説明

画像形成装置

【課題】画像形成動作中に発生する騒音を低減すること。
【解決手段】画像形成装置(U)の本体(U1)の内部に流体を移送する移送装置(U4)と、画像形成動作の回数を累積する計数手段(C7)と、移送装置(U4)の作動および作動停止を制御する移送制御手段(C12)であって、画像形成動作が開始された場合に移送装置(U4)を停止させ且つ累積回数(N1)が予め設定された設定回数(Na)以上になった場合に移送装置(U4)を作動させる移送制御手段(C12)と、を備えた画像形成装置(U)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機等の画像形成装置において、移送装置の一例としてのファンを備えた画像形成装置に関し、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
特許文献1としての特開2008−242488号公報には、画像形成装置に設けられた複数のファンによる騒音を低減するために、印刷処理が終了した後の所定期間や、定着手段の温度が印刷される温度よりも低い温度の場合、すなわち、印刷の待機状態、いわゆるスタンバイモードや、省電力状態、いわゆるスリープモードにおいて、複数のファンのうち、一部を動作させると共に残りを停止させる技術、すなわち印刷処理後の騒音を低減させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−242488号公報(「0003」〜「0007」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像形成動作中に発生する騒音を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
画像形成装置の本体の内部に流体を移送する移送装置と、
画像形成動作の回数を計数する計数手段と、
前記移送装置の作動および作動停止を制御する移送制御手段であって、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を停止させ且つ前記累積回数が予め設定された設定回数以上になった場合に前記移送装置を作動させる前記移送制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置の外部の温度に基づいて、外部の温度が予め設定された設定温度を超える場合に予め設定された高温用の設定回数を前記設定回数として設定すると共に、外部の温度が前記設定温度以下である場合に予め設定され且つ前記高温用の設定回数よりも大きな低温用の設定回数を前記設定回数として設定する回数設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置の本体に着脱可能に装着されて前記画像形成装置に機能を追加する追加装置と、
前記追加装置が装着された場合に、前記追加装置が装着されていない場合に比べて、大きな前記設定回数を設定する回数設定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成動作が終了したことを特定する終了情報を記憶する終了記憶手段と、
前記画像形成動作が開始された場合に、前記終了情報が記憶されているか否かを判別する終了情報の判別手段と、
前記画像形成動作が終了する度に前記終了情報を前記終了記憶手段に記憶させる設定を行うと共に、前記終了情報の判別手段による判別がされた場合に前記終了情報を初期化する設定を行う終了情報の設定手段と、
前記終了情報の判別手段により前記終了情報が初期化されていると判別された場合に、前記画像形成装置の外部の温度と内部の温度との温度差が予め設定された温度差以上であるか否かを判別する温度差判別手段と、
前記温度差が予め設定された温度差以下である場合、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を停止させ且つ前記累積回数が予め設定された設定回数以上になった場合に前記移送装置を作動させると共に、前記温度差が予め設定された温度差より大きい場合、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を作動させる前記移送制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、画像形成動作中に発生する騒音を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、外部の温度に基づいて設定回数の設定が行われない場合に比べて、騒音の発生を低減しつつ本体の内部の過熱を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、追加装置の装着の有無に基づいて設定回数の設定が行われない場合に比べて、騒音の発生を低減しつつ本体の内部の過熱を低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、終了情報が初期化されていても温度差が小さい場合には、画像形成動作の実行中に移送装置を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の実施例1のプリンタの全体斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置において、追加装置の一例としての反転ユニットおよび追加給紙トレイが装着された状態の説明図である。
【図4】図4は実施例1の制御部の要部説明図である。
【図5】図5は実施例1の設定テーブルの説明図である。
【図6】図6は実施例1の移送制御処理の一例としてのファン制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の実施例1のプリンタの全体斜視図である。
図1において、本発明の画像形成装置の実施例1のプリンタUは、装置本体U1を有する。前記装置本体U1の前面には、新たな媒体を補充する際に開閉される媒体補充用の開閉部材の一例としてのフロントカバーU2が下端を中心として開閉可能に支持されている。前記装置本体U1の右側面には、新規現像剤の補給や廃棄現像剤が回収された交換容器の一例としてのトナーカートリッジの交換を行う際に開閉される容器交換用の開閉部材の一例としてのサイドカバーU3が後端を中心として開閉可能に支持されている。前記サイドカバーU3の内側の装置本体U1には、後述する現像剤収容容器の一例としてのトナーカートリッジTCy〜TCkが着脱可能に支持される。前記装置本体U1の上面には排紙部の一例としての排出トレイTRhが設けられている。
