説明

画像形成装置

【課題】縁無し印刷において、現像剤像が転写された記録媒体の転写面とは反対側の面に現像剤が付着することが抑制される画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置10は、縁無し印刷に対応した画像形成部20と、二次転写ロール50と、定着部60と、二次転写ロール50と定着部60との間に設けられた搬送ユニット100と、搬送ユニット100に設けられたリブ120と、を有している。ここで、リブ120のY方向の側面121の位置と、搬送される記録用紙PのY方向の縁PAの位置とが、距離Δdずれているので、搬送途中で記録用紙PがY方向にずれたとき、記録用紙PのY方向の端部(縁PA側)がリブ120上から落下しなくなる。これにより、搬送中の記録用紙PのY方向の端部がリブ120に引っ掛かることが抑制され、上壁103上のトナーTが記録用紙Pの裏面に付着することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の画像形成装置は、用紙の周縁部にマージンをとって画像を形成する縁あり印刷モードと、用紙の周縁部のマージンをなくして画像を形成する縁なし印刷モードとを選択して画像形成できるように構成している。縁なし印刷モードでは、CPUの制御によって、用紙の周縁部からはみ出すような走査領域において、感光ベルトに静電潜像が形成されるようにスキャナユニットを駆動させる。これにより、転写時には、中間転写ベルトにおいて重ね合わされたカラー像が用紙の周縁部からはみ出すように転写される。
【0003】
特許文献2のインクジェット記録装置は、被記録用紙を案内支持するプラテンリブ列を記録ヘッドのインク吐出ノズル列長さ内で並列に設けている。
【0004】
特許文献3の画像形成装置は、二次転写装置と定着装置との間にベルト搬送装置が設けられている。ベルト搬送装置は、無端ベルトと、無端ベルトの内側からエアを吸引するファンとを備えている。また、無端ベルトの上方及びその用紙搬送方向の上流側には、二次転写装置から排出される用紙の挙動を検出するための第1のセンサ、第2のセンサが設けられている。そして、第1のセンサ、第2のセンサによって用紙の浮きが検出された場合には、ファンによる吸引量を増加させ、用紙を無端ベルトに吸着させやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−045457号公報
【特許文献2】特開2002−192713号公報
【特許文献3】特開2006−176265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、縁無し印刷において、現像剤像が転写された記録媒体の転写面とは反対側の面に現像剤が付着することが抑制される画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、縁無し印刷に対応した現像剤像を形成する現像剤像形成手段と、前記現像剤像形成手段で形成された現像剤像を記録媒体に転写させる転写部材と、前記転写部材で転写された現像剤像を記録媒体に定着する定着手段と、前記転写部材と前記定着手段との間の記録媒体の搬送路に設けられ、現像剤像が転写済の記録媒体を前記定着手段へ搬送する搬送手段と、前記搬送路を構成する壁部から板状に突出され、搬送される記録媒体の搬送方向と交差する幅方向における縁の位置に対して該板状の側面の位置がずれており、記録媒体の現像剤像が転写された転写面とは反対側の面と接触して前記壁部から記録媒体を遠ざける接触部と、を有する。
【0008】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、前記接触部は、前記搬送方向の上流側の端部に、該上流側へ向けて高さが減少する切欠き部又は湾曲部が形成されている。
【0009】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、前記接触部は、前記幅方向の両端部が中央部よりも低くなっている。
【0010】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、前記壁部には、前記接触部の突出方向に貫通した貫通孔が形成され、前記壁部の前記接触部とは反対側には、前記貫通孔から落下した現像剤が回収される回収部が設けられている。
【0011】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、前記回収部には、前記貫通孔を通して現像剤を前記回収部内へ吸引する吸引手段が設けられている。
【0012】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、前記壁部には、導電性を有する導電部材が取付けられ、前記導電部材には、現像剤の極性とは逆の極性の電圧を印加する電圧印加手段が接続されている。
【0013】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、前記壁部には、導電性を有し接地された接地部材が取付けられている。
【0014】
本発明の請求項8に係る画像形成装置は、縁無し印刷に対応した現像剤像を形成する現像剤像形成手段と、前記現像剤像形成手段で形成された現像剤像を記録媒体に転写させる転写部材と、前記転写部材で転写された現像剤像を記録媒体に定着する定着手段と、前記転写部材と前記定着手段との間に設けられ、転写済の記録媒体を前記定着手段へ搬送する搬送手段と、前記転写部材と前記定着手段との間で搬送路を構成する壁部から板状に突出され、該板状の長手方向が記録媒体の搬送方向と交差し、記録媒体の現像剤像が転写された転写面とは反対側の面と接触して前記壁部から記録媒体を遠ざける接触部と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明は、接触部の側面の位置と、搬送される記録媒体の搬送方向と交差する幅方向の縁の位置とが一致している構成に比べて、縁無し印刷において、現像剤像が転写された記録媒体の転写面とは反対側の面に現像剤が付着することが抑制される。
【0016】
請求項2の発明は、記録媒体の搬送方向で接触部の高さが同じ構成に比べて、搬送中の記録媒体の先端が接触部に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0017】
請求項3の発明は、記録媒体の搬送方向と交差する幅方向で高さが同じになっている接触部を有する構成に比べて、接触部の上面に現像剤が溜まるのを抑制することができる。
