説明

画像形成装置

【課題】両面印刷を行う場合に、ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を像担持体に転写する転写手段に付着したワックスを確実に除去し、画質を向上させた画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体50と、ワックスwが添加されたトナーを用いて形成したトナー像Tzを像担持体50に転写する転写手段70と、転写手段70によりトナー像Tzが転写された記録媒体Paを搬送する搬送手段73と、を有する画像形成装置において、搬送手段73を加熱する加熱手段76と、加熱手段76の搬送手段73の回転方向下流側に設けられ、加熱手段76により溶融された状態のワックスwを回収するワックス回収手段78と、加熱手段76により搬送手段73をワックスwの溶融温度まで加熱するとともに、溶融された状態のワックスwを回収するようにワックス回収手段78を駆動する制御手段100と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、及びこれらの複合機などの画像形成装置に関し、特に、ワックス成分を添加したトナーを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、光導電現象を利用して静電気的な電荷の像(静電潜像)を形成する感光体、あるいは、静電潜像に複数の着色トナーを付着させて形成したトナー像が転写される中間転写ベルト等からなる像担持体の他に、静電潜像に帯電粒子(トナー)を静電気力により付着させてトナー像を形成する現像装置、トナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された未定着のトナー像を記録媒体に定着する定着装置を備えている。
【0003】
定着装置は、耐熱性ゴム層や耐熱性離型層を被覆した加熱ローラと、この加熱ローラに圧接される加圧ローラなどにより構成されており、両者間を通る記録媒体を加熱及び加圧することによりトナー像を記録媒体に溶融定着させる。
【0004】
定着装置では、加熱ローラにトナーが付着し、離型性が十分えられないため、オイル供給装置によりシリコンオイルを加熱ローラに塗布し、加熱ローラ及び加圧ローラへのトナーのオフセットを防止することが提案されている。しかし、シリコンオイルを用いると、オイル供給装置が必要となり、さらに、記録媒体上に付着したオイルのべたつき感が避けられない。このため、最近では、ワックス成分を添加したトナーを用いることが行われている。
【0005】
このようなワックス成分を添加したトナーを定着装置において使用すると、トナー像の記録媒体への定着時に加熱ローラからトナーの離型性は上がり、分離性能は向上する。しかし、記録媒体に形成されたトナー層の上にワックス層が形成される。
【0006】
ここにおいて、両面印刷機能を有する画像形成装置では、記録媒体の一面に一旦トナー像を定着させた後、この記録媒体の裏面に転写手段により再度トナー像を転写することになるが、このような両面印刷を実施すると、先に定着した像のトナー層の上に付いているワックスが転写手段に再付着してしまう場合がある。
【0007】
この結果、両面印刷では、転写手段に付着したワックスにより画質が劣化するおそれがある。また、ワックスの転写手段への付着により、転写手段をクリーニングするクリーニング手段の負荷が大きくなり、クリーニング不良が発生するおそれもある。
【0008】
このようなワックスの付着による画質の劣化を防止するために、例えば、特許文献1では、定着後の記録媒体を搬送する搬送経路に、記録媒体を冷却する装置を設け、ワックスを固化している。特許文献2では、表面にワックスなどが接触して回転する回転体の表面を、第1の位置でワックスの融点以上に加熱し、第2の位置でワックスの融点を下回る温度のワックス除去部材を圧接し、ワックスを融点以下に冷却し固化して掻き取っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−91205号公報
【特許文献2】特開2004−38022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、ワックスを冷却する場合には、ある程度の時間が必要となり、高速機種のように用紙の搬送スピードが早い場合には、冷却を迅速に行う必要があることから、大掛かりな冷却装置を組み込まなくてはならず、コスト高、装置の大型化を余儀なくされるという問題がある。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、両面印刷を行う場合に、ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を像担持体に転写する転写手段に付着したワックスが、印刷に悪影響を及ぼさず、クリーニング不良も生じないようにワックスを確実に除去し、画質を向上させた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
