説明

画像形成装置

【課題】帯電部材クリーニング工程の効率化を図ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写体の移動方向における2次転写位置よりも下流側かつ1次転写位置よりも上流側において、電圧が印加されることにより中間転写体上のトナーを帯電させる帯電部材に蓄積した蓄積トナーを中間転写体に移動させ、その後、中間転写体から像担持体に移動させてクリーニング部材から蓄積トナーを回収するべく、帯電部材に正電圧と負電圧が所定の時間比で交互に印加される帯電部材クリーニング工程を有する画像形成装置において、帯電部材クリーニング工程において、蓄積トナーが有する帯電極性のうち含有率が高い極性の電圧が印加される時間が、含有率の低い極性の電圧が印加される時間よりも長くなるように時間比が設定されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置として、中間転写体を使用した方式のものが知られている。中間転写体方式の画像形成装置では、1次転写工程と2次転写工程を経て、転写材上にカラー画像を形成することができる。
1次転写工程では、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体上に転写する。この1次転写工程を複数色のトナー像に関して繰り返し実行することにより、中間転写体の表面に複数色からなるトナー像を形成する。2次転写工程では、中間転写体上に形成された複数色のトナー像を紙などの転写材の表面に一括して転写する。転写材に転写されたトナー像は、その後、定着手段により転写材に定着される。これにより、フルカラー画像が形成される。
このとき、2次転写工程で転写材上に転写されず、中間転写体上に残留したトナー(2次転写残トナー)を、中間転写体上から除去する必要がある。残留したトナーを除去する方法として、特許文献1では、静電クリーニング部材を用いた方式が提案されている。すなわち、静電クリーニング部材として帯電ブラシ(帯電部材)を設け、当該部材に電圧を印加することで、中間転写体上の2次転写残トナーを所望の極性に帯電させる。そして、残留トナーを感光体に逆転写させることで中間転写体上から回収する。また、中間転写体上の転写残トナーの一部は、帯電ブラシの内部にも一時的に回収され、蓄積する。このようなトナーは、ページ間(紙間)や画像形成完了後(後回転)等に帯電ブラシから排出され、感光体に逆転写され回収される(帯電部材クリーニング工程)。
以上のような構成により、中間転写体のクリーニングが可能となり、以後の画像形成の1次転写工程に備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−205012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帯電部材に蓄積するトナーの帯電極性には、バラつきが生じている。その為、帯電部材に蓄積したトナーを帯電部材からクリーニングする際に、トナーの帯電極性に応じて電圧を印加する必要がある。しかしながら、従来は、帯電部材に蓄積するトナーの帯電極性の傾向を考慮していないため、必ずしも効率的に行われていなかった。
【0005】
本発明の目的は、帯電部材クリーニング工程の効率化を図ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体からトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
電圧が印加されることにより前記像担持体から前記中間転写体へトナー像を1次転写させる1次転写部材と、
電圧が印加されることにより前記中間転写体から転写材へトナー像を2次転写させる2次転写部材と、
前記中間転写体の回転方向における2次転写位置よりも下流側かつ1次転写位置よりも上流側において、電圧が印加されることにより前記中間転写体上のトナーを帯電させる帯電部材と、
前記像担持体上のトナーを除去可能なクリーニング部材と、
を備え、
前記帯電部材に蓄積した蓄積トナーを前記中間転写体に移動させ、その後、前記中間転写体から前記像担持体に移動させて前記クリーニング部材から前記蓄積トナーを回収するべく、前記帯電部材に正電圧と負電圧が所定の時間比で交互に印加される帯電部材クリーニング工程
を実行可能な画像形成装置において、
前記帯電部材クリーニング工程において、前記蓄積トナーが有する帯電極性のうち含有率が高い極性と同極性の電圧が印加される時間が、前記含有率の低い極性と同極性の電圧が印加される時間よりも長くなるように、前記時間比が設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、帯電部材のクリーニングを効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像形成装置の概略構成図。
【図2】2次転写残トナーのクリーニングシーケンスを示す図。
【図3】中間転写体上に形成される画像濃度調整用のパッチ画像の一例を示す図。
【図4】パッチ画像のクリーニングシーケンスを示す図。
【図5】帯電ブラシクリーニング工程の実行条件の一例を示す図表。
【図6】パッチ画像形成時の帯電ブラシの蓄積トナー量の長手位置依存性を示す図。
【図7】従来の帯電ブラシのクリーニングシーケンスを示す図。
【図8】トナーが中間転写体から回収される様子を示す模式図。
【図9】バイアス印加による帯電ブラシからのトナーの吐出しについて説明する図。
【図10】従来の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図。
【図11】帯電ブラシに蓄積したトナーの極性分布の一例を示す図。
【図12】実施例1の帯電ブラシのクリーニングシーケンスを示す図。
【図13】実施例1の帯電ブラシクリーニング工程における吐出し用帯電バイアスの印加時間の一例を示す図。
【図14】実施例1の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図。
【図15】実施例2の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図。
【図16】2次転写部における、長手方向の全トナー像の転写挙動を示す模式図。
【図17】実施例2の帯電ブラシクリーニング工程の実行条件の一例を示す図表。
【図18】広域印字工程における帯電ブラシに蓄積するトナーの量の長手位置依存性を示す図。
【図19】実施例2の帯電ブラシのクリーニングシーケンスを示す図。
【図20】実施例2の帯電ブラシクリーニング工程における吐出し用帯電バイアスの印加時間の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のもので
はない。
【0010】
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本発明の各実施例及び比較例に係る画像形成装置の概略構成図である。本画像形成装置は、中間転写ベルト方式を用いたタンデム型のカラー画像形成装置である。すなわち、本画像形成装置は、複数色成分(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に分解された画像情報に従って形成した各色のトナー像を、中間転写体上に順次に重ね合わせて1次転写する。その後、重ね合わされた各色のトナー像を転写材に一括して2次転写することで記録画像を得る。1Y,1M,1C,1Kは、静電潜像担持体(感光体)としての感光ドラムであり、アルミなどからなる芯金の外周面に有機感光層(OPC)からなる光導電体を塗布して構成されている。感光ドラム1Y〜1Kは、第二の像担持体(中間転写体)としての中間転写ベルト(Intermediate Transfer Belt。以下、ITB。)10に沿って順次配置され、外周速度V(以下、プロセス速度と呼ぶ)で矢印C1方向へ回転する。
