説明

画像形成装置

【課題】画像の印刷時にアンダーランをより確実に防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1のDMA制御部17は、転送要求R1の時にFIFO25に一時蓄積されている黒成分データの量を主走査ライン数に換算した情報I1を、転送要求R1と一緒にバス調停部35に送る。第2のDMA制御部19Cは、転送要求R2の時にFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データの量を主走査ライン数に換算した情報I2を、転送要求R2と一緒にバス調停部35に送る。前記第1のDMA転送要求と前記第2のDMA転送要求とが競合した場合、情報I1で示される主走査ライン数が情報I2で示される主走査ライン数よりも小さければ、第1のDMA制御部17にバス21の使用権が与えら、情報I2で示される主走査ライン数が情報I1で示される主走査ライン数よりも小さければ、第2のDMA制御部19Cにバス21の使用権が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、印刷される画像のデータ転送において、バスへのアクセスが競合した場合のバス調停に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したカラー印刷では、カラー画像を、シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分及び黒成分に分けて、シアン成分データ、マゼンタ成分データ、イエロー成分データ及び黒成分データを用いて各色の静電潜像を形成する。そして、各色の静電潜像に対応する色のトナーにより各色の静電潜像を現像してトナー像とし、送られてきた用紙に各色のトナー像を重ねて転写してカラー画像を印刷する。
【0003】
メモリに展開された各色成分データの転送は、各色成分データに割り当てられたDMAC(Direct Memory Access Controller)により実行され、これらのDMACによるバスへのアクセスが競合した場合、バス調停がされる。
【0004】
従来のバス調停の一例として、複数のデバイスが予め設定された期間内にバスを使用した回数の多い順に、複数のデバイスの順位を決定し、その順位に応じてバス使用の優先度を付与する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−187640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子写真方式の画像形成では、レーザースキャンニングユニット(LSU:Laser Scanning Unit)からのレーザーを感光体ドラムに照射して静電潜像を形成する。このため、LSUに転送するデータはリアルタイム性が求められる。必要なタイミングにデータが間に合わない状態をアンダーランと称される。LSUに転送するデータについて、アンダーランが発生すると、その期間は静電潜像が形成されず、印刷不良となる。
【0007】
本発明は、画像の印刷時にアンダーランをより確実に防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、カラー印刷及びモノクロ印刷を実行する機能を有し、前記モノクロ印刷では、黒成分データと白成分のダミーデータからなるカラー成分データとを用い、かつカラー成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくして印刷を実行する画像形成装置であって、前記カラー印刷では、印刷対象となるカラー画像の黒成分データ及びカラー成分データが展開され、前記モノクロ印刷では、印刷対象となるモノクロ画像の黒成分データ及び前記ダミーデータからなるカラー成分データが展開されるメモリと、バスと、前記メモリに第1のDMA転送要求を送ることにより、前記カラー印刷では前記カラー画像の黒成分データ、前記モノクロ印刷では前記モノクロ画像の黒成分データをそれぞれ、前記バスを使用して前記メモリから読み出し、読み出した黒成分データを一時蓄積する第1のFIFOを含む第1のDMA制御部と、前記メモリに第2のDMA転送要求を送ることにより、前記カラー印刷では前記カラー画像のカラー成分データ、前記モノクロ印刷では前記モノクロ画像の前記ダミーデータからなるカラー成分データをそれぞれ、前記バスを使用して前記メモリから読み出し、読み出したカラー成分データを一時蓄積する第2のFIFOを含む第2のDMA制御部と、前記第1のDMA転送要求と前記第2のDMA転送要求とが競合した場合に前記バスの使用権を調停するバス調停部と、前記第1のFIFOを通して受け取った黒成分データと前記第2のFIFOを通して受け取ったカラー成分データとを用いて、前記カラー印刷では用紙に前記カラー画像を印刷し、前記モノクロ印刷では用紙に前記モノクロ画像を印刷するプリンターエンジンと、を備え、前記第1のDMA制御部は、前記第1のDMA転送要求時に前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量を主走査ライン数に換算した第1の情報を、前記第1のDMA転送要求と一緒に前記バス調停部に送り、前記第2のDMA制御部は、前記第2のDMA転送要求時に前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量を主走査ライン数に換算した第2の情報を、前記第2のDMA転送要求と一緒に前記バス調停部に送り、前記バス調停部は、前記第1のDMA転送要求と前記第2のDMA転送要求とが競合した場合に、前記第1の情報で示される主走査ライン数と前記第2の情報で示される主走査ライン数とを比較し、前記第1の情報で示される主走査ライン数が前記第2の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、前記第1のDMA制御部に前記バスの使用権を与え、前記第2の情報で示される主走査ライン数が前記第1の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、前記第2のDMA制御部に前記バスの使用権を与える。
【0009】
