説明

画像投影装置、画像投影システム及び支柱

【課題】画像の良好な投影を可能とする画像投影装置、及び画像投影システム、並びに画像投影装置を支持するために用いる支柱を提供する。
【解決手段】画像投影装置は、筐体内に配置され、光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部を有し、上下方向に延伸する支柱によって支持される画像投影装置であって、当該画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に支柱を挿通させて、支柱に沿って上下方向に移動可能とする。支柱は、前記貫通孔に挿通させて画像投影装置と係合させることにより画像投影装置を所定の高さに支持する。この画像投影装置と支柱を備えた画像投影システムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のスクリーンに画像を拡大投影する画像投影装置、及びこの画像投影装置と画像投影装置を所定の高さに支持する支柱とを備えた画像投影システム、及び画像投影装置を支持する支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ装置等から入力された画像データを液晶表示素子に表示し、この液晶表示素子に光を照射してスクリーン上に画像を拡大投影するプロジェクタなどの画像投影装置が知られている。
【0003】
この画像投影装置は、通常、スクリーンの正面前方に設置して、スクリーンに向けて画像を投影している。この場合、スクリーンに投影された画像を画像投影装置が遮らないように、画像投影装置は、スクリーンに投影された画像の下端近傍、あるいはそれより下方の高さに設置しており、画像投影装置の前側部分を持ち上げて所定の傾斜姿勢とし、斜め上方に向けて画像を投影している。
【0004】
画像投影装置を安定的な傾斜姿勢とするために、画像投影装置には本体の前側縁の略中央あるいは前側縁の両側などに下方に向けて進出可能としたロッド状の脚部材が設けられおり、この脚部材を下方に向けて所定の長さだけ進出させることによって画像投影装置を傾斜姿勢としていることが多い。
【0005】
この脚部材の進出操作をスムーズに行えるように、画像投影装置には、親指によって押下げ操作される操作ボタンを設け、この操作ボタンの操作によって脚部材をロックしているロック機構を解除状態とし、脚部材を下方に向けて進出可能としたアジャスタ装置を備えた画像投影装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−054039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような画像投影装置は、テーブルや支持台などの上面に設置されて使用されるため、この設置位置の高さによって投影される画像の高さが制限されることとなり、スクリーンとの位置調整が困難となることがあった。
【0007】
特に、画像投影装置をスクリーンに近接させて設置しなければならない場合では、画像投影装置の傾斜姿勢における傾斜角度が大きくなることにより、投影された画像に大きな台形ひずみが生じることがあり、画像の良好な投影が困難となることがあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、画像の良好な投影を可能とする画像投影装置、及び画像投影システム、並びに画像投影装置を支持するために用いる支柱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の画像投影装置は、筐体内に配置され、光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部を有し、上下方向に延伸する支柱によって支持される画像投影装置であって、当該画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に前記支柱を挿通させて、前記支柱に沿って上下方向に移動可能とした。
【0010】
請求項2に記載の画像投影装置は、請求項1に記載の画像投影装置において、当該画像投影装置の重心位置又はその近傍に前記貫通孔を設けた。
【0011】
請求項3に記載の画像投影装置は、請求項2に記載の画像投影装置において、前記光源及び前記投影部に電力を供給する電源回路を備え、前記投影部と前記電源回路とを前記貫通孔を挟んで配置した。
【0012】
請求項4に記載の画像投影装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像投影装置において、前記支柱に当接し、熱伝導性の高い高熱伝導材からなる放熱部を備え、前記放熱部によって装置内部の熱を前記支柱に伝達することとした。
【0013】
請求項5に記載の画像投影装置は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像投影装置において、当該画像投影装置を上下反転させて前記貫通孔を前記支柱に挿通可能とした。
