説明

画像投射装置

【課題】 液晶プロジェクタの複数の基板ユニットを繋ぐハーネスからの電磁妨害波を低減する。
【解決手段】 それぞれがシールドケースにより覆われた複数の基板ユニットと、複数の基板ユニットの間をつなぐハーネスと、それぞれのシールドケースのグランドを接続するグランド接続板金と、ハーネスをグランド接続板金に押し当てる弾性部材とを有することを特徴とする画像投射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の画像変調素子を用いた画像投射装置に関し、特に画像投射装置における電磁波ノイズの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶プロジェクタを含む電気電子機器に対して高速デジタル技術が導入され、電気回路にスイッチング電源や発振回路等の高周波回路が次々に採用されているが、このような高周波回路は電磁妨害波の発生源となることがある。特に、LVDSのような差動信号を用いた高周波回路においては、矩形信号に発生したノイズ信号によってグランドラインに100MHzから1GHz程度のコモンモードノイズが発生しやすい。また、基板上のICや基板上のパターンから直接放射される同様の周波数レベルの直接放射ノイズも発生する。これらのノイズはシールドケースの隙間から放射したり、シールドから出るケーブルに乗り移り機器外に放出されることがある。この電磁妨害波が他の電気電子機器に干渉すると、他の電気電子機器が誤動作を起こす原因となってしまう。
【0003】
特許文献1は、コモンモードノイズを簡単な外付け部材により抑制する構成を開示している。
【特許文献1】特開2008−10796
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁妨害波の影響を低減するためには、電磁妨害波が発生しないようなICを選定したり、回路構成を工夫する必要がある。さらに回路で発生したノイズを画像投射装置外部へ放出しないようにするためには、基板本体を金属製のシールドケースで覆うのが効果的である。一方、液晶プロジェクタにおいて電気基板はユーザの操作性を考えたインターフェイスのレイアウトや、光学系のレイアウトの自由度を増すために、画像投射装置内の各所に分けられ設置されている。特に、液晶プロジェクタにおいては、電気基板が複数の基板ユニットで構成され、複数の基板ユニットの間に光学系が配置されることが多い。各基板ユニットはそれぞれシールドケースで覆われる必要がある。また、各基板ユニット同士は制御信号を送信するためのハーネス、および電源基板から電源を供給するハーネスの両者を配置する必要がある。これらのハーネスに基板からの高周波ノイズが乗り、ハーネスがアンテナの役割をして、そのまま画像投射装置外部に放出されてしまうことを防ぐ必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像投射装置は、それぞれがシールドケースにより覆われた複数の基板ユニットと、複数の基板ユニットの間をつなぐハーネスと、それぞれのシールドケースのグランドを接続するグランド接続板金とを有する。ここで、ハーネスをグランド接続板金に押し当てる弾性部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電磁妨害波が低減された液晶プロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図3に、本発明の画像投射装置を示す。図2は、本発明の画像投射装置の光学エンジン部6の内部を示している。1は光源ランプ、2はランプ1を保持するランプホルダー、3は防爆ガラス、4はガラス押さえ、6αはランプ1からの光を入射する照明光学系、6βは照明光学系からの出射光を入射するRGBの3色用の液晶パネルを備えた色分解合成光学系である。5は色分解合成光学系からの出射光を入射して図示せぬスクリーン(被投射面)に画像を投射する投射レンズ鏡筒であり、投射レンズ鏡筒5内には後述する投射レンズ光学系を収納している。6はランプ1、照明光学系α、色分解合成光学系βを収納するとともに投射レンズ5が固定される光学ボックスである。図3において8は電源、10はランプ1を点灯する為のバラスト電源である。電源8およびバラスト電源10は例えばアルミニウムでできたシールドケース9に囲われている。14は電気排気ファンであり、電源8およびバラスト基板10で生じた熱を排気している。一方、液晶パネルを駆動するRGB基板11c、信号の入出力を行うインターフェイス基板11b、映像信号処理およびランプ1の点灯を制御する為のメイン基板11aはプロジェクタの外形を最小にするため縦置きされ、シールドケース16により囲われている。さらに、電源基板8およびバラスト電源基板10はメイン基板により制御されている。このように、双方の信号をやり取りするために、制御ハーネス18a、電源ハーネス18bを有している。12は色分解合成光学系β内の液晶パネル等の光学素子を冷却する為の光学系用の吸い込み冷却ファンである。
