画像形成装置
【課題】色の分光特性を考慮して、色材量を制御するためのテストパターンを形成し、色材量の増加を抑え、飛び散りや粒状性定着不良などの画像不良を防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成し、形成されたテストパターンを読み取り、読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する。なお、画像形成装置は、テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、当該混色パッチから単色の色材量を制御する。
【解決手段】本画像形成装置は、複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成し、形成されたテストパターンを読み取り、読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する。なお、画像形成装置は、テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、当該混色パッチから単色の色材量を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー等の色材を紙上に印字する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置では、感光体と呼ばれる像担持体が一次帯電器によって帯電され、当該像担持体上にレーザなどの光学系によって潜像が形成される。当該潜像は、トナーと呼ばれる色材を有する現像器によって、像担持体上でトナーを用いて現像される。現像され、像担持体に保持されているトナーは、1回もしくは2回目の転写によって紙上に転写され、熱定着装置によって紙に固着される。電子写真方式の基本印字プロセスは、上記静電現象を用いているため、温湿度の影響を受け易い。そのため、上記不安定さを解決するため多くの安定化技術が提案されてきた。例えば、特許文献1には、自動階調補正を有する電子写真方式の画像形成装置における安定化技術が提案されている。
【0003】
自動階調補正は、複数のパッチ郡からなるテストチャートを紙上に出力し、RGBのカラーリーダでパッチを読み取り、補色対応関係(Red→Cyan、Green→Magenta、Blue→Yellow、Green→Black)のRGB輝度情報を抽出する。抽出した輝度情報は、予め保持している輝度と濃度の関係を表したLUT(ルックアップテーブル、以下、輝度濃度変換テーブルと称する。)で濃度情報に変換される。パッチごとに濃度変換を行い、所望濃度になる印字条件を算出し、次回以降の印字条件として登録される。上記濃度は、紙の凹凸と分光特性(白色度など)の影響を受ける。そのため最大濃度を調整したからといって、最大色材量が規定量になるとは限らない。特許文献2では、白色度や凹凸が管理されたCAL(calibration)専用メディアを用いてCALを実行することにより、濃度を規定値にし、また色材も規定量に制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−75067号公報
【特許文献2】特開2007−27211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には以下に記載する問題がある。従来の濃度を用いた最大色材量の決定方法は、色材の分光反射率とリーダの分光感度との関係で特に高濃度部における分解能が不足し、精度が不足していた。図11の1101に示すように、最大濃度部の分光特性は色材量が変化しても検知している分光波長帯の変化は少なく、パッチチャートの浮きや各種ノイズの影響によって濃度値がばらつき、正確な色材量を把握できていなかった。その結果、最大色材量の補正結果にばらつきが発生し、色材量の増加、飛び散り、粒状性の悪化、定着不良などが発生していた。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、色の分光特性を考慮して、色材量を制御するためのテストパターンを形成し、色材量の増加を抑え、飛び散りや粒状性定着不良などの画像不良を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色の記録材に形成することにより、混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色のパッチが形成された記録材に重ねて形成することにより、混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、色の分光特性を考慮して、色材量を制御するためのテストパターンを形成し、色材量の増加を抑え、飛び散りや粒状性定着不良などの画像不良を防止する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1実施形態に係る読み取り部の概略図。
【図3】第1実施形態に係る操作部の概略図。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置の概略ブロック図。
【図5】第1実施形態に係る入力画像処理部の概略ブロック図。
【図6】第1実施形態に係るRIP部の概略ブロック図。
【図7】第1実施形態に係る出力画像処理部の概略ブロック図。
【図8】第1実施形態に係る実施例1のフローチャート。
【図9】第1実施形態に係るYellowとBlackの色材量決定時のテストパターンを示す概略図。
【図10】第1実施形態に係るCyan色材量決定時のテストパターン示す概略図。
【図11】第1実施形態に係る分光反射率特性の説明図。
【図12】第1実施形態に係る分光反射率特性の説明図。
【図13】第1実施形態に係るステータスAとリーダの分光感度特性の説明図。
【図14】第1実施形態に係る混色時の色度軌跡の説明図。
【図15】第2実施形態に係る分光反射率の説明図。
【図16】第2実施形態に係る色相変化を示す説明図。
【図17】第3実施形態に係るテストチャートを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<第1の実施形態>
<画像形成装置の構成>
まず、図1を参照して、電子写真方式のプリンタ部101とスキャナ部102とを有するMFP100の構成について説明する。ここでは、画像形成装置の一例としてMFP(multi-function peripheral)100を例に説明する。プリンタ部101は、レーザ露光部103、作像部104、定着部105、給紙/搬送部106及び、これらを制御するプリンタ制御部から構成される。スキャナ部102は、原稿台に置かれた原稿に対して、光を照射し原稿画像を光学的に読み取り、その像をRGBカラー電気信号に変換して画像データを作成する。スキャナ部102の解像度は600dpiである。
【0014】
レーザ露光部103は、画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)に入射させ、反射走査光として感光ドラム(像担持体)の表面に照射する。作像部104は、感光ドラムを回転駆動し、帯電器によって感光ドラムを帯電させ、レーザ露光部103によって感光ドラム上に形成された静電潜像をトナーによって現像化する。さらに、作像部104は、そのトナー像(現像剤像)をシート(記録材)に転写し、その際に転写されずに感光ドラム上に残った微小トナーを回収するといった一連の電子写真プロセスを実行して作像する。その際、シートが転写ベルトの所定位置に巻きつき、4回転する間に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを持つそれぞれの現像ユニット(現像ステーション)が入れ替わりで順次前述の電子写真プロセスを繰り返し実行する。
【0015】
4回転の後、4色のフルカラートナー像が転写されたシートは、転写ドラムを離れ、定着部105へ搬送される。定着部105は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、作像部104によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
【0016】
給紙/搬送部106は、シートカセットやペーパーデッキに代表されるシート収納庫を1つ以上有しており、プリンタ制御部の指示に応じてシート収納庫に収納された複数のシートの中から一枚分離し、作像部104、定着部105へ搬送する。シートは作像部104の転写ドラムに巻きつけられ、4回転した後に定着部105へ搬送される。4回転する間に前述のYMCK各色のトナー像がシートに転写される。また、シートの両面に画像形成する場合は、定着部105を通過したシートを再度作像部104へ搬送する搬送経路を通るように制御される。
【0017】
プリンタ部101はプリンタ制御部(不図示)を内蔵しており、MFP全体を制御するMFP制御部と通信して、その指示に応じて制御を実行する。さらに、プリンタ部101は、前述のスキャナ、レーザ露光、作像、定着、給紙/搬送の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
【0018】
なお、後述する複数色を用いた自動階調補正時は、上記スキャナ部102のCCDセンサに入力したRGB情報を用いて色相を算出する。また、本発明に係わる色材は、ポリエステル樹脂80−90%、着色材として、無彩色である黒色は無機物、有彩色であるイエロー/マゼンタ/シアンは有機顔料を使用している。
マゼンタ(M) :キナクリドン
シアン (C) :フタロシアニンブルー
イエロー(Y) :ジスアゾイエロー
ブラック(K) :カーボンブラック
本発明では上記を使用して説明するが、本発明の構成を満足する色材(顔料や染料)であれば問題ない。例えば、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、キノリンエローレーキ、マラカイトグリーンレーキ、アリザリンレー、カーミン6B、レーキレットC、ジスアゾエロー、レーキレット4R、クロモフタルエロー3G、クロモフタルスカーレットRN、ニッケルアゾエロー、ペンズイダゾロンアゾ、パーマネントオレンジHL、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、フラバンスロンエロー、チオインジゴボルドー、ペリノンRed、ジオキサドンバイオレット、キナクリドンRed、ナフトールエローS、ピグロントグリーンB、ルモゲンエロー、シグナルRed、アルカリブルー、アニリンブラック、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、カーミン、キナクリドン、ローダミン、銅フタロシアニン等の有機顔料を用いることができる。トナーの色度は、上記樹脂と顔料が主に決定している。
【0019】
<スキャナ部の構成>
次に、図2を参照して、プリンタ部101の上部に取り付けられたスキャナ部102の構成について説明する。図2において、読み取られるべき原稿Dは、原稿台ガラス201の上に載置され、図3を用いて後述する操作部300のスタートキーが押下されたり、スキャナドライバのOKキーが押下されたりするなどをトリガとして、スキャン動作を開始する。
