説明

画像撮影システムおよびその制御方法

【課題】無線カメラシステムで、無線システムの接続数に制限がある場合に、撮影に必要なリソースを有効に活用できるようにする。
【解決手段】同時に接続可能なデバイス数に制限がある無線システムを有する撮影システムにおいて、周辺デバイスの数がアクティブに接続可能なデバイス数を超えている場合、撮影条件に応じた優先順位に基づき、各周辺デバイスとアクティブまたは非アクティブに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線接続可能な画像撮影システムおよびその制御方法に関し、特に、無線接続が可能な画像撮影装置とその周辺機器に用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器間を光あるいは無線で通信接続してシステム制御を行うことはさまざまな分野で行われている。例えば、撮影装置とその周辺機器であるストロボ装置などを、光信号で接続して、発光制御を行う事例が知られている。また、光信号ではないが、ISMバンドと呼ばれる2.4GHzの電波を用いた無線通信は、無認可でエンドユーザーが使用できるので、さまざまな分野で利用されている。
【0003】
例えば、光通信を応用した例としては、特許文献1ではストロボの発光パルスを用いてマスター撮影装置とスレーブストロボを光通信接続し、発光制御を行う撮影装置が開示されている。
【0004】
また、電波を応用した例としては、特許文献2ではBluetooth(登録商標)という無線通信規格を用いて携帯電話同士、あるいは携帯電話をプリンターなどと接続する無線通信システムが開示されている。さらに、特許文献3ではBluetooth無線通信規格を用いて、マスター端末とスレーブ端末を無線接続した電子会議システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−089306号公報
【特許文献2】特開2003−218763号公報
【特許文献3】特開2002−335254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された従来技術では、波長の短い可視光を用いているため指向性が強く、間に障害物などがあると正しく光通信が行われないことがあった。
【0007】
一方、前述の特許文献2または3に開示された従来技術では、電波を用いているので、光に対しては波長が長く、指向性も広い上に、回折などにより障害物の後ろにも回りこみ易い。このため、障害物などの影響は比較的受けにくいが、通信システム固有の制限も有している。この、Bluetooth無線規格において定義されているピコネットと呼ばれる小規模ネットワークは、同時に接続できるスレーブ数は上限が7台と定義されている。
【0008】
そして、7台以上のスレーブ装置があった場合には、アクティブな台数は7台として、それ以外のスレーブ装置はパークと呼ばれる待機モードとして、必要に応じてアクティブとパークを切り替えて接続することが定義されている。従って、前述の特許文献2では、周辺に7台以上のスレーブ装置がある場合は、警告等の表示を行うことが開示されている。
【0009】
また、前述の特許文献3では、周辺に7台以上のスレーブ装置がある場合は、順次アクティブとパークを切り替えて行う電子会議システムが開示されている。しかしながら、この無線システムをストロボ撮影システムに適用した場合に、以下のような問題が生じる。
例えば、7台のスレーブストロボ、1台の無線マイク、1台のGPS(Global Positioning System)受信器などが撮影装置の周辺機器として設定されている場合に、すべての機器と同時に通信することはできない。
【0010】
従って、順次アクティブと非アクティブ状態(パークモードなど)を切り替えて使わざるを得ないが、適切に切り替えないと、撮影に大きな影響が出る可能性があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、無線カメラシステムで、無線システムの接続数に制限がある場合に、撮影に必要なリソースを有効に活用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像撮影システムは、無線通信ユニットを有するマスター撮影装置と、前記無線通信ユニットを介して前記マスター撮影装置と無線通信により接続可能なスレーブ装置とを有し、前記無線通信ユニットに設けられているマスター装置は、接続可能なスレーブ装置の個数を識別する個数識別手段と、前記スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブに設定するスレーブ動作モード設定手段とを有し、前記スレーブ装置は、前記マスター装置からの指令で、スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブ状態に状態を設定する状態設定手段を有し、前記マスター装置は前記個数識別手段により、前記マスター撮影装置に接続することが可能な数を超えるスレーブ装置を認識した際には、前記スレーブ動作モード設定手段により、優先順位および撮影モードに応じて、撮影と同時動作が必要となるスレーブ装置と同時動作が必要でないスレーブ装置に応じて、スレーブ装置のアクティブまたは非アクティブ状態を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同時に接続可能なスレーブ数に制限がある無線システムを有する撮影装置において、撮影の動作に応じて最適なスレーブを割り当てることにより、撮影に必要なリソースを有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態を示し、画像撮影システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】ストロボ装置の電気的構成例を示すブロック図である。
