説明

画像投影用スクリーン及び投影型三次元画像通信端末装置

【課題】高精度な三次元立体画像が空中に浮遊しているかの様な感覚を損なうことのない高精度な画像投影用スクリーン及び投影型三次元画像通信端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像投影用スクリーンは、複数の凸レンズを有するレンズアレー7と、可視域において透明でかつ曲げ弾性率が2Gpa以上である基板18と、基板18に支持されてレンズアレー7と基板18との間に設けられ可視光を散乱する散乱シート(光散乱層)17とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像技術分野、アミューズメント分野、エンターテインメント分野、インターネット分野、情報分野、マルチメディア分野、コミュニケーション分野、広告・宣伝分野、医療分野、芸術分野、教育分野、設計支援分野、シミュレーション分野、バーチャルリアリティ、などで使われる三次元表示を可能にする投影型の画像投影用スクリーン及びこれを装備した投影型三次元画像通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元画像情報を表示する手段としては、両眼視差を含んだ2枚の絵を右眼で右の画像、左眼で左の画像を見る裸眼実体視平行法や、液晶シャッタ付きのメガネや、右眼と左眼それぞれ違うレンズを用いて見るステレオスコープや、赤と青の色違いの両眼視差絵を赤青メガネを通して見るアナグリフ方式などがある。しかし、これらの方法で三次元画像を見る場合には、特殊なメガネや訓練が必要であった。
【0003】
近年、液晶技術の発展により、メガネのいらない三次元表示の可能な液晶ディスプレイが次々と発表されている。そのほとんどが、イメージスプリッター方式の眼鏡なし三次元液晶表示素子、所謂、パララックスバリア方式やレンチキュラレンズ方式の水平視差のみを有する三次元画像表示装置である。パララックスバリア方式やレンチキュラレンズ方式の三次元画像表示装置では、右眼位置から右眼画像が、左眼位置から左眼画像が見えるように、空間的に画像光路を分離供給して、立体感を生じさせるものである。従って、空間に周期的に右眼位置と左眼位置とに画像光路が分離供給されており、その位置がずれると立体が破綻する。原理的に水平方向の視差を含んだ画像を供給する為、右眼位置と左眼位置が水平からずれると立体が破綻してしまうという課題がある。従って、長時間、三次元動画像の立体を保ったまま立体視を行おうとすると、空間の定位置に、右眼位置と左眼位置を固定する必要がある。
【0004】
水平方向の右眼位置と左眼位置のズレに対しては、観察者の眼の位置や顔の位置をセンサーによって特定して、その位置のズレに合わせて、画像光路を制御修正する方法も考案されている。しかし、この方法では装置が大掛かりとなり、眼の位置や顔の位置をセンシングするために、マーカーを観察者に付けなければならないという煩わしさが生じる。
【0005】
近年、これらの課題を解決する方法として、M.G.Lippmannによって1908年に提案されたインテグラルフォトグラフィを発展させ、フィルムの変わりに、液晶などの二次元表示パネルとピンホールやハエの目レンズアレーを使った三次元の表示方式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
また、従来、画像投影方式には様々なものが提案されているが、一般的には通常投影画像を写すスクリーンに不透明で光が散乱するスリーンにて投影画像を映し出す。図13は、従来の投影システムを示すシステム構成図である。図14は従来の散乱スクリーン表示部の投影システム図である。図13と図14において107は被写体、106は被写体画像を撮影する画像入力部、106aはレンズ、106bは受光部、105は撮影画像から投影画像を演算する演算部、101は表示部、102は画像投影用スクリーン、104はプロジェクタ等の投影部、104aは投影デバイス、102aは具体的な不透明で光が散乱する画像投影スクリーンである。以下に上記構成の動作について説明する。被写体107の画像は、画像入力部106のレンズ106aで集光され、受光部106bで光電変換され、画像入力部106から画像を演算する演算部105に送られる。演算部105では投影画像情報として各種演算後、画像情報を投影部104に送る。投影部104では演算部105からの入手データを投影デバイス104aから表示部101の画像投影用スクリーン102に投影する。具体的には投影部として図14のプロジェクタ104から不透明で光が散乱する画像投影スクリーン102aに投影され、観察者は背景が見えない画像投影スクリーン102aの散乱光から被写体画像を認識する。
【特許文献1】特開2001−275134号公報
【特許文献2】特許第3375944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インテグラルフォトグラフィで滑らかな三次元を表示するには、1つのピンホール又はレンズの中に異なる視差画像を配置する必要がある。例えば水平および垂直方向でそれぞれ10視差の画像を表現するには、10×10で100画像必要となる。従って、二次元表示パネルの解像度は三次元表示をする場合、100分の1の解像度に低下してしまうという問題点が有る。
【0008】
このような、解像度の低下を防ぐ為に視差画像の数を少なくする方法はあるが、視差画像の数が少なくなればなるほど、滑らかな視差の移動が無くなり、立体感が低下する。この為、立体感と解像度を保持して、良好な三次元画像を得るためには、高解像度の二次元表示パネルを必要とする。
【0009】
近来、液晶パネル、プラズマディスプレイパネルの開発が進み、大型で高解像度の表示パネルが開発されている。ここで、三次元画像を表示するための二次元表示パネルを10.4インチの縦158.4mm、横211.2mmの液晶パネルで実現することを考える。例として分解能1mmつまり直径1mmのピンホール又は凸レンズのアレイを用いて、縦10視差、横10視差の三次元画像を実現しようとすると、10.4インチの液晶パネルの画素は縦1584、横211画素必要となりこのときの液晶パネルの画素ピッチは254dpi(ドット/インチ)となる。しかし、実用化されている液晶パネルの最高解像度が200dpi程度であることを考えると、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルでインテグラルフォトグラフィ方式の高画質三次元画像表示を実現することは非常に困難である。
