画像形成装置
【課題】外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置では、操作パネル101は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、主制御部110は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作パネル101が受け付けていれば、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【解決手段】この画像形成装置では、操作パネル101は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、主制御部110は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作パネル101が受け付けていれば、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、ジョブの実行プログラムの作業領域として使用する内部メモリー(RAM)を設けるのが一般的である。しかし、ジョブの実行に際して、内部メモリーに大容量の画像データなどが一時的に蓄積されると、内部メモリーの容量不足に起因するメモリーエラーが発生してしまう。すなわち、ジョブの実行が困難になってしまう。
【0003】
そこで、従来では、USBメモリーなどの外部メモリーを内部メモリーと併用する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、メモリーエラーが発生したとき、外部メモリーのメモリー領域を実行中のジョブ用に割り当て、それによって、メモリーエラーからの復帰を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、メモリーエラーの発生時に外部メモリーが接続されていない場合、外部メモリーの追加接続が必要である旨のメッセージを表示することで、外部メモリーの追加接続をユーザーに促すようになっている。このとき、ユーザーが外部メモリーを所有していれば、メモリーエラーを解消することができる。しかし、仮に、メモリーエラーの発生時に、ユーザーが外部メモリーを所有していなければ、メモリーエラーは解消されずに継続してしまう。すなわち、特許文献1のように、メモリーエラーからの復帰に際して外部メモリーの使用を前提とした構成では、メモリーエラーを解消することができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、入力操作を受け付ける操作表示部と、複数種のジョブにそれぞれ割り当てられている複数のメモリー領域を有する内部メモリーと、複数種のジョブのうちの実行指示を受けた所定ジョブの実行に際し、複数のメモリー領域のうちから所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保するとともに、所定ジョブの実行中に、所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出するメモリー管理部と、を備えている。そして、操作表示部は、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、メモリー管理部は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作表示部が受け付けていれば、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0008】
本発明の構成によると、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用することにより、外部メモリー(たとえば、USBメモリーなど)を使用せずに不足分のメモリー容量を補うことができる。すなわち、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能となる。
【0009】
ただし、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用すれば、所定ジョブと、その所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブとを並列的に実行させるマルチジョブ動作に制限がかかってしまう。そこで、本発明の構成では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するのではなく、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か(マルチジョブ動作に制限をかけるか否か)の受け付けを操作表示部が前以て行う。そして、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作表示部が受け付けた場合にのみ、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。このため、マルチジョブ動作に制限をかけたくないユーザーに対しては、マルチジョブ動作に制限をかけずにメモリーエラーから復帰する(たとえば、外部メモリーを使用することでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0010】
上記の構成において、好ましくは、複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶する記憶部をさらに備え、メモリー管理部は、使用頻度情報を参照し、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。ここで、内部メモリー内の使用頻度の最も低いメモリー領域が割り当てられたジョブは、ユーザーが実行指示を行う可能性が最も低いジョブである。このため、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用し、それによってマルチジョブ動作に制限がかかったとしても、ユーザーの利便性が損なわれるのを最小限に抑えることができる。
【0011】
上記の構成において、好ましくは、メモリー管理部は、所定ジョブが終了した後、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。このように構成すれば、マルチジョブ動作に制限がかかったままで放置される(所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブが実行不能のままで放置される)のを抑制することができる。
【0012】
上記の構成において、好ましくは、操作表示部は、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付ける。ここで、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときには、所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーを解消できる場合がある。そこで、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かの受け付けに先立ち、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを操作表示部が受け付けるようにしておくと、マルチジョブ動作の制限や外部メモリーの追加を望まない(所定ジョブの効率を低下させても構わない)ユーザーに対して、マルチジョブ動作の制限や外部メモリーの追加を行うことなくメモリーエラーから復帰する(所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0013】
この構成において、好ましくは、所定ジョブは2つ以上のジョブの連動によって完遂するジョブであり、メモリー管理部は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、所定ジョブの効率低下を許可する旨を操作表示部が受け付けていれば、2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。このように構成すれば、所定ジョブの効率は低下するが、マルチジョブ動作に制限をかけたり外部メモリーを追加したりすることなく、容易に、メモリーエラーを解消することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成図
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられる操作パネル(操作表示部)の図
【図3】図1に示した画像形成装置の画像形成部を示した概略図
【図4】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図5】図1に示した画像形成装置のRAM(内部メモリー)の概念図
【図6】図1に示した画像形成装置の操作パネルに表示される画面の一例を示した図(マルチジョブ動作の制限を許可するか否かを受け付けるための受付画面の図)
【図7】図1に示した画像形成装置の記憶部に記憶される使用頻度情報を説明するための図
【図8】図1に示した画像形成装置の操作パネルに表示される画面の一例を示した図(複合ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付けるための受付画面の図)
【図9】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図10】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図11】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図12】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100の全体構成について説明する。
【0017】
本実施形態の画像形成装置100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、コピー、プリンタ、スキャナおよびファックスなどの複数種のジョブを実行することができる。また、この画像形成装置100は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0018】
操作パネル101は、操作表示部に相当し、たとえば、図1中の破線で示された箇所に配置される。この操作パネル101には、図2に示すように、液晶表示部11が設けられている。液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよび設定キー(ソフトキー)が表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示された設定キーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11は、その表示面がタッチパネルで覆われた形態をとる。これにより、液晶表示部11に表示された設定キーがユーザーによって押下されたとき(タッチパネルが押下されたとき)、タッチパネルの出力に基づいて押下位置の座標を検出できるようになっている。
【0019】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、数値入力が必要な設定指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。スタートキー13は、各種ジョブの実行開始の指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0020】
さらに、操作パネル101には、ハードキーとして、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などの機能設定キーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピーの機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナおよびファックスの機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックス(たとえば、後述する記憶部113に設けられた保存領域)の機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。
【0021】
図1に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができる。
【0022】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。また、この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0023】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー対41などが設けられている。
【0024】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0025】
各画像形成部50のそれぞれは、図3に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0026】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0027】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。そして、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0028】
