説明

画像検査装置、画像検査方法、及び画像形成装置

【課題】正反射光と拡散反射光が含まれた光に基づくデータを正反射光のみに基づくデータと拡散反射光のみに基づくデータに分離することが可能な画像検査装置、画像検査方法、及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】被計測対象物に斜め方向から照明光を照射する第1の光照明手段11と被計測対象物に第1の光照明手段とは異なる方向から照明光を照射する第2の光照明手段12と第1の光照明手段からの反射光11b、及び第2の光照明手段からの反射光12bを受光する撮像手段13と鏡面を有する第1の基準板と拡散面を有する第2の基準板と画像検査手段とを有し、画像検査手段は、第1の光照明手段から第2の基準板の拡散面に照明光を照射した場合の反射光の光量と、第2の光照明手段から第2の基準板の拡散面に照明光を照射した場合の反射光の光量との比に基づいて補正係数を算出し、補正係数で補正した光量を用いて画像の光沢分布を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の形成された被計測対象物を検査する画像検査装置、画像検査方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷物に対して光沢を付与できる印刷機が多数提案されている。具体的には、UVニスを用いて光沢を付与するものや、紙に浸透しない透明インク、透明なトナーを使ったドット形成等、様々な方法が提案されている。そのため、印刷物の濃度分布検査を行うと共に、印刷物の光沢ムラを検査する光沢分布検査を行う装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、印刷物から反射した正反射光と拡散反射光を一つのカメラと二つの照明を使って画像データとして取り込み、印刷物の濃度分布と光沢度分布のデータを取得する装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光沢度分布を取得するためには正反射光のみのデータを必要とするが、特許文献1に開示された装置の構成を単に適用しても、正反射光のみをカメラで撮像することは難しく、拡散反射光が含まれてしまう。加えて、白紙は拡散反射光が強いため、正反射光が埋もれてしまう場合がある。
【0005】
又、特許文献1は、正反射光と拡散反射光が含まれた光に基づくデータを、正反射光のみに基づくデータと拡散反射光のみに基づくデータに分離する構成に関しては開示していない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、正反射光と拡散反射光が含まれた光に基づくデータを、精度良く正反射光のみに基づくデータと拡散反射光のみに基づくデータに分離することが可能な画像検査装置、画像検査方法、及びこれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本画像検査装置は、画像が形成された被計測対象物に斜め方向から照明光を照射する第1の光照明手段と、前記被計測対象物に前記第1の光照明手段とは異なる方向から照明光を照射する第2の光照明手段と、前記第1の光照明手段から前記被計測対象物に照射された前記照明光の反射光、及び、前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照射された前記照明光の反射光を受光する撮像手段と、前記被計測対象物に代えて設置可能な、鏡面を有する第1の基準板と、前記被計測対象物に代えて設置可能な、拡散面を有する第2の基準板と、前記画像を検査する画像検査手段と、を有し、前記画像検査手段は、前記第1の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量と、前記第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量との比に基づいて補正係数を算出し、前記第1の光照明手段から前記被計測対象物に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量から、前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量に前記補正係数を乗じた値を減算した光量を、前記第1の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量を用いてシェーディング補正した値に基づいて前記画像の光沢分布を検査することを要件とする。
【0008】
本画像検査方法は、第1の光照明手段から第2の基準板の拡散面に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を撮像手段で受光する第1工程と、第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に前記第1工程とは異なる方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第2工程と、前記第1の光照明手段から第1の基準板の鏡面に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第3工程と、前記第1工程で受光した前記反射光の光量と、前記第2工程で受光した前記反射光の光量との比に基づいて前記補正係数を算出する第4工程と、前記第1の光照明手段から画像が形成された被計測対象物に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第5工程と、前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に前記第5工程とは異なる方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第6工程と、前記第5工程で前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量から、前記第6工程で前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量に前記補正係数を乗じた値を減算した光量を、前記第3工程で受光した前記反射光の光量を用いてシェーディング補正した値に基づいて前記画像の光沢分布を検査する第7工程と、を有することを要件とする。
