説明

画像形成装置

【課題】記録シートを用いることなく、高濃度のトナーパターンにおけるトナー付着量を精度良く測定することが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】感光体ドラムを周速V1で回転させ(S2)、中間転写ベルトを周速V2(>V1)で周回駆動させる(S3)。感光体ドラム上にトナーパターンを形成し(S4)、感光体ドラム上のトナーパターンを中間転写ベルトに転写させる(S5)。感光体ドラムと中間転写ベルトの速度差により、転写後のトナーパターンの線幅が転写前における感光体ドラム上での線幅よりも広げられた状態になる。中間転写ベルト上のトナーパターンをセンサーで検出し(S6)、検出信号に基づいてトナーパターンのトナー像のトナー付着量を算出し(S7)、そのトナー付着量が目標濃度と一致するように、画像形成条件を補正して目標濃度に対応する画像形成条件を決定する(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置に関し、特に像担持体へのトナー付着量が目標値になるように画像形成条件を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置においては、機内の温湿度の変化や像担持体の一例としての感光体ドラムや他の部品の劣化等により、感光体ドラムへのトナー付着量が変化し、形成された画像におけるトナー濃度が変化する。
このため、画像形成装置には、トナー付着量を調整するための画像安定化制御の機能が設けられているものが多い。
【0003】
画像安定化制御は、例えば目標とするトナー付着量に対応する線状のトナーパターンを中間転写ベルト上に形成し、中間転写ベルト上に形成されたトナーパターンに光を照射させ、その反射光を反射型のセンサーで受光することにより、トナーパターンにおけるトナー付着量を光学的に測定し、測定結果に基づいてトナー付着量が目標値になるように、帯電電位や現像バイアス電圧などの画像形成条件を調整する制御である。
【0004】
ところが、この制御方法では、目標とするトナー付着量が多い(高濃度の)場合、トナー付着量を精度良く測定できない場合がある。
なぜなら、トナーパターンが高濃度になるほどその線幅がほとんど変わらず、高さ方向にのみトナー粒子が積み重なる傾向が強くなり、トナーパターンの濃度が濃くなっても、トナーパターンからの反射光の光量がほとんど変化しなくなるからである。
【0005】
このような高濃度のトナーパターンにおけるトナー付着量を精度良く測定する技術として、特許文献1には、次のような方法が開示されている。
すなわち、中間転写ベルト上のトナーパターンを記録シートに転写し、その記録シートを定着部に通紙し、加熱、加圧によりトナーパターンを記録シートに圧延した後、その圧延後のトナーパターンにおけるトナー付着量をセンサーで測定する方法である。
【0006】
この測定方法によれば、高濃度のトナーパターンであってもトナー粒子が高さ方向に積み重ならず、記録シート上においてトナーパターンを形成するトナー像が占める表面積がトナー付着量に応じて広がるようになるので、トナー付着量の増加に伴う反射光量の変化を検出することができ、トナー付着量を精度良く測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−107514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1による方法では、画像安定化制御の実行毎に必ず、記録シートが使用され、その記録シートは、トナーパターンが熱定着されるので、もはや他のコピーやプリントなどに使用できず、トナー付着量の測定のためだけに記録シートが無駄になるという問題がある。また、熱定着のためにヒーターに供給される電力は、通常、500〜1000〔W〕程度必要になり、多くの電力が消費されてしまう。
【0009】
画像安定化制御は、機内の温湿度が変化する毎やコピー枚数が所定枚数に達する毎などに繰り返し実行されるので、その実行回数が増えるに伴って、トナーパターンの形成に使用される記録シートの枚数が大量になり、また消費電力量も多大になる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、記録シートを用いることなく、高濃度のトナーパターンにおけるトナー付着量を精度良く測定することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、像担持回転体上に形成されたトナー像を中間転写回転体に転写し、前記中間転写回転体に転写されたトナー像を、搬送されるシート上に転写する画像形成装置であって、トナー付着量調整用のトナーパターンを前記像担持回転体上に形成する形成手段と、前記中間転写回転体を、トナーパターン形成時における前記像担持回転体の周速よりも速い速度で回転駆動する駆動手段と、前記像担持回転体上に形成されたトナーパターンを、前記速い速度で回転している中間転写回転体に転写する転写手段と、前記中間転写回転体に転写されたトナーパターンのトナー付着量を光学的に測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に基づいて、トナー付着量が目標値になるように画像形成条件を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記像担持回転体の周速をV1、前記中間転写回転体の周速をV2としたとき、(1.1×V1)≦V2≦(2×V1)の関係を満たしていることを特徴とする。
