説明

画像形成装置

【課題】 エンコーダシートに汚れが生じた場合でも、エンコーダセンサによるキャリッジの位置や速度の誤検知を回避できるようにする。
【解決手段】 CPU50は、キャリッジ15を主走査方向に移動させ、エンコーダセンサ21によってエンコーダシートの目盛りを読み取り、その目盛りのマークをカウンタによってカウントする。このカウントは、キャリッジ15の移動開始からタイマによって時間計測を行うことにより、その計測時間が所定時間に到達するまで行う。その後、カウンタによるカウント値が予め設定された目標カウント値に到達しているか否かを判定する。そして、上記カウント値が目標カウント値に到達していなければ、エンコーダシート制御用モータ34を回転駆動させ、エンコーダシートを移動させることで、エンコーダシートの汚れをエンコーダセンサ21の読み取り対象範囲から外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液滴を吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジおよびエンコーダを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)などが知られている。
この液体吐出記録方式の画像形成装置としては、記録ヘッドが主走査方向に移動しながらインク液滴(以下単に「インク」という)を、搬送される記録媒体(用紙又はOHP等)に対して吐出して、画像形成(「記録」,「印写」,「印字」,「印刷」ともいう)を行うようにしたものがある。
【0003】
このような画像形成装置においては、液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドを搭載したキャリッジの主走査方向に沿って配置したエンコーダシート(「リニアスケール」ともいう)と、このエンコーダシートの目盛り(位置識別部)を読み取るエンコーダセンサとを含むエンコーダを備えている。エンコーダシートの目盛とは、主走査方向に所定間隔で形成された複数のマーク(スリットでもよい)のことである。
【0004】
このようなエンコーダを備えた画像形成装置においては、エンコーダシートの目盛りをエンコーダセンサで読み取ることによってキャリッジの位置と速度を検知し、この検知結果に基づいて、キャリッジの移動速度および記録ヘッドの駆動等の制御を行うようにしている。
ところで、このような制御を行う画像形成装置では、装置内を浮遊するインクミストやインクの飛び跳ねによってエンコーダシートが汚れてしまい、キャリッジの位置や速度を誤検知してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、その問題を解決するため、例えば特許文献1に見られるように、エンコーダシートがインクミスト等で汚れた場合でも記録ヘッド制御を続行させるため、キャリッジにエンコーダセンサを2個搭載し、第一のエンコーダセンサが汚れ部分に近づいたら、第二のエンコーダセンサに切り替えるようにした画像形成装置(画像処理装置)が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の画像形成装置におけるエンコーダセンサの切り替え方式では、第一のエンコーダセンサが汚れ部分に近づいて第二のエンコーダセンサに切り替えた際に、第二のエンコーダセンサ付近のエンコーダシートもインクミスト等で汚れているような場合、第二のエンコーダセンサによってもキャリッジの位置や速度を誤検知してしまうという問題があった。
この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、エンコーダシートに汚れが生じた場合でも、エンコーダセンサによるキャリッジの位置や速度の誤検知を回避できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、液滴を吐出する記録ヘッドが搭載されて主走査方向に移動するキャリッジと、該キャリッジの移動方向に沿って配置されたエンコーダシートおよび該エンコーダシートの目盛りを読み取る、上記キャリッジに搭載されたエンコーダセンサとで構成されるエンコーダとを備えた画像形成装置であって、上記の目的を達成するため、以下のようにしたことを特徴とする。