【0013】
また、実施例1の装置本体U1の右側面の後側下端には、気体を移送する移送装置の一例としてのファンU4が配置されており、内部に冷却用の空気を導入可能に構成されている。なお、装置本体U1には、例えば、左側面等にファンU4と同様の移送装置が複数配置されているが、説明の簡単化のため、ファンU4のみを図示してその他のファンについては図示を省略する。
【0014】
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1、図2において、前記フロントカバーU2は、媒体の一例としての用紙を挿入可能な図2の実線で示す開放位置と、図1および図2の破線で示す閉塞位置との間で移動可能に支持されている。
図2において、前記プリンタUの下部には、各種制御回路や記憶媒体等が配置された制御基板SCが配置されている。前記制御基板SCには、プリンタUの各種制御を行う制御部Cと、制御部Cにより作動を制御される画像処理部GS、潜像形成装置の駆動回路の一例としての書込駆動回路DL、および電源装置の一例としての電源回路E等が設けられている。電源回路Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ローラCRy〜CRk、現像部材の一例としての現像ローラG1y〜G1kおよび転写器の一例としての1次転写ローラT1y〜T1k等に電圧を印加する。
【0015】
前記画像処理部GSは、装置本体U1に電気的に接続された画像情報の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータPC等から入力された印刷情報を、イエロー、マゼンタ、シアン、黒、すなわち、Y,M,C,Kの4色の画像に対応した潜像形成用の画像情報に変換して、予め設定された時期に書込駆動回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒色のみの画像情報が書込駆動回路DLに入力される。
前記書込駆動回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を所定の時期に、各色毎に配置された潜像形成装置の一例としてのLEDヘッドLHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0016】
図2において、前記制御基板SCの上方には、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する可視像形成装置の一例としての作像装置UY,UM,UC,UKが配置されている。図2において、黒色、すなわち、K色の作像装置UKは回転する像保持体の一例としての感光体Pkを有する。前記感光体Pkの周囲には、感光体Pkの表面を帯電させる帯電器の一例としての帯電ロールCRk、感光体Pkの表面に静電潜像を形成する潜像形成装置の一例としてのLEDヘッドLHk、感光体Pkの表面の静電潜像を可視像に現像する現像装置Gk、感光体Pkの表面に残留した現像剤を除去する像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLk等が配置されている。
他の色の作像装置UY,UM,UCも、黒色の作像装置UKと同様に構成されている。
【0017】
前記感光体Py〜Pkは、帯電ロールCRy〜CRkと対向する帯電領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kで帯電ロールCRy〜CRkにより表面を一様に帯電された後、潜像形成領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kでLEDヘッドLHy〜LHkにより潜像が書き込まれる。書き込まれた静電潜像は現像装置Gy〜Gkと対向する現像領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいてトナー像に現像される。現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q4y,Q4m,Q4c,Q4kに搬送される。前記1次転写領域Q4y,Q4m,Q4c,Q4kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された一次転写装置の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0018】
前記各像保持体Py〜Pk上のトナー像は前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトBに1次転写される。
1次転写後の感光体Py,Pm,Pc,Pkの表面の転写残トナーや放電生成物等の残留物、付着物は、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記感光体Py,Pm,Pc,Pkの表面は、帯電ローラCRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。なお、前記感光体クリーナCLy〜CLkで除去しきれず、帯電ローラCRy〜CRkに付着した残留物等は、前記帯電ローラCRy〜CRkに接触して配置された帯電器清掃部材の一例としての帯電器クリーナCCy,CCm,CCc,CCkによりクリーニングされる。
【0019】
図2において、前記感光体Py〜Pkの上方には、中間転写ユニットの一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、被転写体の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトBを有する。前記中間転写ベルトBは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdと、従動部材の一例であり且つ二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、各感光体Py〜Pkに対向して配置された前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kと、からなる中間転写支持系により回転可能に支持されている。
