説明

画像形成装置

【課題】記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置が変化するのを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】外周面に画像を保持する感光体ドラム11と、感光体ドラム11と形成した転写部位Trにて感光体ドラム11に保持された画像を記録材に転写する転写ドラム21と、転写ドラム21と同期して回転し、転写部位Trに向けて搬送される記録材の搬送方向先端部を把持する先端グリッパ22と、転写ドラム21の外周面に対向して配置されると共に転写ドラム21に対して相対的に移動可能であり、先端グリッパ22にて把持された記録材の搬送方向後端部が浮くことを抑制する用紙抑制部と、転写ドラム21に向けて記録材を供給する用紙供給部50と、を備え、用紙抑制部は、用紙供給部50から転写ドラム21に向けて記録材が供給されている際には、記録材が転写ドラム21に到達する位置Paと転写部位Trとの間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、転写紙を転写ドラムの周囲に巻きつけ、像担持体に担持された像を転写紙に転写する転写装置であって、転写紙の先端と後端とをそれぞれ転写ドラムの周囲に固定する固定手段を有する装置が存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−293573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録材(用紙)における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置が変化するのを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転可能に配置され、外周面に画像を保持する像保持体と、外周面が前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体と形成した転写部位にて当該像保持体に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、前記転写部材と同期して回転し、前記転写部位に向けて搬送される記録材の搬送方向先端部を把持する把持部と、前記転写部材の外周面に対向して配置されると共に当該転写部材に対して相対的に移動可能であり、前記把持部にて把持された記録材の搬送方向後端部が浮くことを抑制する抑制部と、前記転写部材に向けて記録材を供給する供給手段と、を備え、前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該記録材が当該転写部材に到達する位置と前記転写部位との間に位置することを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記供給手段は、記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールを有し、前記供給ロールの周速度は前記転写部材あるいは前記像保持体の周速度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記供給手段は、置かれた記録材を送り出す送出ロールと、当該送出ロールによって送り出された記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールとを有し、前記供給ロールから供給された記録材を前記転写部材に向けて案内する案内部材をさらに備え、前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との中間点よりも当該転写部位側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項4に記載の発明は、回転可能に配置され、外周面に画像を保持する像保持体と、前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体と形成した転写部位にて当該像保持体に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、前記転写部材と同期して回転し、前記転写部位に向けて搬送される記録材の搬送方向先端部を把持する把持部と、前記転写部材の外周面に対向して配置されると共に当該転写部材に対して相対的に移動可能であり、前記把持部にて把持された記録材の搬送方向後端部が浮くことを抑制する抑制部と、前記転写部材に向けて記録材を供給する供給手段と、を備え、前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、前記供給手段から供給された記録材の湾曲の曲率半径が当該抑制部の搬送方向上流側の方が搬送方向下流側よりも小さくなる位置に存在することを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記供給手段は、記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールを有し、前記供給ロールの周速度は前記転写部材あるいは前記像保持体の周速度よりも大きいことを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、前記供給手段は、置かれた記録材を送り出す送出ロールと、当該送出ロールによって送り出された記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールとを有し、前記供給ロールから供給された記録材を案内する案内部材をさらに備え、前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との中間点よりも当該転写部位側に位置することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置が変化するのを抑制することができる。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、記録材に転写する画像の質をより高めることができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写部材への記録材の供給精度をより高めつつ、記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置が変化するのを抑制することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置が変化するのを抑制することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置の変化の抑制をより簡易な構成で実現できる。
請求項6の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、記録材に転写する画像の質をより高めることができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比べて、転写部材への記録材の供給精度をより高めつつ、記録材における浮きが抑制される搬送方向後端部の位置の変化の抑制をより簡易な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】転写部位の拡大図である。
【図3】感光体ドラムと転写ドラムを回転駆動する機構の概略構成を説明する図である。
【図4】先端グリッパおよび後端グリッパの概略構成図である。
【図5】先端グリッパの概略構成図であり、回転軸方向と垂直な面で切断した断面図である。
【図6】転写ドラムに巻きつけられた用紙が転写ドラムから解放される動作を説明するための概略図である。
【図7】後端グリッパの概略構成を示す図である。
【図8】図7のVIII−VIII部の断面図である。
【図9】制御部の機能ブロック図を示している。
【図10−1】制御部が行う転写処理の手順を示すフローチャートである。
【図10−2】制御部が行う転写処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】画像形成動作におけるタイミングチャートである。
【図12】転写ドラムに用紙が巻きつけられる動作を説明するための図である。
【図13】設定された用紙長さと実際に搬送されてきた用紙の長さとの間の誤差を把握した後に、感光体ドラム上へのトナー像の形成が中止される動作を示すタイミングチャートである。
【図14】用紙の搬送方向先端部側が感光体ドラムと転写ドラムとの間に挟み込まれて搬送方向下流側へ送られるとともに搬送方向後端部側が供給ロールにて転写ドラムに向けて送られているときの状態を示す図である。
【図15】第2の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図16】用紙の搬送方向先端部側が感光体ドラムと転写ドラムとの間に挟み込まれて搬送方向下流側へ送られるとともに搬送方向後端部側が供給ロールにて転写ドラムに向けて送られているときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
画像形成装置1は、トナー像の形成を行う画像形成部10と、画像形成部10で形成されたトナー像を記録材の一例としての用紙Sに転写する転写部20と、転写部20によって用紙Sに転写されたトナー像を用紙Sに定着する定着部40と、転写部20に対しトナー像を転写するための用紙Sを供給する用紙供給部50とを備えている。また、画像形成装置1は、画像形成部10、転写部20、定着部40および用紙供給部50等の動作を制御する制御部100をさらに備えている。ここで、画像形成装置1を構成する各部は、筐体2の内部に収容されており、この筐体2の上部には、定着部40から排出された用紙Sを積載する排紙積載部3が設けられている。
【0013】
先ずは、画像形成部10について説明する。
画像形成部10は、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を帯電する帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11を露光する露光装置13と、帯電および露光によって感光体ドラム11に形成された静電潜像をトナーによって現像するロータリ現像装置14と、現像されたトナー像を転写した後に感光体ドラム11上に残ったトナー等を清掃する清掃装置15とを備えている。
【0014】
感光体ドラム11は、回転軸11aを中心に矢印A方向に回転するように取り付けられるとともに、その表面(外周面)に感光層(図示せず)が形成され、外周面に画像を保持する。感光体ドラム11は、像保持体の一例として機能する。感光体ドラム11の周囲には、帯電装置12、露光装置13、ロータリ現像装置14および清掃装置15が、矢印A方向に沿ってこの順番に配置される。ここで、感光体ドラム11の外径は、例えば30mmとなっている。
