説明

画像撮像装置および方法

【課題】画像撮像装置において、露出テーブルを自動的に決定可能とするとともに、精度の高いフリッカ補正を可能とする。
【解決手段】フリッカ量算出部1101は、フリッカ検出プレートを画像取得部1107で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量を算出する。そして、フリッカ量算出部1101は、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出する。露出テーブル切替え判定部1102において前述したフリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていると判定されと、露出テーブル記憶部1105が、露出テーブル記憶部1105から読み出す露出テーブルを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像撮像装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば金融機関において、税、公金帳票および、一般帳票の通帳プリンタで取り扱えない対象媒体を読取るための非接触型イメージリーダであるスタンド型イメージリーダ(スタンド型イメージリーダ)が知られている。図1は、一般的なスタンド型イメージリーダの外観図である。スタンド型イメージリーダは以下のような特徴を備えたイメージスキャナである。
【0003】
・例えば図1に示されるように、イメージセンサ101と台座102が離れた構造であるため、例えば厚みのある帳票を読取ることが可能である。
・自身で光源を持たず、蛍光灯の光が媒体面での反射した光をイメージセンサで受光することで画像を生成する。
・インターラインCCD(Charge Coupled Device)を用いたスタンド型イメージリーダは、複数の露光フィールドで露光を行い一枚の画像を生成する。
・設置時にキャリブレーションを行い、設置環境の明るさに応じて露出時間とゲインを調整することで常に一定の明るさの画像を取得する。
【0004】
図2は、スタンド型イメージリーダにおける露光時間制御の説明図である。スタンド型イメージリーダでは、図2(a)に示されるように明るい環境で露出時間を短く、図2(b)に示されるように暗い環境で露出時間を長くする。これにより、常に一定の明るさの読取り画像を得る。そのため、短い露出時間から長い露出時間までいくつかの露出時間設定値を露出テーブルとして持っている。
例)
10ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms
【0005】
また、インターラインCCDを用いたスタンド型イメージリーダでは、露光開始タイミングの異なる水平走査ラインのグループを露光フィールドと呼び、複数の露光フィールドからなる露光を行い一枚の画像が生成される。このとき、画像のむらの発生を回避するために、各露光フィールドの露光量が一定でなければならない。図3は、インターラインCCDによる露光方式の説明図であり、3フィールドからなるインターラインCCDの場合の例を示した図である。図3は、アルファベットの「a」という文字が、2次元平面内に格子状に並んだ画素センサ301で撮像されている様子が示されている。各画素センサ301は、受光部である特には図示しないフォトダイオードと、垂直方向の電荷転送用の特には図示しない電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)を備える。また、受光によりフォトダイオードに蓄積された電荷を垂直転送用CCDに一定の露光時間だけ転送させるための特には図示しないトランスファゲートを備える。インターラインCCDでは、前述したように、複数の露光フィールドで露光が行われて一枚の画像が生成される。すなわち、図3において、
第一フィールドの画素を露光1のタイミングで露光する。
第二フィールドの画素を露光2のタイミングで露光する。
第三フィールドの画素を露光3のタイミングで露光する。
という制御が行われる。
【0006】
ここで、スタンド型イメージリーダの光源となる例えば蛍光灯は、交流電源によって駆動される光源であり、フリッカと呼ばれる現象が発生する。例えば蛍光灯は通常、電源の2倍、すなわち周波数が50Hz(ヘルツ)の電源を使うならば100Hz、周波数が60Hzの電源を使うならば120Hzで点滅を繰り返している。この頻度は、人間の目で感知できないほど高いものである。そして、このような交流駆動光源下でインターラインCCDを用いて複数回の露光によって1枚の画像が撮像されるような場合に、蛍光灯の周波数と露光時間の周期が一致しない場合に、インターラインCCDの複数の露光フィールドのそれぞれの露光量が一定とならない。この結果、画像に、フリッカと呼ばれる縞模様のノイズが発生してしまう。図4は、インターラインCCDにおけるフリッカ対策用露光制御の説明図であり、電源周波数が50Hzの場合の例を示した図である。インターラインCCDの複数の露光フィールドのそれぞれの露光量が一定となるためには、露光時間は蛍光灯の点滅周期の整数倍である必要がある。整数倍であれば、例えば図4の例で、10ms(ミリ秒)毎に光源の明るさが周期的に変化(点滅)する場合に、各露光時間毎に各画素のフォトダイオードに取り込まれる光量すなわち露光量は、図4の(1)、(2)、(3)に示されるように一定になる。
【0007】
そのため従来は、下記に示されるように、50Hzおよび60Hzの各電源周波数毎に、50Hz用露出テーブルおよび60Hz用露出テーブルの2種類のテーブルが用意されていた。そして、これらのテーブルが現地の周波数に合わせて切り替えられていた。
例)
50Hz地域用テーブル:10ms、20ms、30ms、40ms、
50ms、60ms
60Hz地域用テーブル:8.3ms、16.7ms、25ms、
33.3ms、41.7ms、50ms
【0008】
上述のようなフリッカによる画像の劣化は、メカニカルシャッターにより全画素を同一のタイミングで露光した場合には発生しないが、メカニカルシャッターを設けるとコスト増加、故障率の上昇といったリスクが増大する課題がある。そこで、インターラインCCDに関する上述の従来技術のように、メカニカルシャッターを用いない構成がよく採用される。
【0009】
しかし、メカニカルシャッターを使わない上述の従来技術では、第1の問題点として、使用者が設置環境の電源周波数を判断し、手動で正しい露出設定テーブルを選択する必要があった。誤った設定テーブルが選択されてしまうと、フリッカが発生して画像品質が劣化してしまうという問題点を有していた。
【0010】
また、メカニカルシャッターを使わない上述の従来技術では、フリッカが発生するため、50Hz環境で10ms以下、60Hz環境で8.3ms以下の露出時間を設定することができず、一定以上明るい環境では正常なイメージを取得することができないという問題点を有していた。
【0011】