【0020】
スキャン動作を開始すると、第1ミラーユニット202と第2ミラーユニット203は、一旦ホームポジションセンサ204が位置するホームポジションまで戻り、原稿照明ランプ205を点灯し、原稿Dに光を照射する。原稿Dからの反射光は、第1ミラーユニット202の第1ミラー206と、第2ミラーユニット203の第2ミラー207と、第3ミラー208とを経由して、レンズ209を通してCCDセンサ220上に結像され、光信号としてCCDセンサ220に入力される。なお、第1ミラーユニット202、第2ミラーユニット203の移動は、スキャナモータ210で駆動される。
【0021】
<操作部の構成>
次に、図3を参照して、MFP100に設けられる操作部300の構成について説明する。操作部300は、図3に示すように、キー入力部301と、表示部であるタッチパネル部302とを備える。キー入力部には、各種ハードウェアキーが設けられ、例えば、テンキー、電源キー、スタートキー等が設けられる。タッチパネル部302は、タッチ式の液晶パネルを備え、ソフトウェアキーを表示し、ユーザ操作を受け付けることができる。
【0022】
<画像形成装置の制御構成>
次に、図4を参照して、MFP100の制御構成について説明する。MFP100は、ネットワークとの接続を可能にするインタフェースや、各種画像処理を実行する画像処理部を有する。MFP100は、自装置内部に複数のジョブのデータを記憶可能なハードディスク等のメモリを具備し、スキャナ部102から出力されたジョブデータに対しメモリを介してプリンタ部101でプリント可能にするコピー機能を有する。さらに、MFP100は、コンピュータ等の外部装置から出力されたジョブデータに対し当該メモリを介してプリンタ部101でプリント可能にするプリント機能等の複数の機能を有する。
【0023】
図4に示すように、MFP100は、外部とのインタフェースとして、スキャナ部102、FAX部403、NIC部404、専用I/F部405、及びUSBI/F部406を備える。スキャナ部102は、原稿などの画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理する。FAX部403は、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行う。NIC(Network Interface Card)部404は、ネットワークを利用して画像データや装置情報をやりとりする。専用インタフェース部(専用I/F部)405は、外部装置と画像データなどの情報交換を行う。USBインタフェース(USB I/F)部406は、USB(Universal Serial Bus)メモリ(リムーバブルメディアの一種)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受する。
【0024】
また、MFP100は、制御構成として、プリンタ部101、MFP制御部401、操作部300、RIP部413、出力画像処理部412、後処理部410、圧縮伸張部407、文書管理部408、及びリソース管理部409を備える。MFP制御部401では、MFP100の用途に応じて画像データを一時保存したり、経路を決定したりといった交通整理の役割を担う所謂CPUである。文書管理部408は、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリを具備する。MFP制御部401は、例えば、上述した各インタフェースからの画像データを当該ハードディスクに格納するよう制御する。また、MFP制御部401は、文書管理部408で管理されている画像データ、即ち、上記ハードディスクに格納された画像データを適宜読み出して、プリンタ部101の出力部に転送して、プリンタ部101によるプリント処理等の出力処理を実行可能に制御する。さらに、MFP制御部401は、オペレータからの指示により、ハードディスクから読み出した画像データを、コンピュータや他の画像形成装置等の外部装置に転送可能に制御する。
【0025】
圧縮伸張部407は、画像データを文書管理部408に記憶する際に、必要に応じて、画像データを圧縮して格納したり、逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻したりするなどの処理を行っている。また、圧縮伸張部407は、ネットワークを経由して、JPEG、JBIG、ZIPなどの形式で圧縮データを受信すると当該データを解凍(伸張)する。
【0026】
また、リソース管理部409は、フォント、ガンマテーブルなど共通に扱われる各種パラメータテーブルなどを格納しており、必要に応じて呼び出すことができると共に、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
【0027】
自動階調補正時は、出力画像処理部412によってテストパターンが生成されてプリンタ部101に対して出力情報が送信され、プリンタ部101によって出力される。ここで、ユーザが出力されたテストパターンをスキャナ部102でスキャンさせる。スキャナ部102からスキャンデータが、実際の色材量演算を実施する出力画像処理部412へ送られ、出力画像処理部412は、その色材量補正情報を生成し、リソース管理部409に格納する。MFP制御部401は、リソース管理部409に格納された色材量補正情報をプリンタ部101に送信する。
【0028】
MFP制御部401では、PDLデータが入力されると、RIP部413でRIP(Raster Image Processor)処理を施したり、プリントする画像に対して、必要に応じて出力画像処理部412でプリントのための画像処理を行ったりする。さらに、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、文書管理部408で再度格納することもできる。そして、画像形成を行うプリンタ部101に送られる。プリンタ部101でプリントアウトされたシートは後処理部410へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0029】
ここで、MFP制御部401は円滑にジョブを流す役割を担っており、MFP100の使い方に応じて、以下のようにパス切り替えが行われている。但し、中間データとして画像データを必要に応じて格納することは一般に知られているが、ここでは文書管理部408が始点、終点になる以外のアクセスは表記しない。また、必要に応じて利用される圧縮伸張部407と後処理部410、あるいは、全体のコアとなるMFP制御部401などの処理は省略して、おおよそのフローがわかるように記載する。
A)複写機能:スキャナ部102→出力画像処理部412→プリンタ部101
B)FAX送信機能:スキャナ部102→FAX部403
C)FAX受信機能:FAX部403→出力画像処理部412→プリンタ部101
D)ネットワークスキャン:スキャナ部102→NIC部404
E)ネットワークプリント:NIC部404→RIP部413→出力画像処理部412→プリンタ部101
F)外部装置へのスキャン:スキャナ部102→専用I/F部405
G)外部装置からのプリント:専用I/F部405→出力画像処理部412→プリンタ部101
H)外部メモリへのスキャン:スキャナ部102→USB I/F部406
I)外部メモリからのプリント:USB I/F部406→RIP部413→出力画像処理部412→プリンタ部101
J)スキャンボックス機能:スキャナ部102→出力画像処理部412→文書管理部408
K)ボックスプリント機能:文書管理部408→プリンタ部101
L)ボックス受信機能:NIC部404→RIP部413→出力画像処理部412→文書管理部408
M)ボックス送信機能:文書管理部408→NIC部404
N)プレビュー機能:文書管理部408→操作部300
O)色材量補正:出力画像処理部412→プリンタ部101→スキャナ部102→出力画像処理部412→リソース管理部409→プリンタ部101。
【0030】
<スキャナ部の制御構成>
次に、図5を参照して、スキャナ部102内の画像データのフローと制御構成について説明する。RGBの1ラインCCDセンサ220を用いて、読み込まれた画像は、600dpiの電気信号に変換され、RGBの画像データとしてA/D変換部521に入力される。A/D変換部521は、ゲイン調整とオフセット調整を行い、各色8ビットの画像データに変換される。
【0031】
シェーディング補正部522はスキャナ部102内に配置された画像処理ブロックである。シェーディング補正部522では、基準白色板の読み取り信号を用いて、CCDセンサ220の各画素の感度ばらつきや原稿照明ランプの光量のばらつきなどを補正する。通常の複写処理の場合、シェーディング補正処理の次の処理はフィルタ処理である。フィルタ処理部523では、注目画素と複数の周辺画素を含めて畳み込み積分を行い、CCDセンサ220から取り込まれた画像をより鮮鋭にみせる処理を施す。RGB→CMYK色変換部524は、入力されたリーダRGB信号をプリンタCMYKに多次元ダイレクトマッピング手法を用いて色変換する。変換されたプリンタCMYK情報は、MFP制御部401を介し、出力画像処理部412に向かう。
【0032】
本実施形態に関連する色材量補正時は、シェーディング補正部522の後、RGBからL*a*b*色への変換と、RGBから濃度への変換とを実施し、色材量を解析する際に使用する。これらのデータは、L*a*b*濃度合成部529によって合成され、CMYKデータ同様、MFP制御部401を介し、出力画像処理部412に伝達される。
【0033】
<RIP部の制御構成>
次に、図6を参照して、RIP部413の制御構成について説明する。RIP(Raster Image Processor)とは、PDL(Page Description Language)で記述された文字、線画、図形などのベクトル情報、又は、色、パターン、写真などの画像走査線情報などを同時にページ上に再現するために、それぞれのオブジェクト情報をメモリ上にビットマップ(ラスタイメージ)展開するプロセッサである。元来、ハードウェアとして出力装置側に搭載されていたが、現在では、CPUの高速化によりソフトウェアで実現されている。
【0034】
RIP部413は、一般に、インタプリタ部630とレンダリング部631との2つの部分から成り立っている。インタプリタ部630は、PDLの翻訳を行うPDL解釈部632と、解釈したPDLデータからディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルを生成するDL(Display List)生成部633とを備える。一方、レンダリング部631は、ディスプレイリストをビットマップ(ラスタイメージ)に展開するDL展開部634とRGB→CMYK又はC’M’Y’K’→CMYKなど、入力した色情報からプリンタCMYKに変換するCMYK変換部635を備える。さらに、レンダリング部631は、ユーザから指示された明るさ調整やトーンカーブ調整を実施する階調変換部636を備える。