【0020】
前記中間転写ベルトBの前方には、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。前記ベルトクリーナCLbは、上下方向に延びる清掃容器CLb1と、清掃容器CLb1に支持され且つ中間転写ベルトBに接触して中間転写ベルトB表面に残留した残留物を除去して清掃する清掃部材の一例としてのクリーニングブレードCLb2と、クリーニングブレードCLb2で除去された残留物が飛散、漏出することを防止するための漏出防止部材の一例としてのフィルムCLb3と、前記清掃容器CLb1の下端部に配置され且つ除去された残留物を排出して図示しない回収容器に搬送する残留物搬送部材CLb4とを有する。なお、実施例1の清掃容器CLb1は、上下方向の下端が、作像装置UY〜UKの下端、すなわち、現像装置Gy〜Gkの下端位置に対応する位置に設定されている。
【0021】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して、二次転写部材の一例としての二次転写ロールT2bが配置されている。前記バックアップロールT2aおよび二次転写ロールT2bにより、実施例1の二次転写装置T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域により、2次転写領域Q5が形成される。
前記1次転写領域Q4y,Q4m,Q4c,Q4kで1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q5に搬送される。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび二次転写装置T2等により、実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0022】
前記制御基板SCの下方には、媒体収容部の一例としての給紙トレイTR1が設けられている。前記給紙トレイTR1は、下壁の一例としての底壁TR1aと、前記底壁TR1aの後端から上方に延びる後端壁TR1bと、底壁TR1aの上方に対向して配置された上壁TR1cとを有する。前記給紙トレイTR1の前端部には、新たな記録シートSを補充するための補充口TR1dが形成されている。前記上壁TR1cの前端部は、補充口TR1dの外側、すなわち、前側に行くに連れて上方に傾斜して形成されている。したがって、前記補充口TR1dは、前側に行くほど上壁TR1cと底壁TR1aとの間隔が広くなり、補充口TR1dが前側に行くほど広くなるように形成されている。
【0023】
前記底壁TR1a上には、回転中心PL1aを中心として回転可能に支持され且つ媒体の一例としての記録シートSが積載されて、記録シートSを昇降させる媒体積載部の一例としての昇降プレートPL1が配置されている。前記昇降プレートPL1の後端部には、昇降プレートPL1の後端部を上方に付勢する付勢部材の一例としての昇降バネPL2が配置されている。前記昇降プレートPL1は、画像形成が行われていない場合は、左右両端部に配置された偏心カム状の押下げ部材PL3により昇降プレートPL1が底壁TR1aに平行な状態に保持される下降位置に移動する。そして、画像形成が行われている間は、押下げ部材PL3が回転して昇降バネPL2により昇降プレートPL1が上昇した図2に示す上昇位置との間で移動可能に支持されている。
したがって、前記フロントカバーU2が開放されると、外部に補充口TR1dが開放されて、後端壁TR1bに突き当たるまで新たな記録シートSの束を挿入して、下降位置の昇降プレートPL1上に積載して収容可能となる。
【0024】
前記上壁TR1cの後方には、送出部材の一例としての給紙ロールRpが配置されている。前記給紙ロールRpは、前記昇降プレートPL1が上昇位置に移動した状態で、積載された記録シートSの束の最上面の記録シートSが昇降バネPL2のバネ力で押し当てられる位置に配置されている。前記後端壁TR1bの上端には、捌き部材の一例としてリタードパッドRpdが配置されている。
前記給紙トレイTR1に積載された記録シートSは、給紙ロールRpにより送り出され、前記リタードパッドRpdと給紙ロールRpとの接触領域で1枚ずつ分離されて捌かれ、媒体搬送路SHに搬送される。前記媒体搬送路SHの記録シートSは、搬送部材の一例としての搬送ロールRaを介して、2次転写領域Q5への給紙時期を調整する調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送された記録シートSは、中間転写ベルトBのトナー像が二次転写領域Q5に到達する時期に合わせて、二次転写領域Q5に送り出される。
【0025】
二次転写領域Q5でトナー像が転写された後の中間転写ベルトBは、ベルトクリーナCLbにより表面に残留した転写残トナーや放電生成物等の残留物が除去されて清掃される。
前記トナー像が転写された記録シートSは、定着装置Fの定着領域Q6に搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、前記加熱ロールFhと加圧ロールFpとが予め設定された圧力で接触した領域により定着領域Q5が構成されている。前記記録シートS表面の未定着トナー像は、定着領域Q6通過時に、熱と圧力により定着される。
画像が定着された記録媒体Sは、媒体搬送路SHを搬送されて、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから排出トレイTRhに排出される。
【0026】
前記排出ローラRhの右方には、搬送路の一例として、媒体搬送路SHから分岐して右方に延びる反転用の追加接続路SH1が形成されており、追加接続路SH1と媒体搬送路SHとの分岐部には、切替部材の一例としてのゲートGT1が配置されている。実施例1のゲートは、弾性変形可能な材料により構成されており、媒体搬送路SHを搬送されてきた記録シートSが通過する際には、記録シートSに押されて弾性変形して記録シートSが排出ローラRhに搬送可能であると共に、記録シートSが通過すると弾性復元して、排出ローラRhからの記録シートSを追加接続路SH1に案内可能となるように配置されている。
