説明

画像形成装置

【課題】画像品質を確保することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】上ダクト28と下ダクト27を、上ダクト28のシート搬送路側の開口部と下ダクト27のシート搬送路側の開口部とがシート搬送路を挟んで対向するように配置する。そして、上ダクト28と第1ファン29aとを備えた第1送風部24Aにより、シート搬送路を通過するシートSの第1面に沿ってシート搬送方向と直交する方向に空気を流すと共に、下ダクト27と第2ファン29bとを備えた第2送風部24Bにより、シート搬送路を通過するシートSの第1面と反対側の第2面に沿ってシート搬送方向と直交する方向に、第1送風部24Aと逆方向に空気を流すことにより、シートSの両面を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にトナー像が加熱定着されたシートを、空気を吹き付けて冷却するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、像担持体上に形成されたトナー像をシートに転写した後、シートを加熱してトナー像を定着させるようにしたものがある。
【0003】
ここで、定着直後のシートは高温になっており、短時間で多数のシートに画像を形成すると、定着後の高温のシートが排出トレイに積み重なり、シートは自然冷却されずシートに熱が蓄積する。この結果、画像の上に重ねられたシートの裏側にトナーが付着してシートの裏側が汚れてしまったり、場合によってはシート同士が張り付いてしまうという現象が発生し、画像品質を著しく劣化させていた。
【0004】
そこで、このようなシート同士の張り付きを防ぐため、従来の画像形成装置においては、例えば図9に示すように、排出トレイ200の上方にシートSを強制的に冷却するための冷却ファン201を設けたシート冷却部を備えたものがある。そして、このようなシート冷却部では、冷却ファン201により、画像形成装置202から排出トレイ200に排出されたシートSに空気を上方から当てることにより、シートSを冷却するようにしている(特許文献1参照)。
【0005】
また、例えば図10に示すように、排紙ローラ対211にヒートパイプ212を接続してシートを冷却するようにしたシート冷却部を備えたものがある。そして、このようなシート冷却部では、ヒートパイプ212により、排紙ローラ対211の熱を放熱することによって、排紙ローラ対211を通る定着直後のシートを冷却するようにしている(特許文献2参照)。
【0006】
さらに、例えば図11に示すようにシート搬送路の側方にファン230を設けてシートを冷却するようにしたシート冷却部を備えたものがある。そして、このようなシート冷却部では、ファン230により、シート搬送路を通過する定着直後のシートの側方から冷却空気を吹き付けることにより、シートを冷却するようにしている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−223093号公報
【特許文献2】特開平5−016402号公報
【特許文献3】特開2006−184549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、画像形成装置において、画像形成速度が高速化しており、これに伴いシートの排出間隔も短くなり、この結果、排出トレイに積載されるシートの温度も高くなってきている。したがって、上記のようなシートの裏汚れやシート同士の張り付きを防止しにくくなってきている。
【0009】
また、図9に示す構成のシート冷却部では、排出トレイ200に排出される際には、シート全体に空気が吹き付けられるが、風が行き渡るようにシートの上方から風を吹きつけているだけなので、排出トレイ上の既排出シートに対する冷却ムラが生じる。このため、冷却効果が完全ではない。
【0010】
また、上方から風を吹きつけているためシートの上面のみを冷却するので、シートの下面は冷却されない。近年の搬送スピードではシートの片面のみを冷却するだけではシートの裏汚れやシート同士の張り付きを防止しにくい。
【0011】
また、図10に示す構成のシート冷却部では、ヒートパイプ自体のコストやヒートパイプ212を排紙ローラ対211に接続するため構造等のコストが高く、また近年の搬送スピードの速さに追従して冷却効果を向上させることが難しくなってきている。
【0012】
また、図11に示す構成のシート冷却部では、シートSに直接冷却風を当てて冷却効果を向上させているが、冷却風がシートSの片側から当てられているため、冷却風の上流に比べて下流の方の冷却効果が小さくなり、シート全体として均一に冷却されない。この結果、近年の搬送スピードの増大によって、特に冷却風の下流側のシートの冷却が不十分になり、この部分でのシートの裏汚れやシート同士の張り付きを防止しにくくなっている。