【0014】
請求項6に記載の画像投影装置は、請求項5に記載の画像投影装置において、前記投影部は、投影する画像を上下及び左右にそれぞれ反転する画像反転手段を備え、当該画像投影装置を上下に反転させたときに、前記画像反転手段によって投影する画像を上下反転することとした。
【0015】
請求項7に記載の画像投影装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像投影装置において、前記投影部が投影する画像を前記支柱と直交する左右方向にあおって投影することとした。
【0016】
請求項8に記載の画像投影装置は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像投影装置において、当該画像投影装置を前記支柱の所定の高さに保持する高さ保持手段を設けた。
【0017】
請求項9に記載の画像投影装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像投影装置において、当該画像投影装置が前記支柱周りに回転することを防止する回転防止手段を設けた。
【0018】
請求項10に記載の画像投影システムは、光源と、この光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部とを有する画像投影装置と、上下方向に延伸し、前記画像投影装置を所定の高さに支持する支柱とを備えた画像投影システムであって、前記画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に前記支柱を挿通させて、前記画像投影装置を前記支柱に沿って上下方向に移動可能とした。
【0019】
請求項11に記載の支柱は、光源と、この光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部を有するとともに、上下方向に貫通させて設けた貫通孔を有する画像投影装置を支持する支柱であって、前記貫通孔に挿通させて係合させることにより前記画像投影装置を所定の高さに支持することとした。
【0020】
請求項12に記載の支柱は、請求項11に記載の支柱において、前記画像が投影されるスクリーンまたはこのスクリーンの支持体に当接させる突き当て部を備えることとした。
【0021】
請求項13に記載の支柱は、請求項11または請求項12に記載の支柱において、前記画像投影装置を所定の高さに保持する高さ保持手段を設けた。
【0022】
請求項14に記載の支柱は、請求項11〜13のいずれか1項に記載の支柱において、前記画像投影装置が回転することを防止する回転防止手段を設けた。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の画像投影装置では、当該画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に前記支柱を挿通させて、前記支柱に沿って上下方向に移動可能としたことによって、画像が投影されるスクリーンに対して画像投影装置を所定の位置関係を満たす好適な高さに配置して画像を投影できるので、投影された画像に大きな台形ひずみが生じることを抑制できる。
【0024】
請求項2に記載の画像投影装置では、当該画像投影装置の重心位置又はその近傍に貫通孔を設けたことによって、画像投影装置を支柱に安定的に装着できるとともに、支柱に沿った昇降移動を安定にかつ円滑に行うことができる。
【0025】
請求項3に記載の画像投影装置では、光源及び投影部に電力を供給する電源回路と、投影部とを貫通孔を挟んで配置したことによって、画像投影装置において良好な重量配分とすることができ、画像投影装置を支柱に安定的に装着できるとともに、支柱に沿った昇降移動を安定にかつ円滑に行うことができる。
【0026】
請求項4に記載の画像投影装置では、支柱に当接する熱伝導性の高い高熱伝導材からなる放熱部を備え、この放熱部によって装置内部の熱を支柱に伝達することによって、画像投影装置の冷却効率を向上させることができる。
【0027】
請求項5に記載の画像投影装置では、当該画像投影装置を上下反転させて貫通孔を支柱に挿通可能としたことによって、画像投影装置を上下反転させて使用でき、画像投影装置の設置形態の自由度を大きくすることができる。
【0028】
請求項6に記載の画像投影装置では、投影部が、投影する画像を上下及び左右にそれぞれ反転する画像反転手段を備え、当該画像投影装置を上下に反転させたときに、画像反転手段によって投影する画像を上下反転させることによって、投影される画像の上下を考慮することなく、画像投影装置を上下に反転させることができる。
【0029】
請求項7に記載の画像投影装置では、投影部が投影する画像を支柱と直交する左右方向にあおって投影することによって、画像が投影されるスクリーンに画像投影装置を近接させて配置でき、画像投影装置が視界の邪魔となることを防止できる。
【0030】