【0009】
17はランプ1に対して吹き付け風を送り、ランプ1を冷却する為の光源ランプ用の冷却ファン冷却風をランプに送るためのランプダクトを示している。15は排気ファンであり、排気ファン18はランプ冷却ファン14によるランプ1を通過した後の熱風を排出する。
【0010】
次に、前述したランプ1、照明光学系6α、色分解合成光学系6β、投射レンズ5にて構成される反射型液晶表示素子(反射型液晶パネル等の画像形成素子)を搭載した画像投射装置の光学構成について図2にて説明する。
【0011】
図2において、41は連続スペクトルで白色光を発光する発光管、42は発光管41からの光を所定の方向に集光するリフレクターであり、発光管41とリフレクター42によりランプ1を形成する。
43aは水平方向(ランプ1からの光の進行方向における水平方向(紙面垂直方向))において屈折力を有するレンズアレイで構成された第1のシリンダアレイである。43bは第1のシリンダアレイ43aの個々のレンズに対応したレンズアレイを有する第2のシリンダアレイ、44は紫外線吸収フィルタ、45は無偏光光を所定の偏光光に揃える偏光変換素子である。
【0012】
46は垂直方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズで構成されたフロントコンプレッサ、47は光軸を88度変換する為の全反射ミラーである。43cは垂直方向(ランプ1からの光の進行方向における垂直方向(紙面垂直方向))において屈折力を有するレンズアレイで構成された第3のシリンダアレイである。43dは第3のシリンダアレイ43cの個々のレンズに対応したレンズアレイを有する第4のシリンダアレイ、50は色座標をある値に調整するために特定波長域の色をランプに戻すためのカラーフィルターである。48はコンデンサーレンズ、49は垂直方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズで構成されたリアコンプレッサである。以上により照明光学系αが構成される。
【0013】
58は青(B)と赤(R)の波長領域の光を反射し、緑(G)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーであり、59は透明基板に偏光素子を貼着したG用の入射側偏光板であり、P偏光光のみを透過する。60はP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1の偏光ビームスプリッターであり、偏光分離面を有する。
【0014】
61R,61G,61Bはそれぞれ入射した光を反射するとともに画像変調する赤用の反射型液晶表示素子、緑用の反射型液晶表示素子、青用の反射型液晶表示素子である。62R,62G,62Bはそれぞれ、赤用の1/4波長板、緑用の1/4波長板、青用の1/4波長板である。64aはRの色純度を高めるためにオレンジ光をランプに戻すトリミングフィルターで、64bは透明基板に偏光素子を貼着したRB用の入射側偏光板であり、P偏光のみを透過する。65はRの光の偏光方向を90度変換し、Bの光の偏光方向は変換しない色選択性位相差板である。66はP偏光を透過し、S偏光を反射する第2の偏光ビームスプリッターであり、偏光分離面を有する。
【0015】
68BはB用出射側偏光板(偏光素子)であり、BのS偏光のみを整流し、68GはS偏光のみを透過させるG用出側偏光板である。69はRB光を透過し、G光を反射するダイクロイックプリズムである。
【0016】
以上のダイクロイックミラー58から69のダイクロイックプリズムにより、色分解合成光学系βが構成される。
【0017】
ここでP偏光とS偏光の定義を明確にすると、45の偏光変換素子では、P偏光をS偏光に変換するが、ここでゆうP偏光とS偏光は45の偏光変換素子を基準として述べている。一方58のダイクロイックミラーに入射する光は60と66の偏光ビームスプリッター基準で考えるのでP偏光光が入射するものとする。45の偏光変換素子から射出された光はS偏光だが、同じS偏光光を58のダイクロイックミラーに入射する光をP偏光光として本実施例では定義するものである。
【0018】
次に光学的な作用を説明する。