上述の従来技術をさらに改良する従来技術として、装置の設置環境でのフリッカ外光量を検出し、その外光検出の出力と読み取りアドレスに応じてフリッカ補正係数を作成し、これを用いて撮像データの光量補正を行うものが知られている(例えば特許文献1)。この従来技術は、装置の設置環境の照明フリッカ量に応じて領域毎のフリッカ補正度合いを自動で変更し、適正な外光補正を行うものである。
【0012】
しかし、この従来技術は、単純に画素データのフリッカによる輝度補正を行っているだけであり、フリッカによって実際に発生する色ずれ等の補正まで十分に行えるものではなかった。また、この従来技術では、露出テーブルを自動的に決定できるものではないという問題点を有していた。
【0013】
他の従来技術として、被写体からの画像光を光電変換して撮像する画像信号用の複数の通常画素中に、画像信号用と兼用したフリッカ検出用の一または複数のフリッカ検出用画素が設けられた画素配列部1と、このフリッカ検出用画素の露光時間を通常画素の露光時間に合せるように、フリッカ検出用画素からの受光素子出力を積算する積算回路と、フリッカ検出用画素からの受光素子出力からフリッカを判定するフリッカ検出回路と、フリッカ検出回路で判定したフリッカ情報に基づいてフリッカを特定し、特定したフリッカに対してフリッカの発生を防ぐシャッター速度に制御するシャッター速度制御回路とを有するものが知られている(例えば特許文献2)。この従来技術は、フリッカ検出回路が現状の光源が電源周期(60Hz周期)であるのかまたは電源周期(50Hz周期)であるのかを判定し、シャッター速度制御回路が、フリッカ検出回路の検出結果に基づいて、シャッター速度をn/100secおよびm/120secのいずれかに選択することにより、フリッカのイズを除去するものである。
【0014】
しかし、この従来技術は、電源周期に合ったシャッター速度を選択できるだけであり、画素データのフリッカによる精度の高い補正を行えるものではないという問題点を有していた。
【0015】
さらに他の従来技術として、入力画像信号に対する撮影画像処理とフリッカー検出処理に共通した信号処理を行う共通前処理部と、この共通前処理部10からの画像信号に対して表示画像用の画像信号処理を行う撮影画像処理部と、この共通前処理部からの画像信号に対してフリッカー検出用の画像信号処理を行うフリッカー検出前処理部と、このフリッカー検出前処理部からの画像信号に基づいてフリッカー検出を行うフリッカー検出回路とを有するものが知られている(例えば特許文献3)。この従来技術では、フリッカー検出回路が、フリッカー検出前処理部の出力信号に存在するフリッカーノイズから蛍光灯の交流電源周波数(50Hzかまたは60Hz)を検出し、シャッター速度制御回路で、シャッター速度を交流電源周波数の整数倍にする方法や、デジタルゲイン回路により信号レベルの低いラインのゲインを上げる方法で、フリッカーノイズを低減するものである。
【0016】
しかし、この従来技術も、電源周期に合ったシャッター速度を選択できるだけであり、画素データのフリッカによる精度の高い補正を行えるものではないという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−103250号公報
【特許文献2】特開2009−212909号公報
【特許文献3】特開2010−4302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、露出テーブルを自動的に決定可能とするとともに、精度の高いフリッカ補正を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
台座上にセットされた撮像対象を、露光開始タイミングの異なる複数の画素グループである露光フィールドに分けて露光を行うイメージセンサを備えた画像取得部で撮像する画像撮像装置において、台座上に設置され撮像対象に近接して撮像される無彩色または色バランスが既知である所定彩色のフリッカ検出プレートと、フリッカ検出プレートを画像取得部で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量を算出し、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出するフリッカ量算出部と、フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えているか否かを判定する露出テーブル切替え判定部と、画像取得部における露出時間の組合せを設定した露出テーブルを複数記憶する露出テーブル記憶部と、露出テーブル切替え判定部においてフリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていると判定された場合に、露出テーブル記憶部から読み出す露出テーブルを切り替える露出テーブル切替え部と、露出テーブル切替え部を介して露出テーブル記憶部から読み出される露出テーブルに基づいて、画像取得部に露出時間およびゲインを設定し、画像取得部にフリッカ検出プレートの再度の撮像を指示する露出時間・ゲイン設定部とを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、露出テーブルを自動的に決定することが可能となる。これと同時に、画素の輝度補正、色ずれ補正の両方の精度の高いフリッカ補正を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的なスタンド型イメージリーダの外観図である。
【図2】スタンド型イメージリーダにおける露光時間制御の説明図である。
【図3】インターラインCCDによる露光方式の説明図である。
【図4】インターラインCCDにおけるフリッカ対策用露光制御の説明図である。
【図5】フリッカ検出プレートの構成図である。
【図6】本実施形態の制御動作の基本フローチャートである。
【図7】フリッカ補正量の計算例を示す図である。
【図8】本実施形態の外観図である。
【図9】台座部上のフリッカ検出プレートの構成図である。
【図10】カメラ部および制御PC等の構成図である。
【図11】第1の実施形態のブロック図である。
【図12】第1の実施形態のフローチャートである。
【図13】第2の実施形態のブロック図である。
【図14】第2の実施形態のフローチャートである。
【図15】第3の実施形態のブロック図である。
【図16】第3の実施形態におけるフリッカ量係数の例を示す図である。
【図17】第4の実施形態のブロック図である。
【図18】第4の実施形態のフローチャートである。
【図19】第4の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と記述する)について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、以下の機能を実現するものである。
(1)台座上の帳票読取りエリア外にフリッカ検出プレートを設けることにより、読取画像のフリッカパターンを抽出して現在の設定でフリッカ発生しているかどうか判定する。