【0018】
請求項4の発明は、接触部の突出方向に貫通した貫通孔が壁部に形成されていない構成に比べて、壁部への現像剤の堆積を抑制することができる。
【0019】
請求項5の発明は、壁部の現像剤を吸引する吸引手段を設けていない構成に比べて、壁部への現像剤の堆積を抑制することができる。
【0020】
請求項6の発明は、現像剤の極性とは逆の極性の電圧を壁部に印加しない構成に比べて、浮遊している現像剤を壁部側へ引き付けることができる。
【0021】
請求項7の発明は、壁部を接地していない構成に比べて、壁部への現像剤の固着を抑制することができる。
【0022】
請求項8の発明は、接触部の側面の位置と、搬送される記録媒体の搬送方向と交差する幅方向の縁の位置とが一致している構成に比べて、縁無し印刷において、現像剤像が転写された記録媒体の転写面とは反対側の面に現像剤が付着することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る搬送ユニットの構成図である。
【図3】(A)本発明の第1実施形態に係る搬送ユニットのハウジングの平面図である。(B)本発明の第1実施形態に係るファンによるハウジング内の吸引状態を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るリブの配置を示す説明図である。
【図5】(A)、(B)本発明の第1実施形態に係るリブの斜視図及び断面図である。
【図6】(A)本発明の第1実施形態に係るリブの搬送方向に沿った断面図である。(B)本発明の第1実施形態に係るリブの他の実施例の搬送方向に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の縁無し印刷の説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る搬送ユニットで記録用紙Pを搬送する状態を示す説明図である。
【図9】(A)、(B)第1比較例のリブの作用を示す説明図である。
【図10】(A)、(B)本発明の第1実施形態に係るリブによる記録用紙Pの落下防止作用を示す説明図である。
【図11】(A)第2比較例のリブの作用を示す説明図である。(B)本発明の第1実施形態に係るリブによるトナー落下作用を示す説明図である。
【図12】(A)第3比較例のリブの作用を示す説明図である。(B)本発明の第1実施形態に係るリブによる記録用紙Pの引っ掛かり防止作用を示す説明図である。
【図13】(A)、(B)本発明の第1実施形態に係る搬送ユニットにおけるトナーの吸引状態を示す平面図及び断面図である。
【図14】(A)本発明の第2実施形態に係る搬送ユニットの構成図である。(B)本発明の第2実施形態に係るリブの配置を示す模式図である。
【図15】本発明の第2実施形態におけるリブとの接触後の記録用紙Pの帯電状態を示す模式図である。
【図16】本発明の第1実施形態に係る搬送ユニットの他の実施例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。
【0025】
図1には、第1実施形態の一例としての画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、装置本体としての筐体12を有している。そして、筐体12内には、現像剤像(トナー画像)を形成する現像剤像形成手段の一例としての画像形成部20と、画像形成部20で形成されたトナー画像を記録用紙P(記録媒体の一例)に転写させる転写部材の一例としての二次転写ロール50と、二次転写ロール50で転写されたトナー画像を記録用紙Pに定着する定着手段の一例としての定着部60と、トナー画像が転写済の記録用紙Pを定着部60へ搬送する搬送手段の一例としての搬送ユニット100と、後述する上壁103(図10(A)参照)に形成され記録用紙Pと接触する接触部の一例としてのリブ120(図2参照)と、が設けられている。
【0026】
画像形成部20は、一例として、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のトナー画像が形成される複数の画像形成ユニット30K、30C、30M、30Yと、矢印A方向(図示の反時計回り方向)に周回移動すると共に画像形成ユニット30K、30C、30M、30Yで形成された各色のトナー画像が順次、一次転写される筒状の中間転写ベルト44と、各色のトナー画像を中間転写ベルト44に一次転写する一次転写ロール42K、42C、42M、42Yと、画像形成装置10の各部を制御する主制御部18と、を含んで構成されている。
【0027】
画像形成ユニット30Kは、円筒状で矢印R方向(図示の時計回り方向)に回転すると共に外周面に現像剤像(トナー画像)を保持する感光体32Kと、感光体32Kの表面(外周面)を帯電する帯電ロール33Kと、帯電された感光体32Kの外周面をK色(ブラック色)の画像情報に基づいて変調された露光光Lにより露光し、感光体32K上に静電潜像を形成する露光装置34Kと、K色のトナーを保持する現像ロール35Kを有し感光体32K上に形成された静電潜像をK色トナーで現像してトナー画像(K色)を形成する現像器36Kと、一次転写後の感光体32Kの表面を清掃するクリーニングユニット38Kと、を含んで構成されている。なお、感光体32Kの外周面と対向する位置には、トナー画像の一次転写後において感光体32Kの表面の残留電荷を除去する除電器が設けられているが、この除電器の図示は省略している。
【0028】
ここで、画像形成ユニット30C、30M、30Yは、画像形成ユニット30Kとトナーの色が異なるだけで構成は同じである。このため、画像形成ユニット30C、30M、30Yを構成する各部材の符号の末尾にトナー色を表す添字C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を付与して画像形成ユニット30Kと区別し、各部材の説明は省略する。なお、以後の説明では、トナー色(K、C、M、Y)毎の区別が不要のとき、添字K、C、M、Yを省略した符号で画像形成ユニット30の各部材を説明する場合がある。
【0029】
筐体12内で画像形成ユニット30K、30C、30Mよりも上側には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各トナーを収容するトナーカートリッジ19K、19C、19M、19Yが交換可能に設けられている。そして、トナーカートリッジ19K、19C、19M、19Yは、トナー色に合わせて現像器36K、36C、36M、36Yに接続されており、各色のトナーを現像器36K、36C、36M、36Yに送り込むようになっている。