図1に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0029】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0030】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0031】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0032】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0033】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0034】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0035】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着ローラー71および加圧ローラー72の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー対41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー対82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー対83などが設けられている。
【0036】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー対82は、ひとまず正回転して用紙Pの一部分を排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー対82は、用紙Pが排出ローラー対82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0037】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー対83により搬送され、レジストローラー対41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0038】
次に、図4を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0039】
画像形成装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などと接続されている。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、各部の制御や演算などを行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0040】
記憶部113は、ROM113a、RAM113b(内部メモリー)およびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、複数種のジョブの各実行プログラムは、たとえば、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0041】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる。さらに、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる。さらに、たとえば、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる。
【0042】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示動作を制御する。具体的には、表示制御部17は、ユーザーが操作パネル101に対して行った操作に基づき、記憶部18(あるいは、記憶部113)に格納された情報を読み出し、適切な画面を液晶表示部11に表示させる。たとえば、ユーザーがコピーキー14などの機能設定キーを押下すると、表示制御部17は、ユーザーによる機能設定キーの押下操作を受けて、機能の設定指示を受け付けるための機能設定画面(ソフトキーとしての種々の設定キーやメッセージなどが配された画面)を表示する。なお、機能設定画面を液晶表示部11に表示させるための画面情報は、たとえば、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶されている。
【0043】
そして、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示された設定キーがユーザーによって押下されたとき、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これによって、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(押下した設定キー)が特定される。たとえば、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶される。
【0044】
液晶表示部11に表示された設定キーをユーザーが押下すると、表示制御部17は、ユーザーによって押下された設定キーを特定し、その結果を主制御部110に出力する。そして、主制御部110は、ユーザーが押下した設定キーに応じて設定内容を変更する。この後、表示制御部17は、ソフトキーとしてのスタートキーを液晶表示部11に表示させる。これにより、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたスタートキーを押下することによって、自身の所望する設定内容でジョブの実行を開始することができる。あるいは、ハードキーとしてのスタートキー13をユーザーが押下した場合にも、ジョブの実行が開始される。
【0045】
また、主制御部110は、ユーザーから実行指示を受けたジョブ(以下、所定ジョブと言う)の実行に際して、所定ジョブの実行プログラムの作業領域となるメモリー領域をRAM113b内に確保する。たとえば、RAM113b内のメモリー領域は、図5に示すように、複数のメモリー領域に分類されている。そして、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちから、所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保する。
【0046】
図5において、カーネルメモリー領域M1は、カーネル(オペレーティングシステムの中核部分をなすプログラム)の実行に際して使用するメモリー領域である。中間画像メモリー領域M2は、中間画像データを一時的に保存するためのメモリー領域である。
【0047】
また、読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4は、コピージョブに割り当てられたメモリー領域であって、コピー実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。詳説すると、読込メモリー領域M3は、コピージョブのうちの原稿を読み込む読込ジョブに割り当てられ、印刷メモリー領域M4は、コピージョブのうちの印刷ジョブに割り当てられている。すなわち、主制御部110は、コピーの実行に際して、原稿の読み込みを行うときには、読込メモリー領域M3を確保し、印刷を行うときには、印刷メモリー領域M4を確保する。
【0048】
なお、読込メモリー領域M3は、スキャナの実行時にも使用される。したがって、読込メモリー領域M3は、スキャナジョブに割り当てられたメモリー領域であるとも言える。
【0049】
また、ファックスメモリー領域M5は、ファックスジョブに割り当てられたメモリー領域であり、ファックス実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。プリンタメモリー領域M6は、プリンタジョブに割り当てられたメモリー領域であり、プリンタ実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。そして、主制御部110は、ファックスの実行に際してファックスメモリー領域M5を確保し、プリンタの実行に際してプリンタメモリー領域M6を確保する。
【0050】
このように、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域を管理制御するメモリー管理部として機能する。また、主制御部110は、所定ジョブの実行中に、所定ジョブ用のメモリー領域(所定ジョブに割り当てられたメモリー領域)の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かの検出も行う。
【0051】
たとえば、主制御部110は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーの発生を検知すると、検知結果を表示制御部17に伝える。そして、表示制御部17は、メモリーエラーが発生したことを示すメッセージなどを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生したことをユーザーに報知する。このとき、ユーザーは、たとえば、画質や解像度を落とすことでメモリーエラーからの復帰を図ることができる。
【0052】
しかし、ユーザーによっては、画質や解像度を落としたくない場合もある。このことを考慮して、主制御部110には、図4に示すように、不足分のメモリー容量を補うための外部メモリー400(たとえば、USBメモリーなど)の装着が可能な接続部115が接続されている。そして、たとえば、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、ユーザーが外部メモリー400を接続部115に装着したとする。この場合、主制御部110は、外部メモリー400内のメモリー領域を一時的に確保し、所定ジョブの実行プログラムの作業領域とする。
【0053】
これにより、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、追加接続した外部メモリー400によって不足分のメモリー容量が補われるので、画質や解像度を落とす必要がなくなる。ただし、この方法では、ユーザーが外部メモリー400を別途購入していなければ、結局のところ、画質や解像度を落とすことでメモリーエラーからの復帰を図らなければならない。
【0054】
このため、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に使用できるようになっている。一例を挙げると、コピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生すれば、ファックスメモリー領域M5およびプリンタメモリー領域M6の少なくとも一方をコピーの実行用に一時的に使用することができる。すなわち、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、外部メモリー400を別途追加することなく、不足分のメモリー容量を補うことができる。
【0055】
ただし、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に使用した場合、所定ジョブを含む2つ以上のジョブを並列的に実行するマルチジョブ動作を行えなくなってしまうことがある。たとえば、コピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生したため、ファックスメモリー領域M5を一時的に使用したとする。このとき、コピーの実行中にファックスを実行しようとしたとしても、その時点でファックスメモリー領域M5が既に使用されているので、ファックスを実行することができなくなってしまう。このため、ユーザーによっては、使い勝手が悪くなってしまう。
【0056】
したがって、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するようにはなっていない。
【0057】
具体的には、マルチジョブ動作の制限を許可するか否か(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か)を操作パネル101がユーザーから受け付けるようになっている。このとき、液晶表示部11は、たとえば、図6に示すような受付画面RS1を表示する。この受付画面RS1には、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かを受け付けるためのソフトキーSK11(「Yes」が付されたソフトキー)およびソフトキーSK12(「No」が付されたソフトキー)が設けられる。
【0058】
そして、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK11を押下したとする。すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けたとする。この場合には、主制御部110は、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0059】
その一方で、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK12を押下したとする。すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けなかったとする。この場合には、主制御部110は、接続部115に接続された外部メモリー400内のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。なお、このとき、接続部115に外部メモリー400が装着されていなければ、たとえば、外部メモリー400の接続部115への装着をユーザーに促すためのメッセージを液晶表示部11に表示するようにしてもよい。