(2)キャリブレーション時に、上述のフリッカパターンを抽出する。フリッカが発生していると判断した場合には露出テーブルを切り替えることで、自動でフリッカの発生しない露出テーブルへ切り替える。
(3)上述のフリッカパターンより補正量を算出し、各露光フィールドのフリッカによる明るさとホワイトバランスずれを補正する。
【0023】
図5は、フリッカ検出プレートの構成図である。上述の(1)のように、台座上の帳票読取りエリア外にフリッカ検出プレート501が設けられる。蛍光灯下などのフリッカ発生環境で撮影を行ったとき、このフリッカ検出プレート501を含む画像全体に縞模様状のフリッカノイズが発生する。本実施形態では、フリッカ検出プレート501の画像からフリッカの検出を行う。
【0024】
フリッカによる輝度変化量、色変化量を正確に算出するために、フリッカ検出プレート501には下記のような色の条件、位置の条件、材質・加工の条件を設ける。また、個数・大きさについて言及を加える。
【0025】
<色の条件>
(1)無彩色であること
フリッカによる色ずれを検出するためにはフリッカ検出プレートの色味が重要であり、色構成の3原色:赤、緑、青のバランスが均等で有ること。なお、色バランスが既知という条件であれば、必ずしも無彩色でなくてもよい。
(2)サチレーション(飽和)が起こらない階調値であること
色パラメータ取得時に階調が飽和することによって補正量の精度低下が発生するのを抑制するために、階調値を調整したフリッカ検出プレート501が設定される。
【0026】
<位置の条件>
(1)読取り保証領域の外側に設けること
スタンド型イメージリーダでは帳票の推奨セット位置を突き当てにより指定しており、またその外側にマージンを加えた読取り保証領域を規定している。読取り保証領域内には帳票が置かれる可能性があるため、フリッカ検出には不適切である。従って、フリッカ検出プレート501は、読取り保証領域外に設置する必要がある。
(2)台座上部に設けること
手が撮像エリアから抜けきる前に撮影開始をした場合に、一部の露光フィールドに手の残像が写り込む場合がある。写り込みがあるとフリッカ検出に誤検出などの精度低下が発生する。従って、手の写り込みにくい台座上側にフリッカ検出プレート501を配置することで精度低下を抑制できる。
【0027】
<材質・加工の条件>
(1)耐変色性、耐摩耗性のある素材であること(ポリアクリル製など)
経年、摩耗等による色の変化を抑制するためである。
(2)材質に応じてコーティングを施すこと
フリッカ検出プレート501の表面の凹凸や反射を減少させ、画像への影響を低減させるためである。
【0028】
<個数・大きさについて>
(1)フリッカ検出プレート501の個数は複数設けても構わない
これにより、1つのフリッカ検出プレートが隠された場合に他のフリッカ検出プレートを用いてフリッカ検出を行うことが可能となる。
(2)台座全体を無彩色グレーとしても構わない
台座上の特定の座標位置をプレートとみなしてフリッカ検出を行うようにすることもできる。
【0029】
上述のフリッカ検出プレート501を用いた本実施形態の制御動作の基本フローチャートを図6に示す。
まず、画像が撮影される(ステップS601)。
【0030】
次に、フリッカ検出プレート501の各露光フィールドでの平均輝度差およびホワイトバランスから、フリッカ量Yが算出される(ステップS602)。
続いて、フリッカ量Yが判定閾値を超えているか否かが判定される(ステップS603)。
【0031】
そして、フリッカ量Yが判定閾値を超えていなければ、フリッカなしと判定される(ステップS603の判定がNO→ステップS604)。
一方、フリッカ量Yが判定閾値を超えていれば、フリッカありと判定される(ステップS603の判定がYES→ステップS605)。
【0032】
上述のステップS602でのフリッカ量Yの算出方法について、以下に詳細に説明する。
一般的なCCDでは、画素にR:G:B=1:2:1の比率でカラーフィルタを配置した、ベイヤ配列と呼ばれる画素割振りを行うことでカラー情報が取得される。ここで、Rは赤色成分、Gは緑色成分、Bは青色成分の3原色成分を示している。このカラーフィルタの働きにより、各画素は割り当てられた色成分以外の情報(例えばRに割り当てられた画素はG、Bの情報)は取得できない。このため、隣接画素の情報から擬似的に各色の情報が生成される(コンボリューション)。本実施形態では、倍率、傾きなどの各種補正を行う前のベイヤ画像を用いることで、純粋なフリッカによるノイズ量を正確に抽出することが可能となる。
【0033】
ここでは例として、前述した図3に示されるように、露光フィールドが3フィールドからなるインターラインCCDの場合について説明する。この場合、各露光フィールドの2次元CCDセンサ上での水平ライン番号は、例えば、nを自然数として、以下のように分類される。
第一フィールドの水平ライン番号:1、4、7、10、・・・、3n−2
第二フィールドの水平ライン番号:2、5、8、11、・・・、3n−1
第三フィールドの水平ライン番号:3、6、9、12、・・・、3n
【0034】
ベイヤ配列のCCDにおいては全てのフィールドに必ずG画素が同数存在するため、本実施形態では、G画素を基準にフリッカの輝度補正量を算出することとする。
例えば各画素成分の値が0から255までの階調幅で変化するものとする。すなわち、各画素成分は8ビットのデータで表現されるものとする。この場合、各画素成分値が例えば、第一フィールドのG画素平均値=100、第二フィールドのG画素平均値=90、第三フィールドのG画素平均値=80であるとき、最も値の大きいG画素平均値を一般化してG_MAXと表す。このとき画像の第Xフィールド(X=第1、2、3フィールド)のフリッカ輝度補正量GX(=G1、G2、G3)は、以下の(1)式で示される演算により算出される。
【0035】
第一フィールドのフリッカ輝度補正量G1=G_MAX/G画素平均値=100/100=1.0
第二フィールドのフリッカ輝度補正量G2=G_MAX/G画素平均値=100/90=1.11
第三フィールドのフリッカ輝度補正量G3=G_MAX/G画素平均値=100/80=1.25
・・・(1)
【0036】
また、蛍光灯の残光特性の違いから生じる各フィールドでのカラーバランス崩れの補正は、以下のようにして行われる。
【0037】
本実施形態では、フリッカ検出プレート501が無彩色であるとき、全てのフィールドでR=G=Bとなるように、R画素値およびB画素値に補正ゲインを乗算することで、カラーバランスの崩れを補正できる。
【0038】
すなわち、上記補正ゲインを示す画像の第XフィールドのR成分フリッカ色補正量RX(=R1、R2、R3)および画像の第XフィールドのB成分フリッカ色補正量BX(=B1、B2、B3)は、以下のように算出される。
第一フィールドのR画素平均値:G画素平均値:B画素平均値=0.9:1:0.9のとき、
第一フィールドのR成分フリッカ色補正量R1=G画素平均値/R画素平均値=1/0.9=1.11
第一フィールドのB成分フリッカ色補正量B1=G画素平均値/B画素平均値=1/0.9=1.11
