画像編集装置、データエントリシステムおよびそのプログラム
【課題】帳票の入力欄の外にはみ出た入力情報に関しても鮮明なイメージをオペレータに表示することにより、作業を効率化する。
【解決手段】制御部30が受信した帳票画像とその帳票画像の帳票名とに基づき、帳票画像の入力欄の位置情報を抽出し、抽出された入力欄の位置情報を参照して、分割した帳票画像の各画像領域の評価値を決定し、決定した評価値に基づき各画像領域の解像度を決定し、画像処理部により決定された解像度の各画像領域によって構成された帳票画像を表示することにより、情報量が少なく、かつ入力欄からはみ出た情報に関しても鮮明なイメージを提供する。
【解決手段】制御部30が受信した帳票画像とその帳票画像の帳票名とに基づき、帳票画像の入力欄の位置情報を抽出し、抽出された入力欄の位置情報を参照して、分割した帳票画像の各画像領域の評価値を決定し、決定した評価値に基づき各画像領域の解像度を決定し、画像処理部により決定された解像度の各画像領域によって構成された帳票画像を表示することにより、情報量が少なく、かつ入力欄からはみ出た情報に関しても鮮明なイメージを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像編集装置、データエントリシステムおよびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
OCRやスキャナで郵便物、特に小包のあて先を認識する際において、文字認識ができなかった場合に、読み取った帳票イメージをオペレータ端末に表示し、オペレータがその帳票イメージに記載されている内容や項目を確認および入力してデータベース等に保管するデータエントリシステムがある。このようなデータエントリシステムにおいて、例えば特許文献1に開示されるように、帳票イメージをオペレータ端末に表示する際に、郵便物全体の画像(背景画像)を低い解像度を適用して表示し、帳票の入力欄(あて先)に相当するデータ部分(認識対象データ)に高い解像度を適用して背景画像に重ねて表示することにより、データ量を軽減しながらオペレータの作業を容易にする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−504139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法では、手書きによってあて先を記載する際や印刷ズレなどによって発生する、読取対象の入力欄(フィールド)からはみ出した文字の記入部分は、高解像度のフィールドイメージでは表示されない。図11、は特許文献1の技術において入力される帳票画像101の一例である。また、図12は、帳票画像101が入力された場合にオペレータ端末に表示される帳票画像105の一例である。図11及び図12の符号102〜104、106〜108は、読み取った帳票の入力欄の内容を表す。
【0005】
特許文献1の技術を用いた場合、入力された帳票画像は図12の帳票画像105のように入力欄106,107,108からはみ出た部分は低解像度で表示されることになる。このため、オペレータは、帳票の文字記入欄に実際に筆記された文字がどのような文字であるかを判定できない場合がある。その場合、オペレータ自身が読取元の帳票自体から該当不明部分を見つけ出し、文字を判断することを行うため、処理の作業効率が低下していた。また、読取元の帳票が、例えば業務用途の場合、バッチ処理のため多数枚が1つのファイルにまとめてファイリングされていることが多く、その中から該当する一枚の帳票を見つけ出すのが容易ではなく、作業効率が低下していた。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、帳票の入力欄の外にはみ出た入力情報に関しても鮮明なイメージをオペレータに表示できる画像編集装置、データエントリシステムおよびそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、上記目的を達成するために、
本発明の一態様に係る画像編集装置は、読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を格納する記憶部と、前記読み取られた前記帳票画像および前記入力欄の位置情報を受信する手段と、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定する手段とを有する画像処理部とを備えることを特徴とし、
本発明の一態様に係るデータエントリシステムは、記入欄を有する帳票画像を読み取る画像読取装置と、前記読取装置で読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記票画像上の各記入欄に記入された情報に対するデータエントリ処理を行うための帳票画像情報を作成するサーバと、前記帳票画像情報を表示しデータエントリ処理を行う情報端末装置とからなるデータエントリシステムであって、前記サーバは、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、前記分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対してしては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度に設定する手段とを有する画像処理部を備え、前記画像処理部で設定された解像度に基づき、前記情報端末装置に表示するための前記帳票画像を作成することを特徴とし、
本発明の一態様に係るデータエントリプログラムは、読み取られた帳票画像と、前記帳票画像の入力欄の位置情報を受信するステップと、前記帳票画像を複数の画像領域に分割するステップと、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価するステップと、その評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定するステップと、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帳票の入力欄の外にはみ出た入力情報に関しても鮮明なイメージをオペレータに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るデータエントリシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像データ作成処理を行う対象の帳票画像の一例である。
