説明

画像形成装置

【課題】 不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通常状態と、通常状態より電力の消費が少ないディープスリープ状態との少なくとも2つの状態を有するMFP10において、復帰用データ生成手段は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に、復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成し、全ての復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成できないときに、残りの復帰用データをRAM40上に生成し、電力制御手段は、状態がディープスリープ状態である場合に、プリンター13への電力の供給を停止し、RAM40のうち復帰用データが記憶されているメモリーチップのみへリフレッシュのために電力を供給し、復帰用データ使用手段は、状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合に、不揮発性記憶装置50およびRAM40上の復帰用データをRAM40上に伸張する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、状態が通常状態から省エネ状態に移行する場合に、状態が通常状態から省エネ状態に移行する直前のRAM上のデータを圧縮することによって復帰用データを不揮発性記憶装置上に生成し、状態が省エネ状態から通常状態に復帰する場合に、不揮発性記憶装置上の復帰用データをRAM上に伸張する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1−3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−38545号公報
【特許文献2】特許第4055357号公報
【特許文献3】特開2011−41016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の画像形成装置においては、不揮発性記憶装置が復帰用データを確実に記憶することができるように、不揮発性記憶装置において復帰用データの最大のサイズに相当する領域を復帰用データのために常に確保しておく必要があるので、不揮発性記憶装置の利用の効率が悪いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態より電力の消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、印刷を実行する印刷部と、作業領域としてのRAMを備えていて前記印刷部による印刷を制御する印刷制御部と、不揮発性記憶装置と、電力の供給を制御する電力制御手段と、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に使用されるデータである復帰用データを使用する復帰用データ使用手段と、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータを圧縮することによって前記復帰用データを生成する復帰用データ生成手段とを備えており、前記RAMは、別々に電力の供給が制御されることが可能である複数の区画を備えており、前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成し、全ての前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成できないときに、残りの前記復帰用データを前記RAM上に生成し、前記電力制御手段は、前記状態が前記省エネ状態である場合に、前記印刷部への電力の供給を停止し、前記RAM上に前記復帰用データが記憶されているときに、前記RAMのうち前記復帰用データが記憶されている前記区画のみへリフレッシュのために電力を供給し、前記RAMのうち前記復帰用データが記憶されている前記区画以外の区画への電力の供給を停止し、前記復帰用データ使用手段は、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に、前記不揮発性記憶装置上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張し、前記RAM上に前記復帰用データが記憶されているときに、前記RAM上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、状態が通常状態から省エネ状態に移行する場合に、全ての復帰用データを不揮発性記憶装置上に生成できないときに、残りの復帰用データをRAM上に生成するので、不揮発性記憶装置において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がない。したがって、本発明の画像形成装置は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置の前記復帰用データ生成手段は、空き領域を含む前記区画の数が最少となり全体が空き領域である前記区画の数が最多となるように前記復帰用データへの圧縮前のデータを前記RAM上で配置し直すことによって、連続した空き領域である連続空き領域を前記RAM上に生成し、前記復帰用データが記憶されている前記区画の数が最少となるように前記連続空き領域に前記復帰用データを生成しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、復帰用データを生成する場合にRAMの区画を考慮した制御を実行しない構成と比較して、RAMのうち省エネ状態においてリフレッシュのために電力が供給される必要がある区画の数を少なくすることができるので、省エネ性能を向上することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の前記復帰用データ生成手段は、不要なデータであると予め設定されている種類のデータを削除することによって、前記復帰用データへの圧縮前のデータを生成しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、不要なデータを削除しないで復帰用データを生成する構成と比較して、復帰用データのサイズを小さくすることができるので、RAMのうち省エネ状態においてリフレッシュのために電力が供給される必要がある区画の数を少なくすることができる。したがって、本発明の画像形成装置は、省エネ性能を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置は、不揮発性記憶装置の利用の効率を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通常状態である場合の本発明の第1の実施の形態に係るMFPのブロック図である。