さらに、前記トナーパターンは、トナー像からなる線状の複数のラインパターンが前記像担持回転体の回転方向に間隔をあけて形成されてなることを特徴とする。
ここで、前記像担持体上に形成される複数のラインパターンは、第1濃度の複数のラインパターンが間隔D1をあけて並んでなる第1パターン群と、第1濃度よりも濃度が濃い第2濃度の複数のラインパターンが間隔D2をあけて並んでなる第2パターン群とを含み、間隔D1<D2の関係を有することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記第1濃度は、3〜6〔g/m〕の範囲内のトナー付着量に相当する濃度であることを特徴とする。
また、前記第1濃度のラインパターンと前記第2濃度のラインパターンは、同じ幅であることを特徴とする。
さらに、前記測定手段は、前記中間転写回転体に転写されたトナーパターンに光を照射し、その反射光量を検出するセンサーを有し、検出された反射光量に基づきトナー付着量を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成すれば、中間転写回転体の周速の、像担持回転体の周速との速度差により、像担持回転体から中間転写回転体にトナーパターンが転写される際に、中間転写回転体上においてトナーパターンを形成するトナー像が占める表面積がそのトナー付着量に応じて広がるようになるので、記録シートを用いることなく、および熱定着のための多くの電力を消費せずとも、高濃度のトナーパターンにおけるトナー付着量を精度良く測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複合機の全体の構成を示す概略図である。
【図2】複合機に設けられる制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、感光体ドラム上に形成されたトナーパターンの構成例を示す平面図であり、(b)は、感光体ドラムから中間転写ベルト上に転写された後のトナーパターンの例を示す図である。
【図4】感光体ドラム上に形成されたラインパターンが転写位置で中間転写ベルトに転写されるときの転写の前後において、そのラインパターンの厚みが変化する様子を示す模式図である。
【図5】ラインパターンのトナー付着量〔g/m〕を3段階に分けた場合の、感光体ドラム上における転写前のラインパターンのトナー層と、転写後の中間転写ベルト上におけるラインパターンのトナー層の様子を模式的に示す図である。
【図6】(a)は、ラインパターンのトナー付着量が高濃度領域にある場合におけるトナー付着量とラインパターンの線幅の関係を示す図であり、(b)は、トナー付着量とラインパターンの反射濃度の関係を示す図である。
【図7】Y色のトナー付着量最適化処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラー複合機(以下、単に「複合機」という。)に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
(1)複合機の全体構成
図1は、複合機1の全体の構成を示す概略図である。
同図に示すように、複合機1は、スキャナー部2とプリント部3とから構成され、原稿画像を読み取ってその画像データに基づいて記録シートに画像を形成するコピージョブ、外部端末からLANなどのネットワークを介して送られてきた画像データに基づいて記録シートに画像を形成するプリントジョブ、画像データを外部に送信する送信ジョブ等を実行可能な、いわゆるMFP(Multiple Function Peripheral)と呼ばれるものである。
【0016】
スキャナー部2は、セットされた原稿の画像を読み取って画像データを得る公知の画像読取装置である。
プリント部3は、電子写真方式等により画像を形成するものであり、ここでは画像プロセス部4と、記録シートの給送部5と、定着部6および制御部7を備えている。
画像プロセス部4は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各再現色それぞれに対応する作像部9Y、9M、9C、9Kと、露光部10と、中間転写ユニット30等を備える。
【0017】
中間転写ユニット30は、駆動ローラー31、従動ローラー32、テンションローラー33、中間転写ベルト34、クリーナー35、一次転写ローラー36および二次転写ローラー37等を備える。
中間転写ベルト34は、駆動ローラー31と、従動ローラー32と、テンションローラー33などに張架されており、矢印Bで示す方向に周回駆動される。
【0018】
一次転写ローラー36は、中間転写ベルト34を挟んで各感光体ドラム21と対向する位置にそれぞれ配置されている。
二次転写ローラー37は、中間転写ベルト34を挟んで駆動ローラー31と対向する位置に配置され、二次転写ローラー37が中間転写ベルト34に接触する位置が二次転写位置48を構成する。
【0019】
作像部9Y〜9Kは、中間転写ベルト34に対向してベルト走行方向上流側から下流側に沿って所定間隔で直列に配置されている。
作像部9Yは、像担持体としての感光体ドラム21と、その周囲に配設された帯電部22と、現像部23と、クリーナー25等を備えている。この構成は、他の作像部9M〜9Kについても同様であり、同図では符号を省略している。
【0020】
給送部5は、記録シートSを収容する給紙カセット41、42と、給紙カセット41、42内の記録シートSを1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー43、44と、繰り出された記録シートSを搬送する搬送ローラー対45と、二次転写位置48に記録シートSを送り出すタイミングをとるためのタイミングローラー対46等を備えている。