【0035】
ディスプレイリストに対してPDL解釈部632は、入力されてきた様々な種類のPDLデータを解析する部分である。入力フォーマットとしては、Adobe社のPostScript(登録商標)言語やHP(Hewlett−Packard)社のPCL(Printer Control Language)言語などが有名である。これらは、ページ単位の画像を作成するためのプリンタ制御コードで記載されており、単純な文字コードのほか、図形描画のコードや写真画像のコードなども含まれている。また、PDF(Portable Document Format)というAdobe社の開発した文書表示用ファイル形式も様々な業界で多用されており、ドライバを使用せず直接MFPに投げ込まれたこのフォーマットも対象としている。そのほか、PPML(Personalized Print Markup Language)と呼ばれるVDP(Variable Data Print)向けフォーマット、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)と呼ばれるカラー画像の圧縮フォーマットなどにも対応している。
【0036】
<出力画像処理部の制御構成>
次に、図7を参照して、出力画像処理部412の構成について説明する。出力画像処理部412は、通常作像時と色材量補正時の処理ブロックが異なる。MFP制御部401から通常作像用のCMYK画像データが入力された出力画像処理部412は、HT(ハーフトーン)処理毎に保持している階調補正テーブル(一次元LUT、以下γLUTという)を用いて所望の階調特性になるよう階調補正部740で補正する。
【0037】
HT処理部741は、擬似中間調処理を実行する画像処理部で、多値ディザ法を用いて134lpi(Line Per Inch)や166lpi等のスクリーン画像を形成する。スクリーンによってプリンタエンジンの濃度階調は異なることから、ディザ毎にγLUTを用意する必要がある。
【0038】
一方、色材量補正時は、スキャナ部102で変換されたL*a*b*データを以下の式を用いて色相(h)に変換し、色材量算出部744へ送る。
h=tan−1(b*/a*)[degree]・・・(式1)
同様にスキャナ部102で変換されたDensityデータも色材量算出部744へ送られる。
【0039】
色材量算出部744は上記色相(h)情報とDensity情報を用いてテストパターン毎の色材量を算出し、その結果を出力条件決定部745へ送る。出力条件決定部745は、テストパターン毎の色材量を解析し、ターゲットの色材量になるよう適正なVcont値を算出し、MFP制御部401を介してリソース管理部409やプリンタ部101に送信する。
【0040】
<色材量変更方法>
色材量を変更する方法は、Vcont(現像コントラストとも称する。)と呼ばれる現像電位Vdcと露光部電位(Vl)との電位差分を大きくすることが一般的に実施される。現像電位は面内、特に画像形成装置の奥手前方向で変更することは難しい。また、暗部電位(Vd)を支配している帯電バイアスも同様である。一方、露光電位はレーザーパワー(以下、LPW)を面内で変更することは比較的容易にできるため、本実施形態ではVcontを変更するためにLPWを使って露光部電位を変更する一例について説明する。
【0041】
<色材量補正の基本フロー>
次に、図8を参照して本実施形態に係る色材量補正の基本フローについて説明する。なお、以下で説明する色材量補正処理は、画像形成装置内のプログラムを、MFP制御部401(CPU)が実行することにより実現される。まず、S801において、MFP制御部401は、操作画面から自動階調補正(色材量補正)の実行が指示されたか否かを判定し、指示されたと判定すると、S802に進む。S802において、MFP制御部401は、テストパターンの出力前に標準的な画像形成条件に戻すため、電位制御を実行しテストパターン出力に備える。
【0042】
電位制御が終了し、画像形成条件が決定すると、MFP制御部401は、プリンタ部101によって、図9のBlackとYellowの色材量検出用のテストパターンを標準紙(例えばキヤノン社製普通紙CS−814)に出力する。図9に示すように、当該テストパターンは、段階的に濃度変化させた複数の単色パッチからなる。出力されたテストパターン画像は、S804でユーザによってリーダ(スキャナ部102)へ載置され、S805で、MFP制御部401は、操作画面からの読み込み指示に応じてテストパターンをスキャナ部102を用いて読み込む。
【0043】
次に、S806において、MFP制御部401は、読み取られたテストパターンの読取結果から、各パッチに対して平均化処理を行い、S807でRGBからDensity(濃度)に変換する。ここでは、メモリ等に格納された輝度−濃度変換テーブルが使用される。
【0044】
次に、S808において、MFP制御部401は、図9に示す100%信号部(以下、ベタと称する。)に注目し、その濃度値と予め保持する色材量との相関データを定義した濃度―色材量変換テーブルを用いて、S807の濃度を色材量情報に変換する。続いて、S809において、MFP制御部401は、色材量が規定値になるBlackとYellowの露光条件(LPW)を算出し、S810でリソース管理部409に保存する。さらに、S811において、MFP制御部401は、算出されたYellowのLPWで形成されたYellowの中間調パッチで、濃度が0.5(条件は例えばステータスA)に相当する階調を線形補間演算で求める。その後、S812において、MFP制御部401は、LPW同様リソース管理部409にYellowの中間調信号値として保存し、後述するS831に進む。なお、Blackについては中間調信号値を保存しない。
【0045】
S813において、MFP制御部401は、決定されたYellowの露光条件と濃度0.5の信号値のYellowのパッチを図10のように形成し、その上にCyanの露光条件を変更したベタパッチを重ね、薄いGreenの混色パッチを形成する。また、Yellow条件算出時と同様に中間調パッチも出力しておくが、この中間調パッチにはYellowは使用せず、Cyan単色で中間調パッチを形成する。なお、当該中間調パッチは、図9と同様に、段階的に濃度変化させた複数の単色パッチからなる。
【0046】
S814において、Yellow時と同じように、ユーザによってテストチャートがリーダへ載置される。S815で操作画面から読み取り指示が入力されると、S816において、MFP制御部401は、各パッチに対して平均化処理を行う。続いて、S817において、MFP制御部401は、CとYを重ねたパッチについて、予め記憶されているRGB→L*a*b*変換テーブルからL*a*b*情報に変換する。さらに、S818において、MFP制御部401は、L*a*b*情報になったパッチ情報について、上記式1を用いて色相情報を算出する。
【0047】
次に、S819において、MFP制御部401は、Cyanのベタパッチと濃度0.5のYellowパッチで形成された薄いGreenパッチの色相が規定の色相となるCyanのLPWを算出する。続いて、S820において、MFP制御部401は、S819で算出したLPWをリソース管理部409にCyanのLPWとして保存する。Yellow同様、S821において、MFP制御部401は、算出されたLPWで形成されたCyanの中間調パッチで、濃度が0.5に相当するパッチを演算で求める。さらに、S822において、MFP制御部401は、その結果をリソース管理部409にCyan用の露光条件として保存し、後述するS831に進む。
【0048】
次に、S823において、MFP制御部401は、図10のYellowがCyanに、CyanがMagentaに変更されたようなCとMで構成されるテストチャートを作成する。テストチャートは、決定されたCyanの露光条件と濃度0.5になる信号値のCyanのパッチを形成し、その上にMagentaの露光条件を変更したベタパッチを重ね、薄いBlueの混色パッチとなる。また、Cyan条件算出時と同様に中間調パッチも出力しておくが、この中間調パッチにはCyanは使用せず、Magenta単色で中間調パッチを形成する。
【0049】
これ以降S824乃至S828までのフローはCyan算出時のフローS814乃至S818と同じであるため説明を省略する。続いて、S829において、MFP制御部401は、Magentaのベタパッチと濃度0.5のCyanパッチで形成された薄いBlueパッチの色相から、規定色相になるLPWを算出する。さらに、S830において、MFP制御部401は、リソース管理部409にMagenta用の露光条件として保存し、後述するS831に進む。
【0050】
ここまでの処理で各色のLPWが決定されたことになる。色材量を規定の条件に保つためLPWを用いてVcontを変更しており、階調特性が変化する場合がある。よって、S831において、MFP制御部401は、各色決定されたLPWでのRGB輝度平均値を抽出し、S832で濃度変換を実行し、S833で規定の階調ターゲット(本発明ではドットゲイン15%カーブ)になるようγLUTを作成する。γLUTはLPWと同様にリソース管理部409に記録され、次回以降の通常画像形成時の階調補正に使用される。
【0051】
このように、本実施形態に係る自動階調補正によれば、YellowとBlackは濃度を利用して色材量を把握し、規定の色材量になるようVcont(LPW)を調整する。さらに、CyanはYellowの中間調を、MagentaはCyanの中間調を混色させ、2次色の色相で色材量を把握し、規定の色材量になるようVcont(LPW)を調整する。
【0052】
<色相情報で色材量を導出する原理>
次に、CyanとMagentaで使用した色相で色材量を導出する原理について説明する。図11及び図12にCyan、Magenta、Yellowのベタ部で色材量が多いときと少ないときの分光反射率差をグラフに示す。図11及び図12では、それぞれ横軸に波長を示し、縦軸に分光反射率を示す。また、図13の1301にステータスA濃度の分光感度特性を示し、図13の1302に本実施形態のリーダ部の分光感度特性(光源と受光部の総合感度)を示す。
【0053】
純粋なCyanの発色を求める場合、650nm付近のRedの吸収のみが支配的な分光反射率特性が望ましい。しかしながら色材量が多いとGreen(480nm付近)の反射率が下がるがBlueの反射率は比較的維持しているため、CyanからBlueに色相が変化してしまう。図11の1101に示すように、トナー高さが「低い」ものと「高い」ものを比較すると、Cyan濃度やリーダのRed輝度を検出している630〜650nm付近の反射率は、非常に軽微な反射率変化しか起きていない。即ち、高濃度部での濃度(輝度から濃度を演算したものを含む)は、色材量を把握できるだけの高精度検出はできていないことがわかる。
【0054】
図11の1102に示すように、Magentaは、色材量が多いとBlueの吸収が増大するがRedの反射率は比較的維持されている。つまり、色材量が多いとMagentaからRedに色相が変化している。またCyan同様に530nm付近の反射率低下はそれほど起こっておらず、この付近を見ている濃度やリーダのGreen輝度では十分な色材量を検出する分解能が得られず、濃度(輝度から濃度を演算したものを含む)では色材量を検出できないことがわかる。