発光管41から発した光はリフレクター42により所定の方向に集光される。リフレクター42は放物面形状を有しており、放物面の焦点位置からの光は放物面の対称軸に平行な光束となる。但し、発光管41からの光源は理想的な点光源ではなく有限の大きさを有しているので、集光する光束には放物面の対称軸に平行でない光の成分も多く含まれている。これらの光束は、第1のシリンダアレイ43aに入射する。第1のシリンダアレイ43aに入射した光束はそれぞれのシリンダレンズに応じた複数の光束に分割、集光される(垂直方向に帯状の複数の光束)。さらに紫外線吸収フィルタ44を介して、第2のシリンダアレイ43bを経て、複数の光束(垂直方向に帯状の複数の光束)を偏光変換素子45の近傍に形成する。
【0019】
偏光変換素子45は、偏光分離面と反射面と1/2波長板とからなり、複数の光束は、その列に対応した偏光分離面に入射し、透過するP偏光成分の光と反射するS偏光成分の光に分割される。反射されたS偏光成分の光は反射面で反射し、P偏光成分と同じ方向に出射する。一方、透過したP偏光成分の光は、1/2波長板を透過してS偏光成分と同じ偏光成分に変換され、偏光方向が揃った光として出射する。偏光変換された複数の光束(垂直方向に帯状の複数の光束)は、偏光変換素子45を出射した後、フロントコンプレッサ46を介して、反射ミラー47にて88度反射する。さらに、第3のシリンダアレイ43cに入射する。第3のシリンダアレイ43cに入射した光束はそれぞれのシリンダレンズに応じた複数の光束に分割、集光される(水平方向に帯状の複数の光束)。第4のシリンダアレイ43dを経て、複数の光束(水平方向に帯状の複数の光束)となり、コンデンサーレンズ48、リアコンプレッサ49に至る。
【0020】
ここで、フロントコンプレッサ46、コンデンサーレンズ48、リアコンプレッサ49の光学的作用の関係で、複数の光束は矩形形状の像が重なった形で矩形の均一な照明エリアが形成されることになる。この照明エリアに後述の反射型液晶表示素子61R、61G、61Bを配置する。次に、偏光変換素子45によりS偏光とされた光は、ダイクロイックミラー58に入射する。尚、ダイクロイックミラー58は、B(430〜495nm)とR(590〜650nm)の光は反射し、G(505〜580nm)の光は透過する。
【0021】
次に、Gの光路について説明する。
ダイクロイックミラー58を透過したGの光は入射側偏光板59に入射する。尚、Gの光はダイクロイックミラー58によって分解された後もP偏光(45の偏光変換素子基準の場合はS偏光)となっている。そしてGの光は、入射側偏光板59から出射した後、第1の偏光ビームスプリッター60に対してP偏光として入射して偏光分離面で透過して、G用の反射型液晶表示素子61Gへと至る。G用の反射型液晶表示素子61Gにおいては、Gの光が画像変調されて反射される。画像変調されたGの反射光のうちP偏光成分は、再び第1の偏光ビームスプリッター60の偏光分離面で透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたGの反射光のうちS偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッター60の偏光分離面で反射され、投射光としてダイクロイックプリズム69に向かう。このとき、すべての偏光成分をP偏光に変換した状態(黒を表示した状態)において、第1の偏光ビームスプリッター60とG用の反射型液晶表示素子61Gとの間に設けられた1/4波長板62Gの遅相軸を所定の方向に調整する。これにより、第1の偏光ビームスプリッター60とG用の反射型液晶表示素子61Gで発生する偏光状態の乱れの影響を小さく抑えることができる。第1の偏光ビームスプリッター60から出射したGの光は、第3の偏光ビームスプリッター69に対してS偏光として入射し、ダイクロイックプリズム69のダイクロイック膜面でG光を反射して投射レンズ70へと至る。
【0022】
一方、ダイクロイックミラー58を反射したRとBの光は、入射側偏光板64aに入射する。尚、RとBの光はダイクロイックミラー58によって分解された後もP偏光となっている。そしてRとBの光は、トリミングフィルター64aでオレンジ光をカットされた後、64bの入射側偏光板から出射し、色選択性位相差板65に入射する。色選択性位相差板65は、Rの光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりRの光はS偏光として、Bの光はP偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射する。S偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射したRの光は、第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面で反射され、R用の反射型液晶表示素子61Rへと至る。また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射したBの光は、第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面を透過してB用の反射型液晶表示素子61Bへと至る。