すなわち、上記エンコーダセンサによって上記エンコーダシートの汚れを検出する汚れ検出手段と、その汚れ検出手段によって上記エンコーダシートの汚れを検出した場合に、上記エンコーダシートを移動させるエンコーダシート移動手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の画像形成装置によれば、エンコーダシートに汚れが生じた場合でも、エンコーダセンサによるキャリッジの位置や速度の誤検知を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態であるインクジェット記録装置の機械的構成の概略例を示す模式図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置におけるエンコーダシートによるキャリッジの位置と速度の検出の仕組みについて説明するための図である。
【図3】図1のキャリッジ15とエンコーダシートとの位置関係の第1例を示す斜視図である。
【図4】図3のエンコーダシート22およびその周辺部の構成例を示す斜視図である。
【図5】図1に示したインクジェット記録装置における主要部の制御系の概略構成例を示すブロック図である。
【図6】図5のCPU50によるこの発明に関わる処理の一例を示すフロー図である。
【図7】図3のエンコーダシート22の回動前後における汚れ位置の一例を示す斜視図である。
【図8】図1のキャリッジ15とエンコーダシートとの位置関係の第2例を示す斜視図である。
【図9】同じくキャリッジ15とエンコーダシートとの位置関係の第3例を示す斜視図である。
【図10】同じくキャリッジ15とエンコーダシートとの位置関係の第4例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための形態について説明する。
以下の実施形態では、エンコーダシートがインクミスト等で汚れた場合でも記録ヘッド制御を続行させる動作に際して、以下の特徴を有する。
すなわち、従来の短冊状のエンコーダシートではなく、輪状のエンコーダシートを搭載し、エンコーダシートに汚れがついたら、エンコーダシートを移動(回動)させ、汚れ部をエンコーダセンサの読み取り対象範囲から外す機構・制御にすることが特徴になっている。
【0011】
そこで、上記特徴について図1〜図10を参照して具体的に説明する。
図1は、この発明による画像形成装置の一実施形態であるインクジェット記録装置の機械的構成の概略例を示す模式図である。
このインクジェット記録装置は、装置本体に対して着脱可能に、用紙P(OHP等の他の記録媒体でもよい)を装填するための用紙積載部(圧板)1を含む給紙トレイと、画像が記録された用紙をストックするための排紙トレイ2とを備えている。
【0012】
また、図示は省略するが、装置本体の前面の一端部側には、前面から前方側に突き出し、上面よりも低くなったカートリッジ装填部を有し、このカートリッジ装填部の上面に操作キーや表示器などを含む操作部を配置している。
給紙トレイの用紙積載部1上に積載された用紙を給紙するための給紙部としては、用紙積載部1から用紙Pを1枚ずつ分離給送するための給紙コロ(半月コロ)3と分離パッド4とを対向して備えている。分離パッド4は、摩擦係数の大きな材質からなり、弾性力によって給紙コロ3側に力が加えられている。
【0013】
そして、この給紙部によって給紙された用紙Pを記録ヘッド5の下方側で搬送するための搬送部として、用紙Pを静電吸着して搬送するための搬送ベルト6と、給紙部から略鉛直上方に送られる用紙Pを略90°方向に転換させて搬送ベルト6上に倣わせるための搬送ガイド7とを備えている。また、押さえ部材で搬送ベルト6側に力が加えられた先端加圧コロ8も備えている。更に、搬送ベルト6の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ9も備えている。なお、図示は省略するが、給紙部から搬送ガイド7を介して送られる用紙を搬送ベルト6との間で挟んで搬送するためのカウンタローラも備えている。
【0014】
ここで、搬送ベルト6は、無端状ベルトであり、搬送ローラ10とテンションローラ11との間に掛け渡されて、矢示A方向(ベルト搬送方向)に周回するように構成している。帯電ローラ9は、搬送ベルト6の表層に接触し、搬送ベルト6の回動(移動)に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nがかけられている。