【0009】
本画像形成装置は、画像担持媒体に画像を形成する画像形成装置であって、本発明に係る画像検査装置を備え、前記画像検査装置は、前記画像担持媒体に形成された前記画像の光沢分布及び濃度分布の何れか一方又は双方を検査することを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、正反射光と拡散反射光が含まれた光に基づくデータを、精度良く正反射光のみに基づくデータと拡散反射光のみに基づくデータに分離することが可能な画像検査装置、画像検査方法、及びこれを備えた画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る画像検査装置を例示する側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る画像検査装置を例示する正面図である。
【図3A】基準板15Aの特性を例示する図である。
【図3B】基準板15Bの特性を例示する図である。
【図4A】読取用背景16Aの特性を例示する図である。
【図4B】読取用背景16Bの特性を例示する図である。
【図4C】読取用背景16Cの特性を例示する図である。
【図5A】基準板移動装置を例示する平面図である。
【図5B】基準板移動装置を例示する側面図である。
【図6】画像検査装置の校正処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】撮像素子13で取得した画像データCaの一例を示す図である。
【図8】撮像素子13で取得した画像データCbの一例を示す図である。
【図9】撮像素子13で取得した画像データCcの一例を示す図である。
【図10】ステップS107で算出した補正係数Cdの一例を示す図である。
【図11】画像検査装置の補正処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】撮像素子13で取得した画像データDaの一例を示す図である。
【図13】撮像素子13で取得した画像データDbの一例を示す図である。
【図14】ステップS204で算出した拡散反射光データDcの一例を示す図である。
【図15】ステップS205で算出した正反射光データDdの一例を示す図である。
【図16】ステップS206で算出した濃度分布データDeの一例を示す図である。
【図17】ステップS206で算出した光沢度分布データDfの一例を示す図である。
【図18】画像検査装置の異常処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】撮像素子13で取得した画像データFaの一例を示す図(その1)である。
【図20】基準板の読み取り位置上に異物が存在する状態を例示する図である。
【図21】撮像素子13で取得した画像データFaの一例を示す図(その2)である。
【図22】第3の実施の形態に係る画像検査装置を例示する図である。
【図23】基準板角度変更装置を例示する斜視図である。
【図24】画像検査装置の角度調整処理の一例を示すフローチャートである。
【図25A】ステップS401で取得した画像データGa(±0度)の一例を示す図である。
【図25B】ステップS401で取得した画像データGb(+1度)の一例を示す図である。
【図25C】ステップS401で取得した画像データGc(−1度)の一例を示す図である。
【図26】第4の実施の形態に係る画像形成装置を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る画像検査装置を例示する側面図である。図2は、第1の実施の形態に係る画像検査装置を例示する正面図である。なお、説明の便宜上、図2において図1の一部の構成要素を省略している。
【0014】
図1及び図2を参照するに、画像検査装置10は、光沢用照明装置11と、濃度用照明装置12と、撮像素子13と、搬送手段14と、基準板15とを有する。又、90は被計測対象物である紙等の画像担持媒体(以降、画像担持媒体90とする)を、90aは画像検査装置10にて光沢分布及び濃度分布を読み取ることが可能な1ラインの読取領域(以降、読取領域90aとする)を、90bは画像担持媒体90の搬送方向(以降、搬送方向90bとする)を、それぞれ示している。撮像素子13の前段に結像レンズを配置しても構わない。図1及び図2では、画像担持媒体90が搬送される方向をX方向(副走査方向)、画像担持媒体90が載置される面内のX方向に垂直な方向をY方向(主走査方向)、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向としている(以降の図においても同様)。
【0015】
なお、以降の説明において、正反射光とは、光沢用照明装置11から画像担持媒体90に照射される照明光の入射角度と同じ角度で、入射方向とは反対側に反射する反射光を指し、拡散反射光とは、正反射光以外の反射光を指す。
【0016】
光沢用照明装置11は、画像担持媒体90の読取領域90a(画像担持媒体90のY方向の1ライン。以降同様)に所定の入射角度θで入射する照明光11aを照射する機能を有する。11bは、画像担持媒体90の読取領域90aに入射角度θで入射した照明光11aが読取領域90aで反射された正反射光を示している(以降、正反射光11bとする)。すなわち、入射角度θ=反射角度θである。なお、JIS規格では、光沢度を計測する際の入射角度と反射角度は、20度、45度、60度、75度、85度と規定されており、一般的には60度が広く用いられている。
【0017】