定着部6は、ヒータ(不図示)を備え、所定の定着温度に維持される。
【0021】
このような構成において、カラー画像を形成するコピーやプリントなどのジョブを実行する場合には、作像部9Y〜9Kごとに、矢印Aで示す方向に回転駆動される感光体ドラム21が、クリーナー25による清掃の後、帯電部22により一様に帯電され、帯電された感光体ドラム21の表面が露光部10からのレーザー光Lにより露光されて潜像が形成される。
【0022】
形成された潜像は、現像部23において現像バイアス電圧が印加された現像ローラー231に担持された現像剤としてのトナーにより現像(顕像化)される。
作像部9Y〜9Kごとに、その感光体ドラム21に対向する一次転写ローラー36のそれぞれには、転写出力部39から出力される一次転写電圧が印加されており、現像されたトナー像は、一次転写ローラー36の電界の作用により感光体ドラム21から中間転写ベルト34上に転写(一次転写)される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト34上の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにタイミングをずらして実行される。
【0023】
中間転写ベルト34上の各色トナー像は、中間転写ベルト34の周回走行により二次転写位置48に移動する。
この中間転写ベルト34上の各色トナー像の二次転写位置48への移動に合わせて、給送部5からは、記録シートSが二次転写位置48に向けて搬送されており、その記録シートSが二次転写位置48を通過する際に、二次転写ローラー37の電界の作用により中間転写ベルト34上の各色トナー像が記録シートSに一括して転写(二次転写)される。
【0024】
二次転写位置48を通過した記録シートSは、定着部6に搬送され、ここでトナー像が加熱、加圧により記録シートSに定着された後、排出ローラー対51により機外に排出され、収容トレイ52に収容される。
上記では、カラー画像形成の動作例を説明したが、複合機1は、モノクロ、例えばK色のみの画像形成を実行することもできる。K色のモノクロ画像形成の場合には、作像部9Kだけが動作して、作像部9Kに設けられた感光体ドラム21上のK色のトナー像が中間転写ベルト34上に一次転写され、中間転写ベルト34上に転写されたK色のトナー像は、二次転写位置48において記録シートSに二次転写される、記録シートSに二次転写されたK色のトナーは、定着部6において記録シートSに定着されることになる。
【0025】
なお、二次転写位置48において記録シートSに転写されずに中間転写ベルト34上に残った転写残トナーは、次の画像形成に備えてクリーナー35により除去される。
また、中間転写ベルト34の周囲であり、中間転写ベルト34の周回方向に沿って作像部9Yから二次転写位置48までの間の位置には、発光部と受光部を有する反射型の光学センサーからなるパターン検出センサー38が配置されている、
パターン検出センサー38は、画像安定化制御の一例としてのトナー付着量最適化処理の際に、中間転写ベルト34上に形成されたトナーパターンに向けて発光部から光を照射し、トナーパターンからの反射光を受光部で受光して、その反射光量に応じた電気信号を生成し、生成した信号を、反射濃度を示す信号として制御部7に送るものである。ここで、反射濃度とは、測定対象物への投射光量をI0とし、測定対象物からの反射光量をIとするとき、D=−logI/I0の式によって表されるDのことをいう。
【0026】
制御部7は、パターン検出センサー38からの反射濃度を示す信号に基づき、帯電部22の帯電電圧、露光部10のレーザー光Lの光量、現像部23の現像バイアス電圧などの画像形成条件を適した条件に調整する。中間転写ベルト34上に形成されるトナーパターンやトナー付着量最適化処理の詳細については、後述する。
スキャナー部2の前面の操作しやすい位置には、操作部8が設けられている。
【0027】
操作部8には、操作者がコピー枚数を入力するためのテンキー、コピー開始を指示するためのコピースタートキー、画像安定化制御の実行を指示するためのキーに加えて、複合機1の状態、例えば、ジョブ実行指示を待っている状態(待機中)であることなどを示すメッセージ画面が表示されるタッチパネル式の液晶表示部が備えられている。
なお、作像部9Y〜9Kの感光体ドラム21や現像ローラー231、給送部5における各ローラーなどは、メインモーターM1により回転駆動され、中間転写ユニット30の駆動ローラー31は、ベルト駆動モーターM2の駆動力により回転駆動される。メインモーターM1とベルト駆動モーターM2の回転速度を制御することにより、感光体ドラム21と中間転写ベルト34を同じ周速で回転させることもできるし、また相互に異なる周速で回転させることもできる。
【0028】
通常のコピーやプリントジョブなどの画像形成時には、感光体ドラム21と中間転写ベルト34は両方、同じ速度(周速)V1(システムスピード)で回転駆動されるが、トナー付着量最適化処理の際には、感光体ドラム21が周速V1で回転駆動されるのに対し、中間転写ベルト34が速度V1よりも所定の速度比だけ速い速度V2で回転駆動されるようになっている。
【0029】
このように感光体ドラム21と中間転写ベルト34を個別にその周速を可変可能な構成をとっているのは、トナー付着量最適化処理において高濃度のトナーパターンにおけるトナー付着量を精度良く測定するためであるが、詳細については後述する。
