説明

画像復号化システム

復号化装置(2)は、偏光を放射する表示装置(1)上に表示される暗号化画像を視覚的に復号化するよう構成される。復号化装置は、偏光素子(21)、液晶ディスプレイ(23)、及び更なる偏光素子(22)を有し、これらは、表示装置から受信し偏光素子(21)上に入射する偏光が液晶ディスプレイ(23)と更なる偏光素子(22)を通るよう配置される。偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態の間を切り替わることが可能な切替え可能な偏光器を有する。このことは、復号化装置が、他の用途にも使用可能なスタンドアロン装置として使用されることを可能にする。表示装置にも切替え可能な偏光器(12)が設けられることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像復号化システムに係る。特に、本発明は、暗号化画像を視覚的に復号化するシステムに係り、このシステムは、暗号化画像を表示する表示装置と、表示装置上に表示された暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置を有する。本発明は更に、暗号化画像を視覚的に復号化する方法と、暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置と、暗号化画像を表示する表示装置とに係る。
【背景技術】
【0002】
認可を受けていない者によって、画像が認識されることを阻止する又は画像のコンテンツが読まれることを阻止するよう画像を暗号化することは周知である。画像を暗号化する1つの技術は、例えば、特許文献1に開示される。この技術は、視覚暗号法とも知られ、認識可能な画像を生成するために重ねられる2つのパターンを使用する。このために、オリジナルの画像は、2つのランダム化された部分又はパターンに変換され、いずれも任意の知覚可能な画像情報を有さない。これらのパターンのうちの1つは、トランスペアレンシ上に印刷されるか、又は、少なくとも部分的に透明なディスプレイ上に表示されて、パターンが観察者の目において組み合わされることを可能にする。
【0003】
しかし、このオリジナル画像の変換は、一般的に、ピクチャ素子(画素)とも知られる画像素子の数を増加し一方で解像度は低下する。一般的に、暗号化された画像は、オリジナル画像の画像素子の2倍、又は、画像のアスペクト比が維持されるべき場合は4倍の画像素子を含む。
【0004】
特許文献2は、視覚暗号法を用いて前に暗号化されたグラフィカルメッセージを再構成する方法及び装置を開示する。表示装置(「クライアント装置」)及び復号化装置には共に液晶ディスプレイ(LCD)が設けられる。第1の(表示装置)液晶ディスプレイにおけるセルは、暗号化されたメッセージシーケンスにおけるビットが「1」を表す場合はアクティブにされ、そのビットが「0」を表す場合はアクティブにされない。同様に、第2の(復号化装置)液晶ディスプレイにおけるセルは、キーシーケンスにおける対応ビットが「0」を表す場合はアクティブにされ、そのビットが「1」を表す場合はアクティブにされない。次に、第1のディスプレイ及び第2のディスプレイは重ねられ、偏光フィルタの間に配置され、それにより、グラフィカルメッセージを視覚的に再構成する。
【0005】
この公知の方法及び装置は、いずれのランダム化されたパターンにおける画素の数を増加することなくオリジナルのグラフィカルメッセージ(つまり、暗号化された画像)の非常に有効且つ高解像度の再構成を可能にする。しかし、公知の方法及び装置は、復号化装置が端末における偏光フィルタに依存するので別個に使用することができないという不利点を有する。即ち、復号化装置は、2つの液晶ディスプレイの間に位置付けられた偏光器をもたらしてしまい、従って、これらのディスプレイの光回転効果を無効にしてしまうので液晶ディスプレイの両側に偏光フィルタを有することができない。これは、復号化装置の実際の適用を深刻に制限してしまう。
【0006】
更に、公知の方法及び装置は、既存の表示装置と容易に使用することができない。公知の方法は、第2の液晶ディスプレイが、第1の液晶ディスプレイと偏光フィルタとの間に配置されることを必要とする。このために、専用スロットが端末内に復号化装置を挿入するために設けられる。或いは、この偏光フィルタの一部が除去され、スロットが設けられていない場合に液晶ディスプレイが重ねられることが可能にされる。しかし、既存の表示装置には一般的にそのようなスロット又は部分的に除去された偏光フィルタが設けられていないことは明らかであろう。
【特許文献1】欧州特許出願番号第0260815号