【図3】カメラ本体と複数のスレーブ装置を接続した撮影システムを示す図である。
【図4】画像撮影システムの主な動作を示すフローチャートである。
【図5】スレーブストロボでの主な動作を示すフローチャートである。
【図6】スレーブ機器のアクティブ動作を示すフローチャートである。
【図7】スレーブ機器の検索動作を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態に係る無線接続の表示例を示す図である。
【図9】第1の実施形態に係る無線接続の入力例を示す図である。
【図10】第1の実施形態に係るスレーブストロボの無線接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態の無線接続可能な画像撮影システムの構成例を示す図であり、図1において、100はカメラ本体(マスター撮影装置)である。1は主ミラーであり、ファインダー観察状態では撮影光路内に斜設され、撮影状態では撮影光路外に退避する。また、主ミラー1はハーフミラーとなっており、撮影光路内に斜設されているときは、後述する焦点検出光学系へ被写体からの光線の約半分を透過させる。2はピント板であり、後述のフォーカスレンズ201で結像された被写体像が投影される。
【0015】
3はサブミラーであり、主ミラー1とともに、ファインダー観察状態では撮影光路内に斜設され、撮影状態では撮影光路外に退避する。このサブミラー3は、斜設された主ミラー1を透過した光線を下方に折り曲げて、後述の焦点検出ユニットの方に導くものである。
4はファインダー光路変更用のペンタプリズム、5はアイピースであり、撮影者はこの窓からピント板2を観察することで、撮影画面を観察することができる。
【0016】
6と7はファインダー観察画面内の被写体輝度を測定するための結像レンズと測光センサである。8は公知の位相差方式の焦点検出ユニットである。9はフォーカルプレンシャッターであり、14は、CMOS等の撮像素子である。16は撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0017】
20は画像処理回路であり、 A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理などを行う。22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30を制御する。26はD/A変換器、28はTFT LCD等から成る表示装置であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介してカメラ本体背面のTFT液晶などで構成された、表示装置28により表示される。また、この表示装置28は、カメラ操作用の表示インターフェースも兼ねており、カメラの様々な動作状態を表示する。
【0018】
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。また、メモリ30はカメラMPU50の作業領域としても使用する。
【0019】
40はシャッター9を制御する露光制御手段であり、41は主ミラー1をアップ、ダウンさせるためのモータと駆動回路からなるミラー制御手段である。
50はカメラ本体100全体を制御するカメラMPU、52はカメラMPU50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0020】
60、62、64、及び70は、カメラMPU50の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル等で構成される。
【0021】
ここで、これらの操作手段の具体的な説明を行う。
60はモードダイアルスイッチで、各種撮影モード(マニュアル、絞り優先AE、シャッター優先AE、プログラムAE)の各機能モードを切り替え設定することができる。
62は測光、測距開始スイッチSW1で、不図示のシャッターボタンの操作一段目でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理等の動作開始を指示する。
64はシャッタースイッチSW2で、不図示のシャッターボタンの操作二段目でONとなり、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理等の一連の処理の動作開始を指示する。
【0022】
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部である。
80は電源制御手段で、DC-DCコンバータにより各種制御回路に必要な電圧を供給する。
120はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。
399は後述の撮影レンズ200と本体側のカメラMPU50との通信を行う通信線であり、499は外付けのストロボ装置400と本体側のカメラMPU50との通信を行う通信線である。
【0023】
次に、撮影レンズ200の説明をする。
201は被写体像を撮像素子14に結像し、フォーカス調整を行う為のフォーカスレンズ。202はフォーカスレンズ201を光軸方向に駆動して、ピントを合わせるためのフォーカス駆動アクチュエータである。211はレンズ制御マイコン(レンズ制御MPU)206からの指令に基づき、フォーカス駆動アクチュエータ202を制御するフォーカス制御回路である。
【0024】
203はフォーカスレンズ201の位置から被写体距離を検出する為のエンコーダからなる被写体距離検出手段、204は撮影時の光量を調整する為の絞り、250は絞り駆動アクチュエータである。205はレンズ制御マイコン(レンズ制御MPU)206からの指令に基づき、絞り駆動アクチュエータ250を制御する絞り制御回路である。
【0025】
207は変倍のための焦点距離調整を行うためのズーミングレンズ、208はズーミングレンズ207を光軸方向に駆動して、電気的に焦点距離調節を行うためのズーム駆動アクチュエータである。212はズーム駆動アクチュエータ208を制御するズーム制御回路である。
【0026】
206は前述のフォーカス駆動や絞り駆動などを制御するとともに、カメラ本体100側のカメラMPU50と通信を制御するレンズ制御マイコンである。また、撮影レンズ200はレンズマウント209を介して、着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、電気的にはシリアル通信線と電源からなるコネクタ210でカメラ本体100に接続される。
【0027】
300はカメラ本体100に着脱可能に装着される無線通信ユニットであり、301は無線通信ユニット制御用のMPUであり、スレーブ動作モード設定手段として機能する。302は無線通信用のRF(RadioFreqency)モジュールで、例えば2.4GHZ帯(IMSバンド)の送受信処理を行うZigbee(登録商標)またはBluetoothなどの無線プロトコルを処理する公知のRFチップで構成されている。303は電波の送受信のためのアンテナである。なお、本実施形態では、無線通信ユニット300をカメラ本体100と着脱可能としているが、カメラ本体100に内蔵されてもよい。
【0028】
次に、図2を用いてストロボ装置400の回路構成を説明する。
ストロボ装置400は、カメラ本体100に420の接点郡にて電気的に接続される。401は電源電池である。402はDC−DCコンバータであり、電池電圧を数100Vに昇圧する。403は発光エネルギーを蓄積するメインコンデンサである。404,405は抵抗であり、メインコンデンサ403の電圧を所定比に分圧する。
【0029】
406は発光電流を制限するためのコイル、407は発光停止時に発生する逆起電圧を吸収するためのダイオード、410はXe(キセノン)管である。411はトリガ発生回路、412はIGBTなどの発光制御回路である。413は発光制御用の受光センサであるフォトダイオードであり、Xe管410の光出力をモニタする。414は光量制御回路で、フォトダイオード413の光電流を増幅し、所定光量になると発光制御回路412の導通を制御して、発光量の調整を行う。
【0030】
421はストロボの動作モード(ノーマル、マスター、スレーブ)などを設定する操作スイッチ、422はストロボの動作モードなどを表示するLCDなどの表示装置である。460は図1の無線通信用のRFモジュール302と同一のものであり、461は送受信用のアンテナである。430はストロボMPUで、マスター装置からの指令でアクティブ状態または非アクティブ状態に状態設定する。
【0031】
次に、図3は本実施形態の画像撮影システムの一例を説明する図である。図1および図2と同じ部材には同じ記号を付与している。
100はカメラ本体で、アンテナ303を持つ無線通信ユニット300がカメラ測部に装着されている。400は、アンテナ461を持つ複数のスレーブストロボ装置であり、本実施形態では、SS1からSS7までの7台が設定されている。
【0032】
501は無線ワイヤレスマイクM1、502は無線GPSレシーバ(GPS受信装置)GP1である。無線通信ユニット300を含むカメラ本体100と各スレーブストロボSS1〜SS7および無線ワイヤレスマイクM1、無線GPSレシーバGP1との間は、電波にて接続可能である。
【0033】
次に、図4〜図7のフローチャートを用いて、第1の実施形態における動作フローを説明する。
図4〜図7は、本実施形態の動作を説明するフローチャートを示している。これらのフローチャートを用いてカメラMPU50、RFMPU301、およびストロボMPU430の動作を説明する。
電源投入により、カメラMPU50はフラグや制御変数等を初期化する(S101)。
【0034】
次に、RFMPU301は周辺のスレーブ機器の検索を行う(S102)。この手順は図7を用いて説明する。
図7は、周辺スレーブ機器の検索手順を説明する図であり、RFMPU301はRFモジュール302を介して周辺スレーブに対して紹介リクエストコマンドを送信する(S700)。