【0055】
図12の1103に示すように、Yellowは、そもそもの分光反射率特性がBlue領域のみに吸収がある理想状態に近い特性で、色材量が変わったとしても若干暗くなる程度でそれほど色相に変化はない。Blue領域のみでの反射率低下度合いで十分判断でき、濃度であっても色材量を判断することができる。
【0056】
Blackは分光反射率がフラット(不図示)で、色材量が色相を変化させることはなく、可視光全体的に吸収が増える特性である。そのため、Yellowと同様に濃度で色材量を判断することができる。また、Yとは異なり、明度でのダイナミックレンジも確保できることから、明度(L*)で色材量を判断してもよい。
【0057】
以上の関係から、CyanとMagentaは、分光反射率特性上高濃度部の検出分解能が低いことがわかる。低分解能になると、電気的なノイズやテストパターンの浮きなどによるばらつきの影響を受け、色材量がばらついてしまう。この傾向は分光測色器やリーダにおける性能の差ではなく、単一スペクトルを見ているという点が支配的である。例えばステータスA濃度や、リーダのRGBから補色の関係の輝度値を抜き出し、濃度変換している系(従来の自動階調補正)がそれに値する。
【0058】
図14は、CIE L*a*b*空間のa*b*空間を示したものである。実線は、キヤノン製カラーコピー用紙CS−814(白色上質紙)の上にCyan(●)とMagenta(□)で形成した色度軌跡(色材量と色度)を示す。Cyanは色材量が多いとBlueの方向に、MagentaはRedの方向に、すなわち色相方向に変化しているのがわかる。この色相方向の変化は、主に顔料種や樹脂種に依存する項目であり、使用する材料によっても色相変化量とその方向性も変化する。
【0059】
点線は、白色上質紙のCS−814の上に濃度0.5のYellow中間調にCyanベタの色材量を変化させ混色させたパッチと、濃度0.5のCyan中間調パッチにMagentaの色材量を変化させ混色させたパッチの色度軌跡である。同じVcontで単色の載り量を合わせても、単色(実線)よりも混色させたもの(点線)の方が、色度の変化量が大きい。
【0060】
この現象を分光反射率で表したものが図15である。図15は、Cyanの色材量を3段階に変化させたとき(0.45、0.50、0.55mg/cm2)、下地を白色の紙のみ1501とYellowを混色させたとき1502を示す。1501のように、Wの下地におけるCyanの分光反射率は、430−500nm付近の吸収が弱い。また、1502のように、Yellowを混色させると短波長(ブルー)領域を多く吸収させ、500nm付近(Green)の吸収されない波長域が残る。この残った反射率部分でGreenを発色させている。
【0061】
注目部分は450nm付近のYellowによって強制的に吸収された部分である。この部分は色材量を変えても分光反射率変化は少ない。一方、W下地での450nm付近は色材量に応じて分光反射率は変化している。つまり、Yellowによって強制的に光を吸収させた結果、反射率の山の形状を歪な形に変化させたことになる。このように反射率の山の形状を歪な形に変化させると、色相が変化する。1502の場合は、Greenからブルー方向へ色相を変化させている。
【0062】
このW下地とYellow下地の強制的な色相変化度合いを比較したものを図16に示す。Cyan載り量“少”と“中”、“中”と“大“で発生する色相差を縦軸にとったもので、同じ色材量を変更させたにもかかわらず、Yellow下地の方が色相変化が大きいことがわかる。本発明ではこの現象を利用して、高精度最大色材量補正を行っている。この現象は、色相が変化する色材の材料(顔料や樹脂など)が変更された場合には、色相変化の量とその方向性を把握しておくことが重要となる。
【0063】
本発明で使用した各色の最大色材量付近における色相変化は、CyanはBlueより、MagentaはRedより、Yellowは色相変化が少なかった。例えばCyanは逆の色相であるGreenへ色相が変化をするのであれば、下地をYellowではなくMagentaをCyanに混色させるべきである。同様に、Magentaも本実施例とは逆のBlueへ色相が変化をするのであれば、CyanではなくYellowを混色させるべきである。さらに言うと、Blackトナーのように色相変化がない色材の場合も注意を要する。軽微ではあるものの単色での色相変化が生じているからこそ、二色時にも色相変化が起きている。つまり、単色での色相変化がある色材の場合は、本発明を適用することが望ましい。
【0064】
これら本発明の適応条件をまとめる。
1. 色の最大色材量付近で色相変化が顕著である場合
2. 色の色相変化方向が把握できる場合
3. 濃度、明度、彩度など、単色での測定分解能よりも、上記二色時の強調させた色相での測定分解能の方が高い場合
上記1〜3に合致すれば本発明を適用することが望ましい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数色を重ねたテストチャートをカラープリンタ部で出力し、画像形成装置に搭載されているカラーリーダで色相情報に変換する。さらに、色材量が規定条件になるよう作像条件(Vcont(イメージ露光方式の場合は現像バイアス(Vdc)と露光量で決定)))を変更する。これにより、本実施形態は、2次色の色相変化を利用した高精度最大色材量補正を実行することで、飛び散りや定着不良などの画像不良や故障を防ぐことができる。
【0066】
<第2の実施形態>
以下では、本発明の第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、最大色材量を算出するためのメディアを標準紙(例えば、キヤノン社製普通紙CS−814)とした。その標準紙を用いて、他色を混色させた色相を検知するため、まずはYellowの濃度を基準にCyanを、Cyanを調整した後Magentaを補正した。このYellowは比較的高濃度部での分解能が保てているために従来方式を使用したが、プリンタ部の面内一様性やページ間のバラツキの影響を受ける可能性がある。そこで、本実施形態では、プリンタ部のバラツキを排除するため、自動階調補正専用の用紙であるCAL専用紙を使用する。
【0067】
例えば、Cyan色材量補正時にはキヤノンPPC用カラー(色紙)64g/m2クリームを使用し、Magenta色材量補正時にはブルーを使用すればよい。ただし、予め分光反射率を把握し、色材量と色相の関係を算出して、リソース管理部409に規定色相値を更新しておく必要がある。また、階調補正(γLUT作成)であるが、特願2008−220568のように濃度から網点%に変換し、網点%が規定ターゲット(ドットゲイン15%)になるように変更することで、色紙でも規定のターゲットになるよう階調を補正する。
【0068】
<第3の実施形態>
以下では、図17を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態では複数の色紙を用いて補正していた。ユーザビリティーに課題が残るため、1枚に構成変更していることが特徴である。図17に本実施形態で使用するCAL専用紙を示す。
【0069】
A3サイズに、規定の濃度(0.48±0.01)であることを確認されたYellowのパッチとCyanのパッチを印字しておき、プリンタ部の色材量補正時にこの専用紙を使用してCyanとMagentaのLPWを調整する。このCAL専用紙の下側にはBlackとYellowの図9に示したテストチャートも印字できるスペースを確保することで、上記第1の実施形態で述べた3枚の出力を1枚に抑えることができる。なお、本CAL専用紙はパッチの枠線は設けていない。また、本実施形態の工夫として、用紙のレジズレを考慮し、パッチエッジから3mm程度(所定のマージン)内側におけるリーダの読取値の平均値を使用している。さらに、複数回定着することを考慮し、CAL専用紙は若干濃度を低く設定している。
【0070】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー等の色材を紙上に印字する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置では、感光体と呼ばれる像担持体が一次帯電器によって帯電され、当該像担持体上にレーザなどの光学系によって潜像が形成される。当該潜像は、トナーと呼ばれる色材を有する現像器によって、像担持体上でトナーを用いて現像される。現像され、像担持体に保持されているトナーは、1回もしくは2回目の転写によって紙上に転写され、熱定着装置によって紙に固着される。電子写真方式の基本印字プロセスは、上記静電現象を用いているため、温湿度の影響を受け易い。そのため、上記不安定さを解決するため多くの安定化技術が提案されてきた。例えば、特許文献1には、自動階調補正を有する電子写真方式の画像形成装置における安定化技術が提案されている。
【0003】
自動階調補正は、複数のパッチ郡からなるテストチャートを紙上に出力し、RGBのカラーリーダでパッチを読み取り、補色対応関係(Red→Cyan、Green→Magenta、Blue→Yellow、Green→Black)のRGB輝度情報を抽出する。抽出した輝度情報は、予め保持している輝度と濃度の関係を表したLUT(ルックアップテーブル、以下、輝度濃度変換テーブルと称する。)で濃度情報に変換される。パッチごとに濃度変換を行い、所望濃度になる印字条件を算出し、次回以降の印字条件として登録される。上記濃度は、紙の凹凸と分光特性(白色度など)の影響を受ける。そのため最大濃度を調整したからといって、最大色材量が規定量になるとは限らない。特許文献2では、白色度や凹凸が管理されたCAL(calibration)専用メディアを用いてCALを実行することにより、濃度を規定値にし、また色材も規定量に制御する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−75067号公報
【特許文献2】特開2007−27211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には以下に記載する問題がある。従来の濃度を用いた最大色材量の決定方法は、色材の分光反射率とリーダの分光感度との関係で特に高濃度部における分解能が不足し、精度が不足していた。図11の1101に示すように、最大濃度部の分光特性は色材量が変化しても検知している分光波長帯の変化は少なく、パッチチャートの浮きや各種ノイズの影響によって濃度値がばらつき、正確な色材量を把握できていなかった。その結果、最大色材量の補正結果にばらつきが発生し、色材量の増加、飛び散り、粒状性の悪化、定着不良などが発生していた。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、色の分光特性を考慮して、色材量を制御するためのテストパターンを形成し、色材量の増加を抑え、飛び散りや粒状性定着不良などの画像不良を防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、例えば、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色の記録材に形成することにより、混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段とを備え、前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色のパッチが形成された記録材に重ねて形成することにより、混色パッチを形成し、前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、色の分光特性を考慮して、色材量を制御するためのテストパターンを形成し、色材量の増加を抑え、飛び散りや粒状性定着不良などの画像不良を防止する画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略図。