光沢用照明装置11としては、例えば複数の発光素子が画像担持媒体90の読取領域90aに平行な方向(Y方向)に並設されたもの等を用いることができる。発光素子としては、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)や有機EL素子(Organic Electro-Luminescence素子)等を用いることができる。特にLEDは、蛍光灯等と比べて発光方向の指向性が高く、他の方向への出射光が少ないためフレア光が発生し難く、本実施の形態に係る発光素子として好適である。なお、光沢用照明装置11は、本発明に係る第1の光照明手段の代表的な一例である。光沢用照明装置11の有する発光素子の個数は任意に設定して構わないが、画像担持媒体90の読取領域90aの全域に対して漏れなく正反射光を生じる照明光を発生させため、密に配置することが好ましい。
【0018】
濃度用照明装置12は、画像担持媒体90の読取領域90aに所定の角度で入射する照明光12aを照射する機能を有する。所定の角度は、入射角度θと異なる角度であれば任意で構わないが、例えば90degとすることができる。濃度用照明装置12としては、例えばキセノンランプやLEDアレイ等の拡散照明装置を用いることができる。なお、光沢用照明装置11と濃度用照明装置12が同時に光を出射することはなく、撮像素子13の駆動に合わせて交互に光を出射したり、何れか一方が随時光を出射したりするように構成されている。なお、濃度用照明装置12は、本発明に係る第2の光照明手段の代表的な一例である。
【0019】
撮像素子13は、画像担持媒体90の読取領域90aに平行な方向(Y方向)に並設された複数の画素を備え、光沢用照明装置11から画像担持媒体90の読取領域90aに照射された照明光11aの正反射光11bの光量を取得する機能を有する。又、撮像素子13は、濃度用照明装置12から画像担持媒体90の読取領域90aに照射された照明光12aの拡散反射光12bの光量を取得する機能を有する。すなわち、撮像素子13は、光沢用照明装置11から画像担持媒体90の読取領域90aに照射された照明光の正反射光を撮像可能な位置に配置されている。又、撮像素子13は、濃度用照明装置12から画像担持媒体90の読取領域90aに照射された照明光の拡散反射光を撮像可能な位置に配置されている。
【0020】
撮像素子13としては、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor Device)、CMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor Device)、CCD(Charge Coupled Device)、CIS(Contact Image Sensor)等を用いることができる。カラー画像を対象とする場合には、RGBの各色に感度を有する3ラインタイプ等の撮像素子を用いれば良い。なお、撮像素子13は、本発明に係る撮像手段の代表的な一例である。
【0021】
搬送手段14は、画像担持媒体90を、搬送方向90b(図1のX方向)に搬送する機能を有する。基準板15は、読取領域90aに交換可能な状態で配置可能に構成された略直方体状の板である。基準板15は、通常は、読取領域90aに配置されたまま移動せず、画像担持媒体90のみが搬送手段14により基準板15上を搬送方向90bの方向に搬送される。但し、後述の基準板移動装置20等を用いて、複数の基準板が順番に読取領域90aに配置されるように構成しても良い。基準板15については、別途詳述する。
【0022】
演算部19は、撮像素子13が受光した正反射光量又は拡散反射光量のデータを画像データとして取得し、各種の演算処理を実行する機能を有する。演算部19は、図示しないCPU、ROMやRAM等のメモリ等を有する。演算部19の図示しないメモリには、光沢分布を検査するためのプログラム等が記録されており、このプログラムが図示しないCPUにより実行されることで、演算部19の各種機能が実現される。但し、光沢分布を検査するためのプログラム等は、光記録媒体や磁気記録媒体等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されていても構わない。なお、演算部19は、本発明に係る画像検査手段の代表的な一例である。
【0023】
画像検査装置10における光沢分布及び濃度分布の検査は以下のように行われる。すなわち、画像検査装置10は、初めに光沢用照明装置11を点灯し(濃度用照明装置12は消灯)、1ラインの読取領域90aに照明光11aを照射する。そして、撮像素子13で読取領域90aからの正反射光11bの光量を取得する。そして、取得した正反射光11bの光量に基づいて、読取領域90aの光沢分布を検査する。次に画像検査装置10は、濃度用照明装置12を点灯し(光沢用照明装置11は消灯)、1ラインの読取領域90aに照明光12aを照射する。そして、撮像素子13で読取領域90aからの拡散反射光12bの光量を取得する。そして、取得した拡散反射光12bの光量に基づいて、読取領域90aの濃度分布を検査する。これで、1ライン(1次元)の光沢分布及び濃度分布の検査が終了する。
【0024】
1ライン(1次元)の光沢分布及び濃度分布の検査が終了すると、搬送手段14は、画像担持媒体90を搬送方向90bに所定の距離だけ搬送する。そして次の1ライン(1次元)について上記と同様の検査を行う。この動作を繰り返すことにより、2次元の光沢分布及び濃度分布の検査を行うことができる。
【0025】
しかしながら、以上に説明した画像検査装置10の構成のみでは、撮像素子13で正反射光のみを測定することはできず、拡散反射光の一部も測定されてしまう。そこで、本実施の形態では、基準板15を用いて、撮像素子13で取得した光量データを補正する。
【0026】
基準板15としては、例えば用途の異なる2枚の基準板、すなわち、鏡面を有する基準板15Aと、拡散面を有する基準板15Bとを用いることができる。基準板15Aの鏡面は、拡散反射が全くない完全鏡面であることが理想である。基準板15Bの拡散面は、どの方向から見ても等しい輝度の光を反射する完全拡散面であることが理想である。図3Aは、基準板15Aの特性を例示する図である。図3Aに示すように、基準板15Aは、例えば光沢度が100%の鏡面を有する板とすることができる。図3Bは、基準板15Bの特性を例示する図である。図3Bに示すように、基準板15Bは、例えば光沢度が0%の白色の拡散面を有する板とすることができる。なお、基準板15Aは、本発明に係る第1の基準板の代表的な一例であり、基準板15Bは、本発明に係る第2の基準板の代表的な一例である。