【0035】
周辺スレーブ(例えば、図2のストロボ装置400)はこの紹介リクエストをRFモジュール460を介して受信して、ストロボMPU430はRFモジュールを送信モードにして紹介応答を送信する(S701)。
RFMPU301は紹介応答を受信すると、次に、周辺スレーブに対してデバイス名リクエストを送信する(S702)。
周辺スレーブはS701と同様にしてデバイス名リクエストを受信すると、自身のデバイス名を送信する(S703)。
【0036】
RFMPU301はこのデバイス名を受信する(S704)。この処理を周辺に探索されるデバイス数分だけ処理を繰り返し(S705)、検索された全デバイス名をカメラMPU50に送信し、カメラMPUは表示装置28に検索された周辺デバイス名を表示する(S706)。前述のS700〜S705により個数識別手段が構成される。
【0037】
図8は、カメラ本体100の背面の表示装置28に表示された、検索された周辺デバイス名の表示例を示す図である。
次に、接続したいデバイスを選択し、相互接続のためのパスキーを入力する(S707)。
【0038】
図9は、パスキーの入力画面例を示す図であり。図8で選択したデバイス1番を選択し、パスキーを入力して、相互接続する。
ここで、通信システム上、アクティブに接続できるスレーブが例えば7台であるとした場合に、前述したS707で検索したデバイスの総数がこの最大接続数以内の場合は、スレーブを常時通信が可能なアクティブ状態で接続する(S709)。
【0039】
一方、最大接続数を超えると認識した場合は、撮影に必要な優先順位に従って、スレーブ装置の動作をアクティブ状態、または非アクティブ状態(Bluetoothの場合はパーク状態)に設定する(S710)。
【0040】
ここで、優先順位について説明する。例えば、図3で示したように、スレーブストロボが7台、ワイヤレスマイク501が1台、GPSレシーバ502が1台周辺にある場合、周辺デバイスは合計で9台となる。つまり、最低でも2台は非アクティブ状態に接続する必要がある。このようなケースにおいて、どの周辺デバイスとどの状態で接続するかを定めたのが優先順位である。この優先順位は、例えば不揮発性メモリ56に保持されている。
本実施形態では、マスター撮影装置100がどのような画像を撮影するかに応じて上述の優先順位を変更することとしている。まず、マスター撮影装置100が動画撮影を行う場合について説明する。一般に、動画を撮影している間はストロボを使用しない。逆に、マイクは映像と可能な限り同期して音声を取得する必要がある。したがって、動画撮影の場合は、ストロボよりもマイクの優先順位が高くなる。つまり、ワイヤレスマイク501と優先的にアクティブに接続し、7台のストロボのうち少なくとも1台は非アクティブ状態で接続する。なお、本実施形態では7台のストロボのうちの6台だけアクティブに接続して撮影と同時動作させ、残り1台とGPSレシーバ502は非アクティブに接続する。
【0041】
次に、マスター撮影装置100が静止画撮影を行う場合について説明する。この場合は、動画撮影の場合とは逆に、マイクは使用しないがストロボは使用する。したがって、マイクよりもストロボの優先順位が高くなる。つまり、7台のストロボが優先的にアクティブに接続されることになる。
説明を図7に戻す。この接続処理を周辺デバイスの選択が終了するまで繰り返し、接続処理が終わればスレーブ接続処理を終了する(S711)。
【0042】
次に、図4に戻り、無線通信可能な照明装置としてストロボが周辺に接続されている場合で、周辺ストロボ数がアクティブ接続されたストロボ数よりも多い場合は(S103)、周辺のストロボのアクティブ、非アクティブを順次切り替える。そして、時系列的にすべてのスレーブストロボの状態を確認するために以下の処理を行う。
【0043】
RFMPU301は、アクティブ接続されているストロボで、スレーブの状態(充電状態など)を確認済みのストロボを非アクティブ状態に設定する(S104)。
次に、非アクティブ状態のストロボをアクティブ状態に接続し(S105)、スレーブの状態(充電状態など)の情報をスレーブ側から取得する(S106)。このS105およびS106の状態を、図10を用いて説明する。
【0044】
図10は、周辺のスレーブストロボの接続状態を示す図である。
まず、(A)の時点ではSS1〜SS6までのスレーブストロボがアクティブ状態、SS7のスレーブストロボが非アクティブ状態に設定されている。
この、(A)の時点ではSS1〜SS6のスレーブストロボの状態を確認し(図4のS106)、次回の周辺ストロボ状態を確認する(B)の時点ではアクティブ接続されているスレーブストロボを1台ずらして、SS1のストロボを非アクティブに変更する。また、SS2〜SS7をアクティブに変更し、同様にSS3〜SS7のスレーブストロボの状態を確認する(図4のS106)。
【0045】
同様に、時刻(C)、時刻(D)では、1台ずつアクティブなストロボを切り替えていく。
このようにして、すべてのスレーブをアクティブ接続しなくても、アクティブ、非アクティブを順次切り替えることにより、すべてのスレーブの状態(充電状態など)を確認することが可能になる。そして、個別のスレーブストロボの状態(充電状態など)は、RFMPU301からカメラMPU50に伝達される(図5のS110)。