【0015】
帯電装置12は、本実施の形態においては接触ローラ型の放電装置で構成されており、感光体ドラム11とともに回転しながら感光体ドラム11を帯電する。
露光装置13は、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光照射を行うことで、静電潜像を形成する。なお、本実施の形態の露光装置13は、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って複数の発光素子(例えばLED)を配列した構成を有している。
【0016】
ロータリ現像装置14は、感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って延びる回転軸14aと、回転軸14aの周囲に配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各現像器14Y、14M、14C、14Kとを備えている。また、ロータリ現像装置14は、回転軸14aを中心として矢印C方向に回転するように構成されており、感光体ドラム11と対向する位置(以下の説明では現像位置という)に、いずれかの現像器が停止するようになっている。そして、ロータリ現像装置14には、露光装置13によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を、現像位置に停止した現像器のトナーを用いて現像する。なお、ロータリ現像装置14の外径は、例えば100mmとなっている。
清掃装置15は、感光体ドラム11の表面に残ったトナーやトナー以外の付着物を除去する。本実施の形態の清掃装置15は、ブレード式のクリーナで構成されている。
【0017】
次は、転写部20について説明する。
転写部20は、感光体ドラム11に対向し且つ感光体ドラム11の回転軸11aの軸方向に沿って伸びる転写部材の一例としての転写ドラム21と、転写ドラム21の外周面側の部位にて用紙Sの搬送方向先端側部位を把持する先端グリッパ22と、同じく転写ドラム21の外周面側にて用紙Sの搬送方向後端側部位の用紙浮きを抑制する後端グリッパ23と、回転する転写ドラム21の位相を測定する位相センサ24とを備えている。
【0018】
転写ドラム21は、円筒形状を有する基部21Aと、この基部21Aの外周面に設けられた弾性層21Bとを備えている。基部21Aは、導電性を有する中空管で構成され、例えば金属が用いられている。一方、弾性層21Bは、半導電性を有し且つ発泡層を含む弾性部材で構成され、例えば導電性物質を含有させたポリウレタン等の樹脂が用いられている。弾性層21Bは、周方向には、基部21Aの外周面のうち、基部21Aの円筒中心方向に沿う一部領域を除く部位を覆うようになっている。すなわち、弾性層21Bは、C字状の断面を有している。これにより、転写ドラム21における基部21Aの外周面のうち、弾性層21Bによって覆われない部位は、基部21Aが露出した露出部21Cとなっている。また、弾性層21Bの周方向の長さは、この画像形成装置1で使用することが可能な最大サイズの用紙Sの長さよりも長くなるように設定されている。
【0019】
転写ドラム21は、感光体ドラム11との対向位置において、感光体ドラム11の回転方向(矢印A方向)と同じ向きとなる矢印B方向に回転するように構成されている。なお、転写ドラム21の外径は、例えば120mmとなっている。このように、本実施の形態では、転写ドラム21の外径が、感光体ドラム11の外径よりも大きく設定されている。
転写ドラム21の基部21Aには、高圧電源(図示せず)により、トナーとは逆極性の転写バイアスが印加される。一方、感光体ドラム11は接地されている。それゆえ、感光体ドラム11上でトナー像を構成するトナーが、転写部位Trにおいて弾性層21B上の用紙Sに転写される。
【0020】
なお、以下の説明においては、感光体ドラム11と、転写ドラム21とが対向する位置を、転写位置と称する。そして、転写位置においては、感光体ドラム11に設けられた感光層と転写ドラム21に設けられた弾性層21Bとが接触することにより、転写部位Trが構成される。言い換えれば、転写部位Trとは、感光体ドラム11上のトナー像が弾性層21Bの用紙Sに転写される領域であり、弾性層21B(または弾性層21B上の用紙S)が転写ドラム21と接触する領域をいう。
【0021】
図2は、転写部位Trの拡大図である。
図2に示すように、転写部位Trは、接触開始点Peから最大圧縮点Pmを経て接触終了点Pfまでの範囲である。すなわち、転写ドラム21の弾性層21B上の特定の点を想定すると、この点は、転写ドラム21が回転するに伴い、接触開始点Peにおいて、感光体ドラム11との接触を開始し、接触終了点Pfにおいて、感光体ドラム11との接触を終了する。また、この特定の点が最大圧縮点Pmにあるとき、弾性層21Bは、感光体ドラム11によって圧縮され最も厚みが薄くなる。
なお、図2に示すように、感光体ドラム11における露光装置13により露光される位置を位置Pdとする。
【0022】
先端グリッパ22および後端グリッパ23については後で詳述する。
位相センサ24は、転写ドラム21の外周面に対向して配置されており、転写ドラム21の外周面に設けられたマーク(図示せず)を検知することで、回転する転写ドラム21の位相を測定するようになっている。ただ、位相センサ24は、転写ドラム21の内周面に設けられたマークを検知することで、回転する転写ドラム21の位相を測定してもよい。
なお、本実施の形態では、転写部20を構成する転写ドラム21、先端グリッパ22、後端グリッパ23および位相センサ24が、一体化したユニット(転写ユニット)を構成している。そして、画像形成装置1の筐体2に対し転写ユニットを着脱できるようになっている。
【0023】
次に、感光体ドラム11と転写ドラム21を回転駆動する機構について説明する。
本実施の形態の画像形成装置1は、図1に示すように、感光体ドラム11と転写ドラム21とが対向する転写部位Trよりも転写ドラム21の回転方向上流側且つ転写ドラム21の外側において、転写ドラム21を回転可能に支持する転写ドラム支持部30を備えている。この転写ドラム支持部30は、転写ドラム21の基部21Aの外周面に接触して配置され、回転軸31aを中心に回転する転写ドラム支持ロール31を有している。転写ドラム支持ロール31は、転写ドラム21の矢印B方向への回転に伴って連れ回るようになっている。
【0024】
さらに、本実施の形態の画像形成装置1は、上記転写部位Trよりも矢印B方向上流側且つ感光体ドラム11と転写ドラム支持ロール31とが接触する位置よりも矢印B方向下流側となる転写ドラム21の内側において、転写ドラム21を回転可能に支持するとともに転写ドラム21を矢印B方向に回転させる駆動力を伝達する転写ドラム駆動ロール83を備えている。転写ドラム駆動ロール83は、回転軸83aを中心として矢印D方向に回転駆動されることにより、転写ドラム21を矢印B方向に回転させるようになっている。以下では、転写ドラム駆動ロール83の回転軸となる回転軸83aの軸方向を「回転軸方向」と称す。
【0025】
図3は、感光体ドラム11と転写ドラム21を回転駆動する機構の概略構成を説明する図である。図3(a)は斜視図であり、図3(b)は断面図である。なお、図3においては、先端グリッパ22および後端グリッパ23を省略している。
図3(b)に示すように、感光体ドラム11、転写ドラム21、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83のそれぞれの回転軸方向両端よりも外側であって、図1に示す画像形成装置1の手前側(図中に「F」で示す)にはフロント側フレーム91が、また、画像形成装置の奥側(図中に「R」で示す)にはリア側フレーム92が、それぞれ設けられている。なお、図3(a)では、これらフロント側フレーム91およびリア側フレーム92の記載を省略している。
【0026】
感光体ドラム11の回転軸11aは、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92の両者を貫通するように、両フレームに対し位置を固定した状態で回転可能に取り付けられている。また、感光体ドラム11の回転軸方向両端よりも外側であって、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92よりも内側となる部位において、感光体ドラム11の回転軸11aには、それぞれ感光体ドラム支持ロール16が取り付けられている。これら2つの感光体ドラム支持ロール16は、同じ大きさの径であって、感光体ドラム11よりも大きな径を有しており、回転軸方向への移動が規制された状態で、回転軸11aに対し回転可能に取り付けられている。
【0027】
そして、本実施の形態の画像形成装置1は、画像形成装置1の奥側に取り付けられて感光体ドラム11を回転駆動する感光体駆動部70をさらに備えている。この感光体駆動部70は、駆動源となる感光体駆動モータ71と、感光体駆動モータ71の駆動力を感光体ドラム11に伝達する感光体駆動ギア列72とを有している。感光体駆動モータ71は、リア側フレーム92よりも手前側に配置されており、その駆動軸は、リア側フレーム92の奥側に突出するようにリア側フレーム92を貫通して取り付けられている。また、感光体駆動ギア列72は、リア側フレーム92よりも奥側に配置されており、感光体駆動モータ71の駆動軸と感光体ドラム11の回転軸11aとをギア結合することにより、感光体駆動モータ71からの駆動力を感光体ドラム11に伝達するようになっている。
【0028】
また、本実施の形態の画像形成装置1は、上述した転写ドラム駆動ロール83を含み、転写ドラム21を回転駆動する転写駆動部80をさらに備えている。この転写駆動部80は、転写駆動モータ81と、転写駆動モータ81の駆動力を転写ドラム駆動ロール83に伝達する転写駆動ギア列82と、転写ドラム駆動ロール83とを有している。
【0029】
転写ドラム駆動ロール83は、2本のロール部材すなわち第1転写駆動ロール83Fおよび第2転写駆動ロール83Rと、これら第1転写駆動ロール83Fおよび第2転写駆動ロール83Rを支持すると共にフロント側フレーム91およびリア側フレーム92に回転可能に支持された回転軸83aと、を備えている。第1転写駆動ロール83Fはフロント側フレーム91の内側に配置され、第2転写駆動ロール83Rはリア側フレーム92の内側に配置されている。そして、第1転写駆動ロール83Fと第2転写駆動ロール83Rとの、回転軸方向の間隔は、後で詳述する先端グリッパ22の外側部材221、内側部材222などの大きさよりも大きく設定されている。これにより、先端グリッパ22の開閉動作に伴って先端グリッパ22の構成要素が基部21Aの内側に突出してきた場合であっても、その構成要素が転写ドラム駆動ロール83にぶつかることがないようになっている。