【図3】本実施形態に係る画像処理部による画像データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る帳票情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る入力欄位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る帳票画像と入力欄の位置情報との関係を示す図である。
【図7】本実施形態に係る評価値定義部による評価値定義処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る帳票画像において評価値が「10」と定義された格子画像領域を示す図である。
【図9】本実施形態に係る評価値定義部によって評価値定義処理が行われた帳票画像の一例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る情報端末装置が受信する帳票画像の一例を示す図である。
【図11】先行技術による、入力される帳票画像の一例を示す図である。
【図12】先行技術による、オペレータ端末に表示される帳票画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の第1の実施形態を図1乃至図10を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るデータエントリシステム100の全体構成の一例を示すブロック図である。まず、図1を参照して、本実施形態に係るデータエントリシステム100の全体構成について説明する。
【0012】
データエントリシステム100は、画像イメージを読み取る帳票読取装置11と、記憶部20、制御部30、画像処理部40を有するエントリサーバ10と、それに接続される複数の情報端末装置50などから構成される。
【0013】
帳票読取装置11は、スキャナなどの装置によって帳票を読取って帳票画像を作成する。読み取られた帳票画像データは、制御部30によって記憶部20内の帳票イメージDB21もしくは画像処理部40に送信される。
【0014】
記憶部20は、帳票読取装置11が読み取った帳票画像データを記憶する帳票イメージデータベース21(DB)と、帳票入力欄DB22とを有している。帳票イメージDB21には、帳票画像データとその帳票画像の種類である「帳票名」とが関連付けて登録される。帳票入力欄DB22には、帳票名ごとに入力欄の定義情報が登録されている。入力欄の定義情報には、例えば図5に示すような入力欄の左上座標と右下座標とからなる入力欄の位置情報が含まれている。記憶部20としては、例えば磁気ディスク装置、半導体メモリ、光ディスクメモリなどが用いられる。
【0015】
制御部30は、帳票読取装置11と、記憶部20と、画像処理部40と、複数の情報端末装置50を制御するものである。制御部30は、画像処理部40によって「画像データ作成処理」が行われた帳票画像データを接続先の情報端末装置50に送信する。
【0016】
画像処理部40は、入力欄データ抽出部41と、評価値定義部42と、イメージ編集部43などを有する。画像処理部40は、帳票読取装置11により読み取られた帳票画像データを制御部30から受信すると、後述する「画像データ作成処理」を行う。画像処理部40としては、例えばスキャナや、通常のOCRや、スキャナと文字認識ソフトウェアをインストールしたPCで構成されるOCRなどが用いられる。
【0017】
情報端末装置50は、入力部51と、表示部52などを有する。ここでは、3台の情報端末装置50を例示するが、1つ又はより多数の情報端末装置が接続されてもよい。また、情報端末装置50と制御部30は、ネットワークを介して接続してもよい。
【0018】
次に、本実施形態に係るデータエントリシステム100のデータエントリ処理について説明する。
【0019】
(1)データエントリシステム100では、読み取り対象とする帳票を帳票読取装置11にかけてスキャンさせる。
【0020】
(2)制御部30は、帳票読取装置11でスキャンした帳票の種類を判別し、その判別結果を帳票画像データとともに記憶部20に格納する。
【0021】
(3)エントリを行うオペレータは、情報端末装置50でエントリ用のアプリケーションを起動する。
【0022】
(4)情報端末装置50のアプリケーションは、起動するとデータエントリシステム100と通信し、エントリ可能な帳票の情報を要求する。
【0023】
(5)データエントリシステム100の制御部30は、情報端末装置50から上記要求をうけると、記憶部20に蓄えられた情報から帳票画像データを取り出し、画像処理部40で「画像データ作成処理」を実行させる。続いて制御部30は、その画像データ作成処理によって得られた複数の解像度からなる帳票画像データなどの情報を要求元の情報端末装置50に送信する。本実施形態では、画像データ作成処理によって送信するデータ量を抑える仕組みとなっている。
【0024】
なお、画像処理部40は、記憶部20に格納された帳票画像データではなく、帳票読取装置11によって読み取られた帳票画像データを受信して「画像データ作成処理」を行ってもよい。また、「画像データ作成処理」を行った帳票画像データを記憶部20に一時記憶し、情報端末装置50から上記要求を受け取ると記憶部20から読み出して送信するとしてもよい。
【0025】
(6)情報端末装置50のアプリケーションは、制御部30から送信された、「画像データ作成処理」が行われた帳票画像データをもとに帳票画像を表示し、併せてエントリ画面を表示する。このとき表示される帳票画像は、入力欄からはみ出て記載された情報が「画像データ作成処理」で決定した解像度で表示されており、オペレータは容易に記載内容を識別することができる。
【0026】
(7)送信された帳票画像に基づきデータエントリされたデータは、情報端末装置50からデータエントリシステム100に送信され、記憶部20に保存される。
【0027】
続いて、上述したデータエントリ処理の工程(5)を行う際のデータエントリシステム100の動作について図2乃至図9を参照して説明する。
【0028】