(2)制御部7の構成
図2は、制御部7の構成を示すブロック図である。
【0030】
同図に示すように、制御部7は、CPU71と、通信インターフェース(I/F)部72と、ROM73と、RAM74と、パターン形成部75と、パターンデータ記憶部76と、回転速度データ記憶部77と、トナー付着量算出部78と、補正テーブル記憶部79等を備える。
I/F部72は、LANボードなどのネットワークに接続するためのインターフェースである。
【0031】
ROM73には、スキャナー部2、プリント部3、操作部8、転写出力部39、露光量調整部81、帯電バイアス出力部82、現像バイアス出力部83等を制御するために必要なプログラムのほか、トナー付着量最適化処理を実行するためのプログラム等が格納されている。ROM73に格納されている各プログラムは、CPU71により読み出されて実行される。
【0032】
ここで、露光量調整部81は、露光部10に設けられた、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック色の露光用の光源から出射される光量を調整することにより、各色の露光量を調整するものである。
帯電バイアス出力部82は、画像プロセス部4に設けられ、作像部9Y〜9Kの各帯電部22に帯電バイアス電圧を可変可能に出力するものであり、現像バイアス出力部83は、画像プロセス部4に設けられ、作像部9Y〜9Kの各現像部23の現像ローラー231に現像バイアス電圧を可変可能に出力するものである。
【0033】
RAM74は、プログラム実行時のCPU71のワークエリアとして用いられる。
パターン形成部75は、トナー付着量最適化処理において作像部9Y〜9Kの感光体ドラム21上にトナーパターンを形成する。
図3(a)は、作像部9Yにおける感光体ドラム21上に形成されたY色のトナーパターンP1,P2,P3の構成例を示す平面図であり、感光体ドラム21の主走査方向一方端側を平面に展開したものを上から中間転写ベルト34を透視して見たときの図である。
【0034】
同図に示すように、トナーパターンP1は、感光体ドラム21の回転方向(矢印A:副走査方向に相当)に直交する主走査方向に平行な線状の複数本のラインパターン91Yからなる。同様に、トナーパターンP2,P3は、主走査方向に平行な線状の複数本のラインパターン92Y,93Yからなる。
トナーパターンP1を構成する複数本のラインパターン91Yは、それぞれが同じ線幅Wであり、隣り合うもの同士が相互に矢印Aで示す方向に間隔D1をあけて並んでおり、同じトナー付着量になっている。
【0035】
トナーパターンP2を構成する複数本のラインパターン92Yは、それぞれが同じ線幅Wであり、隣り合うもの同士が相互に矢印Aで示す方向に間隔D2(>D1)をあけて並んでおり、同じトナー付着量になっている。
トナーパターンP3を構成する複数本のラインパターン93Yは、それぞれが同じ線幅Wであり、隣り合うもの同士が相互に矢印Aで示す方向に間隔D3(>D2)をあけて並んでおり、同じトナー付着量になっている。線幅Wとしては、例えば60〜110〔μm〕のものが用いられる。間隔D1〜D3が異なっている理由については、後述する。
【0036】
ラインパターン91Y〜93Yは、この順にトナー付着量が多い構成になっている。
具体的には、ラインパターン91Yは、トナー付着量が3〔g/m〕になるように調整された画像形成条件に基づき形成されたものであり、ラインパターン92Yは、4〔g/m〕になるように調整された画像形成条件に基づき形成されたものであり、ラインパターン93Yは、5〔g/m〕になるように調整された画像形成条件に基づき形成されたものである。通常、3〔g/m〕以上は、高濃度域とされるので、ラインパターン91Y〜93Yは、いずれも高濃度のトナーパターンといえる。
【0037】
なお、トナーパターンの形成は、前回(過去)のトナー付着量最適化処理において調整された画像形成条件が用いられるので、現時点までの間の環境変化などにより実際のトナー付着量は、目標である3,4,5〔g/m〕から変わっていることがあり得る。
図3(b)は、感光体ドラム21から中間転写ベルト34上に転写された後のトナーパターンP1a〜P3aの例を示す図であり、図1の矢印Dで示す方向から中間転写ベルト34を見たときの図である。
【0038】
図3(b)に示すように、中間転写ベルト34上に転写されたトナーパターンP1a〜P3aは、そのラインパターン91Y,92Y,93Yの線幅Wa,Wb,Wcが転写前の線幅Wよりも広くなっていることが判る。
このように転写後にラインパターンの線幅が広くなるのは、トナーパターンP1〜P3の転写時に、感光体ドラム21の周速V1に対して中間転写ベルト34の周速V2を所定の速度比(例えば、1.5倍)だけ速くしているからである。
【0039】
具体的に、図4と図5を用いて説明する。
図4は、感光体ドラム21上に形成された高濃度のラインパターン94が転写位置361で中間転写ベルト34に転写されるときの転写の前後において、そのトナーパターン94の厚みが変化する様子を示す模式図である。
同図に示すように、周速V1で回転している感光体ドラム21上に形成されたラインパターン94は、高濃度であるためにトナー粒子Tからなるトナー層(同図の例では2層)が複数、積層された状態になっている。
【0040】
感光体ドラム21上に形成されたラインパターン94は、感光体ドラム21の回転により転写位置361に搬送され、転写位置361で中間転写ベルト34に転写されるが、感光体ドラム21の周速(表面の速度)V1よりも中間転写ベルト34の周速(表面の速度)V2の方が速いために、単位時間当たりのその表面の移動距離が感光体ドラム21よりも中間転写ベルト34の方が長くなる。