【0030】
転写ドラム駆動ロール83の外周面すなわち転写ドラム21との接触面は、例えばウレタンゴム等で構成されている。また、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aは、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92の両者を貫通するように、両フレームに対し回転可能に取り付けられている。さらに、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aには、転写ドラム駆動ロール83を転写ドラム21の内周面に押し付けるためのバネ(不図示)が取り付けられており、転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aは、バネの力による移動が許容されるように、両フレームに対しスライド自在に取り付けられている。
【0031】
転写駆動部80を構成する転写駆動モータ81は、フロント側フレーム91よりも奥側且つリア側フレーム92よりも手前側に配置されており、その駆動軸は、フロント側フレーム91の手前側に突出するようにフロント側フレーム91を貫通して取り付けられている。特に、本実施の形態では、転写駆動モータ81が転写ドラム21における開口部の内側に位置するように、転写駆動モータ81の取り付け位置が設定されている。また、転写駆動ギア列82は、フロント側フレーム91より手前側に配置されており、転写駆動モータ81の駆動軸と転写ドラム駆動ロール83の回転軸83aとをギア結合することにより、転写駆動モータ81からの駆動力を転写ドラム駆動ロール83に伝達するようになっている。
【0032】
また、転写ドラム支持部30を構成する転写ドラム支持ロール31は、フロント側フレーム91の奥側とリア側フレーム92の手前側とに、それぞれ1つずつ設けられている。そして、手前側に設けられる転写ドラム支持ロール31の回転軸31aは、フロント側フレーム91に対して回転可能に取り付けられている。一方、奥側に設けられる転写ドラム支持ロール31の回転軸31aは、リア側フレーム92に対して回転可能に取り付けられている。
【0033】
ここで、各転写ドラム支持ロール31は、半径が異なる2つのロールを一体化した構造を有する、フランジ付きのロールにて構成される。そして、手前側の転写ドラム支持ロール31は、大径となる部位がフロント側フレーム91に、また、小径となる部位がリア側フレーム92に、それぞれ対向するように配置されている。一方、奥側の転写ドラム支持ロール31は、大径となる部位がリア側フレーム92に、小径となる部位がフロント側フレーム91に、それぞれ対向するように配置されている。そして、各転写ドラム支持ロール31において、小径となる部位については例えば金属、ボールベアリングまたは高摺動樹脂(ポリアセタール(POM)等)で構成されており、大径となる部位については例えば金属で構成されている。また、本実施の形態では、各転写ドラム支持ロール31に高圧電源(図示せず)が接続されており、各転写ドラム支持ロール31における大径となる部位すなわち金属で構成された部位を介して、転写ドラム21の基部21Aに転写バイアスを供給するようになっている。
【0034】
これに対し、転写ドラム21は、フロント側フレーム91とリア側フレーム92との間に、これらフロント側フレーム91およびリア側フレーム92とは直接接触しないように取り付けられている。そして、転写ドラム21では、基部21Aの外周面のうち基部21Aの軸方向両端部を除く部位を、弾性層21Bが覆っている。このため、転写ドラム21では、図1に示す露出部21Cに加えて、基部21Aの軸方向両端部も、外部に露出するようになっている。
【0035】
そして、感光体ドラム11は、転写ドラム21に設けられた弾性層21Bと回転軸方向に沿って接触しており、また、感光体ドラム11の両端部よりも外側に取り付けられた2つの感光体ドラム支持ロール16は、転写ドラム21の回転軸方向両端において、転写ドラム21に設けられた基部21Aにそれぞれ接触している。このようにして、感光体ドラム11および感光体ドラム支持ロール16は、転写ドラム21の外周面に接触している。
【0036】
さらに、2つの転写ドラム支持ロール31は、転写ドラム21の回転軸方向両端において、転写ドラム21に設けられた基部21Aの外周面と側面とに、それぞれ接触している。そして、基部21Aの外周面には、転写ドラム支持ロール31の小径部が接触配置され、基部21Aの側面には、転写ドラム支持ロール31の大径部(金属製)の内側側面が接触配置される。また、2つの転写ドラム支持ロール31のうち、例えば手前側に設けられた転写ドラム支持ロール31には、この転写ドラム支持ロール31をリア側に向けて押すバネ(不図示)が取り付けられている。
【0037】
以上説明したような構造を有することにより、転写ドラム21は、感光体ドラム11、転写ドラム支持ロール31および転写ドラム駆動ロール83を介して、フロント側フレーム91およびリア側フレーム92に、間接的且つ回転可能に支持されている。また、フランジ付きの2つの転写ドラム支持ロール31を用いて転写ドラム21を支持することにより、転写ドラム21が矢印B方向(図1参照)に回転する際の回転軸方向へのぶれを抑制している。
【0038】
次に、先端グリッパ22および後端グリッパ23について説明する。
図4は、先端グリッパ22および後端グリッパ23の概略構成図である。
転写部20は、転写ドラム21の外周面上の用紙Sの搬送方向(矢印B方向、転写ドラム21の回転方向)の先端部(図4における用紙Sの左側の端部)を把持する先端グリッパ22と、用紙Sの搬送方向(矢印B方向)の後端部(図4における用紙Sの右側の端部)の用紙浮きを抑制する後端グリッパ23とを有する。そして、先端グリッパ22が用紙Sの先端部を把持し、後端グリッパ23が用紙Sの後端部の用紙浮きを抑制した状態で、先端グリッパ22および後端グリッパ23は、転写ドラム21とともに回転する。
以下に、先端グリッパ22および後端グリッパ23それぞれについて詳細に説明する。
【0039】
先ずは、先端グリッパ22の構成について説明する。
図5は、先端グリッパ22の概略構成図であり、回転軸方向と垂直な面で切断した断面図である。図5(a)は、先端グリッパ22が開いた状態を示し、図5(b)は、先端グリッパ22が閉じた状態を示す。
先端グリッパ22は、図5に示すように、転写ドラム21の外周側(図5の上側)から用紙Sを抑える外側部材221と、転写ドラム21の内周側(図5の下側)から用紙Sを抑える内側部材222と、外側部材221と一体に設けられるとともに転写ドラム21に回転可能に支持された回転軸223とを有する。
【0040】
外側部材221は、回転軸方向と長手方向が沿うように配置された板状部材であり、転写ドラム21の外周側から、用紙Sの画像が形成(転写)される側を抑える外側抑え部221aと、回転軸223を中心に外側部材221が回転するのに伴い内側部材222を押す角部221bとを有する。外側抑え部221aは、内側部材222よりも転写ドラム21の外周側に配置され、角部221bは、内側部材222よりも転写ドラム21の内周側に配置される。そして、外側抑え部221aは、回転軸223を回転中心として、回転軸223よりも転写ドラム21の外周側を回転可能に設けられている(図5の矢印G1及びG2)。また、外側部材221は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属製であり、転写部位Trにおいて感光体ドラム11と接触することがない大きさに形成されている。
【0041】
内側部材222は、回転軸方向と長手方向が沿うように配置された板状部材であり、転写ドラム21の内周側から、用紙Sの画像が形成される側とは反対側を抑える内側抑え部222aを有する。そして、内側部材222は、図示しない案内部材に沿って、転写ドラム21の外周側と内周側とを移動可能(図5(a)の矢印E1及びE2)となるように転写ドラム21に支持されている。
回転軸223は、転写ドラム21の内部でありかつ外周側において、回転軸方向に設けられている。
【0042】
先端グリッパ22を構成する、これら外側部材221、内側部材222及び回転軸223は、転写ドラム21の露出部21Cに取り付けられている。具体的には、先端グリッパ22は、C字状に形成された弾性層21Bにおける周方向の一方の端部21BTと他方の端部21BLとの間に設けられている。そして、一方の端部21BTと他方の端部21BLとの間で、転写ドラム21に回転可能に支持された回転軸223を中心に外側部材221が回転することにより、外側部材221と内側部材222との相対位置が変化するように構成されている。以下では、図5(b)に示すように、外側部材221の外側抑え部221aと内側部材222の内側抑え部222aとが略平行となり近づいた状態を、先端グリッパ22が閉じた状態であるとし、図5(a)に示すように、図5(b)に示した閉じ状態よりも、外側部材221の外側抑え部221aと内側部材222の内側抑え部222aとが離れた状態を、先端グリッパ22が開いた状態であるとする。
【0043】
以上のように構成された先端グリッパ22においては、先端グリッパ22が開いた状態では、先端グリッパ22の外側部材221は、用紙Sの搬送方向先端側(図5の左側)に配置され、先端グリッパ22の内側部材222は、転写ドラム21の内周側(図5の下側)に配置される。この状態では、図5(a)に示すように、用紙供給部50から供給された用紙Sを、外側部材221の外側抑え部221aと内側部材222の内側抑え部222aとの間に受け入れることが可能な方向を向いて開いている。
【0044】
そして、用紙Sの搬送方向先端側の端部が後述する給紙位置Paに到達するのに合わせて、外側部材221が回転軸223を中心に用紙Sの搬送方向後端側に回転する(図5の矢印G2)。さらに、外側部材221の角部221bが、外側部材221の回転にともない転写ドラム21の外周側へと移動する。この角部221bの移動により、角部221bと接して配置されていた内側部材222が、図示しない案内部材に沿って転写ドラム21の外周側へ押される。結果として内側部材222が、転写ドラム21の外周側へ移動する(図5の矢印E2)。
これにより、図5(b)に示すように、外側抑え部221aと内側抑え部222aとの間に間隙が小さくなり、用紙Sが挟まれる。
【0045】
図6は、転写ドラム21に巻きつけられた用紙Sが転写ドラム21から解放される動作を説明するための概略図である。
先端グリッパ22が用紙Sを開放する動作は、上述した先端グリッパ22が用紙Sを把持する動作の反対の動作であることから詳細な説明は省略し、ここでは用紙Sを把持する動作と大きく異なる点のみ説明する。先端グリッパ22が用紙Sを開放し始めるのは、用紙Sの搬送方向先端が転写部位Trに進入した後である。すなわち、用紙Sの搬送方向先端が接触開始点Pe(図2参照)を通過した後、先端グリッパ22が開き、用紙Sを開放し始める。