・・・(2)
【0039】
同様に、
第二フィールドのR画素平均値:G画素平均値:B画素平均値=0.8:1:0.9のとき
第二フィールドのR成分フリッカ色補正量R2=G画素平均値/R画素平均値=1/0.8=1.25
第二フィールドのB成分フリッカ色補正量B2=G画素平均値/B画素平均値=1/0.9=1.11
・・・(3)
【0040】
同様に、
第三フィールドのR画素平均値:G画素平均値:B画素平均値=0.7:1:0.7のとき
第三フィールドのR成分フリッカ色補正量R3=G画素平均値/R画素平均値=1/0.7=1.43
第三フィールドのB成分フリッカ色補正量B3=G画素平均値/B画素平均値=1/0.7=1.43
・・・(4)
【0041】
以上の(1)、(2)、(3)、(4)で示される演算結果を用いて、第Xフィールドの各色成分R、G、Bごとの輝度補正量と色補正量を合わせたR成分フリッカ補正量FXR(=F1R、F2R、F3R)、G成分フリッカ補正量FXG(=F1G、F2G、F3G)、およびB成分フリッカ補正量FXB(=F1B、F2B、F3B)は、以下の(5)式で示される演算により算出できる。
R成分フリッカ補正量FXR=GX×RX
G成分フリッカ補正量FXG=GX
B成分フリッカ補正量FXB=GX×BX
・・・(5)
【0042】
上記(1)から(5)式に基づくフリッカ補正量の計算例を図7に示す。
以上のようにして算出されるフリッカ補正量より、フリッカ量Yは例えば、以下の(6)式で示される演算により算出できる。
フリッカ量Y=最大のフリッカ補正量の値=1.7875 ・・・(6)
なお、最大のフリッカ補正量の値ではなく、例えば全てのフリッカ補正量の平均値であってもよい。
【0043】
ここで、フリッカが発生していないときには、無彩色のフリッカ検出プレート501を撮像した結果に対しては、全ての露光フィールドのG画素平均値はほぼ同じ値になるはずである。従って、フリッカが発生していないときには、前述の(1)式で示される演算により計算されるフリッカ輝度補正量GX(X=第1、2、3フィールド)は全てほぼ1になるはずである。また、フリッカ検出プレート501は無彩色であるから、フリッカが発生していないときには、各フィールドのR平均:G平均:B平均はほぼ1:1:1になるはずである。従って、フリッカが発生していないときには、前述の(2)から(4)式で示される演算により計算されるR成分フリッカ色補正量RXおよびB成分フリッカ色補正量BX(X=第1、2、3フィールド)は全てほぼ1になるはずである。これらより、フリッカが発生していないときには、(5)式で示される演算により計算される輝度補正量と色補正量を合わせたR成分フリッカ補正量FXR、G成分フリッカ補正量FXG、およびB成分フリッカ補正量FXBは、ほぼ全て1になり、それらの最大値として求まるフリッカ量Yも1に近い値となることがわかる。逆に、このフリッカ量Yの値が大きいほど、強いフリッカが発生しているということになる。
【0044】
以上のようにして算出されるフリッカ量Yの値が所定の判定閾値を超えているか否かが図6のステップS603で判定されることにより、フリッカが発生しているか否かを判定することが可能となる。
【0045】
以下に説明する本発明の具体的な第1から第4の実施形態では、以上のようにして算出される輝度補正量と色補正量を合わせたフリッカ量Yを用いることにより、精度の高いフリッカの発生有無の判定とそれに基づく露出テーブルの選択、および撮像画像に対するフリッカ補正が可能となる。
【0046】
図8から図10は、後述する第1から第4の実施形態に共通の、スタンド型イメージリーダとして実施される本実施形態のハードウェア構成図である。
まず、図8は、本実施形態の外観図である。台座部803は、撮像されるべき書類等を置く台である。台座部803の一部から垂直上方に支柱部804が伸び、その上に、台座部803上の書類等を撮像するためのカメラ部801およびカメラ部801に取り付けられているレンズ802を備える。
【0047】
図9は、図8の台座部803上のフリッカ検出プレート501の構成図である。台座部803および支柱部804は、図8と同じである。また、フリッカ検出プレート501は、図5と同じである。図5に関連して<位置の条件>で説明したように、スタンド型イメージリーダでは帳票の推奨セット位置を突き当てにより指定しており、またその外側にマージンを加えた読取り保証領域901(図9の破線で示される領域)を規定している。読取り保証領域901内には帳票が置かれる可能性があるため、フリッカ検出プレート501は、読取り保証領域901の外の台座上部に設置される。
【0048】
図10は、図8のカメラ部801およびそれに接続される制御PC等の構成図である。カメラ部801は、図8と同じであり、イメージセンサ1001、制御CPU(中央演算処理装置)1002、RAM(ランダムアクセスメモリ)1003、USB(ユニバーサルシリアルバス)コントローラ1004、および露出・ゲイン記憶部1008を備える。イメージセンサ1001は、インターラインCCD方式の2次元CCDセンサであり、図8のレンズ802を通して受光された撮像画像をデジタル信号の撮像画像データに変換する。制御CPU1002は、イメージセンサ1001を制御して画像の取込みを行う。RAM1003は、制御CPU1002が実行する制御プログラムや制御データのほか、イメージセンサ1001から入力された撮像画像データを一時記憶する。露出・ゲイン記憶部1008は、制御CPU1002がイメージセンサ1001から撮像画像データを取り込むときの露出時間と入力レベルであるゲインを記憶する。これらは制御PC1006から設定される。この制御CPU1002の動作は、一般的な動作である。USBコントローラ1004は、制御PC1006とUSBインタフェース1005によって接続される通信を終端するインタフェース回路である。制御PC(パーソナルコンピュータ)1006は、一般的な金融機関による画像取込み処理を行うほか、フリッカ量の算出、算出したフリッカ量に基づく電源周波数の判定と露出テーブルの切替え、露出時間およびゲインの設定、撮像画像データに対するフリッカ補正処理等を実行する。これらの処理の詳細については、第1から第4の実施形態の説明において後述する。LCP(液晶ディスプレイ)モニタ1007は、カメラ部801で撮像され制御PC1006内で処理された撮像画像の表示等を行う。
【0049】
図11は、図8から図10までの本実施形態のハードウェア構成を基本とする第1の実施形態のブロック図である。
まずカメラ部801の構成は、図10に示されるカメラ部801の構成と同じであり、イメージセンサ1001、制御CPU1002、RAM1003、および露出・ゲイン記憶部1008を備える。ここで、イメージセンサ1001、制御CPU1002、およびRAM1003は、画像取得部1107を構成する。
【0050】
制御PC1006は、図10の制御PC1006に対応し、フリッカ量算出部1101、露出テーブル切替え判定部1102、露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103、露出テーブル切替え部1104、露出テーブル記憶部1105、および露出・ゲイン設定部1106を備える。