【図2】ライトスリープ状態である場合の図1に示すMFPのブロック図である。
【図3】ディープスリープ状態である場合にメインシステムのRAMの全部への電力の供給が停止されているときの図1に示すMFPのブロック図である。
【図4】ディープスリープ状態である場合にメインシステムのRAMの一部に電力が供給されているときの図1に示すMFPの一例のブロック図である。
【図5】図1に示すメインシステムおよびサブシステムの機能のブロック図である。
【図6】図1に示すMFPの状態が通常状態である場合のメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図7】図1に示すMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段の動作のフローチャートである。
【図8】図1に示すメインシステムの不揮発性記憶装置の状態が図6に示す状態であった場合にメインシステムの不揮発性記憶装置に復帰用データが生成されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図9】図1に示すメインシステムのRAMの状態が図8に示す状態であった場合にメインシステムのRAMに復帰用データが生成されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図10】図1に示すMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の電力制御手段の動作のフローチャートである。
【図11】図1に示すメインシステムのRAMの状態が図8に示す状態であった場合にメインシステムのRAMの全部への電力の供給が停止されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図12】図1に示すメインシステムのRAMの状態が図9に示す状態であった場合にメインシステムのRAMの一部への電力の供給が停止されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図13】図1に示すMFPの状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合の復帰用データ使用手段の動作のフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段の動作のフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るMFPのメインシステムのRAMの状態が図6に示す状態であった場合にメインシステムのRAMから不要なデータが削除されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るMFPのメインシステムのRAMの状態が図15に示す状態であった場合にメインシステムのRAMに連続空き領域が生成されたときのメインシステムのRAMおよび不揮発性記憶装置の状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0016】
図1は、通常状態である場合の本実施の形態に係るMFP10のブロック図である。図2は、ライトスリープ状態である場合のMFP10のブロック図である。図3は、ディープスリープ状態である場合にメインシステム30のRAM40の全部への電力の供給が停止されているときのMFP10のブロック図である。図4は、ディープスリープ状態である場合にメインシステム30のRAM40の一部に電力が供給されているときのMFP10の一例のブロック図である。
【0017】
MFP10は、印刷可能な通常状態(図1参照。)と、通常状態よりエネルギーの消費が少ないライトスリープ状態(図2参照。)と、ライトスリープ状態より更にエネルギーの消費が少ない本発明の省エネ状態としてのディープスリープ状態(図3または図4参照。)との3つの状態を有している。ライトスリープ状態は、通常状態への復帰がディープスリープ状態よりも速い。
【0018】
図2に示すMFP10は、表示部12、プリンター13およびスキャナー14にハッチングが描かれていることによって、表示部12、プリンター13およびスキャナー14に電力が供給されていないことを示している。
【0019】
図3に示すMFP10は、表示部12、プリンター13、スキャナー14およびメインシステム30にハッチングが描かれていることによって、表示部12、プリンター13、スキャナー14およびメインシステム30に電力が供給されていないことを示している。
【0020】
図4に示すMFP10は、表示部12、プリンター13およびスキャナー14と、メインシステム30のうちメモリーチップ44以外の構成とにハッチングが描かれていることによって、表示部12、プリンター13およびスキャナー14と、メインシステム30のうちメモリーチップ44以外の構成とに電力が供給されていないことを示している。
【0021】
図1に示すように、MFP10は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部11と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部12と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスである本発明の印刷部としてのプリンター13と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー14と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部15と、LAN(Local Area Network)などのネットワーク経由でPC(Personal Computer)などの外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部16と、MFP10全体を制御するコントローラー20とを備えている。
【0022】
操作部11は、表示部12とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0023】
プリンター13は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データや、外部のファクシミリ装置からファックス通信部15を介して受信されたFAXデータや、外部の装置からネットワーク通信部16を介して受信された印刷データなどの各種のデータを印刷する。
【0024】
ファックス通信部15は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データを外部のファクシミリ装置に送信したり、プリンター13で印刷されるためのFAXデータを外部のファクシミリ装置から受信したりする。