【0027】
図3は実施例1の画像形成装置において、追加装置の一例としての反転ユニットおよび追加給紙トレイが装着された状態の説明図である。
図2、図3において、実施例1のプリンタUでは、装置本体U1の後面に、追加装置の一例としての反転ユニットU5が着脱可能に構成されている。前記反転ユニットU5が装着された場合には、装置本体U1の追加接続路SH1の右端には、反転ユニットU5の内部の搬送路の一例としての反転路SH2の上流端が接続される。前記反転路SH2の下流端は、装置本体U1のレジロールRrの上流部に接続されている。
したがって、両面印刷が行われる場合、一面目に画像が記録された記録シートSが媒体搬送路SHを搬送されて、搬送方向の後端がゲートGT1を通過すると、排出ローラRhが逆回転して、記録シートSが追加接続路SH1および反転路SH2に送られる。そして、反転路SH2上に配置された搬送部材の一例としての搬送ローラRaにより記録シートSが搬送され、レジロールRrに表裏が反転した状態で再送される。
【0028】
図2、図3において、実施例1のプリンタUでは、装置本体U1の下方には、追加装置の一例としての追加給紙トレイU6が着脱可能に構成されている。追加給紙トレイU6内部には、追加給紙トレイTR2が形成されており、給紙トレイTR1よりも前後方向の長さが長く構成されている以外は、同様に構成されている。したがって、給紙トレイTR1と同様に、給紙ロールRp′や昇降プレートPL1′等が配置されており、給紙ロールRpで給紙された記録シートSは、装置本体U1の内部に形成され且つ給紙ロールRpの下流側から下方に延びる供給用の第2の追加接続路SH6に搬送される。なお、追加給紙トレイU6には、第2の追加接続路SH6に上端が接続され且つ下方に延びる第3の追加接続路SH7が形成されており、追加給紙トレイU6の下方にさらに追加給紙トレイU6が追加される場合に、下方からの記録シートSが通過可能に構成されている。
【0029】
(制御部Cの説明)
図4は実施例1の制御部の要部説明図である。
図4において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力インターフェース:I/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたリードオンリーメモリ:ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ:RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置:CPU、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0030】
(制御部Cに接続された信号入力要素)
制御部Cには、信号出力要素の一例としての操作部UI、外部温度センサSN1、内部温度センサSN2等の出力信号が入力されている。
UI:操作部
操作部UIは、表示部UI1や、入力部材の一例としての矢印ボタンや決定ボタン等の入力部UI2等を備えている。
SN1:外部温度センサ
外部温度センサSN1は、装置本体U1の外部温度T2、すなわち、プリンタUが設置された場所の室温を測定する。
SN2:内部温度センサ
内部温度センサSN2は、装置本体U1の内部温度、すなわち、内部温度センサSN2が配置可能な装置本体U1の内部温度T1を測定する。
【0031】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素の制御信号を出力している。
DL:書込駆動回路
書込駆動回路DLは、LEDヘッドLHy〜LHkを駆動して感光体Py〜Pkの表面に静電潜像を形成する。
D0:メインモータの駆動回路
主駆動源の駆動回路の一例としてのメインモータの駆動回路D0は、メインモータM0を駆動することにより図示しないギヤを介して感光体Py〜Pkや現像装置Gy〜Gkの現像ローラG1y〜G1k、加熱ローラFh、搬送ローラRa、レジロールRr等を回転駆動する。
【0032】
E:電源回路
電源回路Eは次の電源回路を有している。
E1:現像電源回路
現像電源回路E1は、現像装置Gy〜Gkの現像ローラG1y〜G1kに現像電圧を印加する。
E2:帯電電源回路
帯電電源回路E2は、帯電ロールCRy〜CRkに帯電電圧を印加する。
E3:転写電源回路
転写電源回路E3は、一次転写ローラT1y〜T1kや2次転写ローラT2bに転写電圧を印加する。
E4:定着電源回路
定着電源回路E4は、加熱ローラFhの図示しないヒータに定着用の電力を供給する。
【0033】
D1:ファン駆動回路
移送装置の駆動回路の一例としてのファン駆動回路D1は、ファンU4を駆動させる。
D2:反転制御回路
第1の追加装置の制御回路の一例としての反転制御回路D2は、反転ユニットU5の搬送ローラRaを駆動させる。
D3:追加給紙トレイの制御回路
第2の追加装置の制御回路の一例としての追加給紙トレイの制御回路D3は、追加給紙トレイU6の給紙ロールRp′や昇降プレートPL1′を駆動させる。
【0034】
(制御部Cの機能)
前記制御部Cは、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を実現するプログラムである機能実現手段を有している。前記制御部Cの各種機能を実現する機能実現手段を次に説明する。
C1:メインモータの回転制御手段
主駆動源の制御手段の一例としてのメインモータの回転制御手段C1は、前記メインモータの駆動回路D0を制御して、感光体Py〜Pk、現像装置Gy〜Gkの現像ローラG1y〜G1k、定着装置F等の回転を制御する。
【0035】
C2:電源回路制御手段
電源回路制御手段C2は、次の手段C2a〜C2dを有しており、前記電源回路Eを制御して、前記現像電圧、帯電電圧、転写電圧、加熱ローラFhのヒータのオン・オフ等を制御する。
C2a:現像電圧制御手段
現像電圧制御手段C2aは、前記現像電源回路E1の動作を制御して現像装置Gy〜Gkの現像ローラG1y〜G1kに印加する現像電圧を制御する。
