説明

画像形成装置

【課題】経時に関係なく拍車ホルダにおける拍車コロの跡による画像不良の抑制を維持できると共に、拍車ホルダの交換を容易にできる。
【解決手段】拍車コロ206−1、206−2を有する拍車ホルダ205の筐体の一部に、弾性力を有する爪形状のスナップフィット209と、スナップフィット209の一部に設けられたボス210とが設けられている。そして、レール形状の規定部材212、213が拍車ホルダ205の筐体の一部に設けれ、これらの規定部材212、213は排紙ローラ保持部材に設けられている位置決め部材を挟持することで排紙ローラに対する拍車ホルダ205の相対位置を規定する。ボス210は、スナップフィット209の弾性力でボス210に対応する位置に設けられた搬送ガイド部材の取付穴に着脱可能に嵌め合わされる。拍車ホルダ205を取り外す場合ボス210を取付穴から外すことで拍車ホルダの交換が容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファックス、複写機、プロッタ、或いはこれらの内の複数の機能を複合した画像形成装置として、特許文献1に記載されているものが知られている。この画像形成装置は用紙を搬送ベルト上に吸着して搬送する用紙搬送手段によって搬送されてくる用紙上に画像を形成し、画像形成後の用紙を排紙手段によって排紙している。
【0003】
この特許文献1の画像形成装置では、排紙ローラに対向してバネ等の弾性体により支持されている拍車コロを有する拍車ホルダを備え、拍車コロが用紙表面を点接触することで、用紙表面(画像面)との接触面積を最小限にして用紙を排出している。更には、用紙を規制しない退避位置又は用紙を規制する用紙規制位置に、ソレノイドやスプリング等で構成される移動機構を用いて用紙の先端が拍車コロに進入する手前から次のローラに保持されるまでの間拍車ホルダを用紙規制位置に移動させ、それ以外は拍車ホルダを退避位置に移動させている。これにより、用紙に必要とする搬送力の付与を維持しながら拍車コロの跡を最小限に低減することで画像不良を抑制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の画像形成装置では、上記移動機構により拍車ホルダが退避位置と用紙規制位置との間を1枚の用紙毎に移動させている。このため、上記移動機構のソレノイドやスプリング等の経時劣化によって拍車ホルダが退避位置と用紙規制位置に移動しない虞がある。拍車ホルダを用紙規制位置に過剰に用紙側に移動させてしまうと拍車コロが用紙に過大に加圧して接触することになり、拍車コロの跡が残ることになって画像不良を抑制することができなくなる。また、拍車ホルダは上記移動機構にネジ等の締結手段で取付けられているので、拍車ホルダを移動機構から取り外さなければならず拍車ホルダの交換は容易ではなかった。そのため、本体構造体の分解が必要となり、サービスマンがユーザ先を訪問した際に搬送ベルトユニットの交換に対応することができなかった。訪問で交換に対応できないと、一旦引き取ることにより修理工場で修理を行いユーザに返却するか、あるいは画像形成装置の交換するかせざるを得ず、ユーザが使用できない期間が生じたり、装置交換コストが発生したりする。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、経時に関係なく拍車ホルダにおける拍車コロの跡による画像不良の抑制を維持できると共に、拍車ホルダの交換を容易にできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、搬送ベルトによって搬送される用紙上に記録液を吐出して用紙上に画像を形成し、画像形成された用紙は、排紙ローラ及び該排紙ローラに対向して弾性体により支持された拍車コロにより排出される画像形成装置において、前記拍車コロを有する拍車ホルダの側面部に、該側面部に対応する位置であって前記搬送ベルトを懸架する一対の搬送ローラを保持する搬送ベルト保持部材の一部又は前記排紙ローラを保持する排紙ローラ保持部材の一部に取付穴が設けられている場合は当該取付穴に嵌め合うボスを、あるいは前記搬送ベルト保持部材の一部又は前記排紙ローラ保持部材の一部にボスが設けられている場合は当該ボスが嵌る取付穴を有する弾性力を持つスナップフィット爪と、前記排紙ローラ保持部材の一部又は前記搬送ベルト保持部材の一部に設けられた位置決め部材を係止して前記ボス及び前記取付穴の回りでの揺動の位置を規定する規定部とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明において、拍車ホルダは、拍車ホルダの側面部に設けられたスナップフィット爪と規定部とによって排紙ローラ保持部材又は搬送ベルト保持部材に着脱可能に取付けられる。搬送ベルト保持部材及び排紙ローラ保持部材は装置に精度良く位置決めされている。搬送ベルトによって搬送される画像形成後の用紙を排紙ローラ側にスムースに搬送するために搬送ベルトのベルト面と排紙ローラのローラ面の相対位置は厳しく規定するためである。このうように装置に精度良く位置決めされている搬送ベルト保持部材又は排紙ローラ保持部材に拍車ホルダを着脱可能に取付けることで、拍車ホルダの拍車コロと搬送ベルトから排紙ローラへ搬送される用紙との相対位置が精度良く規定される。よって、拍車コロが用紙に対して安定な搬送力の付与を維持でき拍車コロの跡を最小限に低減することで経時に関係なく画像不良を抑制できる。そして、スナップフィット爪を変形させることによって着脱できるので、上記特許文献1の画像形成装置と異なり、ネジ等の締結手段の締結の解除等の手間を要せず拍車ホルダの交換が容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経時に関係なく拍車ホルダにおける拍車コロの跡による画像不良の抑制を維持できると共に、拍車ホルダの交換を容易にできるという特有な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の機構部の概要を示す側面図である。