【特許文献2】国際特許出願番号第03/067797号(フィリップス)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術の上述した及び他の問題を解決し、液晶ディスプレイを用いて暗号化された画像を復号化するシステムを提供することを目的とする。このシステムは、表示装置と復号化装置の両方を独立して使用することを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、暗号化画像を視覚的に復号化するシステムを提供する、このシステムは、暗号化画像を表示する表示装置と、表示装置上に表示された暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置とを有し、表示装置は、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子を有し、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子は、第1の偏光素子上に入射する光が、第1の液晶ディスプレイ及び第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、復号化装置は、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子を有し、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子は、表示装置から受信し、第3の偏光素子上に入射する光が、第2の液晶ディスプレイ及び第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する。
【0009】
偏光素子が偏光器として作用する状態と、偏光効果がオフに切り替えられる状態との2つの状態間で切り替えることの可能な偏光素子を設けることによって、非常に融通の利く復号化装置が達成可能である。例えば、画像を復号化するときに表示装置と共に使用されるときは、切替え可能偏光素子はオフに切り替えられる。例えば、暗号化されていない(「プレーンテキスト」)画像を見るといった別の用途に使用されるときは、切替え可能偏光素子は、オンに切り替えられる。
【0010】
切替え可能偏光素子は更に、表示装置に2つの偏光素子が設けられることを可能にする。1つの偏光素子はオフに切替え可能であるので、この素子が、2つの液晶ディスプレイの間に位置付けられてももはや問題にはならなくなる。
【0011】
第1の実施例では、表示装置は、上述した従来技術に従って設計され、復号化装置を挿入するためのスロットを有する。しかし、第2の実施例では、そのようなスロットを設けることは必要でなくなる。何故なら、第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有するからである。即ち、表示装置の復号化装置に面する偏光素子は、オン又はオフに切り替えられることが可能である。このことは、表示装置が、第2の偏光素子がオンに切り替えられて通常の(暗号化されていない)画像を表示することと、第2の偏光素子がオフに切り替えられて、上述したように復号化装置と共に画像を視覚的に復号化することの両方に使用されることを可能にする。本発明の表示装置は、1つの偏光素子のみを有する復号化装置、即ち、従来技術による復号化装置を依然として使用することを可能にすることを理解するものとする。
【0012】
切替え可能偏光素子の切替えは、手動で行われてもよいが、自動的に行われることが好適である。1つの好適な実施例では、表示装置及び/又は復号化装置に、対をなすものの片方の装置の存在を感知し且つ切替え可能偏光素子を切り替えるセンサが設けられる。これらのセンサは、光学的、機械的、又は電磁気的でありうる。
【0013】
本発明のシステムは、暗号化された画像を復号化するシステムと称するが、本発明のシステムは、グラフィカルメッセージを再構成するシステムとしても考えられる。「再構成」が復号化であり、「グラフィカルメッセージ」が暗号化された画像である。本発明の説明において、画像は、視覚暗号法又は同様の技術を使用して暗号化されており、また、暗号化された画像は、2つの「シェア」のうちの1つであり、2つのシェアは何れもそれらが重ね合わされない限り画像を暴露することはないことが前提とされる。しかし、本発明は、これに限定されるわけではない。
【0014】
本発明は更に、暗号化画像を表示する表示装置を提供する。この表示装置は、第1の偏光素子と、第1の液晶ディスプレイと、第2の偏光素子とを有し、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子は、第1の偏光素子上に入射する光が、第1の液晶ディスプレイ及び第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する。