本発明の作用及び効果は、以下の通りである。プリンターエンジンに転送する黒成分データやカラー成分データについて、アンダーランが発生すると、その期間は静電潜像が形成されないので、印刷不良となる。第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量で描ける主走査ラインの数と、第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量で描ける主走査ラインの数とを比べて、大きい方がアンダーランに対する余裕度が大きいことになる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置でのモノクロ印刷の方式は、黒成分データと白成分のダミーデータからなるカラー成分データとを用い、かつカラー成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくして印刷を実行する方式である。この方式では、カラー成分が黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量が少ない。従って、第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量と第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量とが同じでも、一時蓄積されているデータの量で描ける主走査ライン数は、カラー成分データの方が黒成分データよりも多くなる。
【0011】
本発明ではモノクロ印刷において、第1のDMA転送要求時に第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量を主走査ライン数に換算した第1の情報が、第1のDMA転送要求と一緒にバス調停部に送られる。第2のDMA転送要求時に第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量を主走査ライン数に換算した第2の情報が、第2のDMA転送要求と一緒にバス調停部に送られる。そして、第1のDMA転送要求と第2のDMA転送要求とが競合した場合、第1の情報で示される主走査ライン数と第2の情報で示される主走査ライン数とを比較し、第1の情報で示される主走査ライン数が第2の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、第1のDMA制御部にバスの使用権が与えられる。第2の情報で示される主走査ライン数が第1の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、第2のDMA制御部にバスの使用権が与えられる。
【0012】
以上のように、本発明によれば、第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量を主走査ライン数に換算した値と、第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量を主走査ライン数に換算した値とを比較してバスの使用権を調停する。従って、画像の印刷時にアンダーランをより確実に防止することが可能となる。
【0013】
なお、モノクロ印刷において、カラー成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくするとは、例えば、主走査1ライン当たりの画素数及び/又は1画素当たりのビット数(バイト数)を少なくすることである。
【0014】
上記構成において、前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量と前記第1の情報とを対応付けた第1のルックアップテーブルと、前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量と前記第2の情報とを対応付けた第2のルックアップテーブルと、を備え、前記第1のDMA制御部は、前記第1のDMA転送要求時に前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量について、当該黒成分データの量に対応する前記第1の情報を、前記第1のルックアップテーブルを参照して求め、前記第2のDMA制御部は、前記第2のDMA転送要求時に前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量について、当該カラー成分データの量に対応する前記第2の情報を、前記第2のルックアップテーブルを参照して求めることができる。
【0015】
この構成によれば、第1のルックアップテーブルにおいて、第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量と第1の情報とを対応付けており、第2のルックアップテーブルにおいて、第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量と第2の情報とを対応付けている。従って、第1のDMA転送要求時に一緒に送る第1の情報、及び第2のDMA転送要求時に一緒に送る第2の情報を迅速に得ることができる。
【0016】
上記構成において、前記カラー印刷及び前記モノクロ印刷を実行するプログラムを記憶する記憶部を備え、前記プログラムでは、前記モノクロ印刷において、前記モノクロ画像の前記白成分からなるカラー成分の主走査1ライン当たりのデータ量が、前記バスのバス幅と同じにされている。
【0017】
モノクロ印刷では、カラー成分データが白成分のダミーデータからなるので、カラー成分については、主走査1ライン当たりのデータ量を自由に設定することが可能である。この構成によれば、モノクロ印刷において、モノクロ画像の白成分からなるカラー成分の主走査1ライン当たりのデータ量が、バスのバス幅と同じにされている。これにより、第2のDMA転送要求を1回発生させると、主走査1ライン分のカラー成分データを転送させることができる。よって、モノクロ印刷において、プログラムでのカラー成分データの取り扱いを簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像の印刷時にアンダーランをより確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の装置本体の内部構造を示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す画像形成装置に備えられる画像印刷処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】第1のFIFO及び第2のFIFOの構成の一例を示す図である。
