説明

画像形成装置

【課題】各ジョブの概要は表示しつつも、より詳細な画像の内容については表示/非表示の選択を可能とする。
【解決手段】表示すべき全てのジョブについて、ジョブの属性及びサムネイル画像を表示する(ステップS32,S33)。選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブである場合には(ステップS37;YES)、選択されたジョブに対応するプレビュー画像を表示する(ステップS38)。選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブでない場合(ステップS37;NO)、すなわち、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザを除く他のユーザに属する場合には、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示する(ステップS39)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、装置内に保存されているジョブの一覧を表示して実行対象となるジョブを選択する際に、ジョブ毎にサムネイル画像を表示し、ユーザにジョブの概要を示すものがある。また、ジョブのデータに基づいて画像形成後のイメージを示すプレビュー画像を表示可能な画像形成装置も知られている。
【0003】
このように、画像形成前に、サムネイル画像やプレビュー画像を表示する画像形成装置では、ユーザがジョブの内容を公開したくない場合にも、第三者にジョブの内容を知られるおそれがある。
【0004】
そこで、各画像データに対応するサムネイル画像を表示する画像処理装置において、画像データに対してパスワードを設定可能とし、パスワードが設定されているか否かに基づいて、サムネイル画像を表示するか否かを切り替える技術が提案されている(特許文献1参照)。これにより、第三者への情報漏洩のリスクを低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−227707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の画像処理装置のように、パスワードが設定されている画像データについてはサムネイル画像を表示しないこととすると、各ジョブの内容を確認することができず、ジョブの特定が困難であった。
【0007】
本発明の課題は、各ジョブの概要は表示しつつも、より詳細な画像の内容については表示/非表示の選択を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画面表示を行う表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部と、複数のジョブを記憶する記憶部と、前記複数のジョブに含まれる画像データに基づく各ジョブに対応する複数のサムネイル画像、及び、前記複数のジョブのうち前記操作部において選択されたいずれか一のジョブに含まれる画像データに基づく画像形成後のイメージを示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる制御部と、を備える画像形成装置であって、前記制御部は、サムネイル画像を前記表示部に表示させ、前記選択されたジョブのユーザ情報に基づいて前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザに属するか否かを判断し、前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザに属する場合にのみ、前記選択されたジョブに対応するプレビュー画像を前記表示部に表示させる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、ユーザ毎に設定されたパスワードに基づいて、当該画像形成装置を使用するユーザに対してパスワードの認証を行った後、当該画像形成装置の使用を許可する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザを除く他のユーザに属する場合には、当該選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を前記表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、各ジョブに対応するサムネイル画像は表示しつつ、選択されたジョブに対応するプレビュー画像については画像形成装置を使用中のユーザに属する場合にのみ表示するので、各ジョブの概要は表示しつつも、より詳細な画像の内容については表示/非表示の選択が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ユーザ毎に画像形成装置の使用を管理することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、選択されたジョブが他のユーザに属する場合には、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示するので、ジョブの内容の漏洩を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態における画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】第1のジョブ一覧画面表示処理を示すフローチャートである。