【0015】
このような表示装置は、画像を視覚的に復号化するためと、暗号化されていない画像を見るための両方に使用しうる。本発明の表示装置には、復号化装置を挿入するためのスロットが設けられてもよいが、復号化装置は、表示装置の前に配置されてもよいので一般的に必ずしも必要ではない。
【0016】
本発明は更に、偏光を放射する表示装置上に表示された暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置を提供する。この復号化装置は、第3の偏光素子と、第2の液晶ディスプレイと、第4の偏光素子とを有し、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子は、表示装置から受信し、第3の偏光素子上に入射する光が、第2の液晶ディスプレイ及び第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する。
【0017】
このような復号化装置は、液晶ディスプレイの両側に1つずつ、合計で2つの偏光素子を有するので、(暗号化されていない)画像を見るためのスタンドアロン装置として使用可能である。更に、この復号化装置は、1つの偏光素子がオフに切り替えられるので、好適な表示装置と共に専用復号化装置として使用することが可能である。
【0018】
本発明は更に、暗号化された画像を視覚的に復号化する方法を提供する。この方法は、表示装置上に暗号化画像を表示する第1の段階と、復号化装置を使用する更なる段階とを有し、表示装置は、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子を有し、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子は、第1の偏光素子上に入射する光が、第1の液晶ディスプレイ及び第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、復号化装置は、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子を有し、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子は、表示装置から受信し、第3の偏光素子上に入射する光が、第2の液晶ディスプレイ及び第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する。
【0019】
本発明の方法では、第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、添付図面に示す例示的な実施例を参照して以下に更に説明する。
【0021】
図1に非限定的例としてのみ示すシステム100は、表示装置(端末)1と、復号化装置2を有する。端末1は、インターネット又はLAN(ローカルエリアネットワーク)といった別のネットワーク、金融取引を行うための現金自動預払機(ATM)、又は画像を表示可能な別のタイプの端末に接続されることが好適であるパーソナルコンピュータでありうる。
【0022】
端末1は、ネットワークを介して遠隔サーバ(図示せず)から画像を受信しうる。秘密性を維持するために、画像は、視覚暗号法を用いて暗号化される。即ち、オリジナルの画像に基づいて、2つの部分画像又は「シェア」が形成される。これらは何れもオリジナル画像に関する任意の目に見える情報を含まない。シェアのうちの1つは、復号化装置2に鍵として格納され、もう1つのシェアは、端末1上に表示される。復号化装置2は、復号化装置が端末の表示スクリーン16の前に配置された時に両方のシェアが見られることを可能にする透明ディスプレイ26を有し、それにより、暗号化された画像が「復号化」される。組み合わされたシェアは、ユーザがオリジナルの画像を認識することを可能にする。上述した特許文献2を参照されたい。この文献の内容全体は、本願に組み込まれる。
【0023】
図示する実施例では、端末1には、復号化装置2の存在を感知するセンサ15が設けられる。復号化装置2には、表示端末1の存在を感知するよう機能するセンサ25が設けられることが好適である。これらのセンサの機能は、図4及び5を参照して以下に説明する。
【0024】
高解像度画像を提供するために、図2に概略的に示すように、2つの液晶ディスプレイと一組の偏光器を使用する。光源10は、端末(表示装置)1内に収容される。端末1は更に、第1の偏光器11、第2の偏光器12、及び(第1の)液晶ディスプレイ13を有する。復号化装置2は、第3の偏光器21、第4の偏光器22、及び更なる(第2の)液晶ディスプレイ23を有する。図2から分かるように、復号化装置2は、第1の液晶ディスプレイ13と第4の偏光器22との間に挿入される。尚、第4の偏光器22は任意選択的であり、表示装置1が独立して、即ち、復号化装置2が取り除かれた時に使用されることを可能にするよう機能するに過ぎない。