【図3】インクジェット記録装置の機構部の要部を示す平面図である。
【図4】インクジェット記録装置の用紙搬送部及び用紙排紙部の構成を示す側面図である。
【図5】拍車ホルダの側面図である。
【図6】拍車ホルダの底面図である。
【図7】拍車ホルダの規定部材を排紙ローラ保持部材の位置決め部材に勘合した様子を示す部分拡大図である。
【図8】排紙の様子を示す概略図である。
【図9】拍車ホルダの取り外す様子を示す概略図である。
【図10】拍車ホルダの別の構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の画像形成装置を、インクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置に適用した一実施形態について説明する。
図1は本インクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。同図に示すインクジェット記録装置100は、装置本体101と、装置本体101に装着された用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。また、装置本体101の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体101の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部104を有し、このカートリッジ装填部104の上面には操作ボタンや表示器などの操作/表示部105が設けられている。ここでの画像形成装置としては、例えばインクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備え、媒体を搬送しながらインク滴を用紙に付着させて画像形成を行うインクジェット記録装置がある。
【0011】
このカートリッジ装填部104には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えばブラック(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ110k、110c、110m、110y(色を区別しないときは「インクカートリッジ110」という。)を、装置本体101の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部104の前面側には、インクカートリッジ110を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)106が開閉可能に設けられている。また、インクカートリッジ110k、110c、110m、110yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成となっている。
【0012】
また、操作/表示部105には、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部111k、111c、111m、111yを配置している。更に、この操作/表示部105には、電源ボタン112、用紙送り/印刷再開ボタン113、キャンセルボタン114も配置されている。
【0013】
次に、このインクジェット記録装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2はインクジェット記録装置の機構部の概要を示す側面図、図3はインクジェット記録装置の機構部の要部を示す平面図である。
【0014】
インクジェット記録装置の機構部において、フレーム121を構成する左右の側板121A、121Bに横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向である双方向のキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0015】
ここで、液滴吐出ヘッド134を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0016】
図3に示すように、この液滴吐出ヘッド134にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)122を介して接続している。また、キャリッジ133には、液滴吐出ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク135を搭載している。そして、各色のヘッドタンク135には、各色毎のインク供給チューブ136を介して、カートリッジ装填部104に装着された各色のインクカートリッジ110y,110m,110c,110kから各色のインクが補充供給される。このカートリッジ装填104にはインクカートリッジ110内のインクを送液するための供給ポンプユニット124が設けられ、またインク供給チューブ136は這い回しの途中でフレーム121を構成する後板121Cに係止部材125にて保持されている。
【0017】
一方、図2の給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0018】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を液滴吐出ヘッド134の下方側に送り込むために、用紙142を案内するガイド部材145と、カウンタローラ146と、搬送ガイド部材147と、先端加圧コロ149を有する押さえ部材148とを備えるとともに、給送された用紙142を静電吸着して液滴吐出ヘッド134に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト151を備えている。
【0019】
この搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ152とテンションローラ153との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト151の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。この帯電ローラ156は、搬送ベルト151の表層に接触し、搬送ベルト151の回動に従動して回転するように配置されている。更に、搬送ベルト151の裏側には、液滴吐出ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材157が配置されている。
【0020】
この搬送ベルト151は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ152が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0021】
更に、液滴吐出ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪161と、排紙ローラ162及び排紙コロ163とを備え、排紙ローラ162の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0022】
また、装置本体101の背面部には両面ユニット171が着脱自在に装着されている。この両面ユニット171は搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ146と搬送ベルト151との間に給紙する。また、この両面ユニット171の上面は手差しトレイ172としている。
【0023】
更に、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向一方側の非印字領域には、液滴吐出ヘッド134のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構181を配置している。
【0024】
この維持回復機構181には、液滴吐出ヘッド134の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)182a〜182d(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード183と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。ここでは、キャップ182aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ182b〜182dは保湿用キャップとしている。
【0025】
そして、この維持回復機構181による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ182に排出されたインク、あるいはワイパーブレード183に付着してワイパークリーナ185で除去されたインク、空吐出受け194に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0026】
また、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け188を配置し、この空吐出受け188には液滴吐出ヘッド134のノズル列方向に沿った開口189などを備えている。
【0027】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ102から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142はガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ146との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド137で案内されて先端加圧コロ149で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0028】
このとき、後述する制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ156に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト151が交番する帯電電圧パターン、すなわち周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト151上に用紙142が給送されると、用紙142が搬送ベルト151に吸着され、搬送ベルト151の周回移動によって用紙142が副走査方向に搬送される。
【0029】
そこで、リニアエンコーダ137による主走査位置情報に基づいてキャリッジ133を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
【0030】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ133は維持回復機構181側に移動されて、キャップ182で液滴吐出ヘッド134がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ182で液滴吐出ヘッド134をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、液滴吐出ヘッド134の安定した吐出性能を維持する。
【0031】