【図3】属性及びサムネイル画像が表示されたジョブ一覧画面の例を示す図である。
【図4】選択されたジョブにパスワードが設定されている場合のジョブ一覧画面の例を示す図である。
【図5】パスワード入力画面の表示例である。
【図6】選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示されたジョブ一覧画面の例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態におけるユーザ認証処理を示すフローチャートである。
【図8】ユーザ認証画面の表示例である。
【図9】第2のジョブ一覧画面表示処理を示すフローチャートである。
【図10】選択されたジョブが他のユーザに属するジョブであった場合のジョブ一覧画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
図1〜図6を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、第1の実施の形態における画像形成装置10の機能的構成を示す。図1に示すように、画像形成装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、画像読取部14、プリントコントローラ部15、記憶部16、画像処理部17、画像形成部18、後処理部19を備え、各部はバスにより接続されている。
【0016】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。CPUは、ROMに格納されているプログラムの中から指定されたプログラムを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働により各種処理を実行し、画像形成装置10の各部を集中制御する。
【0017】
ROMには、後述する第1のジョブ一覧画面表示処理(図2参照)を実行するための第1のジョブ一覧画面表示処理プログラムが記憶されている。制御部11は、第1のジョブ一覧画面表示処理プログラムに基づいて、サムネイル画像やプレビュー画像を含むジョブ一覧画面を生成して表示部13に表示させる。
【0018】
サムネイル画像とは、ジョブに含まれる画像データに基づいて生成される縮小画像であり、ジョブの概要を示すものである。サムネイル画像として、例えば、ジョブに含まれる全画像のうち先頭の画像に対応する画像が表示される。
【0019】
プレビュー画像とは、複数のジョブのうち、操作部12において選択されたジョブに含まれる画像データに基づく画像形成後のイメージを示す画像であり、サムネイル画像と比較して、画像の内容をより詳細に表示するものである。一般的に、プレビュー画像は、サムネイル画像より大きいサイズで表示される。
【0020】
操作部12は、ユーザによる操作を受け付ける機能部であり、数字キーやスタートキー、リセットキー等の各種キーを有し、押下されたキーの押下信号を制御部11に出力する。また、操作部12は、表示部13と一体的に形成されたタッチパネルを備えており、ユーザの指先やタッチペン等により当接されたタッチパネル上の位置を検出して、位置信号を制御部11に出力する。具体的には、操作部12は、表示部13に表示されるジョブ一覧画面131(図3参照)において、ユーザが複数のジョブのうちいずれか一のジョブを選択する際に用いられる。
【0021】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、ELディスプレイ(ElectroLuminescent Display)等により構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種操作画面や処理結果等を表示する。
【0022】
画像読取部14は、プラテンガラス上の原稿画像を光走査し、これをCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサにより光電変換して原稿画像を読み取り、画像データを生成する。
【0023】
プリントコントローラ部15は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して、PC(Personal Computer)等の外部装置(図示略)と接続される。プリントコントローラ部15は、制御部11の指示により、外部装置から送信されるジョブのデータを画像形成部18又は記憶部16へ配信する。
【0024】
記憶部16は、ハードディスク等の記憶装置であり、画像読取部14又はプリントコントローラ部15から入力された画像データを含むジョブが複数記憶されている。各ジョブには、画像データ、属性情報、設定情報が含まれる。属性情報には、ジョブのデータファイルのファイル名、ジョブを作成したユーザ名、ジョブのデータファイルの更新日時、画像形成枚数、部数等が含まれる。設定情報には、用紙、給紙トレイ、両面/片面、集約等の画像形成条件や、ソート、ステープル、パンチ、排紙トレイ等の後処理条件等が含まれる。また、ジョブは、特定のフォーマットで記憶されており、ジョブに対してパスワードが設定されている場合には、このフォーマットのうちパスワードに割り当てられたパスワード保存領域にパスワードが記憶されている。また、記憶部16には、代替画像を表示するための画像データ(以下、代替画像データという。)が記憶されている。