【0051】
フリッカ量算出部1101は、フリッカ検出プレート501(図9等参照)を画像取得部1107で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量を算出する。そして、フリッカ量算出部1101は、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出する。
【0052】
露出テーブル切替え判定部1102は、上述のフリッカ量が露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103に記憶されている露出テーブル切替え判定値を超えているか否かを判定する。
【0053】
露出テーブル記憶部1105は、画像取得部1107における露出時間の組合せを設定した露出テーブルを複数記憶する。
露出テーブル切替え部1104は、露出テーブル切替え判定部1102において前述したフリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていると判定された場合に、露出テーブル記憶部1105から読み出す露出テーブルを切り替える。
【0054】
露出・ゲイン設定部1106は、露出テーブル切替え部1104を介して露出テーブル記憶部1105から読み出される露出テーブルに基づいて、画像取得部1107内の露出・ゲイン記憶部1008に露出時間およびゲインを設定する。そして、露出・ゲイン設定部1106は、画像取得部1107にフリッカ検出プレート501の再度の撮像を指示する。
【0055】
図12は、図11の第1の実施形態のブロック図の機能を実現する制御PC1006のキャリブレーションの制御動作を示すフローチャートである。このフローチャートで示される制御動作は例えば、制御PCの内部の特には図示しないCPUが特には図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行する動作として実現される。このフローチャートの制御動作は、例えば制御PC1006(図10)を操作するユーザによってまたは電源投入により自動的にキャリブレーションの開始が指示されることにより、開始される。
【0056】
まず、カメラ部801の画像取得部1107において、露出・ゲイン記憶部1008に初期設定されている露出時間おおびゲインが読み出されて、露出時間とゲインが調整される(ステップS1201)。
【0057】
次に、画像取得部1107において、フリッカ検出プレート501を含む撮像画像対象の画像が撮影される(ステップS1202)。この処理は、図11の画像取得部1107の機能を実現する。
【0058】
次に、フリッカ検出プレート501を画像取得部1107で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量が算出される。そして、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量Yが算出される(以上、ステップS1203)。より具体的には、フリッカ検出プレート501を撮像した結果得られるR、G、Bの色成分ごとおよび第1から第3の露光フィールドごとの撮像画像データのうち、所定の色成分、例えばG成分の露光フィールドごとの撮像画像データの平均輝度値の比として露光フィールドごとのフリッカ輝度補正量が算出される。これは前述した(1)式で示される演算に対応する。次に、露光フィールドごとに色成分ごとの撮像画像データの平均輝度値の比として露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ色補正量が算出される。これは前述した(2)、(3)、および(4)式で示される演算に対応する。そして、露光フィールドごとのフリッカ輝度補正量と露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ色補正量が乗算されることにより露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量が算出される。これは前述した(5)式で示される演算に対応する。そして、フリッカ補正量の例えば最大値(あるいは平均値)としてフリッカ量Yが算出される。以上のステップS1203の処理は、図11のフリッカ量算出部1101の機能を実現する。
【0059】
次に、上述のフリッカ量Yが露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103に記憶されている露出テーブル切替え判定値xを超えているか否かが判定される(ステップS1204)。この処理は、図11の露出テーブル切替え判定部1102の機能を実現する。
【0060】
次に、フリッカ量Yが露出テーブル切替え判定値xを超えていると判定されてステップS1204の判定がYESとなると、露出テーブル記憶部1105から読み出す露出テーブルが切り替えられる(ステップS1205)。この露出テーブルは、例えば50Hzと60Hzの電源周波数のそれぞれに対応する露出テーブルであり、露出時間の組合せが設定されている。このステップS1205の処理は、図11の露出テーブル切替え部1104の機能を実現する。
【0061】
ステップS1205の処理の後、露出テーブル記憶部1105から読み出される露出テーブルに基づいて、画像取得部1107内の露出・ゲイン記憶部1008に露出時間およびゲインが設定される(ステップS1205→S1201)。そして、露出時間およびゲインが再調整されて、再びフリッカ検出プレート501が撮影され、ステップS1201以降の処理が繰り返し実行される。この制御処理は、図11の露出・ゲイン設定部1106の機能を実現する。
【0062】
以上の繰返し処理において、フリッカ量Yが露出テーブル切替え判定値xを超えていないと判定されてステップS1204の判定がNOになると、フリッカは発生していないと判定される。そして、露出テーブルの切替えは行われずに、例えば倍率や傾き等に関する各種補正情報が生成されて(ステップS1204→S1206)、キャリブレーションの処理を終了する。
【0063】
以上の第1の実施形態により、メカニカルシャッターを使用しなくてもフリッカを防止することが可能となり、コスト削減や、装置の故障率低下、消費電力の削減が見込める。
また、従来、手動で選択していた設置環境の電源周波数に応じた最適な露出テーブルを自動で選択することが可能となり、作業量の削減、選択ミスの削減が可能となる。
【0064】
図13は、図8から図10までの本実施形態のハードウェア構成を基本とする第2の実施形態のブロック図である。図13において、図11の第1の実施形態の場合と同じ機能を有するブロックには同じ番号を付してある。図13の構成が図11の構成と異なる点は、露出回数カウント部1301および露出回数記憶部1302をさらに備える点である。
【0065】