搬送ベルト6の裏側には、記録ヘッド5による印写領域に対応して図示しないガイド部材が配置されている。このガイド部材は、上面が搬送ベルト6を支持する2つのローラである搬送ローラ10とテンションローラ11の接線よりも記録ヘッド5側に突出している。これにより、搬送ベルト6は印写領域ではガイド部材の上面にて押し上げられてガイドされるので、高精度な平面性が維持される。
【0015】
このガイド部材の搬送ベルト6の裏面と接触する面側には、ベルト搬送方向と直交する主走査方向に複数の溝を形成して、搬送ベルト6との接触面積を少なくし、搬送ベルト6がスムーズにガイド部材表面に沿って移動できるようにしている。
記録ヘッド5で記録された用紙Pを排紙するための排紙部としては、搬送ベルト6から用紙Pを分離するための分離爪12と、図示しない排紙ローラおよび排紙コロとを備え、排紙ローラの下方に排紙トレイ2を備えている。ここで、排紙ローラと排紙コロとの間から排紙トレイ2までの高さは、排紙トレイ2にストックできる量を多くするためにある程度高くしている。
【0016】
装置本体の背面部には、用紙Pの両面に印刷を行うため、一方の面に画像が印刷された用紙Pを反転するための両面印刷用用紙反転ユニット13が着脱自在に装着されている。
また、装置本体内には、帯電ローラ9に電圧を印加するための高電圧電源(高電圧印加手段)14を備えている。
記録ヘッド5は、インクを吐出する液体吐出ヘッドからなる。この記録ヘッド5は、キャリッジ15に搭載され、そのキャリッジ15によって主走査方向に移動しながら、インク供給管16よりキャリッジ15を介して供給されるインクを、搬送される用紙Pに対して吐出して印刷を行うことができる。
【0017】
ここで、このように構成されたインクジェット記録装置における印刷動作について説明する。
用紙積載部1に積載されている用紙束のうちの数枚が、給紙部の給紙コロ3によって繰り出され、更に最上位面の1枚の用紙Pのみが分離パッド4によって分離されて給紙される。
【0018】
一方、搬送ベルト6上には帯電ローラ9によって電荷が形成され、用紙Pを静電吸着力によって搬送ベルト6の表面に張り付くようにすることができる。電荷の形成は、高電圧電源14からの電圧を帯電ローラ9に印加することにより行われる。
給紙部から給紙された用紙Pは、搬送ガイド7にガイドされながら搬送ベルト6に接触した後、先端加圧コロ8にて押さえつけられながら搬送され、表面に記録ヘッド5からインクが吐出されて印刷が行われた後、排紙トレイ2に排出される。
【0019】
両面印刷のために用紙Pの裏面にも印刷を行いたい場合は、用紙Pの表面への印刷が終了しても排紙トレイ2に用紙Pを排出せず、静電吸着力で吸着したまま搬送ベルト6を用紙搬送方向とは逆に回動させる。
それによって、用紙Pは両面印刷用用紙反転ユニット13に挿入されて反転した後、再び搬送ベルト6に接触し、先端加圧コロ8にて押さえつけられながら搬送され、今度は裏面に記録ヘッド5からインクが吐出されて印刷が行われた後、排紙トレイ2に排出される。
【0020】
次に、記録ヘッド5を搭載したキャリッジ15およびその周辺部について説明する。
このキャリッジ15には、記録液であるインクを吐出する画像形成手段としての液体吐出ヘッドと、その液体吐出ヘッドにインクを供給するヘッドタンクとを含む記録ヘッド5を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向(搬送方向)に配列し、滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0021】
そして、キャリッジ15の移動方向(主走査方向)に沿って、後述するエンコーダシートを配置している。キャリッジ15の背面側には、エンコーダシートの目盛り(スケール:位置識別部)を読み取る発光部および受光部を有する反射型フォトセンサ(透過型フォトセンサでもよい)からなるエンコーダセンサを取り付け、これらのエンコーダシートとエンコーダセンサとで位置検出装置としてのエンコーダを構成している。
キャリッジ15の下側には、上述したように用紙Pを副走査方向に搬送する搬送手段としての搬送ベルト6を配置している。
【0022】