【0025】
画像処理部17は、制御部11の指示により、画像読取部14で読み取られた画像データ、プリントコントローラ部15から入力された画像データ、又は記憶部16に記憶された画像データに、各種画像処理を施す。画像処理部17は、制御部11のROMに格納されたプログラムと制御部11のCPUとの協働によってソフトウェア処理で実現される。
【0026】
例えば、画像処理部17は、制御部11の指示により、画像データに対して、サムネイル画像を表示するための画像データ(以下、サムネイル画像データという。)、プレビュー画像を表示するための画像データ(以下、プレビュー画像データという。)への変換処理等の画像処理を施す。
【0027】
画像形成部18は、制御部11の指示により、画像読取部14で読み取られた画像データ、プリントコントローラ部15から入力された画像データ、又は記憶部16に記憶された画像データに基づいて用紙に画像形成を行う。
【0028】
後処理部19は、パンチ(穿孔)処理、ステープル処理、ソート処理、製本処理等の後処理を施す機能を有し、制御部11の指示により、画像形成部18で画像形成された用紙に各種後処理を施して、画像形成装置10の外部に排出する。後処理を行わない場合には、画像形成部18で画像形成された用紙がそのまま排出される。
【0029】
制御部11は、記憶部16に記憶されている複数のジョブに含まれる画像データに基づく各ジョブに対応する複数のサムネイル画像、及び、記憶部16に記憶されている複数のジョブのうち、操作部12において選択されたいずれか一のジョブに含まれる画像データに基づく画像形成後のイメージを示すプレビュー画像を表示部13の同一画面上に表示させる。
【0030】
なお、プレビュー画像を表示するためのプレビュー画像データは、画像処理部17により、選択されたジョブの設定情報に基づいて生成される。例えば、画像処理部17は、設定情報に含まれる集約条件(2in1、4in1等)に基づいて、複数ページ分の画像を1枚の用紙に画像形成したイメージを生成したり、設定情報に含まれるステープル条件やパンチ条件に基づいて、用紙にステープル処理やパンチ処理が施された状態のイメージを生成したりする。
【0031】
制御部11は、パスワードの認証を行わずにサムネイル画像を表示部13に表示させ、選択されたジョブにパスワードが設定されている場合には、パスワードの認証後、すなわち、操作部12から入力されたパスワードが選択されたジョブに設定されているパスワードと合致した場合に、プレビュー画像を表示部13に表示させる。制御部11は、パスワードの認証を行うまでは、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示部13に表示させる。
【0032】
次に、画像形成装置10における動作を説明する。
図2は、第1のジョブ一覧画面表示処理を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置10の記憶部16に記憶されている複数のジョブの一覧を表示する処理であって、制御部11のCPUと、ROMに記憶されている第1のジョブ一覧画面表示処理プログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0033】
図2に示すように、制御部11により、記憶部16に記憶されているジョブのうち、いずれかが処理対象に設定される(ステップS1)。そして、制御部11により、記憶部16から処理対象のジョブの属性情報が読み出され、処理対象のジョブの属性が表示部13に表示される(ステップS2)。具体的には、ジョブの属性として、ファイル名、ユーザ名、更新日時、枚数、部数等が表示される。
【0034】
次に、制御部11により、記憶部16に記憶されている処理対象のジョブの画像データが読み出され、画像処理部17により、処理対象のジョブの画像データに基づいて、サムネイル画像データが生成される。そして、制御部11により、サムネイル画像データに基づいて、処理対象のジョブに対応するサムネイル画像が表示部13に表示される(ステップS3)。すなわち、サムネイル画像については、処理対象のジョブにパスワードが設定されているか否かにかかわらず、表示される。つまり、サムネイル画像の表示に際して、パスワードの認証は行われない。
【0035】
ここで、制御部11により、全てのジョブについて属性及びサムネイル画像の表示が終了したか否かが判断される(ステップS4)。属性及びサムネイル画像の表示が終了していないジョブが残っている場合には(ステップS4;NO)、制御部11により、記憶部16に記憶されているジョブのうち、次のジョブが処理対象に設定され(ステップS5)、ステップS2に戻り、ステップS2〜ステップS4の処理が繰り返される。
【0036】
ステップS4において、全てのジョブについて属性及びサムネイル画像の表示が終了した場合に(ステップS4;YES)、表示部13に表示されるジョブ一覧画面131の例を図3に示す。図3に示すジョブ一覧画面131は、保留ジョブ(実行が保留されているジョブ)について、ジョブの属性及びサムネイル画像が表示された場合の例である。ジョブ一覧画面131は、各ジョブの属性を表示する属性表示領域21、各ジョブに対応するサムネイル画像を表示するサムネイル表示領域22、選択されたジョブに対応するプレビュー画像を表示するプレビュー表示領域23、選択されたジョブの設定情報を表示する設定情報表示領域24等を有する。ジョブ一覧画面131では、プレビュー画像及び設定情報を表示すべきジョブがまだ選択されていないため、プレビュー表示領域23及び設定情報表示領域24については空欄となっている。