露出回数カウント部1301は、露出テーブル切替え判定部1102においてフリッカ量が露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103に記憶されている露出テーブル切替え判定値を超えていないと判定された場合に、画像取得部1107に露出回数記憶部1302に記憶されている所定の露出回数までのフリッカ検出プレート501の同一条件での再度の撮像を指示する。
【0066】
図14は、図13の第2の実施形態のブロック図の機能を実現する制御PC1006のキャリブレーションの制御動作を示すフローチャートである。図12の第1の実施形態の場合と同じ処理を有するステップには同じステップ番号を付してある。このフローチャートで示される制御動作は例えば、図12の場合と同様に、制御PCの内部の特には図示しないCPUが特には図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行する動作として実現される。このフローチャートの制御動作は、図12の場合と同様に、例えば制御PC1006(図10)を操作するユーザによってまたは電源投入により自動的にキャリブレーションの開始が指示されることにより、開始される。
【0067】
図14のフローチャートが図12のフローチャートと異なる部分は、ステップS1401で制御PC1006内の特には図示しないカウンタが例えば0に初期化される。その後、フリッカ量Yが露出テーブル切替え判定値を超えておらずステップS1204の判定がNOとなったときに、カウンタが+1され(ステップS1402)、そのカウンタ値が所定の露出回数Zを超えているか否かが判定される(ステップS1403)点である。ステップS1403の判定がNOならば、画像取得部1107にフリッカ検出プレート501の同一条件での再度の撮像が指示される(ステップS1403→S1202)。以上の処理は、図13の露出回数カウント部1301の機能を実現する。
【0068】
そして、露出回数がZに達してステップS1403の判定がYESになると、前述したステップS1206の処理に移って、フリッカ補正の処理を終了する。
同じ条件で撮影した場合であってもフリッカの強度はある程度ランダム性を持つ。このため、第2の実施形態の機能または制御動作により、確実にフリッカを検出することが可能となる。
【0069】
図15は、図8から図10までの本実施形態のハードウェア構成を基本とする第3の実施形態のブロック図である。図15において、図11の第1の実施形態の場合と同じ機能を有するブロックには同じ番号を付してある。図15の構成が図11の構成と異なる点は、フリッカ係数乗算部1501および露出−フリッカ量係数記憶部1502を更に含む点である。フリッカ係数乗算部1501は、露出テーブル切替え判定部1102が露出テーブルの切替えを判定するときの露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103に記憶された露出テーブル切替え判定値を、フリッカ検出プレート501が撮像されるときの露出時間に応じて所定係数k倍する。
【0070】
一般にフリッカは、露出時間が短い場合ほど強く、露出時間が長い程弱く現れる。このことから露出時間の長さによって露出テーブル切替え判定値に重みづけを行うことにより、露出テーブル自動選択の精度向上が可能となる。
【0071】
図16は、各露出でのフリッカ量係数の一例を示す。フリッカ係数乗算部1501は、現在フリッカ検出プレート501を撮像している露出テーブルの露出時間に対応して、露出−フリッカ量係数記憶部1502に記憶されている例えば図16のテーブルを参照することにより、係数kを決定する。そして、フリッカ係数乗算部1501は、この係数kを、露出テーブル切替え判定部1102に与える。露出テーブル切替え判定部1102は、露出テーブル切替え判定閾値記憶部1103に記憶されている露出テーブル切替え判定値に係数kを乗算したものを、新たな露出テーブル切替え判定値とする。
なお、係数kは図16の例によらず任意に設定しても構わない。
【0072】
図17は、図8から図10までの本実施形態のハードウェア構成を基本とする第4の実施形態のブロック図である。
【0073】
まずカメラ部801の構成は、図10に示されるカメラ部801の構成と同じであり、イメージセンサ1001、制御CPU1002、RAM1003、および露出・ゲイン記憶部1008を備える。ここで、イメージセンサ1001、制御CPU1002、およびRAM1003は、画像取得部1107を構成する。
【0074】
制御PC1006は、図10の制御PC1006に対応し、フリッカ量算出部1101、フリッカ補正量記憶部1701、フリッカ発生判定部1702、フリッカ判定閾値記憶部1703、フリッカ補正部1704、および出力画像生成部1705を備える。
【0075】
フリッカ量算出部1101は、フリッカ検出プレート501(図9等参照)を画像取得部1107で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量を算出する。そして、フリッカ量算出部1101は、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出する。これは、第1から第3の実施形態におけるフリッカ量算出部1101と同じである。
【0076】
フリッカ補正量記憶部1701は、フリッカ量算出部1101で算出された露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量を記憶する。
フリッカ発生判定部1702は、フリッカ量算出部1101で算出されたフリッカ量が、フリッカ判定閾値記憶部1703に記憶されているフリッカ補正判定値を超えているか否かによって、フリッカの発生を判定する。
【0077】
フリッカ補正部1704は、フリッカ発生判定部1702によってフリッカ量がフリッカ補正判定値を超えていると判定された場合に、画像取得部1107が撮像対象を撮像して得た露光フィールドごとおよび色成分ごとの撮像画像データに対して、フリッカ補正量記憶部1701に記憶された露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量に基づいて、フリッカ補正を行う。
【0078】
出力画像生成部1705は、フリッカ補正後の画像を、図10のLCPモニタ1007等に出力する。
【0079】
図18は、図17の第4の実施形態のブロック図の機能を実現する制御PC1006の撮像処理の制御動作を示すフローチャートである。図12の第1の実施形態の場合と同じ処理を有するステップには同じステップ番号を付してある。このフローチャートで示される制御動作は例えば、制御PCの内部の特には図示しないCPUが特には図示しないメモリに記憶された制御プログラムを実行する動作として実現される。このフローチャートの制御動作は、例えば制御PC1006(図10)を操作するユーザによって前述したキャリブレーションの操作とそれに続く撮像対象の撮像開始が指示されることにより、開始される。