【0025】
ネットワーク通信部16は、例えば、スキャナー14によって生成された画像データを外部の装置に送信したり、プリンター13で印刷されるための印刷データを外部の装置から受信したりする。
【0026】
コントローラー20は、通常状態およびライトスリープ状態においてMFP10を制御するメインシステム30と、ディープスリープ状態においてMFP10を制御するサブシステム60とを備えている。メインシステム30は、通常状態においてプリンター13による印刷を制御するようになっており、本発明の印刷制御部を構成している。
【0027】
メインシステム30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)32と、CPU31の作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性記憶装置であるRAM(Random Access Memory)40と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性記憶装置50とを備えている。CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムを実行することによってメインシステム30を動作させる演算処理装置である。RAM40は、CPU31によってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。メインシステム30は、ライトスリープ状態である場合に電源が切断されないが、ディープスリープ状態である場合に完全にまたは略完全に電源が切断される。
【0028】
RAM40は、情報の記憶用のIC(Integrated Circuit)チップであるメモリーチップ41〜44によって構成されている。メモリーチップ41〜44は、別々に電力の供給が制御されることが可能であり、本発明の区画を構成している。
【0029】
サブシステム60は、CPU61と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM62と、CPU61の作業領域として用いられる書き換え可能な揮発性記憶装置であるRAM63とを備えている。CPU61は、ROM62に記憶されているプログラムを実行することによってサブシステム60を動作させる演算処理装置である。RAM63は、CPU61によってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0030】
図5は、メインシステム30およびサブシステム60の機能のブロック図である。
【0031】
図5に示すように、メインシステム30は、CPU31がROM32に記憶されているプログラムを実行することによって、MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合に使用されるデータである後述の復帰用データ40c、50dを使用する復帰用データ使用手段30a、および、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する直前のRAM40上のデータを圧縮することによって復帰用データ40c、50dを生成する復帰用データ生成手段30bとして機能する。
【0032】
サブシステム60は、CPU61がROM62に記憶されているプログラムを実行することによって、電力の供給を制御する電力制御手段60aとして機能する。
【0033】
図6は、MFP10の状態が通常状態である場合のメインシステム30のRAM40および不揮発性記憶装置50の状態の一例を示す図である。
【0034】
図6に示すように、MFP10の状態が通常状態である場合、RAM40には、OS(Operating System)によって管理されているOS管理領域45と、RAMディスクとして使用されるRAMディスク領域46とが配置されている。RAMディスク領域46には、データ40aが記憶されている。
【0035】
また、MFP10の状態が通常状態である場合、不揮発性記憶装置50には、MFP10の起動を高速にするためにMFP10の起動時に使用されるデータである起動用データ50aと、起動用データ50a以外のデータ50bと、空き領域50cとが配置されている。起動用データ50aは、起動直後のOS管理領域45のデータが圧縮されているデータである。データ50bは、例えばアドレス帳など、MFP10への電力の供給が停止された場合にも保持されるべきデータが含まれている。空き領域50cは、後述の復帰用データ50dが書込まれるために少なくとも一定の容量が常に確保されていても良い。
【0036】
次に、MFP10の動作について説明する。
【0037】
<ライトスリープ状態への移行>
MFP10の状態が通常状態からライトスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明する。
【0038】
MFP10が図1に示すように通常状態である場合、MFP10の状態を通常状態からライトスリープ状態に移行させるための指示が操作部11またはネットワーク通信部16を介して入力されたり、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に所定の時間以上、何も入力がなかったりなど、MFP10の状態を通常状態からライトスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図2に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を停止する。すなわち、MFP10の状態は、図1に示す通常状態から、図2に示すライトスリープ状態に移行する。
【0039】
<ライトスリープ状態からの復帰>
MFP10の状態がライトスリープ状態から通常状態に復帰する場合のMFP10の動作について説明する。
【0040】
MFP10が図2に示すようにライトスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に何らかの入力があるなど、MFP10の状態をライトスリープ状態から通常状態に復帰させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図1に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を開始する。すなわち、MFP10の状態は、図2に示すライトスリープ状態から、図1に示す通常状態に復帰する。
【0041】
<ディープスリープ状態への移行>
MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明する。
【0042】