【0046】
用紙Sの搬送方向先端が接触開始点Peを通過した後、続いて弾性層21Bにおける周方向の他方の端部21BLが転写部位Trに進入する(図6(c)参照)。すなわち、他方の端部21BLが接触開始点Pe(図2参照)を通過する。このとき、弾性層21Bと、感光体ドラム11とがニップすることにより、用紙Sの搬送方向先端が転写ドラム21から剥離される。より具体的には、用紙Sの剛性、いわゆる用紙Sのコシにより用紙Sの搬送方向先端が転写ドラム21から剥離される。そして、用紙Sの搬送方向先端は、排紙経路64へと排出され(図6(d)参照)、定着部40へ至る。
【0047】
ここで、先端グリッパ22は、閉じた状態、開いた状態および閉じた状態から開いた状態への移行中(開放のための動作中)のいずれであっても、感光体ドラム11と接触しない。これは、以下の理由による。
まず、前提として、転写ドラム21の弾性層21Bは、転写部位Trにおいて感光体ドラム11とニップすることにより、加圧される。図5及び図6において、加圧されて圧縮された状態の転写ドラム21の外周を、圧縮外周線NLとして示している。なお、明瞭化のため、図中では圧縮外周線NLを転写ドラム21の全周に描いている。
【0048】
そして、先端グリッパ22が、圧縮外周線NLを超えて転写ドラム21の外周側に配置されなければ、先端グリッパ22は、感光体ドラム11と接触しない。本実施の形態においては、図5及び図6に示されるように、先端グリッパ22を構成する部材(外側部材221及び内側部材222等)は、先端グリッパ22が閉じた状態、開いた状態および閉じた状態から開いた状態への移行中のいずれであっても、圧縮外周線NLよりも内周側に設けられている。このことにより、先端グリッパ22は、感光体ドラム11と接触しない。
【0049】
ただし、先端グリッパ22が開いた状態および/または先端グリッパ22が閉じた状態から開いた状態への移行中のときに、外側部材221が圧縮外周線NLを超える構成であってもよい。かかる構成の場合には、先端グリッパ22を閉じた状態から開いた状態へ移行させ始めるタイミングを、外側部材221が感光体ドラム11と接触しないタイミングにすればよい。例えば、先端グリッパ22にて把持された用紙Sの搬送方向先端が転写部位Trを通過した後、あるいは外側部材221が感光体ドラム11と最も接近する位置(仮想的には最大圧縮点Pm)を通過した後に、先端グリッパ22を閉じた状態から開いた状態へ移行させ始めればよい。
【0050】
次に、後端グリッパ23の構成について説明する。
図7は、後端グリッパ23の概略構成を示す図である。図8は、図7のVIII−VIII部の断面図である。
後端グリッパ23は、転写ドラム21の外周面に対向して配置されて、用紙Sの、転写ドラム21の外周面からの浮きを抑制する用紙抑制部231と、用紙抑制部231の長手方向の両端を保持するとともに転写ドラム21の回転中心を回転中心として転写ドラム21の周囲を回転する回転部232と、用紙抑制部231の形状を変化させる作動片280と、を備えている。なお、後端グリッパ23の作動片280と接触する爪部290が筐体2に直接的または間接的に固定されている。
【0051】
用紙抑制部231は、板状部材であり、回転軸方向と長手方向が沿うように配置される。また、図7に示すように、用紙抑制部231は、転写ドラム21の弾性層21Bの幅(転写ドラム21の回転軸方向の長さ)よりも長い。この用紙抑制部231は、例えばPET(Polyethylene terephthalate)、ポリイミド、フッ素等の樹脂からなり、弾性変形する部材である。そして、用紙抑制部231は、長手方向(回転軸方向)に押圧されることにより、撓むことができる程度の剛性を有する。
【0052】
また、用紙抑制部231は、転写部位Trにおいて感光体ドラム11と接触したとしても、感光体ドラム11に損傷を与えないように、厚みが薄く、かつ角部を持たないよう形成されている。
なお、上述のように、本実施の形態の用紙抑制部231は板状部材であるが、特に板状部材に限定されるものではなく、フィルム、ワイヤ、円柱状等の形状であってもよい。また、用紙抑制部231の材質は、弾性変形する樹脂に限定されるものではなく、金属や、天然または人造の繊維であってもよい。つまり、用紙抑制部231は、金属薄板、金属ワイヤ、紐および糸などであってもよい。
【0053】
回転部232は、円筒状の部材でありその外周面にギアが形成された2つの円筒状の部材である第1の回転部232aおよび第2の回転部232bを有する。第1の回転部232aと第2の回転部232bとは、それぞれ転写ドラム21の回転軸方向の両端側に転写ドラム21と同軸的に設けられている。また、回転部232は、第1の回転部232aおよび第2の回転部232bそれぞれの外周面に形成されたギアと噛み合う2つの伝達ギアである第1の伝達ギア233aおよび第2の伝達ギア233bと、を有する。また、回転部232は、第1の回転部232aおよび第2の回転部232bの回転中心に設けられた回転軸234と、回転軸234の軸方向の一方の端部に取り付けられたギア235と、ギア235および2つの伝達ギア233a,233bを介して第1の回転部232aおよび第2の回転部232bに回転駆動力を供給する回転部モータ236と、を有する。
かかる構成により、第1の回転部232aおよび第2の回転部232bは、転写ドラム21の周囲を等速に回転可能であるとともに、転写ドラム21とは独立して回転可能である。これにより、転写ドラム21の回転方向の位置に対する用紙抑制部231の位置を変更することが可能である。
【0054】
第1の回転部232aには、用紙抑制部231における回転軸方向の一方の端部がねじ止めで取り付けられている。用紙抑制部231の他方の端部は、作動片280を介して、第2の回転部232bに連結されている。第2の回転部232bには、回転軸方向に貫通する貫通孔281が形成されている。
また、第1の回転部232aには、図8に示すように、用紙抑制部231をねじ止めさせるためのねじ孔が形成された部位に対して、周方向には同じ位置であり、回転軸方向には内側の位置に、弾性部材240を転写ドラム21の外周面から半径方向に突出させるように保持する第1の弾性部材保持部232a1が設けられている。同様に、第2の回転部232bには、図8に示すように、貫通孔281に対して、周方向には同じ位置であり、回転軸方向には内側の位置に、弾性部材240を転写ドラム21の外周面から半径方向に突出させるように保持する第2の弾性部材保持部232b1が設けられている。弾性部材240は、転写ドラム21の半径方向に弾性伸縮する部材であり、ゴムやばねを例示することができる。
【0055】
作動片280は、板状部材であるとともに、第2の回転部232bに形成された貫通孔281に挿入され、回転軸方向(矢印H1及びH2方向)に沿って移動可能に設けられている。この作動片280は、ばね部材(不図示)により転写ドラム21における回転軸方向の中央部側から端部側(矢印H1方向)へ付勢されている。この作動片280における回転軸方向の内側の端部280aには、用紙抑制部231における回転軸方向の他方の端部がねじ止めで取り付けられている。また、作動片280における回転軸方向の外側の端部280bは、周方向の中央部が最も外側となる凸形状に成形されている。そして、作動片280は、後述する爪部290と接触していない場合には、第2の回転部232bにおける回転軸方向の外側の端部よりも外側に突出した状態となる(図8(a)の状態)。他方、作動片280は、爪部290と接触して爪部290から押された場合には、回転軸方向の端部側から中央部側方向(矢印H2方向)へ移動する(図8(b)の状態)。
【0056】
爪部290は、第2の回転部232bにおける回転軸方向の外側端部よりも外側において、作動片280の外側の端部280bの回転軌跡上となるように、筐体2に直接的または間接的に固定された板状の部材である。そして、第2の回転部232bと共に回転する作動片280の外側の端部280bと接触して、作動片280を回転軸方向の端部側から中央部側方向(矢印H2方向)へ移動させる。他方、作動片280以外の部材とは接触しない。
【0057】
以上のように構成された後端グリッパ23においては、回転部232が回転して、作動片280の外側の端部280bが爪部290と接触すると、作動片280は、図8(b)に示すように、回転軸方向の端部側から中央部側方向(矢印H2方向)へ移動する。その結果、矢印H2方向へ移動した作動片280の内側の端部280aと接続されている用紙抑制部231は、回転軸方向において圧縮される力を受ける。図8(b)に示すように、回転軸方向に圧縮力を受ける用紙抑制部231は、転写ドラム21の半径方向に弾性部材240を押す力が弱くなり、弾性部材240の弾性変形を緩和させる。つまり、弾性部材240は伸びる。これにより、用紙抑制部231は、転写ドラム21の弾性層21Bから離れた位置に変移する。
【0058】
作動片280の外側の端部280bと爪部290とが接触した状態から回転部232が回転して、作動片280の外側の端部280bと爪部290とが接触しなくなると、作動片280は、図8(a)に示すように、回転軸方向の中央部側から端部側方向(矢印H1方向)へ移動する。そして、作動片280の外側の端部280bは、図8(b)に示す状態と比べて、第2の回転部232bにおける回転軸方向の外側端部からより突出した状態となる。その結果、矢印H1方向へ移動した作動片280の内側の端部280aと接続されている用紙抑制部231は、作動片280により引っ張られる。図8(a)に示すように、引っ張られた用紙抑制部231は、転写ドラム21の半径方向に弾性部材240を押す力が強くなり、弾性部材240を縮ませる。これにより、用紙抑制部231と弾性層21Bとの間の隙間が、図8(b)に示す状態と比べて小さくなる。
【0059】
以下では、図8(a)に示すように、作動片280の外側の端部280bが爪部290と接触せず作動片280が爪部290から力を受けず、用紙抑制部231が弾性部材240を縮ませ、転写ドラム21の外周面に近づいた状態を、後端グリッパ23が張った状態であるとする。他方、図8(b)に示すように、作動片280の外側の端部280bが爪部290と接触することにより回転軸方向の端部側から中央部側方向(矢印H2方向)へ移動し、用紙抑制部231が図8(a)の状態よりも転写ドラム21の外周面から離れた状態を、後端グリッパ23が緩んだ状態であるとする。
【0060】