したがって、この実施形態のインクジェット記録装置においては、給紙部から給紙された用紙Pを搬送ベルト6で搬送し、キャリッジ15を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド5の液体吐出ヘッドを駆動することにより、停止している用紙にインクを吐出して1行分を記録し、用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う動作を繰り返して用紙P上に画像を形成し、画像形成後用紙Pを排紙することができる。
【0023】
次に、このインクジェット記録装置におけるエンコーダシートによるキャリッジの位置と速度の検出(検知)の仕組みについて説明する。
図2は、その仕組みについて説明するための図である。
このインクジェット記録装置では、上述した記録ヘッド5による印刷時(つまりキャリッジ15の主走査方向への移動時)に、所定時間(一定時間)毎にエンコーダセンサ21によってエンコーダシート22の目盛りを読み取り、その目盛りのマーク(スリットでもよい)のカウント(計数)を行う。また、キャリッジ15の移動の時間計測も行う。そして、カウント値と計測時間とに基づいて、キャリッジ15の位置と速度を検出し、キャリッジ15を制御することができる。
【0024】
次に、キャリッジ15とエンコーダシート22の構成の第1例について説明する。
図3は、キャリッジ15とエンコーダシート22との位置関係の第1例を示す斜視図である。
図4は、図3のエンコーダシート22およびその周辺部の構成例を示す斜視図である。
この例のエンコーダシート22は、従来の短冊状ではなく、輪状(無端状)になっており、駆動ローラ31とテンションローラ32との間に掛け渡されて、主走査方向に周回するように構成している。駆動ローラ31の回転軸にはエンコーダシート制御用モータ34が取り付けられ、そのエンコーダシート制御用モータ34を回転させることにより、エンコーダシート22を主走査方向に回動させることができる。
【0025】
次に、このインクジェット記録装置における主要部の制御系について説明する。
図5は、その制御系の概略構成例を示すブロック図である。
CPU50は、このインクジェット記録装置全体を制御するマイクロコンピュータであり、プログラムを実行する中央処理装置と、プログラムが記憶されているROMとを備えている。また、ROMからプログラムを読み出して展開するなどの中央処理装置用の作業エリアとして使用するRAMの他、時間計測を行う計時手段としてのタイマや、上記マークをカウントするカウント手段としてのカウンタも備えている。
CPU50内の中央処理装置は、プログラムを実行することにより、汚れ検出手段およびエンコーダシート移動手段としての機能を果すことができる。
【0026】
次に、CPU50によるこの発明に関わる処理について説明する。
図6は、その処理の一例を示すフローチャートである。
CPU50は、このインクジェット記録装置の電源がオン(ON)になると、図6の処理ルーチンをスタートし、まずステップS1で所定時間内でマークカウント処理を行う。つまり、キャリッジ15を主走査方向に移動させ、エンコーダセンサ21によってエンコーダシート22の目盛りを読み取り、その目盛りのマークをカウンタによってカウントする。このカウントは、キャリッジ15の移動開始からタイマによって時間計測を行うことにより、その計測時間が所定時間に到達するまで行う。
【0027】
次のステップS2では、カウンタによるカウント値(エンコーダカウント値)が予め設定された目標カウント値αに到達しているか否かを判定する。これにより、エンコーダシート22の汚れによって正常なカウントができずに、目盛りを読み飛ばしているかどうかを判断できる。エンコーダカウント値が目標カウント値αに到達していれば、エンコーダシート22に汚れなしと判断し、目標カウント値αに到達していなければ、エンコーダシート22に汚れありと判断する。
【0028】
そして、エンコーダカウント値が目標カウント値αに到達している場合には、ステップS3へ移行し、記録ヘッド5による印字を許可する。なお、この図6の処理ルーチンは、印刷動作直前、あるいは記録ヘッド5による印字開始直前等にスタートすることも可能であり、印字開始直前にスタートした場合には、ステップ3でそのまま印字を開始することもできる。
【0029】