図2は、画像データ作成処理が行われる対象の帳票画像の一例であり、図3は画像処理部40による画像データ作成処理を示すフローチャートである。ここでは、図2に示す帳票画像300は、「郵便番号」301と、「住所」302と、「電話番号」303とが記載されているとする。
【0029】
まず、画像処理部40が読み取られた帳票画像データを含む帳票情報を受信する(ステップS21)。帳票情報は、図4に示すテーブルの200ように、帳票画像データ201と、その帳票画像データ201の種類を示す帳票名202などを有している。本実施形態では、図4に示す画像1が図2に示す帳票画像データ300であるとする。すなわち、図2の帳票画像300の帳票名202(帳票の種類)は「帳票A」である。
【0030】
次に、画像処理部40の入力欄データ抽出部41は、帳票入力欄DB22から帳票画像データ300における入力欄毎の位置情報を抽出する(ステップS22)入力欄データ抽出部41は、抽出した入力欄毎の位置情報を評価値定義部42に出力する。
【0031】
図5は、帳票画像データ300に対応して帳票入力欄DB22に登録されている「帳票A」の入力欄の位置情報テーブル500である。入力欄毎の位置情報は、図5に示すように、帳票名501ごとに定義されており、例えば「入力欄番号」502の欄1は、帳票画像300の第1の画像(郵便番号)301に対応するものであり、その入力欄の左上部分の座標を表す「左上座標」503と、右下部分の座標を現す「右下座標」504とからなる。すなわち、処理対象の帳票画像300の帳票名201と同じ帳票名501の位置情報が抽出される。図2に示した帳票画像300の第2の画像(住所)302、第3の画像(電話番号)303も同様に、図5の欄2、欄3に示すように位置情報が抽出される。
【0032】
本実施形態においては、入力欄はあらかじめ「対象の帳票画像のX軸に平行な辺と、Y軸に平行な辺とを持つ矩形である」と定義されている。すなわち、入力欄は「左上座標503を通り、X/Y軸に平行な辺」と「右下座標504を通り、X/Y軸に平行な辺」とに囲まれた位置にある。
【0033】
なお、図示しないが、入力欄の定義は、図5に示した位置情報テーブル500において帳票名202毎に行うことも可能であるし、入力欄番号502毎に行うことも可能である。また、画像処理部40が帳票画像データを受信する毎に定義してもよい。
【0034】
なお、入力欄の位置情報は「左上座標」と「右下座標」に限らない。例えば、入力欄の位置情報を「中心座標:(X,Y)」と「半径:R」とし、入力欄を「中心が「(X,Y)」で、半径が「R」の円形である」と定義しても良い。
【0035】
ステップS22の処理によって抽出された帳票画像300に対する入力欄の位置情報を図6に示す。図5に示す欄1が図6における破線の矩形で示した入力欄401であり、欄2が図6における破線の矩形で示した入力欄402であり、欄3が図6における破線の矩形で示した入力欄403である。
【0036】
続いて、画像処理部40の評価値定義部42は、帳票画像300を等幅の格子状の画像領域に分割し、分割した各格子の「評価値」を定義するための「評価値定義処理」を行う(ステップS23)。評価値定義部42は、定義した評価値をイメージ編集部43に出力する。この評価値とは、上述した帳票の入力欄と分割された格子との近さを表すものである。すなわち、評価値が高いことは、入力欄の位置と分割された格子とが近いことを意味する。したがって、入力欄の画像領域と分割された格子の画像領域とが重なる場合、その格子の評価値は最大値を示す。なお、分割は設定した画素数毎としてもよいし、mm(ミリメートル)などの長さの単位で行ってもよい。
【0037】
評価値定義部42は、帳票画像300中の全ての格子に対して評価値を定義してもよい。また、評価値定義部42が定義した格子の評価値が最小値である場合に、全ての評価値未定義の格子の評価値を最小値とするようにしてもよい。最大値および最小値は、ユーザーが任意に設定するようにしてもよい。また、評価値は数字を用いてもよいし、アルファベットを用いてもよい。
【0038】
イメージ編集部43は、評価値定義部42が定義した各格子の評価値に基づいて各格子の解像度を決定し、新解像度の帳票画像データを作成する(ステップS24)。作成した新解像度の帳票画像データは、制御部30によって情報端末装置50に送信される(ステップS25)。
【0039】
ステップS23の評価値定義処理について、図7乃至図10を参照して詳しく説明する。図7は、評価値定義部42による評価値定義処理を示すフローチャートである。ここでは、評価値定義処理42における評価値の最大値を「10」、最小値を「7」とする。
【0040】
評価値定義部42は、まず、帳票画像300を図8に示すように等幅の格子状に分割する(ステップS30)。次に、評価値定義部42は、帳票入力欄DB22から抽出された入力欄毎の位置情報に基づいて、ステップS30で分割した各格子の矩形が図6の入力欄401と重なりを持つか否か判定し、重なりを持つ格子を抽出する。評価値定義部42は、図9に示すように抽出された重なりを持つ全ての格子の評価値を「10」(最大値)とする(ステップS31)。すなわち、入力欄401,402,403と画像領域が重なる格子をもっとも近い、すなわち評価値が最大値「10」であると定義する。この入力欄401,402,403と画像領域が重なる格子を基準格子とする。なお、ここでは最大値を「10」と評価したが、「A」や「100」など、任意で設定してよい。また、画像領域の分割は等幅でなく、ユーザーが指定した幅で分割してもよい。図9では、帳票画像300に対し評価値が「10」と定義された格子画像領域533を示す。
【0041】
続いて、評価値定義部42は、評価値を定義された格子の上下左右に隣接した格子のうち、評価値が未定義の格子の評価値を「(評価値)−1」と定義する(ステップS32)。評価値定義部42は、全ての格子に対して評価値Nが定義された場合(ステップS33のNo)、評価値定義処理を終了する。
【0042】
評価値定義部42は、評価値Nが未定義の格子が存在する場合であって(ステップS33のYes)、ステップS32で定義した評価値が「7」(最小値)より大である場合は(ステップS34のYes)、ステップS25に戻りステップS25〜ステップS27の処理を繰り返す。
【0043】
評価値定義部42は、評価値Nが未定義の格子が存在する場合であって(ステップS33のYes)、ステップS32で定義した評価値が「7」(最小値)以下である場合(ステップS34のNo)、評価値未定義の全ての格子の評価値を「7」と定義し、(ステップS35)、評価値定義処理を終了する。