【0010】
また、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルをインテグラルフォトグラフィ方式の高画質三次元画像表示に使用するためには、直接これらのパネルの画素に凸レンズアレーやピンホールアレーの各レンズ又はピンホールを調整し、それぞれの画素に凸レンズやピンホールを対応させなければならない。従来、投影型の例としては、特開2003−279894号公報に示されるマルチプロジェクションタイプの立体映像表示装置があるが、投影画像と凸レンズ又はピンホールアレーのミスマッチングにより十分な立体映像を得るにいたっていない。
【0011】
また、投影画像を投射するスクリーンとして、エンボス型拡散板、ホログラム拡散板、ホログラムスクリーンを用いることができる。これらのスクリーンに投影する視点の画像情報を含む要素画像の分解能は、自然な三次元立体画像を得るためには、200dpi以上とすることが好ましい。さらに三次元画像の表示を行うために、視点の画像情報を含む要素画像が発せられるように制御結像させる手段としてピンホールアレー、凸レンズアレーを用いることができる。
【0012】
しかしながら、レンチキュラーレンズアレイおよびフライアイレンズアレイ等の凸レンズアレーを、PMMAやポリカーボネート等の樹脂材料で作成した際には、その形状ゆえ、レンズアレー全体が反ってしまうと言う弊害があった。レンズが反ってしまい、その寸法安定性が確保できなければ、二次元投影画像を3次元画像へと変換する為に高精度な位置合わせが不可能となり、高精度な三次元立体画像を再現することが不可能となる。
【0013】
このため、これまでは投影した画像の結像面を拡散スクリーンとして、その位置で焦点距離を合わせた凸レンズアレーの形状が保持できる様に、凸レンズアレーと拡散スクリーンを重ねて、その両側から十分な厚みを有するガラス板や、PMMAやポリカーボネート等の透明樹脂板とフレームで挟み付ける構造を取っていた。これにより投影面周囲が鉄格子の様なフレームで覆われることになり、三次元立体画像が空中に浮遊しているかの様に見える、という感覚は著しく損なわれる物となっていた。
【0014】
また、上述した様な従来の方法では、画像投影用スクリーンは常に不透明で、背景部が見えない。本発明はかかる点に鑑み、画像投影用スクリーンを電気により透明/不透明を制御可能とすることで背景画像中に撮影画像の表示を行うことを目的とする。また最終的にはをスクリーン制御することで三次元画像情報が空間に浮いたように立体的表示できるようにする。
【0015】
そして、本発明は、上述の凸レンズアレーが反ってしまい三次元立体画像が再現できないという課題と、この凸レンズアレーが鉄格子の様なフレームで覆われてしまう課題を解決し、高精度な三次元立体画像が空中に浮遊しているかの様な感覚を損なうことのない高精度な画像投影用スクリーンを提供すること及びこのスクリーンを装備した三次元画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の目的を果たすために、本発明に係る画像投影用スクリーンは、その元の三次元物体が空間に存在し、この三次元物体から視点の画像情報を含む要素画像が発せられるように制御結像させる結像手段である凸レンズアレーと、この凸レンズアレー歪みを補正するために、可視域において透明で、かつ曲げ弾性率が2Gpa以上である平板状の基板を有する構造であることを特徴とする。一般的に用いられる光学的に透明な樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィンおよび透明ABSなどが挙げられる。これら樹脂材料の曲げ弾性率は、概ね2Gpa以上であり、凸レンズアレーを貼り付けた際にも、基板がたわむことが無く、凸レンズアレーの形状を基板上に保持することが可能となる。またガラス材料は一般的に、70Gpa以上の曲げ弾性率を有しており、光学的に透明かつ基板の剛直性を提供するという目的においては、最も相応しい材料である。
【0017】
また、このレンズアレーと接着する際に、結像面の位置には光散乱効果をもつ面を形成する。視差情報を含む複数の視点画像の要素画像を投影するスクリーン面に光散乱層を形成するために、以下の手段を用いる。
【0018】
(1)光散乱層をレンズアレーと平板状の基板との間に接着する。
【0019】
(2)平板状の基板の表面に光散乱層を形成する。
【0020】
(3)レンズアレーの表面に光散乱層を形成する。
【0021】
(4)平板状の基板とレンズアレーとの間の接着剤層を光散乱層で形成する。
【0022】
さらに、本発明は画像投影用スクリーンに分散される高分子分散液晶材料がマトリクス状の透明電極に挟まれた構造であり、マトリクス内の任意の点に対して電圧の印加で、光の透過と散乱を切り換えできる構造であることを特徴とする。画像投影用スクリーンと、画像投影用スクリーンを形成するマトリクス状の透明電極における電圧の印加による駆動が、投影するマトリクス点の明度及びコントラストに応じ、光の透過と散乱を切り換えて行われるものであり、かつ投影画像の経時変化に応じて変化して最適化されることを特徴とする画像投影用スクリーンを備え、人物像または物体像を撮影するカメラを具えた画像入力部と、撮影された人物像または物体像を三次元画像情報に変換する演算部と、変換された三次元画像を投影する投影部と、投影された三次元画像を表示する表示部と、この三次元画像情報を送受信すると共に音声で相手方と交信する通話部を設けた投影型三次元画像通信端末装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このため、投影スクリーンを保持するためのフレームを必要としない。またレンズアレーが歪み投影画像のフォーカスがずれることを防ぐため、高精度な三次元画像を投影するためのスクリーンを作ることが可能となる。さらに、結像面である光散乱面の厚みを薄くすることで、高精度な投影画像が得られる。光散乱材において、屈折率と濃度及びそれらの分布設定により、透過率と光散乱の最適化が可能となる。さらに本発明によれば、画像を投影するスクリーンの制御を、投影される画像の明度及びコントラストに応じ、光の透過と散乱を切り換え、電気的に透明/不透明を制御可能とすることで背景画像中に撮影画像の表示を行うことが可能となる。また最終的にはスクリーンを、投影する画像の明度やコントラストに応じたマトリクス制御を行うことで、三次元画像情報が空間に浮いた様な立体的表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