後端グリッパ23は、第2の回転部232bの作動片280の外側の端部280bが爪部290と接触し、緩んだ状態で、用紙供給部50から供給された用紙Sの搬送方向先端が通過し、搬送方向後端が来るまで待機する。第2の回転部232bの作動片280の外側の端部280bが爪部290と接触し、後端グリッパ23が緩んだ状態となる位置が、後端グリッパ23の待機位置となる。そして、本実施の形態に係る後端グリッパ23の待機位置は、給紙経路62を搬送された用紙Sが転写ドラム21の外周面に到達する位置を給紙位置Pa(図2参照)とした場合に、給紙位置Paと転写部位Trとの間となるように設定されている。言い換えれば、転写ドラム21の周方向に幅を持つ板状の用紙抑制部231における回転方向上流側の端部が転写ドラム21と対向する位置をPc(図2参照)とした場合に、位置Pcが、給紙位置Paと転写部位Trとの間となるように設定されている(図2参照)。なお、後端グリッパ23が待機位置にあり、緩んだ状態では、用紙抑制部231と転写ドラム21の回転中心との間の隙間を、用紙Sを保持した先端グリッパ22が通過し得る。
【0061】
次に、定着部40について説明する。
定着部40は、加熱源(図示せず)を有し回転可能に設置される加熱ロール41と、この加熱ロール41に接触配置されて加熱ロール41とともに定着ニップ部を形成する加圧ロール42とを備えている。
【0062】
次に、用紙供給部50について説明する。
用紙供給部50は、転写ドラム21の下方に配置されるとともに内部に用紙Sを収容する用紙収容部51と、用紙収容部51から用紙Sを取り出す取り出しロール52と、取り出しロール52によって取り出された用紙Sを、タイミングを合わせて転写ドラム21に供給する一対の供給ロール53とを備えている。また、用紙供給部50は、取り出しロール52によって取り出された用紙Sを供給ロール53まで案内する案内部材54と、取り出しロール52と供給ロール53との間の搬送経路上に配置されて、案内部材54にて案内されている用紙Sを検知する第1の用紙検知センサ55と、供給ロール53の下流側かつ後端グリッパ23の待機位置の上流側の間にて用紙Sを検知する第2の用紙検知センサ56と、を備えている。
【0063】
第1の用紙検知センサ55は、周知の透過型のフォトインターラプタセンサであることを例示することができる。つまり、第1の用紙検知センサ55は、筐体2に直接的または間接的に取り付けられていて、センサ本体に形成された2つの突出部と、突出部のそれぞれに設けられた発光素子(不図示)と受光素子(不図示)とを有し、発光素子から発光された光を受光素子が受けるか否かで、発光素子と受光素子とが対向する部位における用紙Sの通過や存在を読み取る。そして、第1の用紙検知センサ55は、発光素子から発光された光を受光素子が受けなくなることで、発光素子と受光素子とが対向する部位における用紙Sの存在を検知し、その旨の信号(ON信号)を制御部100へ出力する。他方、第1の用紙検知センサ55は、発光素子から発光された光を受光素子が受けることで、発光素子と受光素子とが対向する部位に用紙Sが存在しないことを検知し、その旨の信号(OFF信号)を制御部100へ出力する。制御部100は、用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けた後に、用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けることで、用紙Sの先端が通過したことを把握し、用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けた後に、用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けることで、用紙Sの後端が通過したことを把握する。
【0064】
第2の用紙検知センサ56は、反射型のフォトインターラプタセンサであり、近赤外光を、供給ロール53と転写ドラム21との間の搬送経路上を搬送される用紙Sに向けて出射し、用紙Sからの反射光(近赤外光)を受けるか否かで、用紙Sの通過や存在を読み取る。そして、第2の用紙検知センサ56は、反射光を受けることで、用紙Sの存在を検知し、その旨の信号(ON信号)を制御部100へ出力する。他方、第2の用紙検知センサ56は、反射光を受けないことで、用紙Sが存在しないことを検知し、その旨の信号(OFF信号)を制御部100へ出力する。制御部100は、用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けた後に、用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けることで、用紙Sの先端が通過したことを把握し、用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けた後に、用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けることで、用紙Sの後端が通過したことを把握する。
【0065】
なお、本実施の形態に係る第1の用紙検知センサ55としては、透過型のフォトインターラプタセンサであることを例示したが、反射型のフォトインターラプタセンサや、アクチュエーター付きのフォトセンサであってもよい。また、本実施の形態に係る第2の用紙検知センサ56としては、反射型のフォトインターラプタセンサであることを例示したが、透過型のフォトインターラプタセンサや、アクチュエーター付きのフォトセンサであってもよい。
【0066】
以下の説明においては、用紙収容部51から供給ロール53に至る用紙Sの搬送経路を供給経路61(図1参照)、供給ロール53から転写ドラム21に向かう用紙Sの搬送経路を給紙経路62(図1参照)、とそれぞれ称する。また、転写ドラム21の外周面における用紙Sの搬送経路を回転経路63(図1参照)、転写部位Trから定着部40に向かう用紙Sの搬送経路を排紙経路64(図1参照)、とそれぞれ称する。
【0067】
次に、制御部100について説明する。
図9は、制御部100の機能ブロック図を示している。
本実施の形態の制御部100には、ユーザから指示を受けたユーザ・インターフェイス60によって信号が入力される。また、制御部100には、画像形成装置1の内部または外部に設けられた画像出力指示部90から画像信号が入力される。さらに、制御部100には、位相センサ24から送られてくる転写ドラム21の位相信号、第1の用紙検知センサ55および第2の用紙検知センサ56から送られてくる検知信号が入力される。
【0068】
そして、制御部100は、感光体ドラム11を回転駆動する感光体駆動モータ71、帯電装置12、露光装置13、ロータリ現像装置14を回転/停止させることで感光体ドラム11と対向する現像位置に目的とする現像器を位置させる現像装置駆動部112、現像位置に配置された現像器に供給する現像バイアスを設定する現像バイアス設定部113に、それぞれ制御信号を出力する。また、制御部100は、転写ドラム21を回転駆動する転写駆動モータ81、転写ドラム21に供給する転写バイアスを設定する転写バイアス設定部114、先端グリッパ22の回転軸223を回転駆動する先端グリッパ駆動部115、後端グリッパ23の回転部232を回転駆動する回転部モータ236、用紙供給部50、および定着部40に、それぞれ制御信号を出力するようになっている。
制御部100は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周速度を感光体周速度Vp、矢印B方向に回転する転写ドラム21の周速度を転写周速度Vt、回転する一対の供給ロール53の周速度を供給周速度Vsとした場合に、Vt<Vp<Vsの関係が成り立つように制御する。
【0069】
次に、フローチャートを用いて、制御部100が行う転写処理の手順について説明する。
図10−1および図10−2は、制御部100が行う転写処理の手順を示すフローチャートである。制御部100は、この転写処理を、用紙Sに画像を形成するべき旨の指示を受けた場合に実行する。
制御部100は、先ず、転写ドラム21を動作させる(ステップ(以下、単に、「S」と記す。)1001)。これは、制御部100が、転写駆動部80を駆動させて転写ドラム21を回転動作させる処理である。
【0070】
その後、制御部100は、後端グリッパ23が上述した待機位置に存在するか否かを判別する(S1002)。これは、制御部100が、後端グリッパ23の位置を検知する待機位置センサ(不図示)の検知信号に基づいて後端グリッパ23が待機位置に存在するか否かを判断する処理である。そして、後端グリッパ23が待機位置に存在しない場合(S1002でNO)、回転部モータ236を回転駆動させ、待機位置センサの検知信号を基に後端グリッパ23を待機位置に移動させ(S1003)、S1002以降の処理を実行する。
【0071】
他方、後端グリッパ23が待機位置に存在する場合(S1002でYES)、制御部100は、用紙供給部50から転写ドラム21へ用紙Sを供給開始する(S1004)。これは、制御部100が、取出しロール52、供給ロール53を用いて用紙Sを供給経路61、給紙経路62に送り出す処理である。
その後、第2の用紙検知センサ56が用紙Sの先端を検知したか否かを判別する(S1005)。これは、制御部100が、第2の用紙検知センサ56から用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けた後に用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けた否かで判別する処理である。そして、第2の用紙検知センサ56が用紙Sの先端を検知した場合(S1005でYES)、用紙Sを、給紙経路62上の、予め定められた基準位置に停止させる(S1006)。
【0072】
その後、転写ドラム21の周方向の位置が予め定められた基準位置を通過することを判別する(S1007)。これは、制御部100が、転写ドラム21の位置を検知する基準位置センサ(不図示)の検知信号に基づいて転写ドラム21が問題なく回転しているか否かを判断する処理である。そして、転写ドラム21が基準位置を通過した場合(S1007でYES)、基準位置を通過したタイミングを基準として、先端グリッパ22が給紙位置Paに到達するのに合わせて用紙Sが給紙位置Paに到達するようなタイミング(計算された転写ドラム21の位相)で供給ロール53にて用紙Sを搬送開始する(S1008)。
そして、その後、用紙Sの搬送方向先端側の端部が給紙位置Paに到達するのに合わせて、先端グリッパ22を開いた状態から閉じた状態へと移行させ、先端グリッパ22にて用紙Sの搬送方向先端を把持させる(S1009)。
【0073】
その後、制御部100は、計算された転写ドラム21の位相または転写ドラム21基準位置に合わせて感光体ドラム11上にトナー像を形成開始する(S1010)。先ず、制御部100は、感光体ドラム11を帯電装置12にて帯電開始させる。そして、制御部100は、感光体ドラム11に形成されたトナー像を用紙Sに転写開始する(S1011)。