【0044】
図9に評価値定義部42によって評価値定義処理が行われた帳票画像300を示す。図9では、網掛けのない格子は評価値が「10」と定義された基準格子である。評価値「10」の基準格子の上下左右の領域(斜めの網掛けブロック)に対し、評価値「9」が定義されたことを示している。更に、評価値「9」の格子の上下左右の領域(格子の網掛けブロック)に対し、評価値「8」が定義されたことを示している。更に、評価値「8」の格子の上下左右の領域(多数点の網掛けブロック)に対し、評価値「7」が定義されたことを示している。
評価値定義部42は、入力欄データの情報を用いて、対象の帳票画像300において重要な画像領域はどこかを定める。
【0045】
イメージ編集部43は、評価値定義部42が提示した評価値を参照して、評価値「10」、を最高解像度に設定して制御部30に出力する。また、評価値「9」を評価値「10」より低い解像度に設定に出力する。評価値「8」を評価値「9」より低い解像度に設定して制御部30に出力する。また、評価値「7」を評価値「8」より低い解像度に設定して制御部30に出力する。
【0046】
ここで、入力欄からはみ出した入力情報は、評価値「10」に隣接する領域であることが一般的であるので、この評価値「9」に対しては低い解像度ではなく高解像度に設定することにより、はみ出した入力情報の読み取りが著しく向上することができる。
【0047】
つまり、本実施形態では、分割した画像領域毎に入力欄の位置情報との位置関係を評価し、その評価に基づき入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては、入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定することになる。
【0048】
なお、ここでは、評価値「10」〜「7」を段階的に低い解像度に設定するとしたが、評価値「10」を最も高解像度とし、評価値「9」と「8」を次に低い解像度とし、評価値「7」を次に低い解像度としてもよい。或いは、評価値「10」、「9」を最も高解像度とし、評価値「8」と「7」を次に低い解像度としてもよい。
【0049】
そして制御部30は、作成した新解像度の帳票画像データをオペレータ端末である情報端末装置50に送信する。情報端末装置50が受信する帳票画像600を図10に示す。情報端末装置50では、図10の帳票画像600を用いてデータエントリーを実行する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、元の帳票画像と比較して情報量が少なく、かつ入力欄からはみ出た情報も鮮明な帳票画像で情報端末装置に送信することにより、作業効率を向上することができる。また、解像度の高い画像データ(任意設定可)を保存し、解像度の低い画像データは削除するなどすることにより、画像データの記憶容量を削減することができる。
【0051】
なお、評価値定義部42の評価値定義処理は、確率分布モデルを用いて行ってもよい。例えば、入力欄の外枠の位置を0とし、外向きにxミリ離れたところにはみ出た文字が存在する確率を計算して、計算結果を参照して評価値を定義する。
【0052】
また、本発明は上記した実施形態に限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更して構わない。
【0053】
例えば、帳票画像を当幅の格子状の画像領域に分割するのではなく、各格子のサイズを指定してもよい。また、評価値定義処理は分割した全ての格子を対象とするのではなく、入力欄の外枠からの距離によって定義対象を限定してもよい。また、入力欄の外枠からの距離によって評価値を定義してもよい。すなわち、入力欄内の解像度を最も高解像度とし、入力欄からの一定の距離以内の領域を入力欄内の解像度より低い中解像度とし、入力欄から一定の距離より離れた領域を中解像度より低い解像度としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…エントリサーバ、11…帳票読取装置、20…記憶部、21…帳票イメージデータベース、22…帳票入力欄データベース、30…制御部、40…画像処理部、41…入力欄データ抽出部、42…評価値定義部、43…イメージ編集部、50…情報端末装置、51…入力部、52…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像編集装置、データエントリシステムおよびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
OCRやスキャナで郵便物、特に小包のあて先を認識する際において、文字認識ができなかった場合に、読み取った帳票イメージをオペレータ端末に表示し、オペレータがその帳票イメージに記載されている内容や項目を確認および入力してデータベース等に保管するデータエントリシステムがある。このようなデータエントリシステムにおいて、例えば特許文献1に開示されるように、帳票イメージをオペレータ端末に表示する際に、郵便物全体の画像(背景画像)を低い解像度を適用して表示し、帳票の入力欄(あて先)に相当するデータ部分(認識対象データ)に高い解像度を適用して背景画像に重ねて表示することにより、データ量を軽減しながらオペレータの作業を容易にする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−504139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法では、手書きによってあて先を記載する際や印刷ズレなどによって発生する、読取対象の入力欄(フィールド)からはみ出した文字の記入部分は、高解像度のフィールドイメージでは表示されない。図11、は特許文献1の技術において入力される帳票画像101の一例である。また、図12は、帳票画像101が入力された場合にオペレータ端末に表示される帳票画像105の一例である。図11及び図12の符号102〜104、106〜108は、読み取った帳票の入力欄の内容を表す。
【0005】