C2b:帯電電圧制御手段
帯電電圧制御手段C2bは、前記帯電電源回路E2の動作を制御して帯電ロールCRy〜CRkに印加する帯電電圧を制御する。
【0036】
C2c:転写電圧制御手段
転写電圧制御手段C2cは、転写電源回路E3の動作を制御して転写ローラT1y〜T1k,T2bに印加する転写電圧を制御する。
C2d:定着電源制御手段
定着電源制御手段C2dは定着電源回路E4の動作を制御して、前記加熱ローラFhのヒータをオン・オフ制御して、定着温度を制御する。
C3:ジョブ制御手段
画像形成動作の制御手段の一例としてのジョブ制御手段C3は、パーソナルコンピュータPCからの入力に応じて、LEDヘッドLHy〜LHk、感光体Py〜Pk、転写ローラT1y〜T1k,T2b、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
【0037】
C4:スリープ制御手段
省電力制御手段の一例としてのスリープ制御手段C4は、省電力状態への移行の判別手段の一例としてのスリープ移行判別手段C4Aを有し、操作部UIやパーソナルコンピュータPCからの情報の受信部分等の一部の部材を除いて、プリンタUの内部の各部材への給電を停止する省電力状態の一例としてのスリープモードの制御を行う。
C4A:スリープ移行判別手段
スリープ移行判別手段C4Aは、スリープモードへ移行する時期になったか否かを判別する。実施例1のスリープ移行判別手段C4Aは、ジョブが終了してからジョブが再開されることなく予め設定された時間が経過した場合にスリープモードに移行する時期になったと判別する。なお、実施例1のスリープ移行判別手段C4Aは、パーソナルコンピュータPCから情報を受信した場合や操作部UIへの入力がされた場合に、スリープモードを終了する時期になったと判別する。
【0038】
C5:温度検出手段
温度検出手段C5は、外部温度検出手段C5Aと、内部温度検出手段C5Bと、を有し、温度センサSN1,SN2の検出結果に基づいて、温度の検出を行う。
C5A:外部温度検出手段
外部温度検出手段C5Aは、外部温度センサSN1の検出結果に基づいて、外部温度T2を検出する。
C5B:内部温度検出手段
内部温度検出手段C5Bは、内部温度センサSN2の検出結果に基づいて、プリンタUの内部温度T1を検出する。
【0039】
C6:回数設定手段
回数設定手段C6は、回数設定情報の記憶手段C6Aと、追加装置の装着判別手段C6Bと、設定回数の記憶手段C6Cと、を有し、ファンU4の制御を行う際に判別を行うための設定回数の一例としてのプリント閾値Naの設定を行う。実施例1の回数設定手段C6は、外部温度T2と、追加装置U5,U6の有無とに基づいて、回数設定情報の記憶手段C6Aに記憶された設定テーブルを使用して、プリント閾値Naの設定を行う。
【0040】
図5は実施例1の設定テーブルの説明図である。
C6A:回数設定情報の記憶手段
回数設定情報の記憶手段C6Aは、回数設定情報の一例として、外部温度T2および追加装置U5,U6の有無とプリント閾値Naとの対応関係である設定テーブルTbを記憶する。図5において、実施例1の設定テーブルTbでは、A4の大きさの画像を1枚印刷した場合を1[IMP:印刷面数]とし、その他の大きさの画像をA4に換算するものとした場合に、外気温度T2が28℃を超える高温且つ追加装置U5,U6が装着されている場合のプリント閾値Naが60[IMP]、外気温度T2が28℃以下の低温且つ追加装置U5,U6が装着されている場合のプリント閾値Naが74[IMP]、外気温度T2が28℃を超える高温且つ追加装置U5,U6が装着されていない場合のプリント閾値Naが90[IMP]、外気温度T2が28℃以下の低温且つ追加装置U5,U6が装着されていない場合のプリント閾値Naが120[IMP]、が設定テーブルTbとして記憶されている。
【0041】
C6B:追加装置の装着判別手段
追加装置の装着判別手段C6Bは、追加装置U5,U6のいずれかまたは両方が装着されているか否かを判別する。実施例1の追加装置の装着判別手段C6Bは、制御部Cと各制御回路D2,D3の電気的な接続を検出することで各追加装置U5,U6が装着されているか否かを判別する。
C6C:設定回数の記憶手段
設定回数の記憶手段C6Cは、回数設定手段C6で設定された設定回数の一例としてのプリント閾値Naを記憶する。実施例1の設定回数の記憶手段C6Cは、外部温度検出手段C5Aで検出された外部温度T2や追加装置の装着判別手段C6Bで判別された追加装置U5,U6の有無と、設定テーブルTbとに基づいて、回数設定手段C6が設定したプリント閾値Naが記憶される。したがって、実施例1では、設定テーブルTbに記憶されたプリント閾値Naの値に基づいて、外部温度T2が設定温度の一例としての28℃を超える場合には、高温用のプリント閾値Naが設定されると共に、外部温度T2が28℃以下である場合には、高温用のプリント閾値Naよりも大きな低温用のプリント閾値Naが設定される。また、追加装置U5,U6が装着された場合には、追加装置U5,U6が装着されていない場合に比べて、大きなプリント閾値Naが設定される。
【0042】
C7:計数手段
計数手段C7は、画像形成動作の回数の一例としての累積プリント数N1を計数する。実施例1の計数手段C7は、ジョブにおいて画像を1枚印刷する度に、画像の印刷枚数をA4の大きさに換算して、累積プリント数N1[IMP]として累積、カウントする。
C8:累積回数の初期化手段
累積回数の初期化手段C8は、待機時間の計時手段C8Aと、累積初期化用の閾値記憶手段C8Bと、待機時間の判別手段C8Cとを有し、累積回数の一例としての累積プリント数N1の初期化を行う。実施例1の累積回数の初期化手段C8は、新たなジョブが開始される際に、予め設定された時間が経過していた場合に、累積プリント数N1の初期化、すなわち、累積プリント数N1をゼロにリセットする。
【0043】
C8A:待機時間の計時手段
待機時間の計時手段C8Aは、新たなジョブが開始されるまでに経過した時間の一例として、プリンタUが待機していた待機時間t1を計時する。実施例1の待機時間の計時手段C8Aは、画像形成動作が終了すると待機時間t1を開始する。すなわち、待機時間t1として、画像形成動作が終了してから新たなジョブが開始されるまでの時間が計時される。