【図6】第1のルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図7】第2のルックアップテーブルの一例を示す図である。
【図8】第1のDMA転送要求と第2のDMA転送要求とが競合していない場合のデータ転送を説明するタイミングチャートである。
【図9】第1のDMA転送要求と第2のDMA転送要求とが競合している場合(その1)のデータ転送を説明するタイミングチャートである。
【図10】その1での第1のFIFO及び第2のFIFOのデータ蓄積量の一例を示す図である。
【図11】第1のDMA転送要求と第2のDMA転送要求とが競合している場合(その2)のデータ転送を説明するタイミングチャートである。
【図12】その2での第1のFIFO及び第2のFIFOのデータ蓄積量の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の全体を示す斜視図である。図2は画像形成装置1の装置本体100の内部構造を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400を備える。図2では操作部400を省略している。
【0021】
装置本体100の上に原稿読取部200が配置されており、原稿読取部200の上に原稿給送部300が配置されている。
【0022】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0023】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ、ガラス等の透明部材により構成された原稿台、CCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット(いずれも不図示)を備える。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0024】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙カセット107a〜107dを備える。用紙カセット107a〜107dは三段構成にされている。一番上に用紙カセット107aが配置され、その下に、用紙カセット107bが配置され、一番下に用紙カセット107c,107dが並べて配置されている。
【0025】
用紙カセット107a〜107dのうち、選択されたカセットに貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー(不図示)の駆動により、装置本体100の用紙搬送路107へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路107を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0026】
用紙搬送路107は装置本体100の一方の側面(図2において右側の側面)に沿って下方から上方に向かって略垂直方向に延設され、上方で他方の側面(図2において左側の側面)に向かうように湾曲して、原稿読取部200の下方に沿って略水平方向に延びている。そして、その端部に排出トレイ131が設けられている。用紙搬送路107のうち、略水平方向に延びている部分が、用紙搬送路107eである。
【0027】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103はトナー画像を転写ベルト113に転写する順番に従って配置された、イエロー画像形成部111Y、マゼンタ画像形成部111M、シアン画像形成部111C、ブラック画像形成部111BKを備える。これらのユニットは同様の構成を有しており、イエロー画像形成部111Yを例にして説明する。
【0028】
イエロー画像形成部111Yは感光体ドラム115及び露光装置117を備える。感光体ドラム115の周りには帯電装置119、現像装置121及びクリーニング装置123が配置されている。帯電装置119は感光体ドラム115の周面を一様に帯電させる。露光装置117は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム115の周面に照射する。これにより、感光体ドラム115の周面にはイエローの画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム115の周面に現像装置121からイエロートナーを供給することにより、周面にはイエローの画像データに対応するトナー画像が形成される。
【0029】
転写ベルト113は感光体ドラム115と1次転写ローラー125により挟まれた状態で反時計周りに動くことができる。イエローのトナー画像は感光体ドラム115から転写ベルト113に転写される。感光体ドラム115の周面に残っているイエロートナーはクリーニング装置123によって除去される。以上がイエロー画像形成部111Yの説明である。
【0030】
イエロー画像形成部111Y、マゼンタ画像形成部111M、シアン画像形成部111C、ブラック画像形成部111BKの上方には、対応する色のトナーを収容したコンテナー、すなわち、イエロートナー用コンテナー127Y、マゼンタトナー用コンテナー127M、シアントナー用コンテナー127C、ブラックトナー用コンテナー127BKが配置されている。各色の現像装置121には対応するコンテナーからトナーが補給される。
【0031】
上述したように転写ベルト113にはイエローのトナー画像が転写され、このトナー画像に重ねてマゼンタのトナー画像が転写され、同様に、シアンのトナー画像、ブラックのトナー画像が重ねて転写される。これにより転写ベルト113にカラーのトナー画像が形成される。このように各色のパターンのトナー画像を転写ベルト113に重畳して転写することにより、転写ベルト113にカラーのトナー画像が形成される。カラーのトナー画像は2次転写ローラー129によって、先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0032】
カラーのトナー画像が転写された用紙は、定着部105に送られる。定着部105は加熱ローラーと定着ローラーとを備える。これらのローラーによって、カラーのトナー画像が転写された用紙が挟まれる。これにより、カラーのトナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、カラーのトナー画像を用紙に定着させる。用紙は排紙トレイ131に排紙される。