【0060】
また、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶部113に記憶させる。そして、主制御部110は、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けていれば、使用頻度情報を参照し、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。なお、このとき、主制御部110は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから2つ以上のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する必要があれば、2つ以上のメモリー領域を使用頻度の低い順に確保する。
【0061】
ところで、記憶部113に記憶された使用頻度情報というのは、特に限定されないが、一例を挙げると、RAM113b内の複数のメモリー領域のそれぞれについて、時間帯別の使用カウント数を曜日毎に分類したものである。たとえば、ファックスメモリー領域M5の使用頻度をグラフで表すと、図7に示すようになる。図7に示したグラフによると、月曜日では、12時を含む時間帯において、ファックスメモリー領域M5の使用頻度が低くなっている。そこで、仮に、月曜日の12時頃においてコピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生すれば、主制御部110は、ファックスメモリー領域M5をコピーの実行用に一時的に確保して使用する。
【0062】
なお、所定ジョブ(ユーザーから実行指示を受けたジョブ)が2つ以上のジョブの連動によって完遂する複合ジョブである場合がある。複合ジョブとしては、たとえば、コピージョブが挙げられ、コピージョブは、原稿を読み込む読込ジョブおよび印刷ジョブの2つのジョブの連動によって完遂する。そして、読込ジョブおよび印刷ジョブには、それぞれ、読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4が割り当てられている。
【0063】
そこで、本実施形態では、読込ジョブおよび印刷ジョブを連動して実行している最中(言い換えると、コピーの実行中)にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生した場合に、読込メモリー領域M3と印刷メモリーM4との間でメモリー領域を一時的に融通し合えるようになっている。すなわち、コピーの実行中において、読込ジョブ中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3の容量不足)が発生した場合には印刷メモリーM4を読込ジョブ用に一時的に使用し、印刷ジョブ中にメモリーエラー(印刷メモリー領域M4の容量不足)が発生した場合には読込メモリー領域M3を印刷ジョブ用に一時的に使用する、といった制御を行える。
【0064】
しかし、この場合には、読込ジョブおよび印刷ジョブを並列的に実行することができなくなる。すなわち、原稿の読み込みが終了した後でなければ印刷を行うことができず、逆に、印刷が終了した後でなければ原稿の読み込みを行うことができない。したがって、読込ジョブおよび印刷ジョブを個々で見れば問題はないが、コピージョブとして見ると効率が低下したものとなってしまう(原稿の読み込みから印刷に至るまでの動作がスムーズに行われない)。
【0065】
したがって、本実施形態では、複合ジョブの効率低下を許可するか否かを操作パネル101がユーザーから受け付けるようになっている。このとき、液晶表示部11は、たとえば、図8に示すような受付画面RS2を表示する。この受付画面RS2には、複合ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付けるためのソフトキーSK21(「Yes」が付されたソフトキー)およびソフトキーSK22(「No」が付されたソフトキー)が設けられる。
【0066】
そして、受付画面RS2において、ユーザーがソフトキーSK21を押下したとする。すなわち、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101がユーザーから受け付けたとする。この場合には、主制御部110は、複合ジョブに含まれる2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、その第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別する。そして、主制御部110は、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0067】
その一方で、受付画面RS2において、ユーザーがソフトキーSK22を押下したとする。すなわち、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101がユーザーから受け付けなかったとする。この場合には、操作パネル101は、図6に示した受付画面RS1を液晶表示部11に表示し、マルチジョブ動作の制限を許可するか否か(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用するか否か)をユーザーから受け付ける。
【0068】
この受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK11を押下した場合、すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けた場合には、主制御部110は、複合ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0069】
一方で、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK12を押下した場合、すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けなかった場合には、主制御部110は、接続部115に接続された外部メモリー400内のメモリー領域を複合ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0070】
次に、図9を参照して、ユーザーから実行指示を受けたジョブを開始してから終了するまでの動作について説明する。
【0071】
まず、図9のフローは、ユーザーが何らかのジョブを実行させるために、スタートキー13(あるいは、液晶表示部11に表示した機能設定画面内のスタートキー)を押下したときにスタートする。以下、ユーザーから実行指示を受けたジョブを所定ジョブと言う。そして、その所定ジョブが複合ジョブではないとする。
【0072】
ステップS1において、主制御部110は、所定ジョブの種類を判別し、所定ジョブの実行日時を記憶部113に記憶させる。
【0073】
ステップS2において、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちから所定ジョブの実行に必要なメモリー領域(所定ジョブに割り当てられたメモリー領域)を確保する。たとえば、主制御部110は、所定ジョブが読込ジョブである場合には、読込メモリー領域M3を確保し、所定ジョブが印刷ジョブである場合には、印刷メモリー領域M4を確保する。続いて、ステップS3において、主制御部110は、所定ジョブを開始する。
【0074】
ステップS4において、主制御部110は、所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生すれば、ステップS5に移行する。なお、このとき、主制御部110は、メモリーエラーが発生した旨の情報を表示制御部17に送信する。
【0075】
ステップS5に移行すると、表示制御部17は、エラーメッセージを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生した旨をユーザーに報知する。そして、このときに、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かをユーザーから受け付けるための受付画面RS1(図6参照)を表示するようにしてもよい。すなわち、このときに、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。あるいは、所定ジョブの開始に先立って、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。
【0076】
この後、ステップS6において、主制御部110は、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)をユーザーから受け付けているか否かを判断する。そして、マルチジョブ動作の制限を許可する旨をユーザーから受け付けている場合には、ステップS7に移行する。
【0077】
ステップS7に移行すると、主制御部110は、記憶部113に記憶された使用頻度情報を参照し、RAM113b内の複数のメモリー領域の使用頻度順位を判別する。続いて、ステップS8において、主制御部110は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保する。そして、ステップS9において、主制御部110は、所定ジョブを再開する。所定ジョブを再開した後、ステップS10に移行する。
【0078】
ステップS10に移行すると、主制御部110は、所定ジョブが終了したか否かを判断する。所定ジョブが終了すると、ステップS11において、主制御部110は、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。一方で、所定ジョブが終了していなければ、ステップS4に戻り、主制御部110は、メモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生すれば、ステップS5以降の動作を繰り返す。一方で、メモリーエラーが発生しなければ、ステップS10に移行する。すなわち、主制御部110は、所定ジョブが終了するまで、メモリーエラーが発生していないか否かの検出を続ける。
【0079】
なお、ステップS6において、マルチジョブ動作の制限を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップ12に移行する。
【0080】
ステップS12に移行すると、表示制御部17は、外部メモリー400を使用する旨のメッセージを液晶表示部11に表示させる。なお、外部メモリー400が接続部115に接続されていなければ、外部メモリー400の接続部115への装着をユーザーに促すためのメッセージを液晶表示部11に表示させても良い。そして、ステップS13において、主制御部110は、外部メモリー400内のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保する。この後、ステップS9に移行し、主制御部110は、所定ジョブを再開する。
【0081】
次に、図10〜図12を参照して、ユーザーから実行指示を受けた所定ジョブが複合ジョブである場合について説明する。
【0082】
まず、図10〜図12のフローは、図9のフローと同様、所定ジョブとしての複合ジョブの実行に際して、ユーザーがスタートキー13(あるいは、液晶表示部11に表示した機能設定画面内のスタートキー)を押下したときにスタートする。以下、説明を分かり易くするために、読込ジョブおよび印刷ジョブの連動によって完遂する複合ジョブ(すなわち、コピー)の実行指示をユーザーから受け付けたとする。
【0083】
ステップS21において、主制御部110は、コピージョブ(読込ジョブおよび印刷ジョブ)の実行日時を記憶部113に記憶させる。
【0084】
ステップS22において、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちからコピージョブの実行に必要なメモリー領域(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4)を確保する。続いて、ステップS23において、主制御部110は、コピージョブを開始する。
【0085】
ステップS24において、主制御部110は、コピージョブ用のメモリー領域(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方)の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生した場合には、ステップS25に移行する。なお、このとき、主制御部110は、メモリーエラーが発生した旨の情報を表示制御部17に送信する。一方で、メモリーエラーが発生していない場合には、ステップS38に移行する。
【0086】
ステップS25に移行すると、表示制御部17は、エラーメッセージを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生した旨をユーザーに報知する。そして、このときに、コピージョブの効率低下を許可するか否かをユーザーから受け付けるための受付画面RS2(図8参照)を表示するようにしてもよい。あるいは、コピージョブの実行開始に先立って、コピージョブの効率低下を許可するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。
【0087】