【0030】
中間転写ベルト44は、一例として、ポリイミド樹脂を主成分としており、円筒状に形成されている。また、中間転写ベルト44の内側には、矢印A方向の上流側から下流側へ向けて、中間転写ベルト44を移動させる駆動ロール45と、一次転写ロール42Y、42M、42C、42Kと、中間転写ベルト44に張力を付与する張力付与ロール46と、中間転写ベルト44を内側から支持する複数の支持ロール47と、中間転写ベルト44の二次転写位置の内側に配置され二次転写ロール50(後述する)の対向電極となるバックアップロール48とが、それぞれ図示の反時計回り方向に回転可能に設けられている。さらに、バックアップロール48には、トナーの帯電極性(一例としてマイナス極性)と同極性の二次転写バイアスをバックアップロール48に印加する給電ロール49が接触している。
【0031】
そして、中間転写ベルト44は、駆動ロール45、一次転写ロール42K、42C、42M、42Y、張力付与ロール46、複数の支持ロール47、及びバックアップロール48に巻き掛けられて支持されており、駆動ロール45が駆動手段(図示省略)によって回転駆動されることで、矢印A方向に周回移動するようになっている。
【0032】
一次転写ロール42K、42C、42M、42Yは、ベアリング(図示省略)により両端部が回転可能に支持され、外周面が中間転写ベルト44の内周面と接触している。また、一次転写ロール42K、42C、42M、42Yは、中間転写ベルト44に転写されるトナー画像の極性とは逆の極性(プラス極性)の電圧が芯金(図示省略)に印加されている。ここで、各感光体32が接地されているため、各感光体32の電位と各一次転写ロール42の電位との間には、電位差が生じている。そして、この電位差で形成される電界の作用によって、感光体32の外周面に保持されているトナー画像が中間転写ベルト44に一次転写される。
【0033】
また、中間転写ベルト44の外側には、中間転写ベルト44と接触して表面をクリーニングするベルトクリーナ43が設けられている。さらに、中間転写ベルト44を挟んでバックアップロール48側とは反対側には、中間転写ベルト44上のトナー画像を記録用紙Pに転写する二次転写ロール50が設けられている。
【0034】
二次転写ロール50は、円柱状の芯金(図示省略)の周囲に発泡弾性層を被覆した構成となっている。そして、この芯金は接地されており、二次転写ロール50とバックアップロール48との間に電位差が生じている。この電位差により、中間転写ベルト44上のトナー画像が、二次転写位置で記録用紙Pに転写されるようになっている。
【0035】
主制御部18は、記録用紙Pに形成する画像のデータを含む印刷データが、入出力部(図示省略)を介して入力されるようになっている。そして、この印刷データは、主制御部18において各色(K、C、M、Y)の画像情報に分解された後に露光装置34K、34C、34M、34Yに出力され、露光光Lが出力されるようになっている。なお、画像形成装置10に設けられた各部、各装置、及び各ユニットは、主制御部18に電気的に接続されている。また、主制御部18は、記録用紙P全面に画像形成される縁無し印刷モードと、記録用紙Pの縁部に余白領域を設けて、この余白領域よりも内側の領域で画像形成を行う縁有り印刷モードとを有している。
【0036】
一方、筐体12内の下部で中間転写ベルト44よりも下側には、記録用紙Pを収納する箱状の収納部21が設けられている。収納部21には、記録用紙Pを1枚ずつ送り出す送出ロール21Aが回転可能に設けられている。また、筐体12内には、送出ロール21Aから二次転写ロール50を経由して定着部60へ記録用紙Pを搬送する搬送路の一例としての用紙搬送路22と、用紙搬送路22の終端で上方へ分岐された用紙排出路24と、用紙搬送路22の終端で下方へ分岐された両面搬送路26と、が設けられている。
【0037】
用紙搬送路22は、記録用紙Pの搬送方向で二次転写位置よりも上流側に複数の搬送ロール23と位置合せロール25が設けられており、二次転写位置よりも下流側に搬送ユニット100と定着部60が設けられている。搬送ロール23は、互いに外周面が接触した2本のロールで構成されている。位置合せロール25は、互いに外周面が接触した2本のロールで構成されており、一方のロールの駆動が主制御部18で制御されることにより、予め設定されたタイミング(中間転写ベルト44上のトナー画像が二次転写位置に到達するタイミング)に合わせて、記録用紙Pを二次転写位置へ送り込むようになっている。
【0038】
また、用紙搬送路22の終端で用紙排出路24と両面搬送路26との分岐位置には、三角柱状の切替ゲート27が設けられている。切替ゲート27は、先端部分(鋭角部分)を用紙搬送路22側に向けて回転可能に設けられており、先端部分を下方側へ移動させることにより記録用紙Pを用紙排出路24へ案内し、先端部分を上方側へ移動させることにより記録用紙Pを両面搬送路26へ案内するようになっている。
【0039】
用紙排出路24は、複数の搬送ロール23が設けられている。そして、用紙排出路24では、複数の搬送ロール23が駆動手段(図示省略)によって回転駆動されることで記録用紙Pが上方へ搬送され、筐体12の上部に形成された排出口12Aから筐体12の上面に記録用紙Pが排出されるようになっている。
【0040】
両面搬送路26は、表面と裏面が反転される前の記録用紙Pが送り込まれる反転前搬送路26Aと、反転前搬送路26Aで先端と後端が入れ替えられた後の記録用紙Pが送り込まれる反転後搬送路26Bとで構成されている。また、反転前搬送路26Aと反転後搬送路26Bとの分岐位置には、三角柱状の切替ゲート29が設けられている。切替ゲート29は、先端部分(鋭角部分)を反転後搬送路26B側に向けて回転可能に設けられており、先端部分を下方側へ移動させることにより記録用紙Pを反転前搬送路26Aの終端側へ案内し、先端部分を上方側へ移動させることにより記録用紙Pを反転前搬送路26Aから反転後搬送路26Bへ案内するようになっている。
【0041】
反転前搬送路26Aには、複数の搬送ロール23と、スイッチバックロール28とが設けられている。スイッチバックロール28は、切替ゲート29が下方側へ向けられているとき、回転して記録用紙Pを反転前搬送路26Aの終端側へ送り込む。そして、スイッチバックロール28は、記録用紙Pの後端が切替ゲート29を通過して切替ゲート29が上方側へ向けられているとき、逆回転して記録用紙Pの後端を反転後搬送路26Bへ送り込む。