第1の発明の画像投影用スクリーンにおいては、複数の凸レンズを有するレンズアレーと、可視域において透明でかつ曲げ弾性率が2Gpa以上である基板と、基板に支持されてレンズアレーと基板との間に設けられ可視光を散乱する光散乱層とを有する。この構成により、光散乱層は曲げ弾性率が2Gpa以上である基板に支持されて歪みが抑制される。このため、投影スクリーンを保持するためのフレームを必要としなくなる。またレンズアレーが歪んで投影画像のフォーカスがずれる不具合も抑制されるという作用を有する。
【0025】
第2の発明の画像投影用スクリーンにおいては、光散乱層が、基材と、この基材に分散された基材と異なる屈折率の複数の粒子とから構成されている。この構成により、簡単な構造により光散乱層を構成することができるという作用を有する。
【0026】
第3の発明の画像投影用スクリーンにおいては、光散乱層が、レンズアレーと基板との間に、光学的に透明なテープ材料で接着されている。この構成により、簡単な構造により光散乱層を固定することができるという作用を有する。
【0027】
第4の発明の画像投影用スクリーンにおいては、光散乱層が、レンズアレーと基板との間に、光学的に透明な接着剤で接合されている。この構成により、より簡単な構造により光散乱層を固定することができるという作用を有する。
【0028】
第5の発明の画像投影用スクリーンにおいては、光散乱層が、接着剤の性質を有しており、自身の接着性により、レンズアレーと基板との間に接着されている。この構成により、容易に光散乱層を構成できるとともに簡単な構造により光散乱層を固定することができるというという作用を有する。
【0029】
第6の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、レンズアレーと基板とを接着する接着剤であり、この接着剤中に粒子が分散されている。この構成により、簡単な構造により光散乱層を固定することができるというという作用を有する。
【0030】
第7の発明の画像投影用スクリーンにおいては、レンズアレー及び基板の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方である。この構成により、レンズアレー及び基板が安価になるという作用を有する。
【0031】
第8の発明の画像投影用スクリーンにおいては、光散乱層の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方である。この構成により、光散乱層が安価になるという作用を有する。
【0032】
第9の発明の画像投影用スクリーンにおいては、粒子の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方である。この構成により、粒子が安価になるという作用を有する。
【0033】
第10の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、ガラスおよび樹脂の少なくともいずれかに対して接着性を有する。この構成により、光散乱層は、自らが安価になるという作用を有する。
【0034】
第11の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、可視光域において可視光を所定の屈折率分布にて屈折させる透明材料である。この構成により、意図した像を適切に結像させるという作用を有する。
【0035】
第12の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、可視光域において入射光および回折光を所定の屈折率にて屈折させる透明材料である。この構成により、意図した像のみを適切に結像させるという作用を有する。
【0036】
第13の発明の画像投影用スクリーンにおいては、透明材料が、ガラス、セラミックおよび高分子材料のいずれかである。この構成により、容易に作製可能であるとともに、コストダウンを図れるという作用を有する。
【0037】
第14の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、所定の波長の可視光を選択して透過させる。この構成により、意図した像のみを適切に結像させるという作用を有する。
【0038】
第15の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、コレステリック液晶材料で構成され、可視光域において円偏光性の選択透過性を有する。この構成により、選択された光のみが透過され意図した像のみが適切に結像するという作用を有する。
【0039】
第16の発明の画像投影用スクリーンにおいては、コレステリック液晶材料で構成された基材が、右円偏光を反射し左円偏光を透過する。この構成により、円偏光の動作によって選択された光のみが透過され意図した像のみが適切に結像するという作用を有する。
【0040】
第17の発明の画像投影用スクリーンにおいては、コレステリック液晶材料で構成された基材が、左円偏光を反射し右円偏光を透過する。この構成により、円偏光の動作によって選択された光のみが透過され意図した像のみが適切に結像するという作用を有する。
【0041】
第18の発明の画像投影用スクリーンにおいては、基材が、高分子マトリクス中に液晶分子が分散された高分子分散液晶材料である。この構成により、マトリクス中の任意の点に対して光の透過と散乱が切り換わるという作用を有する。
【0042】
第19の発明の画像投影用スクリーンにおいては、液晶分子がネマチック液晶である。この構成により、選択された光のみが透過され意図した像のみが適切に結像するという作用を有する。
【0043】
第20の発明の画像投影用スクリーンにおいては、高分子マトリクスの材料が、可視広域において透明な材料である。この構成により、像をスクリーンに適切に結像させるという作用を有する。
【0044】
第21の発明の画像投影用スクリーンにおいては、高分子マトリクスの材料が、非晶質高分子である。この構成により、光の透過と散乱の切り換えを容易に行うことができるという作用を有する。
【0045】
第22の発明の画像投影用スクリーンにおいては、高分子マトリクスの材料が、結晶高分子である。この構成により、容易に作製することができるという作用を有する。
【0046】
