り上げた状態から再度第二ラチェット部材9jと噛み合った状態になる。両部材のカップリング部が噛み合う際には、バネ部材9nの付勢力で第一ラチェット部材9kが第二ラチェット部材9jに突き当たる。
【0069】
駆動源9mを逆回転させている間は、図6(b)に示す噛み合いが外れる状態と図6(a)に示す噛み合う状態が繰り返されることで、この突き当たる動作が連続的に行われる。これにより廃トナー搬送装置9のケース9cを振動させることができる。
【0070】
所定の時間まで駆動源9mの逆回転を行った後に駆動を停止し、再度駆動源9mを所定の時間だけ正回転させ停止し(ステップS30,31)、廃トナー排出シーケンスを終了する。
【0071】
本実施形態においても、前述した第1実施形態と同様に、廃トナー収容容器10を接続した画像形成装置を一旦使用した後に輸送する場合でも、廃トナー搬送装置9の駆動動作をユーザ自身が任意のタイミングで行うことにより、輸送時の振動等で接続部13から装置の内部にトナーが飛散してしまうことを防止できる。
【0072】
さらに、本実施形態では、廃トナー排出シーケンスの実行中に、廃トナー搬送装置9の駆動源を逆回転させてケース9cに振動を与えることにより、ケース9c内面に付着し残っている廃トナーを剥がし落とすことができる。そしてその後に廃トナー搬送スクリュー9aを再度正回転させることにより、ケース9cから剥がし落した廃トナーを廃トナー収容容器10に収容することができる。その結果、廃トナー搬送装置のケース9c内面に廃トナーが残ることがなく、輸送時にそれらケース内面に付着した廃トナーが漏れ、装置内に飛散してしまうことを防止することができる。
【0073】
〔他の実施形態〕
なお、前述した実施形態では、廃トナー排出シーケンスの実行指示を本体上部の操作パネルから行う構成を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、有線・無線を問わず、画像形成装置に接続された情報処理端末からユーザが実行指示を行う構成でも可能である。
【0074】
また、前述した実施形態では、廃トナー搬送装置のトナー排出口を開閉するシャッター部材として、バネによって閉方向に付勢されたシャッター部材9sを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図8(a)、(b)に示すようなワンウェイシール部材10bを廃トナー収容容器10の廃トナー搬送装置9との接続部13に設けてもよい。このシャッター部材としてのワンウェイシール部材10bは、廃トナー収容容器10の廃トナー搬送装置9との接続部に設けられ、廃トナー搬送装置9のトナー排出口9bから排出されるトナーに押されることでトナー排出口9bを開放する。このワンウェイシール部材10bを設けることで、廃トナー収容容器10に回収したトナーが輸送時に画像形成装置内に飛散することを容易に防止することができる。なお、図8に示す形態では、廃トナー排出時に廃トナーを押し出す力を利用しシート状のワンウェイシール部材10bが開くが、搬送を停止すると、シート部材の弾性によりトナー排出口が閉じられる。
【0075】
また、本実施形態では、画像形成装置に対して中間転写装置5が着脱可能な構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、中間転写装置5が画像形成装置に対して着脱可能な構成でない場合には、廃トナー排出シーケンス中に廃トナー搬送装置の一部を構成するクリーニング装置8内の搬送スクリューを稼働する必要はない。このように、中間転写ベルトのクリーニング装置内の搬送スクリューを駆動させなくてもよいので、前述した実施形態に比べて、消費電力および部品の消耗を抑制することができる。また、この構成では、廃トナー搬送装置9の駆動時間を、廃トナー収容容器10近傍の廃トナーが無くなるまでの時間に抑えることができる。
【0076】
また、前述した実施形態では、画像形成装置に対して中間転写装置が着脱可能な構成としたが、中間転写装置を着脱交換しない構成としてもよい。この場合には、廃トナー排出シーケンス中に中間転写装置のクリーニング装置(搬送スクリュー8b)を稼働する必要はない。中間転写装置のクリーニング装置(搬送スクリュー)を稼働しないので、その分、消費電力および部品の消耗を抑制することができる。そしてこの構成では、廃トナー搬送手段の稼働時間を、廃トナー収容容器10近傍の廃トナーが無くなるまでの時間に抑えることができる。すなわち、廃トナーを排出する時間を最小限に抑えることができる。
【0077】