【0027】
被計測対象物(画像担持媒体90)を撮像する場合には、基準板15A又は15B上に被計測対象物を載置するが、被計測対象物と基準板15A又は15Bとの間に最適な読取用背景を設置することが好ましい。図4A〜図4Cに、読取用背景の一例を示す。図4Aは、読取用背景16Aの特性を例示する図である。読取用背景16Aは、光沢度が0%の白色である。図4Bは、読取用背景16Bの特性を例示する図である。読取用背景16Bは、光沢度が0%の黒色である。図4Cは、読取用背景16Cの特性を例示する図である。読取用背景16Cは、ガラス又はハーフミラーである。
【0028】
読取用背景を白色の読取用背景16A(図4A参照)とした場合は、被計測対象物が紙のように薄いものであると、光が被計測対象物を透過して、読取用背景16Aからの反射光も撮像してしまう。そこで、例えば、読取用背景を黒色の読取用背景16B(図4B参照)とすることにより、読取用背景16Bまで透過した光の反射光を少しでも減らし、光沢分布検査の精度を上げることができる。又、読取用背景からの反射光を減らすため、読取用背景16C(図4C参照)のように、ガラスやハーフミラー等を用いて光を逃がし、撮像される光量を減らしても良い。
【0029】
又、濃度分布検査において、被計測対象物が白い紙である場合には、白色の読取用背景16A(図4A参照)を用い、紙と印刷された文字、絵を明確に区別できる方が良い場合もある。つまり、被計測対象物の種類や測定データの種類(光沢データか濃度データか)に対応して、読取用背景を変更することが望ましい。
【0030】
又、基準板15Aと15Bとは、基準板移動装置等を用いて自動的に読取位置90aに配置できる。図5Aは、基準板移動装置を例示する平面図である。図5Bは、基準板移動装置を例示する側面図である。図5A及び図5Bに示すように、基準板移動装置20は、ベルト21と、ベルト駆動部22とを有する。ベルト21は、ベルト駆動部22に駆動されて矢印方向に搬送される。ベルト21には、基準板15A及び15Bが隣接するように固着されている。
【0031】
この状態で、ベルト駆動部22を駆動すると、ベルト21とともに基準板15A及び15Bが矢印方向に移動するため、読取位置90aに配置される基準板(基準板15A又は15B)を自動で切り替えることができる。更に、基準板15Aと15Bの上に読取用背景16A〜16Cの何れかを載置しておけば、読取用背景が載置された基準板(基準板15A又は15B)を基準板移動装置20を用いて自動的に読取位置90aに配置できる。
【0032】
次に、基準板15A及び15Bを用いた画像検査装置10の校正処理について説明する。なお、画像検査装置10の校正は、初期設定時や、照明光や環境の変化等、画像検査装置10に対して影響する外乱が発生した際に行う。なお、校正処理時には、基準板のみが読取位置90aに配置され、被計測対象物である画像担持媒体90や読取用背景は配置されない。
【0033】
図6は、画像検査装置の校正処理の一例を示すフローチャートである。図6を参照するに、始めにステップS100では、基準板15Aを画像検査装置10の読取領域90aに接置する。次いでステップS101では、撮像素子13のダイナミックレンジを越えないように、光沢用照明装置11の照度を調整する。次いでステップS102では、光沢用照明装置11のみを点灯し、基準板15Aで反射された反射光を、撮像素子13で画像データCaとして取得する。図7に撮像素子13で取得した画像データCaの一例を示す。図7において、横軸は主走査方向(図1や図5A等のY方向)、縦軸は画像信号(撮像素子13で取得した反射光の光量)である。
【0034】
次いでステップS103では、基準板15Aに代えて基準板15Bを画像検査装置10の読取領域90aに接置する。次いでステップS104では、撮像素子13のダイナミックレンジを越えないように、濃度用照明装置12の照度を調整する。次いでステップS105では、光沢用照明装置11のみを点灯し、基準板15Bで反射された反射光を、撮像素子13で画像データCbとして取得する。図8に撮像素子13で取得した画像データCbの一例を示す。図8において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。
【0035】
次いでステップS106では、濃度用照明装置12のみを点灯し、基準板15Bで反射された反射光を、撮像素子13で画像データCcとして取得する。図9に撮像素子13で取得した画像データCcの一例を示す。図9において横軸及び縦軸は、図7の場合と同様である。
【0036】
次いでステップS107では、補正係数Cdを算出する。補正係数Cdは、『補正係数Cd=画像データCb/画像データCc』(式1)により算出できる。図10にステップS107で算出した補正係数Cdの一例を示す。図10において、横軸は主走査方向(図1や図5A等のY方向)、縦軸は補正係数である。拡散反射光は全方位に等しく反射される光であるため、画像データCbと画像データCcは、多少の誤差はあるが、スケールが違う同じ分布を持った拡散反射光である。そこで、画像データCbに混入する拡散反射光を取り除くために、光沢用照明装置11と濃度用照明装置12とのスケールの違いを補正する補正係数Cdを算出する。補正係数Cdによって濃度用照明装置12のみを点灯して取得した画像データCcから、光沢用照明装置11のみを点灯して取得した画像データCbに混入する拡散反射光のみを推定できる。
【0037】
次に、画像検査装置10の補正係数Cdによる補正処理について説明する。図11は、画像検査装置の補正処理の一例を示すフローチャートである。図11では、補正係数Cdを用いて被計測対象物の画像データを取得する。図11を参照するに、始めにステップS200では、基準板15A上に読取用背景16A〜16C(図4A〜図4C参照)の何れか1つを載置する。次いでステップS201では、被計測対象物である画像担持媒体90を、搬送手段14により搬送方向90bの方向に搬送し、読取領域90aに移動させる。