【0046】
次に、カメラの設定が動画撮影モードの場合は(S111)、S120に分岐し、動画撮影モードでない場合はS130に分岐する。
動画撮影モードにおいて、動画撮影状態が整っていない場合、すなわち図1のミラー1がダウン状態、シャッター9が閉状態の光学ファインダー状態の場合は、カメラMPU50は、ミラー制御回路41を駆動する。そして、ミラー1をアップし、シャッター制御回路40を駆動し、シャッター9を開く(S121)。
【0047】
次に、動画撮影の為に撮像素子14を所定時間蓄積し、A/D変換器16でディジタル信号に変換したのち画像処理回路20で画像処理を行う(S122)。この取得した画像の輝度レベルより、公知の方法で露出量(EV)を決定し撮像素子14の蓄積時間と、撮影レンズの絞り値が決定される。この絞り値は、カメラMPU50からレンズMPU206に送られ、レンズMPU206は絞り制御回路205を駆動し、絞り204を所定の絞り値に制御する。
【0048】
また、この画像の高周波成分よりいわゆるコントラストAFと呼ばれる公知の方法でカメラMPU50はオートフォーカス検出を行い、レンズMPU206に対してフォーカス駆動を指令する。レンズMPU206はフォーカス制御回路211を介してフォーカスレンズ201を駆動する(S123)。同時にこの画像は記録媒体120に動画画像として順次記録され、その撮影画像は表示装置28に表示される(S124)。
【0049】
次に、動作撮影中に撮影開始スイッチSW2(64)がオンされた場合は、動画撮影を一時中断し、静止画撮影を行うため、S133に分岐する(S125)。
一方、SW2がオンされていない場合は、S126に進み、動画撮影継続の場合はS122に戻り、一連の動画撮影を繰り返す。動画撮影継続終了の場合は、S121と逆にシャッター9を閉じ、ミラー1をダウンさせ、動画撮影終了後にS103に戻る(S127)。
【0050】
一方、S111において動画撮影でない場合は、S130に進み、測光開始スイッチSW1(63)がオンされていなければS103に戻り、オンされている場合はS131に分岐する。S131では、図1の測光センサ7で、被写体の輝度を測定し、撮影のための絞り値とシャッター速度を公知の方法で演算すると共に、焦点検出器6で、被写体のデフォーカス状態を検出する。
【0051】
検出されたデフォーカス状態は、カメラMPU50からレンズMPU206に送られ、フォーカス制御回路211を介して、フォーカスレンズ201を駆動し、被写体に対してピントが合わせられる(S131)。
【0052】
次に、撮影開始スイッチSW2(64)の状態を検出する(S132)。オンされていなければS103に戻る。オンの場合は、S110でRFMPU301より取得したスレーブストロボの充電状態から、ストロボ撮影が可能な場合は、図6のフローチャートのS140に分岐し、不可能な場合はS151に分岐する(S133)。
【0053】
以降の撮影シーケンスにおいて、本実施形態のように、動画撮影時にワイヤレスマイク501とGPSレシーバ502が接続されているような場合で、動画中に静止画撮影を行う場合は、ストロボ以外のスレーブ機器は必要としない。したがって、静止画撮影に不要なスレーブを非アクティブ状態とし、非アクティブ状態となっているストロボをアクティブ状態とすることで最大数のストロボを用いた撮影を行う。
【0054】
すなわち、周辺ストロボ数が7台、アクティブストロボ数が6台の場合のように、周辺ストロボ数>アクティブストロボ数の場合(S140)は以下のように動作する。ストロボ以外で静止画撮影に不要なスレーブ(例えばワイヤレスマイク501やGPSレシーバ502など)がある場合は(S141)、そのスレーブを非アクティブ状態に移行し(S142)、非アクティブなストロボをアクティブ状態に移行する(S143)。
【0055】
次に、スレーブストロボに対して発光指令を出し、アクティブに設定された全てのストロボを発光させて、ストロボ撮影を行う(S144)。このストロボ撮影方法に関しては、前述の特許文献1などに詳細に記載されているので説明は省略する。一方、S133でスレーブストロボが充完していない場合は、前述のS123またはS131で決定された絞りとシャッター速度で自然光撮影を行う(S151)。
【0056】
次に、撮影後に、撮影時の正確な時刻情報、撮影位置情報をGPSより取得するために、S142で非アクティブに設定されたGPS受信機がある場合は(S145)、S143にてアクティブに接続したスレーブストロボを非アクティブに設定する。
【0057】
次いで、ストロボGPS受信器をアクティブ状態に設定を変更し(S146)、スレーブGPSより時刻情報、撮影位置情報を取得し(S147)、撮影した画像データに取得したGPS情報を書き込む(S148)。静止画撮影が終了すると、動画モードの場合はGPSマイクをアクティブ状態に設定し(S149、S150)、S103に戻り動作を繰り返す。
【0058】
このようにして、撮影モードに応じて必要とされるスレーブ機器を優先順位に応じて選択することで、撮影モードに合致し、撮影データに付加する情報を取得するのに必要な周辺機器を有効に利用できる撮影システムを提供することが可能になった。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0059】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0060】