【0025】
図2では、光源10からの光は、第1の偏光器11を通る。その結果、第1の液晶ディスプレイ13上に入射する光は、(例えば)水平配向性を有する。光は、第1の液晶ディスプレイ13を通り、また、個々の液晶ディスプレイ素子の作動に依存して、90°の選択回転(図2には「r」によって示す)を受ける。上述した従来技術のシステムでは、光は、次に、第2の液晶ディスプレイ23を通り、再度、第2の偏光器12を通る前に個々の液晶ディスプレイ素子の作動に依存して90°の回転を選択的に受ける。この第2の偏光器12も(例えば)水平配向性を有する。90°に亘って2回、即ち、180°に亘って回転された光が、全く回転されていない光と同様に第2の偏光器12を通り、結果として、明るい画素(ピクチャ素子)となる。一回だけ、即ち、90°に亘って回転された光は、通過することができないので、暗い画素となる。
【0026】
図2から分かるように、第1の液晶ディスプレイと第2の液晶ディスプレイの間に(第3の)偏光器21を配置することは、第1の液晶ディスプレイによって1回だけ(90°に亘って)回転された光の全ては、この偏光器によって遮断されるので、この配置を役に立たないようにしてしまう。これは、復号化装置2は、独立して使用することができない、即ち、復号化装置2は、その適切な機能は、光源と(第2の)液晶ディスプレイとの間の偏光器の存在に依存するので表示装置1なしでは使用することができないことを意味する。
【0027】
言い換えると、表示装置1及び復号化装置2は共に、独立して機能するにはそれぞれの液晶ディスプレイの両側に偏光素子を必要とするが、これは、偏光器を2つの液晶ディスプレイ間に配置することになり、組み合わせられた配置を、機能停止としてしまう。
【0028】
本発明は、第3の偏光器21として、切替え可能な偏光器を使用することによってこの問題に対する非常に単純で効果的な解決策を提供する。切替え可能な偏光器は、実質的に非偏光(透明)状態から実質的に偏光状態に変わる光学構成要素である。切替え可能な偏光器の1つの例は、光学的に異方性の色素分子を組み込んだ液晶材料の層(いわゆる「ゲスト−ホスト」液晶システム)である。ゲスト−ホスト層は、2つの透明電極間に位置付けられる。電極に電圧が印加されない場合、全ての色素分子(及び液晶分子)は、ランダムに配向され、光は、偏光されることなくこの層を通る。しかし、電極に電圧が印加される場合、液晶分子は、好適な方向に回転し、色素分子も回転させる。この層を通る光は、整えられた色素分子によって偏光される。
【0029】
切替え可能な偏光器21は、復号化装置が端末1と共に使用されるときにオフに切り替えられることが可能であり、それにより、第1の液晶ディスプレイ13と第2の液晶ディスプレイ23との間には任意の偏光がないようにされる。しかし、切替え可能な偏光器21は、例えば、非暗号化(「プレーンテキスト」)画像を見るために復号化装置が独立して使用されるときにはオンに切り替えられることが可能である。従って、本発明の復号化装置は、通常のLCDビューイング装置としても使用可能である。このことは、図3に概略的に示す。図3では、復号化装置2(偏光器21及び22、及び液晶ディスプレイ23)は、表示装置1から取り外されている。図3から分かるように、両方の装置は、それぞれの液晶ディスプレイの両側に1つの偏光器を有し、それにより、それらの装置が独立して使用されることが可能にされる。
【0030】
本発明の好適な実施例を、図4及び5に概略的に示す。この実施例では、復号化装置2は、表示装置において、表示装置の第1の液晶ディスプレイ13と第2の偏光器12との間に配置されない。復号化装置2は、表示装置1の外側で、第2の偏光器12の前に配置される。図面から分かるように、これは、第1の液晶ディスプレイ13と第2の液晶ディスプレイ23との間に、2つの偏光器(12及び21)が位置付けられることをもたらす。上述したように、この配置は、通常、視覚的復号化を出来なくしてしまう。しかし、本発明のこの実施例では、第3の偏光器12及び第4の偏光器21の両方が切替え可能な偏光器であり、これらの偏光器は、復号化装置2が表示装置1の表示スクリーンの前に配置されるときにオフに切り替えられることが可能である。その結果、第1の液晶ディスプレイ13と第2の液晶ディスプレイ23との間には実質的に光の回転は発生せず、従って、この配置は所望通りに機能する。
【0031】
図5に示すように、復号化装置2が表示装置1から取り外されると、切替え可能な偏光器12及び21は、オンに切り替えられ、それにより、表示装置1と復号化装置2が独立して使用されることを可能にする。