【0080】
まず、画像取得部1107において、フリッカ検出プレート501を含む撮像対象の画像が撮影される(ステップS1202)。この処理は、第1の実施形態における図12のステップS1202の処理と同じであり、図11の画像取得部1107の機能を実現する。
【0081】
次に、フリッカ検出プレート501を画像取得部1107で撮像された結果得られる色成分ごとおよび露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量が算出される。そして、そのフリッカ補正量に基づいてフリッカ量Yが算出される(以上、ステップS1203)。この処理は、第1の実施形態における図2のステップS1203の処理と同じである。
【0082】
ここで算出された露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量は、図17のフリッカ補正量記憶部1701に記憶される。
次に、ステップS1203で算出されたフリッカ量が、フリッカ判定閾値記憶部1703に記憶されているフリッカ補正判定値を超えているか否かによって、フリッカの発生が判定される(ステップS1801)。
【0083】
フリッカが発生しステップS1801の判定がYESになると、画像取得部1107が撮像対象を撮像して得た露光フィールドごとおよび色成分ごとの撮像画像データに対して、フリッカ補正量記憶部1701に記憶された露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量に基づいて、フリッカ補正が行われる(ステップS1802)。この処理は、図17のフリッカ補正部1704の機能を実現する。
【0084】
ステップS1801の判定がNOの場合またはステップS1802の処理の後、入力された撮像画像データに対して、画像の例えば倍率や傾き等に関する各種補正が実行され(ステップS1803)、画像が出力される(ステップS1804)。ステップS1803およびS1804の処理は、図17の出力画像生成部1705の機能を実現する。
【0085】
図19は、図18のステップS1802のフリッカ補正処理の説明図である。ステップS1203での前述した(1)式から(5)式で示される演算処理によって、図7の例と同じ図19(a)に例示される露光フィールドごとおよび色成分ごとのフリッカ補正量F1R、F1G、F1B、F2R、F2G、F2B、F3R、F3G、F3Bが算出される。フリッカ検出プレート501と同時に撮影されている撮像対象の画像データに補正処理を行う。まず、第1行目の第一フィールドの画素データ群に対しては、R画素にフリッカ補正量F1R、G画素にフリッカ補正量F1Gが乗算される。第2行目の第二フィールドの画素データ群に対しては、B画素にフリッカ補正量F2B、G画素にフリッカ補正量F2Gが乗算される。第3行目の第三フィールドの画素データ群に対しては、R画素にフリッカ補正量F3R、G画素にフリッカ補正量F3Gが乗算される。第4行目の第一フィールドの画素データ群に対しては、B画素にフリッカ補正量F1B、G画素にフリッカ補正量F1Gが乗算される。第5行目の第二フィールドの画素データ群に対しては、R画素にフリッカ補正量F2R、G画素にフリッカ補正量F2Gが乗算される。そして、第6行目の第三フィールドの画素データ群に対しては、B画素にフリッカ補正量F3B、G画素にフリッカ補正量F3Gが乗算される。
【0086】
以上のようにして、第4の実施形態では、露光フィールドごとおよび色成分ごとにフリッカ補正量を算出して、撮像画像データに対して補正を行うことができる。この結果、精度の高いフリッカ補正を行うことが可能となり、撮像画像データ中のフリッカ成分が除去される。
【0087】
このことは、蛍光灯の点滅周期未満の短い露光時間を使用して多少のフリッカが発生してもそれを除去できることを意味する。この結果、装置の運用可能な照度範囲を従来よりも拡大することがで、同一の装置構成でより明るい環境において読取りが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
101、1001 イメージセンサ
102 台座
301 画素センサ
501 フリッカ検出プレート
801 カメラ部
802 レンズ
803 台座部
804 支柱部
901 読取り保証領域
1002 制御CPU
1003 RAM
1004 USBコントローラ
1005 USBインタフェース
1006 制御PC
1007 LCPモニタ
1008 露出・ゲイン記憶部
1101 フリッカ量算出部
1102 露出テーブル切替え判定部
1103 露出テーブル切替え判定閾値記憶部
1104 露出テーブル切替え部
1105 露出テーブル記憶部
1106 露出・ゲイン設定部
1301 露出回数カウント部
1302 露出回数記憶部
1501 フリッカ係数乗算部
1502 露出−フリッカ量係数記憶部
1701 フリッカ補正量記憶部
1702 フリッカ発生判定部
1703 フリッカ判定閾値記憶部
1704 フリッカ補正部
1705 出力画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座上にセットされた撮像対象を、露光開始タイミングの異なる複数の画素グループである露光フィールドに分けて露光を行うイメージセンサを備えた画像取得部で撮像する画像撮像装置において、
前記台座上に設置され前記撮像対象に近接して撮像される無彩色または色バランスが既知である所定彩色のフリッカ検出プレートと、
前記フリッカ検出プレートを前記画像取得部で撮像された結果得られる色成分ごとおよび前記露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を算出し、該フリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出するフリッカ量算出部と、
前記フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えているか否かを判定する露出テーブル切替え判定部と、
前記画像取得部における露出時間の組合せを設定した露出テーブルを複数記憶する露出テーブル記憶部と、
前記露出テーブル切替え判定部において前記フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていると判定された場合に、前記露出テーブル記憶部から読み出す前記露出テーブルを切り替える露出テーブル切替え部と、
前記露出テーブル切替え部を介して前記露出テーブル記憶部から読み出される露出テーブルに基づいて、前記画像取得部に露出時間およびゲインを設定し、前記画像取得部に前記フリッカ検出プレートの再度の撮像を指示する露出時間・ゲイン設定部と、
を含むことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項2】