【0023】
R用の反射型液晶表示素子61Rに入射したRの光は画像変調されて反射される。画像変調されたRの反射光のうちS偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面で反射されて光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたRの反射光のうちP偏光成分は第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面を透過して投射光として69のダイクロイックプリズムに向かう。
【0024】
また、B用の反射型液晶表示素子61Bに入射したBの光は画像変調されて反射される。画像変調されたBの反射光のうちP偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたBの反射光のうちS偏光成分は第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面で反射して投射光として69のダイクロイックプリズムに向かう。
【0025】
このとき、第2の偏光ビームスプリッター66とR用,B用の反射型液晶表示素子61R,61Bの間に設けられた1/4波長板62R,62Bの遅相軸を調整することにより、Gの場合と同じようにR,Bそれぞれの黒の表示の調整を行うことができる。
【0026】
こうして1つの光束に合成され、第2の偏光ビームスプリッター66から出射したRとBの投射光のうちBの光は、出射側偏光板68Bで検光されて69のダイクロイックプリズムに入射する。また、Rの光はP偏光のまま68Bの偏光板をそのまま透過し、69のダイクロイックプリズムに入射する。
【0027】
尚、出射側偏光板68Bで検光されることにより、Bの投射光は第2の偏光ビームスプリッター66とB用の反射型液晶表示素子61B、1/4波長板62Bを通ることによって生じた無効な成分をカットされた光となる。
【0028】
そして、69のダイクロイックプリズムに入射したRとBの投射光は69のダイクロイックプリズムのダイクロイック膜面を透過し、前述した該ダイクロイック膜面にて反射したGの光と合成されて投射レンズ5に至る。
【0029】
そして、合成されたR,G,Bの投射光は、投射レンズ5によってスクリーンなどの被投射面に拡大投影される。
【0030】
以上説明した光路は反射型液晶表示素子が白表示の場合である為、以下に反射型液晶表示素子が黒表示の場合での光路を説明する。
【0031】
まず、Gの光路について説明する。
【0032】
ダイクロイックミラー58を透過したGの光のP偏光光は入射側偏光板59に入射し、その後、第1の偏光ビームスプリッター60に入射して偏光分離面で透過され、G用の反射型液晶表示素子61Gへと至る。しかし、反射型液晶表示素子61Gが黒表示の為、Gの光は画像変調されないまま反射される。従って、反射型液晶表示素子61Gで反射された後もGの光はP偏光光のままである為、再び第1の偏光ビームスプリッター60の偏光分離面で透過し、入射側偏光板59を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。
【0033】
次に、RとBの光路について説明する。
ダイクロイックミラー58を反射したRとBの光のP偏光光は、入射側偏光板64bに入射する。そしてRとBの光は、入射側偏光板64bから出射した後、色選択性位相差板65に入射する。色選択性位相差板65は、Rの光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりRの光はS偏光として、Bの光はP偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射する。S偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射したRの光は、第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面で反射され、R用の反射型液晶表示素子61Rへと至る。また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッター66に入射したBの光は、第2の偏光ビームスプリッター66の偏光分離面を透過してB用の反射型液晶表示素子61Bへと至る。