【図2】第1実施形態に係る読み取り部の概略図。
【図3】第1実施形態に係る操作部の概略図。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置の概略ブロック図。
【図5】第1実施形態に係る入力画像処理部の概略ブロック図。
【図6】第1実施形態に係るRIP部の概略ブロック図。
【図7】第1実施形態に係る出力画像処理部の概略ブロック図。
【図8】第1実施形態に係る実施例1のフローチャート。
【図9】第1実施形態に係るYellowとBlackの色材量決定時のテストパターンを示す概略図。
【図10】第1実施形態に係るCyan色材量決定時のテストパターン示す概略図。
【図11】第1実施形態に係る分光反射率特性の説明図。
【図12】第1実施形態に係る分光反射率特性の説明図。
【図13】第1実施形態に係るステータスAとリーダの分光感度特性の説明図。
【図14】第1実施形態に係る混色時の色度軌跡の説明図。
【図15】第2実施形態に係る分光反射率の説明図。
【図16】第2実施形態に係る色相変化を示す説明図。
【図17】第3実施形態に係るテストチャートを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<第1の実施形態>
<画像形成装置の構成>
まず、図1を参照して、電子写真方式のプリンタ部101とスキャナ部102とを有するMFP100の構成について説明する。ここでは、画像形成装置の一例としてMFP(multi-function peripheral)100を例に説明する。プリンタ部101は、レーザ露光部103、作像部104、定着部105、給紙/搬送部106及び、これらを制御するプリンタ制御部から構成される。スキャナ部102は、原稿台に置かれた原稿に対して、光を照射し原稿画像を光学的に読み取り、その像をRGBカラー電気信号に変換して画像データを作成する。スキャナ部102の解像度は600dpiである。
【0014】
レーザ露光部103は、画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)に入射させ、反射走査光として感光ドラム(像担持体)の表面に照射する。作像部104は、感光ドラムを回転駆動し、帯電器によって感光ドラムを帯電させ、レーザ露光部103によって感光ドラム上に形成された静電潜像をトナーによって現像化する。さらに、作像部104は、そのトナー像(現像剤像)をシート(記録材)に転写し、その際に転写されずに感光ドラム上に残った微小トナーを回収するといった一連の電子写真プロセスを実行して作像する。その際、シートが転写ベルトの所定位置に巻きつき、4回転する間に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを持つそれぞれの現像ユニット(現像ステーション)が入れ替わりで順次前述の電子写真プロセスを繰り返し実行する。
【0015】
4回転の後、4色のフルカラートナー像が転写されたシートは、転写ドラムを離れ、定着部105へ搬送される。定着部105は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、作像部104によってトナー像が転写されたシート上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
【0016】
給紙/搬送部106は、シートカセットやペーパーデッキに代表されるシート収納庫を1つ以上有しており、プリンタ制御部の指示に応じてシート収納庫に収納された複数のシートの中から一枚分離し、作像部104、定着部105へ搬送する。シートは作像部104の転写ドラムに巻きつけられ、4回転した後に定着部105へ搬送される。4回転する間に前述のYMCK各色のトナー像がシートに転写される。また、シートの両面に画像形成する場合は、定着部105を通過したシートを再度作像部104へ搬送する搬送経路を通るように制御される。
【0017】
プリンタ部101はプリンタ制御部(不図示)を内蔵しており、MFP全体を制御するMFP制御部と通信して、その指示に応じて制御を実行する。さらに、プリンタ部101は、前述のスキャナ、レーザ露光、作像、定着、給紙/搬送の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
【0018】
なお、後述する複数色を用いた自動階調補正時は、上記スキャナ部102のCCDセンサに入力したRGB情報を用いて色相を算出する。また、本発明に係わる色材は、ポリエステル樹脂80−90%、着色材として、無彩色である黒色は無機物、有彩色であるイエロー/マゼンタ/シアンは有機顔料を使用している。
マゼンタ(M) :キナクリドン
シアン (C) :フタロシアニンブルー
イエロー(Y) :ジスアゾイエロー
ブラック(K) :カーボンブラック
本発明では上記を使用して説明するが、本発明の構成を満足する色材(顔料や染料)であれば問題ない。例えば、ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ、キノリンエローレーキ、マラカイトグリーンレーキ、アリザリンレー、カーミン6B、レーキレットC、ジスアゾエロー、レーキレット4R、クロモフタルエロー3G、クロモフタルスカーレットRN、ニッケルアゾエロー、ペンズイダゾロンアゾ、パーマネントオレンジHL、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、フラバンスロンエロー、チオインジゴボルドー、ペリノンRed、ジオキサドンバイオレット、キナクリドンRed、ナフトールエローS、ピグロントグリーンB、ルモゲンエロー、シグナルRed、アルカリブルー、アニリンブラック、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、カーミン、キナクリドン、ローダミン、銅フタロシアニン等の有機顔料を用いることができる。トナーの色度は、上記樹脂と顔料が主に決定している。
【0019】
<スキャナ部の構成>
次に、図2を参照して、プリンタ部101の上部に取り付けられたスキャナ部102の構成について説明する。図2において、読み取られるべき原稿Dは、原稿台ガラス201の上に載置され、図3を用いて後述する操作部300のスタートキーが押下されたり、スキャナドライバのOKキーが押下されたりするなどをトリガとして、スキャン動作を開始する。
【0020】
スキャン動作を開始すると、第1ミラーユニット202と第2ミラーユニット203は、一旦ホームポジションセンサ204が位置するホームポジションまで戻り、原稿照明ランプ205を点灯し、原稿Dに光を照射する。原稿Dからの反射光は、第1ミラーユニット202の第1ミラー206と、第2ミラーユニット203の第2ミラー207と、第3ミラー208とを経由して、レンズ209を通してCCDセンサ220上に結像され、光信号としてCCDセンサ220に入力される。なお、第1ミラーユニット202、第2ミラーユニット203の移動は、スキャナモータ210で駆動される。
【0021】
<操作部の構成>
次に、図3を参照して、MFP100に設けられる操作部300の構成について説明する。操作部300は、図3に示すように、キー入力部301と、表示部であるタッチパネル部302とを備える。キー入力部には、各種ハードウェアキーが設けられ、例えば、テンキー、電源キー、スタートキー等が設けられる。タッチパネル部302は、タッチ式の液晶パネルを備え、ソフトウェアキーを表示し、ユーザ操作を受け付けることができる。
【0022】
<画像形成装置の制御構成>
次に、図4を参照して、MFP100の制御構成について説明する。MFP100は、ネットワークとの接続を可能にするインタフェースや、各種画像処理を実行する画像処理部を有する。MFP100は、自装置内部に複数のジョブのデータを記憶可能なハードディスク等のメモリを具備し、スキャナ部102から出力されたジョブデータに対しメモリを介してプリンタ部101でプリント可能にするコピー機能を有する。さらに、MFP100は、コンピュータ等の外部装置から出力されたジョブデータに対し当該メモリを介してプリンタ部101でプリント可能にするプリント機能等の複数の機能を有する。
【0023】
図4に示すように、MFP100は、外部とのインタフェースとして、スキャナ部102、FAX部403、NIC部404、専用I/F部405、及びUSBI/F部406を備える。スキャナ部102は、原稿などの画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理する。FAX部403は、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行う。NIC(Network Interface Card)部404は、ネットワークを利用して画像データや装置情報をやりとりする。専用インタフェース部(専用I/F部)405は、外部装置と画像データなどの情報交換を行う。USBインタフェース(USB I/F)部406は、USB(Universal Serial Bus)メモリ(リムーバブルメディアの一種)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受する。
【0024】
また、MFP100は、制御構成として、プリンタ部101、MFP制御部401、操作部300、RIP部413、出力画像処理部412、後処理部410、圧縮伸張部407、文書管理部408、及びリソース管理部409を備える。MFP制御部401では、MFP100の用途に応じて画像データを一時保存したり、経路を決定したりといった交通整理の役割を担う所謂CPUである。文書管理部408は、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリを具備する。MFP制御部401は、例えば、上述した各インタフェースからの画像データを当該ハードディスクに格納するよう制御する。また、MFP制御部401は、文書管理部408で管理されている画像データ、即ち、上記ハードディスクに格納された画像データを適宜読み出して、プリンタ部101の出力部に転送して、プリンタ部101によるプリント処理等の出力処理を実行可能に制御する。さらに、MFP制御部401は、オペレータからの指示により、ハードディスクから読み出した画像データを、コンピュータや他の画像形成装置等の外部装置に転送可能に制御する。
