説明

画像表示媒体用粒子及びその製造方法

【課題】粉砕性が改善され、帯電量の低下がない、正帯電性の画像表示媒体用の粒子を好適に得ることのできる画像表示媒体用粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する基板1、2間に画像表示媒体3を封入し、画像表示媒体に電界を与えて、画像表示媒体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いる画像表示媒体用粒子を、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤から構成する。また、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなる原料を混練、造粒してペレットを作製し、作製したペレットを粉砕、分級することで、上述した画像表示媒体用粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な対抗する基板間に画像表示媒体を封入し、画像表示媒体に電界を与えて、画像表示媒体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いる画像表示媒体用粒子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶(LCD)に代わる画像表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた画像表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な画像表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用画像表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。
【0004】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、画像繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0005】
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、安定性に欠けるという問題もある。
【0006】
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する基板間に画像表示媒体を封入し、画像表示媒体に電界を与えて、画像表示媒体を移動させた画像を表示する画像表示装置が知られている。
【非特許文献1】趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249-252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した画像表示装置に用いる画像表示媒体を構成する粒子として、樹脂をバインダーとして必要により顔料、荷電制御剤などからなる原料を、混練、造粒後粉砕して得た画像表示媒体用粒子が使用されている。しかしながら、この種の画像表示媒体用粒子は、通常の粉砕手法で粉砕可能な樹脂に制限されるとともに、粉砕性を改善するために充填剤等を配合すると帯電量が低下してしまう問題があり、特に、正帯電性の画像表示媒体用粒子を得ることが難しかった。
【0008】
本発明の目的は上述した問題点を解消して、粉砕性が改善され、帯電量の低下がなく、正帯電性の画像表示媒体用の粒子をも好適に得ることのできる画像表示媒体用粒子及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示媒体用粒子は、少なくとも一方が透明な対向する基板間に画像表示媒体を封入し、画像表示媒体に電界を与えて、画像表示媒体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いる画像表示媒体用粒子において、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の画像表示媒体用粒子の好適例は、プラス帯電性の樹脂がナイロン、または、メラミンであること、プラス帯電性の配合剤がステアリン酸マグネシウム、または、酸化マグネシウムであること、及び、画像表示媒体が粒子群または粉流体であること、がある。
【0011】
さらに、本発明の画像表示媒体用粒子の製造方法は、上述した画像表示媒体用粒子の製造方法において、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなる原料を混練、造粒してペレットを作製し、作製したペレットを粉砕、分級することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤から画像表示媒体用粒子を構成すること、好ましくは、プラス帯電性の樹脂としてナイロン、または、メラミンを用い、プラス帯電性の配合剤としてステアリン酸マグネシウム、または、酸化マグネシウムを用いることで、粉砕性が改善され、帯電量の低下がない、正帯電性の画像表示媒体用の粒子を好適に得ることができる。また、製造にあたっての問題をも解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の粒子を画像表示媒体(粒子群または粉流体)を構成する粒子として利用する画像表示装置が備える画像表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明で用いる画像表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した画像表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した画像表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、画像表示媒体が電位の切替による電界方向の変化によって往復運動することにより、画像表示がなされる。従って、画像表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し時あるいは保存時の安定性を維持できるように、画像表示用パネルを設計する必要がある。ここで、画像表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気影像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0014】
本発明の製造方法の対象となる粒子を使用する画像表示装置で用いる画像表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)に基づき説明する。
図1(a)、(b)に示す例では、2種以上の色と帯電特性の異なる画像表示媒体3(ここでは白色粒子3Wと黒色粒子3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1(b)に示す例では、図1(a)に示す例に加えて、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設け表示セルを画成している。
図2(a)、(b)に示す例では、2種以上の色と帯電特性の異なる画像表示媒体3(ここでは白色粒子3Wと黒色粒子3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色粒子3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色粒子3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2(b)に示す例では、図2(a)に示す例に加えて、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設け表示セルを画成している。
図3(a)、(b)に示す例では、1種の色の粒子3(ここでは白色粒子3W)を、基板1上に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加させることにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行方向に移動させ、白色粒子3Wを観察者に視認させて白色表示を行うか、あるいは、電極6または基板1の色を観察者に視認させて電極6または基板1の色の表示を行っている。なお、図3(b)に示す例では、図3(a)に示す例に加えて、基板1、2との間に例えば格子状に隔壁4を設け表示セルを画成している。
以上の説明は、白色粒子3Wを白色粉流体に、黒色粒子3Bを黒色粉流体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することが出来る。
【0015】
本発明の画像表示媒体用粒子の特徴は、上述した画像表示媒体用粒子を、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤から構成する点、及び、これらプラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなる原料を、混合、造粒してペレットを作製し、作製したペレットを粉砕、分級することで画像表示媒体を作製する点、にある。本発明において、特に好ましい態様としては、各構成材料を限定し、正帯電性の画像表示媒体用粒子を得ることにある。この観点から、プラス帯電性の樹脂としては、帯電序列からプラス高帯電樹脂であるナイロン、メラミンを使用することが好ましく、プラス帯電性の配合剤としては、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウムを使用することが好ましい。
【0016】
以下、本発明の画像表示媒体用粒子を用いる画像表示装置を構成する各部材について説明する。
【0017】
基板については、少なくとも一方の基板は装置外側から画像表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型画像表示装置とする場合に不都合がある。
【0018】
必要に応じて設ける電極の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した視認側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0019】
必要に応じて設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる画像表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。本発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
【0020】
これらのリブからなる隔壁により形成される表示セルは、図4に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、画像表示の鮮明さが増す。ここで、隔壁の形成方法を例示すると、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。このうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法が好適に用いられる。
【0021】
次に、本発明の対象となる画像表示用パネルで用いる画像表示媒体としての粉流体について説明する。なお、本発明の画像表示媒体としての粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標)」の権利を得ている。
【0022】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0023】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の画像表示装置で固体状物質を分散質とするものである。
【0024】
本発明の対象となる画像表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、画像表示媒体として例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の画像表示装置では、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
【0025】
次に、本発明の対象となる画像表示用パネルで用いる画像表示媒体としての粒子について説明する。粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0026】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0027】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0028】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0029】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0030】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0031】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0032】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
【0033】
また、本発明の画像表示用パネルで用いる画像表示媒体として用いる粒子は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
【0034】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
【0035】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。
【0036】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0037】
画像表示媒体の帯電量は当然その測定条件に依存するが、画像表示用パネルにおける画像表示媒体の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に画像表示媒体の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0038】
更に、本発明において粒子群または粉流体を画像表示媒体として用いる場合は、基板間の画像表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6、画像表示媒体(粒子群あるいは粉流体3)の占有部分、隔壁4の占有部分(空間部分を含む)、装置シール部分を除いた、いわゆる画像表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように装置に封入することが必要であり、例えば、画像表示媒体の充填、基板の組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0039】
本発明の対象となる画像表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、画像表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における画像表示媒体(粒子群または粉流体)の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には画像表示媒体(粒子群または粉流体)の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0040】
以下、本発明例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0041】
(原料について)
以下の表1に示す配合で実施例1〜3及び比較例1、2の原料を準備した。なお、表1の各材料の製造メーカー等の情報を以下の表2に示す。
【0042】
【表1】