ここでR用の反射型液晶表示素子61Rは黒表示の為、R用の反射型液晶表示素子61Rに入射したRの光は画像変調されないまま反射される。従って、R用の反射型液晶表示素子61Rで反射された後もRの光はS偏光光のままである為、再び第1の偏光ビームスプリッター60の偏光分離面で反射し、入射側偏光板64bを通過して光源側に戻され、投射光から除去される為、黒表示となる。一方、B用の反射型液晶表示素子61Bに入射したBの光はB用の反射型液晶表示素子61Bが黒表示の為、画像変調されないまま反射される。従って、B用の反射型液晶表示素子61Bで反射された後もBの光はP偏光光のままである為、再び第1の偏光ビームスプリッター60の偏光分離面を透過する。色選択性位相差板65により、P偏光に変換され、入射側偏光板64bを透過して光源側に戻されて投射光から除去される。
【0034】
以上が、反射型液晶表示素子(反射型液晶パネル)を使用した画像投射装置での光学構成である。
【0035】
次に本発明における液晶プロジェクタの電磁波ノイズ除去の方法について説明する。
図1に、電源基板ケース(シールドケース)9とメイン基板ケース(シールドケース)16をつなぐグランド接続板金19の構成を示す。図中で光学エンジン6は省略している。
【0036】
一般に、信号発生源より流れ出た電流により発生した電磁波は、最終的にはグランドを通って戻ってくることから、グランド接続板金19は図1に示すように、なるべく表面積が大きいことが好ましい。また、グランドを安定させるため、グランド接続板金はAC電源ラインのグランドに直結している。
【0037】
図1の構成は、ハーネス18が液晶プロジェクタの上部に配置される構成であるため、グランド接続板金19を液晶プロジェクタの上部に配置したが、いずれも液晶プロジェクタの下部に配置されても良い。また、上部と下部に複数配置しても良い。ただし、上部と下部に配置する場合にはグランドループが生じないようにグランドの配線に注意する必要がある。グランドループを形成してしまった場合にはそのループからコモンモードノイズが発生してしまうためである。
【0038】
グランド接続板金19を液晶プロジェクタの上部に構成した場合、グランド接続板金19は液晶プロジェクタ全体のシールドケースの役割を兼ねており、シールド作用を持つ。したがって、信号線(ハーネス)18はグランド接続板金19の内側に配置されること、すなわち、グランド接続板金19がハーネスの外側に配置されることが好ましい。また、グランドが確実に結合されていないと、グランド間に電位差が生じ、ノイズ電流が流れやすくなる。このため、例えばビス止めの箇所を増やしてビス止め間の間隔を狭くすることで、グランド接続板金19と電源基板ケース9とメイン基板ケース16の間の隙間がスリットアンテナとならないよう工夫する必要がある。特に、グランド接続板金19と制御ハーネス18a、電源ハーネス18bの距離を短く設定することが重要である。
【0039】
図4に画像投射装置の側面図を示す。制御ハーネス18a、電源ハーネス18bは、グランド接続板金19の内側に沿って配置されている。RGB基板11cには光学エンジン6に搭載されている液晶パネル61R、61B、61Gからのフレキシブル基板が装着されている。これらの基板には電源基板8から電力が供給される。図1のメイン基板11a、インターフェイス基板11b、RGB基板11cにより構成される基板ユニットで発生した高周波ノイズが制御ハーネス18a、電源ハーネス18bに移る。さらに、制御ハーネス18a、電源ハーネス18bがアンテナとなって電磁波ノイズが機器外に放出される可能性がある。そこで光学エンジン6の上部に配置されている弾性部材20によって、制御ハーネス18a、電源ハーネス18bをグランド接続板金19に押し当てる構成としている。
【0040】
図5にハーネス18の周辺部の詳細図を示す。スポンジ等の弾性体20aを導電布20bで包んだガスケットが光学エンジン6の上部に貼り付けられており、制御ハーネス18a、電源ハーネス18bの順でグランド接続板金19に押し当てられている。これは、メイン基板11a上のICより生じる高周波のノイズがより制御ハーネス18aに乗りやすい傾向にあることに起因している。ハーネス18は芯線21の周りに樹脂製の絶縁体22が被覆されており、グランド接続板金19に押し当てられることにより、図5の右側に示すような等価回路となる。ハーネスの絶縁体22がコンデンサの役割をし、ローパスフィルタを形成する。したがって、ケーブルにのっている100MHz〜1GHzの範囲の高周波のノイズ電流はハーネス18からグランド接続板金19に流れるようになる。
【0041】