特許文献1の技術を用いた場合、入力された帳票画像は図12の帳票画像105のように入力欄106,107,108からはみ出た部分は低解像度で表示されることになる。このため、オペレータは、帳票の文字記入欄に実際に筆記された文字がどのような文字であるかを判定できない場合がある。その場合、オペレータ自身が読取元の帳票自体から該当不明部分を見つけ出し、文字を判断することを行うため、処理の作業効率が低下していた。また、読取元の帳票が、例えば業務用途の場合、バッチ処理のため多数枚が1つのファイルにまとめてファイリングされていることが多く、その中から該当する一枚の帳票を見つけ出すのが容易ではなく、作業効率が低下していた。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、帳票の入力欄の外にはみ出た入力情報に関しても鮮明なイメージをオペレータに表示できる画像編集装置、データエントリシステムおよびそのプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、上記目的を達成するために、
本発明の一態様に係る画像編集装置は、読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を格納する記憶部と、前記読み取られた前記帳票画像および前記入力欄の位置情報を受信する手段と、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定する手段とを有する画像処理部とを備えることを特徴とし、
本発明の一態様に係るデータエントリシステムは、記入欄を有する帳票画像を読み取る画像読取装置と、前記読取装置で読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記票画像上の各記入欄に記入された情報に対するデータエントリ処理を行うための帳票画像情報を作成するサーバと、前記帳票画像情報を表示しデータエントリ処理を行う情報端末装置とからなるデータエントリシステムであって、前記サーバは、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、前記分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対してしては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度に設定する手段とを有する画像処理部を備え、前記画像処理部で設定された解像度に基づき、前記情報端末装置に表示するための前記帳票画像を作成することを特徴とし、
本発明の一態様に係るデータエントリプログラムは、読み取られた帳票画像と、前記帳票画像の入力欄の位置情報を受信するステップと、前記帳票画像を複数の画像領域に分割するステップと、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価するステップと、その評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定するステップと、をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帳票の入力欄の外にはみ出た入力情報に関しても鮮明なイメージをオペレータに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るデータエントリシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像データ作成処理を行う対象の帳票画像の一例である。
【図3】本実施形態に係る画像処理部による画像データ作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る帳票情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る入力欄位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る帳票画像と入力欄の位置情報との関係を示す図である。
【図7】本実施形態に係る評価値定義部による評価値定義処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る帳票画像において評価値が「10」と定義された格子画像領域を示す図である。
【図9】本実施形態に係る評価値定義部によって評価値定義処理が行われた帳票画像の一例を示す図である。
【図10】本実施形態に係る情報端末装置が受信する帳票画像の一例を示す図である。
【図11】先行技術による、入力される帳票画像の一例を示す図である。
【図12】先行技術による、オペレータ端末に表示される帳票画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の第1の実施形態を図1乃至図10を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るデータエントリシステム100の全体構成の一例を示すブロック図である。まず、図1を参照して、本実施形態に係るデータエントリシステム100の全体構成について説明する。
【0012】
データエントリシステム100は、画像イメージを読み取る帳票読取装置11と、記憶部20、制御部30、画像処理部40を有するエントリサーバ10と、それに接続される複数の情報端末装置50などから構成される。
【0013】
帳票読取装置11は、スキャナなどの装置によって帳票を読取って帳票画像を作成する。読み取られた帳票画像データは、制御部30によって記憶部20内の帳票イメージDB21もしくは画像処理部40に送信される。
【0014】
記憶部20は、帳票読取装置11が読み取った帳票画像データを記憶する帳票イメージデータベース21(DB)と、帳票入力欄DB22とを有している。帳票イメージDB21には、帳票画像データとその帳票画像の種類である「帳票名」とが関連付けて登録される。帳票入力欄DB22には、帳票名ごとに入力欄の定義情報が登録されている。入力欄の定義情報には、例えば図5に示すような入力欄の左上座標と右下座標とからなる入力欄の位置情報が含まれている。記憶部20としては、例えば磁気ディスク装置、半導体メモリ、光ディスクメモリなどが用いられる。
【0015】
制御部30は、帳票読取装置11と、記憶部20と、画像処理部40と、複数の情報端末装置50を制御するものである。制御部30は、画像処理部40によって「画像データ作成処理」が行われた帳票画像データを接続先の情報端末装置50に送信する。
【0016】