請求項8に記載の画像投影装置では、当該画像投影装置を支柱の所定の高さに保持する高さ保持手段を設けたことによって、画像の投影中に画像が上下方向にずれることを防止できる。
【0031】
請求項9に記載の画像投影装置では、当該画像投影装置が前記支柱周りに回転することを防止する回転防止手段を設けたことによって、画像の投影中に画像が左右方向にずれることを防止できる。
【0032】
請求項10に記載の画像投影システムでは、上下方向に延伸して、画像投影装置を所定の高さに支持する支柱を備えた画像投影システムにおいて、画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に支柱を挿通させて画像投影装置を支柱に沿って上下方向に移動可能としたことによって、画像が投影されるスクリーンに対して画像投影装置を所定の位置関係を満たす好適な高さに配置して画像を投影できるので、投影された画像に大きな台形ひずみが生じることを抑制できる。
【0033】
請求項11に記載の支柱では、上下方向に貫通させて設けた貫通孔を有する画像投影装置を支持する支柱において、貫通孔に挿通させて係合させることにより画像投影装置を所定の高さに支持することによって、画像が投影されるスクリーンに対して画像投影装置を所定の位置関係を満たす好適な高さに配置して画像を投影可能とし、投影された画像に大きな台形ひずみが生じることを抑制可能な支柱を提供できる。
【0034】
請求項12に記載の支柱では、画像が投影されるスクリーンまたはこのスクリーンの支持体に当接させる突き当て部を備えることによって、支柱を画像の投影に適正な位置に極めて容易に配置できる。
【0035】
請求項13に記載の支柱では画像投影装置を所定の高さに保持する高さ保持手段を設けたことによって、画像の投影中に画像が上下方向にずれることを防止できる。
【0036】
請求項14に記載の支柱では、画像投影装置が回転することを防止する回転防止手段を設けたことによって、画像の投影中に画像が左右方向にずれることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の画像投影装置、及び画像投影システムでは、図1に示すように、スクリーンSに所定の画像を投影する画像投影装置10を、上下方向に延伸する支柱20に装着して、画像投影装置10を支柱20に沿って上下方向に昇降自在としているものである。
【0038】
支柱20は、下端部に矩形板状の基台21を備え、この基台21に起立させている。特に、基台21には、前側縁に出し入れ自在にガイド片22を設けている。ガイド片22は、図2の平面図に示すように、スクリーンSまたはこのスクリーンSを支持している壁H若しくはスタンドなどの支持体にと右折させる突き当て部であり、ガイド片22の前端縁をスクリーンSまたは壁Hなどの支持体に当接させて基台21を設置することにより、基台21をスクリーンSから適正な位置に配置可能としている。
【0039】
特に、本実施形態では、支柱20は円柱状としており、この円柱状の支柱20には、支柱20を挟んで対向させて設けるとともに、一側面を支柱20に当接させながら支柱20の延伸方向に延伸させた角柱状の第1突出片20-1と第2突出片20-2とを設けている。すなわち、第1突出片20-1と第2突出片20-2は、互いに反対向きとして支柱20から径方向に突出させており、第1突出片20-1及び第2突出片20-2における支柱20との対向面には、上下方向に沿ってラックが形成された第1ラック面20-1R及び第2ラック面20-2Rを設けている(図5参照)。本実施形態では、支柱20を円柱状としているが、円柱形状に限定するものではなく、角柱形状などであってもよい。
【0040】
画像投影装置10は、図3に示すように、矩形箱状とした筐体11内に、光源12と、この光源12から照射された光を用いて画像を投影する投影部13を有しており、さらに、筐体11内には、光源12や投影部13に電力を供給する電源回路14、及び各種制御を行う制御部15を設けている。投影部13は、光源12から照射されて、照明光学系16で適宜調整された光が照射されるLCD(Liquid Crystal Display)13aと、このLCD13aを通過した光をスクリーンSに拡大投影する結像光学系13bを備えている(図4参照)。
【0041】
この画像投影装置10の筐体11には、所定位置に、画像投影装置10を上下方向に貫通する貫通孔30を設けて、この貫通孔30部分に支柱20を挿通させることにより画像投影装置10を支柱20に装着可能としている。
【0042】
特に、貫通孔30は、画像投影装置10の重心位置又はその近傍に設けている。したがって、画像投影装置10を支柱20に装着した際には、画像投影装置10の荷重を支柱20の延伸方向に沿って支柱20に加えることができるので、支柱20の安定性を損なうことなく画像投影装置10を支持することができる。
【0043】
ここで、画像投影装置10では、重量の比較的大きい投影部13と電源回路14とを貫通孔を挟んで配置することにより、画像投影装置10において良好な重量配分としており、画像投影装置10を支柱20に安定的に装着できるとともに、支柱20に沿った画像投影装置10の昇降移動を安定にかつ円滑に行えるようにしている。