【0013】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートの裏汚れやシート同士の張り付きを防止し、画像品質を確保することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、シートが通過するシート搬送路を備えた画像形成装置において、前記シート搬送路を通過するシートのシート搬送方向と交差する第1の方向に、シートの第1面に沿って送風する第1ダクトと、前記第1の方向と反対の第2の方向に、前記シート搬送路を通過するシートの前記第1面と反対側の第2面に沿って送風する第2ダクトと、を備え、前記第1ダクトと、前記第2ダクトとは、前記第1ダクトの前記シート搬送路側に開口する開口部と前記第2ダクトの前記シート搬送路側に開口する開口部とが前記シート搬送路を挟んで対向するように配置されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のように、第1ダクトと第2ダクトを、第1ダクトのシート搬送路側の開口部と第2ダクトのシート搬送路側の開口部とがシート搬送路を挟んで対向するように配置することにより、シートを効果的に冷却することができ、画像品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー複写機の概略構成を示す図。
【図2】上記カラー複写機に設けられたシート冷却部の構成を示す図。
【図3】上記シート冷却部の構成を示す斜視図。
【図4】上記シート冷却部の構成を示す側面断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート冷却部の構成を示す図。
【図6】本実施の形態に係るシート冷却部の他の構成を示す図。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート冷却部の構成を示す図。
【図8】本実施の形態に係るシート冷却部の他の構成を示す図。
【図9】従来の第1のシート冷却部の構成を説明する斜視図。
【図10】従来の第2のシート冷却部の構成を説明する斜視図。
【図11】従来の第3のシート冷却部の構成を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラー複写機の概略構成を示す図である。
【0019】
図1において、1はカラー複写機、1Aはカラー複写機本体(以下、装置本体という)である。この装置本体1Aの上部には自動原稿給送装置11により原稿載置台としてのプラテンガラス9bに載置された原稿を読み取る画像読取部1Bが設けられている。そして、この画像読取部1Bには、光源9c、ミラー系M、レンズ系Ln及びCCDユニット9aを備えた光学読取系9が設けられている。11aはプラテンガラス9bに載せられた原稿をプラテンガラス9bに付勢して押し付ける圧板である。
【0020】
また、画像読取部1Bの下方には画像形成部8、画像形成部8にシートSを給送する給紙部12が設けられている。画像形成部8には、感光ドラム2、1次帯電器7、トナーカートリッジと一体となった複数の現像器を内蔵したロータリ現像器3、レーザスキャナユニット10が配設されている。
【0021】
さらに、画像形成部8には、4色のトナー像を重ねて転写作像した後、シートSへ多色画像を転写する無端状の転写ベルト4、転写ベルト4からシートSへトナー像を転写する2次転写ローラ4aが設けられている。転写ベルト4を介して感光ドラム2と対向する位置には、感光ドラム上から転写ベルト4へとトナー像を転写するための1次転写手段たる1次転写ローラ4bが配置され、1次転写部を形成している。5はドラム2上に残留した現像剤及びその他の付着物を除去するクリーニング装置である。6はドラム2の残留電荷の除電を行う除電手段である。
【0022】
給紙部12は、シートSを収容して装置本体1Aに着脱自在なカセット12a及びOHT、厚紙等の特殊なシートSを給送するための手差しトレイ23が設けられており、カセット12a及び手差しトレイ23から画像形成部8に向けてシートSが供給される。
【0023】
なお、画像形成部8の下流側には、トナー像が転写されたシートSを搬送する転写搬送装置81、シート上の未定着画像を定着する定着部14、画像が定着されたシートSを装置本体外に排出する外排出ローラ21等が配設されている。なお、図1において、100は、装置本体1Aの画像形成動作全般を制御する制御装置である。
【0024】
次に、このような構成のカラー複写機1の動作について説明する。
【0025】