第23の発明の画像投影用スクリーンにおいては、高分子分散液晶材料はマトリクス状の透明電極に挟まれて配置されており、マトリクス内の任意の点に対して透明電極による印加により光の透過と散乱が切り換わる。この構成により、透明電極による印加によって選択された光のみが透過され意図した像のみが適切に結像するという作用を有する。
【0047】
第24の発明の画像投影用スクリーンにおいては、透明電極における電圧の印加による駆動が、投影するマトリクス点の明度及びコントラストに応じ、光の透過と散乱を切り換えて行われるものであり、かつ投影画像の経時変化に応じて変化して最適化される。この構成により、切り換え制御を容易に且つ正確に行うことができるという作用を有する。
【0048】
第25の発明の投影型三次元画像通信端末装置においては、像を撮影するカメラを具えた画像入力部と、撮影された像を三次元画像情報に変換する演算部と、変換された三次元画像を投影する投影部と、投影された三次元画像を表示する表示部と、三次元画像の情報を送信および受信すると共に音声で相手方と交信する通話部とを備えた画像通信端末であって、表示部のスクリーンが第1から24のいずれかに記載の画像投影用スクリーンである。この構成により、光散乱層は曲げ弾性率が2Gpa以上である基板に支持されて歪みが抑制される。このため、投影スクリーンを保持するためのフレームを必要としなくなる。また、レンズアレーが歪んで投影画像のフォーカスがずれる不具合も抑制されるという作用を有する。
【0049】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
【0050】
(実施の形態1)
以下、本発明の画像投影用スクリーンについて、図1乃至図3を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態1の画像投影用スクリーンを装備する三次元画像表示装置の模式図である。三次元画像表示装置は、光源1と、光源1より発せられた光2を偏向する偏向ビームスプリッタ3と、結像スクリーン6Aと、三次元映像8を結像スクリーン6Aに結像させるために、偏向された後の光2を結像スクリーン6Aに投影する投影デバイス4および投射レンズ5とを有している。
【0051】
図1において、光源1より発せられた光2は、偏光ビームスプリッタ3に入射後、S波だけが偏光ビームスプリッタ3の界面で反射して、投影画像の形状を制御させるための投影手段としての投影デバイス4に入射する。投影デバイス4に入射したS波は投影デバイス4の内部で投影画像情報により変調され、画像情報を付加される。この時、変調を受けない光はS波のまま反射して、入射時と逆の経路を通って光源1に戻るため、光は出射されず黒の状態となる。一方変調を受けたS波は変調の度合いに応じてP波成分を含んだ光に変換され、偏光ビームスプリッタ3を通過し、投射レンズ5を通して結像スクリーン6Aに投射され、投影画像が結像される。結像された投影画像はインテグラルフォトグラフィ方式のレイトレイス画像となっているため、凸レンズアレー7を通して空間に三次元映像8を結像することができる。
【0052】
光源1としては、各色の発光ダイオード(LED;Light−emitting Diode)を用いることができる。その他の光源としては、ハロゲンランプや有機エレクトロルミネセンス(EL;Electroluminescence)を用いることができる。特に白色LEDはハロゲンランプの代替として最適である。投影デバイス4としては日本ビクター株式会社製のD−ILA(Direct Drive Image Light Amplifer)や、日立製作所製のLSM18HDA01B1パネルなどが使用できる。
【0053】
図2は実施の形態1の結像スクリーン6Aの断面図である。結像スクリーン6Aは、複数の凸レンズが並んで構成された凸レンズアレー(レンズアレー)7と、可視域において透明でかつ曲げ弾性率が2Gpa以上である平板状の基板18と、凸レンズアレー7および基板18との間に挟まれて両者に接着剤(接着剤層)21Aにより接着されて設けられ可視光を散乱する光散乱層である散乱シート17とから構成されている。そして、この光散乱層を構成する散乱シート17は、基材19にこの基材19と異なる屈折率の微粒子(粒子)20が分散されて構成されている。
【0054】
散乱シート17を、凸レンズアレー7と基板18との間に挟み接着する手段としては、エポキシ系およびアクリル系もしくはシリコーン系等の光学的に透明な接着剤を用いる。もしくは、光学的に透明な両面テープ等を用いても良い。
【0055】
微粒子20は、光学的に透明なガラスもしくは樹脂である。微粒子20は、基材19中に、均一もしくはある一定の規則性の分布を持つように分散されている。この微粒子により入射された光線は、散乱シート17において適切に散乱されて、画像を結像することが可能となる。
【0056】
このような構成とすることにより、凸レンズアレー7は反りを生じること無く焦点面における平滑性を維持することが可能となる。また焦点面の位置では、適切な光の透過と散乱が設定されるため、鮮明な画像を投影することが可能となる。また、凸レンズアレー7の反りを抑えるためのフレームを必要とせず、構造は基板18のみの剛性により維持できる。これによりフレームがなく結像スクリーン6Aのみで構成されるため、臨場感を損なうこと無く三次元画像の投影が可能となる。
【0057】
光学的に透明な樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレートおよびポリカーボネートおよびポリオレフィンおよび透明ABSなどを用いる。これら樹脂材料の曲げ弾性率は、概ね2Gpa以上であり、凸レンズアレー7を貼り付けても、基板18がたわむことが無く、凸レンズアレー7の形状を基板18上に保持する。またガラス材料としては、70Gpa以上の曲げ弾性率を有し光学的に透明なものが相応しい。
【0058】