このような構成により、ハーネス18にのった高周波ノイズを数dB単位で低減することができる。弾性部材としてガスケットを用いた例を説明したが、例えばバネ、スボンジ、モールド部材を用いてハーネス18をグランド接続板金19に押し当ててもよい。さらに、グランド接続板金19がアンテナとなってしまう場合には、以下の手段によってアンテナ成分を除去することができる。図3の19aに示す長さがメイン基板のICの基本クロック周波数の波長の整数倍に一致していると、板金19上にスリット穴19bを複数設け、19aの長さを実質的に短くすることができる。これによってできる板金長さ19c、19dが波長の整数倍にならないように構成する。これによりグランド接続板金が高周波ノイズを放出するアンテナにならないように構成することができる。
【実施例2】
【0042】
実施例1は、ガスケット、バネ、スボンジ、モールド部材等の弾性部材を用いてグランド接続板金19に制御ハーネス18a、電源ハーネス18bを押し当てる構成を説明した。図6にハーネスの側面図を示す。図6の構成では実施例1の構成に加えてハーネスに1000〜300MHz程度の周波数に効果のあるフェライトコア23を装着することを特徴とする。ハーネス18とハーネス18に取り付けられたフェライトコア23を共にグランド接続板金19に押し当てる弾性部材24を有する。これにより、ハーネス18にのる高周波ノイズをより確実に除去することができる。
【実施例3】
【0043】
実施例1、2においてはグランド接続板金19に制御ハーネス18a、電源ハーネス18bを弾性部材で押し当てる構成を示したが、ハーネス18の表面はグランド接続板金19で覆われるのみであった。更に確実にノイズを除去するためにはハーネス18自体をシールド板金25で覆うのが良い。そして、ハーネス18を囲むシールド板金25の一部を例えば板バネで構成し、板バネによってハーネス18をグランド接続板金19に押し当てることで、シールド効果とコンデンサ効果の2つの効果を同時に得ることができる。
【0044】
なお、本発明の実施例は反射型の液晶表示装置について述べているが、透過型の液晶表示装置であっても良い。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1を示す斜視図
【図2】本発明の実施例1の光学系を示す上面図と側面図
【図3】本発明の実施例1を示す上面図
【図4】本発明の実施例1を示す側面図
【図5】本発明の実施例1を示す断面図
【図6】本発明の実施例2を示す断面図
【図7】本発明の実施例3を示す断面図
【符号の説明】
【0047】
1 光源ランプ
2 ランプホルダー
3 防爆ガラス
4 ガラス押さえ
5 投射レンズ
6 光学ボックス
8 電源
9 シールドケース
10 バラスト電源
11 回路基板
12 光学冷却ファン
13 RGBダクト
14 電源排気ファン
15 ランプ排気ファン
16 シールドケース
17 ランプ冷却ファンおよびダクト
18 ハーネス
19 グランド接続板金
20 ガスケット
21 芯線
22 絶縁体
23 フェライトコア
24 弾性部材
25 弾性シールド部材
41 ランプ発光管(光源)
42 リフレクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがシールドケースにより覆われた複数の基板ユニットと、該複数の基板ユニットの間をつなぐハーネスと、それぞれのシールドケースのグランドを接続するグランド接続板金と、前記ハーネスを前記グランド接続板金に押し当てる弾性部材とを有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
前記グランド接続板金は、前記ハーネスよりも画像投射装置の外側に配置されており、前記ハーネスおよび前記基板ユニットに対するシールド作用を持つことを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
【請求項3】
前記ハーネスはフェライトコアを備えており、前記弾性部材は前記フェライトコアを前記グランド接続板金に押し当てることを特徴とする請求項1または2に記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記ハーネスを覆うシールドケースを有し、該シールドケースの一部に前記弾性部材が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−288662(P2009−288662A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142940(P2008−142940)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】