【0033】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0034】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー、テンキー、ストップキー、リセットキー、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー等が設けられている。
【0035】
スタートキーはコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキーはコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキーはコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキーは設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0036】
機能切換キーはコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0037】
図3は図1に示す画像形成装置1の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作部400、制御部500及び通信部600がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400に関しては既に説明したので、説明を省略する。
【0038】
制御部500はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び画像メモリ等を備える。CPUは画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、装置本体100等の画像形成装置1の上記構成要素に対して実行する。ROMは画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶している。RAMはソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。画像メモリは画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。
【0039】
制御部500は画像印刷処理部501の機能を有する。これについては、後で説明する。
【0040】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0041】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0042】
図4は、画像印刷処理部501の構成を示すブロック図である。画像印刷処理部501は、CPU11、EEPROM13、DRAM15、第1のDMA制御部17、第2のDMA制御部19C,19M,19Yが、バス21に接続された構成を有する。画像印刷処理部501は、さらに、バス調停部35、第1の画像処理部23及び第2の画像処理部29C,29M,29Yを備える。
【0043】
EEPROM13は記憶部の一例であり、カラー印刷及びモノクロ印刷を実行するプログラムを予め記憶している。このプログラムにおいて、カラー印刷での黒成分及びカラー成分(シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分)の主走査1ライン当たりのデータ量、並びにモノクロ印刷での黒成分及び白成分からなるカラー成分(シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分)の主走査1ライン当たりのデータ量が決められている。後で説明するように、モノクロ印刷において、モノクロ画像の白成分からなるカラー成分の主走査1ライン当たりのデータ量が、バス21のバス幅と同じにされている。
【0044】
CPU11は、EEPROM13に記憶されている上記プログラムに従って、画像印刷処理部501の動作を制御する。
【0045】
DRAM15はメモリの一例であり、PDL(page description language)で記述された印刷対象となる画像の印刷データが、ドットデータとして展開される。詳細に説明すると、カラー印刷では、印刷対象となるカラー画像の黒成分データD1、シアン成分データD2、マゼンタ成分データD3、イエロー成分データD4のそれぞれのドットデータが、DRAM15に展開される。シアン成分データD2、マゼンタ成分データD3及びイエロー成分データD4が、カラー成分データである。
【0046】
モノクロ印刷では、印刷対象となるモノクロ画像の黒成分データD1、シアン成分データD2、マゼンタ成分データD3、イエロー成分データD4のそれぞれのドットデータが、DRAM15に展開される。シアン成分データD2、マゼンタ成分データD3及びイエロー成分データD4が、カラー成分データである。モノクロ印刷では、カラー成分データは白成分のダミーデータである。
【0047】
カラー印刷では黒成分データ、シアン成分データ、マゼンタ成分データ及びイエロー成分データを扱うが、モノクロ印刷では黒成分データのみを扱うようにすれば、カラー印刷とモノクロ印刷とで別個の印刷プログラムが必要となる。本実施形態のように、モノクロ印刷でもシアン成分データ、マゼンタ成分データ及びイエロー成分データを扱うことにより、カラー印刷とモノクロ印刷とで印刷プログラムを共通化できる。
【0048】
モノクロ印刷において、シアン成分データ、マゼンタ成分データ及びイエロー成分データを扱う場合、これらのカラー成分データは白成分のダミーデータなので、印刷されない。このため、印刷プログラムでは、カラー成分を黒成分よりも印刷時の主走査1ライン当たりのデータ量が少なくするようにされている。これにより、CPU11等の負担を軽減している。モノクロ印刷において、カラー成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくするとは、例えば、主走査1ライン当たりの画素数及び/又は1画素当たりのビット数(バイト数)を少なくすることである。
【0049】
第1のDMA制御部17は、CPU11からデータ転送の権限が与えられることにより、CPU11の代わりに、DRAM15に展開されている黒成分データD1を第1の画像処理部23に転送する。第1のDMA制御部17が黒成分データD1の転送を実行する場合、第1のDMA制御部17はバス21を使用して第1のDMA転送要求R1をDRAM15に送る。これにより、DRAM15に展開されている黒成分データD1がバス21を使用して第1の画像処理部23に転送される。