【0042】
反転後搬送路26Bには、複数の搬送ロール23が設けられている。また、反転後搬送路26Bの終端は、用紙搬送路22の位置合せロール25よりも上流側に接続されている。これにより、表面にトナー画像が転写及び定着された記録用紙Pは、両面搬送路26で表面と裏面が反転されると共に位置合せロール25により二次転写位置へ送り込まれ、裏面にトナー画像が転写及び定着されるようになっている。
【0043】
一方、定着部60は、記録用紙Pのトナー画像面側に配置され内部に熱源(一例としてハロゲンヒータ)を有する定着ロール62と、定着ロール62に向けて記録用紙Pを加圧する加圧ロール64と、を有している。そして、記録用紙Pが定着ロール62と加圧ロール64との接触部(ニップ部)に進入して加熱及び加圧されることで、トナー画像が記録用紙Pに定着される。
【0044】
次に、搬送ユニット100について説明する。
【0045】
図2に示すように、搬送ユニット100は、本体となる中空のハウジング102と、ハウジング102に回転可能に設けられた2本の搬送ロール104、105と、搬送ロール104、105に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト106と、ハウジング102の上壁103(図8参照)の外側に直立して設けられた接触部の一例としての複数のリブ120と、複数のリブ120の間の上壁103に取り付けられた導電部材の一例としての複数の電極材108と、電極材108に電圧を印加する電圧印加手段の一例としての電圧印加部110と、ハウジング102内の空気を排気する動作(吸引動作)を行うファン112を備えた吸引手段の一例としての吸引ユニット114と、を含んで構成されている。また、上壁103は、二次転写ロール50と定着部60(図1参照)との間で用紙搬送路22(図1参照)を構成する壁部の一例である。
【0046】
なお、以後は、記録用紙Pの搬送方向をX方向(矢印Xで図示)、X方向と直交する方向で且つ二次転写ロール50の軸方向に平行な記録用紙Pの幅方向をY方向(矢印Yで図示)、X方向及びY方向と直交し画像形成装置10(図1参照)の上方向となる方向をZ方向(矢印Zで図示)として説明する。また、Y方向は、画像形成装置10(図1参照)の正面視で奥行き方向に相当する。
【0047】
図3(A)、(B)に示すように、ハウジング102は、Y方向を長手方向とする直方体状に形成されており、Y方向の中央で搬送ロール104、105が設けられた中央部102Bと、中央部102Bに対してY方向の手前側で複数のリブ120が設けられた手前側部102Aと、中央部102Bに対してY方向の奥側で複数のリブ120が設けられた奥側部102Cと、奥側部102C側で吸引ユニット114が取り付けられたダクト部102Dと、を含んで構成されている。なお、ダクト部102D内にはトナーの移動を規制するフィルタ部材(図示省略)が設けられており、吸引ユニット114へのトナーの進入を防いでいる。
【0048】
また、ハウジング102は、上壁103のリブ120とは反対側(中空の内側)に、後述する貫通孔116から進入したトナーが回収される回収部102Eが形成されている。
【0049】
回収部102Eは、手前側部102Aの内部、中央部102Bの内部、奥側部102Cの内部、及びダクト部102Dの内部が繋がって1つになった回収室である。また、回収部102Eは、Y方向の一方(図示の左端)に側壁102Fが設けられており、Y方向の他方(図示の右端)の側壁102Gに開口部102Hが形成されている。即ち、回収部102Eは、開口部102Hがダクト部102D及び吸引ユニット114を介して外部と繋がっている。そして、吸引ユニット114が吸気を行ったとき、回収部102E内の空気が、ダクト部102Dの排気口102Kから排気されるようになっている。
【0050】
手前側部102Aは、Z方向の上側に位置する前述の上壁103に複数の円形の貫通孔116が形成されている。貫通孔116は、上壁103をZ方向(リブ120の突出方向)に貫通しており、ハウジング102の外部と回収部102Eとの空気の流通が可能となる大きさとなっている。また、複数の貫通孔116は、Y方向におけるリブ120とは異なる位置で、X方向に間隔をあけて複数(一例として4箇所)形成されている。
【0051】
奥側部102Cは、手前側部102Aと同様に、Z方向の上側に位置する上壁103に複数の円形の貫通孔116が形成されている。貫通孔116は、上壁103をZ方向に貫通しており、ハウジング102の外部と回収部102Eとの空気の流通が可能となる大きさとなっている。また、複数の貫通孔116は、Y方向におけるリブ120とは異なる位置で、X方向に間隔をあけて複数(一例として4箇所)形成されている。
【0052】
中央部102Bは、リブ120が設けられておらず、Z方向の上側に位置する上壁103に複数の円形の貫通孔118が形成されている。貫通孔118は、上壁103をZ方向に貫通しており、ハウジング102の外部と回収部102Eとの空気の流通が可能となる大きさとなっている。また、複数の貫通孔118は、X方向及びY方向に間隔をあけて複数(一例として、Y方向に12列でX方向に7箇所の合計84箇所)形成されている。なお、本実施形態では一例として、貫通孔118の大きさが貫通孔116の大きさよりも小さくなっているが、これに限らず、同じ大きさや、貫通孔118の大きさの方が貫通孔116の大きさよりも大きくなっていてもよい。また、貫通孔116、118の形状は、円形でなくてもよく、多角形状や楕円形状であってもよい。
【0053】
また、中央部102Bには、X方向の上流側(図示の上側)の側壁107AからX方向に沿って外側へ(記録用紙P(図2参照)の搬送方向とは逆方向に)向けて、ロール支持部107Cが2箇所突出形成されている。2箇所のロール支持部107Cは、Y方向に間隔をあけて設けられており、搬送ロール104の両端部を回転可能に支持するベアリング(図示省略)が嵌め込まれるように形成されている。この2箇所のロール支持部107Cによって、搬送ロール104が回転可能に支持されている。搬送ロール104は、金属製の芯金の外周にゴム製の弾性層を被覆した構成となっている。
【0054】
さらに、中央部102Bには、X方向の下流側(図示の下側)の側壁107BからX方向に沿って外側へ(記録用紙P(図2参照)の搬送方向に)向けて、ロール支持部107Dが2箇所突出形成されている。2箇所のロール支持部107Dは、Y方向に間隔をあけて設けられており、搬送ロール105の両端部を回転可能に支持するベアリング(図示省略)が嵌め込まれるように形成されている。この2箇所のロール支持部107Dによって、搬送ロール105が回転可能に支持されている。搬送ロール105は、金属製の芯金の外周にゴム製の弾性層を被覆した構成となっている。