【0037】
次に、制御部11により、ジョブ一覧画面131において、操作部12を介するユーザの操作入力により、複数のジョブのうち、いずれか一のジョブが選択されたか否かが判断される(ステップS6)。操作部12においてジョブが選択された場合には(ステップS6;YES)、制御部11により、選択されたジョブにパスワードが設定されているか否かが判断される(ステップS7)。ジョブにパスワードが設定されているか否かは、ジョブの保存フォーマットにおいて、パスワード保存領域にパスワードが記憶されているか否かにより判断される。
【0038】
選択されたジョブにパスワードが設定されている場合には(ステップS7;YES)、制御部11により、記憶部16に記憶されている代替画像データが読み出され、代替画像が表示部13に表示される(ステップS8)。
【0039】
図4に、選択されたジョブにパスワードが設定されている場合のジョブ一覧画面132の例を示す。ジョブ一覧画面132において、属性表示領域21には各ジョブの属性が表示され、サムネイル表示領域22には各ジョブに対応するサムネイル画像が表示される。図4に示す例では、ファイル名が「File1212」というジョブが選択されているが、このジョブにパスワードが設定されているため、プレビュー表示領域23には代替画像が表示されている。図4に示す例では、代替画像として鍵の画像が表示されている。また、設定情報表示領域24には選択されたジョブの設定情報が表示される。選択されたジョブにパスワードが設定されている場合であっても、設定情報自体には個人情報は含まれないため、公開されても問題はない。
【0040】
プレビュー表示領域23に代替画像が表示されている状態で、操作部12からの操作により、図4に示すプレビュー表示ボタン25が押下された場合には(ステップS9;YES)、図5に示すように、制御部11により、表示部13にパスワード入力画面133が表示される(ステップS10)。パスワード入力画面133は、パスワード表示領域31、文字入力ボタン32、OKボタン33等を有する。
【0041】
パスワード入力画面133において、ユーザによる操作部12からの操作により文字入力ボタン32が押下され、パスワードが入力されると(ステップS11)、入力されたパスワードがパスワード表示領域31に表示される。なお、パスワードの表示にセキュリティ上問題がある場合には、アスタリスク等に代えて表示することとしてもよい。
【0042】
次に、パスワード入力画面133において、ユーザによる操作部12からの操作によりOKボタン33が押下されると、パスワードが確定する。そして、制御部11により、操作部12から入力されたパスワードと、選択されたジョブに設定されているパスワード(選択されたジョブのパスワード保存領域に記憶されているパスワード)とが合致するか否かが判断される(ステップS12)。
【0043】
操作部12から入力されたパスワードと、選択されたジョブに設定されているパスワードとが合致した場合(ステップS12;YES)、すなわち、パスワードの認証後、制御部11により、記憶部16に記憶されている選択されたジョブの画像データ及び設定情報が読み出され、画像処理部17により、選択されたジョブの画像データ及び設定情報に基づいて、プレビュー画像データが生成される。そして、制御部11により、プレビュー画像データに基づいて、選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示部13に表示される(ステップS13)。
【0044】
図6に、選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示された場合のジョブ一覧画面134の例を示す。ジョブ一覧画面134において、属性表示領域21には各ジョブの属性が表示され、サムネイル表示領域22には各ジョブに対応するサムネイル画像が表示され、プレビュー表示領域23には選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示され、設定情報表示領域24には選択されたジョブの設定情報が表示される。
【0045】
ステップS9においてプレビュー表示ボタン25が押下されなかった場合(ステップS9;NO)、又は、入力されたパスワードと、選択されたジョブに設定されているパスワードとが合致しなかった場合には(ステップS12;NO)、プレビュー表示領域23に代替画像が表示された状態で、処理が終了する。
【0046】
ステップS7において、選択されたジョブにパスワードが設定されていない場合には(ステップS7;NO)、制御部11により、記憶部16に記憶されている選択されたジョブの画像データ及び設定情報が読み出され、画像処理部17により、選択されたジョブの画像データ及び設定情報に基づいて、プレビュー画像データが生成される。そして、制御部11により、プレビュー画像データに基づいて、選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示部13に表示され(ステップS14)、処理が終了する。
【0047】
第1のジョブ一覧画面表示処理により、各ジョブに対応する複数のサムネイル画像と、操作部12において選択されたジョブに対応するプレビュー画像又は代替画像とが表示部13の同一画面上に表示される。