50 カメラMPU、100 カメラ本体、300 無線通信ユニット、400 ストロボ装置、301 RFMPU、430 ストロボMPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ユニットを有するマスター撮影装置と、
前記無線通信ユニットを介して前記マスター撮影装置と接続可能なスレーブ装置とを有し、
前記無線通信ユニットに設けられているマスター装置は、接続可能なスレーブ装置の個数を識別する個数識別手段と、前記スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブに設定するスレーブ動作モード設定手段とを有し、
前記スレーブ装置は、前記マスター装置からの指令で、スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブ状態に状態を設定する状態設定手段を有し、
前記マスター装置は前記個数識別手段により、前記マスター撮影装置に接続することが可能な数を超えるスレーブ装置を認識した際には、前記スレーブ動作モード設定手段により、優先順位および撮影モードに応じて、撮影と同時動作が必要となるスレーブ装置と同時動作が必要でないスレーブ装置に応じて、スレーブ装置のアクティブまたは非アクティブ状態を設定することを特徴とする画像撮影システム。
【請求項2】
撮影と同時動作が必要となる前記スレーブ装置は、無線通信可能な照明装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像撮影システム。
【請求項3】
前記照明装置は、被写体を照明するストロボであることを特徴とする請求項2に記載の画像撮影システム。
【請求項4】
前記マスター撮影装置は、撮影終了後に前記スレーブ動作モード設定手段により、撮影データに付加する情報を有するスレーブ装置をアクティブにして、データを取得することを特徴とする請求項1に記載の画像撮影システム。
【請求項5】
前記撮影データに付加する情報は、撮影位置情報、時刻情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像撮影システム。
【請求項6】
前記撮影位置情報、時刻情報はGPS受信装置より取得することを特徴とする請求項5に記載の画像撮影システム。
【請求項7】
無線通信ユニットを有するマスター撮影装置と、
前記無線通信ユニットを介して前記マスター撮影装置と接続可能なスレーブ装置とを有する画像撮影システムの制御方法であって、
前記無線通信ユニットに設けられているマスター装置は、接続可能なスレーブ装置の個数を識別する個数識別工程と、前記スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブに設定するスレーブ動作モード設定工程とを有し、
前記スレーブ装置は、前記マスター装置からの指令で、スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブ状態に状態を設定する状態設定工程を有し、
前記マスター装置は前記個数識別工程において、前記マスター撮影装置に接続することが可能な数を超えるスレーブ装置を認識した際には、前記スレーブ動作モード設定工程において、優先順位および撮影モードに応じて、撮影と同時動作が必要となるスレーブ装置と同時動作が必要でないスレーブ装置に応じて、スレーブ装置のアクティブまたは非アクティブ状態を設定することを特徴とする画像撮影システムの制御方法。
【請求項8】
無線通信ユニットを有するマスター撮影装置と、
前記無線通信ユニットを介して前記マスター撮影装置と接続可能なスレーブ装置とを有する画像撮影システムの制御方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記無線通信ユニットに設けられているマスター装置は、接続可能なスレーブ装置の個数を識別する個数識別工程と、前記スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブに設定するスレーブ動作モード設定工程とを有し、
前記スレーブ装置は、前記マスター装置からの指令で、スレーブ装置の動作をアクティブまたは非アクティブ状態に状態を設定する状態設定工程を有し、
前記マスター装置は前記個数識別工程において、前記マスター撮影装置に接続することが可能な数を超えるスレーブ装置を認識した際には、前記スレーブ動作モード設定工程において、優先順位および撮影モードに応じて、撮影と同時動作が必要となるスレーブ装置と同時動作が必要でないスレーブ装置に応じて、スレーブ装置のアクティブまたは非アクティブ状態を設定する画像撮影システムの制御方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252321(P2012−252321A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92827(P2012−92827)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】