【0038】
次いでステップS202では、濃度用照明装置12のみを点灯し、画像担持媒体90で反射された反射光を、撮像素子13で画像データDaとして取得する。図12に撮像素子13で取得した画像データDaの一例を示す。図12において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。次いでステップS203では、光沢用照明装置11のみを点灯し、画像担持媒体90で反射された反射光を、撮像素子13で画像データDbとして取得する。この反射光は、主に正反射光であるが拡散反射光も含まれている。図13に撮像素子13で取得した画像データDbの一例を示す。図13において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。
【0039】
次いでステップS204では、図7のステップS107で算出した補正係数Cdを用いて、ステップS202で取得した画像データDaから拡散反射光データDcを算出する。拡散反射光データDcは、ステップS203の反射光に含まれていた拡散反射光に相当するものである。拡散反射光データDcは、『拡散反射光データDc=画像データDa×補正係数Cd』(式2)により算出できる。図14にステップS204で算出した拡散反射光データDcの一例を示す。図14において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。
【0040】
次いでステップS205では、ステップS204で算出した拡散反射光データDcから正反射光データDdを算出する。正反射光データDdは、ステップS203の反射光に含まれていた正反射光に相当するものである。正反射光データDdは、『正反射光データDd=画像データDb−拡散反射光データDc』(式3)により算出できる。図15にステップS205で算出した正反射光データDdの一例を示す。図15において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。
【0041】
次いでステップS206では、シェーディング補正を行い、濃度分布データDeと、光沢度分布データDfを算出する。濃度分布データDeは、『濃度分布データDe=255×画像データDa/画像データCc』(式4)により算出できる。光沢度分布データDfは、『光沢度分布データDf=255×画像データDd/画像データCa』(式5)により算出できる。図16にステップS206で算出した濃度分布データDeの一例を、図17にステップS206で算出した光沢度分布データDfの一例を示す。図16及び図17において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。これにより、1ラインの読取が終了する。なお、シェーディング補正とは、撮像素子13の感度のバラツキや光学系の周辺減光による信号の歪み等を補正することである。
【0042】
次いでステップS207では、被計測対象物である画像担持媒体90全体の読取が終了したか否かを判定する。画像担持媒体90全体の読取が終了していないと判定した場合(Noの場合)には、ステップS201に移行し、前述の処理を繰り返す。すなわち、搬送手段14により画像担持媒体90を図1のX方向に所定の距離だけ搬送し、次の1ライン(1次元)についての濃度分布データDe及び光沢分布データDfを算出する。この動作を繰り返すことにより、1ライン(1次元)についての濃度分布データDe及び光沢分布データDfの集合である、画像担持媒体90全体(2次元)の濃度分布データEa及び光沢分布データEbを算出できる。
【0043】
ステップS207で、画像担持媒体90全体の読取が終了したと判定した場合(Yesの場合)には、ステップS208に移行し、画像担持媒体90全体(2次元)の濃度分布データEa及び光沢分布データEbを外部記憶装置等に保存する。又、必要に応じて、濃度分布データEa及び光沢分布データEbを外部出力装置等に出力する。
【0044】
このように、第1の実施の形態によれば、画像検査装置10に、用途の異なる2枚の基準板15A及び15Bを設け、光沢用照明装置11及び濃度用照明装置12の照度分布の偏りや、撮像素子13で取得される正反射光及び拡散反射光の強度差を考慮して画像データを補正する。これにより、正反射光と拡散反射光が含まれた光に基づくデータを、精度良く正反射光のみに基づくデータと拡散反射光のみに基づくデータに分離することが可能となり、信頼度の高い光沢度分布検査及び濃度分布検査を実現できる。
【0045】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、画像検査装置の校正処理(図6参照)前に、基準板の汚れ等の異常を検知し、異常処理を行う例を示す。図18は、画像検査装置の異常処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す異常処理は、図6のステップS102の前に実行するものである。
【0046】
始めにステップS300では、濃度用照明装置12のみを点灯し、基準板15Aで反射された反射光を、撮像素子13で画像データFaとして取得する。濃度用照明装置12は、撮像素子13に正反射光が入射しない角度に設置するため、基準板15Aが正常な場合(ゴミや汚れがない場合)は、図19に示すように画像データFaは略ゼロとなる。しかし、図20に示すように、基準板15Aの読み取り位置95上にゴミや汚れ等の異物96や97が存在すると、異物96や97が存在する部分だけ拡散反射されるため、図21に示すように、画像データFaは、異物96や97が存在する部分だけ高い数値となる。なお、図19及び図21において、横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。
【0047】
次いでステップS301では、画像データFaの異常を検知する。具体的には、ステップS300で取得した画像データFaが、予め設定した所定の閾値Th以上であるか否かを判定する。ステップS301で、閾値Th以上であると判定した場合(Yesの場合)には、ステップS302に移行し、基準板15Aに異物96や97が存在することをユーザに警告し、基準板15Aのクリーニング指示を与える。ステップS301で、閾値Th未満であると判定した場合(Noの場合)には、基準板15Aに異物96や97が存在しないと判断して異常処理を終了する。