装置本体1Aに設けられている制御装置100から信号が出力されると、例えば自動原稿給送装置11によりプラテンガラス9bに載置された原稿に、光源9cから光が当てられ、反射する。そして、原稿から反射した光は、複数のミラーMとレンズLnを介して一旦CCDユニット9aにより読み取られて電気信号に変換され、この電気信号は、一旦画像メモリ101に記録される。この後、レーザスキャナユニット10から、この電気信号に対応したレーザ光、或は画像メモリ101からのデータに対応したレーザ光が、感光ドラム2上に照射される。
【0026】
なお、このとき感光ドラム2は、予め1次帯電器7により帯電されており、光が照射されることによって静電潜像が形成され、次いでロータリ現像器3内に配された複数の現像器により、選択された色のトナー像が形成される。この後、感光ドラム上に形成されたトナー像は、1次転写部にて、1次転写ローラ4bに印加される1次転写バイアス電圧の作用で転写ベルト4上に転写される。
【0027】
ここで、カラーモードの場合には、トナー像が転写された転写ベルト4は次のトナー像が形成転写されるよう更に回転する。なお、この間、ロータリ現像器3は次の指定カラーの現像器を感光ドラム2に対向するよう反時計回りの方向に回転し、次の静電潜像を現像する準備をする。こうして、フルカラーモードでは所定画像数のトナー像が転写され終わるまで、静電潜像形成・現像・転写を繰り返す。
【0028】
一方、制御装置100から給紙信号が出力されると、例えばカセット12aに収納されたシートSはピックアップローラ12bにより本体パス13を経てレジストローラ19に搬送される。また、手差しトレイ23に載置されたシートSも、ピックアップローラ12bによりレジストローラ19に搬送される。
【0029】
そして、このレジストローラ19により斜行が補正され、さらにタイミングが合わされてトナー像を担持した像担持体である転写ベルト4と2次転写ローラ4aとにより構成される2次転写部に送られる。
【0030】
次に、このように2次転写部に送られたシートSは、2次転写ローラ4aによりトナー像が転写された後、転写搬送装置81により定着部14に搬送される。この後、定着部14により加熱及び加圧されることにより、シートSに未定着転写画像が永久定着される。そして、このように画像が定着されたシートSは内排出ローラ20及びシート排出部を構成する外排出ローラ21により装置本体1Aから排出トレイ15に排出される。
【0031】
なお、本カラー複写機1は両面画像形成機能を有しており、両面画像形成モードが選択されると、既述した定着部14を通過したシートSは、切換部材22の切換により、再給紙搬送路16を経由して反転パス17へ一時搬送される。
【0032】
ここで、シートSの終端が再給紙搬送路16を通過し、反転ローラ17aにまだ挟持されているタイミングで反転ローラ17aを逆回転させることにより、シートSは、両面パス18へ搬送される。この後、両面パス18を経由して再び本体パス13を通過してレジストローラ19まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ15へ排出される。
【0033】
ところで、図1において、24は定着部14と外排出ローラ21の間のシート搬送路に配置されたシート冷却部であり、このシート冷却部24により定着部14において加熱されたシートを冷却するようにしている。
【0034】
このシート冷却部24が配置されるシート搬送路は、図2に示すように第2ガイド部材である下ガイド板25と、下ガイド板25と共にシート搬送路Rを構成するよう下ガイド板25と対向して設けられた第1ガイド部材である上ガイド板26で構成されている。そして、これら下ガイド板25及び上ガイド板26には、それぞれ空気を通過させるための連通孔である通気孔25a,26aが略対向して形成されている。
【0035】
なお、本実施の形態においては、下及び上ガイド板25,26の各通気孔25a,26aは、シート搬送路Rを搬送されるシートSが引っかからないように、シート搬送方向に長い長穴形状を有している。また、本実施の形態では、下及び上ガイド板25,26の通気孔25a,26aの形成割合(開口率)は50%としている。
【0036】
また、上ガイド板26の上方には、第1ダクトである上ダクト28がシート搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)に沿って設けられている。この上ダクト28はシート搬送路側が開口されており、これによりシート搬送路Rは、上ダクト28と、上ガイド板26に形成された通気孔26aを介して連通されている。
【0037】
一方、下ガイド板25の下方には、第2ダクトである下ダクト27が幅方向に沿って設けられている。この下ダクト27はシート搬送路側が開口されており、これによりシート搬送路Rは、下ダクト27と、下ガイド板25に形成された通気孔25aを介して連通されている。なお、この上ガイド板26と上ダクト28との隙間及び下ガイド板25と下ダクト27の隙間は、内排紙ローラ20によりほぼ塞がれるようになっている。