(1)ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体と圧接する位置において転写ニップ部を形成し、前記像担持体に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段によりトナー像が転写された記録媒体を搬送する搬送手段と、転写後の記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、トナー像を定着した後の記録媒体を、表裏を反転させた後に前記搬送手段に搬送し裏面プリント動作を行う裏面プリント手段と、を有する画像形成装置において、前記搬送手段を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の前記搬送手段の回転方向下流側に設けられ、前記加熱手段により溶融された状態の前記ワックスを回収するワックス回収手段と、前記加熱手段により前記搬送手段をワックスの溶融温度まで加熱するとともに、溶融された状態の前記ワックスを回収するように前記ワックス回収手段を駆動する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(2)前記制御手段は、前記裏面プリント手段の動作時に前記加熱手段及び前記ワックス回収手段の制御を行うことを特徴とする上記(1)の画像形成装置。
【0015】
(3)前記制御手段は、前記裏面プリント手段の動作が所定時間あるいは所定枚数以上継続されたと判断される毎に、前記加熱手段及び前記ワックス回収手段の制御を行うことを特徴とする上記(2)の画像形成装置。
【0016】
(4)前記転写手段は、ベルトにより構成したことを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか1つの画像形成装置。
【0017】
(5)前記転写手段は、ローラにより構成したことを特徴とする上記(1)〜(3)いずれか1つの画像形成装置。
【0018】
(6)前記加熱手段は、輻射熱により前記ワックスを溶融させるヒータである上記(1)〜(5)いずれか1つの画像形成装置。
【0019】
(7)前記加熱手段は、前記搬送手段の回転方向における前記転写ニップ部の上流側に設けたことを特徴とする上記(1)〜(6)いずれか1つの画像形成装置。
【0020】
(8)画像形成装置は、前記転写手段の前記転写ニップ部の下流に前記転写手段に接して設けられたクリーニング手段を有し、前記加熱手段は、前記搬送手段の回転方向における前記クリーニング手段の下流側に設けたことを特徴とする上記(1)〜(7)いずれか1つの画像形成装置。
【0021】
(9) 前記加熱手段と前記ワックス回収手段との間に前記搬送手段の表面の温度を検知する温度検知手段を設け、前記制御手段は、前記転写手段の表面温度に応じて加熱量を調整するよう前記加熱手段を制御することを特徴とする上記(1)〜(8)いずれか1つの画像形成装置。
【0022】
(10)前記ワックス回収手段は、繰り出しローラと、巻き取りローラと、前記繰り出しローラから前記巻き取りローラ間に巻き取り可能に設けられた布製のワックス回収部材と、前記ワックス回収部材を前記搬送手段に圧接する圧接ローラと、から構成したことを特徴とする上記(1)〜(9)いずれか1つの画像形成装置。
【0023】
(11)前記ワックス回収手段は、前記搬送手段の前記ワックスを掻き落とすブレードにより構成したことを特徴とする上記(1)〜(9)いずれか1つの画像形成装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、両面印刷機構を備えた画像形成装置において、ワックスが添加されたトナーを用いることにより転写手段による転写後に、搬送手段に付着したワックスを、予め前記搬送体の近傍に設けた加熱手段により加熱溶融させ、このワックスを融点以上の温度状態のときワックス回収手段により回収するようにしたので、前記搬送手段からワックスを確実に除去することができ、両面印刷モード時の画質、特に裏面の画質を向上させることができる。
【0025】
また、熱溶融させたワックスを融点以上の温度状態のときワックス回収手段により回収すると、搬送手段にはワックスが殆ど存在しない状態になるので、クリーニング手段の負荷が大幅に低減し、クリーニング不良も生じることがない。
【0026】
特に、ワックス回収手段を、繊維状部材や布製のものにすれば、溶融ワックスを拭き取ることになるので、搬送手段からワックスをより一層確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】両面印刷機能を備えた画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の主要部を示す概略図である。
【図3】片面に画像が形成された後の記録媒体の断面図である。
【図4】ワックスクリーニングモードの制御系ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、電子写真方式により記録媒体に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及び黒(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。
【0030】
この画像形成装置は、概して、記録媒体収納部20、画像読取部30、画像形成部40、中間転写ベルト50、2次転写部70、定着部80、及び、両面印刷機構90を有している。この画像形成装置では、原稿搬送部10から搬送された原稿Gの画像を画像読取部30が読取り、所定色に関して生成された画像データに基づいて、画像形成部40において、感光体41の表面を露光して静電潜像を形成すると共に、この静電潜像に所定色のトナーを付着させてトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト50を介して記録媒体Pに転写し、定着部80で定着する。
【0031】
画像形成部40は、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kが設けられているが、これらは、それぞれ同一の構成であるため、イエロー(Y)の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0032】