その後、第1の用紙検知センサ55が用紙Sの搬送方向後端を検知したか否かを判別する(S1012)。これは、制御部100が、第1の用紙検知センサ55から用紙Sが存在する旨の検知信号(ON信号)を受けた後に用紙Sが存在しない旨の検知信号(OFF信号)を受けた否かで判別する処理である。
【0074】
第1の用紙検知センサ55が用紙Sの後端を検知した場合(S1012でYES)、供給経路61を搬送されてきた用紙Sの長さと、ユーザ・インターフェイス60からの信号あるいは画像出力指示部90からの信号を基に把握した画像を形成する対象の用紙の長さとの間に誤差があるか否かを判別する(S1013)。供給経路61を搬送されてきた用紙Sの長さは、S1008の処理で供給ロール53にて用紙Sを搬送開始してから、第1の用紙検知センサ55が用紙Sの後端を検知するまでの経過時間を計測することにより把握する。そして、第1の用紙検知センサ55の検知結果を基に把握した用紙Sの長さと、画像形成を行うように設定された用紙Sの長さとを比較することにより誤差があるか否かを判別する。
【0075】
そして、用紙の長さに誤差がある場合(S1013でYES)、制御部100は、画像形成を行うように設定された用紙Sの長さを、実際に搬送されてきた用紙Sの長さに設定変更する(S1014)。制御部100は、この設定変更に基づいて、転写ドラム21に対する後端グリッパ23の位置、トナー像形成終了位置を設定変更する。これにより、感光体ドラム11上には、実際に搬送されてきた用紙Sの長さに対応するトナー像が形成されることとなる。
【0076】
用紙の長さに誤差がない場合(S1013でNO)、またはS1014にて用紙Sの長さの設定変更を行った後、要求された転写モードが、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、2色乃至4色のトナーを用いて1枚の用紙Sに複数色の画像を形成する複数色モードであるか、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のうち、1色のトナーを用いて1枚の用紙Sに単色の画像を形成する単色モードであるかを判別する(S1015)。これは、ユーザ・インターフェイス60からの信号あるいは画像出力指示部90からの信号を基に判別する処理である。
【0077】
そして、要求された転写モードが複数色モードである場合(S1015にて複数色モードと判定)、制御部100は、後端グリッパ23の用紙抑制部231が回転経路63を搬送される用紙Sの後端部と対向するように回転部モータ236の駆動を制御する(S1016)。例えば、制御部100は、第1の用紙検知センサ55から用紙後端を検知した旨の信号を受けた後、予め定められた時間経過後に回転部モータ236を駆動させる。予め定められた時間は、第1の用紙検知センサ55が配置された位置、供給ロール53の用紙Sの供給速度(供給周速度Vs)、転写ドラム21の回転速度(転写周速度Vt)、後端グリッパ23の待機位置に基づいて設定される時間である。または、制御部100は、S1008にて用紙搬送開始した後、ユーザ・インターフェイス60からの信号あるいは画像出力指示部90からの信号を基に設定された用紙Sの長さ、あるいはS1014にて設定変更された用紙Sの長さ、転写ドラム21の回転速度(転写周速度Vt)および後端グリッパ23の待機位置に基づいて決定された時間経過後に回転部モータ236を駆動させる。そして、回転部モータ236が回転駆動されることで、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、転写ドラム21と同期して回転するとともに、緩んだ状態から張った状態へと移行する。
【0078】
その後、現在転写している色を転写し終えることで、要求された転写モードの全ての色を転写し終えることになるのか否かを判別する(S1017)。そして、全ての色を転写し終えることにならない場合(S1017でNO)、感光体ドラム11上にトナー像を形成し終える(S1018)とともに、用紙Sに転写し終える(S1019)。そして、その後、次の色のトナー像を感光体ドラム11上に形成開始する(S1020)とともに、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を用紙Sに転写開始する(S1021)。このS1021の処理では、制御部100は、先端グリッパ22が用紙Sの先端部を把持し、後端グリッパ23が用紙Sの後端部の浮きを抑制した状態で、用紙Sを転写ドラム21とともに回転させる。
【0079】
他方、全ての色を転写し終えることになる場合(S1017でYES)、用紙Sの先端を転写ドラム21から剥離させる処理を行う(S1022)。例えば、先端グリッパ22を閉じた状態から開いた状態へ移行させる。その後、感光体ドラム11上にトナー像を形成し終え(S1023)、後端グリッパ23の回転を停止する(S1024)。その後、用紙Sに転写し終え(S1025)、転写ドラム21を停止させる(S1026)。
【0080】
一方、要求された転写モードが単色モードである場合(S1015にて単色モードと判定)、用紙Sの先端を転写ドラム21から剥離させる処理を行い(S1027)、感光体ドラム11上にトナー像を形成し終え(S1028)、用紙Sに転写し終え(S1029)、転写ドラム21を停止させる(S1026)。
【0081】
第2の用紙検知センサ56が用紙Sの先端を検知していない場合(S1005でNO)、予め定められた第1の期間が経過したか否かを判別する(S1030)。第1の期間は、S1004にて用紙Sを供給開始した後、取り出しロール52にて取り出された用紙Sが供給ロール53にて搬送されつつ第2の用紙検知センサ56の検知位置まで到達するのに十分な期間に設定される。
そして、第1の期間が経過していない場合(S1030でNO)、S1005以降の処理を行う。他方、第1の期間が経過した場合(S1030でYES)、エラー処理を行う(S1031)。このエラー処理は、制御部100が、ユーザにエラーが生じたことを光や音を用いて報知する処理である。また、先端グリッパ22にて用紙Sの先端部が把持されている場合には、先端グリッパ22による用紙Sの先端部の把持を解除する処理である。
【0082】
転写ドラム21が基準位置を通過していない場合(S1007でNO)、予め定められた第2の期間が経過したか否かを判別する(S1032)。第2の期間は、S1001にて転写ドラム21を動作開始した後、転写ドラム21が基準位置センサの検知位置まで到達するのに十分な期間に設定される。そして、第2の期間が経過していない場合(S1032でNO)、S1007以降の処理を行う。他方、第2の期間が経過した場合(S1032でYES)、エラー処理を行う(S1031)。
【0083】
第1の用紙検知センサ55が用紙Sの後端を検知していない場合(S1012でNO)、予め定められた第3の期間が経過したか否かを判別する(S1033)。第3の期間は、S1008にて用紙Sを搬送開始した後、供給ロール53にて搬送される用紙Sの後端(この画像形成装置1にて画像形成が可能な用紙の全ての長さを考慮した後端)が第1の用紙検知センサ55の検知位置まで到達するのに十分な期間に設定される。
そして、第3の期間が経過していない場合(S1033でNO)、S1012以降の処理を行う。他方、第3の期間が経過した場合(S1033でYES)、エラー処理を行う(S1031)。
【0084】
次に、以上説明したように構成され、制御部100にて制御される画像形成装置1が1枚の用紙Sに複数色の画像形成を行う場合の動作について説明する。
図11は、画像形成動作におけるタイミングチャートであり、図12は、転写ドラム21に用紙Sが巻きつけられる動作を説明するための図である。
【0085】
原稿読み取り装置(図示せず)によって読み取られた原稿の色材反射光像や、パーソナルコンピュータ(図示せず)等によって形成された色材画像データは、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各データとして、画像信号処理装置(図示せず)に入力され、予め定められた画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、露光装置13(図1参照)に出力される。
【0086】
画像形成動作の開始に伴い、感光体ドラム11及び転写ドラム21は同期して回転を開始する(図12(a)参照)。このとき、先端グリッパ22は開き、後端グリッパ23は緩んでいる(図11の矢印a参照)。
付言すると、このとき先端グリッパ22は転写ドラム21とともに回転するのに対して、後端グリッパ23は、待機位置に静止している(周速度がゼロである)。そして、後端グリッパ23の作動片280は、爪部290(図7参照)と接触することにより転写ドラム21中央部側に押し込まれた状態であり、用紙抑制部231は弾性層21Bから離れる向きに撓んだ状態である。
【0087】
そして、回転する感光体ドラム11が帯電装置12により帯電された後、露光装置13により画像情報に応じた1色目(例えばイエロー)の静電潜像が形成される(図11の矢印b参照)。また、転写ドラム21が回転を開始するのに伴い、位相センサ24が転写ドラム21の位相の測定を行う。測定された位相は、制御部100へと送られる。
【0088】
一方、ロータリ現像装置14では、感光体ドラム11上に形成される静電潜像に対応する色成分トナーを有する現像装置が、感光体ドラム11との対向位置に配置されるよう予め回転させられ、停止している。
そして、例えば現像器14Yにより感光体ドラム11上の静電潜像が現像され、感光体ドラム11上にトナー像が形成される。そして、このトナー像(ここではイエローのトナー像)は、感光体ドラム11の回転に伴って転写部20と対向する転写部位Trに向かって送られていく。
【0089】
また、画像形成動作の開始に対応して、用紙Sの供給も行われる。具体的には、取出しロール52、供給ロール53を用いて用紙Sを供給経路61に送り出す。そして、第1の用紙検知センサ55が用紙Sの搬送方向先端が通過したことを検出し、第2の用紙検知センサ56が用紙Sの搬送方向先端が通過したことを検出し(図11の矢印c参照)、検出信号を制御部100へと送る。検出信号を受けた制御部100は、先端グリッパ22が転写ドラム21の外周面(給紙位置Pa)に到達するのに合わせて、用紙Sが給紙位置Paに到達するように搬送を制御する。
【0090】
そして、用紙Sの搬送方向先端側の端部が給紙位置Paに到達するのに合わせて、先端グリッパ22が開いた状態から閉じた状態へと移行する(図11の矢印d参照)。このことにより、先端グリッパ22が用紙Sの搬送方向先端を把持する(図12(b)参照)。なお、このとき後端グリッパ23は、緩んだ状態で待機位置に静止している(図11の矢印d参照)。