【0050】
第1のDMA制御部17は、第1のFIFO25と第1のルックアップテーブル27とを備える。これらについては後で説明する。
【0051】
第2のDMA制御部19Cは、CPU11からデータ転送の権限が与えられることにより、CPU11の代わりに、DRAM15に展開されているシアン成分データD2を第2の画像処理部29Cに転送する。第2のDMA制御部19Cがシアン成分データD2の転送を実行する場合、第2のDMA制御部19Cはバス21を使用して第2のDMA転送要求R2をDRAM15に送る。これにより、DRAM15に展開されているシアン成分データD2がバス21を使用して第2の画像処理部29Cに転送される。第2のDMA制御部19Mはマゼンタ成分データD3について、第2のDMA制御部19Yはイエロー成分データD4について、第2のDMA制御部19Cと同様の処理をする。第2のDMA制御部19C,19M,19Yを区別する必要がなければ、第2のDMA制御部19と記載する。
【0052】
第2のDMA制御部19Cは、第2のFIFO31Cと第2のルックアップテーブル33Cとを備える。第2のDMA制御部19Mは、第2のFIFO31Mと第2のルックアップテーブル33Mとを備える。第2のDMA制御部19Yは、第2のFIFO31Yと第2のルックアップテーブル33Yとを備える。これらについては後で説明する。
【0053】
バス調停部35は、黒成分データD1についての第1のDMA転送要求R1、シアン成分データD2についての第2のDMA転送要求R2、マゼンタ成分データD3についての第2のDMA転送要求R3、及び、イエロー成分データD4についての第2のDMA転送要求R4のうち、少なくとも二つが競合した場合に、いずれのDMA制御部にバス21の使用権を与えるかを調停する。
【0054】
第1の画像処理部23は、ズーム処理、フィルター処理等を黒成分データD1に対して実行する。ズーム処理とは、主走査方向に対する画像を拡大又は縮小する処理である。フィルターとは、画像を平滑化又は強調する処理である。第1の画像処理部23で処理された黒成分データD1は、ブラック画像形成部111BKの露光装置117に送られて、黒成分の静電潜像を形成するためのビーム光が生成される。
【0055】
第2の画像処理部29Cは、ズーム処理、フィルター処理等をシアン成分データD2に対して実行する。第2の画像処理部29Cで処理されたシアン成分データD2は、シアン画像形成部111Cの露光装置117に送られて、シアン成分の静電潜像を形成するためのビーム光が生成される。
【0056】
第2の画像処理部29Mは、ズーム処理、フィルター処理等をマゼンタ成分データD3に対して実行する。第2の画像処理部29Mで処理されたマゼンタ成分データD3は、マゼンタ画像形成部111Mの露光装置117に送られて、マゼンタ成分の静電潜像を形成するためのビーム光が生成される。
【0057】
第2の画像処理部29Yは、ズーム処理、フィルター処理等をイエロー成分データD4に対して実行する。第2の画像処理部29Yで処理されたイエロー成分データD4は、イエロー画像形成部111Yの露光装置117に送られて、イエロー成分の静電潜像を形成するためのビーム光が生成される。第2の画像処理部29C,29M,29Yを区別する必要がなければ、第2の画像処理部29と記載する。
【0058】
ブラック画像形成部111BK、シアン画像形成部111C、マゼンタ画像形成部111M及びイエロー画像形成部111Yの露光装置117は、レーザースキャンニングユニット(LSU)である。
【0059】
以上のように、画像印刷処理部501で処理された各色成分のデータは、プリンターエンジン133の各色の露光装置117に送られる。プリンターエンジン133は、ブラック画像形成部111BK、シアン画像形成部111C、マゼンタ画像形成部111M及びイエロー画像形成部111Yを含む。プリンターエンジン133は、第1のFIFO25を通して受け取った黒成分データD1と第2のFIFO31C,31M,31Yを通して受け取ったカラー成分データ(シアン成分データD2、マゼンタ成分データD3、イエロー成分データD4)とを用いて、カラー印刷では用紙にカラー画像を印刷し、モノクロ印刷では用紙にモノクロ画像を印刷する。
【0060】
第1のFIFO25及び第2のFIFO31C,31M,31Yについて説明する。第2のFIFOはシアン成分データ用の第2のFIFO31Cを用いて説明するが、マゼンタ成分データ及びイエロー成分データ用の第2のFIFO31M,31Yについても同じことが言える。
【0061】
第1の画像処理部23で処理された黒成分データD1は、ブラック画像形成部111BKの露光装置117に転送される。露光装置117に転送される黒成分データD1について、アンダーランが発生すれば、その期間中、黒成分の静電潜像を形成できない。同様に、第2の画像処理部29Cで処理されたシアン成分データD2は、シアン画像形成部111Cの露光装置117に転送される。露光装置117に転送されるシアン成分データD2について、アンダーランが発生すれば、その期間中、シアン成分の静電潜像を形成できない。
【0062】
黒成分データD1についてアンダーランが発生するのを防止するために、第1のFIFO25を設けて、第1のDMA制御部17がDRAM15から読み出した黒成分データD1を、第1のFIFO25に一時蓄積する。DRAM15から読み出された黒成分データD1は、第1のFIFO25を通して、第1の画像処理部23に送られる。同様に、シアン成分データD2についてアンダーランが発生するのを防止するために、第2のFIFO31Cを設けて、第2のDMA制御部19CがDRAM15から読み出したシアン成分データD2を、第2のFIFO31Cに一時蓄積する。DRAM15から読み出されたシアン成分データD2は、第2のFIFO31Cを通して、第2の画像処理部29Cに送られる。
【0063】
図5は、第1のFIFO25及び第2のFIFO31Cの構成の一例を示す図である。第1のFIFO25及び第2のFIFO31Cは、いずれも1000段FIFOであり、1段が8ビットである。
【0064】
カラー印刷では、黒成分及びシアン成分の主走査1ラインが例えば5000画素であり、1画素が例えば8ビットである。従って、第1のFIFO25が満杯であれば、主走査ラインが0.2ライン分の黒成分データD1が蓄積されていることになる。同様に、第2のFIFO31Cが満杯であれば、主走査ラインが0.2ライン分のシアン成分データD2が蓄積されていることになる。