【0041】
このため、ラインパターン94を構成する各トナー粒子Tが転写により感光体ドラム21から中間転写ベルト34に移動するときに、その速度差によりそのトナー層が崩れるようになって、その速度差の分だけ中間転写ベルト34上では転写後のラインパターン95が占める表面積がそのトナー付着量に応じて中間転写ベルト34の周回方向に広がるようになって均されて、転写後では、トナー層の積層数が感光体ドラム21上での積層数よりも減り(同図では、1層になり)、その線幅が感光体ドラム21上での線幅Wよりも広い線幅W1になるものである。
【0042】
図5は、ラインパターン94のトナー付着量〔g/m〕を3段階に分けた場合の、感光体ドラム21上における転写前のラインパターン94a,94b,94cのトナー層と、転写後の中間転写ベルト34上におけるラインパターン95a,95b,95cのトナー層の様子を模式的に示す図である。
図5(a)〜図5(c)は、この順に3段階にトナー付着量が多くなり、トナー付着量が多くなっても線幅Wがほとんど変わらず、高さHがH1,H2,H3の順に高くなっている、すなわちトナー層の積層数が多くなっている例を示している。
【0043】
中間転写ベルト34の周速V2を感光体ドラム21の周速V1よりも速くすることにより、感光体ドラム21から中間転写ベルト34に転写される際に、線幅が細いラインパターン94a〜94cを構成するトナー層が均されて、ラインパターンの線幅Wが広がるが、感光体ドラム21上でのトナー層の積層数(付着量)が多いほど、その広がりが大きくなり、転写後のラインパターン95a〜95cの線幅は、図5(a)〜図5(c)の順に、Wa,Wb(>Wa),Wc(>Wb)になる。
【0044】
転写後のラインパターン95a〜95cの高さHは、転写の際にラインパターン94a〜94cが均されることにより、転写前の高さよりも低くなるが、トナー層の積層数が多いほど、転写後の高さも高い状態になり、図5(a)〜図5(c)の順に、H11,H21(>H11),H31(>H21)になる。
中間転写ベルト34上の転写後のラインパターン95aは、線幅Waが転写前よりも広くなり、かつ高さH11が転写前の高さH1よりも低くなっている。転写後の方が転写前よりも線幅が広くなり高さが低くなることは、ラインパターン95b,95cについても同様である。
【0045】
感光体ドラム21上のラインパターンを中間転写ベルト34への転写の際に均すようにするには、中間転写ベルト34の周速V2が感光体ドラム21の周速V1よりも速いことが条件になるが、速度比としては、周速V2がV1とあまり変わらなければ、その均す作用が働き難く、一方で周速V2がV1よりも速すぎると転写を良好に行えなくなることから、例えば1.1×V1≦V2≦2×V1の範囲をとることが望ましい。
【0046】
感光体ドラム21上での実際のトナー層の積層数は、1色であれば最大でも2〜3層であることが多く、その2〜3層のトナー層を転写時に均して1〜2層にするのに最低限、必要な周速V2を、周速V1に対しその10%分、速い速度である(1.1×V1)を下限値とし、転写率との関係から上限値を2倍としたものであるが、これに限られることはなく、装置構成に応じて実験などから適した値を求めることができる。
【0047】
このように中間転写ベルト34の周速V2を感光体ドラム21の周速V1よりも速くすることにより、転写後のラインパターン95a〜95cの線幅Wa〜Wcと高さH11〜H31がトナー付着量の違いに応じて相互に異なるようになれば、転写後のラインパターン95a〜95cに光を照射した場合に、トナー付着量の違いに応じてその反射光の光量差も大きく現れるようになる。
【0048】
従って、高濃度域のトナーパターンであっても、異なるトナー付着量のトナーパターンを形成して、異なるトナーパターンごとにその反射光の光量を検出することにより、高濃度域におけるトナー付着量を精度良く測定することができることになる。
高濃度になるほど、転写後のラインパターン95a〜95cの線幅Wが広がるので、図3(a)に示すように、高濃度になるに伴って、感光体ドラム21上における隣り合うラインパターンの間隔D1〜D3がD1〜D3の順に広くなるようにして、転写後のラインパターン95a〜95cの線幅Wa〜Wcが広くなっても、ラインパターン1本ごとに、隣のラインパターンと引っ付くことがないようにその間隔が予め設定されている。
【0049】
この設定により、図3(b)に示すように隣り合うラインパターンの間隔D11,D21,D31が、感光体ドラム21上での間隔D1,D2,D3よりも狭くなっても、隣り合うラインパターン同士が互いに隔てられるようになり、各ラインパターンを精度良く検出することができる。
図6(a)は、ラインパターンのトナー付着量が高濃度領域(3〜6〔g/m〕の領域)にある場合におけるトナー付着量とラインパターンの線幅の関係を示す図であり、グラフ201が転写前の線幅を示しており、グラフ202が転写後の線幅を示しており、図6(b)は、トナー付着量とラインパターンの反射濃度の関係を示す図であり、グラフ203が中間転写ベルト34の周速を感光体ドラム21の周速と同じにした場合の反射濃度を示しており、グラフ204が中間転写ベルト34の周速を感光体ドラム21の周速に対して2倍の速度にした場合の反射濃度を示している。
【0050】