MFP10が図1に示すように通常状態である場合、MFP10の状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための指示が操作部11またはネットワーク通信部16を介して入力されるなど、MFP10の状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、MFP10のメインシステム30の復帰用データ生成手段30bは、図7に示す処理を開始する。
【0043】
図7は、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段30bの動作のフローチャートである。
【0044】
図7に示すように、復帰用データ生成手段30bは、不揮発性記憶装置50の空き領域50cのサイズを不揮発性記憶装置50から取得する(S101)。
【0045】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、S101において取得したサイズに入るサイズの復帰用データ50dを、データ40aに基づいて不揮発性記憶装置50の空き領域50cに生成する(S102)。例えば、不揮発性記憶装置50は、S102の処理の前に図6に示す状態である場合、S102の処理の実行によって図8に示す状態になる。図8において、連続した空き領域である連続空き領域40bは、復帰用データ50dの生成前のデータ40aのうち復帰用データ50dに対応するデータが記憶されていた領域であって、復帰用データ50dの生成の際に復帰用データ生成手段30bによって削除された領域である。
【0046】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、データ40aに基づく全ての復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成できたか否かを判断する(S103)。
【0047】
復帰用データ生成手段30bは、全ての復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成できたとS103において判断すると、復帰用データの生成の完了をサブシステム60に通知して(S104)、図7に示す処理を終了する。
【0048】
一方、復帰用データ生成手段30bは、全ての復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成できなかったとS103において判断すると、復帰用データが記憶されているメモリーチップの数が最少となるように、データ40aに基づく残りの復帰用データ40cをRAM40の連続空き領域40bに生成する(S105)。例えば、RAM40は、S105の処理の前に図8に示す状態である場合、S105の処理の実行によって図9に示す状態になる。
【0049】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、復帰用データの生成の完了と、S105において復帰用データ40cを生成したメモリーチップとをサブシステム60に通知して(S106)、図7に示す処理を終了する。
【0050】
サブシステム60の電力制御手段60aは、S104またはS106において復帰用データの生成の完了がメインシステム30から通知されると、図10に示す処理を開始する。
【0051】
図10は、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の電力制御手段60aの動作のフローチャートである。
【0052】
図10に示すように、電力制御手段60aは、図2に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14への電力の供給を停止する(S121)。
【0053】
次いで、電力制御手段60aは、復帰用データが生成されたメモリーチップの通知がメインシステム30からあったか否かを判断する(S122)。すなわち、電力制御手段60aは、復帰用データ生成手段30bがS106の処理を実行したか否かを判断する。
【0054】
電力制御手段60aは、復帰用データが生成されたメモリーチップの通知がメインシステム30からなかった、すなわち、復帰用データ生成手段30bがS106の処理を実行しなかったとS122において判断すると、図3に示すようにメインシステム30への電力の供給を停止して(S123)、図10に示す処理を終了する。このとき、RAM40は、S123の処理の前に図8に示す状態である場合、S123の処理の実行によって図11に示す状態になる。
【0055】
一方、電力制御手段60aは、復帰用データが生成されたメモリーチップの通知がメインシステム30からあった、すなわち、復帰用データ生成手段30bがS106の処理を実行したとS122において判断すると、メインシステム30から通知されたメモリーチップを除いて、メインシステム30への電力の供給を停止して(S124)、図10に示す処理を終了する。すなわち、電力制御手段60aは、RAM40上に復帰用データ40cが記憶されているときに、RAM40のうち復帰用データ40cが記憶されているメモリーチップのみへリフレッシュのために電力を供給し、RAM40のうち復帰用データ40cが記憶されているメモリーチップ以外のメモリーチップへの電力の供給を停止する(パーシャルパワーダウン)。電力が供給されるメモリーチップは、セルフリフレッシュモードとなる。例えば、電力制御手段60aは、メインシステム30からメモリーチップ44が通知された場合、図4に示すように、メインシステム30のうちメモリーチップ44以外の構成への電力の供給を停止する。このとき、RAM40は、S124の処理の前に図9に示す状態である場合、S124の処理の実行によって図12に示す状態になる。
【0056】
以上に説明したように、MFP10の状態は、図1に示す通常状態から、図3または図4に示すディープスリープ状態に移行する。
【0057】
以上においては、MFP10の状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作について説明したが、MFP10の状態がライトスリープ状態からディープスリープ状態に移行する場合のMFP10の動作についても同様である。すなわち、MFP10が図2に示すようにライトスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に所定の時間以上、何も入力がなかったなど、MFP10の状態をライトスリープ状態からディープスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、復帰用データ生成手段30bおよび電力制御手段60aの動作によって、MFP10の状態は、ライトスリープ状態から図3または図4に示すディープスリープ状態に移行する。
【0058】
<ディープスリープ状態からの復帰>
MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合のMFP10の動作について説明する。
【0059】
MFP10が図3または図4に示すようにディープスリープ状態である場合、操作部11、ファックス通信部15およびネットワーク通信部16に何らかの入力があるなど、MFP10の状態をディープスリープ状態から通常状態に復帰させるための所定の条件が発生すると、MFP10のサブシステム60の電力制御手段60aは、図1に示すように表示部12、プリンター13およびスキャナー14およびメインシステム30への電力の供給を開始する。
【0060】
メインシステム30への電力の供給が開始されると、メインシステム30の復帰用データ使用手段30aは、図13に示す処理を開始する。
【0061】
図13は、MFP10の状態がディープスリープ状態から通常状態に復帰する場合の復帰用データ使用手段30aの動作のフローチャートである。
【0062】
図13に示すように、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の起動用データ50aを使用する(S141)。すなわち、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の起動用データ50aをRAM40上に伸張して、RAM40上にOS管理領域45を生成する。
【0063】
次いで、復帰用データ使用手段30aは、図12に示すようにRAM40上に復帰用データ40cがあるか否かを判断する(S142)。
【0064】
復帰用データ使用手段30aは、RAM40上に復帰用データ40cがあるとS142において判断すると、RAM40上の復帰用データ40cを使用する(S143)。すなわち、復帰用データ使用手段30aは、RAM40上の復帰用データ40cをRAM40上に伸張して、RAM40上にデータ40aの一部を復元する。
【0065】
復帰用データ使用手段30aは、RAM40上に復帰用データ40cがないとS142において判断するか、S143の処理を実行すると、不揮発性記憶装置50上の復帰用データ50dを使用する(S144)。すなわち、復帰用データ使用手段30aは、不揮発性記憶装置50上の復帰用データ50dをRAM40上に伸張して、RAM40上にデータ40aを完全に復元する。
【0066】
次いで、復帰用データ使用手段30aは、復帰用データ40c、50dを削除して(S145)、図13に示す処理を終了する。例えば、RAM40および不揮発性記憶装置50は、図13に示す処理の前に図11または図12に示す状態である場合、図13に示す処理の実行によって図6に示す状態になる。
【0067】
以上に説明したように、MFP10の状態は、図3または図4に示すディープスリープ状態から、図1に示す通常状態に復帰する。
【0068】
以上に説明したように、MFP10は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合に、全ての復帰用データを不揮発性記憶装置50上に生成できないときに、残りの復帰用データをRAM40上に生成するので、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がない。したがって、MFP10は、不揮発性記憶装置50の利用の効率を従来より向上することができる。特に、MFP10は、メインシステム30にオプションのRAMが増設されてRAMディスクの容量を増やすことができる場合に、この効果が大きい。
【0069】
また、MFP10は、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく必要がないので、不揮発性記憶装置50において復帰用データの最大のサイズの領域を復帰用データのために常に確保しておく構成と比較して、不揮発性記憶装置50の容量を抑えることができる。したがって、MFP10は、製造コストを抑えることができる。
【0070】
また、MFP10は、状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合であっても、RAMディスクの内容を失うことを防止することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFPの構成は、第1の実施の形態に係るMFP10の構成と同様であるので、第1の実施の形態に係るMFP10の構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0072】
次に、本実施の形態に係るMFPの動作について説明する。
【0073】
本実施の形態に係るMFPの動作は、ディープスリープ状態への移行を除いて、第1の実施の形態に係るMFP10の動作と同様である。
【0074】
<ディープスリープ状態への移行>
本実施の形態に係るMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の本実施の形態に係るMFPの動作について説明する。
【0075】
本実施の形態に係るMFPが図1に示すように通常状態である場合、本実施の形態に係るMFPの状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための指示が操作部11またはネットワーク通信部16を介して入力されるなど、本実施の形態に係るMFPの状態を通常状態からディープスリープ状態に移行させるための所定の条件が発生すると、本実施の形態に係るMFPのメインシステム30の復帰用データ生成手段30bは、図14に示す処理を開始する。
【0076】
図14は、本実施の形態に係るMFPの状態が通常状態からディープスリープ状態に移行する場合の復帰用データ生成手段30bの動作のフローチャートである。
【0077】
図14に示すように、復帰用データ生成手段30bは、キャッシュフラッシュを実行するなどして、読み込みキャッシュなど、不要なデータであると予め設定されている種類のデータをRAM40から削除する(S201)ことによって、復帰用データ40c、50dへの圧縮前のデータ40aを生成する。例えば、RAM40は、S201の処理の前に図6に示す状態である場合、S201の処理の実行によって図15に示す状態になる。図15において、RAM40には、S201においてデータが削除されて生成された空き領域40dが配置されている。
【0078】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、ガベージコレクションを実行するなどして、空き領域を含むメモリーチップの数が最少となり全体が空き領域であるメモリーチップの数が最多となるように後述の復帰用データ40c、50dへの圧縮前のデータ40aをRAM40上で配置し直すことによって、連続空き領域40bをRAM40上に生成する(S202)。例えば、RAM40は、S202の処理の前に図15に示す状態である場合、S202の処理の実行によって図16に示す状態になる。図16において、RAM40には、S201において生成された空き領域40d(図15参照。)がS202において配置し直された連続空き領域40bが配置されている。