【0048】
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、基準板の汚れを検知することにより、ユーザに基準板の汚れを警告することや、基準板のクリーニングを指示することが可能となり、異常な光沢度分布データが測定されることを未然に防止できる。
【0049】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、入射角度と反射角度が等しく設定されているか否かを確認し、等しく設定されていない場合には、入射角度と反射角度が等しくなるように光沢用照明装置や撮像素子の角度を調整する例を示す。
【0050】
前述のように、JIS規格では、光沢度を計測する際の入射角度と反射角度は、20度、45度、60度、75度、85度と規定されており、一般的には60度が広く用いられている。しかし、入射角度と反射角度が工場出荷時に精度良く調整されていても、その後の輸送等により光沢用照明装置11や撮像素子13の位置がずれて、入射角度と反射角度が一致しなくなる虞がある。
【0051】
図22は、第3の実施の形態に係る画像検査装置を例示する図である。図22を参照するに、第3の実施の形態に係る画像検査装置30は、基準板角度変更装置31、光沢用照明角度変更装置32、及び撮像素子角度変更装置33を有する点が、画像検査装置10(図1及び図2参照)とは相違する。以下、画像検査装置30について、画像検査装置10と同一構成部分の説明は極力省略し、画像検査装置10と相違する点を中心に説明する。
【0052】
基準板角度変更装置31は、図23に示すように、基準板15Aを軸15Xを中心に回動可能に構成した装置である。基準板角度変更装置31を用いると、基準板15Aを所定の角度毎に動かして、その角度毎に反射光のデータを取得し、最も読取信号値が高くなる角度を求めることができる。
【0053】
光沢用照明角度変更装置32は、光沢用照明装置11を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印A方向に回動可能に構成した装置である。光沢用照明装置11を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印A方向に回動することにより、例えば、光沢用照明装置11を照明光11aの入射角度θが0〜90度程度の範囲となる位置に移動できる。
【0054】
撮像素子角度変更装置33は、撮像素子13を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印B方向に回動可能に構成した装置である。撮像素子13を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印B方向に回動することにより、撮像素子13を例えば、反射角度θが0〜90度程度の範囲の正反射光を受光できる位置に移動できる。
【0055】
以下、画像検査装置30において、入射角度θと反射角度θが一致するように調整する具体的な方法について説明する。図24は、画像検査装置の角度調整処理の一例を示すフローチャートである。図24を参照するに、始めにステップS400では、基準板角度変更装置31の基準板15Aを軸15Xを中心に回動させ、側面視において、基準板15Aの上辺(濃度用照明装置12等の側の辺)が、X方向に一致するように角度調整する。この位置を基準位置(角度±0度)とする。なお、入射角度θが増える方向(入射角度θが減る方向)に回動する場合を『+』、入射角度θが減る方向(入射角度θが増える方向)に回動する場合を『−』とする。
【0056】
次いでステップS401では、光沢用照明装置11のみを点灯し、基準板15Aで反射された反射光を、撮像素子13で基準位置(角度±0度)の画像データGaとして取得する。続いて、基準板角度変更装置31の基準板15Aを軸15Xを中心に回動させ、側面視において、基準板15Aの上辺(濃度用照明装置12等の側の辺)が、基準位置に対して+1度となるように角度調整する。そして、光沢用照明装置11のみを点灯し、基準板15Aで反射された反射光を、撮像素子13で+1度の画像データGbとして取得する。同様に、基準板角度変更装置31の基準板15Aを軸15Xを中心に回動させ、側面視において、基準板15Aの上辺(濃度用照明装置12等の側の辺)が、基準位置に対して−1度となるように角度調整する。そして、光沢用照明装置11のみを点灯し、基準板15Aで反射された反射光を、撮像素子13で−1度の画像データGcとして取得する。
【0057】
次いでステップS402では、全ての角度で画像データの取得が終了したか否かを判定する。ステップS402で画像データの取得が終了していないと判定した場合(Noの場合)には、ステップS400に移行して同様の処理を繰り返す。ステップS402で画像データの取得が終了したと判定した場合(Yesの場合)には、ステップS403に移行する。
【0058】
次いでステップS403では、ステップS401で読み取った画像データGa、Gb、Gcを比較して、読み取った画像信号値(受光した光量)が最も大きい角度を修正角度に決定する。以下に一例を示す。図25Aは、ステップS401で取得した画像データGa(±0度)の一例を示す図である。図25Bは、ステップS401で取得した画像データGb(+1度)の一例を示す図である。図25Cは、ステップS401で取得した画像データGc(−1度)の一例を示す図である。この場合には、画像データGb(+1度)の画像信号値が最も大きい。従って、+1度を修正角度に決定する。
【0059】
次いでステップS404では、光沢用照明角度変更装置32により光沢用照明装置11を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印A方向に回動させ、現在の位置から+1度移動させる。この場合は、基準位置に対する入射角度θが現在よりも1度増えることになる。或いは、光沢用照明装置11を移動させる代わりに、撮像素子角度変更装置33により撮像素子13を読取領域90aを中心としてXZ平面上で矢印B方向に回動させ、現在の位置から−1度移動させても良い。この場合は、基準位置に対する反射角度θが現在よりも1度増えることになる。