ここで、インテグラルフォトグラフィ方式を詳細に説明する。図3にインテグラルフォトグラフィ方式の原理を説明する図を示す。インテグラルフォトグラフィはM.G.Lippmannによって1908年に提案された。M.G.Lippmannによるインテグラルフォトグラフィは、ハエの目状の凸レンズアレー11を用いて、ハエの目状の凸レンズアレー11の焦点位置にフィルムを置きそのフィルムの表面にハエの目状の凸レンズ毎の画像を記録する。そして、再生時には、フィルムに記録させたハエの目状の凸レンズ毎の画像を、撮影時と同じハエの目状の凸レンズアレー11を用いることによって立体画像を再生するというものである。図3に示すように再生要素画像9を表示するための表示素子10にハエの目状の凸レンズアレー11の凸レンズ12毎に対応させて表示すると、再生要素画像9は凸レンズ12を介して、元の画像表面の画素位置に対応する結像点13に結像する。よって、実際に結像点13から光線14が発生して、観察者の瞳15に入射するので、立体感の有る三次元再生画像16が再生される。三次元再生画像16は実際に空間に結像点13があるため、角度を変えてみても、眼の位置を動かしてみても、立体感の有る三次元再生画像16を安定して見ることができる。
【0059】
本発明の実施の形態1においては、凸レンズ12は直径が1.5mmのものを使用した。結像スクリーン6Aに投射され、結像された投影画像の解像度は200dpiとした。これにより1つのレンズの再生要素画像9は、10×10ピクセルの画像で構成され、水平および垂直方向の視差数がそれぞれ10視野の滑らかな三次元立体画像を再生することができる。しかし、結像された投影画像の解像度が200dpi以下になると自然な立体再生画像を得ることが難しくなる。そこで、データ処理時間とのトレードオフになるができるだけ自然な三次元立体画像を得るには200〜700dpiの解像度の再生要素画像9を1.5mm以下のレンズで再生することが有効である。
【0060】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1と結像スクリーンが異なる。その他の構成は実施の形態1と同様である。図4は実施の形態2の結像スクリーンの断面図である。結像スクリーン6Bは、散乱シートは使用せずに、凸レンズアレー7と曲げ弾性率が2Gpa以上である基板18とが接着剤(接着剤層)21Bにて直接に接着されている。接着剤21Bとしては、エポキシ系およびアクリル系もしくはシリコーン系に代表される様な光学的に透明な接着剤を用いる。接着剤21B中には、硬化後の接着剤21Bと異なる屈折率を有する微粒子20を分散させる。
【0061】
微粒子20は、硬化後の接着剤21B中に、均一もしくはある一定の規則性を有する分布に分散される。この分散は接着剤の硬化前で流動性を有する状態で行われる。分散は、微粒子20と接着剤21Bをペースト状に混合した後に、ボールミルや3本ロール等の装置を用いて行われる。このとき、微粒子20が破砕されない様に、過剰な混合速度や圧力に留意する。微粒子20を分散した接着剤21Bを硬化させるのに加熱もしくはUV照射を用いる。
【0062】
入射された光線は微粒子20により接着剤21Bの接着界面において適切に散乱されて、画像を結像することが可能となる。凸レンズアレー7の焦点は、接着剤21Bの層の位置が結像面となる様に設定される。曲げ弾性率が2Gpa以上である基板18に凸レンズアレー7が貼り付けられる構造となるため、凸レンズアレー7は反りを生じること無く焦点面における平滑性を維持する。また焦点面の位置では、適切な光の透過と散乱が設定されるため、鮮明な画像を投影する。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1と結像スクリーンが異なる。その他の構成は実施の形態1と同様である。図5は実施の形態3の結像スクリーンの断面図である。結像スクリーン6Cは、散乱シート17が曲げ弾性率が2Gpa以上である基板18と凸レンズアレー7との間に挟まれて接着された構造を持つ。接着手段として、エポキシ系およびアクリル系もしくはシリコーン系等に代表される様な光学的に透明な接着剤21Aを用いる。もしくは、接着手段として光学的に透明な両面テープを用いても良い。
【0064】
散乱シート17は、光学的に透明な樹脂からなる基材19と、基材19とは異なる可視光域において特定の屈折率分布を有する透明な材料22からなる。材料22は可視光の回折を行う際に、その入射光の角度および屈折光の放射角度に所定の規則をもって回折する。そのため、材料22が分散された本実施の形態の散乱シート17においては、ある方向からの光線は散乱されて画像を結像するが、ある方向からの光線は殆ど散乱されずに透過して実上画像を結像しない。この特徴を利用することによりスクリーンに所定の角度を持たせて画像を結像させたり画像を結像させなかったり選択できるスクリーンとして機能させることができる。
【0065】
凸レンズアレー7は曲げ弾性率が2Gpa以上の基板18に貼り付けられる構造となるため、反りを生じること無く焦点面において所定の平滑性を維持する。また焦点面の位置では、適切な光の透過と散乱が、角度の選択性を持って設定されるため、入射および射出される光の角度を制御した鮮明な画像を投影する。これにより材料22に、光源1からの光に対しては散乱して結像を行い、それ以外の角度からの光線に対しては透過するという特性が与えられ、結像スクリーン6Cに結像した三次元画像は、あたかも空中に浮かび上がっている様な臨場感があるものとなる。また光源からの直射光が眼に入り、眼を傷めてしまう不具合を防止することができるといった効果も得られる。また、凸レンズアレー7の反りを抑えるためのフレームが必要でなくなり、構造は基板18のみの剛性により維持できる。これによりフレームがなく結像スクリーン6Cのみで構成することが可能となるため、臨場感を損なうこと無く三次元画像の投影が可能となる。
【0066】
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態1と結像スクリーンが異なる。その他の構成は実施の形態1と同様である。図6は実施の形態4の結像スクリーンの断面図である。結像スクリーン6Dは、散乱シート17が曲げ弾性率が2Gpa以上である基板18と凸レンズアレー7との間に挟まれて接着された構造を持つ。接着手段として、エポキシ系およびアクリル系もしくはシリコーン系等に代表される様な光学的に透明な接着剤21Aを用いる。もしくは、接着手段として光学的に透明な両面テープを用いても良い。
【0067】
散乱シート17は、光学的に透明な樹脂からなる基材19と、基材19とは異なる屈折率分布のコレステリック液晶材料23からなる。コレステリック液晶材料23は可視光域において円偏光の透過に選択性を有する。このため、コレステリック液晶材料23が分散された散乱シート17においては、右円偏光の光線は反射散乱され画像を結像するが、左円偏光の光線は殆ど散乱されずに透過して実上画像を結像しない。この特徴を利用することによりスクリーンに所定の角度を持たせて画像を結像させたり画像を結像させなかったり選択できるスクリーンとして機能させることができる。