C8B:累積初期化用の閾値記憶手段
累積初期化用の閾値記憶手段C8Bは、累積回数の初期化手段C8が初期化を行うか否かを判別するための閾値の一例としての初期化時間taを記憶する。実施例1では、一例として、初期化時間ta=「15分」が記憶されている。
【0044】
C8C:待機時間の判別手段
待機時間の判別手段C8Cは、計時された待機時間t1が初期化時間taを経過しているか否かを判別する。実施例1の待機時間の判別手段C8Cは、ジョブが開始された際に、待機時間の計時手段C8Aで計時された待機時間t1が、初期化時間ta以上になっているか否かを判別する。
FL1:終了確認フラグ
終了記憶手段の一例としての終了確認フラグFL1は、初期値は「0」であり、ジョブが終了した場合に「1」となり、ジョブが開始されて前回のジョブが正常に終了したか否かを判別する処理が行われると「0」となる。すなわち、実施例1の終了確認フラグFL1は、ジョブが終了したことを特定する終了情報の一例としての「0」または「1」のデータを記憶することに相当する。
【0045】
C9:終了情報の判別手段
終了情報の判別手段C9は、ジョブが開始された場合に、終了情報が記憶されているか否かを判別する。実施例1の終了情報の判別手段C9は、ジョブが開始された場合に、終了確認フラグFL1が「1」であるか否かを判別することで、前回のジョブが正常に終了されたのか、停電や紙詰まり等により異常終了したのか否かを判別する。
C10:終了情報の設定手段
終了情報の設定手段C10は、ジョブが終了する度に終了情報を終了記憶手段に記憶させる設定を行う、すなわち、終了確認フラグFL1を「1」にさせると共に、終了情報の判別手段C9による判別がされた場合に終了情報を初期化する設定を行う、すなわち、終了確認フラグFL1を「0」にする。
【0046】
C11:温度差判別手段
温度差判別手段C11は、終了情報の判別手段C9により終了情報が初期化されている、すなわち、終了確認フラグFL1g「0」であると判別された場合に、プリンタUの外部温度T2と内部温度T1との温度差が予め設定された温度差の一例としての温度差判別値Ta以上であるか否かを判別する。実施例1では、一例として、温度差判別値Ta=「1℃」が設定されている。すなわち、実施例1の温度差判別手段C11は、前回のジョブが異常終了していた場合に新たなジョブが開始された場合に、内部温度T1と外部温度T2との温度差が小さく、異常終了してから十分に時間が経過して、プリンタUの内部が冷却された状態となっているか否かを判別する。
【0047】
C12:移送制御手段
移送制御手段C12は、作動開始の判別手段C12Aと、作動状態の記憶手段の一例としてのファン回転フラグFL2とを有し、ファンU4の作動および作動停止を制御する。実施例1の移送制御手段C12は、ジョブが開始された場合にファンU4を停止させ且つ前記累積プリント数N1がプリント閾値Na以上になった場合にファンU4を作動させる。 温度差T1−T2が温度差判別値Ta以下である場合、ジョブが開始された場合にファンU4を停止させ且つ累積プリント数N1がプリント閾値Na以上になった場合にファンU4を作動させるが、温度差T1−T2が温度差判別値Taより大きい場合、画像形成動作が開始された場合にファンU4を作動させる。
【0048】
C12A:作動開始の判別手段
作動開始の判別手段C12Aは、ファンU4の作動を開始するか否かを判別する。実施例1の作動開始の判別手段C12Aは、累積プリント数N1がプリント閾値Na以上になったか否かを判別することにより、ファンU4の作動を開始する時期になったか否かを判別する。
FL2:ファン回転フラグ
ファン回転フラグFL2は、初期値は「0」であり、ファンU4を作動させる場合には「1」となり、ファンU4の作動が停止している場合には「0」となる。すなわち、ファンU4の作動状態を記憶している。
【0049】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。
(ファン制御処理の説明)
図6は実施例1の移送制御処理の一例としてのファン制御処理のフローチャートである。
図6のフローチャートの各ST:ステップの処理は、前記制御部CのROMに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理、例えば、1枚印刷を実行する度に、印刷面数:IMPを累積していく印刷累積処理等の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。なお、印刷累積処理は、1枚印刷が実行される度に、印刷された画像のサイズをA4サイズに換算して、累積印刷面数N1をカウントしていくだけであるため、図示および詳細な説明は省略する。
図6に示すフローチャートはプリンタUの電源オンにより開始される。
【0050】
図6のST1において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、計時中の待機時間t1を取得する。そして、ST3に進む。
ST3において、待機時間t1が初期化時間ta以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST4に進み、ノー(N)の場合はST5に進む。
ST4において、累積プリント数N1をゼロに初期化する。すなわち、N1=0とする。そして、ST5に進む。
ST5において、終了確認フラグFL1が「1」であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST6に進み、イエス(Y)の場合はST8に進む。
【0051】
ST6において、内部温度T1−外部温度T2の温度差が温度差判別値Ta以下であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST7に進み、イエス(Y)の場合はST8に進む。
ST7において、ファン回転フラグFL2を「1」にする。そして、ST10に進む。
ST8において、外部温度T2と追加装置U5,U6の装着の有無と、設定テーブルTbとに基づいて、プリント閾値Naを設定する。そして、ST9に進む。
ST9において、ファン回転フラグFL2を「0」にする。そして、ST10に進む。