【0011】
ITB10は、駆動ローラ11a、2次転写対向ローラ11b、張架ローラ11cの3本のローラ上に張架され、駆動ローラ11aが不図示のモーターによって回転することにより、矢印C3方向にプロセス速度で回転可能に駆動される。ITB10は、単層の樹脂製で体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cmのものを用いている。2次転写対向ローラ11bは、導電性のウレタン樹脂を表層にコートしたものを用いている。6Y〜6Kは、軸上に導電性スポンジ層を設けた1次転写部材としての1次転写ローラであり、それぞれITB10を介して感光ドラム1Y〜1Kに接している。
【0012】
なお、本画像形成装置では、感光ドラムの帯電電位と現像器内のトナーの帯電極性が共にマイナスであり、マイナスに帯電された感光ドラムに画像情報を露光してから、露光部をマイナストナーで現像する反転現像方式を採用している。
【0013】
<フルカラーの印字工程>
感光ドラム1Y〜1Kは、それぞれ不図示の駆動手段によって矢印C1方向に駆動され、帯電ローラ2Y〜2Kにより所定のマイナス電位に均一に帯電される。ITB10上において画像を転写させたい領域(以下、ITB上画像部)に画像が転写されるように、ITB上画像部の先端が各ステーションの転写部に進入するタイミングと同期をとって、露光装置3Y〜3Kにより露光が開始される。露光が開始されると、各色の画像情報に従った信号による光が、表面を均一にマイナス電位に帯電された感光ドラム1Y〜1Kに走査され、潜像が形成される。なお、潜像形成タイミングとITB上画像部の先端が各ステーションの1次転写部に進入するタイミングとの同期は、ITB10上に設けた(不図示の)検知用のシールを(不図示の)光学センサが検知するタイミングを監視することによって行う。
【0014】
潜像形成開始後、さらに感光ドラム1Y〜1Kが矢印C1方向に回転すると、それぞれ現像装置4Y〜4Kによって現像が行われる。現像装置4Y〜4Kは、感光ドラム1Y〜1Kとの対向部に所定の回転速度で回転する現像ローラを有し、現像ローラ表面に担持されたマイナス極性のトナーによって潜像が可視化される。
【0015】
さらに感光ドラム1Y〜1Kが矢印C1方向に回転し、現像された各色トナー像が1次転写部に来ると、感光ドラム1Y〜1Kの芯金を対向電極として高圧電源7Y〜7Kからプラス極性のバイアスが1次転写ローラ6Y〜6Kに印加される。これにより、現像された各色トナー像は、前述の方法で同期をとって1次転写部に進入するITB上画像部に、順次1次転写され、重ね合わせられる。ITB10上のトナーの電荷量は、本画像形成装置においては平均で約−30μc/gである。感光ドラム1Y〜1K上(像担持体上)の
1次転写残トナーは、クリーニング部材としてのブレードを当接させてかきとるクリーナ14Y〜14Kによってクリーニングされる。
【0016】
4色のトナー像がITB10上に1次転写されると、ITB10の回転と同期を取って、レジストローラ12から転写材Pが搬送され、2次転写部材としての2次転写ローラ8が転写材Pを介してITB10に当接する。ITB10上の4色のトナー像は、2次転写対向ローラ11bを対向電極として不図示の高圧電源からプラス極性バイアスが2次転写ローラ8に印加されることで、一括して転写材P上に2次転写される。2次転写ローラ8は、NBR製で抵抗値2×10〜5×10Ωのものを用いている。4色のトナー像が転写された転写材Pは、従来公知の加熱、加圧の定着装置13によって溶融固着されカラー画像が得られる。
【0017】
2次転写残トナーは、次の画像をITB10上に形成する際に混じってはいけないので、帯電部材としての帯電ブラシ9bを用いたクリーニング工程によってITB10上から除去可能に構成されている。帯電ブラシ9bは、ITB10の回転方向における2次転写位置よりも下流側かつ1次転写位置よりも上流側に設けられている。2次転写残トナーがITB10と帯電ブラシ9bのニップ部すなわち帯電部に進入する際、帯電ブラシ9bに電圧を印加することで、2次転写残トナーを所望の極性に帯電させ、感光ドラムに移動させることで2次転写残トナーをITB10上から回収する。帯電ブラシ9bは、導電性ナイロン製で長さが幅4mm、毛足4mmのものを、駆動ローラ11aを対向部材としてITB10に侵入量1mmで当接させている。
【0018】
本画像形成装置は、画像濃度調整、レジ調整などの直接ITB10上に検出用のトナー像(パッチ画像)を形成して実施する調整工程(以下、総称してパッチ検工程と略記する)を有する。パッチ検工程は一般に、目的に応じて専用の画像パターンを用いるが、パターンの種類によらず4色のトナー像をITB10上へ1次転写させるまでは、印字工程と同様の動作を行う。その後パッチ画像は、2次転写部を通過し、帯電ブラシ9bを用いたクリーニング工程によってITB10上から除去される。
【0019】
以上の2次転写残トナーとパッチ画像のクリーニング工程では、帯電ブラシ9bの隙間にトナーが蓄積される。帯電ブラシ9bに蓄積したトナーは、帯電ブラシ9bによる2次転写残トナーとパッチ画像の帯電能力を低下させ、画像不良などの不具合を引き起こす可能性がある。そこで、本画像形成装置は帯電ブラシ9bのクリーニング工程も有している。
【0020】
以下に、上述した画像形成時の2次転写残トナーのクリーニング、パッチ検時のパッチ画像のクリーニング、帯電ブラシのクリーニングの3種類の工程について、最初に比較例としての従来の手法について詳細に説明する。その後に、本発明の実施例1による帯電ブラシのクリーニング工程ついて説明する。
【0021】
<画像形成時の2次転写残トナーのクリーニング>
図2は、2次転写残トナーのクリーニングシーケンスを示す図であり、各部材におけるバイアスの印加タイミングを示す。灰色部分は、各部材でプラスバイアスが印加されていることを示し、バイアス値は、各部材で時間に対して一定である。各色の1次転写ローラには、高転写効率などの良好な1次転写を実現するためのプラスバイアスが印加されている。2次転写部材には、高転写効率などの良好な2次転写を実現するためのプラスバイアスが印加されている。帯電ブラシ9bには、2次転写残トナーをプラスに帯電するためのプラスバイアスが印加されている。各記号が示す時間帯は、Tr1が各色における1次転写、Tr2が2次転写、Ch2が2次転写残トナーの帯電、RETが2次転写残トナーの1次転写部における中間転写体から感光ドラムへの移動(以下、逆転写)である。Tr1
とRETが重複する時間帯は、1次転写と同時に逆転写が行われている時間帯である。なお、図中のこれらの印加時間帯のずれは、各部材の距離に起因するものである。例えば、ITB10上の帯電ブラシ9bによる帯電部から1色目1次転写部までの回転時間は、TC1で示される。また、ITBCYCは、ITB周期を示す。
【0022】