図6(a)に示すグラフ201,202を見れば、転写の前後でラインパターンの線幅が大きく変わっているが、トナー付着量が増加しても線幅自体はあまり変わっていないことが判る。このことは、図5(a)〜(c)においてトナー付着量が増加しても転写前では線幅Wが同じであり、転写後ではトナー付着量が増加すると少し幅広(Wa〜Wc)になるとした例に略一致する。
【0051】
一方、図6(b)に示すように反射濃度は、グラフ203,204を見ればトナー付着量の増加に応じて大きく変わっており、その変化量は、中間転写ベルト34の周速を感光体ドラム21の周速よりも早くした場合の例を示すグラフ204の方が、周速を同じとした場合の例を示すグラフ203よりも大きいことが判る。
トナー付着量の増加に応じて反射濃度の変化がより大きくなる方がトナー付着量を検出し易いことから、中間転写ベルト34の周速V2を感光体ドラム21の周速V1よりも早くした場合における転写後のトナーパターンP1a〜P3aを検出することにより、高濃度域のトナー付着量をより精度良く検出することができることになる。
【0052】
図3(b)に戻り、中間転写ベルト34上に転写されたY色のトナーパターンP1a〜P3aは、中間転写ベルト34の周回走行により矢印Bで示す方向に搬送され、同図の破線で示す検出ラインF上においてパターン検出センサー38で検出され、パターン検出センサー38から反射濃度を示す信号が制御部7に送られる。なお、中間転写ベルト34上のトナーパターンP1a〜P3aは、パターン検出センサー38による検出後、クリーナー35により除去される。
【0053】
図2に戻って、回転速度データ記憶部77には、システムスピードV1と、これよりも所定の速度比だけ速い速度V2を示すデータが記憶されている。
トナー付着量算出部78は、パターン検出センサー38からの反射濃度を示す信号に基づいて、そのトナー付着量を算出する。具体的には、反射濃度とトナー付着量との対応関係を示すテーブルを参照することによりトナー付着量を算出する。当該テーブルは、ROM73に記憶され、プログラム実行時にRAM74に読み出される。
【0054】
パターンデータ記憶部76には、トナーパターンP1〜P3を形成するための画像データ(以下、「パターンデータ」という。)と、トナーパターンP1〜P3を形成するための画像形成条件とを記憶している。
画像形成条件としては、具体的には、露光部10の露光量、帯電部22に対する帯電バイアス電圧、現像部23の現像ローラー231に対する現像バイアス電圧に関する条件が、目標とするトナー付着量(上記例では、3,4,5〔g/m〕など:以下、「目標濃度」という。)毎に設定されている。画像形成条件は、対応するトナー付着量またはその近傍のトナー付着量でトナーパターンがそれぞれ形成されるように設定されている。
【0055】
補正テーブル記憶部79は、トナー付着量と露光量、トナー付着量と帯電バイアス電圧、トナー付着量と現像バイアス電圧の各対応関係を示す補正テーブルを記憶している。
(3)トナー付着量最適化処理
図7は、制御部7が行うY色のトナー付着量最適化処理の動作を示すフローチャートである。
【0056】
同図に示すように、操作部8からユーザーにより入力された、目標濃度の指定を伴うトナー付着量最適化処理の実行指示を受け付けると(ステップS1)、作像部9Y〜9Kの各感光体ドラム21を所定速度(周速)V1で回転駆動させ(ステップS2)、中間転写ベルト34を所定速度(周速)V2(>V1)で周回駆動させる(ステップS3)。
この駆動は、メインモーターM1とベルト駆動モーターM2を、感光体ドラム21が周速V1で回転し、中間転写ベルト34が周速V2で周回走行するように回転制御することにより行われる。
【0057】
パターンデータ記憶部76からパターンデータと、指定された目標濃度について定められている画像形成条件を読み出し、当該画像形成条件下において、パターンデータに基づいて、作像部9Yの感光体ドラム21上に、目標濃度に対応する濃度のY色のトナーパターンを形成する(ステップS4)。目標濃度が例えば3,4,5〔g/m〕の3つであれば、図3に示すP1〜P3が形成される。この形成は、パターン形成部75により実行される。以下、トナーパターンP1〜P3が形成された場合を例に説明する。
【0058】
次に、作像部9Yの感光体ドラム21に対向する一次転写ローラー36に一次転写電圧を印加して、感光体ドラム21上に形成されたY色のトナーパターンP1〜P3を中間転写ベルト34に転写させる(ステップS5)。この転写により、図3(b)に示すように中間転写ベルト34上における転写後のラインパターン91Y〜93Yの線幅Wa〜Wcは、転写前における感光体ドラム21上での線幅Wよりも広げられた状態になる。なお、一次転写ローラー36への一次転写電圧の印加は、転写出力部39に対し、当該一次転写ローラー36への一次転写電圧の出力を指示することにより行われる。
【0059】
そして、中間転写ベルト34上のY色のトナーパターンP1〜P3をパターン検出センサー38で検出し(ステップS6)、その検出信号(反射濃度を示す信号)に基づいて、トナーパターンP1〜P3ごとに、そのラインパターン91Y〜93Yのトナー像におけるトナー付着量(t〔g/m〕)を算出する(ステップS7)。この算出は、トナー付着量算出部78により行われる。ラインパターン91Y〜93ごとに、複数本のラインパターンの各検出信号を平均化するなどの処理により、算出精度をより向上することができる。これにより、トナーパターンP1〜P3ごとにそのトナー付着量が測定される。
【0060】
続いて、補正テーブル記憶部79の補正テーブルを参照して、トナーパターンP1〜P3ごとに、そのトナー付着量tが目標濃度と一致するように、画像形成条件を補正して目標濃度に対応する画像形成条件を決定して(ステップS8)、当該処理を終了する。