【0025】
圧縮伸張部407は、画像データを文書管理部408に記憶する際に、必要に応じて、画像データを圧縮して格納したり、逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻したりするなどの処理を行っている。また、圧縮伸張部407は、ネットワークを経由して、JPEG、JBIG、ZIPなどの形式で圧縮データを受信すると当該データを解凍(伸張)する。
【0026】
また、リソース管理部409は、フォント、ガンマテーブルなど共通に扱われる各種パラメータテーブルなどを格納しており、必要に応じて呼び出すことができると共に、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
【0027】
自動階調補正時は、出力画像処理部412によってテストパターンが生成されてプリンタ部101に対して出力情報が送信され、プリンタ部101によって出力される。ここで、ユーザが出力されたテストパターンをスキャナ部102でスキャンさせる。スキャナ部102からスキャンデータが、実際の色材量演算を実施する出力画像処理部412へ送られ、出力画像処理部412は、その色材量補正情報を生成し、リソース管理部409に格納する。MFP制御部401は、リソース管理部409に格納された色材量補正情報をプリンタ部101に送信する。
【0028】
MFP制御部401では、PDLデータが入力されると、RIP部413でRIP(Raster Image Processor)処理を施したり、プリントする画像に対して、必要に応じて出力画像処理部412でプリントのための画像処理を行ったりする。さらに、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、文書管理部408で再度格納することもできる。そして、画像形成を行うプリンタ部101に送られる。プリンタ部101でプリントアウトされたシートは後処理部410へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0029】
ここで、MFP制御部401は円滑にジョブを流す役割を担っており、MFP100の使い方に応じて、以下のようにパス切り替えが行われている。但し、中間データとして画像データを必要に応じて格納することは一般に知られているが、ここでは文書管理部408が始点、終点になる以外のアクセスは表記しない。また、必要に応じて利用される圧縮伸張部407と後処理部410、あるいは、全体のコアとなるMFP制御部401などの処理は省略して、おおよそのフローがわかるように記載する。
A)複写機能:スキャナ部102→出力画像処理部412→プリンタ部101
B)FAX送信機能:スキャナ部102→FAX部403
C)FAX受信機能:FAX部403→出力画像処理部412→プリンタ部101
D)ネットワークスキャン:スキャナ部102→NIC部404
E)ネットワークプリント:NIC部404→RIP部413→出力画像処理部412→プリンタ部101
F)外部装置へのスキャン:スキャナ部102→専用I/F部405
G)外部装置からのプリント:専用I/F部405→出力画像処理部412→プリンタ部101
H)外部メモリへのスキャン:スキャナ部102→USB I/F部406
I)外部メモリからのプリント:USB I/F部406→RIP部413→出力画像処理部412→プリンタ部101
J)スキャンボックス機能:スキャナ部102→出力画像処理部412→文書管理部408
K)ボックスプリント機能:文書管理部408→プリンタ部101
L)ボックス受信機能:NIC部404→RIP部413→出力画像処理部412→文書管理部408
M)ボックス送信機能:文書管理部408→NIC部404
N)プレビュー機能:文書管理部408→操作部300
O)色材量補正:出力画像処理部412→プリンタ部101→スキャナ部102→出力画像処理部412→リソース管理部409→プリンタ部101。
【0030】
<スキャナ部の制御構成>
次に、図5を参照して、スキャナ部102内の画像データのフローと制御構成について説明する。RGBの1ラインCCDセンサ220を用いて、読み込まれた画像は、600dpiの電気信号に変換され、RGBの画像データとしてA/D変換部521に入力される。A/D変換部521は、ゲイン調整とオフセット調整を行い、各色8ビットの画像データに変換される。
【0031】
シェーディング補正部522はスキャナ部102内に配置された画像処理ブロックである。シェーディング補正部522では、基準白色板の読み取り信号を用いて、CCDセンサ220の各画素の感度ばらつきや原稿照明ランプの光量のばらつきなどを補正する。通常の複写処理の場合、シェーディング補正処理の次の処理はフィルタ処理である。フィルタ処理部523では、注目画素と複数の周辺画素を含めて畳み込み積分を行い、CCDセンサ220から取り込まれた画像をより鮮鋭にみせる処理を施す。RGB→CMYK色変換部524は、入力されたリーダRGB信号をプリンタCMYKに多次元ダイレクトマッピング手法を用いて色変換する。変換されたプリンタCMYK情報は、MFP制御部401を介し、出力画像処理部412に向かう。
【0032】
本実施形態に関連する色材量補正時は、シェーディング補正部522の後、RGBからL*a*b*色への変換と、RGBから濃度への変換とを実施し、色材量を解析する際に使用する。これらのデータは、L*a*b*濃度合成部529によって合成され、CMYKデータ同様、MFP制御部401を介し、出力画像処理部412に伝達される。
【0033】
<RIP部の制御構成>
次に、図6を参照して、RIP部413の制御構成について説明する。RIP(Raster Image Processor)とは、PDL(Page Description Language)で記述された文字、線画、図形などのベクトル情報、又は、色、パターン、写真などの画像走査線情報などを同時にページ上に再現するために、それぞれのオブジェクト情報をメモリ上にビットマップ(ラスタイメージ)展開するプロセッサである。元来、ハードウェアとして出力装置側に搭載されていたが、現在では、CPUの高速化によりソフトウェアで実現されている。
【0034】
RIP部413は、一般に、インタプリタ部630とレンダリング部631との2つの部分から成り立っている。インタプリタ部630は、PDLの翻訳を行うPDL解釈部632と、解釈したPDLデータからディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルを生成するDL(Display List)生成部633とを備える。一方、レンダリング部631は、ディスプレイリストをビットマップ(ラスタイメージ)に展開するDL展開部634とRGB→CMYK又はC’M’Y’K’→CMYKなど、入力した色情報からプリンタCMYKに変換するCMYK変換部635を備える。さらに、レンダリング部631は、ユーザから指示された明るさ調整やトーンカーブ調整を実施する階調変換部636を備える。
【0035】
ディスプレイリストに対してPDL解釈部632は、入力されてきた様々な種類のPDLデータを解析する部分である。入力フォーマットとしては、Adobe社のPostScript(登録商標)言語やHP(Hewlett−Packard)社のPCL(Printer Control Language)言語などが有名である。これらは、ページ単位の画像を作成するためのプリンタ制御コードで記載されており、単純な文字コードのほか、図形描画のコードや写真画像のコードなども含まれている。また、PDF(Portable Document Format)というAdobe社の開発した文書表示用ファイル形式も様々な業界で多用されており、ドライバを使用せず直接MFPに投げ込まれたこのフォーマットも対象としている。そのほか、PPML(Personalized Print Markup Language)と呼ばれるVDP(Variable Data Print)向けフォーマット、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)と呼ばれるカラー画像の圧縮フォーマットなどにも対応している。
【0036】
<出力画像処理部の制御構成>
次に、図7を参照して、出力画像処理部412の構成について説明する。出力画像処理部412は、通常作像時と色材量補正時の処理ブロックが異なる。MFP制御部401から通常作像用のCMYK画像データが入力された出力画像処理部412は、HT(ハーフトーン)処理毎に保持している階調補正テーブル(一次元LUT、以下γLUTという)を用いて所望の階調特性になるよう階調補正部740で補正する。
【0037】
HT処理部741は、擬似中間調処理を実行する画像処理部で、多値ディザ法を用いて134lpi(Line Per Inch)や166lpi等のスクリーン画像を形成する。スクリーンによってプリンタエンジンの濃度階調は異なることから、ディザ毎にγLUTを用意する必要がある。
【0038】
一方、色材量補正時は、スキャナ部102で変換されたL*a*b*データを以下の式を用いて色相(h)に変換し、色材量算出部744へ送る。
h=tan−1(b*/a*)[degree]・・・(式1)
同様にスキャナ部102で変換されたDensityデータも色材量算出部744へ送られる。
【0039】
色材量算出部744は上記色相(h)情報とDensity情報を用いてテストパターン毎の色材量を算出し、その結果を出力条件決定部745へ送る。出力条件決定部745は、テストパターン毎の色材量を解析し、ターゲットの色材量になるよう適正なVcont値を算出し、MFP制御部401を介してリソース管理部409やプリンタ部101に送信する。
【0040】
<色材量変更方法>
色材量を変更する方法は、Vcont(現像コントラストとも称する。)と呼ばれる現像電位Vdcと露光部電位(Vl)との電位差分を大きくすることが一般的に実施される。現像電位は面内、特に画像形成装置の奥手前方向で変更することは難しい。また、暗部電位(Vd)を支配している帯電バイアスも同様である。一方、露光電位はレーザーパワー(以下、LPW)を面内で変更することは比較的容易にできるため、本実施形態ではVcontを変更するためにLPWを使って露光部電位を変更する一例について説明する。
【0041】
<色材量補正の基本フロー>
次に、図8を参照して本実施形態に係る色材量補正の基本フローについて説明する。なお、以下で説明する色材量補正処理は、画像形成装置内のプログラムを、MFP制御部401(CPU)が実行することにより実現される。まず、S801において、MFP制御部401は、操作画面から自動階調補正(色材量補正)の実行が指示されたか否かを判定し、指示されたと判定すると、S802に進む。S802において、MFP制御部401は、テストパターンの出力前に標準的な画像形成条件に戻すため、電位制御を実行しテストパターン出力に備える。
【0042】