【0068】
凸レンズアレー7は曲げ弾性率が2Gpa以上の基板18に貼り付けられる構造となるため、反りを生じること無く焦点面において所定の平滑性を維持する。焦点面の位置では、右円偏光だけが適切に散乱されて鮮明な画像を投影する。散乱シート17は、光源1からの右円偏光だけに反射散乱して結像を行い、それ以外の左円偏光すなわち散乱シート17を挟んだ自然光の左円偏光成分に対してはこれを透過して透明となる。これにより、結像スクリーン6Dに結像した三次元画像は、あたかも空中に浮かび上がっている様な臨場感があるものとなる。また、凸レンズアレー7の反りを抑えるためのフレームが必要でなくなり、構造は基板18のみの剛性により維持できる。これによりフレームがなく結像スクリーン6Dのみで構成することが可能となるため、臨場感を損なうこと無く三次元画像の投影が可能となる。なお、コレステリック液晶材料23において、液晶分子の種類配列を変えれば、円偏光の左右を入れ替えることも可能である。
【0069】
(実施の形態5)
図7は実施の形態5の画像投影用スクリーンを搭載した投影型三次元画像通信端末装置の構成図である。図8は透過と散乱の状態に切り換わる画像投影用スクリーンの構成図である。図7および図8において、107は被写体、106は被写体画像を撮影する画像入力部、106aはレンズ、106bは受光部、105は撮影画像から投影画像を演算する演算部、101は表示部、102はスクリーン透過/散乱制御に応じて透過と散乱の状態に切り換わる画像投影用スクリーン、103は画像情報に応じて透過と散乱の制御を行うスクリーン透過/散乱制御部、104はプロジェクタ等の投影部、104aは投影デバイス。103aは具体的な画像情報に応じ、透過と散乱の駆動制御をパネル全面単位で行うスクリーン透過/散乱制御部、102bはスクリーン透過/散乱制御部103aのスクリーン透過/散乱の「ON」/「OFF」制御に応じてパネル全面同時に透過と散乱の状態に切り換わる高分子分散液晶材料の画像投影用スクリーンである。
【0070】
動作について説明する。被写体107の画像は、画像入力部106のレンズ106aで集光され、受光部106bで光電変換され、画像入力部106から画像を演算する演算部105に送られる。演算部105では撮影画像から画像投影用スクリーン102bの透過/散乱の「ON」/「OFF」制御のための駆動情報を表示部101のスクリーン透過/散乱制御部103aに、また投影画像情報として各種演算後、画像情報を投影部104に送る。投影部104では演算部105からの入手データを投影デバイス104aから表示部101の画像投影用スクリーン102に投影する。具体的には投影部としてプロジェクタ104から投影される投影画像情報に応じ、演算部105からの画像情報に同期して、スクリーン透過/散乱制御部103aのスクリーン透過/散乱の「ON」/「OFF」制御に従い透過と散乱の状態に切り換わる。観察者は投射画像情報があるときのみ背景が見えない画像投影用スクリーン102bの散乱光から被写体画像を認識し、それ以外は背景が透けて見える状況となる。
【0071】
(実施の形態6)
図9は実施の形態6の画像投影用スクリーンを搭載した投影型三次元画像通信端末装置の構成図である。図9において、107は被写体、106は被写体画像を撮影する画像入力部、106aはレンズ、106bは受光部、105は撮影画像から投影画像を演算する演算部、101は表示部、102はスクリーン透過/散乱制御に応じてマトリクス電極構造的で透過と散乱の状態に切り換わる高分子分散液晶材料の画像投影用スクリーン、103は画像情報に応じて水平/垂直複数の電極への駆動電圧の印加による、マトリクス構成での光の透過と散乱の制御を行うスクリーン透過/散乱制御部、104はプロジェクタ等の投影部、104aは投影デバイス。108は画像情報を送・受信すると共に音声で相手方と交信する通話/通信部である。
【0072】
動作について説明する。被写体107の画像は、画像入力部106のレンズ106aで集光され、受光部106bで光電変換され、画像入力部106から画像を演算する演算部105に送られる。演算部105では画像投影用スクリーン102の透過/散乱の「ON」/「OFF」制御のための駆動情報を表示部101のスクリーン透過/散乱制御部103に、また投影画像情報として各種演算後、画像情報を投影部104と通話/通信部108とに送る。通話/通信部108では画像情報と共に音声で相手方と交信する。投影部104では演算部105からの入手画像情報を投影部104の投影デバイス104aから表示部101の画像投影用スクリーン102に投影する。投影部104から投影される投影画像情報に応じ、演算部105からの駆動情報に同期してスクリーン透過/散乱制御部103のスクリーン透過/散乱のマトリクス「ON」/「OFF」制御に従い、画像投影用スクリーン102は透過と散乱の状態に切り換わる。
【0073】
図10は水平/垂直方向に複数の電極が並んだマトリクス電極の画像投影用スクリーンの構成図である。図11は制御セルのマトリクス構成が1(水平)×1(垂直)〜36(水平)×27(垂直)で透過/散乱制御を示す構成図である。表示部101についてスクリーン透過/散乱制御部がマトリクス電極制御対応で表示スクリーンを制御する場合について図10および図11に沿って説明する。図10において、102cは水平/垂直が複数の電極からなるマトリクス電極の画像投影用スクリーン、103bは演算部からの画像情報からスクリーンの複数のセルをマトリクス制御するスクリーン透過散乱制御部である。
【0074】
スクリーン透過散乱制御部103bが全セル透過動作(全セルOFF)した場合は、画像投影用スクリーン102cから背景が透過して見られる。そこでスクリーン透過散乱制御部103bで千鳥状にセルを散乱動作(偶数セルON)すると千鳥状に背景が白く散乱状態で見えなくなる。その千鳥状に偶数セルON状態のスクリーンの背景に暗い2本の樹木画があった場合、図10で示すように千鳥状に透過セル部分のみが背景の2本の樹木画が見える。
【0075】
図11において、102bは画像投影用スクリーン、102dはマトリクス構成が12(水平)×9(垂直)の画像投影用スクリーン、102eはマトリクス構成が36(水平)×27(垂直)の画像投影用スクリーンを示し、各スクリーンの背景に2本の樹木画を置く。
【0076】
画像投影用スクリーン102bについて、画像情報表示時、演算部105からの画像情報に同期して、スクリーン透過散乱制御部からスクリーン透過散乱制御部で散乱制御にして、「車」の画像を投影する場合、「車」自体の画像の無い部分も散乱状態のため、背景の樹木画は全く見えない。