【0060】
なお、図24の例では、基準板15Aの角度を1度刻みで幅3度(−1度、±0度、+1度)で切り替えたが、これ以外の設定でも良いことは言うまでもない。角度の刻みが小さく角度の幅が大きいほど詳細な調整ができるが、比例して処理時間が長くなる。
【0061】
又、図22及び図23の例では、主走査方向(Y方向)に回転軸を設けたが、副走査方向(X方向)に回転軸を設けても良いし、主走査方向(Y方向)と副走査方向(X方向)の両方に回転軸を設けても良い。更に、光沢用照明装置11と撮像素子13の角度のみでなく、被計測対象物が載置されるステージ等の角度を調整しても良い。
【0062】
このように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、入射角度と反射角度が等しく設定されているか否かを確認でき、等しく設定されていない場合には、入射角度と反射角度が等しくなるように光沢用照明装置や撮像素子の角度を調整できる。
【0063】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第1の実施の形態に係る画像検査装置10を有する画像形成装置の例を示す。図26は、第4の実施の形態に係る画像形成装置を例示する模式図である。図26を参照するに、画像形成装置80は、第1の実施の形態に係る画像検査装置10と、給紙カセット81aと、給紙カセット81bと、給紙ローラ82と、コントローラ83と、走査光学系84と、感光体85と、中間転写体86と、定着ローラ87と、排紙ローラ88とを有する。90は、画像担持媒体(紙等)を示している。
【0064】
画像形成装置80において、給紙カセット81a及び81bから図示しないガイド、給紙ローラ82により搬送された画像担持媒体90が、走査光学系84により感光体85に露光され、色材が付与されて現像される。現像された画像が中間転写体86上に、次いで、中間転写体86から画像担持媒体90上に転写される。画像担持媒体90上に転写された画像は定着ローラ87により定着され、画像形成された画像担持媒体90は排紙ローラ88により排紙される。画像検査装置10は、定着ローラ87の後段に設置されている。
【0065】
このように、第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る画像検査装置10を画像形成装置80の所定の位置に装備することにより、画像形成された画像担持媒体90の光沢分布を高精度で検査でき、更に濃度分布も検査できる。又、光沢分布や濃度分布の検査結果を画像の形成にフィードバックすることにより、画像担持媒体90上に高品質な画像を形成できる。なお、画像検査装置10に代えて、画像検査装置20を搭載しても構わない。
【0066】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10、30 画像検査装置
11 光沢用照明装置
11a、12a 照明光
11b 正反射光
12 濃度用照明装置
12b 拡散反射光
13 撮像素子
14 搬送手段
15、15A、15B 基準板
15x 軸
16A、16B、16C 読取用背景
19 演算部
20 基準板移動装置
21 ベルト
22 ベルト駆動部
31 基準板角度変更装置
32 光沢用照明角度変更装置
33 撮像素子角度変更装置
80 画像形成装置
81a 給紙カセット
81b 給紙カセット
82 給紙ローラ
83 コントローラ
84 走査光学系
85 感光体
86 中間転写体
87 定着ローラ
88 排紙ローラ
90 画像担持媒体
90a 読取領域
90b 搬送方向
95 読み取り位置
96、97 異物
θ 入射角度
θ 反射角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2005−277678号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成された被計測対象物に斜め方向から照明光を照射する第1の光照明手段と、
前記被計測対象物に前記第1の光照明手段とは異なる方向から照明光を照射する第2の光照明手段と、
前記第1の光照明手段から前記被計測対象物に照射された前記照明光の反射光、及び、前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照射された前記照明光の反射光を受光する撮像手段と、
前記被計測対象物に代えて設置可能な、鏡面を有する第1の基準板と、
前記被計測対象物に代えて設置可能な、拡散面を有する第2の基準板と、
前記画像を検査する画像検査手段と、を有し、
前記画像検査手段は、
前記第1の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量と、前記第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量との比に基づいて補正係数を算出し、
前記第1の光照明手段から前記被計測対象物に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量から、前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量に前記補正係数を乗じた値を減算した光量を、前記第1の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量を用いてシェーディング補正した値に基づいて前記画像の光沢分布を検査する画像検査装置。
【請求項2】
前記鏡面は完全鏡面であり、前記拡散面は完全拡散面である請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記画像検査手段は、