画像処理部40は、入力欄データ抽出部41と、評価値定義部42と、イメージ編集部43などを有する。画像処理部40は、帳票読取装置11により読み取られた帳票画像データを制御部30から受信すると、後述する「画像データ作成処理」を行う。画像処理部40としては、例えばスキャナや、通常のOCRや、スキャナと文字認識ソフトウェアをインストールしたPCで構成されるOCRなどが用いられる。
【0017】
情報端末装置50は、入力部51と、表示部52などを有する。ここでは、3台の情報端末装置50を例示するが、1つ又はより多数の情報端末装置が接続されてもよい。また、情報端末装置50と制御部30は、ネットワークを介して接続してもよい。
【0018】
次に、本実施形態に係るデータエントリシステム100のデータエントリ処理について説明する。
【0019】
(1)データエントリシステム100では、読み取り対象とする帳票を帳票読取装置11にかけてスキャンさせる。
【0020】
(2)制御部30は、帳票読取装置11でスキャンした帳票の種類を判別し、その判別結果を帳票画像データとともに記憶部20に格納する。
【0021】
(3)エントリを行うオペレータは、情報端末装置50でエントリ用のアプリケーションを起動する。
【0022】
(4)情報端末装置50のアプリケーションは、起動するとデータエントリシステム100と通信し、エントリ可能な帳票の情報を要求する。
【0023】
(5)データエントリシステム100の制御部30は、情報端末装置50から上記要求をうけると、記憶部20に蓄えられた情報から帳票画像データを取り出し、画像処理部40で「画像データ作成処理」を実行させる。続いて制御部30は、その画像データ作成処理によって得られた複数の解像度からなる帳票画像データなどの情報を要求元の情報端末装置50に送信する。本実施形態では、画像データ作成処理によって送信するデータ量を抑える仕組みとなっている。
【0024】
なお、画像処理部40は、記憶部20に格納された帳票画像データではなく、帳票読取装置11によって読み取られた帳票画像データを受信して「画像データ作成処理」を行ってもよい。また、「画像データ作成処理」を行った帳票画像データを記憶部20に一時記憶し、情報端末装置50から上記要求を受け取ると記憶部20から読み出して送信するとしてもよい。
【0025】
(6)情報端末装置50のアプリケーションは、制御部30から送信された、「画像データ作成処理」が行われた帳票画像データをもとに帳票画像を表示し、併せてエントリ画面を表示する。このとき表示される帳票画像は、入力欄からはみ出て記載された情報が「画像データ作成処理」で決定した解像度で表示されており、オペレータは容易に記載内容を識別することができる。
【0026】
(7)送信された帳票画像に基づきデータエントリされたデータは、情報端末装置50からデータエントリシステム100に送信され、記憶部20に保存される。
【0027】
続いて、上述したデータエントリ処理の工程(5)を行う際のデータエントリシステム100の動作について図2乃至図9を参照して説明する。
【0028】
図2は、画像データ作成処理が行われる対象の帳票画像の一例であり、図3は画像処理部40による画像データ作成処理を示すフローチャートである。ここでは、図2に示す帳票画像300は、「郵便番号」301と、「住所」302と、「電話番号」303とが記載されているとする。
【0029】
まず、画像処理部40が読み取られた帳票画像データを含む帳票情報を受信する(ステップS21)。帳票情報は、図4に示すテーブルの200ように、帳票画像データ201と、その帳票画像データ201の種類を示す帳票名202などを有している。本実施形態では、図4に示す画像1が図2に示す帳票画像データ300であるとする。すなわち、図2の帳票画像300の帳票名202(帳票の種類)は「帳票A」である。
【0030】
次に、画像処理部40の入力欄データ抽出部41は、帳票入力欄DB22から帳票画像データ300における入力欄毎の位置情報を抽出する(ステップS22)入力欄データ抽出部41は、抽出した入力欄毎の位置情報を評価値定義部42に出力する。
【0031】
図5は、帳票画像データ300に対応して帳票入力欄DB22に登録されている「帳票A」の入力欄の位置情報テーブル500である。入力欄毎の位置情報は、図5に示すように、帳票名501ごとに定義されており、例えば「入力欄番号」502の欄1は、帳票画像300の第1の画像(郵便番号)301に対応するものであり、その入力欄の左上部分の座標を表す「左上座標」503と、右下部分の座標を現す「右下座標」504とからなる。すなわち、処理対象の帳票画像300の帳票名201と同じ帳票名501の位置情報が抽出される。図2に示した帳票画像300の第2の画像(住所)302、第3の画像(電話番号)303も同様に、図5の欄2、欄3に示すように位置情報が抽出される。
【0032】
本実施形態においては、入力欄はあらかじめ「対象の帳票画像のX軸に平行な辺と、Y軸に平行な辺とを持つ矩形である」と定義されている。すなわち、入力欄は「左上座標503を通り、X/Y軸に平行な辺」と「右下座標504を通り、X/Y軸に平行な辺」とに囲まれた位置にある。
【0033】
なお、図示しないが、入力欄の定義は、図5に示した位置情報テーブル500において帳票名202毎に行うことも可能であるし、入力欄番号502毎に行うことも可能である。また、画像処理部40が帳票画像データを受信する毎に定義してもよい。
【0034】
なお、入力欄の位置情報は「左上座標」と「右下座標」に限らない。例えば、入力欄の位置情報を「中心座標:(X,Y)」と「半径:R」とし、入力欄を「中心が「(X,Y)」で、半径が「R」の円形である」と定義しても良い。
【0035】
ステップS22の処理によって抽出された帳票画像300に対する入力欄の位置情報を図6に示す。図5に示す欄1が図6における破線の矩形で示した入力欄401であり、欄2が図6における破線の矩形で示した入力欄402であり、欄3が図6における破線の矩形で示した入力欄403である。
【0036】
続いて、画像処理部40の評価値定義部42は、帳票画像300を等幅の格子状の画像領域に分割し、分割した各格子の「評価値」を定義するための「評価値定義処理」を行う(ステップS23)。評価値定義部42は、定義した評価値をイメージ編集部43に出力する。この評価値とは、上述した帳票の入力欄と分割された格子との近さを表すものである。すなわち、評価値が高いことは、入力欄の位置と分割された格子とが近いことを意味する。したがって、入力欄の画像領域と分割された格子の画像領域とが重なる場合、その格子の評価値は最大値を示す。なお、分割は設定した画素数毎としてもよいし、mm(ミリメートル)などの長さの単位で行ってもよい。