【0038】
また、下ダクト27は、図3に示すように装置本体1Aの対向する側板101,102に形成された開口部27a,27bを備えている。そして、一方の排気口を構成する開口部27aには長穴で構成されたルーバ30aが設けられ、吸気口を構成する他方の開口部27bには図4に示す第2ファン29bが設けられている。上ダクト28は、側板101,102に形成された開口部28a,28bを備え、一方の吸気口を構成する開口部28aには第1ファン29aが設けられ、他方の排気口を構成する開口部28bには不図示の長穴で構成されたルーバが設けられている。
【0039】
ここで、第1送風部材である第1ファン29a及び第2送風部材である第2ファン29bは下及び上ダクト内に外気を吹き込むものである。そして、本実施の形態において、この上ダクト28と第1ファン29aとにより、シート搬送路Rを通過するシートSの上面(第1面)に沿って幅方向に空気(外気)を流す第1送風部24Aが構成される。また、下ダクト27と第2ファン29bとにより、シート搬送路Rを通過するシートSの上面と反対側の下面(第2面)に沿って幅方向に空気(外気)を流す第2送風部24Bが構成される。
【0040】
さらに、本実施の形態において、第1及び第2ファン29a,29bは、図4に示すように下及び上ダクト27,28に取り付け位置を逆にして取り付けられている。つまり、第1ファン29aは対向する側板101,102の一方の側板101に、第2ファン29bは、他方の側板102に取り付けられている。
【0041】
そして、このように、第1及び第2ファン29a,29bの取り付け位置を逆にすることにより、下ダクト内(第2ダクト内)及び上ダクト内(第1ダクト内)に吹き込まれる外気の向きが逆方向となる。
【0042】
即ち、上ダクト28を流れる空気は、シートの一方の側方(第1の側方)から他方の側方(第2の側方)へ流れる。また、下ダクト27を流れる空気は、シートの第2の側方から第1の側方へ流れる。ここで、シートの側方とは、シート搬送方向と交差する方向をさす。なお、本実施の形態において、第1及び第2ファン29a,29bの風量は、上ダクト28に配置された第1ファン29aの風量よりも、下ダクト27に配置された第2ファン29bの風量の方が大きく設定されている。
【0043】
次に、このように構成されたシート冷却部24のシート冷却動作について説明する。
【0044】
シートSが搬送され始めると、下及び上ダクト27,28の第1及び第2ファン29a,29bが動作を開始し、図4に示すように下及び上ダクト内にそれぞれ逆方向に送風を開始する。これにより、下及び上ダクト内は装置本体外側のフレッシュな空気で満たされる。
【0045】
この後、定着部14に搬送され、定着部14により加熱定着されたシートSが、図2に示すようにシート搬送路Rに搬送される。このとき、シート搬送路Rと下及び上ダクト27,28は、下及び上ガイド板25,26に形成された通気孔25a,26aを介して連通しているので、下及び上ダクト27,28を流れる外気は、シート搬送路Rに上方及び下方から流れ込む。
【0046】
これにより、下及び上ダクト内を流れる外気がシートSの表面に沿って幅方向に流れるようになり、シートSを直接冷却する。なお、このように下及び上ダクト27,28によって冷却されたシートSは、この後、シート排出部で排出され、排出トレイ15に積載される。
【0047】
ところで、本実施の形態のように、シートSを直接冷却することにより、シートSを効果的に冷却することができる。また、下及び上ダクト27,28を幅方向に沿って配置しているので、下及び上ダクト内を流れる外気が、最短距離でシートSの幅方向全域に当たるようになり、これによりシート全体を冷却することができ、よりシートSの冷却効果が向上する。
【0048】
なお、シートSを冷却することによって温まった外気は、そのまま図4に示す排気口を構成する開口部27a,28bから装置本体外へ排出されるので、下及び上ダクト内は温度が上昇することはなく、常に外気とほぼ同じ温度に保たれる。したがって、連続してシートに画像を形成しても、安定したシートSの冷却効果を確保することができる。
【0049】
さらに、本実施の形態のように、シート搬送路Rを搬送されるシートSは、下及び上ダクト27,28から吹き出される外気(空気)により表裏両面が冷却されるので、より効率的に冷却される。この結果、排出後のシートの温度はより下がり、排出後のシートの裏汚れやシート同士の張り付きの防止効果が向上する。
【0050】