各色の1次転写Tr1、2次転写Tr2の後にITB10上に残った2次転写残トナーには、高圧電源9aより帯電ブラシ9bにプラス極性バイアスの印加が行われることで、プラス即ちトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電荷が均一に付与される。印加電圧は、ITB10のベルト抵抗や、環境条件等により異なるが、ここでは1000V〜1500Vが印加されるものとする。ただし、この帯電の際に帯電ブラシに機械的に付着するトナーも少量存在する。続いて、2次転写残トナーは1色目の1次転写部へ進み、回収用のバイアスRETによって感光ドラム1Yへ静電的に転写され、ITB10より除去される。RETの印加電圧は、Tr1の印加電圧で良い。そして、感光ドラム1Yへ転写された2次転写残トナーが感光ドラムクリーナー14Yに回収され、ITB10上の2次転写残トナーのクリーニングが完了する。なお、感光ドラム1Yに回収されずに、ITB10上に極少量の2次転写残トナーが残留することがあるが、MCK色において印加している1次転写バイアスによって感光ドラム1M、1C又は1Kへ逆転写される。
【0023】
<パッチ検時のパッチ画像のクリーニング>
図3は、ITB10上に形成される画像濃度調整用のパッチ画像の一例を示す。前述のように、パッチ検工程ではパッチ画像のITB10上への1次転写までは、印字工程と同様の動作を行う。目的に応じて専用の画像パターンを用いるが、ここでは例として画像濃度調整について示す。図3において、ITBは、ITB10の表面を示し、PTは、ITB上のパッチ画像を示す。
【0024】
図4に沿って、ITB上のパッチ画像のクリーニングについて説明する。図4はパッチ画像のクリーニングシーケンスを示す。灰色部分と斜線部分はそれぞれ、各部材におけるプラスバイアス、マイナスバイアスの印加を示す。Tr1は、パッチ画像のITB10上への1次転写を示す。Tr2N、Ch2Nは、それぞれ2次転写ローラ8、帯電ブラシ9bにマイナスバイアスが印加され、パッチ画像が2次転写部、帯電部を通過している状態を表している。RETNは、1次転写部でパッチ画像にマイナスバイアスを印加し、パッチ画像を感光ドラム1Yへ逆転写している状態を表している。Tr2RNは、2次転写ローラ8にマイナスバイアスが印加され、一周目の回収、つまりRETNで回収できなかった回収残トナーが通過している状態を表している。Ch2RPは、帯電ブラシ9bにプラスバイアスを印加し、回収残トナーを帯電している状態を表している。RETRPは、1次転写部で回収残トナーにプラスバイアスを印加し、回収残トナーを感光ドラム1Yへ逆転写している状態を表している。
【0025】
パッチ画像は、2次転写は行わないため、2次転写ローラ8へのトナー付着を防止しながら、2次転写部を通過させる。そのために、パッチ画像が2次転写部を通過するTr2Nに示す時間帯では、2次転写ローラ8にマイナスバイアス即ちパッチ画像の帯電極性と同極性のバイアスを印加し、2次転写ローラ8から反発させる。前記バイアス値としては、放電によるトナー電荷量への影響がないような値を用いた。なお、正規の現像と1次転写によれば、パッチ画像の帯電極性はマイナスであるが、少量のプラストナーが現像、1次転写されることもある。しかし、2次転写部への進入前にパッチ画像にプラストナーが存在しても、2次転写部を通過する際に上述のマイナスバイアスによって2次転写ローラ8に吸着されるため、2次転写部を通過したパッチ画像にはプラストナーは存在しない。続いて、パッチ画像がCh2Nに示す時間帯で帯電部に進入する際も、高圧電源9aより帯電ブラシ9bにマイナスバイアスが印加されることで帯電ブラシ9bから反発され、帯電部を通過する。ただし、パッチ画像は印字工程の2次転写残トナーと異なりトナー量が
多いため、2次転写残トナーの帯電時に比べると多量のマイナストナーが帯電ブラシ9bに機械的に付着する。続いて、パッチ画像は1色目の1次転写部へ進み、RETNで示す時間帯で、回収用のマイナスバイアスによって感光ドラム1Yへ静電的に転写され、ITB10より除去される。しかし、パッチ画像は2次転写残トナーより高濃度なため、通常一度では回収しきれず、比較的電荷の少ない、主に電荷量の絶対値が5μc/g以下のマイナストナーが残る。この回収しきれずにITB10上に残ったトナー、すなわち回収残トナーは、この後2〜4色目の1次転写部へ順次進むが、その電荷量の少なさのために感光ドラム1M〜1Kへ静電的に転写されることはほとんどない。さらに、回収残トナーはITB10上を周回し、Tr2RNで示す時間帯で再度2次転写部を通過する。上述のように、回収残トナーはマイナスの電荷を持つため、マイナスバイアスを印加された2次転写ローラ8から静電的に反発されるので、吸着されることはない。しかし、回収残トナーは電荷量が少なく、反発力が弱いため、2次転写ローラ8に機械的に付着するトナーも少量存在する。続いて、回収残トナーは帯電部に進入し、Ch2RPに示す時間帯で、帯電ブラシ9bにプラスバイアスの印加が行われることで、プラスの電荷が均一に付与される。ただし、この帯電の際に帯電ブラシ9bに機械的に付着するトナーも少量存在する。続いて、回収残トナーは1色目の1次転写部へ進み、RETRPに示す時間帯で、プラスバイアスを印加されることで感光ドラム1Yへ静電的に転写され、以下2次転写残トナーと同様にクリーニングは完了する。
【0026】
<比較例1の帯電ブラシクリーニング工程>
帯電ブラシ9bは、2次転写残トナーの帯電時やパッチ画像を反発する時に、ブラシの隙間にトナーが蓄積される。この蓄積トナーは、前述のように画像不良を引き起こす要因となるので確実にクリーニングする必要がある。比較例1では、蓄積トナーが所定量に達したところで、パッチ検の実行回数によらず、印加するプラスバイアスとマイナスバイアスの印加時間が同一の帯電部材クリーニング工程を実行する。
【0027】
以下、蓄積トナーが所定量に達したことを認識するための条件設定について説明する。
【0028】
図5は、帯電ブラシクリーニング工程の実行条件の一例を示す図表である。帯電ブラシクリーニング工程は、印字ページ数とパッチ検実行回数を常にカウントし、その両方のカウント数が、それらの所定回数を組み合わせた条件A〜Dのうちのいずれかの条件における所定回数をそれぞれ超えたときに実行される。なお、図5の印字ページ数は、最も使用頻度の高い画像の印字ページ数を示し、そのときの画像の長さ、すなわち最頻使用画像長(例えばA4プリンタにおけるA4長)での印字を想定している。条件A〜Dは、異なる印字ページ数において蓄積トナーが所定量となるパッチ検の回数を示すものである。すなわち、条件Bに対して条件Aでは、パッチ検実行回数が1回多いだけで、100ページ少ない印字ページ数でも帯電ブラシクリーニング工程が実行されることになる。これは、1ページの印字工程に比べ、パッチ検1回における蓄積トナー量が約100倍であるためである。この関係性は、条件A〜Dのそれぞれについて互いに成り立つ。この理由について以下に説明する。
【0029】
前述した、蓄積トナーによる、帯電ブラシ9bの2次転写残トナーを帯電する能力の低下は、ITB10の長手方向(転写材の搬送方向に直交する方向)の一部で発生しただけで画像不良を引き起こす要因となる。したがって、帯電ブラシクリーニング工程は、長手方向の中の印字工程とパッチ検による蓄積トナーの総量が一番多い領域、すなわち、最多蓄積量領域で画像不良が起きないような頻度で実行する必要がある。前述のようにパッチ検において蓄積トナー量が100倍となるのは、この最多蓄積量領域においてである。
【0030】
実際の印字工程による蓄積トナー量については、画像パターンは決まっていないので、長手方向の全領域で同様に蓄積しうると考えてよい。一方、パッチ検では画像パターンが
決まっているため、蓄積トナー量は長手方向の特定の場所に集中する。このことを考慮すると、パッチ検において、長手方向における、周方向のトナー消費量の総量が最も多い領域が、最多蓄積量領域となる。