【0065】
これに対して、モノクロ印刷では、黒成分の主走査1ラインがカラー印刷と同様に5000画素であり、1画素が8ビットである。しかし、シアン成分の主走査1ラインが例えば128画素であり、1画素が例えば1ビットである。モノクロ印刷では、シアン成分は白成分のダミーなので、1ビットで1画素を表現でき、主走査1ラインの画素数を128とし、バス21のバス幅と同じにしている。
【0066】
モノクロ印刷において、第1のFIFO25が満杯であれば、主走査ラインが0.2ライン分の黒成分データD1が蓄積されていることになる。一方、第2のFIFO31Cが満杯であれば、主走査ラインが62.5ライン分のシアン成分データD2が蓄積されていることになる。
【0067】
このように、モノクロ印刷では、カラー成分(シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分)は黒成分に比べて、主走査1ラインを構成する画素数及び1画素を構成するビット数が少ないので、第1のFIFO25と第2のFIFO31C,31M,31Yとに蓄積されているデータ量が同じでも、アンダーランに対する余裕度が異なる。主走査ライン数が多ければ、それだけアンダーランに対して余裕があることになる。
【0068】
図6は、第1のDMA制御部17に備えられる第1のルックアップテーブル27の一例を示す図である。図7は、第2のDMA制御部19Cに備えられる第2のルックアップテーブル33Cの一例を示す図である。第2のルックアップテーブルはシアン成分データ用の第2のルックアップテーブル33Cを用いて説明するが、マゼンタ成分データ用及びイエロー成分データ用の第2のルックアップテーブル33M,33Yについても同じことが言える。
【0069】
第1のルックアップテーブル27は、モノクロ印刷において、第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量と、それらのデータ量を主走査ライン数に換算した値(第1の情報I1)とを対応付けたテーブルである。第2のルックアップテーブル33Cは、モノクロ印刷において、第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量と、それらのデータ量を主走査ライン数に換算した値(第2の情報I2)とを対応付けたテーブルである。
【0070】
第1のDMA制御部17は、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量について、その黒成分データD1の量に対応する第1の情報I1を、第1のルックアップテーブル27を参照して求める。第1のDMA制御部17は、第1の情報I1を第1のDMA転送要求R1と一緒にバス調停部35に送る。
【0071】
第2のDMA制御部19Cは、第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量について、そのシアン成分データD2に対応する第2の情報I2を、第2のルックアップテーブル33Cを参照して求める。第2のDMA制御部19Cは、第2の情報I2を第2のDMA転送要求R2と一緒にバス調停部35に送る。
【0072】
第2のDMA制御部19Mは、第2のDMA転送要求R3の時に第2のFIFO31Mに一時蓄積されているマゼンタ成分データD3の量について、そのマゼンタ成分データD3の量に対応する第2の情報I3を、第2のルックアップテーブル33Mを参照して求める。第2のDMA制御部19Mは、第2の情報I3を第2のDMA転送要求R3と一緒にバス調停部35に送る。
【0073】
第2のDMA制御部19Yは、第2のDMA転送要求R4の時に第2のFIFO31Yに一時蓄積されているイエロー成分データD4の量について、そのイエロー成分データD4に対応する第2の情報I4を、第2のルックアップテーブル33Yを参照して求める。第2のDMA制御部19Yは、第2の情報I4を第2のDMA転送要求R4と一緒にバス調停部35に送る。
【0074】
バス調停部35について説明する。カラー成分データについては、シアン成分データD2を用いて説明するが、マゼンタ成分データD3及びイエロー成分データD4についても同じことが言える。図8は、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合していない場合のデータ転送を説明するタイミングチャートである。
【0075】
第1のDMA転送要求R1及び第2のDMA転送要求R2のいずれも、Hレベルであればアクティブであり、Lレベルであればノンアクティブである。第1のDMA転送要求R1がアクティブの期間と第2のDMA転送要求R2がアクティブの期間とが重なっていれば、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合する。
【0076】
図8に示すように、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合していなければ、バス調停部35ではバス21の使用権の調停がされない。第1のDMA制御部17は、第1のDMA転送要求R1がアクティブの期間に、図4に示すDRAM15に展開されている黒成分データD1を読み出して、第1のFIFO25を経由して、第1の画像処理部23に転送する。第2のDMA制御部19Cは、第2のDMA転送要求R2がアクティブの期間に、DRAM15に展開されているシアン成分データD2を読み出して、第2のFIFO31Cを経由して、第2の画像処理部29Cに転送する。
【0077】
図9は、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合している場合のデータ転送を説明するタイミングチャートである。例えば、図10に示すように、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量を500段とし、第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量を16段とする。
【0078】
第1のDMA制御部17は、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1について、その黒成分データD1に対応する換算値(第1の情報)を、図6に示す第1のルックアップテーブル27を参照して求める。この場合は、0.1(つまり、主走査ラインが0.1ライン分)となる。