この後、ステップS26において、主制御部110は、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けているか否かを判断する。そして、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けている場合には、ステップS27に移行する。なお、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップS40に移行する。
【0088】
ステップS27に移行すると、主制御部110は、読込メモリー領域M3における容量不足の発生の有無を検出する。そして、読込メモリー領域M3での容量不足の発生を検出すれば、ステップS28に移行する。なお、読込メモリー領域M3において容量不足が発生したということは、読込ジョブの最中にメモリーエラーが発生したということである。一方で、読込メモリー領域M3での容量不足の発生を検出しなければ、ステップS33に移行する。
【0089】
ステップS28に移行すると、主制御部110は、印刷メモリー領域M4を読込ジョブ用に一時的に確保する。すなわち、主制御部110は、印刷ジョブを一時的に停止する。続いて、ステップS29において、主制御部110は、読込ジョブを再開する。読込ジョブを再開した後、ステップS30において、主制御部110は、読込ジョブが終了したか否かを判断する。読込ジョブが終了すると、ステップS31において、主制御部110は、読込ジョブ用に一時的に確保した印刷メモリー領域M4の使用を解除する。この後、ステップS32において、主制御部110は、印刷ジョブを再開する。
【0090】
ステップS33において、主制御部110は、印刷メモリー領域M4における容量不足の発生の有無を検出する。そして、印刷メモリー領域M4での容量不足の発生を検出すれば、ステップS34に移行する。一方で、印刷メモリー領域M4での容量不足の発生を検出しなければ、ステップS38に移行する。
【0091】
ステップS34に移行すると、主制御部110は、読込メモリー領域M3を印刷ジョブ用に一時的に確保する。続いて、ステップS35において、主制御部110は、印刷ジョブを再開する。印刷ジョブを再開した後、ステップS36において、主制御部110は、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。印刷ジョブが終了すると、ステップS37において、主制御部110は、印刷ジョブ用に一時的に確保した読込メモリー領域M3の使用を解除する。
【0092】
ステップS38において、主制御部110は、コピージョブが完了したか否かを判断する。言い換えると、主制御部110は、コピーすべき次原稿が無くなったか否かを判断する。そして、コピージョブが完了した場合には、そのまま終了する。一方で、コピージョブが完了していない場合には、ステップS39に移行し、主制御部110は、コピージョブを続行する。この後、ステップS24に戻る。
【0093】
また、ステップS26において、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップS40に移行し、ステップS40〜ステップS47の動作を行う。ここで、ステップS40〜ステップS47までの動作は、図9に示したステップS6〜ステップS13までの動作と同様である。したがって、ステップS40〜ステップS47までの動作の説明については、図9に示したステップS6〜ステップS13までの動作の説明を援用するものとして省略する。
【0094】
上記実施形態の構成によると、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b(内部メモリー)内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110(メモリー管理部)が所定ジョブ用に一時的に確保して使用することにより、外部メモリー400を使用せずに不足分のメモリー容量を補うことができる。すなわち、外部メモリー400を追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能となる。
【0095】
ただし、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用すれば、所定ジョブと、その所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブとを並列的に実行させるマルチジョブ動作に制限がかかってしまう。そこで、本実施形態では、上記のように、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するのではなく、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か(マルチジョブ動作に制限をかけるか否か)の受け付けを操作パネル101(操作表示部)が前以て行う。そして、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作パネル101が受け付けた場合にのみ、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110が所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。このため、マルチジョブ動作に制限をかけたくないユーザーに対しては、マルチジョブ動作に制限をかけずにメモリーエラーから復帰する(たとえば、外部メモリー400を使用することでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、使用頻度情報を参照し、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。ここで、RAM113b内の使用頻度の最も低いメモリー領域が割り当てられたジョブは、ユーザーが実行指示を行う可能性が最も低いジョブである。このため、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110が所定ジョブ用に一時的に確保して使用し、それによってマルチジョブ動作に制限がかかったとしても、ユーザーの利便性が損なわれるのを最小限に抑えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、所定ジョブが終了した後、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。このように構成すれば、マルチジョブ動作に制限がかかったままで放置される(所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブが実行不能のままで放置される)のを抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101は、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付ける。ここで、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときには、所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーを解消できる場合がある。そこで、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かの受け付けに先立ち、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを操作パネル101が受け付けるようにしておくと、マルチジョブ動作の制限や外部メモリー400の追加を望まない(所定ジョブの効率を低下させても構わない)ユーザーに対して、マルチジョブ動作の制限や外部メモリー400の追加を行うことなくメモリーエラーから復帰する(所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0099】
この場合、主制御部110は、所定ジョブとしての複合ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101が受け付けていれば、2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。これにより、複合ジョブの効率は低下するが、マルチジョブ動作に制限をかけたり外部メモリー400を追加したりすることなく、容易に、メモリーエラーを解消することができる。
【0100】
たとえば、読込メモリー領域M3や印刷メモリー領域M4は非圧縮データを扱うので、他のメモリー領域に比べてメモリーサイズが大きい。したがって、読込メモリー領域M3と印刷メモリーM4との間においてはメモリー領域を一時的に融通し合える。
【0101】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0102】
101 操作パネル(操作表示部)
110 主制御部(メモリー管理部)
113 記憶部
113b RAM(内部メモリー)
100 画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、ジョブの実行プログラムの作業領域として使用する内部メモリー(RAM)を設けるのが一般的である。しかし、ジョブの実行に際して、内部メモリーに大容量の画像データなどが一時的に蓄積されると、内部メモリーの容量不足に起因するメモリーエラーが発生してしまう。すなわち、ジョブの実行が困難になってしまう。
【0003】
そこで、従来では、USBメモリーなどの外部メモリーを内部メモリーと併用する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1では、メモリーエラーが発生したとき、外部メモリーのメモリー領域を実行中のジョブ用に割り当て、それによって、メモリーエラーからの復帰を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、メモリーエラーの発生時に外部メモリーが接続されていない場合、外部メモリーの追加接続が必要である旨のメッセージを表示することで、外部メモリーの追加接続をユーザーに促すようになっている。このとき、ユーザーが外部メモリーを所有していれば、メモリーエラーを解消することができる。しかし、仮に、メモリーエラーの発生時に、ユーザーが外部メモリーを所有していなければ、メモリーエラーは解消されずに継続してしまう。すなわち、特許文献1のように、メモリーエラーからの復帰に際して外部メモリーの使用を前提とした構成では、メモリーエラーを解消することができない場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、入力操作を受け付ける操作表示部と、複数種のジョブにそれぞれ割り当てられている複数のメモリー領域を有する内部メモリーと、複数種のジョブのうちの実行指示を受けた所定ジョブの実行に際し、複数のメモリー領域のうちから所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保するとともに、所定ジョブの実行中に、所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出するメモリー管理部と、を備えている。そして、操作表示部は、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、メモリー管理部は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作表示部が受け付けていれば、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0008】
本発明の構成によると、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用することにより、外部メモリー(たとえば、USBメモリーなど)を使用せずに不足分のメモリー容量を補うことができる。すなわち、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能となる。
【0009】
ただし、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用すれば、所定ジョブと、その所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブとを並列的に実行させるマルチジョブ動作に制限がかかってしまう。そこで、本発明の構成では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するのではなく、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か(マルチジョブ動作に制限をかけるか否か)の受け付けを操作表示部が前以て行う。そして、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作表示部が受け付けた場合にのみ、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。このため、マルチジョブ動作に制限をかけたくないユーザーに対しては、マルチジョブ動作に制限をかけずにメモリーエラーから復帰する(たとえば、外部メモリーを使用することでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0010】
上記の構成において、好ましくは、複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶する記憶部をさらに備え、メモリー管理部は、使用頻度情報を参照し、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。ここで、内部メモリー内の使用頻度の最も低いメモリー領域が割り当てられたジョブは、ユーザーが実行指示を行う可能性が最も低いジョブである。このため、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域をメモリー管理部が所定ジョブ用に一時的に確保して使用し、それによってマルチジョブ動作に制限がかかったとしても、ユーザーの利便性が損なわれるのを最小限に抑えることができる。