【0037】
評価値定義部42は、帳票画像300中の全ての格子に対して評価値を定義してもよい。また、評価値定義部42が定義した格子の評価値が最小値である場合に、全ての評価値未定義の格子の評価値を最小値とするようにしてもよい。最大値および最小値は、ユーザーが任意に設定するようにしてもよい。また、評価値は数字を用いてもよいし、アルファベットを用いてもよい。
【0038】
イメージ編集部43は、評価値定義部42が定義した各格子の評価値に基づいて各格子の解像度を決定し、新解像度の帳票画像データを作成する(ステップS24)。作成した新解像度の帳票画像データは、制御部30によって情報端末装置50に送信される(ステップS25)。
【0039】
ステップS23の評価値定義処理について、図7乃至図10を参照して詳しく説明する。図7は、評価値定義部42による評価値定義処理を示すフローチャートである。ここでは、評価値定義処理42における評価値の最大値を「10」、最小値を「7」とする。
【0040】
評価値定義部42は、まず、帳票画像300を図8に示すように等幅の格子状に分割する(ステップS30)。次に、評価値定義部42は、帳票入力欄DB22から抽出された入力欄毎の位置情報に基づいて、ステップS30で分割した各格子の矩形が図6の入力欄401と重なりを持つか否か判定し、重なりを持つ格子を抽出する。評価値定義部42は、図9に示すように抽出された重なりを持つ全ての格子の評価値を「10」(最大値)とする(ステップS31)。すなわち、入力欄401,402,403と画像領域が重なる格子をもっとも近い、すなわち評価値が最大値「10」であると定義する。この入力欄401,402,403と画像領域が重なる格子を基準格子とする。なお、ここでは最大値を「10」と評価したが、「A」や「100」など、任意で設定してよい。また、画像領域の分割は等幅でなく、ユーザーが指定した幅で分割してもよい。図9では、帳票画像300に対し評価値が「10」と定義された格子画像領域533を示す。
【0041】
続いて、評価値定義部42は、評価値を定義された格子の上下左右に隣接した格子のうち、評価値が未定義の格子の評価値を「(評価値)−1」と定義する(ステップS32)。評価値定義部42は、全ての格子に対して評価値Nが定義された場合(ステップS33のNo)、評価値定義処理を終了する。
【0042】
評価値定義部42は、評価値Nが未定義の格子が存在する場合であって(ステップS33のYes)、ステップS32で定義した評価値が「7」(最小値)より大である場合は(ステップS34のYes)、ステップS25に戻りステップS25〜ステップS27の処理を繰り返す。
【0043】
評価値定義部42は、評価値Nが未定義の格子が存在する場合であって(ステップS33のYes)、ステップS32で定義した評価値が「7」(最小値)以下である場合(ステップS34のNo)、評価値未定義の全ての格子の評価値を「7」と定義し、(ステップS35)、評価値定義処理を終了する。
【0044】
図9に評価値定義部42によって評価値定義処理が行われた帳票画像300を示す。図9では、網掛けのない格子は評価値が「10」と定義された基準格子である。評価値「10」の基準格子の上下左右の領域(斜めの網掛けブロック)に対し、評価値「9」が定義されたことを示している。更に、評価値「9」の格子の上下左右の領域(格子の網掛けブロック)に対し、評価値「8」が定義されたことを示している。更に、評価値「8」の格子の上下左右の領域(多数点の網掛けブロック)に対し、評価値「7」が定義されたことを示している。
評価値定義部42は、入力欄データの情報を用いて、対象の帳票画像300において重要な画像領域はどこかを定める。
【0045】
イメージ編集部43は、評価値定義部42が提示した評価値を参照して、評価値「10」、を最高解像度に設定して制御部30に出力する。また、評価値「9」を評価値「10」より低い解像度に設定に出力する。評価値「8」を評価値「9」より低い解像度に設定して制御部30に出力する。また、評価値「7」を評価値「8」より低い解像度に設定して制御部30に出力する。
【0046】
ここで、入力欄からはみ出した入力情報は、評価値「10」に隣接する領域であることが一般的であるので、この評価値「9」に対しては低い解像度ではなく高解像度に設定することにより、はみ出した入力情報の読み取りが著しく向上することができる。
【0047】
つまり、本実施形態では、分割した画像領域毎に入力欄の位置情報との位置関係を評価し、その評価に基づき入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては、入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定することになる。
【0048】
なお、ここでは、評価値「10」〜「7」を段階的に低い解像度に設定するとしたが、評価値「10」を最も高解像度とし、評価値「9」と「8」を次に低い解像度とし、評価値「7」を次に低い解像度としてもよい。或いは、評価値「10」、「9」を最も高解像度とし、評価値「8」と「7」を次に低い解像度としてもよい。
【0049】
そして制御部30は、作成した新解像度の帳票画像データをオペレータ端末である情報端末装置50に送信する。情報端末装置50が受信する帳票画像600を図10に示す。情報端末装置50では、図10の帳票画像600を用いてデータエントリーを実行する。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、元の帳票画像と比較して情報量が少なく、かつ入力欄からはみ出た情報も鮮明な帳票画像で情報端末装置に送信することにより、作業効率を向上することができる。また、解像度の高い画像データ(任意設定可)を保存し、解像度の低い画像データは削除するなどすることにより、画像データの記憶容量を削減することができる。
【0051】
なお、評価値定義部42の評価値定義処理は、確率分布モデルを用いて行ってもよい。例えば、入力欄の外枠の位置を0とし、外向きにxミリ離れたところにはみ出た文字が存在する確率を計算して、計算結果を参照して評価値を定義する。
【0052】