電位制御が終了し、画像形成条件が決定すると、MFP制御部401は、プリンタ部101によって、図9のBlackとYellowの色材量検出用のテストパターンを標準紙(例えばキヤノン社製普通紙CS−814)に出力する。図9に示すように、当該テストパターンは、段階的に濃度変化させた複数の単色パッチからなる。出力されたテストパターン画像は、S804でユーザによってリーダ(スキャナ部102)へ載置され、S805で、MFP制御部401は、操作画面からの読み込み指示に応じてテストパターンをスキャナ部102を用いて読み込む。
【0043】
次に、S806において、MFP制御部401は、読み取られたテストパターンの読取結果から、各パッチに対して平均化処理を行い、S807でRGBからDensity(濃度)に変換する。ここでは、メモリ等に格納された輝度−濃度変換テーブルが使用される。
【0044】
次に、S808において、MFP制御部401は、図9に示す100%信号部(以下、ベタと称する。)に注目し、その濃度値と予め保持する色材量との相関データを定義した濃度―色材量変換テーブルを用いて、S807の濃度を色材量情報に変換する。続いて、S809において、MFP制御部401は、色材量が規定値になるBlackとYellowの露光条件(LPW)を算出し、S810でリソース管理部409に保存する。さらに、S811において、MFP制御部401は、算出されたYellowのLPWで形成されたYellowの中間調パッチで、濃度が0.5(条件は例えばステータスA)に相当する階調を線形補間演算で求める。その後、S812において、MFP制御部401は、LPW同様リソース管理部409にYellowの中間調信号値として保存し、後述するS831に進む。なお、Blackについては中間調信号値を保存しない。
【0045】
S813において、MFP制御部401は、決定されたYellowの露光条件と濃度0.5の信号値のYellowのパッチを図10のように形成し、その上にCyanの露光条件を変更したベタパッチを重ね、薄いGreenの混色パッチを形成する。また、Yellow条件算出時と同様に中間調パッチも出力しておくが、この中間調パッチにはYellowは使用せず、Cyan単色で中間調パッチを形成する。なお、当該中間調パッチは、図9と同様に、段階的に濃度変化させた複数の単色パッチからなる。
【0046】
S814において、Yellow時と同じように、ユーザによってテストチャートがリーダへ載置される。S815で操作画面から読み取り指示が入力されると、S816において、MFP制御部401は、各パッチに対して平均化処理を行う。続いて、S817において、MFP制御部401は、CとYを重ねたパッチについて、予め記憶されているRGB→L*a*b*変換テーブルからL*a*b*情報に変換する。さらに、S818において、MFP制御部401は、L*a*b*情報になったパッチ情報について、上記式1を用いて色相情報を算出する。
【0047】
次に、S819において、MFP制御部401は、Cyanのベタパッチと濃度0.5のYellowパッチで形成された薄いGreenパッチの色相が規定の色相となるCyanのLPWを算出する。続いて、S820において、MFP制御部401は、S819で算出したLPWをリソース管理部409にCyanのLPWとして保存する。Yellow同様、S821において、MFP制御部401は、算出されたLPWで形成されたCyanの中間調パッチで、濃度が0.5に相当するパッチを演算で求める。さらに、S822において、MFP制御部401は、その結果をリソース管理部409にCyan用の露光条件として保存し、後述するS831に進む。
【0048】
次に、S823において、MFP制御部401は、図10のYellowがCyanに、CyanがMagentaに変更されたようなCとMで構成されるテストチャートを作成する。テストチャートは、決定されたCyanの露光条件と濃度0.5になる信号値のCyanのパッチを形成し、その上にMagentaの露光条件を変更したベタパッチを重ね、薄いBlueの混色パッチとなる。また、Cyan条件算出時と同様に中間調パッチも出力しておくが、この中間調パッチにはCyanは使用せず、Magenta単色で中間調パッチを形成する。
【0049】
これ以降S824乃至S828までのフローはCyan算出時のフローS814乃至S818と同じであるため説明を省略する。続いて、S829において、MFP制御部401は、Magentaのベタパッチと濃度0.5のCyanパッチで形成された薄いBlueパッチの色相から、規定色相になるLPWを算出する。さらに、S830において、MFP制御部401は、リソース管理部409にMagenta用の露光条件として保存し、後述するS831に進む。
【0050】
ここまでの処理で各色のLPWが決定されたことになる。色材量を規定の条件に保つためLPWを用いてVcontを変更しており、階調特性が変化する場合がある。よって、S831において、MFP制御部401は、各色決定されたLPWでのRGB輝度平均値を抽出し、S832で濃度変換を実行し、S833で規定の階調ターゲット(本発明ではドットゲイン15%カーブ)になるようγLUTを作成する。γLUTはLPWと同様にリソース管理部409に記録され、次回以降の通常画像形成時の階調補正に使用される。
【0051】
このように、本実施形態に係る自動階調補正によれば、YellowとBlackは濃度を利用して色材量を把握し、規定の色材量になるようVcont(LPW)を調整する。さらに、CyanはYellowの中間調を、MagentaはCyanの中間調を混色させ、2次色の色相で色材量を把握し、規定の色材量になるようVcont(LPW)を調整する。
【0052】
<色相情報で色材量を導出する原理>
次に、CyanとMagentaで使用した色相で色材量を導出する原理について説明する。図11及び図12にCyan、Magenta、Yellowのベタ部で色材量が多いときと少ないときの分光反射率差をグラフに示す。図11及び図12では、それぞれ横軸に波長を示し、縦軸に分光反射率を示す。また、図13の1301にステータスA濃度の分光感度特性を示し、図13の1302に本実施形態のリーダ部の分光感度特性(光源と受光部の総合感度)を示す。
【0053】
純粋なCyanの発色を求める場合、650nm付近のRedの吸収のみが支配的な分光反射率特性が望ましい。しかしながら色材量が多いとGreen(480nm付近)の反射率が下がるがBlueの反射率は比較的維持しているため、CyanからBlueに色相が変化してしまう。図11の1101に示すように、トナー高さが「低い」ものと「高い」ものを比較すると、Cyan濃度やリーダのRed輝度を検出している630〜650nm付近の反射率は、非常に軽微な反射率変化しか起きていない。即ち、高濃度部での濃度(輝度から濃度を演算したものを含む)は、色材量を把握できるだけの高精度検出はできていないことがわかる。
【0054】
図11の1102に示すように、Magentaは、色材量が多いとBlueの吸収が増大するがRedの反射率は比較的維持されている。つまり、色材量が多いとMagentaからRedに色相が変化している。またCyan同様に530nm付近の反射率低下はそれほど起こっておらず、この付近を見ている濃度やリーダのGreen輝度では十分な色材量を検出する分解能が得られず、濃度(輝度から濃度を演算したものを含む)では色材量を検出できないことがわかる。
【0055】
図12の1103に示すように、Yellowは、そもそもの分光反射率特性がBlue領域のみに吸収がある理想状態に近い特性で、色材量が変わったとしても若干暗くなる程度でそれほど色相に変化はない。Blue領域のみでの反射率低下度合いで十分判断でき、濃度であっても色材量を判断することができる。
【0056】
Blackは分光反射率がフラット(不図示)で、色材量が色相を変化させることはなく、可視光全体的に吸収が増える特性である。そのため、Yellowと同様に濃度で色材量を判断することができる。また、Yとは異なり、明度でのダイナミックレンジも確保できることから、明度(L*)で色材量を判断してもよい。
【0057】
以上の関係から、CyanとMagentaは、分光反射率特性上高濃度部の検出分解能が低いことがわかる。低分解能になると、電気的なノイズやテストパターンの浮きなどによるばらつきの影響を受け、色材量がばらついてしまう。この傾向は分光測色器やリーダにおける性能の差ではなく、単一スペクトルを見ているという点が支配的である。例えばステータスA濃度や、リーダのRGBから補色の関係の輝度値を抜き出し、濃度変換している系(従来の自動階調補正)がそれに値する。
【0058】
図14は、CIE L*a*b*空間のa*b*空間を示したものである。実線は、キヤノン製カラーコピー用紙CS−814(白色上質紙)の上にCyan(●)とMagenta(□)で形成した色度軌跡(色材量と色度)を示す。Cyanは色材量が多いとBlueの方向に、MagentaはRedの方向に、すなわち色相方向に変化しているのがわかる。この色相方向の変化は、主に顔料種や樹脂種に依存する項目であり、使用する材料によっても色相変化量とその方向性も変化する。
【0059】
点線は、白色上質紙のCS−814の上に濃度0.5のYellow中間調にCyanベタの色材量を変化させ混色させたパッチと、濃度0.5のCyan中間調パッチにMagentaの色材量を変化させ混色させたパッチの色度軌跡である。同じVcontで単色の載り量を合わせても、単色(実線)よりも混色させたもの(点線)の方が、色度の変化量が大きい。
【0060】
この現象を分光反射率で表したものが図15である。図15は、Cyanの色材量を3段階に変化させたとき(0.45、0.50、0.55mg/cm2)、下地を白色の紙のみ1501とYellowを混色させたとき1502を示す。1501のように、Wの下地におけるCyanの分光反射率は、430−500nm付近の吸収が弱い。また、1502のように、Yellowを混色させると短波長(ブルー)領域を多く吸収させ、500nm付近(Green)の吸収されない波長域が残る。この残った反射率部分でGreenを発色させている。
【0061】
注目部分は450nm付近のYellowによって強制的に吸収された部分である。この部分は色材量を変えても分光反射率変化は少ない。一方、W下地での450nm付近は色材量に応じて分光反射率は変化している。つまり、Yellowによって強制的に光を吸収させた結果、反射率の山の形状を歪な形に変化させたことになる。このように反射率の山の形状を歪な形に変化させると、色相が変化する。1502の場合は、Greenからブルー方向へ色相を変化させている。
【0062】
このW下地とYellow下地の強制的な色相変化度合いを比較したものを図16に示す。Cyan載り量“少”と“中”、“中”と“大“で発生する色相差を縦軸にとったもので、同じ色材量を変更させたにもかかわらず、Yellow下地の方が色相変化が大きいことがわかる。本発明ではこの現象を利用して、高精度最大色材量補正を行っている。この現象は、色相が変化する色材の材料(顔料や樹脂など)が変更された場合には、色相変化の量とその方向性を把握しておくことが重要となる。