【0011】
上記の構成において、好ましくは、メモリー管理部は、所定ジョブが終了した後、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。このように構成すれば、マルチジョブ動作に制限がかかったままで放置される(所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブが実行不能のままで放置される)のを抑制することができる。
【0012】
上記の構成において、好ましくは、操作表示部は、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付ける。ここで、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときには、所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーを解消できる場合がある。そこで、内部メモリー内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かの受け付けに先立ち、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを操作表示部が受け付けるようにしておくと、マルチジョブ動作の制限や外部メモリーの追加を望まない(所定ジョブの効率を低下させても構わない)ユーザーに対して、マルチジョブ動作の制限や外部メモリーの追加を行うことなくメモリーエラーから復帰する(所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0013】
この構成において、好ましくは、所定ジョブは2つ以上のジョブの連動によって完遂するジョブであり、メモリー管理部は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、所定ジョブの効率低下を許可する旨を操作表示部が受け付けていれば、2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。このように構成すれば、所定ジョブの効率は低下するが、マルチジョブ動作に制限をかけたり外部メモリーを追加したりすることなく、容易に、メモリーエラーを解消することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、外部メモリーを追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能な画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成装置の全体構成図
【図2】図1に示した画像形成装置に備えられる操作パネル(操作表示部)の図
【図3】図1に示した画像形成装置の画像形成部を示した概略図
【図4】図1に示した画像形成装置のハードウェア構成を示したブロック図
【図5】図1に示した画像形成装置のRAM(内部メモリー)の概念図
【図6】図1に示した画像形成装置の操作パネルに表示される画面の一例を示した図(マルチジョブ動作の制限を許可するか否かを受け付けるための受付画面の図)
【図7】図1に示した画像形成装置の記憶部に記憶される使用頻度情報を説明するための図
【図8】図1に示した画像形成装置の操作パネルに表示される画面の一例を示した図(複合ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付けるための受付画面の図)
【図9】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図10】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図11】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【図12】図1に示した画像形成装置がジョブを開始してから終了するまでの動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100の全体構成について説明する。
【0017】
本実施形態の画像形成装置100は、たとえば、タンデム方式のカラー複合機であり、コピー、プリンタ、スキャナおよびファックスなどの複数種のジョブを実行することができる。また、この画像形成装置100は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などを備える。
【0018】
操作パネル101は、操作表示部に相当し、たとえば、図1中の破線で示された箇所に配置される。この操作パネル101には、図2に示すように、液晶表示部11が設けられている。液晶表示部11には、各種設定などを行うためのメニューおよび設定キー(ソフトキー)が表示されるとともに、装置状態などを示すメッセージも表示される。そして、ユーザーは、液晶表示部11に表示された設定キーを押下することで、各種設定などを行うことができる。なお、液晶表示部11は、その表示面がタッチパネルで覆われた形態をとる。これにより、液晶表示部11に表示された設定キーがユーザーによって押下されたとき(タッチパネルが押下されたとき)、タッチパネルの出力に基づいて押下位置の座標を検出できるようになっている。
【0019】
また、操作パネル101には、テンキー12やスタートキー13などのハードキーが設けられている。テンキー12は、数値入力が必要な設定指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。スタートキー13は、各種ジョブの実行開始の指示をユーザーから受け付けるためのハードキーである。
【0020】
さらに、操作パネル101には、ハードキーとして、コピーキー14、送信キー15およびボックスキー16などの機能設定キーも設けられている。そして、コピーキー14がユーザーによって押下されると、コピーの機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。送信キー15がユーザーによって押下されると、スキャナおよびファックスの機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。ボックスキー16がユーザーによって押下されると、ボックス(たとえば、後述する記憶部113に設けられた保存領域)の機能を設定する上で必要な設定キーなどを含む機能設定画面が液晶表示部11に表示される。
【0021】
図1に戻って、画像読取部102は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。画像読取部102には、図示しないが、露光ランプ、ミラー、レンズおよびイメージセンサーなどの光学系部材が設けられている。この画像読取部102は、コンタクトガラス21に載置される原稿にビームを照射し、その原稿の反射ビームを受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換することにより、画像データを生成する。これにより、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データに基づき印刷を行うことができる。また、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データを蓄積することもできる。なお、画像読取部102による原稿の読み取り時には、コンタクトガラス21に載置された原稿を原稿カバー22で押えることができる。
【0022】
給紙部103は、記録媒体としての用紙Pを収容するカセット31を複数有し、それら複数のカセット31に収容された用紙Pを搬送路104に供給する。また、この給紙部103には、収容された用紙Pを引き出すピックアップローラー32や、用紙Pの重送を抑制するための分離ローラー対33などが設けられている。
【0023】
搬送路104は、装置内部において用紙Pを搬送するものである。具体的に言うと、給紙部103から供給された用紙Pは、搬送路104によって、中間転写部106および定着部107をこの順番で通過して排出トレイ109に導かれる。この搬送路104には、用紙Pを中間転写部106の手前で待機させ、タイミングを合わせて中間転写部106に送り出すレジストローラー対41などが設けられている。
【0024】
画像形成部105は、画像データに基づいてトナー像を形成するものであって、4色分の画像形成部50(ブラックのトナー像を形成する画像形成部50Bk、イエローのトナー像を形成する画像形成部50Y、シアンのトナー像を形成する画像形成部50C、および、マゼンダのトナー像を形成する画像形成部50M)と、露光装置5とを備えている。なお、画像形成部50Bk、50Y、50Cおよび50Mは、互いに異なる色のトナー像を形成するが、いずれも基本的に同様の構成である。したがって、以下の説明では、各色を表す符号(Bk、Y、CおよびM)を省略する。
【0025】
各画像形成部50のそれぞれは、図3に示すように、感光体ドラム1、帯電装置2、現像装置3および清掃装置4を含んでいる。
【0026】
各感光体ドラム1は、外周面にトナー像を担持するものであって、外周面に感光層を有するとともに、周方向に回転可能に支持されている。各帯電装置2は、対応する感光体ドラム1を一定の電位で帯電させる。各現像装置3は、対応する色の現像剤を収容し、対応する感光体ドラム1にトナーを供給する。各清掃装置4は、対応する感光体ドラム1の清掃を行う。そして、各感光体ドラム1の外周面は、露光装置5によって露光される。これにより、各感光体ドラム1の外周面に静電潜像が形成される。
【0027】
露光装置5は、図示しないが、半導体レーザー素子、ポリゴンミラー、ポリゴンモーター、Fθレンズおよび反射ミラーなどを含む。そして、これら露光装置5の構成部材は、各色の画像形成部50に対して1セットずつ設けられていてもよい。あるいは、半導体レーザー素子、Fθレンズおよび反射ミラーのみを各色の画像形成部50に対して1セットずつ設け、ポリゴンミラーおよびポリゴンモーターについては2色分(または、4色分)の画像形成部50で共用してもよい。
【0028】
図1に戻って、中間転写部106は、画像形成部105からトナー像の1次転写を受けた後、用紙Pに2次転写を行う。中間転写部106は、中間転写ベルト61と、各画像形成部50にそれぞれ割り当てられた1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mとを少なくとも含んでいる。1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mは、対応する画像形成部50(具体的には、感光体ドラム1)との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0029】
また、中間転写部106は、駆動ローラー63および従動ローラー64も含んでいる。そして、駆動ローラー63および従動ローラー64は、1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mと共に、中間転写ベルト61を張架している。このため、駆動ローラー63が回転駆動すると、中間転写ベルト61が循環移動する。
【0030】
さらに、中間転写部106は、2次転写ローラー65も含んでいる。この2次転写ローラー65は、駆動ローラー63との間で中間転写ベルト61を挟み込んでいるとともに、転写用電圧(転写バイアス)が印加されるようになっている。
【0031】
そして、各画像形成部50で形成されたトナー像は、転写用電圧が印加された1次転写ローラー62Bk、62Y、62Cおよび62Mにより、順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト61に1次転写される。すなわち、中間転写ベルト61にフルカラートナー像が転写される。その後、中間転写ベルト61に1次転写されたトナー像は、転写用電圧が印加された2次転写ローラー65により、用紙Pに2次転写される。
【0032】
また、中間転写部106は、ベルト清掃装置66も含んでいる。そして、このベルト清掃装置66によって、中間転写ベルト61から用紙Pへのトナー像の2次転写の後、中間転写ベルト61の清掃が行われる。
【0033】
定着部107は、用紙Pに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させるものである。この定着部107は、発熱源を内蔵する定着ローラー71と、定着ローラー71に圧接される加圧ローラー72とを含んでいる。そして、トナー像が2次転写された用紙Pは、定着ローラー71と加圧ローラー72との間を通過することで、加熱・加圧される。これにより、用紙Pにトナー像が定着される。
【0034】
そして、用紙Pは、定着部107を通過した後、排出トレイ109に排出される。これによって、画像形成処理が完了する。
【0035】
また、両面搬送路108は、両面印刷を可能とするものである。この両面搬送路108は、定着ローラー71および加圧ローラー72の下流側おいて搬送路104と分岐し、レジストローラー対41の上流側において搬送路104と合流している。そして、両面搬送路108には、搬送路104との分岐点に配置された切替爪81、排出トレイ109に繋がる排出口109aに配置されているとともに正逆回転の切り換えが可能な排出ローラー対82、および、用紙Pを搬送する搬送ローラー対83などが設けられている。
【0036】