【0055】
ここで、搬送ロール104、105に搬送ベルト106(図2参照)が巻き掛けられた状態で、搬送ロール105がモータを含む駆動手段(図示省略)で回転駆動されることにより、搬送ベルト106が、中央部102Bの外側で周回移動するようになっている。なお、搬送ベルト106が中央部102Bのみに設けられているのは、記録用紙Pの搬送のY方向における基準位置を中央に設定しているためである。即ち、記録用紙Pの全てのサイズについて、Y方向の中央は必ず用紙搬送路22を通る部位であり、中央部102Bに搬送ベルト106を設けておけば、最小限の構成で記録用紙Pを搬送可能となる。
【0056】
図2に示すように、搬送ベルト106は、無端状(筒状)に形成されたゴム製のベルト材で構成されており、X方向及びY方向に間隔をあけて複数の円形の貫通孔106Aが形成されている。貫通孔106Aは、搬送ベルト106をZ方向に貫通しており、貫通孔106Aの大きさは、ハウジング102の貫通孔118(図3(A)参照)とほぼ同じ大きさとなっている。そして、X方向及びY方向において、複数の貫通孔106Aの配置間隔と複数の貫通孔118の配置間隔とは同じ間隔となっている。これにより、搬送ベルト106が移動しているときに貫通孔106Aと貫通孔118とが同軸上に配置され、吸引ユニット114の吸引動作によって記録用紙Pが搬送ベルト106に引き付けられるようになっている。なお、一例として、搬送ベルト106のZ方向の上面と、リブ120のZ方向の上面とは、同じ高さとなっている。
【0057】
一方、電極材108は、一例として、矩形状の銅板で構成されており、導電性を有している。また、電極材108は、複数の円形の貫通孔108Aが、X方向に間隔をあけて形成されている。貫通孔108Aは、電極材108をZ方向に貫通しており、ハウジング102の貫通孔116(図3(A)参照)と孔の大きさが同じとなっている。そして、電極材108は、貫通孔108Aがハウジング102の貫通孔116と同じ位置となるように(孔の周縁部が重なるように)、ハウジング102の上壁103上に接着により取り付けられている。これにより、貫通孔116及び貫通孔108Aを介して、ハウジング102の回収部102E(図3(B)参照)とハウジング102の外部とが繋がり、空気の流通が可能となっている。
【0058】
電圧印加部110は、配線111を介して複数の電極材108に接続されている。そして、電圧印加部110は、現像剤(トナー)の帯電極性であるマイナス極性とは逆のプラス極性の電圧を電極材108に印加するようになっている。印加する電圧の大きさは、使用するトナーが飛散せずに電極材108に引き付けられる程度の大きさであればよい。なお、電圧印加部110は、トナーの帯電極性がプラス極性の場合、マイナス極性の電圧を電極材108に印加する。
【0059】
図3(B)に示すように、吸引ユニット114は、箱状のハウジング114Aを有している。ハウジング114Aは、内部がハウジング102のダクト部102Dと繋がっており、ダクト部102D側とは反対側の側壁114Bには、排気口114Cが形成されている。また、ハウジング114Aの内部には、前述のファン112がY方向を軸方向として回転可能に設けられている。
【0060】
ファン112は、モータを含む駆動手段(図示省略)が主制御部18(図1参照)の制御により回転駆動されることで、回収部102E及びダクト部102Dから排気を行うようになっている。そして、吸引ユニット114は、ファン112の回転により、回収部102E内及びダクト部102D内を負圧とすることで、貫通孔116、貫通孔118(図3(A)参照)、及び貫通孔108Aを通して吸引動作を行うようになっている。
【0061】
なお、図2に示すように、二次転写ロール50と搬送ユニット100との間には、X方向に沿って直立すると共にY方向に間隔をあけて並んだ複数のリブ142を有するガイド部材140が設けられているが、図2を除く他の図でのガイド部材140の図示を省略している。また、複数のリブ142の高さは、搬送ユニット100のリブ120の高さよりも低くなっている。即ち、搬送ユニット100における記録用紙Pの搬送状態は、ガイド部材140の配置に影響されないものとする。
【0062】
次に、リブ120について説明する。
【0063】
図4に示すように、複数(一例としてY方向に6箇所)のリブ120は、X方向を長手方向として上壁103上に板状に突出されている。また、複数のリブ120のY方向の配置位置は、Y方向の幅が異なる複数(一例として3種類)の記録用紙P1、P2、P3の縁が、複数のリブ120のX方向の延長線LA、LB、LC、LD、LE、LF上に位置しない(ずれた)配置となっている。なお、一例として、記録用紙P1がA4サイズ、記録用紙P2がB4サイズ、記録用紙P3がA3サイズに対応している。
【0064】
さらに詳述すると、図10(A)に示すように、複数のリブ120は、Y方向の側面121の位置と、搬送される記録用紙Pの幅方向(Y方向)の縁PAの位置とが、Y方向でずれている。一例として、Y方向(画像形成装置10(図1参照)の奥行き方向)で最も手前側にあるリブ120のY方向手前側の側面121の位置と、Y方向の搬送ずれが無い場合の記録用紙P(記録用紙P3(図4参照)に相当)の縁PAの位置とは、Y方向で距離Δdずれている。この距離Δdは、記録用紙Pを搬送するときに許容されるY方向のずれ許容量よりも長くなるように予め設定されている。
【0065】
また、図5(A)、(B)に示すように、リブ120は、幅方向(Y方向)の両端部(角部)がC面取りされて傾斜面122A、122Cが形成されている。即ち、リブ120は、Y方向の両端部の高さが、中央部となる上面122Bの高さよりも低くなっている。そして、傾斜面122A、122Cは、一例として、X−Y面に対する角度θaが0°よりも大きく60°以下の範囲で設定されている。なお、傾斜面122A、122Cは、湾曲面であってもよい。
【0066】
さらに、図5(A)及び図6(A)に示すように、リブ120は、X方向の上流側の端部に、該上流側へ向けて高さが減少する切欠き部124が形成されている。切欠き部124は、一例として、X−Y面に対する角度θbが0°より大きく45°より小さい傾斜面で構成されている。
【0067】