【0079】
第2のDMA制御部19Cは、第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2について、そのシアン成分データに対応する換算値(第2の情報)を、図7に示す第2のルックアップテーブル33Cを参照して求める。この場合は、1.0(つまり、主走査ラインが1.0ライン分)となる。
【0080】
バス調停部35は、黒成分データD1についての換算値(0.1)とシアン成分データD2についての換算値(1.0)とを比較し、黒成分データD1の換算値がシアン成分データD2の換算値よりも小さいので、第1のDMA制御部17にバス21の使用権を与える。従って、第1のDMA転送要求R1がアクティブの期間と第2のDMA転送要求R2がアクティブの期間とか重なる期間Taでは、第1のDMA制御部17は、DRAM15に展開されている黒成分データD1を読み出して、第1のFIFO25を経由して、第1の画像処理部23に転送する。期間Ta中、第2のDMA制御部19Cは、DRAM15に展開されているシアン成分データD2を読み出すことができない。期間Taの終了後、第2のDMA制御部19Cは、DRAM15に展開されているシアン成分データD2を読み出し第2のFIFO31Cを経由して、第2の画像処理部29Cに転送する。
【0081】
図11は、図9と同様に、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合している場合のデータ転送を説明するタイミングチャートである。例えば、図12に示すように、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データの量を800段とし、第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データの量を2段とする。
【0082】
第1のDMA制御部17は、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1について、その黒成分データD1に対応する換算値(第1の情報)を、図6に示す第1のルックアップテーブル27を参照して求める。この場合は、0.16(つまり、主走査ラインが0.16ライン分)となる。
【0083】
第2のDMA制御部19Cは、第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2について、そのシアン成分データD2に対応する換算値(第2の情報)を、図7に示す第2のルックアップテーブル33Cを参照して求める。この場合は、0.125(つまり、主走査ラインが0.125ライン分)となる。
【0084】
バス調停部35は、黒成分データD1についての換算値(0.16)とシアン成分データD2についての換算値(0.125)とを比較し、シアン成分データD2の換算値が黒成分データD1の換算値よりも小さいので、第2のDMA制御部19Cにバス21の使用権を与える。従って、第1のDMA転送要求R1がアクティブの期間と第2のDMA転送要求R2がアクティブの期間とか重なる期間Tbでは、第2のDMA制御部19Cは、DRAM15に展開されているシアン成分データD2を読み出して、第2のFIFO31Cを経由して、第2の画像処理部29Cに転送する。期間Tb中、第1のDMA制御部17は、DRAM15に展開されている黒成分データD1を読み出すことができない。期間Tbの終了後、第1のDMA制御部17は、DRAM15に展開されている黒成分データD1を読み出し第1のFIFO25を経由して、第1の画像処理部23に転送する。
【0085】
本実施形態の主な効果を説明する。カラー成分としてシアン成分を用いて説明するが、マゼンタ成分及びイエロー成分についても同じことが言える。図4を参照して、プリンターエンジン133に転送する黒成分データD1やシアン成分データD2について、アンダーランが発生すると、その期間は静電潜像が形成されないので、印刷不良となる。第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量で描ける主走査ラインの数と、第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量で描ける主走査ラインの数とを比べて、大きい方がアンダーランに対する余裕度が大きいことになる。
【0086】
本実施形態に係る画像形成装置1でのモノクロ印刷の方式は、黒成分データD1と白成分のダミーデータからなるシアン成分データD2とを用い、かつシアン成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくして印刷を実行する方式である。この方式では、シアン成分が黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量が少ない。従って、第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量と第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量とが同じでも、一時蓄積されているデータの量で描ける主走査ライン数は、シアン成分データD2の方が黒成分データD1よりも多くなる。
【0087】
本実施形態ではモノクロ印刷において、第1のDMA転送要求R1の時に第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量を主走査ライン数に換算した第1の情報I1が、第1のDMA転送要求R1と一緒にバス調停部35に送られる。第2のDMA転送要求R2の時に第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量を主走査ライン数に換算した第2の情報I2が、第2のDMA転送要求R2と一緒にバス調停部35に送られる。そして、第1のDMA転送要求R1と第2のDMA転送要求R2とが競合した場合、第1の情報I1で示される主走査ライン数と第2の情報I2で示される主走査ライン数とを比較し、第1の情報I1で示される主走査ライン数が第2の情報I2で示される主走査ライン数よりも小さければ、第1のDMA制御部17にバス21の使用権が与えられる。第2の情報I2で示される主走査ライン数が第1の情報I1で示される主走査ライン数よりも小さければ、第2のDMA制御部19Cにバス21の使用権が与えられる。