そして、用紙Sを把持した先端グリッパ22は、静止した後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写ドラム21の回転中心との間を通過する(静止した後端グリッパ23を追い越す)。後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写ドラム21の回転中心との間を通過した先端グリッパ22は、用紙Sを把持したまま転写部位Trを通過する。
【0091】
さて、先端グリッパ22によって把持されて転写部位Trを通過した用紙S(図11の矢印f参照)は、先端グリッパ22に把持されたまま転写ドラム21に巻きついた状態となって回転経路63を搬送される。
そして、露光装置13により画像情報に応じた1色目(たとえばイエロー)の静電潜像が形成された後に、第1の用紙検知センサ55によって用紙Sの搬送方向後端が通過したことが検知される(図11の矢印e参照)。そして、この第1の用紙検知センサ55からの信号を受けた制御部100が、後端グリッパ23の回転部232を回転駆動する回転部モータ236へと指示を出す。このとき、制御部100は、後端グリッパ23の用紙抑制部231が回転経路63を搬送される用紙Sの後端部と対向するように回転部モータ236の駆動を制御する。例えば、制御部100は、第1の用紙検知センサ55から用紙後端を検知した旨の信号を受けた後、予め定められた時間経過後に回転部モータ236を駆動させる。予め定められた時間は、第1の用紙検知センサ55が配置された位置、供給ロール53の用紙Sの供給速度(供給周速度Vs)、転写ドラム21の回転速度(転写周速度Vt)、後端グリッパ23の待機位置に基づいて設定される時間である。そして、回転部モータ236が回転駆動されることで、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、転写ドラム21と同期して回転するとともに、緩んだ状態から張った状態へと移行する(図11の矢印g参照)。
【0092】
さらに、この後端グリッパ23が張った状態となるときには、露光装置13は1色目(たとえばイエロー)の静電潜像の形成を完了させており、かつ露光装置13は2色目(マゼンタ)の静電潜像の形成を開始していない。すなわち、静電潜像を書き込んでいるとき(露光中)は、後端グリッパ23の状態移行動作を行わない。従って、後端グリッパ23の状態が移行することによる静電潜像の乱れは生じない。
【0093】
さて、回転を開始した後端グリッパ23は、転写ドラム21に巻きつけられた用紙Sの搬送方向の後端側の端部の用紙浮きを抑制しながら、転写ドラム21とともに回転する。言い換えると、用紙Sは、搬送方向の先端側の端部を先端グリッパ22によって把持され、かつ後端側の端部を後端グリッパ23によって保持されながら転写ドラム21とともに回転する(図12(d)参照)。
なお、転写部位Trを通過する際に、用紙Sを把持した先端グリッパ22は感光体ドラム11と接触しないのに対し、用紙Sを保持した後端グリッパ23の用紙抑制部231は感光体ドラム11と接触する。
【0094】
感光体ドラム11上に形成された1色目(例えばイエロー)のトナー像は、感光体ドラム11と転写ドラム21とが対向する転写部位Trにおいて、転写ドラム21上の用紙Sに転写される。なお、転写後に感光体ドラム11上に残ったトナーは、清掃装置15(図1参照)によって除去される。
【0095】
そして、2色目から、最終色(例えば黒)前の潜像形成(例えばマゼンタ、シアン)、現像及び転写が、上述した手順に従って同様に繰り返される。ただし、各色のトナー像を形成するに際しては、ロータリ現像装置14が回転を行い、対応する現像器14M、14Cが停止位置に配置される。
その間、用紙Sは、先端グリッパ22及び後端グリッパ23によって転写ドラム21に巻きつけられた状態で回転搬送され、転写部位Trを通過するたびに2色目以降のトナー像が重ねあわされるようにして順次転写される。その結果、例えばフルカラーの画像形成を行う場合には、黒(K)を除く、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色のトナー像が転写ドラム21上の用紙Sに多重転写される。
【0096】
そして、最終色が転写される場合には、最終色(例えば黒)前の転写の場合と異なり、先端グリッパ22による用紙Sの把持が解除(解放)される。すなわち、先端グリッパ22が閉じた状態から開いた状態へと移行する(図11の矢印h参照)。さらに、先端グリッパ22による把持が解除され、フルカラーの画像が形成された用紙Sは、弾性層21Bと感光体ドラム11とのニップにより、用紙Sの搬送方向先端が転写ドラム21から剥離され排紙経路64へと進入する。
【0097】
その後、用紙Sが搬送されるに従い、用紙Sの搬送方向後端を保持する後端グリッパ23が上述の待機位置に至る。例えば、後端グリッパ23の用紙抑制部231の位置を検知するセンサ(不図示)の検知信号に基づいて回転部モータ236の回転駆動を制御することで、後端グリッパ23は待機位置に至る。この待機位置にて、爪部290(図7参照)が作動片280と接触し、作動片280を押し込むことにより、後端グリッパ23は張った状態から緩んだ状態へと移行する。そして、緩んだ状態の後端グリッパ23は転写ドラム21とともに回転せず、周速度がゼロとなる(図11の矢印i参照)。
なお、この後端グリッパ23が張った状態から緩んだ状態へと移行するときは、露光装置13により画像情報に応じた最終色(例えば黒)の静電潜像はすでに形成された後である。
【0098】
そして、後端グリッパ23による保持が解除された用紙Sの搬送方向後端は、転写ドラム21から剥離され、排紙経路64へと進入する。排紙経路64へと進入した用紙Sは、定着部40に送られ、用紙Sのトナー像が定着される。定着終了後の用紙Sは、搬送ロール44によって画像形成装置1の機外に排出され、排紙積載部3に積載される。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、複数色モードである場合、制御部100は、第1の用紙検知センサ55から送られてくる検知信号を基に、取り出しロール52によって取り出され、供給経路61を搬送されている用紙Sの搬送方向後端を把握し、この用紙Sの搬送方向後端部の浮きを抑制するように後端グリッパ23を制御する。つまり、実際に転写ドラム21に供給された用紙Sの搬送方向後端部と後端グリッパ23の用紙抑制部231とが対向するように後端グリッパ23の回転部232を回転駆動する回転部モータ236を制御する。なお、本実施の形態に係る後端グリッパ23の用紙抑制部231は、給紙位置Paと転写部位Trとの間に待機しているので、用紙Sの搬送方向後端部と用紙抑制部231とを容易に対向させることが可能となる。
【0100】
これにより、ユーザ・インターフェイス60からの信号あるいは画像出力指示部90からの信号を基に把握した画像を形成する対象の用紙の長さ(以下、「設定された用紙長さ」と称す場合もある。)と実際に搬送されてきた用紙Sの長さとが異なっていたとしても、後端グリッパ23は実際に搬送されてきた用紙Sの後端部の浮きを抑制する。
【0101】
さらに、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、設定された用紙長さと実際に搬送されてきた用紙Sの長さとの間に誤差がある場合には、制御部100がその誤差を把握した後に、用紙Sの長さの設定変更を行い、トナー像形成を終了させる位置を設定変更する(S1014)。
図13は、設定された用紙長さと実際に搬送されてきた用紙Sの長さとの間の誤差を把握した後に、感光体ドラム11上へのトナー像の形成終了位置が設定変更される動作を示すタイミングチャートである。
第1の用紙検知センサ55の検知信号により用紙Sの搬送方向後端が通過したことが検知され(矢印e参照)、設定された用紙長さと実際に搬送されてきた用紙Sの長さとの間に誤差あると把握された場合には、露光装置13により静電潜像を形成し終える位置が変更される(矢印j参照)。
【0102】
また、以上のように構成された画像形成装置1においては、後端グリッパ23が待機位置にあり、緩んだ状態であるときに、用紙抑制部231と転写ドラム21の回転中心との間の隙間を、用紙Sを把持した先端グリッパ22が通過する。そして、先端グリッパ22にて把持された用紙Sは、その搬送方向先端部側から転写部位Trに到達し、転写部位Trにて感光体ドラム11と転写ドラム21との間に挟み込まれて感光体ドラム11のトナー像が転写されながら、搬送方向下流側へ送られる。また、このとき、用紙Sの搬送方向後端部側は、供給ロール53にて転写ドラム21に向けて送られる。
【0103】
図14は、用紙Sの搬送方向先端部側が感光体ドラム11と転写ドラム21との間に挟み込まれて搬送方向下流側へ送られるとともに搬送方向後端部側が供給ロール53にて転写ドラム21に向けて送られているときの状態を示す図である。
上述したように、制御部100は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周速度を感光体周速度Vp、矢印B方向に回転する転写ドラム21の周速度を転写周速度Vt、回転する一対の供給ロール53の周速度を供給周速度Vsとした場合に、Vt<Vp<Vsの関係が成り立つように制御する。そのため、用紙Sの搬送方向後端部側の方が搬送方向先端部側よりも速く送られる。
【0104】
一方、用紙供給部50にて用紙Sが供給される際には、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、回転経路63における用紙搬送方向に見て、給紙位置Paと転写部位Trとの間となるように設定されている。つまり、用紙抑制部231における回転方向上流側の端部が転写ドラム21と対向する位置Pcが、給紙位置Paと転写部位Trとの間となるように設定されている(図2参照)。
その結果、図14に示すように、用紙Sは、後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写部位Trとの間では転写ドラム21の外周面に沿うのに対して、後端グリッパ23の用紙抑制部231の上流側では給紙経路62から外れて湾曲し易くなる。つまり、図14で見た場合に、用紙Sに、後端グリッパ23の用紙抑制部231と供給ロール53との間に給紙経路62の曲率半径よりも小さなループが形成され易くなる。
言い換えれば、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、用紙供給部50から用紙Sが供給されている際には、用紙供給部50から供給された用紙Sの湾曲の曲率半径が用紙抑制部231の搬送方向上流側の方が搬送方向下流側よりも小さくなる位置に存在する。
【0105】
かかる構成により、本実施の形態に係る画像形成装置1においては、用紙供給部50から用紙Sを供給する際に、後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写部位Trとの間において、用紙Sに、転写ドラム21の外周面の曲率半径よりも小さな曲率半径となるループが形成されることを抑制することができる。その結果、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sが転写ドラム21の外周面に沿わずにたるみが生じることを抑制することができる。