前記露出テーブル切替え判定部において前記フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていないと判定された場合に、前記画像取得部に所定の露出回数までの前記フリッカ検出プレートの同一条件での再度の撮像を指示する露出回数カウント部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像撮像装置。
【請求項3】
前記露出テーブル切替え判定値を、前記フリッカ検出プレートが撮像されるときの露出時間に応じて所定係数倍するフリッカ係数乗算部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の画像撮像装置。
【請求項4】
台座上にセットされた撮像対象を、露光開始タイミングの異なる複数の画素グループである露光フィールドに分けて露光を行うイメージセンサを備えた画像取得部で撮像する画像撮像装置において、
前記台座上に設置され前記撮像対象に近接して撮像される無彩色または色バランスが既知である所定彩色のフリッカ検出プレートと、
前記フリッカ検出プレートを前記画像取得部で撮像された結果得られる色成分ごとおよび前記露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を算出し、該フリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出するフリッカ量算出部と、
前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を記憶するフリッカ補正量記憶部と、
前記フリッカ量がフリッカ補正判定値を超えているか否かによってフリッカの発生を判定するフリッカ発生判定部と、
前記フリッカ発生判定部によって前記フリッカ量がフリッカ補正判定値を超えていると判定された場合に、前記画像取得部が前記撮像対象を撮像して得た前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとの撮像画像データに対して、前記フリッカ補正量記憶部に記憶された前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量に基づいて、フリッカ補正を行うフリッカ補正部と、
を含むことを特徴とする画像撮像装置。
【請求項5】
前記フリッカ量算出部は、前記フリッカ検出プレートを前記画像取得部で撮像された結果得られる前記色成分ごとおよび前記露光フィールドごとの撮像画像データのうち、所定の色成分の前記露光フィールドごとの撮像画像データの平均輝度値の比として前記露光フィールドごとのフリッカ輝度補正量を算出し、前記露光フィールドごとに前記色成分ごとの撮像画像データの平均輝度値の比として前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ色補正量を算出し、前記露光フィールドごとのフリッカ輝度補正量と前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ色補正量を乗算することにより前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を算出する、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の画像撮像装置。
【請求項6】
前記フリッカ検出プレートは、前記台座上で前記撮像対象の撮像を保証する範囲である読取り保証領域の範囲外の上部に設置される、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像撮像装置。
【請求項7】
前記フリッカ検出プレートは、前記台座表面全体を、前記無彩色または前記所定彩色にしたものである、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の画像撮像装置。
【請求項8】
台座上にセットされた撮像対象を、露光開始タイミングの異なる複数の画素グループである露光フィールドに分けて露光を行うイメージセンサを備えた画像取得部で撮像する画像撮像方法において、
前記台座上に設置され前記撮像対象に近接して撮像される無彩色または色バランスが既知である所定彩色のフリッカ検出プレートを前記画像取得部で撮像された結果得られる色成分ごとおよび前記露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を算出し、該フリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出し、
前記フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えているか否かを判定し、
前記露出テーブル切替え判定部において前記フリッカ量が露出テーブル切替え判定値を超えていると判定された場合に、前記画像取得部における露出時間の組合せを設定した露出テーブルを複数記憶する露出テーブル記憶部から読み出す前記露出テーブルを切り替え、
前記露出テーブルの切替えを介して前記露出テーブル記憶部から読み出される露出テーブルに基づいて、前記画像取得部に露出時間およびゲインを設定し、前記画像取得部に前記フリッカ検出プレートの再度の撮像を指示する、
ことを特徴とする画像撮像方法。
【請求項9】
台座上にセットされた撮像対象を、露光開始タイミングの異なる複数の画素グループである露光フィールドに分けて露光を行うイメージセンサを備えた画像取得部で撮像する画像撮像方法において、
前記台座上に設置され前記撮像対象に近接して撮像される無彩色または色バランスが既知である所定彩色のフリッカ検出プレートを前記画像取得部で撮像された結果得られる色成分ごとおよび前記露光フィールドごとの撮像画像データに基づいて前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を算出し、
前記フリッカ補正量に基づいてフリッカ量を算出し、
前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量を記憶し、
前記フリッカ量がフリッカ補正判定値を超えているか否かによってフリッカの発生を判定し、
前記フリッカ発生判定部によって前記フリッカ量がフリッカ補正判定値を超えていると判定された場合に、前記画像取得部が前記撮像対象を撮像して得た前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとの撮像画像データに対して、前記記憶された前記露光フィールドごとおよび前記色成分ごとのフリッカ補正量に基づいて、フリッカ補正を行う、
ことを特徴とする画像撮像方法。

【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−51592(P2013−51592A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189200(P2011−189200)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】