説明

画像形成装置

【課題】横方向にも縦方向にも小型化した転写ベルトユニットを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の感光体ドラム10と、複数の支持ローラに巻回され、複数の感光体ドラム10に沿って配設され、感光体ドラム10上に形成されたトナー画像を一次転写され、一次転写されたトナー画像を画像形成媒体に二次転写する転写ベルト8と、感光体ドラム10と転写ベルト8とを接触させるべく複数の感光体ドラム10に対応し、転写ベルト8を挟んで反対側に配置される複数の一次転写ローラ25と、を備え、複数の支持ローラは、従動ローラ22と、転写ベルトを介して二次転写ローラ24と圧接するバックアップローラ23と、バックアップローラ23の軸中心を支点に回動するアーム48に支持され、非画像形成時には転写ベルト8の内側方向に回動し、画像形成時には転写ベルト8の外側方向に回動して転写ベルト8を循環移動方向に駆動する駆動ローラ21と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係わり、特に横方向にも縦方向にも小型化した転写ベルトユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーを用いて電子写真方式でトナー像を感光体上に形成し、このトナー像をベルトに一次転写し、その一次転写画像を用紙に二次転写し、この転写トナー像を定着器で用紙に定着してモノクロ又はフルカラーの画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
従来は、感光体が、ベルトの上部循環移動面に当接してベルトにトナー像を転写する形式が多かったが、近年、感光体がベルトの下部循環移動面に当接してベルトにトナー像を一次転写する形式のものが提案されている。(例えば、特許文献1、2参照。)
【0004】
ところで、上記特許文献1、2のように、ベルトの循環移動方向に沿って感光体が多段式に並設されている画像形成装置においては、通常、モノクロ画像形成モードとカラー画像形成モードの2つの処理モードを備えている。
【0005】
モノクロモードでは黒トナーのトナー像を担持する感光体のみをベルトに当接させ、カラーモードでは黒トナーの感光体も含む全て(通常は4個)の感光体をベルトに当接させるよう切り替える必要がある。
【0006】
例えば、特許文献1では、中間転写ベルト8の下部移動面の内側で感光体ドラム1Y、1M、1Cに対向する転写ローラ9Y、9M、9Cを保持する保持部材90が保支軸90aを支点に回動することにより、転写ローラ9Y、9M、9Cを感光体ドラム1Y、1M、1C及び中間転写ベルト8に対して離接させている。
【0007】
また、例えば、特許文献2では、カラー用バックアップローラ5の軸を中心に回転するカラーフレーム6と、このカラーフレーム6に係合するスプリング10、カム9、及びリンク部材12から構成される接離機構によって、YMCカラー用転写ローラが感光体1及び転写ベルト8に対して離接するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−122601号公報
【特許文献2】特開2005−062642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、一般にモノクロモードとカラーモードとの切り替えにおいては、カラーモードからモノクロモードに切り替えたとき、ベルトに弛みが生じる。特許文献1、2においてはこのベルトに弛みを吸収するために、いずれも、ベルトを横方向に引き伸ばす機構を備えている。
【0010】
すなわち、特許文献1では、テンシヨンローラ13を備え、特許文献2では、テンシヨンロ−ラ3を備えている。いずれも、ベルトの弛みを吸収するときにはベルトが横に引き伸ばされる形となる。
【0011】
換言すれば、ベルトの横方向への動作範囲が大きくなる。したがって、ベルトユニットが大型化する。ひいては画像形成装置本体が横方向に大型化するという解決すべき課題がある。
【0012】
また、特許文献1、2において、ベルトユニットの内部に保持部材90やカラーフレーム6を備えるために、高さ方向の寸法に余裕を持たせた設計が必要になる。また、ベルトユニットの右側は、駆動ローラと従動ローラ、又は駆動ローラと入口ローラの2つのローラが上下に固定して配置されている。このためベルトユニットの総合的な高さ方向の寸法には変化がない。
【0013】
このため、ベルトユニットを装置本体の装着部に着脱するときは、感光体ドラムから離間させるため、ベルトユニットを上方向に移動させるための空間が必要となる。つまり、画像形成装置本体が縦方向に大型化するという解決すべき課題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、横方向にも縦方向にも小型化した転写ベルトユニットを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、並設される複数の感光体ドラムと、複数の支持ローラに巻回され、上記複数の感光体ドラムに沿って配設され、所定の感光体ドラム上に形成されたトナー画像を一次転写され、この一次転写されたトナー画像を二次転写部において搬送中の画像形成媒体に二次転写する転写ベルトと、上記感光体ドラムと上記転写ベルトとを接触させるべく、上記複数の感光体ドラムに対応し、上記転写ベルトを挟んで反対側に配置される複数の一次転写ローラと、を備え、上記複数の支持ローラは、上記転写ベルトを介して二次転写ローラと圧接するバックアップローラと、非画像形成時には上記転写ベルトの内側方向に移動し、画像形成時には上記転写ベルトの外側方向に移動して上記転写ベルトを循環移動方向に駆動する駆動ローラと、を少なくとも備えて構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、非画像形成時及びモノクロモードとカラーモードの切り替え時に発生する転写ベルトの弛みを回動型の駆動ローラで吸収するので、横方向にも縦方向にも小型化したベルトユニットを備えた画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】(a)は実施例1に係るプリンタの外観斜視図、(b) はプリンタの画像形成部の現像装置及びトナー供給部のリザーブタンクとトナーカートリッジを分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げて転写ベルトと共に模式的に示す斜視図である。
【図3】実施例1に係るプリンタの転写ベルトユニットの要部の構成を詳細に示す拡大図である。
【図4】(a),(b),(c)は図3に示した転写ベルトユニットの要部の構成を簡略に示し、その構成による転写ベルトの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。尚、本例のプリンタにおける一次転写では、直圧式ではなくシフト式を採用している。
【0020】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0021】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の中間転写ベルト8の下部走行面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設して構成される。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0022】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9c、9m及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0023】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0024】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0025】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0026】
この現像器14には、トナー供給部4のリザーブタンク20から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0027】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した中間転写ベルト8と、この中間転写ベルト8を掛け渡されて中間転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0028】
転写ベルトユニット3は、更に、駆動ローラ21も上方で中間転写ベルト8を掛け渡されている二次転写バックアップローラ23を備えている。二次転写バックアップローラ23には、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が圧接して、二次転写部を形成している。
【0029】
上記の中間転写ベルト8には、一次転写ローラ25がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ25は感光体ドラム10に対し中間転写ベルト8の循環移動方向下流側にややシフトした位置で中間転写ベルト8を挟むように配置されている。
【0030】
一次転写ローラ25は、下方を循環移動するベルト表面にトナー像を直接転写(一次転写)する。中間転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、二次転写ローラ24が中間転写ベルト8を介して二次転写バックアップローラ23に圧接する、二次転写部まで搬送する。
【0031】
中間転写ベルト8には、従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ26が配置されている。ベルトクリーナ26の下方には、ベルトクリーナ26が中間転写ベルト8から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器27が着脱自在に配置されている。
【0032】
トナー供給部4は、中間転写ベルト8の上部走行面の上方に配置されている前述した4個のリザーブタンク20と、これらのリザーブタンク20の上にそれぞれ着脱自在に配置されたトナー補充用のトナーカートリッジ28で構成される。
【0033】
4個のトナーカートリッジ28は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーを収容し、4個のリザーブタンク20は、それぞれ上に装着されているトナーカートリッジ28からトナーを補充される。
【0034】
これら4個のリザーブタンク20は、後述するトナー供給路(図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えない)により対応する現像装置9の現像器14と連結されている。
【0035】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0036】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ26の左方から従動ローラ22の上方にかけて2つの電装部29が配設されている。電装部29には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0037】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット31(31a、31b)を備えている。2個の給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0038】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0039】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0040】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0041】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cを有する返送路39を備えている。
【0042】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット31bに対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に合流している。
【0043】
図2(a)は、上記のプリンタ1の外観斜視図、図2(b)は画像形成部2の現像装置9及びトナー供給部4のリザーブタンク20とトナーカートリッジ28を、分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げ、中間転写ベルト8と共に模式的に示す斜視図である。尚、図2(a),(b)には図1と同一の構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。
【0044】
図2(a) に示すように、プリンタ1には、前方に前扉42が備えられ、右側面には上部に取っ手43が付いている開閉部材44が備えられている。開閉部材44には図1に示した両面印刷用搬送ユニット7が一体化されている。
【0045】
このプリンタ1は、図1に示したように、用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対35により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に転写ベルト8を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0046】
したがって、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図1の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、図2(a)に示す前扉42を開いて、キット類を長手方向(前扉方向)に入れ替え操作するように構成されている。
【0047】
また、このプリンタ1は、同様に二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に転写ベルト8を介してトナー像を転写し、更に鉛直方向に用紙を搬送して転写トナー像を用紙に定着する方式となっている。
【0048】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図2(a)に示すように、右側の開閉部材44を開放するのみで対処できるようになっている。
【0049】
図2(b)に示すトナーカートリッジ28は、同図(a)に示すプリンタ1本体に対し前面方向に、すなわち図2(b)の両方向矢印bで示すように、リザーブタンク20に対して着脱自在である。転写ベルトユニット3も同様にプリンタ1本体に対し前面方向に着脱自在である。
【0050】
トナーカートリッジ28とリザーブタンク20の間には、図2(b)では陰になって見えないが、トナーカートリッジ28がリザーブタンク20に装着されたとき、リザーブタンク20と連通して、リザーブタンク20にトナーを補充するためのトナー補充口が形成されている。
【0051】
また、トナーカートリッジ28のスクリュー軸には、外部からカートリッジモータ45が係合し、リザーブタンク20のスクリュー軸には、外部からリザーブタンクモータ46が係合している。トナーカートリッジ28のスクリュー軸とフィンからなるトナー補給機構は、内部のトナーを上記のトナー補充口まで搬送する。
【0052】
リザーブタンク20のスクリュー軸とフィンからなるトナー補給機構は、トナーカートリッジ28からトナー補充口を介して補充されるトナーをリザーブタンク20と現像器14を連結するトナー補給路47の上端開口部まで搬送する。トナー補給路47は、転写ベルトユニット3の後方に回り込んで配置され、現像器14に連結されている。
【0053】
図3は、上記構成のプリンタ1における転写ベルトユニット3の要部の構成を詳細に示す拡大図である。尚、図3において、図1及び図2と同一の構成部分には図1及び図2と同一の番号を付与して示している。
【0054】
図3に示すように、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の右端部には、転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が二次転写バックアップローラ23に圧接している。そして、二次転写バックアップローラ23の下方に駆動ローラ21が配置されている。
【0055】
二次転写バックアップローラ23は、転写機能の効率を上げるため、転写バイアスを印加される表面が導電性のよい金属で形成されている。一方の駆動ローラ21はベルト駆動の機能を強化するため、表面がゴム性の部材で被覆されている。
【0056】
駆動ローラ21の軸は、軸受け回動ユニット48により二次転写バックアップローラ23の軸に連結されている。二次転写バックアップローラ23の軸には、装置本体側の駆動系に連結する駆動カップリングを有する駆動伝達ギア49が、軸受け回動ユニット48に保持されて、二次転写バックアップローラ23の軸に取り付けられている。
【0057】
軸受け回動ユニット48には、上記の駆動伝達ギア49と、この駆動伝達ギア49に噛合する駆動アイドルギア51が保持されている。更に、軸受け回動ユニット48の回動端部には、駆動ローラ21の軸に取り付けられた駆動ローラギア52が保持されている。駆動ローラギア52は駆動アイドルギア51に噛合している。
【0058】
軸受け回動ユニット48は、二次転写バックアップローラ23の軸を支点にして別途駆動機構により回動駆動される。これにより、駆動ローラギア52を介して軸受け回動ユニット48の回動端部に保持される駆動ローラ21が両方向矢印cで示すように、図の実線位置と一点鎖線位置とに駆動ローラギア52と共に回動する。
【0059】
すなわち、駆動ローラ21は、非画像形成時には転写ベルト8の内側方向となる一点鎖線位置に回動し、画像形成時には転写ベルト8の外側方向となる実線位置に回動して転写ベルト8を循環移動方向に駆動する。
【0060】
実線位置は「駆動ローラセットポジション」であり、一点鎖線位置は「駆動ローラ離間ポジション」である。駆動ローラ21は、いずれの位置においても、回動後は別途駆動機構を介して位置固定される。
【0061】
駆動伝達ギア49は、駆動カップリングを介して装置本体の駆動系から駆動を受けて回転する。この回転は駆動アイドルギヤ51を介して駆動ローラギヤ52に伝達される。これにより、駆動ローラ21は「駆動ローラセットポジション」において回転する。
【0062】
図4(a),(b),(c)は図3に示した転写ベルトユニット3の要部の構成を簡略に示し、その構成による転写ベルト8の動作を説明する図である。尚、図4(a),(b),(c)には図1、図2及び図3と同一の構成部分には図1、図2及び図3と同一の番号を付与して示している。
【0063】
また、図4(a),(b),(c)では、図1に示した4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)に対応する感光体ドラム10を、それぞれ、感光体ドラム10m、10c、10y、及び10kで示している。
【0064】
図4(a)は、駆動ローラ21が破線で示す「駆動ローラセットポジション」から実線で示す「駆動ローラ離間ポジション」に移動して位置固定された状態を示している。駆動ローラ21が転写ベルト8の内側方向に回動しているので、転写ベルトユニット3全体が薄く変形している。
【0065】
この状態で、全ての感光体ドラム10(10m、10c、10y、10k)と転写ベルト8が離間しているが、転写ベルト8の弛みを吸収するために転写ベルト8を横方向に張設するバネ部材が設けられていないので、転写ベルト8に横方向の寸法に変化はない。
【0066】
また、この状態では全ての感光体ドラム10(10m、10c、10y、10k)と転写ベルト8が離間しているので、このままの状態で、双方のユニットを挿抜することが出来る。
【0067】
図4(b)は、感光体ドラムユニットと転写ベルトユニットが装置本体の装着部に挿入装着された直後の状態を示している。このとき軸受け回動ユニット48は別途駆動機構により破線で示す「駆動ローラ離間ポジション」から実線で示す「駆動ローラセットポジション」に回動され、固定される。
【0068】
すなわち、駆動ローラ21が転写ベルト8に対し外側方向に回動して固定され、転写ベルト8の駆動ローラ21への巻付き角度が90度以上となる。これにより、駆動ローラ21が転写ベルト8を循環移動方向に駆動すべく装置本体の駆動系により軸受け回動ユニット48を介して回転駆動される準備が整う。
【0069】
また、これと同時に、黒のトナーに対応する感光体ドラム10kに対し転写ベルト8がやや被りのある状態になるシフト位置で転写ベルト8に転写電圧を印加する一次転写ローラ25が、別途回動機構によりシフト位置に降下する。この状態がモノクロ(K色)印刷状態である。
【0070】
図4(c)は、上記の駆動ローラ21が「駆動ローラセットポジション」に在る状態で、転写ベルトユニット内の別途移動機構により、感光体ドラム10(10c、10m、10y)に対し、シフト位置に一次転写ローラ25を下降させる。この状態がフルカラー印刷状態である。
【0071】
このように、本例のプリンタ1においては、動作モードとしては、図4(a),(b),(c)に示すように、全面離間モード、モノクロモード、及びカラーモードを持っている。但し、画像形成の動作中は、図4(b),(c)に示すようにK色の感光体ドラム10kと一次転写ローラ25を転写ベルトと常時接触状態に固定する。
【0072】
そして、画像形成の動作中は、図4(b)に示すモノクロモードと図4(c)に示すカラーモードの2つのモードの切り替えのみを行う。これにより画像形成の動作中において、モードの切り替えが速くなる。
【0073】
また、感光体ドラムユニットや転写ベルトユニットの挿抜時には、図4(a)に示す非画像形成時の状態に回動型の駆動ローラが転写ベルト8の内側方向に回動して転写ベルトユニット3が薄型化し、転写ベルト8の下部移動面8aを感光体ドラム10から全面離間させる。
【0074】
このように、転写ベルトユニットを上方に移動させたり、感光体ドラムユニットを下方に移動させることなく、単に駆動ローラを転写ベルト8の内側方向に回動させるだけで転写ベルトユニットを薄型化し、下部移動面8aを感光体ドラム10から全面離間させることができる。
【0075】
また、シフト式ベルト転写型を採用しているので、転写ベルトを強く張設する必要がなく、更に、モード切り替え時の転写ベルトの弛みを回動型の駆動ローラで吸収するため、転写ベルトの横方向に張設される動作がなく、これにより、転写に係わる転写ベルト、感光体ドラム、一次転写ローラ等の部材の損耗が遅くなり、部材の長寿命化が実現する。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0077】
並設される複数の感光体ドラムと、
複数の支持ローラに巻回され、前記複数の感光体ドラムに沿って配設され、所定の感光体ドラム上に形成されたトナー画像を一次転写され、この一次転写されたトナー画像を二次転写部において搬送中の画像形成媒体に二次転写する中間転写ベルトと、
前記感光体ドラムと前記中間転写ベルトとを接触させるべく、前記複数の感光体ドラムに対応し、前記中間転写ベルトを挟んで反対側に配置される複数の一次転写ローラと、
を備え、
前記複数の支持ローラは、
前記中間転写ベルトを介して二次転写ローラと圧接するバックアップローラと、
非画像形成時には前記中間転写ベルトの内側方向に移動し、画像形成時には前記中間転写ベルトの外側方向に移動して前記中間転写ベルトを循環移動方向に駆動する駆動ローラと、
を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0078】
前記駆動ローラは、バックアップローラの軸中心を支点に回動するアームに支持され、非画像形成時には前記転写ベルトの内側方向に回動し、画像形成時には前記転写ベルトの外側方向に回動して前記転写ベルトを循環移動方向に駆動する、ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記3]
【0079】
前記複数の一次転写ローラは、前記トナー画像を前記中間転写ベルトの下部走行面に一次転写する、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成装置。
[付記4]
【0080】
前記複数の一次転写ローラは、シフト方式により前記トナー画像を前記中間転写ベルトへ一次転写する、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成装置。
[付記5]
前記バックアップローラの周表面は導電性の金属で形成され、前記駆動ローラの周表面はゴム性の部材で被覆されている、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成装置。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、横方向にも縦方向にも小型化した転写ベルトユニットを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10(10m、10c、10y、10k) 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 筐体
17 隔壁
15 現像ローラ
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20 リザーブタンク
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 二次転写バックアップローラ
24 二次転写ローラ
25 一次転写ローラ
26 ベルトクリーナ
27 廃トナー回収容器
28 トナーカートリッジ
29 電装部
31(31a、31b) 給紙カセット
32 用紙取出ローラ
33 給送ローラ
34 捌きローラ
35 待機搬送ローラ対
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
42 前扉
43 取っ手
44 開閉部材
45 カートリッジモータ
46 リザーブタンクモータ
47 トナー補給路
48 軸受け回動ユニット
49 駆動伝達ギア
51 駆動アイドルギア
52 駆動ローラギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設される複数の感光体ドラムと、
複数の支持ローラに巻回され、前記複数の感光体ドラムに沿って配設され、所定の感光体ドラム上に形成されたトナー画像を一次転写され、この一次転写されたトナー画像を二次転写部において搬送中の画像形成媒体に二次転写する転写ベルトと、
前記感光体ドラムと前記転写ベルトとを接触させるべく、前記複数の感光体ドラムに対応し、前記転写ベルトを挟んで反対側に配置される複数の一次転写ローラと、
を備え、
前記複数の支持ローラは、
前記転写ベルトを介して二次転写ローラと圧接するバックアップローラと、
非画像形成時には前記転写ベルトの内側方向に移動し、画像形成時には前記転写ベルトの外側方向に移動して前記転写ベルトを循環移動方向に駆動する駆動ローラと、
を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ローラは、バックアップローラの軸中心を支点に回動するアームに支持され、非画像形成時には前記転写ベルトの内側方向に回動し、画像形成時には前記転写ベルトの外側方向に回動して前記転写ベルトを循環移動方向に駆動する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の一次転写ローラは、前記転写ベルトの下部走行面に前記トナー画像を一次転写する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の一次転写ローラは、シフト方式により前記トナー画像を前記転写ベルトへ一次転写する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記バックアップローラの周表面は導電性の金属で形成され、前記駆動ローラの周表面はゴム性の部材で被覆されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−40987(P2013−40987A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176025(P2011−176025)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】