【0077】
マトリクス構成が12(水平)×9(垂直)の画像投影用スクリーン102dについて、画像情報表示時、「車」の画像を投影する場合、演算部105からの駆動画像情報に同期して、スクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が12(水平)×9(垂直)で「車」の画像が投影される表示部分のみ散乱設定するためスクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が12(水平)×9(垂直)の画像投影用スクリーン102dのマトリクス構成12(水平)×9(垂直)へ透過/散乱のマトリクス「ON」/「OFF」制御を行う。この場合、画像投影用スクリーン102bの全面透過散乱制御に比べ、「車」の表示しないセル部分は透過設定されるため背景の樹木画がある程度見える。
【0078】
マトリクス構成が36(水平)×27(垂直)の画像投影用スクリーン102eについて、画像情報表示時、「車」の画像を投影する場合、演算部105からの駆動画像情報に同期して、スクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が36(水平)×27(垂直)で「車」の画像が投影される表示部分のみ散乱設定するためスクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が36(水平)×27(垂直)の画像投影用スクリーン102eのマトリクス構成36(水平)×27(垂直)へ透過/散乱のマトリクス「ON」/「OFF」制御を行う。この場合、マトリクス構成が12(水平)×9(垂直)の画像投影用スクリーン102dの12(水平)×9(垂直)マトリクス構成に比べ、「車」の表示しないセル部分が細かくなりその数が増えるため、ほとんど「車」の表示部以外は透過設定可能で、背景の樹木画が自然に見える。
【0079】
また、投影部104からの画像情報が動画の場合、表示部の経時変化に対するスクリーン透過/散乱制御について図12にて説明する。図12では暗い2本の背景樹木の前を、「「車」」が右側から左に移動する場合、まずある時間に「車」が右に有り、その画情報が演算部105からの駆動画像情報に同期して、スクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が36(水平)×27(垂直)で「車」の画像が投影される「右下」表示部分のみ散乱設定するためスクリーン透過散乱制御部からマトリクス構成が36(水平)×27(垂直)の画像投影用スクリーン102eのマトリクス構成36(水平)×27(垂直)へ透過/散乱のマトリクス「ON」/「OFF」制御を行う。そしてある一定時間で、「車」は移動しスクリーンの「左下」表示部分にくる。その間は「車」は移動するがそれに同期して透過・散乱セルも順次移動する。その結果、「車」が投影されない部分は36(水平)×27(垂直)のセルサイズの細かさで背景を透過して見られるため、スクリーン観察者は非常に自然に「車」が移動したように感じる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の三次元画像表示装置は、映像技術分野、アミューズメント分野、エンターテインメント分野、インターネット分野、情報分野、マルチメディア分野、コミュニケーション分野、広告・宣伝分野、医療分野、芸術分野、教育分野、設計支援分野、シミュレーション分野、バーチャルリアリティ分野、などで使われる三次元表示、立体像再生装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1の画像投影用スクリーンを装備する三次元画像表示装置の模式図
【図2】実施の形態1の結像スクリーンの断面図
【図3】インテグラルフォトグラフィ方式の原理を説明する図
【図4】実施の形態2の結像スクリーンの断面図
【図5】実施の形態3の結像スクリーンの断面図
【図6】実施の形態4の結像スクリーンの断面図
【図7】実施の形態5の画像投影用スクリーンを搭載した投影型三次元画像通信端末装置の構成図
【図8】透過と散乱の状態に切り換わる画像投影用スクリーンの構成図
【図9】実施の形態6の画像投影用スクリーンを搭載した投影型三次元画像通信端末装置の構成図
【図10】水平/垂直方向に複数の電極が並んだマトリクス電極の画像投影用スクリーンの構成図
【図11】制御セルのマトリクス構成が1(水平)×1(垂直)〜36(水平)×27(垂直)で透過/散乱制御を示す構成図
【図12】投影画像の経時変化時の透過/散乱制御を示す図
【図13】従来の投影システムを示すシステム構成図
【図14】従来の散乱スクリーン表示部の投影システム図
【符号の説明】
【0082】
1 光源
2 光
3 偏光ビームスプリッタ
4 投影デバイス
5 投射レンズ
6A,6B,6C,6D 結像スクリーン
7 凸レンズアレー(レンズアレー)
8 三次元映像
9 再生要素画像
10 表示素子
11 ハエの目状の凸レンズアレー
12 凸レンズ
13 結像点
14 光線
15 観察者の瞳
16 三次元再生画像
17 散乱シート(光散乱層)
18 基板
19 基材
20 微粒子(粒子)
21A 接着剤(接着剤層)
21B 接着剤(光散乱層)
22 材料
23 コレステリック液晶材料
101 表示部
102 画像投影用スクリーン
102a 不透明で光が散乱する画像投影スクリーン
102b 画像投影用スクリーン
102c 画像投影用スクリーン
102d マトリクス構成が12(水平)×9(垂直)の画像投影用スクリーン
102e マトリクス構成が36(水平)×27(垂直)の画像投影用スクリーン
103 スクリーン透過/散乱制御部
103a スクリーン透過/散乱制御部
103b スクリーン透過散乱制御部
104 投影部(プロジェクタ)
104a 投影デバイス
105 演算部
106 画像入力部
106a レンズ
106b 受光部
107 被写体
108 通話/通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凸レンズを有するレンズアレーと、
可視域において透明でかつ曲げ弾性率が2Gpa以上である基板と、
前記基板に支持されて前記レンズアレーと前記基板との間に設けられ可視光を散乱する光散乱層とを有することを特徴とする画像投影用スクリーン。
【請求項2】