【0048】
以上説明したように、第1の実施の形態における画像形成装置10によれば、選択されたジョブにパスワードが設定されている場合に、各ジョブに対応するサムネイル画像は表示しつつ、選択されたジョブに対応するプレビュー画像についてはパスワードの認証後に表示するので、各ジョブの概要は表示しつつも、より詳細な画像の内容については表示/非表示の選択が可能となる。したがって、第三者に対する過度の情報の漏洩を防ぐことができる。
【0049】
また、選択されたジョブにパスワードが設定されている場合に、パスワードの認証を行うまでは、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示するので、ジョブの内容の漏洩を防ぐことができる。
【0050】
また、選択されたジョブの設定情報に基づいて生成したプレビュー画像を表示することができる。これにより、ユーザは、選択されたジョブの画像形成後のイメージを知ることができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、図7〜図10、図3、図6を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、ジョブ毎にパスワードを設定可能な場合について説明したが、第2の実施の形態では、ユーザ毎にパスワードが設定されている場合について説明する。
【0052】
第2の実施の形態における画像形成装置は、第1の実施の形態に示した画像形成装置10と同様の構成によってなるため、同一の構成部分については同一の符号を付し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0053】
制御部11のROMには、後述するユーザ認証処理(図7参照)を実行するためのユーザ認証処理プログラムや、第2のジョブ一覧画面表示処理(図9参照)を実行するための第2のジョブ一覧画面表示処理プログラムが記憶されている。制御部11は、第2のジョブ一覧画面表示処理プログラムに基づいて、サムネイル画像やプレビュー画像を含むジョブ一覧画面を生成して表示部13に表示させる。
【0054】
記憶部16は、ハードディスク等の記憶装置であり、画像読取部14又はプリントコントローラ部15から入力された画像データを含むジョブが複数記憶されている。各ジョブには、画像データ、属性情報、設定情報が含まれる。また、記憶部16には、画像形成装置を使用するユーザ毎に、予めユーザ名とパスワードとが対応付けられて記憶されている。
【0055】
制御部11は、各ユーザが画像形成装置を使用する際に、ユーザ毎に設定されたパスワードに基づいて、画像形成装置を使用するユーザに対してパスワードの認証を行った後、すなわち、操作部12から入力されたパスワードが画像形成装置を使用するユーザに対して設定されているパスワードと合致した場合に、画像形成装置の使用を許可する。
【0056】
制御部11は、記憶部16に記憶されている複数のジョブに含まれる画像データに基づく各ジョブに対応する複数のサムネイル画像、及び、記憶部16に記憶されている複数のジョブのうち、操作部12において選択されたいずれか一のジョブに含まれる画像データに基づく画像形成後のイメージを示すプレビュー画像を表示部13の同一画面上に表示させる。
【0057】
なお、プレビュー画像を表示するためのプレビュー画像データは、画像処理部17により、選択されたジョブの設定情報に基づいて生成される。
【0058】
制御部11は、サムネイル画像を表示部13に表示させ、選択されたジョブのユーザ情報(ジョブの属性情報に含まれるユーザ名)に基づいて、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するか否かを判断し、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属する場合にのみ、選択されたジョブに対応するプレビュー画像を表示部13に表示させる。
【0059】
制御部11は、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザを除く他のユーザに属する場合には、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示部13に表示させる。
【0060】
次に、第2の実施の形態の画像形成装置における動作を説明する。
図7は、ユーザ認証処理を示すフローチャートである。この処理は、ユーザが第2の実施の形態の画像形成装置の使用を開始する際に行われる処理であって、制御部11のCPUと、ROMに記憶されているユーザ認証処理プログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0061】
図7に示すように、制御部11により、図8に示すユーザ認証画面135が表示部13に表示される(ステップS21)。図8に示すように、ユーザ認証画面135は、ユーザ名入力領域41、パスワード入力領域42、OKボタン43等を有する。
【0062】
ユーザ認証画面135において、ユーザによる操作部12からの操作により、ユーザ名入力領域41にユーザ名が入力され(ステップS22)、パスワード入力領域42にパスワードが入力される(ステップS23)。なお、パスワードの表示にセキュリティ上問題がある場合には、アスタリスク等に代えて表示することとしてもよい。