【0032】
尚、切替え可能偏光器は、例えば、各装置上の好適なボタンを押すことによって手動で、又は、例えば、検出素子(図1におけるセンサ15、25を含む)に応答して自動的にオンオフ切り替えられうる。このような検出素子は、対をなすものの片方の装置の存在を感知可能な機械的、光学的、及び/又は電気機械的センサを含みうる。検出素子は更に、センサ信号を処理する信号処理手段を有しうる。このようにして、切替え可能な偏光器は、ユーザからの任意の介入なく動作されうる。
【0033】
有利な実施例では、表示装置の検出手段と、復号化装置の検出手段は、装置の真偽を確認するためにメッセージを交換しうる。切替え可能偏光器は、その真偽が証明された場合にのみオフに切り替えられることが考えられる。
【0034】
復号化装置2は、第2の液晶ディスプレイ23の個々の素子の作動を決定する鍵(部分画像又は「シェア」)を含む。視覚暗号システムの安全性を高める為に復号化装置内に単一の鍵ではなく一組の鍵が格納されることが好適である。当業者には明らかであるように、好適なメモリ回路がこの目的のために設けられうる。更に、復号化装置2は、乱数を発生するPRG(擬似乱数発生器)といった更なる構成要素を有しうる。
【0035】
図6の概略的な図面は、光源10によって生成される光に切替え可能な偏光器が与えうる影響を示す。光9は、最初は、偏光されておらず、また、特定の配向性を有さない。第1のモードIでは、切替え可能な偏光器8は、オンに切り替えられ、光9を偏光する。図示刷る例では、偏光の方向は、水平である。偏光器8から出る光9’は、水平に偏光される。しかし、第2のモードIIでは、偏光器8は、オフに切り替えられ、従って、偏光器8からである光9’は偏光されておらず、また、特定の配向性を有さない。
【0036】
本発明は、視覚暗号用のシステム内に少なくとも1つの切替え可能な偏光素子を設けることは、視覚復号化のために使用される2つの液晶層の光回転特性を維持しながら、その2つの液晶層間に偏光素子が配置されることを可能にするという見識に基づいている。本発明は、切替え可能な偏光素子は、復号化装置を、また、可能であるならば表示装置も独立して使用することを可能にするという更なる見識から恩恵を受ける。
【0037】
本発明は、例えば、(インターネット)バンキング又はインターネットショッピングといった安全な取引を実行するために特に使用される。更に、本発明の復号化装置は、写真、動画、ビデオ等といった画像を、これらの画像に応じて液晶ディスプレイを制御する好適な回路が設けられている場合には、独立して見るビューアとしても使用可能である。本発明の復号化装置は、ユーザによって持ち運びされうる携帯可能な手持ち式装置であることが好適である。このような携帯可能な装置は、高レベルの安全性が所望されるATM(現金自動預払機)取引にも非常に適している。
【0038】
尚、本発明は、液晶ディスプレイを参照して説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、選択的な偏光を与える任意の他の透明ディスプレイを使用することが可能である。
【0039】
尚、この本願において使用する任意の用語は、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。特に、「有する」という用語は、具体的に記載していない任意の素子を排除することを意味しない。単一の(回路)素子は、複数の(回路)素子及びその等価物によって置き換えられうる。
【0040】
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、多くの変更及び追加が、請求項に記載される本発明の範囲から逸脱することなく行いうることを当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明により画像を視覚的に復号化するシステムを示す図である。
【図2】本発明の表示装置及び復号化装置の第1の実施例を示す図である。
【図3】表示装置から復号化装置が取り外された図2の実施例を示す図である。
【図4】本発明の表示装置及び復号化装置の第2の実施例を示す図である。
【図5】表示装置から復号化装置が取り外された図4の実施例を示す図である。
【図6】本発明に使用されるような切替え可能な偏光器を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化画像を視覚的に復号化するシステムであって、
該システムは、前記暗号化画像を表示する表示装置と、前記表示装置上に表示された前記暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置とを有し、