一方、エンコーダカウント値が目標カウント値αに到達していない場合には、ステップ4でエンコーダシート制御用モータ34を回転駆動させ、ステップ5でエンコーダシート22を回動(移動)させることで、エンコーダシート22の汚れをエンコーダセンサ21の読み取り対象範囲から外す。エンコーダシート22の回動範囲(例えば1/2回動)は、予め設定することができる。
【0030】
ステップ5の処理を行った後は、ステップ1の処理に戻り、再び所定時間内でマークカウント処理を含む各処理を行う。
なお、エンコーダシート22の汚れ箇所が多岐に渡り、ステップS2での判定を複数回行っても、エンコーダカウント値が目標カウント値αに到達していない場合には、その旨を示すエラー情報を図示しない操作部の表示器上に表示させるようにしても良い。
【0031】
次に、エンコーダシート22の回動前後における汚れ位置について説明する。
図7は、そのエンコーダシート22の回動前後における汚れ位置の一例を示す斜視図である。
この例では、エンコーダシート22を1/2回動させることにより、汚れをエンコーダセンサ21の読み取り対象範囲から外すことができる。
【0032】
このように、エンコーダシート22の汚れを検出したら、エンコーダシート22を回動させ、汚れ部をエンコーダセンサ21の読み取り対象範囲から外すことにより、エンコーダシート22に汚れが生じた場合でも、エンコーダセンサ21によるキャリッジの位置や速度の誤検知を回避することができる。つまり、エンコーダセンサ21の読み取り対象範囲から汚れがなくなるため、記録ヘッド5の制御を続行することができる。
【0033】
次に、キャリッジ15とエンコーダシート22の構成の第2例について説明する。
図8は、キャリッジ15とエンコーダシート22との位置関係の第2例を示す斜視図である。
この例では、エンコーダシート22が1つで、キャリッジ15の背面側にその移動方向(主走査方向)に沿ってエンコーダセンサ21が2個(3個以上でもよい)配置された構成を示している。
【0034】
この例の場合、キャリッジ15の背面側にその移動方向に沿って2個のエンコーダセンサ21(21a,21b)を配置しているため、予め選択された一方のエンコーダセンサ21がインクミスト等で汚れるなどして正常な検出ができなくなると、センサ異常と判断して、他方のエンコーダセンサ21に切り替える。なお、センサ異常を判断する前は、一方のエンコーダセンサ21を用いて図6で説明した処理を行うが、センサ異常を判断して他方のエンコーダセンサ21に切り替えた場合には、そのエンコーダセンサ21を用いて図6で説明した処理を行う。その後、再びセンサ異常を判断した場合には、正常なエンコーダセンサ21がないため、その旨を示すエラー情報を操作部の表示器上に表示させるようにすると良い。
【0035】
このように、キャリッジ15の背面側(正面側でもよい)にその移動方向に沿ってエンコーダセンサ21を複数個配置することにより、あるエンコーダセンサ21がインクミストで汚れるなどして正常な検出ができなくなった場合に、他のエンコーダセンサ21に切り替えることによっても、記録ヘッド5の制御を続行することができる。
【0036】
次に、キャリッジ15とエンコーダシート22の構成の第3例について説明する。
図9は、キャリッジ15とエンコーダシート22との位置関係の第3例を示す斜視図である。
この例では、エンコーダシート22が1つで、キャリッジ15の背面側に垂直方向に沿ってエンコーダセンサ21が2個(3個以上でもよい)配置された構成を示している。
【0037】
この例の場合、キャリッジ15の背面側に垂直方向に沿って2個(上下2段)のエンコーダセンサ21(21a,21b)を配置しているため、図8の例と同様の作用効果を得ることができる。また、一方のエンコーダセンサ21(例えば上段側のエンコーダセンサ21a)から他方のエンコーダセンサ21(例えば下段のエンコーダセンサ21b)に切り替えることにより、次のような効果も得られる。つまり、切り替え後の他方のエンコーダセンサ21の読み取り対象範囲からエンコーダシート22の汚れの位置が外れる場合があるため、必ずしもエンコーダシート22を回動させる必要はない。
【0038】
次に、キャリッジ15とエンコーダシート22の構成の第4例について説明する。
図10は、キャリッジ15とエンコーダシート22との位置関係の第4例を示す斜視図である。
この例では、エンコーダシート22が2つで、キャリッジ15の背面と正面の各面側にそれぞれ、そのキャリッジ15の移動方向に沿ってエンコーダシート22を配置するとともに、上記各面にそれぞれキャリッジ15の移動方向に沿ってエンコーダセンサ21が2個(3個以上でもよい)配置された構成を示している。