【0044】
なお、画像投影装置10の筐体11内には、必要に応じて所定位置にバラスト39を配設して、画像投影装置10の重心位置に貫通孔30が位置するようにしてもよい。
【0045】
ここで、貫通孔30は、円柱状の支柱20が挿通される丸孔部と、支柱20に突設した角柱状の第1突出片20-1及び第2突出片20-2が挿通される角孔部とが設けられており、丸孔部と角孔部を有する貫通孔30に、第1突出片20-1と第2突出片20-2を備えた支柱20を挿通させることにより、第1突出片20-1及び第2突出片20-2が回転止めとなって、画像投影装置10が支柱20周りを回転することを防止している。
【0046】
制御部15は、図4に示すように、各種の演算処理を行うマイクロコンピュータ15aと、入力端子(図示せず)を介した映像信号の入力を受け付ける映像信号入力回路15bと、この映像信号入力回路15bに入力された映像信号をマイクロコンピュータ15aからの命令に基づいて処理する映像処理回路15cと、この映像処理回路15cでの処理結果に基づいてLCD13aを駆動させるLCD駆動回路15dを備えている。また、制御部15は、映像処理回路15cでの処理結果、あるいは処理に用いる画像データを記憶する画像メモリ15eを備えており、さらに、光源12の駆動制御を行う光源駆動回路15fを備えている。
【0047】
制御部15のマイクロコンピュータ15aは、リモートコントロール装置、あるいは筐体11の所定位置に設けた操作パネルなどの操作手段17によって入力された操作信号に基づいて、映像処理回路15c、LCD駆動回路15d、光源駆動回路15f、さらには電源回路14を制御している。
【0048】
さらに、画像投影装置10は、図3に示すように、支柱20の第1ラック面20-1Rまたは第2ラック面20-2Rと係合するギヤ18が装着された昇降モータ19を備えている。この昇降モータ19は、制御部15のマイクロコンピュータ15aによって制御される昇降駆動回路15gに基づいて制御されている(図4参照)。
【0049】
また、画像投影装置10には、図3に示すように、支柱20の第1ラック面20-1Rまたは第2ラック面20-2Rと係合する係合面31aを備えた係合ブロック体31をロッド32の先端に装着したアクチュエータ33を設けている。このアクチュエータ33は、制御部15のマイクロコンピュータ15aによって制御されるロック駆動回路15hに基づいて制御され、第1ラック面20-1Rまたは第2ラック面20-2Rと係合ブロック体31の係合面31aとを係合させることにより、画像投影装置10の昇降移動を抑制している(図4参照)。
【0050】
すなわち、第1ラック面20-1Rまたは第2ラック面20-2Rと係合する係合面31aを備えた係合ブロック体31を操作するアクチュエータ33が、画像投影装置10を支柱20の所定の高さに保持する高さ保持手段となっている。
【0051】
画像投影装置10を支柱20の上端に装着した際には、図5に示すように、第1ラック面20-1Rと第2ラック面20-2Rのいずれか一方とギヤ18とが歯合し、昇降駆動回路15gによって昇降モータ19を駆動させることにより支柱20に沿って画像投影装置10を所定位置まで降下させている。
【0052】
画像投影装置10が所定の高さとなったところで、操作手段17によってロック操作を行うことにより、アクチュエータ33によって係合ブロック体31の係合面31aを第1ラック面20-1Rまたは第2ラック面20-2Rに係合させて、画像投影装置10の上下移動を禁止するとともに、画像投影装置10の支柱20周りの回転を禁止している。したがって、画像の投影中に画像投影装置10が揺動することがなく、投影した画面が画像投影装置10の揺動にともなって揺動したりすることを防止できる。
【0053】
なお、高さ保持手段としては、係合ブロック体31を装着したアクチュエータ33を用いる形態に限定するものではなく、例えば、図6に示すように、支柱20に、フランジ状に支持フレーム40を装着し、この支持フレーム40で画像投影装置10を下方から支えることにより高さ保持手段とすることもできる。
【0054】
支持フレーム40は、支柱20を左右から挟持する第1ブロック体41と第2ブロック体42とで構成しており、第1ブロック体41には、支柱20と嵌合する第1嵌合凹部41aを設け、第2ブロック体42には、支柱20と嵌合する第2嵌合凹部42aを設けている。
【0055】
第1嵌合凹部41aには、支柱20に突設した第1突出片20-1と嵌合する第1角状凹部41bを設けるとともに、第2嵌合凹部42aには、支柱20に突設した第2突出片20-2と嵌合する第2角状凹部42bを設けており、第1角状凹部41bには第1突出片20-1の第1ラック面20-1Rと係合する係合面を設けるとともに、第2角状凹部42bには第2突出片20-2の第2ラック面20-2Rと係合する係合面を設け、第1ブロック体41及び第2ブロック体42を支柱20に装着した際に、第1ラック面20-1R及び第2ラック面20-2Rを介して第1ブロック体41及び第2ブロック体42を支柱20の所定の高さに維持可能としている。