【表2】

【0043】
(粒子の製造について)
上述した原料から、実施例1〜3及び比較例1、2の画像表示媒体用粒子を、以下のようにして作製した。まず、樹脂ペレットを凍結粉砕機により粒子径200〜300μmとなるように粉砕した。次いで、粉砕した樹脂と顔料とをヘンシェルミキサーで混合した。次いで、混合物を2軸押出機で混練、造粒してペレット化した。2軸押出機の運転条件は、シリンダー温度:200〜250℃、スクリュー回転:150rpmであった。その後、混練、造粒で得られたペレットを凍結粉砕機により粒子径80〜150μmとなるよう粉砕した。次いで、粉砕物をジェットミルにより粒子径9μm程度となるように微粉砕した。次いで、微粉砕物をエルボージェット分級機により分級して、平均粒子径9μmの粒子を得た。なお、以下の表3に上述した製造方法で用いた設備についての情報を記載する。
【0044】
【表3】

【0045】
(帯電性の評価について)
得られた実施例1〜3及び比較例1、2の正帯電性の粒子に対し、キャリア粒子:DFC100MMWを用いて、以下に示すブローオフ法により帯電量(μC/g)を測定した。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に一方の画像表示媒体用粒子(被測定粒子)とキャリア粒子の混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで被測定粒子とキャリア粒子とを分離し、網の目開きから被測定粒子のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、被測定粒子が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリア粒子に残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこで、コンデンサー両端の電位を測定することにより、被測定粒子の電荷量Qは、Q=CV(C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)として求められる。得られた電荷量Qから単位重量あたりの帯電量(μC/g)を求めることで、2粒子間の帯電量差ΔQ(μC/g)を得ることができる。測定は、ブローオフ粉体帯電量測定装置TB203(京セラケミカル(株)製)を用いて行うことができる。
なお、測定サンプル(被測定粒子)/キャリアの表面積比を100%とした。また、振とう機回転速度は225rpmとした。結果を以下の表4に示す。
【0046】
【表4】

【0047】
表4の結果から、正帯電性の樹脂であるナイロンと正帯電性の配合剤として、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、荷電制御剤(CCA)を用いた実施例1〜3は、これら正帯電性の配合剤を用いなかった比較例1、2と比べて、帯電量が高いことがわかる。また、実施例1〜3の中でも、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウムを用いた実施例1、2の法が、CCAを用いた実施例3と比べて、高い正帯電性(特に振とう時間が15分の場合)が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の画像表示媒体用粒子を用いた画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる画像表示用パネルの一例を示す図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる画像表示用パネルの他の例を示す図である。
【図3】(a)、(b)はそれぞれ本発明の対象となる画像表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図4】本発明の対象となる画像表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1、2 基板
3 画像表示媒体(粒子または粉流体)
3W 白色粒子(白色粉流体)
3B 黒色粒子(黒色粉流体)
4 隔壁
5、6 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な対向する基板間に画像表示媒体を封入し、画像表示媒体に電界を与えて、画像表示媒体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いる画像表示媒体用粒子において、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなることを特徴とする画像表示媒体用粒子。
【請求項2】
プラス帯電性の樹脂がナイロン、または、メラミンである請求項1に記載の画像表示媒体用粒子。
【請求項3】
プラス帯電性の配合剤がステアリン酸マグネシウム、または、酸化マグネシウムである請求項2に記載の画像表示媒体用粒子。
【請求項4】
画像表示媒体が粒子群または粉流体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示媒体用粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示媒体用粒子の製造方法において、プラス帯電性の樹脂、顔料、プラス帯電性の配合剤からなる原料を混練、造粒してペレットを作製し、作製したペレットを粉砕、分級することを特徴とする画像表示媒体用粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−39493(P2006−39493A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223599(P2004−223599)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】