【0039】
この例の場合、キャリッジ15の背面と正面の各面側にそれぞれその移動方向に沿って2個のエンコーダセンサ21(21a,21b,21c,21d)を配置しているため、その上記各面側のエンコーダセンサ21のいずれかを用いて図6で説明した処理を行える。この場合、予め選択されたエンコーダセンサ21のいずれかがインクミスト等で汚れるなどして正常な検出ができなくなると、センサ異常と判断して、正常な残りのエンコーダセンサ21のいずれかに切り替える。その後、再びセンサ異常を判断した場合には、同様の切り替えを行うが、正常なエンコーダセンサ21がなくなった場合には、その旨を示すエラー情報を操作部の表示器上に表示させるようにすると良い。
【0040】
よって、図8の例と同様の作用効果を得ることができる。また、複数個のエンコーダセンサ21の切り替えとエンコーダシート22の回動により、汚れ箇所が多岐に渡った場合でも、記録ヘッド5の制御を続行することができる。つまり、汚れ検出時の柔軟性が上がる。なお、キャリッジ15の各面側にそれぞれ垂直方向に沿ってエンコーダセンサ21を2個(3個以上でもよい)配置することも可能である。
なお、この発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0041】
1:用紙積載部 2:排紙トレイ 3:給紙コロ 4:分離パッド
5:記録ヘッド 6:搬送ベルト 7:搬送ガイド 8:先端加圧コロ
9:帯電ローラ 10:搬送ローラ 11,32:テンションローラ
12:分離爪 13:両面印刷用用紙反転ユニット 14:高電圧電源
15:キャリッジ 16:インク供給管 21:エンコーダセンサ
22:エンコーダシート 31:駆動ローラ 34:エンコーダシート制御用モータ
50:CPU
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特開2010−214907号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドが搭載されて主走査方向に移動するキャリッジと、該キャリッジの移動方向に沿って配置されたエンコーダシートおよび該エンコーダシートの目盛りを読み取る、前記キャリッジに搭載されたエンコーダセンサとで構成されるエンコーダとを備えた画像形成装置であって、
前記エンコーダセンサによって前記エンコーダシートの汚れを検出する汚れ検出手段と、
該汚れ検出手段によって前記エンコーダシートの汚れを検出した場合に、前記エンコーダシートを移動させるエンコーダシート移動手段とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記エンコーダセンサが前記キャリッジの移動方向と直交する方向の一方の面に該移動方向に沿って複数個配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エンコーダセンサが前記キャリッジの移動方向と直交する方向の両面にそれぞれ該移動方向に沿って複数個配置され、前記エンコーダシートが前記両面側の前記複数個のエンコーダセンサによってそれぞれ前記目盛りが読み取れるように2つ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エンコーダセンサが前記キャリッジの移動方向と直交する方向の一方の面に垂直方向に沿って複数個搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記エンコーダセンサが前記キャリッジの移動方向と直交する方向の両面にそれぞれ垂直方向に沿って複数個配置され、前記エンコーダシートが前記両面側の前記複数個のエンコーダセンサによってそれぞれ前記目盛りが読み取れるように2つ配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−78917(P2013−78917A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220822(P2011−220822)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】