【0079】
次いで、復帰用データ生成手段30bは、図7に示すS101〜S106の処理と同様の処理を実行して、図14に示す処理を終了する。
【0080】
以上に説明したように、本実施の形態に係るMFPは、空き領域を含むメモリーチップの数が最少となり全体が空き領域であるメモリーチップの数が最多となるように復帰用データ40c、50dへの圧縮前のデータ40aをRAM40上で配置し直すことによって、連続空き領域40bをRAM40上に生成し、復帰用データ40c、50dが記憶されているメモリーチップの数が最少となるように連続空き領域40bに復帰用データ40cを生成するので、復帰用データ40c、50dを生成する場合にRAM40のメモリーチップを考慮した制御を実行しない構成と比較して、RAM40のうちディープスリープ状態においてリフレッシュのために電力が供給される必要があるメモリーチップの数を少なくすることができる。したがって、本実施の形態に係るMFPは、省エネ性能を向上することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係るMFPは、不要なデータであると予め設定されている種類のデータを削除することによって、復帰用データ40c、50dへの圧縮前のデータ40aを生成するので、不要なデータを削除しないで復帰用データを生成する構成と比較して、復帰用データのサイズを小さくすることができる。したがって、本実施の形態に係るMFPは、RAM40のうちディープスリープ状態においてリフレッシュのために電力が供給される必要があるメモリーチップの数を少なくすることができる。すなわち、本実施の形態に係るMFPは、省エネ性能を向上することができる。
【0082】
なお、RAM40は、上述の各実施の形態においてメモリーチップがセルフリフレッシュによってリフレッシュされるようになっているが、外部のリフレッシュ回路を用いたリフレッシュなど、セルフリフレッシュ以外の方法によってリフレッシュされるようになっていても良い。ただし、セルフリフレッシュは、外部のリフレッシュ回路を用いたリフレッシュと比較して、省エネ性能を向上することができる。
【0083】
また、RAM40は、上述の各実施の形態において4個のメモリーチップによって構成されているが、4個以外の個数のメモリーチップによって構成されていても良い。
【0084】
また、本発明の区画は、上述の各実施の形態においてメモリーチップであるが、別々に電力の供給が制御されることが可能である区画であれば、メモリーチップ以外の区画であっても良い。
【0085】
本発明の画像形成装置は、上述の各実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機、ファックス専用機、コピー専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
10 MFP(画像形成装置)
13 プリンター(印刷部)
30 メインシステム(印刷制御部)
30a 復帰用データ使用手段
30b 復帰用データ生成手段
40 RAM
40b 連続空き領域
40c 復帰用データ
41〜44 メモリーチップ(区画)
50 不揮発性記憶装置
50d 復帰用データ
60a 電力制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、前記通常状態より電力の消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、
印刷を実行する印刷部と、作業領域としてのRAMを備えていて前記印刷部による印刷を制御する印刷制御部と、不揮発性記憶装置と、電力の供給を制御する電力制御手段と、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に使用されるデータである復帰用データを使用する復帰用データ使用手段と、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する直前の前記RAM上のデータを圧縮することによって前記復帰用データを生成する復帰用データ生成手段とを備えており、
前記RAMは、別々に電力の供給が制御されることが可能である複数の区画を備えており、
前記復帰用データ生成手段は、前記状態が前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に、前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成し、全ての前記復帰用データを前記不揮発性記憶装置上に生成できないときに、残りの前記復帰用データを前記RAM上に生成し、
前記電力制御手段は、前記状態が前記省エネ状態である場合に、前記印刷部への電力の供給を停止し、前記RAM上に前記復帰用データが記憶されているときに、前記RAMのうち前記復帰用データが記憶されている前記区画のみへリフレッシュのために電力を供給し、前記RAMのうち前記復帰用データが記憶されている前記区画以外の区画への電力の供給を停止し、
前記復帰用データ使用手段は、前記状態が前記省エネ状態から前記通常状態に復帰する場合に、前記不揮発性記憶装置上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張し、前記RAM上に前記復帰用データが記憶されているときに、前記RAM上の前記復帰用データを前記RAM上に伸張することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記復帰用データ生成手段は、空き領域を含む前記区画の数が最少となり全体が空き領域である前記区画の数が最多となるように前記復帰用データへの圧縮前のデータを前記RAM上で配置し直すことによって、連続した空き領域である連続空き領域を前記RAM上に生成し、前記復帰用データが記憶されている前記区画の数が最少となるように前記連続空き領域に前記復帰用データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記復帰用データ生成手段は、不要なデータであると予め設定されている種類のデータを削除することによって、前記復帰用データへの圧縮前のデータを生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−50657(P2013−50657A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189678(P2011−189678)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】