両面印刷を行う場合、切替爪81は、両面搬送路108を閉じるポジションとなり、定着部107から送られた用紙Pを排出トレイ109に導く。また、排出ローラー対82は、ひとまず正回転して用紙Pの一部分を排出トレイ109に排出する。この後、排出ローラー対82は、用紙Pが排出ローラー対82を通過しきる前に逆回転する。このとき、切替爪81は、両面搬送路108を開く方向に回動する。これにより、片面印刷された用紙Pは、両面搬送路108に導かれる。
【0037】
両面搬送路108に導かれた用紙Pは、搬送ローラー対83により搬送され、レジストローラー対41の上流側に至る。そして、再び、中間転写部106から定着部107へと送られる。このときには、用紙Pの表裏が逆転しているので、用紙Pの裏面(未印刷面)に対して、2次転写処理および定着処理がなされる。そして、両面印刷が終わった用紙Pは、排出トレイ109に排出される。
【0038】
次に、図4を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。
【0039】
画像形成装置100は、主制御部110を有する。この主制御部110は、中央演算処理装置であるCPU111や画像処理部112などを含む。また、主制御部110は、操作パネル101、画像読取部102およびエンジン部(給紙部103、搬送路104、画像形成部105、中間転写部106、定着部107および両面搬送路108)などと接続されている。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶された各種のプログラムおよびデータに基づき、各部の制御や演算などを行う。なお、主制御部110は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像形成や各種回転体を回転させるモーターのオン/オフを制御するエンジン制御部とに分割されていてもよい。
【0040】
記憶部113は、ROM113a、RAM113b(内部メモリー)およびHDD113cなどの揮発性の記憶装置と不揮発性の記憶装置とを含む。そして、複数種のジョブの各実行プログラムは、たとえば、ROM113aに記憶され、RAM113bに展開される。
【0041】
また、主制御部110は、通信部114と接続される。通信部114は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワーク(あるいは、ケーブル)を介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる。さらに、画像読取部102による原稿の読み取り動作によって得られた画像データをコンピューター200に送信することもできる。さらに、たとえば、通信部114にモデムなどを内蔵してもよく、この場合、電話回線などのネットワークを介して、外部のファックス装置300とファックス通信を行うことができる。
【0042】
主制御部110に接続される操作パネル101は、表示制御部17を有する。表示制御部17は、CPUやICなどからなり、液晶表示部11の表示動作を制御する。具体的には、表示制御部17は、ユーザーが操作パネル101に対して行った操作に基づき、記憶部18(あるいは、記憶部113)に格納された情報を読み出し、適切な画面を液晶表示部11に表示させる。たとえば、ユーザーがコピーキー14などの機能設定キーを押下すると、表示制御部17は、ユーザーによる機能設定キーの押下操作を受けて、機能の設定指示を受け付けるための機能設定画面(ソフトキーとしての種々の設定キーやメッセージなどが配された画面)を表示する。なお、機能設定画面を液晶表示部11に表示させるための画面情報は、たとえば、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶されている。
【0043】
そして、表示制御部17は、液晶表示部11(タッチパネル)に表示された設定キーがユーザーによって押下されたとき、タッチパネルの出力を受けて押下位置の座標を特定する。これによって、液晶表示部11に対してユーザーが押下した位置(押下した設定キー)が特定される。たとえば、タッチパネルの出力と押下位置の座標との対応を示すテーブルなどのデータは、記憶部18(あるいは、記憶部113)に記憶される。
【0044】
液晶表示部11に表示された設定キーをユーザーが押下すると、表示制御部17は、ユーザーによって押下された設定キーを特定し、その結果を主制御部110に出力する。そして、主制御部110は、ユーザーが押下した設定キーに応じて設定内容を変更する。この後、表示制御部17は、ソフトキーとしてのスタートキーを液晶表示部11に表示させる。これにより、ユーザーは、液晶表示部11に表示されたスタートキーを押下することによって、自身の所望する設定内容でジョブの実行を開始することができる。あるいは、ハードキーとしてのスタートキー13をユーザーが押下した場合にも、ジョブの実行が開始される。
【0045】
また、主制御部110は、ユーザーから実行指示を受けたジョブ(以下、所定ジョブと言う)の実行に際して、所定ジョブの実行プログラムの作業領域となるメモリー領域をRAM113b内に確保する。たとえば、RAM113b内のメモリー領域は、図5に示すように、複数のメモリー領域に分類されている。そして、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちから、所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保する。
【0046】
図5において、カーネルメモリー領域M1は、カーネル(オペレーティングシステムの中核部分をなすプログラム)の実行に際して使用するメモリー領域である。中間画像メモリー領域M2は、中間画像データを一時的に保存するためのメモリー領域である。
【0047】
また、読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4は、コピージョブに割り当てられたメモリー領域であって、コピー実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。詳説すると、読込メモリー領域M3は、コピージョブのうちの原稿を読み込む読込ジョブに割り当てられ、印刷メモリー領域M4は、コピージョブのうちの印刷ジョブに割り当てられている。すなわち、主制御部110は、コピーの実行に際して、原稿の読み込みを行うときには、読込メモリー領域M3を確保し、印刷を行うときには、印刷メモリー領域M4を確保する。
【0048】
なお、読込メモリー領域M3は、スキャナの実行時にも使用される。したがって、読込メモリー領域M3は、スキャナジョブに割り当てられたメモリー領域であるとも言える。
【0049】
また、ファックスメモリー領域M5は、ファックスジョブに割り当てられたメモリー領域であり、ファックス実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。プリンタメモリー領域M6は、プリンタジョブに割り当てられたメモリー領域であり、プリンタ実行プログラムの作業領域となるメモリー領域である。そして、主制御部110は、ファックスの実行に際してファックスメモリー領域M5を確保し、プリンタの実行に際してプリンタメモリー領域M6を確保する。
【0050】
このように、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域を管理制御するメモリー管理部として機能する。また、主制御部110は、所定ジョブの実行中に、所定ジョブ用のメモリー領域(所定ジョブに割り当てられたメモリー領域)の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かの検出も行う。
【0051】
たとえば、主制御部110は、所定ジョブの実行中にメモリーエラーの発生を検知すると、検知結果を表示制御部17に伝える。そして、表示制御部17は、メモリーエラーが発生したことを示すメッセージなどを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生したことをユーザーに報知する。このとき、ユーザーは、たとえば、画質や解像度を落とすことでメモリーエラーからの復帰を図ることができる。
【0052】
しかし、ユーザーによっては、画質や解像度を落としたくない場合もある。このことを考慮して、主制御部110には、図4に示すように、不足分のメモリー容量を補うための外部メモリー400(たとえば、USBメモリーなど)の装着が可能な接続部115が接続されている。そして、たとえば、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、ユーザーが外部メモリー400を接続部115に装着したとする。この場合、主制御部110は、外部メモリー400内のメモリー領域を一時的に確保し、所定ジョブの実行プログラムの作業領域とする。
【0053】
これにより、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、追加接続した外部メモリー400によって不足分のメモリー容量が補われるので、画質や解像度を落とす必要がなくなる。ただし、この方法では、ユーザーが外部メモリー400を別途購入していなければ、結局のところ、画質や解像度を落とすことでメモリーエラーからの復帰を図らなければならない。
【0054】
このため、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に使用できるようになっている。一例を挙げると、コピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生すれば、ファックスメモリー領域M5およびプリンタメモリー領域M6の少なくとも一方をコピーの実行用に一時的に使用することができる。すなわち、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、外部メモリー400を別途追加することなく、不足分のメモリー容量を補うことができる。
【0055】
ただし、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に使用した場合、所定ジョブを含む2つ以上のジョブを並列的に実行するマルチジョブ動作を行えなくなってしまうことがある。たとえば、コピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生したため、ファックスメモリー領域M5を一時的に使用したとする。このとき、コピーの実行中にファックスを実行しようとしたとしても、その時点でファックスメモリー領域M5が既に使用されているので、ファックスを実行することができなくなってしまう。このため、ユーザーによっては、使い勝手が悪くなってしまう。
【0056】
したがって、本実施形態では、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するようにはなっていない。
【0057】
具体的には、マルチジョブ動作の制限を許可するか否か(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か)を操作パネル101がユーザーから受け付けるようになっている。このとき、液晶表示部11は、たとえば、図6に示すような受付画面RS1を表示する。この受付画面RS1には、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かを受け付けるためのソフトキーSK11(「Yes」が付されたソフトキー)およびソフトキーSK12(「No」が付されたソフトキー)が設けられる。
【0058】
そして、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK11を押下したとする。すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けたとする。この場合には、主制御部110は、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0059】
その一方で、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK12を押下したとする。すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けなかったとする。この場合には、主制御部110は、接続部115に接続された外部メモリー400内のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。なお、このとき、接続部115に外部メモリー400が装着されていなければ、たとえば、外部メモリー400の接続部115への装着をユーザーに促すためのメッセージを液晶表示部11に表示するようにしてもよい。
【0060】
また、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶部113に記憶させる。そして、主制御部110は、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けていれば、使用頻度情報を参照し、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。なお、このとき、主制御部110は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから2つ以上のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する必要があれば、2つ以上のメモリー領域を使用頻度の低い順に確保する。
【0061】