ST10において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST11に進む。
(1)終了確認フラグFL1を「0」とする
(2)累積プリント数N1のカウントを開始する。
【0052】
ST11において、ファン回転フラグFL2が「1」であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に進み、ノー(N)の場合はST14に進む。
ST12において、ファンU4が駆動中であるか否かを判別する。ノー(N)の場合はST13に進み、イエス(Y)の場合はST14に進む。
ST13において、ファンU4の駆動を開始する。そして、ST14に進む。
ST14において、累積プリント数N1がプリント閾値Na以上であるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST15に進み、ノー(N)の場合はST16に進む。
ST15において、ファン回転フラグFL2を「1」にする。そして、ST16に進む。
ST16において、ジョブが終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST17に進み、ノー(N)の場合はST11に戻る。
【0053】
ST17において、次の処理(1)〜(3)を実行し、ST18に進む。
(1)ファンU4を停止させる。
(2)終了確認フラグFL1を「1」にする。
(3)待機時間t1をゼロに初期化して、計時を開始する。
ST18において、スリープモードに移行したか否かを判別する。ノー(N)の場合はST19に進み、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
ST19において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に戻り、ノー(N)の場合はST18に戻る。
【0054】
(実施例1の作用)
前記構成要件を備えた実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUでは、画像形成動作としてのジョブが開始され、プリント閾値Naが設定された場合は、累積プリント数N1がプリント閾値Naになるまでの間は、ファンU4が駆動されずにジョブが実行される。したがって、一度に印刷される枚数が少なく、ファンU4を作動させなくても、装置本体U1の内部の冷却、廃熱が十分であったり、新鮮な空気が導入されオゾン等を移送する必要がある程オゾンが発生しなかったりする場合に、ファンU4が作動されない。よって、画像形成動作時にファンが常時作動する構成に比べて、ファンU4の不要な作動が低減され、消費電力が低減され、騒音が低減される。
そして、累積プリント数N1がプリント閾値Na以上になると、ファンU4が作動して、冷却が開始される。すなわち、一度に印刷される枚数が多く、冷却等が必要になると、ファンU4が作動して、装置本体U1の内部が冷却される。
【0055】
ここで、装置本体U1における熱源、例えば、制御基板SCや作像装置UY〜UK等の駆動部分、摺動部分やモータ、あるいは、熱に弱いセンサ等の位置の温度を計測して、ファンの作動、停止を制御することが従来通常考えられることである。しかしながら、この場合、温度を計測したい場所に温度センサを配置する必要があり、温度センサを配置する空間が確保できなかったり、空間を確保すると装置本体が大型化することがある。
これに対して、実施例1のプリンタUでは、熱源や熱に弱い部材の近傍等に内部温度センサSN1を配置することができない場合でも、累積プリント枚数N1に基づいてファンU4の制御が行われており、装置本体U1の大型化が抑制されている。
【0056】
また、実施例1のプリンタUでは、プリント閾値Naは、外部温度T2が高温である場合には、低温の場合に比べて、小さい値に設定されており、装置本体U1の内部の温度が上がりやすい場合には、早い時期にファンU4が作動して、冷却が開始される。
さらに、実施例1のプリンタUでは、プリント閾値Naは、追加装置U5,U6が装着されている場合には、装着されていない場合に比べて、小さい値に設定されている。したがって、追加装置U5,U6の作動に伴って発生する熱や、制御基板SCにおける消費電力の増大に伴って発生する熱等が存在して、装置本体U1の内部の温度が上がりやすい場合には、早い時期にファンU4が作動して、冷却が開始される。
【0057】
また、実施例1のプリンタUでは、ジョブが終了してから新たなジョブが開始されるまでの待機時間t1が、初期化時間ta未満である場合、累積プリント数N1が初期化されない。したがって、一度のジョブで印刷される枚数が少なくても、次回のジョブまでの間隔が短く、装置本体U1の内部の冷却が不十分である可能性がある場合には、累積プリント数N1が初期化されずにカウントが行われる。したがって、装置本体U1の内部が高温になってもファンU4が作動しないという状態が回避され、プリンタUの故障や画質への悪影響が低減される。
さらに、実施例1のプリンタUでは、終了確認フラグFL1が「0」である場合、すなわち、前回のジョブにおいて停電や紙詰まり等の問題が発生して異常終了した場合、装置本体U1の内部温度T1と外部温度T2との温度差が、温度差判別値Ta以下であり、装置本体U1の内部が十分に冷却されている場合には、ファンU4が作動しない。一方で、内部温度T1と外部温度T2とが温度差判別値Ta以上である場合には、装置本体U1の内部が十分に冷却されていない状態であり、累積プリント数N1に関わらず、ファンU4が作動して、冷却等が行われる。したがって、十分に冷却されていない場合にファンU4を停止させる場合に比べて、過熱が低減される。
【0058】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H010)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、FAXや複写機あるいはこれらすべてまたは複数の機能を備えた複合機とすることも可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
【0059】