前記表示装置は、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子を有し、前記第1の偏光素子、前記第1の液晶ディスプレイ、及び前記第2の偏光素子は、前記第1の偏光素子上に入射する光が、前記第1の液晶ディスプレイ及び前記第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記復号化装置は、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子を有し、前記第3の偏光素子、前記第2の液晶ディスプレイ、及び前記第4の偏光素子は、前記表示装置から受信し、前記第3の偏光素子上に入射する光が、前記第2の液晶ディスプレイ及び前記第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有するシステム。
【請求項2】
前記第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記切替え可能偏光素子の切替えは自動的に行われる請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記表示装置及び/又は前記復号化装置に、対をなすものの片方の装置の存在を感知し且つ前記切替え可能偏光素子を切り替えるセンサが設けられる請求項3記載のシステム。
【請求項5】
暗号化画像を表示する表示装置であって、
第1の偏光素子と、
第1の液晶ディスプレイと、
第2の偏光素子と、
を有し、
前記第1の偏光素子、前記第1の液晶ディスプレイ、及び前記第2の偏光素子は、前記第1の偏光素子上に入射する光が、前記第1の液晶ディスプレイ及び前記第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する表示装置。
【請求項6】
対をなすものの片方の装置の存在を検出し、且つ、それに反応して前記第1の偏光素子をオフに切り替える検出手段を更に有する請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
偏光を放射する表示装置上に表示された暗号化画像を視覚的に復号化する復号化装置であって、
第3の偏光素子と、
第2の液晶ディスプレイと、
第4の偏光素子と、
を有し、
前記第3の偏光素子、前記第2の液晶ディスプレイ、及び前記第4の偏光素子は、前記表示装置から受信し、前記第3の偏光素子上に入射する光が、前記第2の液晶ディスプレイ及び前記第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する復号化装置。
【請求項8】
表示装置の存在を検出し、且つ、それに反応して前記第3の偏光素子をオフに切り替える検出手段を更に有する請求項7記載の復号化装置。
【請求項9】
一組の鍵及び/又は擬似乱数発生器を更に有する請求項7又は8記載の復号化装置。
【請求項10】
暗号化画像を視覚的に復号化する方法であって、
該方法は、表示装置上に前記暗号化画像を表示する第1の段階と、
復号化装置を使用する更なる段階と、
を有し、
前記表示装置は、第1の偏光素子、第1の液晶ディスプレイ、及び第2の偏光素子を有し、前記第1の偏光素子、前記第1の液晶ディスプレイ、及び前記第2の偏光素子は、前記第1の偏光素子上に入射する光が、前記第1の液晶ディスプレイ及び前記第2の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記復号化装置は、第3の偏光素子、第2の液晶ディスプレイ、及び第4の偏光素子を有し、前記第3の偏光素子、前記第2の液晶ディスプレイ、及び前記第4の偏光素子は、前記表示装置から受信し、前記第3の偏光素子上に入射する光が、前記第2の液晶ディスプレイ及び前記第4の偏光素子を通過しうるよう配置され、
前記第3の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する、方法。
【請求項11】
前記第2の偏光素子は、第1の偏光状態と第2の非偏光状態との間で切り替わることの可能な切替え可能偏光器を有する請求項10記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−514180(P2007−514180A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530970(P2006−530970)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051957
【国際公開番号】WO2005/034402
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】