なお、既述したように、本実施の形態において、下及び上ダクト27,28の第1及び第2ファン29a,29bは、異なる端部に配置されている(図4参照)。ここで、下及び上ダクト27,28においてファン29a,29bに近い側は風速が大きく、空気自身の温度も低いのでシートの冷却効果が大きい。一方、下及び上ダクト27,28のファン29a,29bから遠い側は抵抗の影響で風速が小さくなり、空気自身の温度もシートを冷却するにしたがって高くなっていくのでシートの冷却効果は小さい。
【0051】
しかし、本実施の形態では、下及び上ダクト27,28において、第1及び第2ファン29a,29bの風向が互いに逆向きになっているので、シートの冷却効果の大きい側、及び小さい側も上下で互いに逆になっている。したがって、シートSは下及び上ダクト27,28の送風方向に対してほぼ均一に冷却される。そして、このようにシートSが均一に冷却されるようになると、シートSの排出時にシートSの温度が局所的に高いということがなくなり、排出されたシートSの裏汚れやシート張り付きが発生しにくくなる。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、既述したように第1及び第2ファン29a,29bの風向は、装置本体外から下及び上ダクト内へ吹き込むように設定されている。そして、このように構成した場合、風向がダクト内から吹き出すように設定される場合に比べて風量が大きくなるので、よりシート冷却効果が向上する。
【0053】
また、本実施の形態において、定着部14によって加熱定着され、高温となったシートSを冷却しているが、この場合、シートSと外気による冷却風の温度差が大きい。ここで、一般に冷却するものと冷却されるものの温度差が大きいほど冷却効果は大きいことから、シート冷却効果は大きくなる。
【0054】
さらに、本実施の形態においては、下ダクト27の第2ファン29bによる送風量を上ダクト28の第1ファン29aによる送風量より大きくしている。一般にシートSがシート搬送路Rを搬送するとき、シートSは下ガイド板上を摺動しながら搬送されるので、搬送される際、シートの下側はダクト内の風に当りにくくなり、シートの上側に比べて冷却効果は低下する。このため、本実施の形態においては、下ダクト27に配置された第2ファン29bの送風量を大きくしており、これによりシートの上側及び下側を均一に冷却することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート搬送路Rを通過するシートSの表裏両面に沿って幅方向に外気を流してシートSの両面を冷却することにより、シートSを効果的に冷却することができる。これにより、シート排出後に裏汚れやシート同士の張り付きを防止することができ、画像品質を確保することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、下及び上ガイド25,26の通気孔25a,26aの開口率を50%としたが、開口率はこの値に限定されるものではない。また、本実施の形態では、シートSをより均一に冷却するために、下ダクト27の第2ファン29bの風量を上ダクト28の第1ファン29aの風量より大きくしているが、シートをより均一に冷却する方法はこれに限定されない。例えば、ファン29a,29bの風量が同じであっても、上ガイド板26の通気孔26aの開口率よりも、下ガイド板25の通気孔25aの開口率を大きくするようにしても、下ダクト27の風量を上ダクト28の風量より大きくすることができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0058】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート冷却部の構成を示す図である。なお、図5において、図4と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0059】
本実施の形態においては、下及び上ダクト27,28と下及び上ガイド25,26との上下方向の間隔は、下及び上ダクト27,28の中央部の方が両端部に比べて小さくなっている。即ち、本実施の形態においては、下及び上ダクト27,28を、シート搬送路Rまでの距離が、中央部が最も短く、端部が長くなるように形成している。
【0060】
このような構成の下及び上ダクト内にファン29a,29bによって外気が送風されると、下及び上ダクト27,28と下及び上ガイド25,26(シート搬送路R)の距離が徐々に短くなっているので、下及び上ダクト内を流れる外気の速度は徐々に速くなる。
【0061】
そして、シート搬送路Rまでの距離が最も短くなる下及び上ダクト27,28の中央部において風速が最も大きくなる。なお、風速は抵抗によって徐々に小さくなるが、本実施の形態においては、下及び上ダクト27,28の形状を抵抗による風速の減速よりも、シート搬送路Rとの距離が短くなることによる風速の増速効果の方が高くなるように設定している。