ところで、記憶部113に記憶された使用頻度情報というのは、特に限定されないが、一例を挙げると、RAM113b内の複数のメモリー領域のそれぞれについて、時間帯別の使用カウント数を曜日毎に分類したものである。たとえば、ファックスメモリー領域M5の使用頻度をグラフで表すと、図7に示すようになる。図7に示したグラフによると、月曜日では、12時を含む時間帯において、ファックスメモリー領域M5の使用頻度が低くなっている。そこで、仮に、月曜日の12時頃においてコピーの実行中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生すれば、主制御部110は、ファックスメモリー領域M5をコピーの実行用に一時的に確保して使用する。
【0062】
なお、所定ジョブ(ユーザーから実行指示を受けたジョブ)が2つ以上のジョブの連動によって完遂する複合ジョブである場合がある。複合ジョブとしては、たとえば、コピージョブが挙げられ、コピージョブは、原稿を読み込む読込ジョブおよび印刷ジョブの2つのジョブの連動によって完遂する。そして、読込ジョブおよび印刷ジョブには、それぞれ、読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4が割り当てられている。
【0063】
そこで、本実施形態では、読込ジョブおよび印刷ジョブを連動して実行している最中(言い換えると、コピーの実行中)にメモリーエラー(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方の容量不足)が発生した場合に、読込メモリー領域M3と印刷メモリーM4との間でメモリー領域を一時的に融通し合えるようになっている。すなわち、コピーの実行中において、読込ジョブ中にメモリーエラー(読込メモリー領域M3の容量不足)が発生した場合には印刷メモリーM4を読込ジョブ用に一時的に使用し、印刷ジョブ中にメモリーエラー(印刷メモリー領域M4の容量不足)が発生した場合には読込メモリー領域M3を印刷ジョブ用に一時的に使用する、といった制御を行える。
【0064】
しかし、この場合には、読込ジョブおよび印刷ジョブを並列的に実行することができなくなる。すなわち、原稿の読み込みが終了した後でなければ印刷を行うことができず、逆に、印刷が終了した後でなければ原稿の読み込みを行うことができない。したがって、読込ジョブおよび印刷ジョブを個々で見れば問題はないが、コピージョブとして見ると効率が低下したものとなってしまう(原稿の読み込みから印刷に至るまでの動作がスムーズに行われない)。
【0065】
したがって、本実施形態では、複合ジョブの効率低下を許可するか否かを操作パネル101がユーザーから受け付けるようになっている。このとき、液晶表示部11は、たとえば、図8に示すような受付画面RS2を表示する。この受付画面RS2には、複合ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付けるためのソフトキーSK21(「Yes」が付されたソフトキー)およびソフトキーSK22(「No」が付されたソフトキー)が設けられる。
【0066】
そして、受付画面RS2において、ユーザーがソフトキーSK21を押下したとする。すなわち、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101がユーザーから受け付けたとする。この場合には、主制御部110は、複合ジョブに含まれる2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、その第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別する。そして、主制御部110は、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0067】
その一方で、受付画面RS2において、ユーザーがソフトキーSK22を押下したとする。すなわち、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101がユーザーから受け付けなかったとする。この場合には、操作パネル101は、図6に示した受付画面RS1を液晶表示部11に表示し、マルチジョブ動作の制限を許可するか否か(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用するか否か)をユーザーから受け付ける。
【0068】
この受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK11を押下した場合、すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けた場合には、主制御部110は、複合ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0069】
一方で、受付画面RS1において、ユーザーがソフトキーSK12を押下した場合、すなわち、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の複合ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を複合ジョブ用に使用する旨)を操作パネル101がユーザーから受け付けなかった場合には、主制御部110は、接続部115に接続された外部メモリー400内のメモリー領域を複合ジョブ用に一時的に確保して使用する。
【0070】
次に、図9を参照して、ユーザーから実行指示を受けたジョブを開始してから終了するまでの動作について説明する。
【0071】
まず、図9のフローは、ユーザーが何らかのジョブを実行させるために、スタートキー13(あるいは、液晶表示部11に表示した機能設定画面内のスタートキー)を押下したときにスタートする。以下、ユーザーから実行指示を受けたジョブを所定ジョブと言う。そして、その所定ジョブが複合ジョブではないとする。
【0072】
ステップS1において、主制御部110は、所定ジョブの種類を判別し、所定ジョブの実行日時を記憶部113に記憶させる。
【0073】
ステップS2において、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちから所定ジョブの実行に必要なメモリー領域(所定ジョブに割り当てられたメモリー領域)を確保する。たとえば、主制御部110は、所定ジョブが読込ジョブである場合には、読込メモリー領域M3を確保し、所定ジョブが印刷ジョブである場合には、印刷メモリー領域M4を確保する。続いて、ステップS3において、主制御部110は、所定ジョブを開始する。
【0074】
ステップS4において、主制御部110は、所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生すれば、ステップS5に移行する。なお、このとき、主制御部110は、メモリーエラーが発生した旨の情報を表示制御部17に送信する。
【0075】
ステップS5に移行すると、表示制御部17は、エラーメッセージを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生した旨をユーザーに報知する。そして、このときに、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かをユーザーから受け付けるための受付画面RS1(図6参照)を表示するようにしてもよい。すなわち、このときに、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。あるいは、所定ジョブの開始に先立って、マルチジョブ動作の制限を許可するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。
【0076】
この後、ステップS6において、主制御部110は、マルチジョブ動作の制限を許可する旨(RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨)をユーザーから受け付けているか否かを判断する。そして、マルチジョブ動作の制限を許可する旨をユーザーから受け付けている場合には、ステップS7に移行する。
【0077】
ステップS7に移行すると、主制御部110は、記憶部113に記憶された使用頻度情報を参照し、RAM113b内の複数のメモリー領域の使用頻度順位を判別する。続いて、ステップS8において、主制御部110は、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保する。そして、ステップS9において、主制御部110は、所定ジョブを再開する。所定ジョブを再開した後、ステップS10に移行する。
【0078】
ステップS10に移行すると、主制御部110は、所定ジョブが終了したか否かを判断する。所定ジョブが終了すると、ステップS11において、主制御部110は、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。一方で、所定ジョブが終了していなければ、ステップS4に戻り、主制御部110は、メモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生すれば、ステップS5以降の動作を繰り返す。一方で、メモリーエラーが発生しなければ、ステップS10に移行する。すなわち、主制御部110は、所定ジョブが終了するまで、メモリーエラーが発生していないか否かの検出を続ける。
【0079】
なお、ステップS6において、マルチジョブ動作の制限を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップ12に移行する。
【0080】
ステップS12に移行すると、表示制御部17は、外部メモリー400を使用する旨のメッセージを液晶表示部11に表示させる。なお、外部メモリー400が接続部115に接続されていなければ、外部メモリー400の接続部115への装着をユーザーに促すためのメッセージを液晶表示部11に表示させても良い。そして、ステップS13において、主制御部110は、外部メモリー400内のメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保する。この後、ステップS9に移行し、主制御部110は、所定ジョブを再開する。
【0081】
次に、図10〜図12を参照して、ユーザーから実行指示を受けた所定ジョブが複合ジョブである場合について説明する。
【0082】
まず、図10〜図12のフローは、図9のフローと同様、所定ジョブとしての複合ジョブの実行に際して、ユーザーがスタートキー13(あるいは、液晶表示部11に表示した機能設定画面内のスタートキー)を押下したときにスタートする。以下、説明を分かり易くするために、読込ジョブおよび印刷ジョブの連動によって完遂する複合ジョブ(すなわち、コピー)の実行指示をユーザーから受け付けたとする。
【0083】
ステップS21において、主制御部110は、コピージョブ(読込ジョブおよび印刷ジョブ)の実行日時を記憶部113に記憶させる。
【0084】
ステップS22において、主制御部110は、RAM113b内の複数のメモリー領域のうちからコピージョブの実行に必要なメモリー領域(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4)を確保する。続いて、ステップS23において、主制御部110は、コピージョブを開始する。
【0085】
ステップS24において、主制御部110は、コピージョブ用のメモリー領域(読込メモリー領域M3および印刷メモリー領域M4の少なくとも一方)の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出する。そして、メモリーエラーが発生した場合には、ステップS25に移行する。なお、このとき、主制御部110は、メモリーエラーが発生した旨の情報を表示制御部17に送信する。一方で、メモリーエラーが発生していない場合には、ステップS38に移行する。
【0086】
ステップS25に移行すると、表示制御部17は、エラーメッセージを液晶表示部11に表示させ、メモリーエラーが発生した旨をユーザーに報知する。そして、このときに、コピージョブの効率低下を許可するか否かをユーザーから受け付けるための受付画面RS2(図8参照)を表示するようにしてもよい。あるいは、コピージョブの実行開始に先立って、コピージョブの効率低下を許可するか否かをユーザーから受け付けるようにしてもよい。
【0087】
この後、ステップS26において、主制御部110は、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けているか否かを判断する。そして、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けている場合には、ステップS27に移行する。なお、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップS40に移行する。
【0088】
ステップS27に移行すると、主制御部110は、読込メモリー領域M3における容量不足の発生の有無を検出する。そして、読込メモリー領域M3での容量不足の発生を検出すれば、ステップS28に移行する。なお、読込メモリー領域M3において容量不足が発生したということは、読込ジョブの最中にメモリーエラーが発生したということである。一方で、読込メモリー領域M3での容量不足の発生を検出しなければ、ステップS33に移行する。
【0089】
ステップS28に移行すると、主制御部110は、印刷メモリー領域M4を読込ジョブ用に一時的に確保する。すなわち、主制御部110は、印刷ジョブを一時的に停止する。続いて、ステップS29において、主制御部110は、読込ジョブを再開する。読込ジョブを再開した後、ステップS30において、主制御部110は、読込ジョブが終了したか否かを判断する。読込ジョブが終了すると、ステップS31において、主制御部110は、読込ジョブ用に一時的に確保した印刷メモリー領域M4の使用を解除する。この後、ステップS32において、主制御部110は、印刷ジョブを再開する。