画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43(図2参照)と、現像部44と、クリーニング部45と、を有している。感光体41は、図外のモータにより反時計回り(矢印A方向)に回転され、帯電部42は、感光体41の表面を一様に帯電させる。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データに基づいて、感光体41の表面を露光し、感光体41上に静電潜像を形成する。現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、イエローのトナー像を形成する。感光体41上に付着したトナーは、1次転写部53により中間転写ベルト50に転写され、クリーニング部45は、感光体41表面の残留現像剤を除去する。中間転写ベルト50は、無端であり、図外のモータで時計回り(矢印B方向)に回転される。感光体41と対向する位置には、1次転写部53が設けられ、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印可させ、感光体41上に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に転写させる。なお、中間転写ベルト50には、同様にして、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kからそれぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及び黒(K)のトナーがそれぞれ塗布され、4つ各色のトナー像が重畳的に転写され、カラー画像が形成される。
【0033】
カラー画像は、2次転写部70において記録媒体Pに転写される。2次転写部(転写手段)70は、中間転写ベルト50の近傍でかつ搬送部23の下流に配置されたローラあるいはベルトにより構成されており、搬送部23から送られてきた記録媒体Pを中間転写ベルト50側に押圧し、カラー画像を記録媒体P上に転写する。カラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部80に送られ、転写されたトナー像が加圧加熱され、定着される。
【0034】
両面印刷機構90は、定着部80の下流に切換ゲート24を有し、定着部80を通過した記録媒体Pの搬送路を切り替えるようになっている。片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合には、記録媒体Pを直進させ、一対の排紙ローラ25によって排紙する。また、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合には、記録媒体Pを下方に案内する。フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって記録媒体Pを下方に案内した後に、記録媒体反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、記録媒体Pは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって記録媒体Pを下方に案内した後に、記録媒体反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送ることになる。
【0035】
図2は本実施形態の主要部を示す概略図、図3は片面に画像が形成された後の記録媒体の断面図である。なお、図2に示す画像形成装置は、図1に示す記録媒体反転搬送部26と再給紙路27を有する両面印刷機構を備えたものであるが、図2では簡素化のため省略する。
【0036】
図2において、中間転写ベルト50は、第1の駆動ローラ51と第1の従動ローラ52との間に掛け渡され、矢印B方向に回転する。2次転写部(転写手段)70は、帯状の搬送ベルトからなる2次転写ベルト(以下、搬送体)73を有し、搬送体73は、転写ローラ71と従動ローラ72との間に掛け渡されている。
【0037】
2次転写部70においては、中間転写ベルト50と搬送体73が、第1の駆動ローラ51と、トナーを吸着するバイアスが印加された転写ローラ71とにより圧接され、中間転写ベルト50のトナー像を記録媒体Pに2次転写する転写ニップ部74を形成している。転写ニップ部74では、中間転写ベルト50上に形成されたトナー像が記録媒体Pに転写される。転写ニップ部74でトナー像が転写された記録媒体Pは、矢印C方向に回転する搬送体73により定着装置80に搬送される。
【0038】
中間転写ベルト50及び搬送体73は、図1に2次転写部70として示すローラにより構成してもよい。また、図2では、記録媒体収容部20を1段のみ示すが、記録媒体のサイズ、紙種に応じて適数段設けてもよい。
【0039】
本実施形態の2次転写部(転写手段)70は、従動ローラ72の近傍に搬送体73上の異物を除去するクリーニング手段75と、従動ローラ72の近傍であって、クリーニング手段75に対し記録媒体Pの搬送方向下流側に設けられ、ワックスwを融点以上に加熱し溶融させる加熱手段76と、加熱手段76を制御するため、搬送体73の下部に設けられた温度検知手段(温度センサ)77と、加熱手段76により加熱溶融された搬送体73上のワックスwを回収するワックス回収手段78と、を有している。
【0040】
ここにおいて、両面印刷モード時には、定着後の記録媒体Paが両面印刷機構を経て反転された後、再度転写ニップ74を通過する。この記録媒体Paは、図3に示すように、用紙P1にトナー像Tzが付着し、トナー像Tzをワックスwが覆うように存在している状態である。したがって、記録媒体Paが、転写ニップ部74においてニップされ、搬送体73により搬送されるときには、ワックスwが搬送体73の表面に接触することになる。このため、大量の枚数の両面印刷モードが実行されると、ワックスwが繰り返して搬送体73に接触することになり、徐々にワックスwが搬送体73上に付着することになる。