例えば、トナーパターンP1のトナー付着量tが、その目標濃度(3〔g/m〕)と一致していない場合には、目標温度との差分を補正すべく、補正テーブルからその補正に必要な露光量や帯電電圧などの補正値を読み出して、読み出した補正値を用いて画像形成条件を補正する。これにより、目標濃度(3〔g/m〕)に対する画像形成条件が調整されたことになる。他のトナーパターンP2,P3についても同様であり、それぞれの目標濃度に対する画像形成条件がそれぞれ個別に調整される。調整された画像形成条件は、例えばパターンデータ記憶部76や他の記憶部などに記憶される。
【0061】
このステップS8で決定された画像形成条件が、これ以後のコピージョブなどの画像形成時における画像形成条件として用いられる。この意味で、制御部7は、ステップS8を実行する場合に、トナー付着量が目標値になるように画像形成条件を調整する調整手段として機能するものといえる。
なお、上記では、高濃度域に含まれる3段階の濃度(3〔g/m〕,4〔g/m〕,5〔g/m〕)をそれぞれ目標濃度として、それぞれの目標濃度に対応する画像形成条件を調整するために、3つのトナーパターンP1,P2,P3を形成する例を説明したが、これに限られない。
【0062】
目標濃度は、高濃度域、例えば3〜6〔g/m〕の範囲に含まれる濃度であれば良く、異なる複数の濃度をそれぞれ目標濃度としても良いし、一つを目標濃度としても良い。
また、Y色の画像形成条件を調整する場合の例を説明したが、他のM,C,K色についても同様に、対応する作像部ごとに、その色のトナーパターンを周速V1で回転する感光体ドラム21上に形成し、形成されたトナーパターンを、周速V2(>V1)で周回する中間転写ベルト34に転写した後、転写されたトナーパターンをパターン検出センサー38で検出して、その検出結果に基づき画像形成条件を決定する構成をとることができる。
【0063】
以上、説明したように、感光体ドラム21上に形成されたトナーパターンを構成するラインパターンのトナー像が中間転写ベルト34に転写される際に、感光体ドラム21と中間転写ベルト34の速度差により、ラインパターンを形成するトナー像が占める表面積がそのトナー付着量に応じて広がるようになって、ラインパターンがその線幅方向に均された後に、ラインパターンのトナー像におけるトナー付着量が測定される。
【0064】
従って、指定された目標濃度が高濃度の場合においても、対応するラインパターンのトナー像におけるトナー付着量を、線幅によって変化する反射濃度に基づき正確に測定することができ、測定結果に基づいて適切に画像形成条件を調整することができる。
本発明は、画像形成装置に限られず、画像形成条件を調整する方法であるとしても良い。また、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0065】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、感光体ドラム21上に形成されるトナーパターンP1〜P3のうち、トナー付着量が多いパターンほど、隣り合うラインパターン同士の間隔Dを広くとるとしたが、これに限られない。中間転写ベルト34への転写後に、隣り合うラインパターン同士が互いに隔てられるようになれば良く、例えば等間隔とすることもできる。
【0066】
(2)上記実施の形態では、トナーパターンが、主走査方向に平行な複数本のラインパターンからなるとしたが、これに限られず、例えば1本のラインパターンからなるものであっても良い。また、主走査方向に平行なラインパターンを用いる例を説明したが、これに限られず、例えば副走査方向に平行なラインパターンを用いるとしても良い。
また、感光体ドラム21上に形成されるラインパターンの幅Wが、どの濃度のラインパターンでも同じ幅としたが、これに限られず、例えば濃度ごとに異なる線幅、具体的には濃度が濃くなるに伴って、線幅を広くする、または狭くする構成をとることもできる。
【0067】
さらに、線幅が細いラインパターンを用いることにより、転写後のラインパターンの厚さが略均等になるように線幅方向に広げて均し易くなる構成例を説明したが、トナーパターンは、線状に限定されず、トナー付着量を測定できるものであれば、例えば、ある程度の面積をするベタパターンや、複数個のドットが相互に間隔をあけて配置されてなる網点パターンなどを用いることもできる。
【0068】
(3)上記実施の形態では、中間転写ベルト34上のトナーパターンを検出する部材として、反射型の光学センサーを用いる例を説明したが、これに限られない。例えば、中間転写ベルト34が透光性のものであれば、透過型の光学センサーを用いることもできる。具体的には、発光部から発せられた光を中間転写ベルト34上のトナーパターンに照射し、トナーパターンと中間転写ベルト34を透過した光を、受光部で受光して透過光量を検出するものである。また、光学センサーに限られず、中間転写ベルト34上のトナーパターンのトナー付着量を光学的に測定することができるものであれば良く、例えばCCDなどの受光素子を用いることもできる。
【0069】
(4)上記実施の形態では、高濃度領域のトナーパターンの検出方法を説明したが、高濃度領域よりも濃度が低い低濃度領域や中濃度領域のトナーパターンについても、上記と同様の方法で検出するとしても良いし、低濃度領域と中濃度領域のトナーパターンについては、感光体ドラム21と中間転写ベルト34を同じ周速に設定(通常の画像形成時と同一に)して、感光体ドラム21から中間転写ベルト34への転写を行うとしても良い。