図4はインクジェット記録装置の用紙搬送部及び用紙排紙部の構成を示す側面図である。搬送ベルトガイド部材201は、搬送ローラ202とテンションローラ203とを保持している。搬送ローラ202とテンションローラ203との間には搬送ベルト204が張架されている。そして、図4中に矢印で示す用紙搬送方向の下流側には、用紙排紙部として拍車ホルダ205が設けられている。この拍車ホルダ205には、当該拍車ホルダの側面図である図5及び底面図である図6に示すように、図示していないスプリング等の弾性体により支持されている拍車コロ206−1、206−2が排紙方向に対して直交する方向に2列で設けられている。拍車コロ206−2のコロ先端部は、拍車コロ206−1のコロ先端部より下方に位置している。そして、拍車コロ206−1は搬送ベルト204の排紙方向の端部とほぼ対向する位置に設けられ、拍車コロ206−2は排紙ローラ207と対向する位置に設けられている。
【0032】
また、拍車ホルダの規定部材を排紙ローラ保持部材の位置決め部材に勘合した様子を示す部分拡大図である図7に示すように、拍車ホルダ205には、搬送ベルトガイド部材201との勘合部としてスナップフィット209の側面に設けられている円筒形状のボス210以外に、搬送方向前方(下流側)に排紙ローラ保持部材212の位置決め部材214との勘合部としてのレール形状の規定部材212、213が設けられている。この2つの規定部材212、213が搬送ベルトガイド部材201に設けられた排紙ローラ保持部材208の位置決め部材214の上面部分及び下面部分を挟持しながら各面に沿って装填される。つまり、拍車コロの軸方向と平行な位置に拍車ホルダ205を規定する。この排紙ローラ保持部材208の取付位置は拍車ホルダ205の高さ方向の位置を規定する位置である。このため、2つの規定部材212、213が排紙ローラ保持部材208の位置決め部材214を挟持することで、拍車ホルダ205の高さ方向の位置が規制される。排紙ローラ保持部材208で拍車ホルダ205の図中上下方向の位置を規定している。そして、排紙ローラ保持部材208による拍車ホルダの図中上下方向の位置が安定する。これにより、排紙ローラに対する拍車コロの圧力が安定する。また、図7に示すように、規定部材212の先端をテーパ形状とすることで、規定部材212を排紙ローラ保持部材208の位置決め部材214に取付け易くなる。本実施形態ではスナップフィット209の側面にボス210を設け、搬送ベルトガイド部材201の側面部に取付穴211を設けているが、スナップフィット209の側面に取付穴211を設け、搬送ベルトガイド部材201の側面部にボス210を設けてもよい。
【0033】
そして、図8の(a)、(b)に示すように、拍車コロ206−1は搬送ベルト204の端部から空間に突き出た用紙Pの先端部を下方に向けさせる。更に用紙Pが搬送され、用紙Pが拍車コロ206−2に接触することで拍車コロ206−2と排紙ローラ207との間に案内される。図4に示すように、拍車ホルダ205は、搬送ベルトガイド部材201と排紙ローラ支持部材208によって固定されている。固定方法は搬送方向を前方として、図6に示すように拍車ホルダ205の排紙方向に対して直交する両端部にそれぞれ設けられた爪形状のスナップフィット209の一部に設けられた円筒状のボス210と搬送ベルトガイド部材201の側面部に設けられた取付穴211とが嵌め合うことにより勘合する構成となっている。このような構成を有することにより、拍車ホルダの交換の際の着脱が簡単に行うことができる。具体的には、図9の(a)、(b)に示すように、取付穴211からボス210を取り外す。そして、図9の(c)において点線で示す位置から実線で示す位置へ移動させる。具体的には、搬送ベルト204の上方に存在していたキャリッジを取り外す、又は待機位置に移動させることで、搬送ベルト204の上方に広がっている空間側に、拍車ホルダ205を搬送方向と逆方向にスライドさせて引き出しながら上方へ持ち上げる。このように拍車ホルダを着脱可能としたことにより、例えば搬送路上にインクが垂れてしまったり、ジャム処理時に搬送ベルトにキズが生じたりした場合に搬送ベルトユニットの交換をより簡単に行うことができる。この場合、搬送ベルトユニットの上方にあるインクジェット記録ヘッドを搭載したキャリッジ133をガイドロッドから取り外す。そして、上記同様に搬送ベルトユニットを取り出す空間の一部に存在する拍車ホルダ205を取り出す。拍車ホルダ205の各ボス210をそれぞれ取付穴211から取り外して拍車ホルダ205を取り出す。これにより、搬送ベルトユニットを取り出す空間には障害となるものがなくなり、搬送ベルトユニットを簡単に着脱することができる。また、拍車ホルダ単体での交換も可能となり、ユーザが使用する用紙厚に応じて拍車コロを交換することでカスタマイズ対応が可能となる。
【0034】
図10は拍車ホルダの別の構成例を示す概略図である。同図において、図5と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図10に示す拍車ホルダ205では、スナップフィット209及びレール形状の規定部材212、213を共に搬送ベルトガイド部材201のみに着脱可能に嵌め合わせている。つまり、搬送ベルトガイド部材201に取付穴211及び位置決め部材214を設け、スナップフィット209のボス210を取付穴211に嵌め合わせ、かつ規定部材212、213で位置決め部材214を挟持する。記録ヘッドのノズル面と搬送ベルトのベルト面との間の隙間は吐出性能に関係するために厳しく規定されている。そのため、搬送ベルトを保持する搬送ベルトガイド部材201は精度良く設置されている。そして、搬送ベルトガイド部材201は装置に精度良く位置決めされている。搬送ベルトによって搬送される画像形成後の用紙を排紙ローラ側にスムースに搬送するために搬送ベルトのベルト面と排紙ローラのローラ面の相対位置は厳しく規定される。拍車ホルダ205を搬送ベルトガイド部材201のみに着脱可能に嵌め合わせることで、拍車ホルダ205と記録ヘッド又は排紙ローラ207との相対位置が精度良くなる。また、記録ヘッドを所定の位置に位置決めされて搭載するキャリッジ133と拍車ホルダ205の隙間の図中のh1が所定値に規定できる。そこで、記録ヘッドと拍車ホルダの用紙進入部との高さ(図10中の高さh2)を可能な限り大きくできる。これにより、図10に示すようにテーパ形状を成す用紙ガイド面215と搬送ベルトのベルト面との間に可能な限り開口部を大きく設けることができ、用紙の先端が拍車ホルダ205とキャリッジ133との間の隙間に入り込むことが防ぎ、排紙の用紙をスムースに拍車コロ206−1へ案内することができる。