【0041】
このようなワックスwは、クリーニング手段75において、搬送体73からある程度除去されるが、本実施形態では、さらにワックスwを確実に除去するようにしている。
【0042】
加熱手段76は、輻射熱によりワックスwを溶融させるヒータであり、搬送体73と接触しない非接触タイプが好ましいが、搬送体73に当接して転動する金属ローラであってもよい。
【0043】
いずれにしても加熱手段76は、搬送体73に接して設けられたクリーニング手段75に対し搬送体73の回転方向下流側に設けることが好ましい。搬送体73上に付着したワックスwは、クリーニング手段75によりある程度除去されるが、クリーニング手段75の下流側に加熱手段76、ワックス回収手段78を設けると、確実にワックスwを除去することができる。これにより、搬送体73にワックスWが残留することがないため、クリーニング手段75の負荷が大幅に低減し、クリーニング不良も生じることがない。
【0044】
加熱手段76とワックス回収手段78との間には、搬送体73の表面温度を検知する温度検知手段77が設けられ、温度検知手段77により加熱手段76の加熱量を調整するようにしている。加熱量を調整すれば、不必要にエネルギを使用することなく、ワックスを処理できる。
【0045】
ただし、加熱手段76は、両面印刷機構を作動させる両面印刷モード時にのみ作動させることが好ましい。片面印刷モード時には、記録媒体Pは表面の定着後、反転して搬送体73に給送されることがないので、搬送体73にワックスwが付着しないからである。両面印刷モード時には、反転された記録媒体Paの下面のトナー像Tzを覆っているワックスwが搬送体73に付着する状態となるので、加熱手段76を作動させる。このように印刷モードに応じて加熱手段76を作動させることで、不必要な加熱を防止し、エネルギの過剰使用を防止することができる。
【0046】
そして、加熱手段76によりワックスwを融点以上に加熱し溶融させ、このワックスwが融点以上の温度状態にあるとき、つまり、ワックスwが溶融状態の間にワックス回収手段78によりこれを吸着し、除去回収するようにしている。
【0047】
本実施形態のワックス回収手段78は、巻き取りローラ78aと、繰り出しローラ78bと、両ローラ78a、78bの間に張設されたワックス回収部材78cと、ワックス回収部材78cを搬送体73に圧接する圧接ローラ78dとから構成されている。
【0048】
ワックス回収部材78cは、溶融ワックスwを吸着可能なものであればどのようなものであってもよいが、例えば、帯状の布あるいは紙等の繊維状部材が好ましい。
【0049】
ワックス回収部材78cは、繰り出しローラ78bから巻き取りローラ78aに向けて、矢印D方向に移動するが、中間部分は、圧接ローラ78dにより搬送体73に圧接されている。したがって、ワックス回収部材78cは、搬送体73に圧接された状態で、搬送体73と同期的に移動し、溶融ワックスwを吸着することになり、その後、巻き取られる。
【0050】
ワックス回収部材78cは、搬送体73に単に圧接されるのみでなく、搬送体73との相対速度を異ならしめ、ワックス回収部材78cが搬送体73からワックスwを掻き取るように摺擦状態とすれば、より多くのワックスwをより確実に除去でき、好ましい。
【0051】
なお、ワックス回収部材78cとしてはブレードによるものでもよい。その場合には、加熱手段76によりワックスWが加熱されるときのみ搬送体73に接触するように制御するようにすれば、搬送体73を不必要に損傷させることがない。
【0052】
次に、加熱手段76によりワックスを加熱溶融し、ワックス回収手段78によりワックスwを回収除去するモード(以下、「ワックスクリーニングモード」)の制御について説明する。
【0053】
図4はワックスクリーニングモードの制御系ブロック図である。図4において、本実施形態の制御系は、CPU(主制御手段)100と、加熱制御手段101と、回収装置制御手段102と、手動モード実行キー(ワックスクリーニングモード指令手段)103と、を有している。
【0054】
ワックスクリーニングモードは所定枚数の画像形成を行うごとに画像形成装置が自動的に行う自動モードと、操作者が必要に応じて指示をすることにより行う手動モードとを有する。
【0055】
手動モード実行キー103は、図示を省略した操作部に配置され、手動モードにおいては、操作者は手動モード実行キー103を操作することで手動モードでのワックスクリーニングを指示する。この場合、手動モード実行キー103の入力により実行指令を受けると、CPU100は手動ワックスクリーニングモードを実行する。
【0056】
自動モードでは、CPU100は画像形成を500枚行う毎に、画像形成動作を一時的に中断し、自動ワックスクリーニングモードを実行し、終了後、再度画像形成動作を行う。
【0057】
いずれの場合も、温度センサ77が検知した搬送体73の表面の温度データがCPU100に入力され、これに基づきCPU100は加熱制御手段101に制御指令を出力する。
【0058】
加熱制御手段101は、CPU100からの制御指令に基づき加熱手段76を制御し、搬送体73に付着しているワックスwを融点以上に加熱し溶融させる。加熱手段76によって加熱溶融された搬送体73上のワックスwは、加熱手段76の下流側に位置するワックス回収手段78に回収され、ワックスクリーニングモードは終了する。
(実施例)