なお、図6(B)に示すように、リブ120のX方向の上流側の端部において、切欠き部124(図6(A)参照)に換えて、上流側へ向けて高さが減少する湾曲部126を形成してもよい。
【0068】
(作用)
次に、第1実施形態の作用について説明する。
【0069】
画像形成装置10の画像形成工程について説明する。
【0070】
図1に示すように、画像形成装置10では、記録用紙Pに形成する画像のデータ(画像情報)を含む印刷データが主制御部18へ入力されると、この印刷データが、主制御部18において各色(K、C、M、Y)の画像情報に分解され、露光装置34K、34C、34M、34Yに出力される。そして、各露光装置34から、露光光Lが、各帯電ロール33で帯電された各感光体32の表面に照射される。このようにして、各感光体32上には、対応する色の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0071】
続いて、各現像器36によって各感光体32上の静電潜像がトナーにより現像され、各感光体32上にトナー像(トナー画像)が形成される。そして、各感光体32上に形成されたトナー画像は、各一次転写ロール42によって、中間転写ベルト44の外周面に順次、一次転写される。なお、トナー画像の一次転写が終了した各感光体32は、表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングユニット38によって除去されると共に、感光体32への光照射を行う除電器(図示省略)により残留電荷が除去される。
【0072】
続いて、中間転写ベルト44の外周面に順次、一次転写されて重ねられたトナー画像は、中間転写ベルト44の移動によって二次転写ロール50まで搬送される。そして、このトナー画像は、収納部21から搬送されてきた記録用紙Pにバックアップロール48及び二次転写ロール50によって二次転写される。
【0073】
ここで、上記のように画像形成工程が開始されると、図8に示すように、搬送ユニット100において搬送ロール104、105が回転駆動され、搬送ベルト106が周回移動を開始する。また、図2及び図3(A)、(B)に示すように、搬送ユニット100においてファン112が駆動され、ハウジング102の複数の貫通孔116(貫通孔108A)及び複数の貫通孔118から空気の吸引が行われる。そして、搬送ベルト106が設けられた部位では、搬送ベルト106の貫通孔106Aから空気が吸引され、搬送されてきた記録用紙Pが吸引される。
【0074】
続いて、図8に示すように、トナー画像TAが二次転写された記録用紙Pが、二次転写ロール50から搬送ユニット100へ搬送されたとき、記録用紙Pの中央部は、搬送ベルト106側から吸引力を受ける。これにより、記録用紙Pの中央部は、裏面PCが搬送ベルト106側に引き寄せられ、搬送ベルト106の周回移動によって搬送されていく。なお、裏面PCは、トナー画像TAが転写された記録用紙Pの転写面PBとは反対側の面であり、未定着のトナー画像TAを保持していない面である。
【0075】
このとき、裏面PCがリブ120と接触することにより、記録用紙Pがハウジング102の上壁103及び電極材108から遠ざけられるため、記録用紙Pの裏面PCにトナーTが付着することが抑制される。そして、記録用紙Pは、X方向の先端が定着ロール62と加圧ロール64とのニップ部(図1参照)に挟まれて搬送されることで、搬送ベルト106から剥離され、定着部60(図1参照)に向けて搬送される。
【0076】
続いて、図1に示すように、定着部60において、記録用紙P上のトナー画像が記録用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、用紙排出路24を通って筐体12の上面に排出され、あるいは、反転前搬送路26A及び反転後搬送路26Bを搬送されて表裏が反転され、裏面の画像形成及び定着が行われた後、用紙排出路24を通って筐体12の上面に排出される。
【0077】
次に、搬送ユニット100に設けられたリブ120の作用について、比較例と共に説明する。
【0078】
図9(A)に示すように、第1比較例として、上壁103上にリブ206が直立し、リブ206のY方向の側面206A(外側の側面)の位置と、搬送される記録用紙PのY方向の縁PAの位置とが、Y方向で同じ位置となっている構成では、搬送途中で記録用紙PがY方向にずれたとき、図9(B)に示すように、記録用紙PのY方向の端部(縁PA側)がリブ206に引っ掛かって上壁103側へ落下する。これにより、上壁103上のトナーTが落下した記録用紙Pの裏面に付着することがある。なお、リブ206が無い構成では、記録用紙Pが上壁103側へ落下するため、上壁103上のトナーTが、落下した記録用紙Pの裏面に付着することになる。
【0079】
一方、図10(A)に示すように、本実施形態では、リブ120のY方向の側面121の位置と、搬送される記録用紙PのY方向の縁PAの位置とが、距離Δdずれている。そして、距離Δdは、記録用紙Pを搬送するときに許容されるY方向のずれ許容量よりも長くなっている。
【0080】
これにより、図10(B)に示すように、本実施形態では、搬送途中で記録用紙PがY方向(Y方向手前側のずれを二点鎖線、奥側のずれを実線で図示する)にずれたとき、記録用紙PのY方向の端部(縁PA側)がリブ120上から落下しなくなる。これにより、第1比較例のリブ206(図9(A)参照)に比べて、搬送中の記録用紙PのY方向の端部がリブ120に引っ掛かることが抑制される。そして、上壁103上のトナーTが記録用紙Pの裏面に付着することが抑制される。
【0081】
また、図11(A)に示すように、第2比較例として、上壁103上にY−Z断面が矩形のリブ200が直立している構成では、リブ200の上面202が平面(Y方向で高さが同じ)であるため、リブ200に飛散したトナーTが上面202上に溜まる。そして、搬送されてきた記録用紙Pの裏面にトナーTが付着し、記録用紙Pの裏面が汚れることになる。
【0082】
一方、図11(B)に示すように、本実施形態では、リブ120に傾斜面122A、122Cが形成されており、上面122BのY方向の幅が第2比較例のリブ200(図11(A)参照)よりも狭くなっているため、リブ120に飛散したトナーTは、傾斜面122A、122Cから上壁103上に落下する。これにより、第2比較例のリブ200に比べて、リブ120の上面122BにトナーTが溜まることが抑制される。そして、搬送されてきた記録用紙Pの裏面にトナーTが付着しにくくなる。
【0083】