【0063】
本発明で使用した各色の最大色材量付近における色相変化は、CyanはBlueより、MagentaはRedより、Yellowは色相変化が少なかった。例えばCyanは逆の色相であるGreenへ色相が変化をするのであれば、下地をYellowではなくMagentaをCyanに混色させるべきである。同様に、Magentaも本実施例とは逆のBlueへ色相が変化をするのであれば、CyanではなくYellowを混色させるべきである。さらに言うと、Blackトナーのように色相変化がない色材の場合も注意を要する。軽微ではあるものの単色での色相変化が生じているからこそ、二色時にも色相変化が起きている。つまり、単色での色相変化がある色材の場合は、本発明を適用することが望ましい。
【0064】
これら本発明の適応条件をまとめる。
1. 色の最大色材量付近で色相変化が顕著である場合
2. 色の色相変化方向が把握できる場合
3. 濃度、明度、彩度など、単色での測定分解能よりも、上記二色時の強調させた色相での測定分解能の方が高い場合
上記1〜3に合致すれば本発明を適用することが望ましい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、複数色を重ねたテストチャートをカラープリンタ部で出力し、画像形成装置に搭載されているカラーリーダで色相情報に変換する。さらに、色材量が規定条件になるよう作像条件(Vcont(イメージ露光方式の場合は現像バイアス(Vdc)と露光量で決定)))を変更する。これにより、本実施形態は、2次色の色相変化を利用した高精度最大色材量補正を実行することで、飛び散りや定着不良などの画像不良や故障を防ぐことができる。
【0066】
<第2の実施形態>
以下では、本発明の第2の実施形態について説明する。上記第1の実施形態では、最大色材量を算出するためのメディアを標準紙(例えば、キヤノン社製普通紙CS−814)とした。その標準紙を用いて、他色を混色させた色相を検知するため、まずはYellowの濃度を基準にCyanを、Cyanを調整した後Magentaを補正した。このYellowは比較的高濃度部での分解能が保てているために従来方式を使用したが、プリンタ部の面内一様性やページ間のバラツキの影響を受ける可能性がある。そこで、本実施形態では、プリンタ部のバラツキを排除するため、自動階調補正専用の用紙であるCAL専用紙を使用する。
【0067】
例えば、Cyan色材量補正時にはキヤノンPPC用カラー(色紙)64g/m2クリームを使用し、Magenta色材量補正時にはブルーを使用すればよい。ただし、予め分光反射率を把握し、色材量と色相の関係を算出して、リソース管理部409に規定色相値を更新しておく必要がある。また、階調補正(γLUT作成)であるが、特願2008−220568のように濃度から網点%に変換し、網点%が規定ターゲット(ドットゲイン15%)になるように変更することで、色紙でも規定のターゲットになるよう階調を補正する。
【0068】
<第3の実施形態>
以下では、図17を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態では複数の色紙を用いて補正していた。ユーザビリティーに課題が残るため、1枚に構成変更していることが特徴である。図17に本実施形態で使用するCAL専用紙を示す。
【0069】
A3サイズに、規定の濃度(0.48±0.01)であることを確認されたYellowのパッチとCyanのパッチを印字しておき、プリンタ部の色材量補正時にこの専用紙を使用してCyanとMagentaのLPWを調整する。このCAL専用紙の下側にはBlackとYellowの図9に示したテストチャートも印字できるスペースを確保することで、上記第1の実施形態で述べた3枚の出力を1枚に抑えることができる。なお、本CAL専用紙はパッチの枠線は設けていない。また、本実施形態の工夫として、用紙のレジズレを考慮し、パッチエッジから3mm程度(所定のマージン)内側におけるリーダの読取値の平均値を使用している。さらに、複数回定着することを考慮し、CAL専用紙は若干濃度を低く設定している。
【0070】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、
前記画像形成装置が有する色材のうち、最大色材量付近で色相変化が顕著である特性を有する色材の色材量を制御するためのパッチとして、混色パッチと、複数の単色パッチを形成し、
前記画像形成装置が有する色材のうち、最大色材量付近で色相変化が顕著でない特性を有する色材の色材量を制御するためのパッチとして、複数の単色パッチを形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記混色パッチを形成して色材量を制御する色材は、さらに、色相変化の方向が把握できる特性と、濃度、明度又は彩度に関する単色での測定分解能よりも、混色での測定分解能の方が高い特性との少なくとも一方を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が有する色材には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタが含まれ、
前記混色パッチを形成して色材量を制御する色材には、シアン、マゼンタが含まれることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シアンの色材量を制御するための混色パッチは、イエローとシアンとを混色した2次色であり、
前記マゼンタの色材量を制御するための混色パッチは、シアンとマゼンタとを混色した2次色であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色の記録材に形成することにより、混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色のパッチが形成された記録材に重ねて形成することにより、混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記読取手段は、前記有彩色のパッチに重ねて形成されたテストパターンを読み取る際に、該テストパターンに含まれるパッチのエッジから所定のマージンを設け、該マージンの内側における読取値の平均値を出力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段は、
像担持体と、
前記像担持体を一様に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段によって帯電された像担持体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により前記像担持体に形成された静電潜像を色材を用いて現像する現像手段と、
前記現像手段によって現像された前記像担持体の現像剤像を記録材に転写する転写手段と
を備え、
前記制御手段は、前記露光手段が露光する際のレーザーパワーを制御することにより、各色の色材量を制御すること特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンとして、複数の有彩色の色材を用いた混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、
前記画像形成装置が有する色材のうち、最大色材量付近で色相変化が顕著である特性を有する色材の色材量を制御するためのパッチとして、混色パッチと、複数の単色パッチを形成し、
前記画像形成装置が有する色材のうち、最大色材量付近で色相変化が顕著でない特性を有する色材の色材量を制御するためのパッチとして、複数の単色パッチを形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記混色パッチを形成して色材量を制御する色材は、さらに、色相変化の方向が把握できる特性と、濃度、明度又は彩度に関する単色での測定分解能よりも、混色での測定分解能の方が高い特性との少なくとも一方を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置が有する色材には、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタが含まれ、
前記混色パッチを形成して色材量を制御する色材には、シアン、マゼンタが含まれることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シアンの色材量を制御するための混色パッチは、イエローとシアンとを混色した2次色であり、
前記マゼンタの色材量を制御するための混色パッチは、シアンとマゼンタとを混色した2次色であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色の記録材に形成することにより、混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
複数色の色材を用いて画像を形成する画像形成装置であって、
前記複数色の色材を用いて記録材にテストパターンを形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって記録材に形成されたテストパターンを読み取る読取手段と、
前記読取手段による読取結果に従って画像形成条件を変更することにより、各色の色材量を制御する制御手段と
を備え、
前記画像形成手段は、前記テストパターンを有彩色のパッチが形成された記録材に重ねて形成することにより、混色パッチを形成し、
前記制御手段は、前記混色パッチから単色の色材量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記読取手段は、前記有彩色のパッチに重ねて形成されたテストパターンを読み取る際に、該テストパターンに含まれるパッチのエッジから所定のマージンを設け、該マージンの内側における読取値の平均値を出力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段は、
像担持体と、
前記像担持体を一様に帯電する帯電手段と、
前記帯電手段によって帯電された像担持体の表面を露光することにより静電潜像を形成する露光手段と、
前記露光手段により前記像担持体に形成された静電潜像を色材を用いて現像する現像手段と、
前記現像手段によって現像された前記像担持体の現像剤像を記録材に転写する転写手段と
を備え、
前記制御手段は、前記露光手段が露光する際のレーザーパワーを制御することにより、各色の色材量を制御すること特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−88532(P2013−88532A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227432(P2011−227432)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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