上述したワックスクリーニングモードの実施例について述べる。プロセス速度400mm/sのフルカラー複合機を使用した。両面印刷モードで500枚以上印刷した後、ワックスクリーニングモードを行った。500枚以上に達するまでは、ワックスクリーニングモードを行わなかった。使用した搬送体73は、PVDF、130μmであり、トナーは、ワックス含有スチレンアクリルトナーである。このトナーは、融点が100℃であり、含有されたワックスの融点は70℃である。加熱手段76として、ハロゲンランプを使用した。制御温度は80±5℃であり、目標温度は、ワックスの融点が70℃であるので、80℃に設定した。
【0059】
温度センサ77は、搬送体73の表面に接触する接触式センサを用いた。ワックス回収部材78cとして、長さが30mの不織布を用い、1印刷ごとに0.1mm巻き取るように制御した。ワックス回収部材78cの寿命は、印刷回数では30万回であった。
【0060】
ワックスクリーニングモードの結果は、ワックスが搬送体73表面から確実に除去され、良好な結果が得られた。
【0061】
一方、ワックスクリーニングモードを行わなかった場合には、5000枚の画像形成を行った辺りから形成された画像がぼけるといった不具合が確認された。
【符号の説明】
【0062】
50…中間転写ベルト(像担持体)、
70…転写部(転写手段)、
73…搬送体(搬送手段)、
74…転写ニップ部、
75…クリーニング手段、
76…加熱手段、
77…温度センサ(温度検知手段)、
78…ワックス回収手段、
78a…巻き取りローラ、
78b…繰り出しローラ、
78c…ワックス回収部材、
78d…圧接ローラ、
80…定着手段、
90…両面印刷機構(裏面プリント手段)、
100…CPU(制御手段)、
P,Pa…記録媒体、
Tz…トナー像、
w…ワックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックスが添加されたトナーを用いて形成したトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体と圧接する位置において転写ニップ部を形成し、前記像担持体に担持されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段によりトナー像が転写された記録媒体を搬送する搬送手段と、
転写後の記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
トナー像を定着後の記録媒体を、表裏を反転させた後に前記搬送手段に搬送し裏面プリント動作を行う裏面プリント手段と、
を有する画像形成装置において、
前記搬送手段を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の前記搬送手段の回転方向下流側に設けられ、前記加熱手段により溶融された状態の前記ワックスを回収するワックス回収手段と、
前記加熱手段により前記搬送手段をワックスの溶融温度まで加熱するとともに、溶融された状態の前記ワックスを回収するように前記ワックス回収手段を駆動する制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記裏面プリント手段の動作時に前記加熱手段及び前記ワックス回収手段の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記裏面プリント手段の動作が所定時間あるいは所定枚数以上継続されたと判断される毎に、前記加熱手段及び前記ワックス回収手段の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、ベルトにより構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、ローラにより構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、輻射熱により前記ワックスを溶融させるヒータである請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱手段は、前記搬送手段の回転方向における前記転写ニップ部の上流側に設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置は、前記搬送手段の前記転写ニップ部の下流に前記搬送手段に接して設けられたクリーニング手段を有し、
前記加熱手段は、前記搬送手段の回転方向における前記クリーニング手段の下流側に設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記加熱手段と前記ワックス回収手段との間に前記搬送手段の表面の温度を検知する温度検知手段を設け、前記制御手段は、前記転写手段の表面温度に応じて加熱量を調整するよう前記加熱手段を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ワックス回収手段は、繰り出しローラと、巻き取りローラと、前記繰り出しローラから前記巻き取りローラ間に巻き取り可能に設けられた布製のワックス回収部材と、前記ワックス回収部材を前記搬送手段に圧接する圧接ローラと、から構成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ワックス回収手段は、前記搬送手段の前記ワックスを掻き落とすブレードにより構成したことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−7796(P2013−7796A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138899(P2011−138899)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】