【0031】
図6は、パッチ検工程における帯電ブラシの蓄積トナー量の長手位置依存性を示す図である。J1、J2は、長手方向におけるパッチのある領域とない領域を示す。長手方向のうちの蓄積トナー量の総量が最も多い領域、すなわち最多蓄積量領域はJ1であることがわかる。パッチ検では、この領域J1において、周方向に最頻使用画像長より長い画像を有し、また前述のように、パッチ画像は、2次転写残トナーの帯電時に比べると多量のマイナストナーが帯電ブラシ9bに機械的に付着する。例えば、印字工程でITB10上の画像が297mm(A4サイズ)、印字率5%(載り量0.025mg/cm)、紙に転写される割合すなわち転写効率が90%とする。この場合、長手方向1cmあたりの2次転写残トナーは、29.7×0.025×0.1=0.07425mgであり、そのうち帯電ブラシ9bに40%が付着したとすると、長手方向1cmあたりの蓄積トナーは、0.0297mgである。一方パッチ検工程で載り量が0.1〜0.5mg/cm、1パッチあたりの面積が1cmの載り量0.1〜0.5mg/cmの5つのパッチ(0.1mg/cm間隔)を4色用いたとする。この場合、長手方向1cmあたりのパッチ画像は、(0.1+・・+0.5)×4=6.0mgであり、そのうち帯電ブラシ9bに50%が付着したとすると、長手方向1cmあたりの蓄積トナーは、3.0mgである。
【0032】
以上の理由で、最多蓄積量領域において、1ページの印字工程に比べ、パッチ検1回における蓄積トナー量はずっと多くなり、また、その量は約100倍である。そのため、上述のようにパッチ検1回が印字工程100ページに相当するような条件を設定した。なお、印字率や転写効率などについて、より実使用条件に即した値を用いれば、より正確な条件設定が出来る。また、印字情報に基づいた制御を行うことにより、より最適に帯電ブラシクリーニング工程を行うことも可能である。
【0033】
以上に示したように、条件A〜Dはいずれも最多蓄積量領域において同量のトナーが蓄積する条件になっており、帯電ブラシクリーニング工程を実行する必要がある。
【0034】
図7及び図8を参照して、帯電ブラシクリーニング工程について説明する。図7は、比較例1としての従来の帯電ブラシクリーニング工程のシーケンスを示す図である。ChP、ChNは、それぞれ帯電ブラシ9bへのトナー吐出し用のプラス、マイナスバイアス印加によって、帯電ブラシ9bに蓄積トナーをITB10上に吐出している状態を表している。PRETP、PRETNは、それぞれ1色目、2色目における吐出しトナー回収用の1次転写プラス、マイナスバイアスの印加によって、ITB10上の吐出しトナーを感光ドラム1Y、1Mへ逆転写している状態を表している。図8は、トナーが逆転写によって回収される様子を示す模式図である。
【0035】
帯電ブラシ9bに蓄積したプラスとマイナスのトナーは、それぞれ、ChP、ChNで示す時間帯で、帯電ブラシ9bに+2000Vと−2500Vを印加することで、ブラシから静電的に反発されてITB10上に吐出される。ChP、ChNは、同じ時間Tchである。このプロセスを所定回数ずつ繰り返すことで、蓄積トナーの90%以上を吐出させる。続いて、吐出されたトナーのうちプラスのものは、1色目の1次転写ローラ6Yへの1500Vのプラスバイアス印加によって感光ドラム1Yへ静電的に逆転写される。同様に、マイナストナーは2色目の1次転写ローラ6Mへの−1500Vのマイナスバイアス印加によって感光ドラム1Mへ静電的に逆転写される。これにより、帯電ブラシクリーニング工程は完了する。
【0036】
次に、帯電ブラシクリーニング工程の所要時間について説明する。シーケンス所要時間
を短くしてユーザビリティを向上させるため、帯電ブラシへの一回のバイアス印加における印加時間Tchについて、以下に示すように工夫している。
【0037】
図9は、一度のバイアス印加により帯電ブラシからトナーがどの程度吐出されるのかを説明する図である。図9(a)は、帯電ブラシへの一回のバイアス印加における、印加時間とバイアス値の関係を示す。図9(b)は、帯電ブラシへの一回のバイアス印加における、印加時間と吐出し量の関係を示す。図9(c)は、帯電ブラシへの一回のバイアス印加における、吐出しトナー量のバイアスONからの時間平均を示す。これら図9(a)〜図9(c)に示した関係は、プラストナーとマイナストナーいずれにも当てはまる。Tswは、バイアスONからバイアスが立ち上がるまでの時間である。Tp0は、バイアスが立ち上がった時点からバイアスOFFまでの時間であり、Tch−Tswで表せる。吐出しトナー量のバイアスONからの時間平均が最大となる時間をTpmaxとする。以下に、TswとTp0の二つの時間帯に着目し、一回のバイアス印加における吐出し量について説明する。
【0038】
図9(b)を見てわかるように、バイアス切替を開始してからTswの間の吐出し量は、バイアスの立ち上がりプロファイルと同様に、最初は徐々に、後に急激に増えるが、総量は少ない。一方、バイアス切替後に印加する時間Tp0における吐出し量は、バイアス切替完了直後をピークとし、その後減少するが、Tswにおける立上りの急激さと異なり、除々に減少していく。そのため図9(c)のように、バイアスが立ち上がった時点からTswの数倍の時間経った、バイアスONからTpmaxの時間において、吐出しトナー量の切替開始からの時間平均が最大となる。
【0039】
以上のことを考慮し、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加における印加時間Tchは、1回目のマイナスバイアス印加での吐出しトナー量の時間平均が、条件A〜Dの全てにおいて平均的に大きくなるような値として400msとした。ここで、プラスではなくマイナスバイアス印加に関する値を採用した理由は、後述のように、蓄積トナーはマイナスのものが多く、マイナストナーの吐出しを優先させたためである。
【0040】
以上のように、帯電ブラシクリーニング工程では、このTchでプラス、マイナスバイアスの印加ChP、ChNを蓄積トナーの90%以上を吐出させるまで繰り返すことで、クリーニングを終えることができる。条件A〜Dの全てにおいて、繰り返しは6回必要であったため、この設定とした。
【0041】
本設定における吐出しトナー量について図10を用いて説明する。図10は、従来の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図である。なお、プラス、マイナスバイアス印加状態ChP、ChNの一回あたりの吐出し量は平均化して示した。吐出し能力が同じであれば、蓄積量のうちからほぼ所定の割合でトナーが吐出されるので、図10に示すように、一回あたりのバイアス印加による吐出し量は徐々に少なくなる。ここで、図10においてプラスとマイナスの吐出しトナー量に差があるのは、蓄積トナーはマイナスのものが多いためである。
【0042】
画像形成時の2次転写残トナーのクリーニング、パッチ検時のパッチ画像のクリーニングによって帯電ブラシ9bに蓄積したトナーを、比較技術では以上に示したような帯電ブラシクリーニング工程でクリーニングしていた。
【0043】
従来の帯電部材のクリーニング工程では、蓄積したトナーについて、その量しか考慮していなかったため、その極性分布によっては、正極性トナー、負極性トナーの片方あるいは両方について、吐出し能力が過剰であり、余分な時間延長を招いていた。これに対し、本発明の各実施例では、蓄積トナーが有する帯電極性のうち含有率が高い負電圧の印加時