【0106】
それゆえ、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sにたるみが生じた後に、そのたるみが、転写部位Trに到達する過程で用紙Sの搬送方向後端部が用紙抑制部231と転写ドラム21の外周面との間を滑ることで解消されることに起因して、用紙抑制部231が対向する用紙Sの位置が搬送方向後端よりも先端側へシフトすることを抑制することができる。その結果、用紙S毎に用紙抑制部231が用紙Sと対向する位置が変化することを抑制することができ、制御部100が、用紙Sにおける後端グリッパ23の用紙抑制部231が対向する位置間際までトナー像を転写することが可能となる。つまり、用紙Sの画像形成領域を大きく確保することが可能となる。
また、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sにたるみが生じることに起因して、転写部位Trにて用紙Sが感光体ドラム11と転写ドラム21との間に挟まれて用紙Sにしわが生じることを抑制することができる。
【0107】
<第2の実施の形態>
図15は、第2の実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
第2の実施の形態に係る画像形成装置1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置1に対して、以下の点が異なり、その他は第1の実施の形態に係る画像形成装置1と同じであるのでその詳細な説明は省略する。異なる点は、用紙供給部50が供給ロール53によって供給された用紙Sを転写ドラム21まで案内する到達前案内部材57を備える点と、用紙抑制部231が給紙位置Paと転写部位Trとの間の中間点よりも搬送方向下流側となる位置に後端グリッパ23の待機位置が限定されている点である。
【0108】
図16は、用紙Sの搬送方向先端部側が感光体ドラム11と転写ドラム21との間に挟み込まれて搬送方向下流側へ送られるとともに搬送方向後端部側が供給ロール53にて転写ドラム21に向けて送られているときの状態を示す図である。
図16に示すように、第2の実施の形態に係る画像形成装置1においては、到達前案内部材57を備えているので、供給ロール53によって供給された用紙Sは、到達前案内部材57に沿って給紙経路62を搬送される。つまり、第1の実施の形態に係る画像形成装置1とは異なり、供給ロール53と転写ドラム21との間では、用紙Sに、給紙経路62の曲率半径よりも小さなループが形成され難くなる。
【0109】
一方、第2の実施の形態に係る画像形成装置1においては、用紙供給部50から用紙Sが供給されている際には、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、給紙位置Paと転写部位Trとの中間点よりも搬送方向下流側となるように設定されている。つまり、用紙抑制部231における回転方向上流側の端部が転写ドラム21と対向する位置Pc(図2参照)が、給紙位置Paと転写部位Trとの中間点よりも搬送方向下流側となるように設定されている。
【0110】
その結果、図16に示すように、用紙Sは、後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写部位Trとの間では転写ドラム21の外周面に沿うのに対して、後端グリッパ23の用紙抑制部231の上流側では転写ドラム21の外周面から外れて湾曲し易くなる。つまり、用紙Sに、後端グリッパ23の用紙抑制部231と給紙位置Paとの間において転写ドラム21の外周面の曲率半径よりも小さなループが形成され易くなる。
言い換えれば、第2の実施の形態に係る画像形成装置1においても、後端グリッパ23の用紙抑制部231は、用紙供給部50から用紙Sが供給される際には、用紙供給部50から供給された用紙Sの湾曲の曲率半径が用紙抑制部231の搬送方向上流側の方が搬送方向下流側よりも小さくなる位置に存在する。
【0111】
かかる構成により、第2の実施の形態に係る画像形成装置1においても、用紙供給部50から用紙Sを供給する際に、後端グリッパ23の用紙抑制部231と転写部位Trとの間において、用紙Sに、転写ドラム21の外周面の曲率半径よりも小さな曲率半径となるループが形成されることを抑制することができる。その結果、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sが転写ドラム21の外周面に沿わずにたるみが生じることを抑制することができる。
【0112】
それゆえ、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sにたるみが生じた後に、そのたるみが、転写部位Trに到達する過程で用紙Sの搬送方向後端部が用紙抑制部231と転写ドラム21の外周面との間を滑ることで解消されることに起因して、用紙抑制部231が対向する用紙Sの位置が搬送方向後端よりも先端側へシフトすることを抑制することができる。その結果、用紙S毎に用紙抑制部231が用紙Sと対向する位置が変化することを抑制することができ、制御部100が、用紙Sにおける後端グリッパ23の用紙抑制部231が対向する位置間際までトナー像を転写することが可能となる。つまり、用紙Sの画像形成領域を大きく確保することが可能となる。
また、後端グリッパ23が張った状態になるときに、用紙抑制部231と転写部位Trとの間の用紙Sにたるみが生じることに起因して、転写部位Trにて用紙Sが感光体ドラム11と転写ドラム21との間に挟まれてしわになることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0113】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム、12…帯電装置、13…露光装置、14…ロータリ現像装置、15…清掃装置、21…転写ドラム、22…先端グリッパ、23…後端グリッパ、40…定着部、50…用紙供給部、54…案内部材、55…第1の用紙検知センサ、57…到達前案内部材、100…制御部、231…用紙抑制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置され、外周面に画像を保持する像保持体と、
外周面が前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体と形成した転写部位にて当該像保持体に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材と同期して回転し、前記転写部位に向けて搬送される記録材の搬送方向先端部を把持する把持部と、
前記転写部材の外周面に対向して配置されると共に当該転写部材に対して相対的に移動可能であり、前記把持部にて把持された記録材の搬送方向後端部が浮くことを抑制する抑制部と、
前記転写部材に向けて記録材を供給する供給手段と、
を備え、
前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該記録材が当該転写部材に到達する位置と前記転写部位との間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記供給手段は、記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールを有し、
前記供給ロールの周速度は前記転写部材あるいは前記像保持体の周速度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給手段は、置かれた記録材を送り出す送出ロールと、当該送出ロールによって送り出された記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールとを有し、
前記供給ロールから供給された記録材を前記転写部材に向けて案内する案内部材をさらに備え、
前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との中間点よりも当該転写部位側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
回転可能に配置され、外周面に画像を保持する像保持体と、
前記像保持体に対向して回転可能に配置され、当該像保持体と形成した転写部位にて当該像保持体に保持された画像を記録材に転写する転写部材と、
前記転写部材と同期して回転し、前記転写部位に向けて搬送される記録材の搬送方向先端部を把持する把持部と、
前記転写部材の外周面に対向して配置されると共に当該転写部材に対して相対的に移動可能であり、前記把持部にて把持された記録材の搬送方向後端部が浮くことを抑制する抑制部と、
前記転写部材に向けて記録材を供給する供給手段と、
を備え、
前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、前記供給手段から供給された記録材の湾曲の曲率半径が当該抑制部の搬送方向上流側の方が搬送方向下流側よりも小さくなる位置に存在することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との間に位置することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記供給手段は、記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールを有し、
前記供給ロールの周速度は前記転写部材あるいは前記像保持体の周速度よりも大きいことを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記供給手段は、置かれた記録材を送り出す送出ロールと、当該送出ロールによって送り出された記録材を前記転写部材に向けて供給する供給ロールとを有し、
前記供給ロールから供給された記録材を案内する案内部材をさらに備え、
前記抑制部は、前記供給手段から前記転写部材に向けて記録材が供給されている際には、当該供給手段から供給された記録材が前記転写部材に到達する位置と前記転写部位との中間点よりも当該転写部位側に位置することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−72898(P2013−72898A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209874(P2011−209874)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】