【0063】
次に、ユーザ認証画面135において、ユーザによる操作部12からの操作によりOKボタン43が押下されると、入力されたユーザ名及びパスワードが確定する。そして、制御部11により、ステップS22において入力されたユーザ名に対応付けられたパスワード(すなわち、画像形成装置を使用するユーザに対して設定されているパスワード)が記憶部16から読み出され、ステップS23において入力されたパスワードと、ステップS22において入力されたユーザ名に対応付けられたパスワードとが合致するか否かが判断される(ステップS24)。
【0064】
入力されたパスワードと、入力されたユーザ名に対応付けられたパスワードとが合致した場合(ステップS24;YES)、すなわち、画像形成装置を使用するユーザに対するパスワードの認証が行われた後、制御部11により、表示部13における表示が操作画面に遷移され(ステップS25)、画像形成装置の使用が許可される。
【0065】
ステップS24において、入力されたパスワードと、入力されたユーザ名に対応付けられたパスワードとが合致しなかった場合には(ステップS24;NO)、そのまま処理が終了する。
【0066】
図9は、第2のジョブ一覧画面表示処理を示すフローチャートである。この処理は、第2の実施の形態の画像形成装置の記憶部16に記憶されている複数のジョブの一覧を表示する処理であって、制御部11のCPUと、ROMに記憶されている第2のジョブ一覧画面表示処理プログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0067】
図9に示すように、制御部11により、記憶部16に記憶されているジョブのうち、いずれかが処理対象に設定される(ステップS31)。そして、制御部11により、記憶部16から処理対象のジョブの属性情報が読み出され、処理対象のジョブの属性が表示部13に表示される(ステップS32)。具体的には、ジョブの属性として、ファイル名、ユーザ名、更新日時、枚数、部数等が表示される。
【0068】
次に、制御部11により、記憶部16に記憶されている処理対象のジョブの画像データが読み出され、画像処理部17により、処理対象のジョブの画像データに基づいて、サムネイル画像データが生成される。そして、制御部11により、サムネイル画像データに基づいて、処理対象のジョブに対応するサムネイル画像が表示部13に表示される(ステップS33)。すなわち、サムネイル画像については、処理対象のジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブであるか否かにかかわらず、表示される。
【0069】
ここで、制御部11により、全てのジョブについて属性及びサムネイル画像の表示が終了したか否かが判断される(ステップS34)。属性及びサムネイル画像の表示が終了していないジョブが残っている場合には(ステップS34;NO)、制御部11により、記憶部16に記憶されているジョブのうち、次のジョブが処理対象に設定され(ステップS35)、ステップS32に戻り、ステップS32〜ステップS34の処理が繰り返される。
【0070】
ステップS34において、全てのジョブについて属性及びサムネイル画像の表示が終了した場合には(ステップS34;YES)、第1の実施の形態と同様に、図3に示すジョブ一覧画面131が表示部13に表示される。
【0071】
次に、制御部11により、ジョブ一覧画面131において、操作部12を介するユーザの操作入力により、複数のジョブのうち、いずれか一のジョブが選択されたか否かが判断される(ステップS36)。操作部12においてジョブが選択された場合には(ステップS36;YES)、制御部11により、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブであるか否かが判断される(ステップS37)。選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブであるか否かは、ユーザ認証処理において認証されたユーザ名と、選択されたジョブの属性情報に含まれるユーザ名とが合致するか否かにより判断される。
【0072】
選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブである場合には(ステップS37;YES)、制御部11により、記憶部16に記憶されている選択されたジョブの画像データ及び設定情報が読み出され、画像処理部17により、選択されたジョブの画像データ及び設定情報に基づいて、プレビュー画像データが生成される。そして、制御部11により、プレビュー画像データに基づいて、選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示部13に表示される(ステップS38)。
【0073】
具体的には、第1の実施の形態と同様、図6に示すように、ジョブ一覧画面134において、属性表示領域21には各ジョブの属性が表示され、サムネイル表示領域22には各ジョブに対応するサムネイル画像が表示され、プレビュー表示領域23には選択されたジョブに対応するプレビュー画像が表示され、設定情報表示領域24には選択されたジョブの設定情報が表示される。
【0074】