間が、含有率の低い正電圧の印加時間よりも大きくなるように、交互に印加される正負の印加時間比を設定する。印加時間比の設定は、中間転写体に形成したトナー像を2次転写させずにクリーニングする工程や、広域印字工程の実行比率が高いほど負極性トナーの蓄積量が多いことを考慮する。すなわち、該工程の実行回数の比率が高いほど、蓄積オナーにおける負極性トナーの含有率が正極性トナーの含有率よりも大きくなる。したがって、その含有率の差に応じて、帯電部材クリーニング工程における正極性、負極性バイアスの印加時間比を、負極性バイアスの印加時間比がより大きくなるように、より負極性側に偏らせる。
【0044】
<実施例1>
図11〜図14を参照して、本発明の実施例1に係る画像形成装置について説明する。図11は、帯電ブラシに蓄積したトナーの極性分布の一例を示す図である。図12は、本実施例の帯電ブラシのクリーニングシーケンスを示す図であり、帯電ブラシクリーニング工程における各バイアスの印加タイミングを示している。図13は、本実施例の帯電ブラシクリーニング工程における吐出し用帯電バイアスの印加時間の一例を示す図である。図14は、実施例1の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図である。
【0045】
<実施例1の帯電ブラシクリーニング工程>
本実施例では、上述した比較例1の帯電ブラシクリーニング工程の所要時間を短縮する方法を説明する。本実施例でも、比較例1において説明したように、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加における単位時間当たりの吐出しトナー量が最大になるように、一回のバイアス印加時間を決めることが必要である。さらに、本実施例では、条件A〜Dに示したようなパッチ検工程の実行比率の異なる条件においては、蓄積トナーの極性も異なることを考慮し、各条件において、かつプラス、マイナスバイアスについて個別に、上記の一回のバイアス印加時間を決める。また、このプロセスを、蓄積トナーの90%以上が吐出されるまで繰り返す。こうすることで、帯電ブラシクリーニング工程を比較例1より短くすることができる。
【0046】
本実施例でも、比較例と同様、印字ページ数とパッチ検実行回数の両方のカウント数が、それらの所定回数を組み合わせた条件A〜Dのいずれかにおける所定回数をそれぞれ超えたときに、帯電ブラシクリーニング工程を実行する。この工程の詳細な説明を行う前に、条件A〜Dにおいて、パッチ検工程の実施頻度すなわち印字枚数に対する実行比率の相違によって蓄積トナーの極性がどのように変わるかを以下に説明する。
【0047】
前述のように、パッチ検工程では、ITB10上のパッチ画像が最初に帯電部に進入する際、印字工程の2次転写残トナーの帯電時と比べて多量のマイナストナーが帯電ブラシ9bに機械的に付着する。また、前述のように、回収残トナーが再度帯電部に進入する際に帯電ブラシに付着するトナーの量は、マイナスパッチ画像が最初に帯電部に進入する際の付着量に比べ極少量である。すなわち、パッチ検工程における帯電部での二度のバイアス印加状態Ch2NとCh2RPにおいて帯電ブラシに蓄積するトナーは、多量のマイナストナーと極少量のトナーであり、その極性はほとんどがマイナスである。
【0048】
一方、印字工程においては、パッチ画像同様に少量のプラストナーが現像、1次転写されることがあり、また2次転写においては、極性によらず電荷量が小さく十分な静電転写力が作用しないトナーは転写されない。そのため、2次転写残トナーは、主に電荷量の絶対値が5μc/g以下のプラストナーとマイナストナーである。したがって、帯電の際に帯電ブラシ9bに機械的に付着するトナーには、プラストナーが含まれる。
【0049】
すなわち、パッチ検工程(第2画像形成工程)における蓄積トナーは、印字工程(第1
画像形成工程)おける蓄積トナーに比べ、極性分布がマイナス側に偏っている。このため、帯電ブラシクリーニング工程を行う際の蓄積トナーは、図11に示すように、パッチ検工程の実施頻度が高い条件A側ほどマイナストナーの蓄積量が多く、プラストナーの蓄積量が少なくなる。
【0050】
以上に示したように、パッチ検工程の実行比率が高い条件A側ほどマイナストナーの蓄積量が多く、プラストナーの蓄積量が少なくなる。このことを考慮した本発明における帯電ブラシクリーニング工程について、以下に説明する。
【0051】
図12に、帯電ブラシクリーニング工程のシーケンスを示す。ChP1、ChN1は、それぞれ帯電ブラシ9bへのトナー吐出し用の正電圧と負電圧を交互に印加することによって、帯電ブラシに蓄積したトナーをITB10上に吐出している状態を表している。TchP1、TchN1は、それぞれChP1、ChN1の一回あたりの印加時間を表している。RETP1、RETN1は、それぞれ1色目、2色目における吐出しトナー回収用の1次転写プラス、マイナスバイアスの印加によって、ITB上10の吐出しトナーを感光ドラム1Y、1Mへ逆転写している状態を表している。
【0052】
帯電ブラシ9bに蓄積したプラスとマイナスのトナーは、それぞれ、比較例1のChP、ChNと同様に、吐出し用のバイアス印加状態ChP1、ChN1を所定回数ずつ繰り返すことで、ITB10上に吐出される。さらに、RETP1、RETN1によって感光ドラム1Y、1Mへ転写され、感光ドラムクリーナー14Y,14Mに回収されて、帯電ブラシ9bのクリーニング工程は完了する。
【0053】
次に、帯電ブラシクリーニング工程の所要時間について説明する。比較例1と同様に、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加での吐出しトナー量の時間平均が大きくなるように、一回のバイアス印加時間を決める方法をここでも適用する。ただし、上述の条件A側ほどマイナストナーの蓄積量が多く、プラストナーの蓄積量が少なくなる事実を考慮すると、条件A〜Dのそれぞれの場合におけるマイナス、プラスの吐出し用バイアス印加時間TchN1、TchP1の最適値は、全て異なる。そこで、条件A〜Dそれぞれの場合におけるTchN1、TchP1の最適値を実験から求めたところ、図13に示した値となった。なお、繰り返し回数はいずれも6回必要であった。
【0054】
比較例1における帯電ブラシクリーニング工程の所要時間と比較するため、条件Aにおける吐出しトナー量を図14に示す。図10に示した比較例1の方法では、プラストナーの吐出しについては、4回目あたりで吐出し量が極端に少なくなり、5回目、6回目と無駄な印加時間が発生している。これに対し、図14に示す本実施例では、無駄な印加時間の発生を抑えることができ、短時間で十分な吐出しを行うことができた。この傾向は、条件B、C、Dにおいても同様であった。なお、実行条件や吐出し用バイアス印加時間については、装置の違い等によって、それぞれ図5、図13に示すものから適宜変更すれば良い。
【0055】
比較例1の帯電ブラシクリーニング工程では、本実施例による一回のバイアス印加時間としては一番長い、条件AにおけるTchN1である400msを、条件A〜Dの全てにおいて、かつ、プラスマイナスいずれも共通の時間だけ印加していた。本実施例によれば、全ての条件において、比較例1よりも帯電ブラシクリーニング工程の時間を短縮することができる。具体的には、条件Aで(400×2−120−400)×6=1680ms短縮できる。同様に計算すると、条件B、C、Dでもそれぞれ1680ms、1680ms、1740ms短縮することができる。
【0056】
なお、ここではパッチ検工程において、ITB10上のパッチ画像が最初に帯電部に進