【0090】
ステップS33において、主制御部110は、印刷メモリー領域M4における容量不足の発生の有無を検出する。そして、印刷メモリー領域M4での容量不足の発生を検出すれば、ステップS34に移行する。一方で、印刷メモリー領域M4での容量不足の発生を検出しなければ、ステップS38に移行する。
【0091】
ステップS34に移行すると、主制御部110は、読込メモリー領域M3を印刷ジョブ用に一時的に確保する。続いて、ステップS35において、主制御部110は、印刷ジョブを再開する。印刷ジョブを再開した後、ステップS36において、主制御部110は、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。印刷ジョブが終了すると、ステップS37において、主制御部110は、印刷ジョブ用に一時的に確保した読込メモリー領域M3の使用を解除する。
【0092】
ステップS38において、主制御部110は、コピージョブが完了したか否かを判断する。言い換えると、主制御部110は、コピーすべき次原稿が無くなったか否かを判断する。そして、コピージョブが完了した場合には、そのまま終了する。一方で、コピージョブが完了していない場合には、ステップS39に移行し、主制御部110は、コピージョブを続行する。この後、ステップS24に戻る。
【0093】
また、ステップS26において、コピージョブの効率低下を許可する旨をユーザーから受け付けていない場合には、ステップS40に移行し、ステップS40〜ステップS47の動作を行う。ここで、ステップS40〜ステップS47までの動作は、図9に示したステップS6〜ステップS13までの動作と同様である。したがって、ステップS40〜ステップS47までの動作の説明については、図9に示したステップS6〜ステップS13までの動作の説明を援用するものとして省略する。
【0094】
上記実施形態の構成によると、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとしても、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b(内部メモリー)内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110(メモリー管理部)が所定ジョブ用に一時的に確保して使用することにより、外部メモリー400を使用せずに不足分のメモリー容量を補うことができる。すなわち、外部メモリー400を追加することなく、メモリーエラーを解消することが可能となる。
【0095】
ただし、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用すれば、所定ジョブと、その所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブとを並列的に実行させるマルチジョブ動作に制限がかかってしまう。そこで、本実施形態では、上記のように、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に強制的(自動的)に使用するのではなく、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否か(マルチジョブ動作に制限をかけるか否か)の受け付けを操作パネル101(操作表示部)が前以て行う。そして、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用する旨を操作パネル101が受け付けた場合にのみ、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110が所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。このため、マルチジョブ動作に制限をかけたくないユーザーに対しては、マルチジョブ動作に制限をかけずにメモリーエラーから復帰する(たとえば、外部メモリー400を使用することでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、使用頻度情報を参照し、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を所定ジョブ用に一時的に確保して使用する。ここで、RAM113b内の使用頻度の最も低いメモリー領域が割り当てられたジョブは、ユーザーが実行指示を行う可能性が最も低いジョブである。このため、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を主制御部110が所定ジョブ用に一時的に確保して使用し、それによってマルチジョブ動作に制限がかかったとしても、ユーザーの利便性が損なわれるのを最小限に抑えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、所定ジョブが終了した後、所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除する。このように構成すれば、マルチジョブ動作に制限がかかったままで放置される(所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域を元々割り当てていた他のジョブが実行不能のままで放置される)のを抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、操作パネル101は、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かを受け付ける。ここで、所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときには、所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーを解消できる場合がある。そこで、RAM113b内の所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を所定ジョブ用に使用するか否かの受け付けに先立ち、所定ジョブの効率低下を許可するか否かを操作パネル101が受け付けるようにしておくと、マルチジョブ動作の制限や外部メモリー400の追加を望まない(所定ジョブの効率を低下させても構わない)ユーザーに対して、マルチジョブ動作の制限や外部メモリー400の追加を行うことなくメモリーエラーから復帰する(所定ジョブの効率を低下させることでメモリーエラーから復帰する)という選択肢も与えることができる。
【0099】
この場合、主制御部110は、所定ジョブとしての複合ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、複合ジョブの効率低下を許可する旨を操作パネル101が受け付けていれば、2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、第1メモリー領域に加えて、第2メモリー領域をメモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用する。これにより、複合ジョブの効率は低下するが、マルチジョブ動作に制限をかけたり外部メモリー400を追加したりすることなく、容易に、メモリーエラーを解消することができる。
【0100】
たとえば、読込メモリー領域M3や印刷メモリー領域M4は非圧縮データを扱うので、他のメモリー領域に比べてメモリーサイズが大きい。したがって、読込メモリー領域M3と印刷メモリーM4との間においてはメモリー領域を一時的に融通し合える。
【0101】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0102】
101 操作パネル(操作表示部)
110 主制御部(メモリー管理部)
113 記憶部
113b RAM(内部メモリー)
100 画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を受け付ける操作表示部と、
複数種のジョブにそれぞれ割り当てられている複数のメモリー領域を有する内部メモリーと、
前記複数種のジョブのうちの実行指示を受けた所定ジョブの実行に際し、前記複数のメモリー領域のうちから前記所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保するとともに、前記所定ジョブの実行中に、前記所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出するメモリー管理部と、を備え、
前記操作表示部は、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用する旨を前記操作表示部が受け付けていれば、前記所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記メモリー管理部は、前記使用頻度情報を参照し、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を前記所定ジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブが終了した後、前記所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作表示部は、前記所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、前記所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用するか否かを受け付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定ジョブは2つ以上のジョブの連動によって完遂するジョブであり、
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、前記所定ジョブの効率低下を許可する旨を前記操作表示部が受け付けていれば、前記2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、前記第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、前記第1メモリー領域に加えて、前記第2メモリー領域を前記メモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項1】
入力操作を受け付ける操作表示部と、
複数種のジョブにそれぞれ割り当てられている複数のメモリー領域を有する内部メモリーと、
前記複数種のジョブのうちの実行指示を受けた所定ジョブの実行に際し、前記複数のメモリー領域のうちから前記所定ジョブの実行に必要なメモリー領域を確保するとともに、前記所定ジョブの実行中に、前記所定ジョブ用のメモリー領域の容量不足に起因するメモリーエラーが発生していないか否かを検出するメモリー管理部と、を備え、
前記操作表示部は、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用するか否かを受け付け、
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したときに、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用する旨を前記操作表示部が受け付けていれば、前記所定ジョブ用のメモリー領域に加えて、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のメモリー領域のそれぞれの使用頻度に関する使用頻度情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記メモリー管理部は、前記使用頻度情報を参照し、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域のうちから、使用頻度の最も低いメモリー領域を前記所定ジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブが終了した後、前記所定ジョブ用に一時的に確保したメモリー領域の使用を解除することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記操作表示部は、前記所定ジョブの効率低下を許可するか否かを受け付け、前記所定ジョブの効率低下を許可する旨を受け付けなかった場合に、前記内部メモリー内の前記所定ジョブ用のメモリー領域以外のメモリー領域を前記所定ジョブ用に使用するか否かを受け付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定ジョブは2つ以上のジョブの連動によって完遂するジョブであり、
前記メモリー管理部は、前記所定ジョブの実行中にメモリーエラーが発生したとき、前記所定ジョブの効率低下を許可する旨を前記操作表示部が受け付けていれば、前記2つ以上のジョブにそれぞれ割り当てられた2つ以上のメモリー領域のうちから、メモリーエラーが発生したジョブ用の第1メモリー領域と、前記第1メモリー領域以外の第2メモリー領域とを判別し、前記第1メモリー領域に加えて、前記第2メモリー領域を前記メモリーエラーが発生したジョブ用に一時的に確保して使用することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−42220(P2013−42220A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176110(P2011−176110)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]