前記第2の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に照射された照明光の反射光の光量に基づいて、前記第1の基準板の前記鏡面の光反射状態が正常であるか否かを判定する請求項1又は2記載の画像検査装置。
【請求項4】
予め定めた初期位置に対して前記第1の基準板の前記鏡面の角度を変更する基準板角度変更装置を更に有し、
前記画像検査手段は、
前記基準板角度変更装置が変更した前記第1の基準板の前記鏡面の角度毎に、前記第1の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に照射された照明光の反射光の光量を取得し、取得した前記光量に基づいて、前記第1の光照明手段と前記撮像手段との角度誤差を算出する請求項1乃至3の何れか一項記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記角度誤差が小さくなるように、前記第1の光照明手段又は前記撮像手段を移動させる移動手段を更に有する請求項4記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記画像検査手段は、
前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量を、前記第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量を用いてシェーディング補正したデータに基づいて前記画像の濃度分布を検査する請求項1乃至5の何れか一項記載の画像検査装置。
【請求項7】
第1の光照明手段から第2の基準板の拡散面に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を撮像手段で受光する第1工程と、
第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に前記第1工程とは異なる方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第2工程と、
前記第1の光照明手段から第1の基準板の鏡面に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第3工程と、
前記第1工程で受光した前記反射光の光量と、前記第2工程で受光した前記反射光の光量との比に基づいて前記補正係数を算出する第4工程と、
前記第1の光照明手段から画像が形成された被計測対象物に斜め方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第5工程と、
前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に前記第5工程とは異なる方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第6工程と、
前記第5工程で前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量から、前記第6工程で前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量に前記補正係数を乗じた値を減算した光量を、前記第3工程で受光した前記反射光の光量を用いてシェーディング補正した値に基づいて前記画像の光沢分布を検査する第7工程と、を有する画像検査方法。
【請求項8】
前記鏡面は完全鏡面であり、前記拡散面は完全拡散面である請求項7記載の画像検査方法。
【請求項9】
前記第2の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に前記第1工程とは異なる方向から照明光を照射し、前記照明光の反射光を前記撮像手段で受光する第8工程と、
前記第7工程で受光した前記反射光の光量に基づいて、前記第1の基準板の前記鏡面の光反射状態が正常であるか否かを判定する第9工程と、を更に有する請求項7又は8記載の画像検査方法。
【請求項10】
予め定めた初期位置に対して前記第1の基準板の前記鏡面の角度を変更する基準板角度変更装置が変更した前記第1の基準板の前記鏡面の角度毎に、前記撮像手段で前記第1の光照明手段から前記第1の基準板の前記鏡面に照射された照明光の反射光の光量を取得する第10工程と、
前記第10工程で取得した前記光量に基づいて、前記第1の光照明手段と前記撮像手段との角度誤差を算出する第11工程と、を更に有する請求項7乃至9の何れか一項記載の画像検査方法。
【請求項11】
前記角度誤差が小さくなるように、前記第1の光照明手段又は前記撮像手段を移動させる第12工程を更に有する請求項10記載の画像検査方法。
【請求項12】
前記第2の光照明手段から前記被計測対象物に照射された照明光の反射光の光量を、前記第2の光照明手段から前記第2の基準板の前記拡散面に照明光を照射した場合に前記撮像手段で受光される前記照明光の反射光の光量を用いてシェーディング補正したデータに基づいて前記画像の濃度分布を検査する第13工程を更に有する請求項7乃至11の何れか一項記載の画像検査方法。
【請求項13】
画像担持媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1乃至6の何れか一項記載の画像検査装置を備え、
前記画像検査装置は、前記画像担持媒体に形成された前記画像の光沢分布及び濃度分布の何れか一方又は双方を検査する画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25A】
image rotate

【図25B】
image rotate

【図25C】
image rotate

【図26】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate


【公開番号】特開2012−2601(P2012−2601A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136432(P2010−136432)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】