入する際、帯電ブラシにマイナスバイアスを印加して反発させる方法を示した。一方、プラスバイアスを印加してパッチ画像をプラスに帯電させ、その後1次転写部に進入する際にプラスの1次転写バイアスで回収する場合にも、帯電できなかったマイナストナーが付着する。したがって、結果的に、パッチ画像が最初に帯電部に進入する際、帯電ブラシにマイナスバイアスを印加する場合と同様に、蓄積トナーは、2次転写残トナーの帯電により蓄積したトナーに比べ、極性分布がマイナス側に偏るので、本構成が有効となる。
【0057】
なお、例えば、印字工程においてジャムが発生した時などにおいても、ITB10上の2次転写されていない画像をパッチ検同様にクリーニングすることがある。したがって、帯電ブラシクリーニング工程の実行条件にジャム発生回数などの条件を加えるとより良い効果が得られる。
【0058】
以上説明したように、中間転写体に形成したトナー像を2次転写させずにクリーニングする、パッチ検などの工程の実行比率が高いほどマイナストナーの蓄積量(含有率)が多いと判断できる。このことを考慮し、本実施例では、該工程の実行回数の比率が高いほど、帯電部材クリーニング工程における正電圧、負電圧の印加時間比を、よりマイナス側に偏らせるようにした。こうすることで、帯電ブラシクリーニング工程を、余分なマージンをとらず短時間で完了させることができる。
【0059】
<実施例2>
図15〜図20を参照して、本発明の実施例2に係る画像形成装置について説明する。図15は、本実施例の帯電ブラシクリーニング工程における吐出しトナー量を示す図であり、広域印字工程における、2次転写残トナーの除去工程での各バイアスの印加タイミングを示している。図16は、ITB10と2次転写ローラ8とのニップ部すなわち2次転写部における、長手方向の全トナー像が転写材の両端においてどのように転写されるかを示した模式図である。図17は、本実施例の帯電ブラシクリーニング工程の実行条件の一例を示す図表である。図18は、広域印字工程における帯電ブラシに蓄積するトナーの量の長手位置依存性を示す図である。図19は、本実施例の帯電ブラシのクリーニングシーケンスを示す図であり、帯電ブラシクリーニング工程における、各バイアスの印加タイミングを示している。図20は、本実施例の帯電ブラシクリーニング工程における吐出し用帯電バイアスの印加時間の一例を示す図である。
【0060】
本実施例では縁無し画像の印字が可能な画像形成装置において、帯電ブラシクリーニング工程を短縮する発明について説明する。
【0061】
はじめに、縁無し画像形成時の2次転写残トナーのクリーニングについて説明する。本実施例においても、実施例1の比較例1と同様、図1で示す画像形成装置を使用した。
【0062】
<縁無し画像形成時の2次転写残トナーのクリーニング>
縁無し画像の印字は、従来例と同様の画像形成プロセスにおいて、ITB10上に転写材より広い領域でトナー像を形成することにより、転写材上に上下左右の余白なく印字することで行う。以下、本印字工程を広域印字工程(第4画像形成工程)とし、これに対して転写材内にトナー像を形成する印字工程、すなわち、転写材の被転写面の縁に画像を形成しない余白領域を設ける画像形成工程を通常印字工程(第3画像形成工程)として区別する。以下に図15に沿って、広域印字工程における2次転写残トナーのクリーニングについて説明する。
【0063】
図15において、灰色部分と斜線部分はそれぞれ、各部材におけるプラス、マイナスバイアスの印加を示す。Tr1、Tr2、Ch2、RETが示すのは図2と同様である。Tr2RN2は、2次転写ローラ8にマイナスバイアスが印加され、一周目、つまりRET
で回収できなかった回収残トナーが通過している状態を表している。Ch2Rは、帯電ブラシ9bにプラスバイアスを印加し、回収残トナーを帯電している状態を表している。RETRは、1次転写部で回収残トナーにプラスバイアスを印加し、回収残トナーを感光ドラム1Yへ逆転写している状態を表している。
【0064】
図16は、2次転写の様子をITB10の長手方向(転写材の搬送方向に直交する方向)について模式的に示したものである。G1、G2は、ITB10上のトナー像のうち転写材に転写される領域と転写されない領域、すなわち内領域と外領域を示し、その他の記号は図1と同様である。図16は、2次転写部におけるITB10の表面、2次転写ローラ8表面の曲率は考慮せず、長手方向において全トナー像が転写材の一方の端から他方の端においてどのように転写されるかを示している。
【0065】
広域印字工程では4色のトナー像のITB10上への1次転写までは通常印字工程と同様であり、内領域G1では2次転写以降の工程も通常印字工程と同様である。しかし、広域印字工程では外領域G2で2次転写以降の工程が異なる。以下に外領域G2における2次転写以降の工程について説明する。
【0066】
2次転写工程では、内領域G1が高効率で転写されるように転写バイアスを制御しているため、図16に示すように、外領域G2においては、転写材がないため当然転写材への転写はされず、2次転写ローラ8に転写される。上述の転写バイアスの値はこの転写には適していないため、効率は高くなく、ITB10上に2次転写残トナーが多く残り、その多くは2次転写部進入前と同じ電荷量をもっている。続いて、2次転写残トナーは、通常印字工程と同様にCh2に示す時間帯でプラスに帯電されるが、量が多いために、多くはマイナス電荷量を持ったまま帯電ブラシに付着する。また一部の絶対値5μc/g以下の電荷量の少ないトナーは、多量のトナーに隠れてプラスに帯電されないまま帯電部を通過する。続いて、2次転写残トナーのうちプラスに帯電されたものと、5μc/g以下のトナーがRETに示す時間帯で感光ドラム1Yに進入する際、前者は回収されるが、後者は静電的な力が十分働かず、回収されずにITB10上に回収残トナーとして残留する。回収残トナーは、この後2〜4色目の1次転写部へ順次進むが、その電荷量の少なさのために感光ドラム1M〜1Kへ静電的に転写されることはほとんどない。
【0067】
さらに、回収残トナーはITB10上を周回し、Tr2RN2で示す時間帯で再度2次転写部を通過する。上述のように回収残トナーは電荷量が少ないため、2次転写ローラ8に機械的に付着するトナーも少量存在するが、ほとんどは通過する。続いて、回収残トナーは帯電部に進入し、Ch2Rに示す時間帯で、帯電ブラシ9bにプラスバイアスの印加が行われることで、プラスの電荷が均一に付与される。ただし、この帯電の際に帯電ブラシ9bに機械的に付着するトナーも少量存在する。続いて、回収残トナーは1色目の1次転写部へ進み、RETRに示す時間帯で、プラスバイアスを印加されることで感光ドラムへ静電的に転写され、以降、内領域G1の2次転写残トナーと同様にクリーニングは完了する。
【0068】
以上説明した広域印字工程の2次転写残トナーのクリーニング工程でも、帯電ブラシ9bの隙間にトナーが蓄積されるため、帯電ブラシ9bのクリーニング工程が必要となる。以下、帯電ブラシ9bのクリーニング工程について、最初に比較例2を詳細に説明し、その後に本実施例を説明する。
【0069】
<比較例2の帯電ブラシクリーニング工程>
通常印字工程と広域印字工程によって帯電ブラシ9bに蓄積したトナーは、いずれも画像不良を引き起こす要因となるので、確実にクリーニングする必要がある。本比較例では、蓄積トナーが所定量に達したところで、同一の帯電ブラシクリーニング工程を実行する
。以下、蓄積トナーが所定量に達したことを認識するための条件設定について説明する。
【0070】