ステップS37において、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザに属するジョブでない場合(ステップS37;NO)、すなわち、選択されたジョブが画像形成装置を使用中のユーザを除く他のユーザに属する場合には、制御部11により、記憶部16に記憶されている代替画像データが読み出され、代替画像が表示部13に表示される(ステップS39)。
【0075】
図10に、選択されたジョブが他のユーザに属するジョブであった場合のジョブ一覧画面136の例を示す。ジョブ一覧画面136において、属性表示領域21には各ジョブの属性が表示され、サムネイル表示領域22には各ジョブに対応するサムネイル画像が表示される。図10に示す例では、ファイル名が「File1212」というジョブが選択されているが、この選択されたジョブが他のユーザに属するジョブであるため、プレビュー表示領域23には代替画像が表示されている。また、設定情報表示領域24には選択されたジョブの設定情報が表示される。選択されたジョブが他のユーザに属するジョブであっても、設定情報自体には個人情報は含まれないため、公開されても問題はない。
【0076】
第2のジョブ一覧画面表示処理により、各ジョブに対応する複数のサムネイル画像と、操作部12において選択されたジョブに対応するプレビュー画像又は代替画像とが表示部13の同一画面上に表示される。
【0077】
以上説明したように、第2の実施の形態における画像形成装置によれば、各ジョブに対応するサムネイル画像は表示しつつ、選択されたジョブに対応するプレビュー画像については画像形成装置を使用中のユーザに属する場合にのみ表示するので、各ジョブの概要は表示しつつも、より詳細な画像の内容については表示/非表示の選択が可能となる。したがって、第三者に対する過度の情報の漏洩を防ぐことができる。
【0078】
また、選択されたジョブが他のユーザに属する場合には、選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を表示するので、ジョブの内容の漏洩を防ぐことができる。
【0079】
また、ユーザ毎に設定されているパスワードに基づいて、ユーザ毎に画像形成装置の使用を管理することができる。
【0080】
また、選択されたジョブの設定情報に基づいて生成したプレビュー画像を表示することができる。これにより、ユーザは、選択されたジョブの画像形成後のイメージを知ることができる。
【0081】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0082】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 画像形成装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 画像読取部
15 プリントコントローラ部
16 記憶部
17 画像処理部
18 画像形成部
19 後処理部
21 属性表示領域
22 サムネイル表示領域
23 プレビュー表示領域
24 設定情報表示領域
25 プレビュー表示ボタン
131 ジョブ一覧画面
132 ジョブ一覧画面
133 パスワード入力画面
134 ジョブ一覧画面
135 ユーザ認証画面
136 ジョブ一覧画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面表示を行う表示部と、
ユーザによる操作を受け付ける操作部と、
複数のジョブを記憶する記憶部と、
前記複数のジョブに含まれる画像データに基づく各ジョブに対応する複数のサムネイル画像、及び、前記複数のジョブのうち前記操作部において選択されたいずれか一のジョブに含まれる画像データに基づく画像形成後のイメージを示すプレビュー画像を前記表示部に表示させる制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、サムネイル画像を前記表示部に表示させ、前記選択されたジョブのユーザ情報に基づいて前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザに属するか否かを判断し、前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザに属する場合にのみ、前記選択されたジョブに対応するプレビュー画像を前記表示部に表示させる画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザ毎に設定されたパスワードに基づいて、当該画像形成装置を使用するユーザに対してパスワードの認証を行った後、当該画像形成装置の使用を許可する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記選択されたジョブが当該画像形成装置を使用中のユーザを除く他のユーザに属する場合には、当該選択されたジョブに対応するプレビュー画像に代えて代替画像を前記表示部に表示させる、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−62887(P2013−62887A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1472(P2013−1472)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2008−156367(P2008−156367)の分割
【原出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】