(H02)前記実施例において、中間転写体としての中間転写ベルトを使用する構成を例示したが、この構成に限定されず、中間転写ドラムを使用する構成とすることも可能である。また、転写装置として中間転写体を有する転写装置を例示したが、この構成に限定されず、例えば、中間転写体を省略して、感光体Py〜Pkから直接、被転写体としての記録シートSにトナー像を転写する構成とすることも可能である。
(H03)前記実施例において、帯電器クリーナCCy〜CCkを省略することも可能である。
【0060】
(H04)前記実施例において、プリント閾値Naを外部温度T2や追加装置U5,U6の有無に応じて設定する構成を例示したが、これに限定されず、プリント閾値Naを変更せずに特定の固定値としたり、外部温度T2や追加装置U5,U6以外の条件に応じて設定することも可能である。例えば、単色印刷と多色印刷でプリント閾値Naを変更したり、追加装置U5,U6の装着されている数に応じてプリント閾値Naを変更する等も可能である。
(H05)前記実施例において、実施例において数値どうしを比較する場合に、「以上」「以下」「より大きい」「未満」という判別を行ったが、境界の数値の取扱について、実施例に例示した取扱に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0061】
(H06)前記実施例において、追加装置U5,U6として、反転ユニットU5や追加給紙トレイU6を例示したが、これに限定されず、例えば、ハードディスクやメモリー:RAMや、手差しトレイ等の従来公知の任意の追加装置について適用することが可能である。
(H07)前記実施例において、前回のジョブが異常終了したか正常終了したかに応じて制御を変える構成とすることが望ましいが、異常終了、正常終了の判別をしないようにすることも可能である。
(H08)前記実施例において、プリント閾値Naをジョブ開始時にST8で1度だけ設定する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ジョブ中にプリント閾値Naを更新していく構成、具体的には、ST16でノー(N)の場合はST5に戻るようにすることで、ジョブ実行中の外気温T2の変化に対応可能な構成とすることも可能である。
【0062】
(H09)前記実施例において、移送装置として、流体の一例としての気体を移送するファンを例示したが、これに限定されず、例えば、ヒートパイプ等の液体を移送する移送装置を使用する構成とすることも可能である。すなわち、空冷方式に限定されず、液冷方式とすることも可能である。
(H010)前記実施例において、画像形成動作の回数を計数する際にIMP:印刷面数を計数する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、感光体Py〜Pkや、LEDヘッドLHy〜LHk、中間転写ベルトB等の回転数や回転時間、各種電源のオン/オフの回数等を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0063】
C6…回数設定手段、
C7…計数手段、
C9…終了情報の判別手段、
C10…終了情報の設定手段、
C11…温度差判別手段、
C12…移送制御手段、
FL1…終了記憶手段、
N1…回数、
Na…設定回数、
T1…内部の温度、
T1−T2…温度差、
T2…外部の温度、
Ta…設定された温度差、
U…画像形成装置、
U1…本体、
U4…移送装置、
U5,U6…追加装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の本体の内部に流体を移送する移送装置と、
画像形成動作の回数を計数する計数手段と、
前記移送装置の作動および作動停止を制御する移送制御手段であって、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を停止させ且つ前記累積回数が予め設定された設定回数以上になった場合に前記移送装置を作動させる前記移送制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の外部の温度に基づいて、外部の温度が予め設定された設定温度を超える場合に予め設定された高温用の設定回数を前記設定回数として設定すると共に、外部の温度が前記設定温度以下である場合に予め設定され且つ前記高温用の設定回数よりも大きな低温用の設定回数を前記設定回数として設定する回数設定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の本体に着脱可能に装着されて前記画像形成装置に機能を追加する追加装置と、
前記追加装置が装着された場合に、前記追加装置が装着されていない場合に比べて、大きな前記設定回数を設定する回数設定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成動作が終了したことを特定する終了情報を記憶する終了記憶手段と、
前記画像形成動作が開始された場合に、前記終了情報が記憶されているか否かを判別する終了情報の判別手段と、
前記画像形成動作が終了する度に前記終了情報を前記終了記憶手段に記憶させる設定を行うと共に、前記終了情報の判別手段による判別がされた場合に前記終了情報を初期化する設定を行う終了情報の設定手段と、
前記終了情報の判別手段により前記終了情報が初期化されていると判別された場合に、前記画像形成装置の外部の温度と内部の温度との温度差が予め設定された温度差以上であるか否かを判別する温度差判別手段と、
前記温度差が予め設定された温度差以下である場合、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を停止させ且つ前記累積回数が予め設定された設定回数以上になった場合に前記移送装置を作動させると共に、前記温度差が予め設定された温度差より大きい場合、画像形成動作が開始された場合に前記移送装置を作動させる前記移送制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81709(P2012−81709A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231908(P2010−231908)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】