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量を主走査ライン数に換算した値と、第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量を主走査ライン数に換算した値とを比較して、バス21の使用権を調停する。従って、画像の印刷時にアンダーランをより確実に防止することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態によれば、図6に示す第1のルックアップテーブル27において、第1のFIFO25に一時蓄積されている黒成分データD1の量と第1の情報I1とを対応付けており、図7に示す第2のルックアップテーブル33Cにおいて、第2のFIFO31Cに一時蓄積されているシアン成分データD2の量と第2の情報I2とを対応付けている。従って、第1のDMA転送要求R1の時に一緒に送る第1の情報I1、及び第2のDMA転送要求R2の時に一緒に送る第2の情報I2を迅速に得ることができる。
【0090】
さらに、本実施形態によれば、モノクロ印刷において、モノクロ画像の白成分からなるシアン成分の主走査1ライン当たりのデータ量が、バス21のバス幅(128)と同じにされている。これにより、第2のDMA転送要求R2を1回発生させると、主走査1ライン分のシアン成分データD2を転送させることができる。よって、モノクロ印刷において、プログラムでのシアン成分データD2の取り扱いを簡単にすることができる。
【0091】
本実施形態として電子写真方式の画像形成装置1を例に説明したが、本発明はインクジェット方式の画像形成装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 画像形成装置
13 EEPROM(記憶部の一例)
15 DRAM(メモリの一例)
17 第1のDMA制御部
19,19C,19M,19Y 第2のDMA制御部
21 バス
25 第1のFIFO
33,33C,33M,33Y 第2のFIFO
35 バス調停部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー印刷及びモノクロ印刷を実行する機能を有し、前記モノクロ印刷では、黒成分データと白成分のダミーデータからなるカラー成分データとを用い、かつカラー成分を黒成分よりも主走査1ライン当たりのデータ量を少なくして印刷を実行する画像形成装置であって、
前記カラー印刷では、印刷対象となるカラー画像の黒成分データ及びカラー成分データが展開され、前記モノクロ印刷では、印刷対象となるモノクロ画像の黒成分データ及び前記ダミーデータからなるカラー成分データが展開されるメモリと、
バスと、
前記メモリに第1のDMA転送要求を送ることにより、前記カラー印刷では前記カラー画像の黒成分データ、前記モノクロ印刷では前記モノクロ画像の黒成分データをそれぞれ、前記バスを使用して前記メモリから読み出し、読み出した黒成分データを一時蓄積する第1のFIFOを含む第1のDMA制御部と、
前記メモリに第2のDMA転送要求を送ることにより、前記カラー印刷では前記カラー画像のカラー成分データ、前記モノクロ印刷では前記モノクロ画像の前記ダミーデータからなるカラー成分データをそれぞれ、前記バスを使用して前記メモリから読み出し、読み出したカラー成分データを一時蓄積する第2のFIFOを含む第2のDMA制御部と、
前記第1のDMA転送要求と前記第2のDMA転送要求とが競合した場合に前記バスの使用権を調停するバス調停部と、
前記第1のFIFOを通して受け取った黒成分データと前記第2のFIFOを通して受け取ったカラー成分データとを用いて、前記カラー印刷では用紙に前記カラー画像を印刷し、前記モノクロ印刷では用紙に前記モノクロ画像を印刷するプリンターエンジンと、を備え、
前記第1のDMA制御部は、前記第1のDMA転送要求時に前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量を主走査ライン数に換算した第1の情報を、前記第1のDMA転送要求と一緒に前記バス調停部に送り、
前記第2のDMA制御部は、前記第2のDMA転送要求時に前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量を主走査ライン数に換算した第2の情報を、前記第2のDMA転送要求と一緒に前記バス調停部に送り、
前記バス調停部は、前記第1のDMA転送要求と前記第2のDMA転送要求とが競合した場合に、前記第1の情報で示される主走査ライン数と前記第2の情報で示される主走査ライン数とを比較し、前記第1の情報で示される主走査ライン数が前記第2の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、前記第1のDMA制御部に前記バスの使用権を与え、前記第2の情報で示される主走査ライン数が前記第1の情報で示される主走査ライン数よりも小さければ、前記第2のDMA制御部に前記バスの使用権を与える画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量と前記第1の情報とを対応付けた第1のルックアップテーブルと、
前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量と前記第2の情報とを対応付けた第2のルックアップテーブルと、を備え、
前記第1のDMA制御部は、前記第1のDMA転送要求時に前記第1のFIFOに一時蓄積されている黒成分データの量について、当該黒成分データの量に対応する前記第1の情報を、前記第1のルックアップテーブルを参照して求め、
前記第2のDMA制御部は、前記第2のDMA転送要求時に前記第2のFIFOに一時蓄積されているカラー成分データの量について、当該カラー成分データの量に対応する前記第2の情報を、前記第2のルックアップテーブルを参照して求める請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カラー印刷及び前記モノクロ印刷を実行するプログラムを記憶する記憶部を備え、
前記プログラムでは、前記モノクロ印刷において、前記モノクロ画像の前記白成分からなるカラー成分の主走査1ライン当たりのデータ量が、前記バスのバス幅と同じにされている請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate