説明

画像形成装置

【課題】再搬送ローラ付近でシートが詰まるのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】再搬送経路54は、画像形成部の搬送方向下流側から下方に向けて延びる第1経路541と、第1経路541の下端から画像形成部の搬送方向上流側に向けて湾曲した湾曲部542と、当該湾曲部542から画像形成部の搬送方向上流側に向けて延びる第2経路543とを備える。第2経路543には、シートを搬送する一対の再搬送ローラ55が設けられる。第2経路543における再搬送ローラ55と湾曲部542との間には、一対の再搬送ローラ55の共通接線TLよりも下側に凹んだ凹部134が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの両面を印字可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成部によって表面に画像が形成されたシートの裏面に画像を形成するために、シートを再び画像形成部へ搬送するための再搬送経路と、を備える画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この装置における再搬送経路は、画像形成部の搬送方向下流側から下方に延びる第1径路と、第1径路の下端から画像形成部の搬送方向上流側に向けて湾曲した湾曲部と、湾曲部から画像形成部の搬送方向上流側に向けて延びる第2経路とを備えている。そして、第2経路内には、シートを搬送するための複数対の再搬送ローラが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−95495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように再搬送経路が構成されている場合には、第1径路を通って湾曲部で曲げられたシートが、再搬送ローラに当接すると、シートが下方に撓んで下壁に強い力で押し付けられることで、シートが折れ曲がり、再搬送ローラ付近で詰まるといった問題が生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、再搬送ローラ付近でシートが詰まるのを抑えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像が形成されたシートを、再び前記画像形成部へ搬送するための再搬送経路と、を備える。
前記再搬送経路は、前記画像形成部の搬送方向下流側から下方に向けて延びる第1経路と、前記第1経路の下端から前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて湾曲した湾曲部と、当該湾曲部から前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて延びる第2経路とを備える。
前記第2経路には、シートを搬送する一対の再搬送ローラが設けられる。
前記第2経路における前記再搬送ローラと前記湾曲部との間には、前記一対の再搬送ローラの共通接線よりも下側に凹んだ凹部が設けられている。
【0007】
この構成によれば、シートが再搬送ローラに当接した際に下方に撓むのを凹部で吸収することができるので、再搬送ローラ付近でシートが詰まるのを抑えることができる。
【0008】
なお、前記した構成は、前記再搬送ローラが、当該再搬送ローラの搬送方向上流側に設けられる搬送ローラよりも、搬送速度が遅くなるように構成されている場合に特に有効となる。
【0009】
つまり、このように再搬送ローラの搬送速度が上流側の搬送ローラよりも遅い場合には、再搬送ローラに当接したシートが撓み易いが、その撓みを凹部によって吸収することができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記第2経路を形成する第2経路形成部材と、当該第2経路形成部材とは別部材であり、かつ、前記湾曲部を形成する湾曲部形成部材とを備える場合には、前記第2経路形成部材の搬送方向上流側に、前記湾曲部形成部材のうちシートを案内する案内面の搬送方向下流側の端縁よりも下方の位置から搬送方向下流側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部を設け、当該傾斜部と前記湾曲部形成部材の搬送方向下流側の端面とで前記凹部を形成するのが望ましい。
【0011】
これによれば、傾斜部により第2経路形成部材の湾曲部形成部材との繋ぎ目が湾曲部形成部材よりも一段下がるため、第2経路形成部材と湾曲部形成部材との間でシートの先端が突っ掛かるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再搬送ローラ付近でシートが詰まるのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを示す断面図である。
【図2】再搬送ユニット、板金および案内部材を示す斜視図である。
【図3】図2のI−I断面図である。
【図4】図2のI−I断面図であり、カバー部材とリアカバーの図示を省略するとともに、案内部材を図示した図である。
【図5】装置本体と再搬送ユニットの取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について説明する。
【0015】
以下の説明において、方向は、カラープリンタ1の使用時のユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1において、紙面に向かって左側を「前側(手前側)」、紙面に向かって右側を「後側(奥側)」とし、紙面に向かって奥側を「左側」、紙面に向かって手前側を「右側」とする。また、紙面に向かって上下方向を「上下方向」とする。
【0016】
<カラープリンタの概略構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、シートの一例としての用紙Sの両面に画像を形成可能な装置であり、装置本体2内に、給紙部3と、画像形成部4と、搬送部5とを主に備えている。
【0017】
給紙部3は、装置本体2内の下部に設けられており、用紙Sを収容する給紙トレイ31と、給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、給紙機構32によって、装置本体2の前側から後側へ向かってUターンされ、画像形成部4に供給される。なお、給紙トレイ31は、装置本体2に対して前方に引き出すことによって取り外すことが可能となっており、後方に押し込むことによって装着することが可能となっている。また、給紙トレイ31は、装置本体2の下部における前後方向にわたって設けられている。
【0018】
画像形成部4は、給紙トレイ31の上部に配置され、給紙部3から搬送されてくる用紙Sに画像を形成するための構成であり、露光ユニット41と、4つのプロセスユニット42と、転写ユニット43と、定着ユニット44とを主に備えている。
【0019】
露光ユニット41は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源と、符号を省略して示すポリゴンミラー、複数のレンズおよび複数の反射鏡とを主に備えている。画像データに基づいてレーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射され、レンズを通過して、各感光体ドラム42Aの表面で高速走査される。
【0020】
プロセスユニット42は、給紙トレイ31と露光ユニット41との間で前後に並んで配置され、感光体ドラム42Aと、帯電器42Bと、符号を省略して示す現像ローラ、供給ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー(現像剤)を収容するトナー収容部とを主に備えている。各プロセスユニット42は、トナー収容部内に収容されるトナーの色が相違するのみであり、構成は略同一である。
【0021】
転写ユニット43は、給紙トレイ31とプロセスユニット42との間に設けられ、符号を省略して示す駆動ローラと従動ローラの間で張設された無端状の搬送ベルト43Aと、4つの転写ローラ43Bとを主に備えている。搬送ベルト43Aは、外側の面が各感光体ドラム42Aに接しており、その内側には各転写ローラ43Bが各感光体ドラム42Aとの間で搬送ベルト43Aを挟持するように配置されている。
【0022】
定着ユニット44は、プロセスユニット42の後方に設けられ、加熱ローラ44Aと、加熱ローラ44Aと対向配置されて加熱ローラ44Aを押圧する加圧ローラ44Bとを主に備えている。
【0023】
画像形成部4では、感光体ドラム42Aの表面が、帯電器42Bにより一様に帯電された後、露光ユニット41からのレーザ光によって露光されることで、感光体ドラム42A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラに供給され、現像ローラと層厚規制ブレードの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ上に担持される。
【0024】
そして、現像ローラ上に担持されたトナーが、静電潜像が形成された感光体ドラム42Aに供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム42A上にトナー像が形成される。その後、給紙部3から供給された用紙Sが、感光体ドラム42Aと搬送ベルト43A(転写ローラ43B)の間を搬送されることで、各感光体ドラム42A上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。
【0025】
トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ44Aと加圧ローラ44Bの間を搬送されることでトナー像が熱定着される。以上のようにして、用紙Sに画像を形成することができる。画像が形成された用紙Sは、搬出ローラ45によって定着ユニット44(画像形成部4)から搬送経路51に搬出される。
【0026】
搬送部5は、画像形成部4から搬出された用紙Sを装置本体2の外部に排出する排出機構として機能するとともに、画像形成部4により一方の面に画像が形成された用紙Sの表裏を反転させた状態で当該用紙Sを画像形成部4へ再度搬送する再搬送機構として機能している。具体的に、搬送部5は、搬送経路51と、搬送ローラ52と、前後に揺動可能に構成されたフラッパ53と、再搬送経路54と、再搬送経路54内で用紙Sを搬送する複数対の再搬送ローラ55とを主に備えている。
【0027】
搬送経路51は、装置本体2内の後部に設けられており、後方に揺動したフラッパ53(実線参照)の前方付近から上方に向けて延びた後、進路を前方へ湾曲させるように延びている。
【0028】
搬送ローラ52は、正逆回転可能に構成されており、正回転時には画像形成部4から搬出された用紙Sを装置本体2の外部に向けて排出し、逆回転時には用紙Sを装置本体2内に引き込むように搬送する。
【0029】
再搬送経路54は、画像形成部4によって一方の面に画像が形成された用紙Sを、再び画像形成部4へ搬送するための経路であり、装置本体2内の後部から下部に亘って設けられている。具体的に、再搬送経路54は、第1経路541と、湾曲部542と、第2経路543とを備えて構成されている。
【0030】
第1経路541は、前方に揺動したフラッパ53(鎖線参照)の後方付近(画像形成部4の搬送方向下流側)から下方に向けて延びるように形成されている。
【0031】
湾曲部542は、上下方向に延びる第1経路541と、水平方向に延びる第2経路543とを繋ぐ通路であり、第1経路541の下端から前側(画像形成部4の搬送方向上流側)に向けて湾曲するように形成されている。ここで、「水平方向」とは、水平面に対して僅かに傾いた方向も含む。
【0032】
第2経路543は、湾曲部542から前側に水平方向に延びた後、上側(画像形成部4の搬送方向上流側)の給紙機構32に向けて延びるように形成されている。
【0033】
搬送部5では、画像形成が終了した場合には、画像形成部4から搬出された用紙Sは、搬送経路51を搬送され、正回転する搬送ローラ52によって装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に載置される。また、一方の面に画像が形成された用紙Sの他方の面に画像を形成する場合には、用紙Sの全体が装置本体2の外部に完全に排出される前に搬送ローラ52が逆回転することで、用紙Sは再度装置本体2内に引き戻され、搬送経路51から再搬送経路54に搬送される。その後、用紙S(破線参照)は、再搬送ローラ55によって再搬送経路54を搬送され、給紙機構32によって再び画像形成部4に搬送される。
【0034】
なお、画像形成部4において他方の面に画像が形成された用紙Sは、画像形成部4から搬送経路51に搬出され、正回転する搬送ローラ52によって装置本体2の外部に排出されて排紙トレイ22上に載置される。
【0035】
<湾曲部542および第2経路543の詳細構造>
湾曲部542は、湾曲部形成部材の一例としての板金60によって形成され、第2経路543の一部(後側部分)は、第2経路形成部材の一例としての再搬送ユニット100によって形成されている。
【0036】
板金60は、断面視円弧状(湾曲部542に沿った形状)に湾曲するように形成されており、湾曲部542に沿って配置されている。そして、この板金60は、左右方向に延びて装置本体2の左右一対のサイドフレーム23に連結されている。詳しく述べると、板金60は、装置本体2の外側に向かって凸形状である円弧形状で形成されている。
【0037】
このように湾曲部542に沿った形状に形成される板金60で一対のサイドフレーム23を連結することによって、一対のサイドフレームの湾曲部付近を管状の補強パイプで繋ぐ構造に比べ、装置本体2を大型化することなく一対のサイドフレーム23を補強することが可能となっている。また、湾曲部542を形成する板金60が、一対のサイドフレーム23の補強を兼ねるので、板金とは別に湾曲部を構成する他の部材を設ける構造に比べ、構造を簡易化することが可能となっている。
【0038】
再搬送ユニット100は、樹脂を含んで構成されており、給紙トレイ31の下方において板金60の前側(搬送方向下流側)に隣接して設けられている。すなわち、再搬送ユニット100は、板金60とは別部材であり、樹脂を含んで構成されるため、湾曲部を形成する板金を前方に延ばして第2経路を形成する構造に比べ、再搬送ローラ55等を設けやすいので、構造を簡易化することが可能となっている。
【0039】
再搬送ユニット100は、装置本体2に固定されており、このように固定された再搬送ユニット100と装置本体2とに対して給紙トレイ31が前後方向で着脱可能となっている。再搬送ユニット100は、図2に示すように、略平板形状に形成され、主に、ガイド体110と、端部規制部材120と、2対の再搬送ローラ55とを備えている。
【0040】
ガイド体110は、上下方向に間隔を空けて配置される下側搬送部材130と上側搬送部材140とを備え、下側搬送部材130と上側搬送部材140との間で第2経路543を形成している。
【0041】
下側搬送部材130は、樹脂製の部品であり、用紙Sの幅(左右方向の長さ)よりも大きく形成されている。下側搬送部材130は、平板状の底壁部131と、第1リブ132と、を主に備えている。
【0042】
第1リブ132は、用紙Sの下面を支持して案内するリブであり、底壁部131から上方に突出するとともに用紙Sの搬送方向に延びるように形成され、用紙Sの幅方向で間隔を空けて複数設けられている。そして、図3に示すように、第1リブ132の後端部(搬送方向上流側の端部)には、板金60のうち用紙Sを案内する案内面61の前端縁62(搬送方向下流側の端縁)よりも下方の位置から前側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部133が形成されている。
【0043】
言い換えると、下側搬送部材130の後側の端部が板金60の前側の端部よりも低い位置に配置されている。これにより、用紙Sが板金60と下側搬送部材130との間の繋ぎ目を通過する際に、用紙Sの先端が下側搬送部材130に突っ掛かるのを防止することが可能となっている。
【0044】
また、板金60の前側には、案内面61の前端縁62から下方に向けて延びるフランジ部63が形成されている。そして、このフランジ部63の前面(板金60の前側の端面)と傾斜部133によって、一対の再搬送ローラ55の共通接線TLよりも下側に凹んだ凹部134が形成されている。
【0045】
すなわち、第2経路543における再搬送ローラ55と湾曲部542との間に一対の再搬送ローラ55の共通接線TLよりも下側に凹んだ凹部134が設けられるので、用紙Sが再搬送ローラ55に当接した際に下方に撓むのを凹部134で吸収することができ、再搬送ローラ55付近で用紙Sが詰まるのを抑えることが可能となっている。
【0046】
図2に示すように、上側搬送部材140は、板金からなり、用紙Sの幅(左右方向の長さ)よりも大きく形成される上壁部141と、上壁部141の左右方向における両端縁から下方に折り曲げられた両端部142とを備える。上側搬送部材140は、その両端部142が下側搬送部材130に固定されることで、その上壁部141が下側搬送部材130から離れて配置されている。そして、この上壁部141と下側搬送部材130との間には、端部規制部材120が設けられている。
【0047】
端部規制部材120は、用紙Sの左側の端部に当接して当該端部の位置を規制する規制面121を有する部材であり、前後方向に延びる長尺状に形成されて、下側搬送部材130の左側(幅方向の一方側)に設けられている。また、上側搬送部材140の左側には、用紙Sを端部規制部材120に寄せながら搬送する2つの斜行ローラ55Aが前後に間隔を空けて設けられている。
【0048】
ここで、斜行ローラ55Aは、一対の再搬送ローラ55の一方のローラを構成しており、他方のローラは、下側搬送部材130に設けられる駆動ローラ55B(図1参照)で構成されている。そして、斜行ローラ55Aは、駆動ローラ55Bに対して傾いて配置されている。
【0049】
これにより、駆動ローラ55Bを回転させると、この駆動ローラ55Bに従動して回転する斜行ローラ55Aによって用紙Sが左側に搬送されて、端部規制部材120に寄せられるようになっている。
【0050】
また、端部規制部材120の後側には、用紙Sを端部規制部材120の左右方向内側に案内するための案内部材200が設けられている。詳しくは、上側搬送部材140の後部の左側(幅方向の一方側)には、前方に向けて凹むように切り欠かれた切欠部143が形成されており、案内部材200は、その前部が切欠部143内に入り込むように配置されることで、板金60から下側搬送部材130に亘って設けられている。
【0051】
案内部材200は、用紙Sを下側から支持する下壁部210と、下壁部210の左側端部から内側に向けて突出する側壁部220と、側壁部220の前部から左右方向内側に向けて突出して下壁部210に上下方向で対向する上壁部230とを備えている。
【0052】
下壁部210は、湾曲した板金60の案内面61に沿った断面視円弧状に形成されており、その上部が板金60の左側に形成された係合孔64を通って、図4に示すように、板金60の外面に係合することで板金60に保持されている。また、下壁部210の下端部は、板金60側から下側搬送部材130側に向かって延設され、第1リブ132の上面(用紙Sを支持する支持面)の上方に配置されている。
【0053】
これにより、板金60から下側搬送部材130に用紙Sを搬送させる際に、案内部材200の下壁部210によって板金60と下側搬送部材130の継ぎ目に用紙Sが突っ掛かるのを抑えることが可能となっている。
【0054】
図2に示すように、側壁部220は、端部規制部材120の規制面121よりも左右方向外側の位置から規制面121に向けて延びる第1案内面221を有している。これにより、端部規制部材120の規制面121よりも用紙Sの左側の端部が左側にずれて搬送されてきた場合には、当該用紙Sの左側の端部が案内部材200の第1案内面221によって端部規制部材120の規制面121へ向けて案内されるので、用紙Sが端部規制部材120の後端部に突っ掛かるのを防止することが可能となっている。
【0055】
図4に示すように、上壁部230は、下側搬送部材130の後端部から板金60の前端部に亘って形成、すなわち上下方向から見て下側搬送部材130と重なる位置から板金60と重なる位置まで形成されており、搬送方向上流側に向かうにつれて徐々に上方に傾斜する形状となっている。また、上側搬送部材140の後部の右側部位144(切欠部143に左右方向で隣接する部位:図2参照)も、上壁部230と同様に、上下方向から見て下側搬送部材130と重なる位置から板金60と重なる位置まで形成されており、搬送方向上流側に向かうにつれて徐々に上方に傾斜する形状となっている。
【0056】
そして、この右側部位144と上壁部230は、左右方向から見て重なるように設けられている。これにより、左側の案内部材200の上壁部230と、上側搬送部材140の右側部位144とによって再搬送ユニット100への用紙Sの突入角度を小さくすることができるので、板金60から再搬送ユニット100へスムーズに用紙Sを搬送することが可能となっている。
【0057】
つまり、例えば右側部位144と上壁部230がない場合には、板金60に沿って搬送されてきた用紙Sの先端が下側搬送部材130上に達すると、用紙Sのコシにより用紙Sが湾曲した板金60の案内面61から離れて、用紙Sが略垂直に立ってくる。これにより、水平方向に沿った第2経路543に対する用紙Sの突入角度が大きくなり、第2経路543に用紙Sをスムーズに搬送することができなくなる。これに対し、本実施形態では、前述したような上壁部230と右側部位144とによって、用紙Sのコシによって用紙Sが案内面61から離れるのを押さえることができるので、再搬送ユニット100への用紙Sの突入角度を小さくして、板金60から再搬送ユニット100へスムーズに用紙Sを搬送することが可能となっている。
【0058】
図2に示すように、再搬送ローラ55は、用紙Sの左側の端部を端部規制部材120に当接させるために、用紙Sの搬送方向に対して斜めの方向に用紙Sを搬送可能なローラであり、左右方向において端部規制部材120側に寄って配置されている。2対のうち一対の再搬送ローラ55は、切欠部143の後端付近に設けられ、残りの一対の再搬送ローラ55は、上側搬送部材140の前端付近に設けられている。
【0059】
そして、図1に示すように、第2経路543内における搬送方向の最上流側の再搬送ローラ55は、当該再搬送ローラ55の搬送方向上流側に設けられる搬送ローラ52よりも搬送速度が遅くなるように構成されている。これにより、再搬送ローラ55が搬送ローラ52よりも搬送速度が速い場合に生じる問題(再搬送ローラ55と搬送ローラ52の間で用紙Sが引っ張られる状態となり、用紙Sがダメージを受けたり、搬送ローラ52がスリップすることで搬送ローラ52がダメージを受ける問題)が生じないようになっている。なお、このように再搬送ローラ55の搬送速度が上流側の搬送ローラ52よりも遅い場合には、再搬送ローラ55に当接した用紙Sが撓み易いが、その撓みは前述した凹部134(図3参照)によって吸収することが可能となっている。
【0060】
以上のように構成される再搬送ユニット100は、図5に示すように、装置本体2とは別に構成され、右側の端部(幅方向における端部規制部材120とは反対側の端部)が装置本体2と係合し、左側の端部(端部規制部材120側の端部)が装置本体2にネジ150(締結部材)により締結されている。具体的には、再搬送ユニット100の下側搬送部材130の右側面の前部と後部には、左右方向外側に突出する係合突起135が1つずつ形成され、下側搬送部材130の左側面の前部と後部には、左右方向外側に突出する締結用突出部136が1つずつ形成されている。
【0061】
そして、2つの係合突起135は、装置本体2に形成された2つの係合片24上に載置され、2つの締結用突出部136は、装置本体2に形成された2つのネジ取付孔25にネジ150により締結される。これによれば、締結により左側の端部規制部材120を装置本体2に対して正確に位置決めすることができるとともに、再搬送ユニット100の右側を締結しないことにより再搬送ユニット100の装置本体2への取付作業を容易にすることが可能となっている。
【0062】
また、図3に示すように、板金60の搬送方向上流側には、リアカバー300が設けられている。リアカバー300の内面には、内側に突出して搬送方向に延びる第2リブ310が、左右方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0063】
第2リブ310の内面は、板金60に向けて用紙Sを搬送するための第2案内面311となっている。そして、板金60の搬送方向上流側の端部65は、第2案内面311の搬送方向下流側の端部312よりも後方の位置(用紙Sから離れた位置)に配置されている。これにより、第2リブ310から板金60に向けて用紙Sを搬送する際に、用紙Sの先端が板金60に突っ掛かるのを防止することが可能となっている。
【0064】
また、図1に示すように、リアカバー300は、装置本体2に対して回動可能に支持されている。これにより、第1経路541に用紙Sが詰まった場合には、リアカバー300を回動させて第1経路541を開放させることで、第1経路541に詰まった用紙Sを取り出すことが可能となっている。
【0065】
また、図3に示すように、板金60の外側には、リアカバー300の搬送方向下流側の端部から再搬送ユニット100の搬送方向上流側の端部に亘って板金60を覆う樹脂製のカバー部材400が設けられている。これにより、ユーザが直接板金60に触れることがないので、再搬送経路54の湾曲部542を形成する板金60の変形を抑えることが可能となっている。
【0066】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0067】
前記実施形態では、シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0068】
前記実施形態では、露光ユニット41等で画像形成部4を構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、露光ユニット41の代わりにLEDヘッドを利用してもよいし、感光体ドラム42Aの代わりにベルト状の感光体を利用してもよいし、加熱ローラ44Aの代わりにガイドによって摺動可能に支持される円筒状の定着フィルムを利用してもよい。また、転写ローラ43Bの代わりに導電性ブラシや導電性板バネなどの転写バイアスが印加される他の部材を利用してもよい。
【0069】
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、モノクロプリンタやその他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0070】
前記実施形態では、締結部材としてネジ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばボルト・ナットなどであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 カラープリンタ
2 装置本体
4 画像形成部
54 再搬送経路
55 再搬送ローラ
134 凹部
541 第1経路
542 湾曲部
543 第2経路
S 用紙
TL 共通接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを、再び前記画像形成部へ搬送するための再搬送経路と、を備える画像形成装置であって、
前記再搬送経路は、前記画像形成部の搬送方向下流側から下方に向けて延びる第1経路と、前記第1経路の下端から前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて湾曲した湾曲部と、当該湾曲部から前記画像形成部の搬送方向上流側に向けて延びる第2経路とを備え、
前記第2経路には、シートを搬送する一対の再搬送ローラが設けられ、
前記第2経路における前記再搬送ローラと前記湾曲部との間には、前記一対の再搬送ローラの共通接線よりも下側に凹んだ凹部が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記再搬送ローラは、当該再搬送ローラの搬送方向上流側に設けられる搬送ローラよりも、搬送速度が遅くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2経路を形成する第2経路形成部材と、当該第2経路形成部材とは別部材であり、かつ、前記湾曲部を形成する湾曲部形成部材とを備え、
前記第2経路形成部材の搬送方向上流側には、前記湾曲部形成部材のうちシートを案内する案内面の搬送方向下流側の端縁よりも下方の位置から搬送方向下流側に向けて斜め上方に傾斜する傾斜部が設けられ、
当該傾斜部と前記湾曲部形成部材の搬送方向下流側の端面とで前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−41169(P2013−41169A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178822(P2011−178822)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】