【0062】
ここで、シートSを冷却すると下及び上ダクト27,28を流れる外気の温度が上昇し、シートSの冷却効果は徐々に小さくなる。しかし、本実施の形態のように、下及び上ダクト27,28の中央部において風速が最も速くなるので、シートSの冷却効果は向上する。結果として、外気によるシートSの冷却効果はトータルでは低下せず、より均等にシートSを冷却することができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、シート搬送路Rまでの距離が下及び上ダクト27,28の中央部が最も短くなっているが、下及び上ダクト27,28の形状はこれに限定されるものではない。下及び上ダクト27,28の端部から中央までの間の一部、または、全域で下及び上ダクト27,28の端部から中央にいくにしたがって徐々に短くなっていればよい。
【0064】
例えば、図6の(a)に示すように、下及び上ダクト27,28を、下及び上ダクト27,28の吸気口を構成する開口部28a,27bから排気口を構成する開口部27a,28bに向かって徐々にシート搬送路Rとの距離が短くなるように形成しても良い。また、図6の(b)に示すように、下及び上ダクト27,28を、開口部28a,27bから中央に向かって徐々にシート搬送面Rとの距離が短くなり、中央から開口部27a,28bに向かってシート搬送路Rとの距離が同一となるように形成しても良い。
【0065】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0066】
図7は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられたシート冷却部の構成を示す図である。なお、図7において、図2と同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0067】
図7の(a)及び(b)において、31、32は下及び上ダクトである。そして、この下及び上ダクト31,32は、それぞれ第1ダクト部材である外側ダクト31a,32aと、外側ダクト31a,32aの内側に配置された第2ダクト部材である内側ダクト31b,32bで構成された二重構造になっている。
【0068】
なお、図7において、33は外側ダクト31a,32aと内側ダクト31b,32bとの間に形成される空間である第1風路、34は内側ダクト31b,32bと下及び上ガイド25,26との間に形成される空間である第2風路である。
【0069】
そして、この第1風路33及び第2風路34には、図7の(b)に示すようにファン29(29a,29b)によって外気が同時に送風されるようになっている。ここで、第1風路33を流れる外気は、第2風路34に対してエアカーテンの役目を果たすものであり、この第1風路33を流れる外気により、第2風路34を流れる外気は周囲環境に対して断熱される。そして、このように周囲環境に対して断熱されることにより、第2風路34は下及び上ダクト31,32の周囲の温度環境に影響されることなくシートSを冷却することができる。
【0070】
特に、下及び上ダクト31,32が定着部14の近くに配置されている場合、定着部14からの輻射熱により下及び上ダクト31,32自身の温度が高くなりシートSの冷却効果を低下させる影響がある。
【0071】
しかし、本実施の形態のように、下及び上ダクト31,32を二重構造とし、定着部14の輻射熱を第1風路33で遮断することにより、第2風路34を通る外気が定着部14の輻射熱に影響されることがなくなる。この結果、十分なシート冷却効果を発揮できる。
【0072】
なお、これまでの説明では、内側ダクト31b,32bに覆い被さるように外側ダクト31a,32aが配置されているが、内側ダクト31b,32bと外側ダクト31a,32aの位置関係はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、定着部14のような影響ある熱源が明らかな場合、その熱源がある側だけ二重のダクト構成にしても良い。
【0073】
なお、上記のいずれの実施の形態でも、シートの搬送方向と直交する方向に上ダクトおよび下ダクト内を空気が通過する形態を例示した。しかしながら、本発明は、必ずしもシートの搬送方向と直交する方向に空気を流すようにする必要はない。例えば、上ダクトや下ダクトを搬送されるシートの面に沿って且つシートの搬送方向に対して傾いて空気が流れるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 カラー複写機
1A カラー複写機本体
8 画像形成部
14 定着部
15 排出トレイ
21 外排出ローラ
24 シート冷却部
24A 第1送風部
24B 第2送風部
25 下ガイド板
25a 通気孔
26 上ガイド板
26a 通気孔
27 下ダクト
28 上ダクト
29a 第1ファン
29b 第2ファン
31 下ダクト
31a 外側ダクト
31b 内側ダクト
32 上ダクト
32a 外側ダクト
32b 内側ダクト
33 第1風路
34 第2風路
R シート搬送路
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが通過するシート搬送路を備えた画像形成装置において、
前記シート搬送路を通過するシートのシート搬送方向と交差する第1の方向に、シートの第1面に沿って送風する第1ダクトと、
前記第1の方向と反対の第2の方向に、前記シート搬送路を通過するシートの前記第1面と反対側の第2面に沿って送風する第2ダクトと、を備え、
前記第1ダクトと、前記第2ダクトとは、前記第1ダクトの前記シート搬送路側に開口する開口部と前記第2ダクトの前記シート搬送路側に開口する開口部とが前記シート搬送路を挟んで対向するように配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1ダクトと、前記第2ダクトとは、いずれもシート搬送方向と交差する方向であって、互いに逆方向に送風することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート搬送路を構成し、前記第1ダクトの開口部と連通する連通孔が形成された第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と共に前記シート搬送路を構成するよう前記第1ガイド部材に対向して設けられ、前記第2ダクトの開口部と連通する連通孔が形成された第2ガイド部材と、を備え、
前記第1ダクト及び前記第2ダクトのうち、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材のうち前記シート搬送路を通過するシートが摺動する側のガイド部材に連通するダクトの送風量の方が、他方のダクトの送風量よりも多くなるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ダクト内に送風する第1送風ファンと、前記第1送風ファンとは逆向きに、前記第2ダクト内に送風する第2送風ファンと、を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1ダクトの吸気口及び前記第2ダクトの排気口を装置本体の対向する側板の一方に設け、前記第1ダクトの排気口及び前記第2ダクトの吸気口を前記装置本体の対向する側板の他方に設け、
前記第1ダクトの吸気口に前記第1送風ファンを、前記第2ダクトの吸気口に前記第2送風ファンをそれぞれ設けたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記シート搬送路を通過するシートの面と直交する方向において、前記第1ダクト及び前記第2ダクトの中央部から前記シート搬送路までの距離が最も短くなるように、前記第1ダクト及び前記第2ダクトを形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シート搬送路を通過するシートの面と直交する方向において、前記第1ダクト及び前記第2ダクトの前記吸気口から前記シート搬送路までの距離が最も長くなるように、前記第1ダクト及び前記第2ダクトを形成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1ダクト及び前記第2ダクトは、第1ダクト部材と、前記第1ダクト部材の内側に配置された第2ダクト部材とを備え、
前記第1ダクト部材と前記第2ダクト部材との間の空間、及び前記第2ダクト部材と前記シート搬送路との間の空間にそれぞれ送風することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
シートにトナー像を形成する画像形成部と、前記トナー像をシートに加熱定着させる定着部と、前記トナー像が定着されたシートを排出するシート排出部とを備え、
前記定着部と前記シート排出部との間の前記シート搬送路に、前記第1送風部及び前記第2送風部を配置することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−252366(P2012−252366A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−215946(P2012−215946)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2008−97198(P2008−97198)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】