図17は、帯電ブラシクリーニング工程の実行条件を示す。帯電ブラシクリーニング工程は、通常印字工程と広域印字工程の印字ページ数を常にカウントし、その両方のカウント数が、それらの所定回数を組み合わせた条件A〜Eのいずれかの条件における所定回数をそれぞれ超えた時に実行される。条件A〜Eは、異なる使用条件においても蓄積トナーが所定量に達したことを判別するためのものである。すなわち条件Bに対して条件Aでは、広域印字工程のページ数が2ページ多いだけで、20ページ少ない印字ページ数でも帯電ブラシクリーニング工程が実行されることになる。これは、1ページの通常印字工程に比べ、1ページの広域印字工程における蓄積トナー量は約10倍であるためである。この関係性は、条件A〜Eのそれぞれについて互いに成り立つ。この理由について以下に説明する。
【0071】
比較例1の帯電ブラシクリーニング工程での説明と同様に、ここでも最多蓄積量領域で画像不良が起きないような頻度で実行する必要がある。
通常印字工程による蓄積トナー量については、画像パターンは決まっていないので、長手方向の画像域内で均一と考えてよい。一方、広域印字工程では、前述のように外領域G2で蓄積トナー量が多い。このことを考慮すると、外領域G2について、長手方向における、周方向のトナー蓄積量の総量が最も多い領域が、最多蓄積量領域となる。以下にこれについて説明する。
【0072】
図18は、広域印字工程における蓄積トナー量の長手位置依存性を示したものである。K1、K2は長手方向における転写材の内側と外側の領域を示す。G1、G2は、図16と同様である。長手方向のうちの蓄積量の総量が最も多い領域は、外領域G2の周方向の長さが最大である領域K2であり、領域K2が最多蓄積量領域であることがわかる。ただし、ここでの最多蓄積量領域は、広域印字工程における蓄積量が一番多い領域ではあるが、通常印字工程ではこの領域にトナーは存在しない。すなわち、蓄積量が前述のように10倍となるのは、この領域で広域印字工程と通常印字工程の蓄積量を比べたときの値ではなく、広域印字工程と通常印字工程のそれぞれにおける蓄積量が一番多い領域の蓄積量を比べたときの値である。
【0073】
広域印字工程では、この領域K2において、周方向に画像長より長い画像を有し、また前述のように外領域G2では、2次転写残トナーの帯電時に比べると多量のマイナストナーが帯電ブラシ9bに静電的に付着する。例えば、通常印字工程でITB10上の画像が297mm(A4サイズ)、印字率5%(載り量0.025mg/cm)、紙に転写される割合すなわち転写効率が90%とする。この場合、長手方向の画像域内において、長手方向1cmあたりの2次転写残トナーは、29.7×0.025×0.1=0.07425mgである。そのうち帯電ブラシ9bに40%が付着したとすると、長手方向1cmあたりの蓄積トナーは0.0297mgである。一方、広域印字工程で外領域を紙の前後左右に5mm設け、2次転写において外領域での転写効率が60%であったとする。この場合、領域K2での長手方向1cmあたりの2次転写残トナーは、(29.7+0.5×2)×0.025×0.5=0.38375mgである。そのうち帯電ブラシ9bに80%が付着したとすると、長手方向1cmあたりの蓄積トナーは0.307mgである。以上の理由により、広域印字工程における最多蓄積量領域での蓄積トナー量は、通常印字工程の長手方向の画像域内に比べ、ずっと多くなり、またその量は約10倍である。そのため、上述のように、広域印字工程2ページが通常印字工程20ページに相当するような条件を設定した。なお、印字率や転写効率などについて、より実使用条件に即した値を用いれば、より正確な条件設定が出来る。また、印字情報に基づいた制御を行うことにより、より最適に帯電ブラシクリーニング工程を行うことも可能である。
【0074】
以上に示したように、条件A〜Eは、いずれも最多蓄積量領域において同量のトナーが蓄積する条件になっており、帯電ブラシクリーニング工程を実行する必要がある。次に、帯電ブラシクリーニング工程について説明する。
【0075】
比較例2としての帯電ブラシクリーニング工程のシーケンスは、実施例1の比較例1の帯電ブラシクリーニング工程と同様の構成である。すなわち、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加における印加時間Tchは、1回目のマイナスバイアス印加での吐出しトナー量の時間平均が、条件A〜Eの全てにおいて平均的に大きくなるような値として600msとした。繰り返し回数は、6回の設定とした。
【0076】
通常印字工程と広域印字工程の2次転写残トナーのクリーニングによって帯電ブラシ9bに蓄積したトナーを、比較技術では以上に示したような帯電ブラシクリーニング工程でクリーニングしていた。
【0077】
<実施例2の帯電ブラシクリーニング工程>
比較例2の帯電ブラシクリーニング工程の所要時間を短縮する方法を説明する。
本実施例でも、比較例2において説明したように、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加における単位時間当たりの吐出しトナー量が最大になるように、一回のバイアス印加時間を決めることが必要である。さらに、本実施例では、条件A〜Eに示したような広域印字工程のページ数比率の異なる条件においては、蓄積トナーの極性も異なることを考慮し、各条件において、かつプラス、マイナスバイアスについて個別に、上記の一回のバイアス印加時間を決める。こうすることで、帯電ブラシクリーニング工程の時間を比較例2よりも短縮することができる。
【0078】
本実施例でも、比較例と同様、通常印字工程と広域印字工程のページ数の両方のカウント数が、それらの所定回数を組み合わせた条件A〜Eのいずれかにおける所定回数を超えたときに、帯電ブラシクリーニング工程を実行する。この工程の詳細な説明を行う前に、条件A〜Eにおいて、広域印字工程の実施頻度すなわち印字枚数に占める割合の相違によって蓄積トナーの極性がどのように変わるかを説明する。
【0079】
前述のように広域印字工程では、外領域G2における2次転写残トナーが最初に帯電部に進入する際、多量のマイナストナーが帯電ブラシ9bに静電的に付着する。また、前述のように、回収残トナーが再度帯電部に進入する際に帯電ブラシ9bに付着するトナーの量は、外領域G2における2次転写残トナーが最初に帯電部に進入する際の付着量に比べ極少量である。すなわち、広域印字工程における帯電部での二度のバイアス印加状態Ch2とCh2Rにおいて帯電ブラシ9bに蓄積するトナーは、多量のマイナストナーと極少量のトナーであり、その極性はほとんどがマイナスである。一方、通常印字工程においては、実施例1で示したように、帯電の際に帯電ブラシ9bに機械的に付着するトナーにはプラストナーが含まれ、マイナストナーの比率は特に高くない。
【0080】
すなわち、広域印字工程における蓄積トナーは、通常印字工程おける蓄積トナーに比べ、極性分布がマイナス側に偏っている。このため、帯電ブラシクリーニング工程を行う際の蓄積トナーは、実施例1の図11に示すのと同様の傾向を示し、広域印字工程の実行比率が高い条件A側ほどマイナストナーの蓄積量が多く、プラストナーの蓄積量が少なくなる。また、長手方向においては、図18の領域K2が特に蓄積量が多い。以上のことを考慮した本実施例における帯電ブラシクリーニング工程について説明する。
【0081】
図19に、本実施例における帯電ブラシクリーニング工程のシーケンスを示す。ChP2、ChN2は、それぞれ帯電ブラシ9bへのトナー吐出し用のプラス、マイナスバイアス印加によって、帯電ブラシ9bに蓄積したトナーをITB10上に吐出している状態を