さらに、図12(A)に示すように、第3比較例として、上壁103上にX方向で高さが同じリブ204が直立している構成では、搬送されてきた記録用紙Pの先端が下方側へ自重で撓んでいるとき、この先端が、リブ204のX方向上流側の角部204Aと接触して引っ掛かってしまい、記録用紙PをX方向下流側へ搬送できなくなる場合がある。
【0084】
一方、図12(B)に示すように、本実施形態では、リブ120に切欠き部124が形成されており、X方向の上流側ほどリブ120の高さが低くなっているので、搬送されてきた記録用紙Pの先端が下方側へ自重で撓んでいても、この先端が切欠き部124上に配置されて下流側へ案内される。これにより、第3比較例のリブ204(図12(A)参照)に比べて、搬送中の記録用紙Pの先端がリブ120に引っ掛かることが抑制される。
【0085】
次に、画像形成装置10の縁無し印刷モードについて説明する。
【0086】
図1に示す画像形成装置10において、縁無し印刷モードが選択された場合、各感光体32には、記録用紙Pの面積よりも大きい面積の画像が形成される。そして、図7に示すように、中間転写ベルト44上には、記録用紙P全面となる画像領域S1(破線で示す矩形の外形線LGよりも内側の網掛け領域)よりも大きい画像領域S2(実線で示す矩形の外形線LHよりも内側の網掛け領域)のトナー画像が形成される。このため、二次転写ロール50により記録用紙Pにトナー画像が二次転写されたとき、外形線LGよりも外側で且つ外形線LHよりも内側の画像領域S3に相当するトナー画像が中間転写ベルト44上に残留する。そして、中間転写ベルト44上に残留したトナー画像は、ベルトクリーナ43(図1参照)によりクリーニングされる。
【0087】
一方、二次転写ロール50に記録用紙Pの先端が到達したとき、二次転写ロール50には、既に画像領域S3のX方向上流側のトナー画像が付着する。この二次転写ロール50に付着する余分なトナー画像は、クリーニング手段(図示省略)により取り除かれるものの、一部がトナークラウドTCとなって、搬送ユニット100側へ飛散することになる。
【0088】
次に、搬送ユニット100におけるトナーTの回収について説明する。
【0089】
図3(A)、(B)に示すように、吸引ユニット114のファン112が回転すると、回収部102E及びダクト部102Dは排気されて負圧状態となり、貫通孔116(貫通孔108A)及び貫通孔118を通して搬送ユニット100の吸引(吸気)動作が行われる。さらに、図2に示すように、電極材108には、電圧印加部110によって、トナーの極性とは逆極性の電圧が印加される。
【0090】
ここで、図13(A)、(B)に示すように、搬送ユニット100側へ飛散して複数のリブ120の間に浮遊しているトナーTは、静電引力により電極材108に引き付けられると共に、吸引力によって貫通孔108A及び貫通孔116を通って回収部102E内へ回収される。これにより、ハウジング102の上壁103及び電極材108へのトナーTの堆積が抑制される。そして、搬送中の記録用紙Pがリブ120上を通過したとき、記録用紙Pの裏面PCにトナーTが付着することが抑制される。
【0091】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。なお、前述した第1実施形態の画像形成装置10と基本的に同一の材料、部材については、前記第1実施形態と同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0092】
図14(A)、(B)には、第2実施形態の搬送手段の一例としての搬送ユニット130が示されている。搬送ユニット130は、第1実施形態の搬送ユニット100(図2参照)において、リブ120がX方向に対して角度θc傾斜した配置となっている。なお、図14(A)、(B)では、リブ120を矩形で示しており、傾斜面122A、122C、及び切欠き部124(図5(A)、(B)参照)の図示を省略している。
【0093】
図14(A)に示すように、搬送ユニット130は、本体となる中空のハウジング132と、ハウジング132のY方向中央部で回転可能に設けられた搬送ロール104、105と、搬送ロール104、105に巻き掛けられた搬送ベルト106と、ハウジング132の上壁132Aに直立(突出)して且つX方向に傾斜して設けられた複数のリブ120と、複数のリブ120の間の上壁132Aに取り付けられた導電部材の一例としての複数の電極材134と、電極材134に電圧を印加する電圧印加部110(図2参照)と、ハウジング132内の空気を排気する動作(吸引動作)を行う吸引ユニット114と、を含んで構成されている。なお、図14(A)では電圧印加部110の図示を省略している。
【0094】
図14(B)に示すように、各リブ120は、X方向に対して、該X方向の下流側がY方向で搬送ベルト106(図14(A)参照)から離れるように角度θcで傾斜配置されている。即ち、リブ120の長手方向は、記録用紙Pの搬送方向であるX方向と交差している。また、各リブ120は、一例として、隣のリブ120との間隔がW1で揃えられている。さらに、隣り合う1組のリブ120において、一方のリブ120のX方向上流側の先端120Aと、他方のリブ120のX方向下流側の後端120Bとは、X方向で同一直線上に配置されている。
【0095】
一方、図14(A)に示すように、電極材134は、平行四辺形状に形成された銅板であり、Z方向に貫通した複数の貫通孔134Aが形成されている。複数の貫通孔134Aは、ハウジング132に形成された複数の貫通孔(図示省略)と繋がっており、吸引ユニット114の動作によりハウジング132内が負圧状態となることで、吸引動作(吸気動作)を行うようになっている。
【0096】
(作用)
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0097】
図14(B)に示すように、搬送ユニット130に二次転写後の記録用紙Pが搬送されてきたとき、記録用紙Pの裏面と複数のリブ120の上面とが接触する。ここで、複数のリブ120が傾斜配置されてY方向全体をカバーしている。このため、記録用紙PがX方向下流側へ搬送される間にY方向にずれることがあっても、記録用紙PのY方向の端部は、リブ120で支持され、上壁132A側へ落下することが抑制される。これにより、記録用紙Pの裏面にトナーが付着することが抑制される。
【0098】
なお、記録用紙Pが搬送ユニット130で搬送されている間、記録用紙Pにおけるリブ120の上面と接触した部位は、摩擦帯電によって帯電することになる。しかし、図14(A)、(B)に示すように、搬送ユニット130では、リブ120がY方向で重なっていない。このため、リブ120と1回接触した記録用紙Pの部位は、X方向への搬送中にリブ120と再び接触することが無い。