また、本発明は上記した実施形態に限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更して構わない。
【0053】
例えば、帳票画像を当幅の格子状の画像領域に分割するのではなく、各格子のサイズを指定してもよい。また、評価値定義処理は分割した全ての格子を対象とするのではなく、入力欄の外枠からの距離によって定義対象を限定してもよい。また、入力欄の外枠からの距離によって評価値を定義してもよい。すなわち、入力欄内の解像度を最も高解像度とし、入力欄からの一定の距離以内の領域を入力欄内の解像度より低い中解像度とし、入力欄から一定の距離より離れた領域を中解像度より低い解像度としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…エントリサーバ、11…帳票読取装置、20…記憶部、21…帳票イメージデータベース、22…帳票入力欄データベース、30…制御部、40…画像処理部、41…入力欄データ抽出部、42…評価値定義部、43…イメージ編集部、50…情報端末装置、51…入力部、52…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を格納する記憶部と、
前記読み取られた前記帳票画像および前記入力欄の位置情報を受信する手段と、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定する手段とを有する画像処理部と
を備える画像編集装置。
【請求項2】
前記分割した各画像領域は、等幅の矩形であり、
前記入力欄の位置情報は前記矩形の対角座標値である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項3】
記入欄を有する帳票画像を読み取る画像読取装置と、
前記読取装置で読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記票画像上の各記入欄に記入された情報に対するデータエントリ処理を行うための帳票画像情報を作成するサーバと、
前記帳票画像情報を表示しデータエントリ処理を行う情報端末装置とからなるデータエントリシステムであって、
前記サーバは、
前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、
前記分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、
前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対してしては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度に設定する手段とを有する画像処理部を備え、
前記画像処理部で設定された解像度に基づき、前記情報端末装置に表示するための前記帳票画像を作成することを特徴とするデータエントリシステム。
【請求項4】
読み取られた帳票画像と、前記帳票画像の入力欄の位置情報を受信するステップと、
前記帳票画像を複数の画像領域に分割するステップと、
分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価するステップと、
その評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定するステップと、
をコンピュータに実現させることを特徴とするデータエントリプログラム。
【請求項1】
読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を格納する記憶部と、
前記読み取られた前記帳票画像および前記入力欄の位置情報を受信する手段と、前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定する手段とを有する画像処理部と
を備える画像編集装置。
【請求項2】
前記分割した各画像領域は、等幅の矩形であり、
前記入力欄の位置情報は前記矩形の対角座標値である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像編集装置。
【請求項3】
記入欄を有する帳票画像を読み取る画像読取装置と、
前記読取装置で読み取られた帳票画像および前記帳票画像の入力欄の位置情報を記憶する記憶手段を備え、前記票画像上の各記入欄に記入された情報に対するデータエントリ処理を行うための帳票画像情報を作成するサーバと、
前記帳票画像情報を表示しデータエントリ処理を行う情報端末装置とからなるデータエントリシステムであって、
前記サーバは、
前記帳票画像を複数の画像領域に分割する手段と、
前記分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価する手段と、
前記評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対してしては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度に設定する手段とを有する画像処理部を備え、
前記画像処理部で設定された解像度に基づき、前記情報端末装置に表示するための前記帳票画像を作成することを特徴とするデータエントリシステム。
【請求項4】
読み取られた帳票画像と、前記帳票画像の入力欄の位置情報を受信するステップと、
前記帳票画像を複数の画像領域に分割するステップと、
分割した画像領域毎に前記入力欄の位置情報との位置関係を評価するステップと、
その評価に基づき前記入力欄の領域と重なる画像領域では最も高解像度と設定し、前記入力欄の位置情報から離れている画像領域に対しては前記入力欄の位置情報から離れるに従い低い解像度を設定するステップと、
をコンピュータに実現させることを特徴とするデータエントリプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−233035(P2011−233035A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104315(P2010−104315)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】
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