前記光散乱層が、基材と、当該基材に分散された前記基材と異なる屈折率の複数の粒子とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項3】
前記光散乱層が、前記レンズアレーと前記基板との間に、光学的に透明なテープ材料で接着されていることを特徴とする請求項1および2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項4】
前記光散乱層が、前記レンズアレーと前記基板との間に、光学的に透明な接着剤で接合されていることを特徴とする請求項1および2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項5】
前記光散乱層が、接着剤の性質を有しており、自身の接着性により、前記レンズアレーと前記基板との間に接着されて固定されていることを特徴とする請求項1および2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項6】
前記基材が、前記レンズアレーと前記基板とを接着する接着剤であり、当該接着剤中に前記粒子が分散されていることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項7】
前記レンズアレー及び前記基板の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項8】
前記光散乱層の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項9】
前記粒子の材質が、可視域において透明なガラスおよび可視域において透明な樹脂のいずれか一方であることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項10】
前記基材が、ガラスおよび樹脂の少なくともいずれかに対して接着性を有することを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項11】
前記基材が、可視光域において可視光を所定の屈折率分布にて屈折させる透明材料であることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項12】
前記基材が、可視光域において入射光および回折光を所定の屈折率にて屈折させる透明材料であることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項13】
前記透明材料が、ガラス、セラミックおよび高分子材料のいずれかであることを特徴とする請求項11または12に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項14】
前記基材が、所定の波長の可視光を選択して透過させることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項15】
前記基材が、コレステリック液晶材料で構成され、可視光域において円偏光性の選択透過性を有することを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項16】
前記コレステリック液晶材料で構成された前記基材が、右円偏光を反射し左円偏光を透過することを特徴とする請求項15に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項17】
前記コレステリック液晶材料で構成された前記基材が、左円偏光を反射し右円偏光を透過することを特徴とする請求項15に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項18】
前記基材が、高分子マトリクス中に液晶分子が分散された高分子分散液晶材料であることを特徴とする請求項2に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項19】
前記液晶分子がネマチック液晶であることを特徴とする請求項18に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項20】
前記高分子マトリクスの材料が、可視広域において透明な材料であることを特徴とする請求項18または19に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項21】
前記高分子マトリクスの材料が、非晶質高分子であることを特徴とする請求項18から20のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項22】
前記高分子マトリクスの材料が、結晶高分子であることを特徴とする請求項18から20のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項23】
前記高分子分散液晶材料はマトリクス状の透明電極に挟まれて配置されており、マトリクス内の任意の点に対して前記透明電極による印加により光の透過と散乱が切り換わることを特徴とする請求項17から21のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項24】
前記透明電極における電圧の印加による駆動が、投影するマトリクス点の明度及びコントラストに応じ、光の透過と散乱を切り換えて行われるものであり、かつ投影画像の経時変化に応じて変化して最適化されることを特徴とする請求項23に記載の画像投影用スクリーン。
【請求項25】
像を撮影するカメラを具えた画像入力部と、
撮影された前記像を三次元画像情報に変換する演算部と、
変換された前記三次元画像を投影する投影部と、
投影された前記三次元画像を表示する表示部と、
前記三次元画像の情報を送信および受信すると共に音声で相手方と交信する通話部と
を備えた画像通信端末であって、
前記表示部のスクリーンが請求項1から24のいずれか1項に記載の画像投影用スクリーンであることを特徴とする投影型三次元画像通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−65022(P2008−65022A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242460(P2006−242460)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】