また、前述した実施形態では、中間転写装置のクリーニング装置と廃トナー収容容器間に廃トナー搬送装置を設けた構成としたが、廃トナー搬送装置を中間転写装置のクリーニング装置の内部に設け、このクリーニング装置の廃トナー搬送装置と廃トナー収容容器とを直接接続する構成としても良い。この構成では、廃トナー排出シーケンス中の廃トナー搬送手段の稼働時間を、クリーニング装置内の廃トナーがなくなるまでの時間とするとなお良い。
【0078】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。このような画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0079】
g …隙間
1a,1b,1c,1d …感光体ドラム
5 …中間転写装置
8 …クリーニング装置(クリーニング手段)
8a …クリーニングブレード
8b …搬送スクリュー(トナー搬送手段)
8c …ケース
9 …廃トナー搬送装置
9a …搬送スクリュー(トナー搬送手段)
9b …トナー排出口
9c …ケース
9j …第二ラチェット部材(振動付与手段)
9j1 …カップリング部
9j2 …ギア部
9k …第一ラチェット部材(振動付与手段)
9k1 …カップリング部
9k2 …ギア部
9m …駆動源
9n …バネ部材
9s …シャッター部材
10 …廃トナー収容容器
10b …ワンウェイシール部材
11 …中間転写ベルト
13 …接続部
70 …操作パネル
70a …表示部
70b …操作ボタン
80 …制御部
100 …画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に担持したトナー像を記録材に転写して画像を形成する画像形成装置において、
転写後に前記像担持体に残留したトナーを回収するクリーニング手段と、
前記クリーニング手段により回収したトナーを搬送するトナー搬送手段と、
前記トナー搬送手段に着脱可能に接続され前記トナー搬送手段に設けられたトナー排出口から排出されるトナーを収容するトナー収容容器と、
前記トナー搬送手段と前記トナー収容容器との接続部に設けられ前記トナー排出口を開閉するシャッター部材と、
前記画像形成装置の動作を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段が、ユーザからの信号を受けることで、画像形成動作の停止中に、前記トナー搬送手段を所定の時間駆動して、回収したトナーを前記トナー収容容器に排出するトナー排出モードを実行可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー排出モードにおいて前記トナー搬送手段を駆動する所定の時間とは、前記トナー搬送手段に残留し得る最大量のトナーが搬送されて無くなるまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー搬送手段は、前記クリーニング手段の内部から画像形成装置にわたって設けられており、
前記トナー収容容器は、前記トナー搬送手段のうち、前記画像形成装置に設けられたトナー搬送手段に着脱可能に接続され、
前記トナー排出モードにおいて前記トナー搬送手段を駆動する所定の時間とは、前記画像形成装置に設けられたトナー搬送手段に残留し得る最大量のトナーが搬送されて無くなるまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー搬送手段は、前記クリーニング手段に設けられており、
前記トナー収容容器は、前記クリーニング手段に設けられたトナー搬送手段に着脱可能に接続され、
前記トナー排出モードにおいて前記トナー搬送手段を駆動する所定の時間とは、前記クリーニング手段に設けられたトナー搬送手段に残留し得る最大量のトナーが搬送されて無くなるまでの時間であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー搬送手段に振動を与える振動付与手段を有し、
前記振動付与手段は、前記トナー排出モードの実行時のトナー搬送手段によるトナー搬送の前後に動作することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−252257(P2012−252257A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126140(P2011−126140)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】