【0056】
図6中、43は、基端を第2ブロック体42に回動自在に装着した板状の連結アームであって、先端には第1ブロック体41に突設した係合用突起44と係合する係合用凹部45を設け、係合用凹部45を係合用突起44に係合させることにより連結アーム43を介して第1ブロック体41と第2ブロック体42とを一体的に連結し、支持フレーム40としている。
【0057】
支柱20に装着された画像投影装置10は、結像光学系13bによって、図2に示すように、投影部13によって投影する画像を支柱20と直交する左右方向にあおっている。したがって、画像投影装置10は、スクリーンSの側方に設置でき、スクリーンSに投影された画像が画像投影装置10によって遮られることを防止できる。特に、この場合、画像投影装置10の高さがいずれの位置であっても、スクリーンSに投影された画像が画像投影装置10によって遮られることがないので、画像投影装置10の高さを任意の高さとすることができ、本実施形態では、スクリーンSに投影された画像の高さ方向の中間の高さとしている。すなわち、画像投影装置10では、上下方向に同等に拡大投影しており、結像光学系13bの設計を容易としている。
【0058】
第1突出片20-1と第2突出片20-2を備えた支柱20は、180°の回転対称性を有し、筐体11に設けた貫通孔30も、この回転対称性に合わせた対称形状としていることにより、貫通孔30は、画像投影装置10を上下反転させても支柱20に挿通可能としている。したがって、画像投影装置10を上下反転させて支柱20に装着することにより、図7に示すように、画像投影装置10をスクリーンSのどちら側の測方にでも設置可能とすることができ、必要に応じて画像投影装置10の設置位置を選択できる。
【0059】
ここで、制御部15内には、図4に示すように、画像投影装置10の上下方向を検出する重力センサ15jまたは傾斜センサなどのセンサを設けており、このセンサによる検出結果に基づいて、スクリーンSに投影する画像を調整している。
【0060】
すなわち、制御部15では、重力センサ15jによって、画像投影装置10が反転されて支柱20に装着されたことを検出すると、マイクロコンピュータ15aから映像処理回路15cに対して、LCD駆動回路15dによってLCD13aに表示させる画像を上下反転させるとともに左右反転させて表示させるべく画像データを処理させる信号を出力している。これが、画像反転手段である。したがって、画像投影装置10の使用者は、画像投影装置10の上下を気にすることなく使用することができる。
【0061】
図3に示すように、画像投影装置10の筐体11の内部には、発熱する光源12を冷却する冷却ファン38を設けているが、画像投影装置10の冷却効果を高めるために、貫通孔30を用いることもできる。
【0062】
すなわち、適宜のヒートパイプ37の一端を光源12のフードに接続したり、あるいは光源12の周囲に配置したりする一方、ヒートパイプ37の他端を貫通孔30に露出させて、貫通孔30を介して放熱させることにより冷却効果を向上させることができる。
【0063】
さらに、図8に示すように、貫通孔30部分には、貫通孔30の周面に沿って凹状に湾曲させた金属製の放熱板45を設けてこの放熱板45にヒートパイプ37の貫通孔30側の端部を接続することにより、放熱効果を高めることができる。
【0064】
そのうえ、支柱20の表面には、放熱板45と対向する位置に支柱20の延伸方向に沿って延伸させた金属板25を設け、この金属板25に放熱板45の熱を伝熱させて金属板25を放熱板として機能させることにより、放熱効率を向上させることもできる。
【0065】
このとき、放熱板45は金属板25に当接させた方が望ましく、本実施形態では、放熱板45は、放熱板45を支持する支持フレーム46に装着するとともに、この支持フレーム46を放熱用アクチュエータ47のロッド48の先端に装着し、放熱用アクチュエータ47でロッド48を進出させることにより放熱板45を金属板25に当接させている。特に、放熱用アクチュエータ47は、係合ブロック体31を操作するアクチュエータ33と同様に駆動させており、係合ブロック体31を操作するアクチュエータ33の駆動制御によって放熱用アクチュエータ47を駆動させることができる。
【0066】
このように、放熱板45を金属板25に当接させることにより、放熱効果を極めて向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態に係る画像投影装置の使用状態の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像投影装置の使用状態の平面図である。
【図3】画像投影装置の概略説明図である。
【図4】画像投影装置の制御部のブロック図である。
【図5】画像投影装置の昇降機構部分の説明図である。