【0099】
これにより、図15に示すように、記録用紙Pにおけるリブ120(破線で図示)と接触した部位SB(図示の網掛け部)の電位と、リブ120と接触しない部位SA(図示の白抜き部)の電位との電位差が大きくなることが抑制される。そして、二次転写されたトナーの一部が元の位置から他の位置へ離散することが抑制され、画像乱れが抑制される。
【0100】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0101】
図2に示す電極材108及び電圧印加部110を設けた搬送ユニット100に換えて、図16に示すように、接地部材152を設けた搬送ユニット150を用いてもよい。接地部材152は、一例として、導電性を有する銅板で構成され、ハウジング102の上壁103に取り付けられている。これにより、上壁103を接地していない構成に比べて、上壁103が帯電しにくくなるため、上壁103へのトナーの固着が抑制される。さらに、接地部材152を第2実施形態の電極材134のように平行四辺形状とし、リブ120をX方向と交差する方向に傾斜配置させてもよい。
【0102】
また、搬送路の壁部は、搬送ユニット100の上壁103に限らず、用紙搬送路22上で搬送ユニット100とは異なる位置(搬送ユニット100よりも上流側又は下流側の位置)に設けられた壁部材(搬送路の壁を構成する部材)であってもよい。
【0103】
さらに、導電部材は、電極材108や電極材134のように矩形状や平行四辺形状に限らず、円形状や多角形状であってもよい。また、導電部材は、銅板に限らず、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなど、他の金属を用いてもよい。
【0104】
加えて、吸引手段は、ファン112に限らず、ポンプで吸引する構成であってもよい。
【0105】
また、リブ120の傾斜面122A、122Cは、円弧面で構成されていてもよい。
【0106】
さらに、搬送ユニット100、130は、電圧印加部110及び吸引ユニット114を用いずに、トナーTが貫通孔116から自重で回収部102E内へ落下する構成としてもよい。また、搬送ユニット100、130は、電圧印加部110と吸引ユニット114のいずれか一方のみを設けた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
10 画像形成装置
20 画像形成部(現像剤像形成手段の一例)
22 用紙搬送路(搬送路の一例)
50 二次転写ロール(転写部材の一例)
60 定着部(定着手段の一例)
100 搬送ユニット(搬送手段の一例)
102E 回収部
103 上壁(壁部の一例)
108 電極材(導電部材の一例)
110 電圧印加部(電圧印加手段の一例)
114 吸引ユニット(吸引手段の一例)
116 貫通孔
120 リブ(接触部の一例)
124 切欠き部
126 湾曲部
130 搬送ユニット(搬送手段の一例)
134 電極材(導電部材の一例)
150 搬送ユニット(搬送手段の一例)
152 接地部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁無し印刷に対応した現像剤像を形成する現像剤像形成手段と、
前記現像剤像形成手段で形成された現像剤像を記録媒体に転写させる転写部材と、
前記転写部材で転写された現像剤像を記録媒体に定着する定着手段と、
前記転写部材と前記定着手段との間の記録媒体の搬送路に設けられ、現像剤像が転写済の記録媒体を前記定着手段へ搬送する搬送手段と、
前記搬送路を構成する壁部から板状に突出され、搬送される記録媒体の搬送方向と交差する幅方向における縁の位置に対して該板状の側面の位置がずれており、記録媒体の現像剤像が転写された転写面とは反対側の面と接触して前記壁部から記録媒体を遠ざける接触部と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記搬送方向の上流側の端部に、該上流側へ向けて高さが減少する切欠き部又は湾曲部が形成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接触部は、前記幅方向の両端部が中央部よりも低くなっている請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記壁部には、前記接触部の突出方向に貫通した貫通孔が形成され、
前記壁部の前記接触部とは反対側には、前記貫通孔から落下した現像剤が回収される回収部が設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収部には、前記貫通孔を通して現像剤を前記回収部内へ吸引する吸引手段が設けられている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記壁部には、導電性を有する導電部材が取付けられ、
前記導電部材には、現像剤の極性とは逆の極性の電圧を印加する電圧印加手段が接続されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記壁部には、導電性を有し接地された接地部材が取付けられている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
縁無し印刷に対応した現像剤像を形成する現像剤像形成手段と、
前記現像剤像形成手段で形成された現像剤像を記録媒体に転写させる転写部材と、
前記転写部材で転写された現像剤像を記録媒体に定着する定着手段と、
前記転写部材と前記定着手段との間に設けられ、転写済の記録媒体を前記定着手段へ搬送する搬送手段と、
前記転写部材と前記定着手段との間で搬送路を構成する壁部から板状に突出され、該板状の長手方向が記録媒体の搬送方向と交差し、記録媒体の現像剤像が転写された転写面とは反対側の面と接触して前記壁部から記録媒体を遠ざける接触部と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−64957(P2013−64957A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204789(P2011−204789)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】