【0035】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
拍車コロを有する拍車ホルダの側面部に、該側面部に対応する位置であって搬送ベルトを懸架する一対の搬送ローラを保持する搬送ベルト保持部材の一部又は排紙ローラを保持する排紙ローラ保持部材の一部に、取付穴が設けられている場合は当該取付穴に嵌め合うボスを、あるいは搬送ベルト保持部材の一部又は排紙ローラ保持部材の一部にボスが取り付けられている場合は当該ボスが嵌る取付穴を有する弾性力を持つスナップフィット爪と、排紙ローラ保持部材の一部又は搬送ベルト保持部材の一部に設けられた位置決め部材を係止してボス及び取付穴の回りでの揺動の位置を規定する規定部とを備えている。これによれば、上記実施形態について説明したように、拍車ホルダ205は、拍車ホルダ205の側面部に設けられたスナップフィット爪209と規定部とによって排紙ローラ保持部材208又は搬送ガイド部材201に着脱可能に取付けられる。搬送ガイド部材201及び排紙ローラ保持部材208は装置に精度良く位置決めされている。搬送ベルト204によって搬送される画像形成後の用紙を排紙ローラ側にスムースに搬送するために搬送ベルト204のベルト面と排紙ローラ207のローラ面の相対位置は厳しく規定するためである。このうように装置に精度良く位置決めされている搬送ガイド部材201又は排紙ローラ保持部材208に拍車ホルダ205を着脱可能に取付けることで、拍車ホルダ205の拍車コロ206−1、206−2と搬送ベルト204から排紙ローラ207へ搬送される用紙との相対位置が精度良く規定される。よって、拍車コロが用紙に対して安定な搬送力の付与を維持でき拍車コロの跡を最小限に低減することで経時に関係なく画像不良を抑制できる。そして、スナップフィット爪を変形させることによって着脱できるので、上記特許文献1と異なりネジ等の締結手段の締結の解除等の手間を要せず拍車ホルダの交換が容易にできる。
(態様B)
(態様A)において、規定部は、レール形状を成し、かつ位置決め部材を挟持する挟持部材を備えている。これによれば、上記実施形態について説明したように、挟持部材であるレール形状の規定部材212、213は、搬送ガイド部材201に設けられ長手方向に延びた部材である位置決め部材214の上面部分及び下面部分を挟持しながら各面に沿って装填される。この位置決め部材214の取付位置は拍車ホルダの高さ方向の位置を規定する位置であるため、2つのレール形状の規定部材212、213が位置決め部材214に取付けられることで、拍車ホルダの高さ方向の位置を規制することができる。
(態様C)
(態様B)において、レール形状の挟持部材をレール形状に沿って搬送方向にスライドさせて拍車ホルダを着脱する。これによれば、上記実施形態について説明したように、搬送方向にスライドすることで装置筐体を分解することなく拍車ホルダを簡単に着脱することができる。
【符号の説明】
【0036】
100 インクジェット記録装置
201 搬送ガイド部材
202 搬送ローラ
203 テンションローラ
204 搬送ベルト
205 拍車ホルダ
206−1 拍車コロ
206−2 拍車コロ
207 排紙ローラ
208 排紙ローラ保持部材
209 スナップフィット
210 ボス
211 取付穴
212 規定部材
213 規定部材
214 位置決め部材
215 用紙ガイド面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2006−301335号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトによって搬送される用紙上に記録液を吐出して用紙上に画像を形成し、画像形成された用紙は、排紙ローラ及び該排紙ローラに対向して弾性体により支持された拍車コロにより排出される画像形成装置において、
前記拍車コロを有する拍車ホルダの側面部に、
該側面部に対応する位置であって前記搬送ベルトを懸架する一対の搬送ローラを保持する搬送ベルト保持部材の一部又は前記排紙ローラを保持する排紙ローラ保持部材の一部に、取付穴が設けられている場合は当該取付穴に嵌め合うボスを、あるいは前記搬送ベルト保持部材の一部又は前記排紙ローラ保持部材の一部にボスが取り付けられている場合は当該ボスが嵌る取付穴を有する弾性力を持つスナップフィット爪と、
前記排紙ローラ保持部材の一部又は前記搬送ベルト保持部材の一部に設けられた位置決め部材を係止して前記ボス及び前記取付穴の回りでの揺動の位置を規定する規定部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記規定部は、レール形状を成し、かつ前記位置決め部材を挟持する挟持部材を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記レール形状の前記挟持部材をレール形状に沿って搬送方向にスライドさせて前記拍車ホルダを着脱することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−103390(P2013−103390A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248117(P2011−248117)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】