【図6】支柱に装着する支持フレームの説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像投影装置の使用状態の平面図である。
【図8】画像投影装置びおける放熱機構の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
S スクリーン
10 画像投影装置
11 筐体
12 光源
13 投影部
13a LCD(Liquid Crystal Display)
13b 結像光学系
14 電源回路
15 制御部
16 照明光学系
18 ギヤ
19 昇降モータ
20 支柱
20-1 第1突出片
20-1R 第1ラック面
20-2 第2突出片
21 基台
22 ガイド片
20-2R 第2ラック面
30 貫通孔
31 係合ブロック体
31a 係合面
32 ロッド
33 アクチュエータ
37 ヒートパイプ
38 冷却ファン
39 バラスト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部を有し、上下方向に延伸する支柱によって支持される画像投影装置であって、
当該画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に前記支柱を挿通させて、前記支柱に沿って上下方向に移動可能とした画像投影装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、当該画像投影装置の重心位置又はその近傍に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記光源及び前記投影部に電力を供給する電源回路を備え、
前記投影部と前記電源回路とを前記貫通孔を挟んで配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記支柱に当接し、熱伝導性の高い高熱伝導材からなる放熱部を備え、前記放熱部によって装置内部の熱を前記支柱に伝達することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記貫通孔は、当該画像投影装置を上下反転させて前記支柱に挿通可能としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記投影部は、投影する画像を上下及び左右にそれぞれ反転する画像反転手段を備え、
当該画像投影装置を上下に反転させたときに、前記画像反転手段によって投影する画像を上下反転することを特徴とする請求項5に記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記投影部は、投影する画像を前記支柱と直交する左右方向にあおって投影することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項8】
当該画像投影装置を前記支柱の所定の高さに保持する高さ保持手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項9】
当該画像投影装置が前記支柱周りに回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項10】
光源と、この光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部とを有する画像投影装置と、
上下方向に延伸し、前記画像投影装置を所定の高さに支持する支柱と
を備えた画像投影システムであって、
前記画像投影装置にその上下方向に貫通した貫通孔を設け、この貫通孔に前記支柱を挿通させて、前記画像投影装置を前記支柱に沿って上下方向に移動可能とした画像投影システム。
【請求項11】
光源と、この光源から照射された光を用いて画像を投影する投影部を有するとともに、上下方向に貫通させて設けた貫通孔を有する画像投影装置を支持する支柱であって、
前記貫通孔に挿通させて係合させることにより前記画像投影装置を所定の高さに支持する支柱。
【請求項12】
前記画像が投影されるスクリーンまたはこのスクリーンの支持体に当接させる突き当て部を備えたことを特徴とする請求項11に記載の支柱。
【請求項13】
前記画像投影装置を所定の高さに保持する高さ保持手段を設けたことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の支柱。
【請求項14】
前記画像投影装置が回転することを防止する回転防止手段を設けたことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の支柱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−250252(P2008−250252A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95063(P2007−95063)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】