【0070】
(5)上記実施の形態では、感光体ドラム21と中間転写ベルト34を個別に駆動するために2つのモーターを設ける構成例を説明したが、これに限られない。例えば、1つのモーターからの回転駆動力を感光体ドラム21と中間転写ベルト34に分けて伝達する経路を設けると共に、中間転写ベルト34への経路にその周速を切替可能なギアとクラッチなどが組み合わされてなる変速機構を設けて、通常のコピージョブ等の画像形成時には、中間転写ベルト34が感光体ドラム21の周速V1と同じ速度で周回駆動され、トナー付着量最適化処理時には、中間転写ベルト34が周速V2で周回駆動されるように速度を切り替える構成をとることもできる。
【0071】
また、上記では、トナー付着量最適化処理時に感光体ドラム21を周速V1で回転させるとしたが、これに限られない。例えば、トナー付着量を測定できる範囲内で、感光体ドラム21の周速をシステムスピードとは異なる速度V1aに設定し、トナー付着量を測定可能な範囲内で、周速V2>V1aの条件を満たすとしても良い。
(6)上記実施の形態では、本発明に係る画像形成装置をタンデム型カラー複合機に適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロのいずれの画像形成を行うかに関係なく、1以上の感光体ドラムなどの像担持回転体上に形成された画像を、中間転写ベルトなどの中間転写回転体に転写し、中間転写回転体に転写された画像を、記録シート上に転写する構成の画像形成装置であれば、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ装置等に適用できる。
【0072】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置に関し、特に像担持回転体へのトナー付着量を調整する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 複合機
21 感光体ドラム
34 中間転写ベルト
36 一次転写ローラー
38 パターン検出センサー
39 転写出力部
75 パターン形成部
78 トナー付着量算出部
79 補正テーブル記憶部
91Y,92Y,93Y,94,95 ラインパターン
361 一次転写位置
D1,D2,D3,D11,D21,D31 隣り合うラインパターンの間隔
M1 メインモーター
M2 ベルト駆動モーター
P1,P2,P3 トナーパターン
T トナー粒子
V1 感光体ドラムの周速
V2 中間転写ベルトの周速
W,Wa,Wb,Wc ラインパターンの線幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持回転体上に形成されたトナー像を中間転写回転体に転写し、前記中間転写回転体に転写されたトナー像を、搬送されるシート上に転写する画像形成装置であって、
トナー付着量調整用のトナーパターンを前記像担持回転体上に形成する形成手段と、
前記中間転写回転体を、トナーパターン形成時における前記像担持回転体の周速よりも速い速度で回転駆動する駆動手段と、
前記像担持回転体上に形成されたトナーパターンを、前記速い速度で回転している中間転写回転体に転写する転写手段と、
前記中間転写回転体に転写されたトナーパターンのトナー付着量を光学的に測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づいて、トナー付着量が目標値になるように画像形成条件を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持回転体の周速をV1、前記中間転写回転体の周速をV2としたとき、(1.1×V1)≦V2≦(2×V1)の関係を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーパターンは、
トナー像からなる線状の複数のラインパターンが前記像担持回転体の回転方向に間隔をあけて形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上に形成される複数のラインパターンは、
第1濃度の複数のラインパターンが間隔D1をあけて並んでなる第1パターン群と、
第1濃度よりも濃度が濃い第2濃度の複数のラインパターンが間隔D2をあけて並んでなる第2パターン群とを含み、
間隔D1<D2の関係を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1濃度は、3〜6〔g/m〕の範囲内のトナー付着量に相当する濃度であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1濃度のラインパターンと前記第2濃度のラインパターンは、同じ幅であることを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記測定手段は、
前記中間転写回転体に転写されたトナーパターンに光を照射し、その反射光量を検出するセンサーを有し、検出された反射光量に基づきトナー付着量を測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113918(P2013−113918A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257930(P2011−257930)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】