表している。TchP2、TchN2は、それぞれChP2、ChN2の一回あたりの印加時間を表している。RETP2、RETN2は、それぞれ1色目、2色目における吐出しトナー回収用の1次転写プラス、マイナスバイアスの印加によって、ITB10上の吐出しトナーを感光ドラム1Y、1Mへ逆転写している状態を表している。プロセスについては、図12で示した実施例1の帯電ブラシクリーニング工程と同様である。
【0082】
次に、帯電ブラシクリーニング工程の所要時間について説明する。比較例2と同様に、帯電ブラシ9bへの一回のバイアス印加での吐出しトナー量の時間平均が大きくなるように、一回のバイアス印加時間を決める方法をここでも適用する。ただし、上述の条件A側ほどマイナストナーの蓄積量が多く、プラストナーの蓄積量が少なくなる事実を考慮すると、条件A〜Eのそれぞれの場合におけるマイナス、プラスの吐出し用バイアス印加時間TchN2、TchP2の最適値は、全て異なる。そこで、条件A〜Eそれぞれの場合におけるTchN2、TchP2の最適値を実験から求めたところ、図20に示した値となった。なお、繰り返し回数はいずれも6回必要であった。
【0083】
比較例2における帯電ブラシクリーニング工程の所要時間と比較するため、条件Aにおける吐出しトナー量を見たところ、実施例1の図14と同様の傾向を示した。すなわち、比較例2の方法に対し、本実施例では、無駄な印加時間の発生がなく、短時間で十分な吐出しを行うことができた。この傾向は、条件B、C、D、Eにおいても同様であった。
【0084】
以上のように、比較例2の帯電ブラシクリーニング工程では、本実施例による一回のバイアス印加時間としては一番長い、条件AにおけるTchN2である600msを、条件A〜Eの全てにおいて、かつ、プラスマイナスいずれも共通の時間だけ印加していた。本実施例によれば、全ての条件において比較例2よりも帯電ブラシクリーニング工程の時間を短縮することができた。具体的には、条件Aで(600×2−140−600)×6=2760ms短縮できた。同様に計算すると、条件B、C、D、Eでもそれぞれ2940ms、3120ms、3360ms、3600ms短縮することができた。
【0085】
なお、ここでは広域印字工程において、ITB10上の2次転写残トナーが最初に帯電部に進入する際、帯電ブラシ9bにプラスバイアスを印加して帯電させる方法を示した。一方、帯電ブラシ9bにマイナスバイアスを印加して、転写材領域外の2次転写残トナーを反発させ、その後1次転写部に進入する際にマイナスの1次転写バイアスで回収する場合がある。この場合にも、転写材領域外のマイナスの2次転写残トナーは多量であるため、その一部が帯電ブラシ9bに付着する。したがって、結果的に、2次転写残トナーが最初に帯電部に進入する際、帯電ブラシ9bにプラスバイアスを印加する場合と同様に、蓄積トナーは、2次転写残トナーの帯電により蓄積したトナーに比べ、極性分布がマイナス側に偏るので、本構成が有効となる。
【0086】
以上説明したように、印字ページ数のうちの広域印字工程のページ数比率が高いほどマイナストナーの蓄積量が多い。このことを考慮し、本実施例では、該工程によるページ数比率が高いほど、帯電ブラシクリーニング工程におけるプラス、マイナスバイアスの印加時間比を、よりマイナス側に偏らせるようにした。こうすることで、帯電ブラシクリーニング工程を、余分なマージンをとらず短時間で完了させることができた。
【0087】
また、低温低湿環境で放置した紙を使用した場合、紙抵抗が高いために2次転写バイアスが高くなり、領域Gのトナーが放電によってプラス極性に反転して、2次転写残トナーのうちの多くがプラス極性になることがある。この場合、蓄積トナーもプラス極性になるため、上記構成とは逆に、広域印字工程の実行比率が高い条件側ほど、帯電ブラシクリーニング工程におけるプラス、マイナスバイアスの印加時間比を、よりマイナス側が小さくなるようにすれば同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0088】
1Y,1M,1C,1K…感光ドラム、2Y,2M,2C,2K…帯電ローラ、6Y,6M,6C,6K…1次転写ローラ、7Y,7M,7C,7K…高圧電源、8…2次転写ローラ、9a…高圧電源、9b…帯電ブラシ、10…ITB、14Y,14M,14C,14K…クリーナ、P…転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体からトナー像が転写される回転可能な中間転写体と、
電圧が印加されることにより前記像担持体から前記中間転写体へトナー像を1次転写させる1次転写部材と、
電圧が印加されることにより前記中間転写体から転写材へトナー像を2次転写させる2次転写部材と、
前記中間転写体の回転方向における2次転写位置よりも下流側かつ1次転写位置よりも上流側において、電圧が印加されることにより前記中間転写体上のトナーを帯電させる帯電部材と、
前記像担持体上のトナーを除去可能なクリーニング部材と、
を備え、
前記帯電部材に蓄積した蓄積トナーを前記中間転写体に移動させ、その後、前記中間転写体から前記像担持体に移動させて前記クリーニング部材から前記蓄積トナーを回収するべく、前記帯電部材に正電圧と負電圧が所定の時間比で交互に印加される帯電部材クリーニング工程
を実行可能な画像形成装置において、
前記帯電部材クリーニング工程において、前記蓄積トナーが有する帯電極性のうち含有率が高い極性と同極性の電圧が印加される時間が、前記含有率の低い極性と同極性の電圧が印加される時間よりも長くなるように、前記時間比が設定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
1次転写及び2次転写を行う第1画像形成工程と、
1次転写のみを行い2次転写を行わない第2画像形成工程と、
を実行可能であり、
前記第1画像形成工程の回数及び前記第2画像形成工程の回数が、前記第1画像形成工程の回数と前記第2画像形成工程の回数との組み合わせのうち予め定めた複数の組み合わせにおけるいずれかの組み合わせにおける回数をそれぞれ超えたときに、前記蓄積トナーの量が所定量に達したと判断されるとともに、
前記複数の組み合わせのうち前記第2画像形成工程の回数が多いほど、前記時間比における前記含有率が高い極性と同極性の電圧が印加される時間の比率がより大きくなるように前記時間比が設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
転写材の縁に画像を形成しない余白領域を設ける第3画像形成工程と、
前記余白領域を設けずに転写材に画像を形成する第4画像形成工程と、
を実行可能であり、
前記第3画像形成工程の回数及び前記第4画像形成工程の回数が、前記第3画像形成工程の回数と前記第4画像形成工程の回数との組み合わせのうち予め定めた複数の組み合わせにおけるいずれかの組み合わせにおける回数をそれぞれ超えたときに、前記蓄積トナーの量が所定量に達したと判断されるとともに、
前記複数の組み合わせのうち前記第4画像形成工程の回数が多いほど、前記時間比における前記含有率が高い極性と同極性の電圧が印加される時間の比率がより大きくなるように前記時間比が設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−92631(P2013−92631A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234262(P2011−234262)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】