説明

画像表示方法、画像表示用コンピュータプログラムおよび記録媒体

【課題】本形式で表示された見開き画像の再生時間が全体の再生時間に占める割合や、全体の再生時間のうち現在までの時間経過や、各見開き画像の再生時間内での現在の時間を視覚的に認識できるようにする。
【解決手段】画像記憶部20に予め準備された画像を見開き画像として表示装置4に表示する。予め設定された演出効果を含めて各見開き画像を表示装置4に再生する時間に応じた区分領域を、見開き画像の先頭から末尾までの分を並べて棒グラフ31として表示する。再生済みの見開き画像に対応する区分領域を第1色34で塗りつぶし、現在再生中の見開き画像に対応する区分領域を第2色35で塗りつぶす。現在再生中の見開き画像に対応する区分領域のうち再生済みの時間に相当する大きさをさらに第1色で塗りつぶす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示方法、画像表示用コンピュータプログラムおよび記録媒体に関し、特に、絵本や写真集、カタログブック等から読みとった画像データを使用して、絵本、写真集、カタログブックの見開き形式で表示する画像表示方法および画像表示用コンピュータプログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、絵や写真などを、実物の本のような見開き形式で表示するデジタル絵本表示システムがある。こうしたデジタル絵本には、アニメーション効果や音の効果を付加したものがあり、ページをめくりながらアニメーション効果や音の効果を再生できるようになっている。
【特許文献1】特開平5−120400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、絵本形式でページをめくりながらアニメーション効果や音の効果を再生する場合、各見開きページの再生時間がどの程度なのか、あるいは絵本全体に対する各見開きページの再生時間がどの程度の割合なのか、さらには見開きページにおいて、再生時間がどの程度経過しているかといった情報が不明である。したがって、このような情報が見開きページに表示されることが望まれる。
【0004】
本発明は、上記要望に対応し、見開きページ全体の再生時間、見開きページにおける再生経過時間、および絵本全体に対する見開きページの再生時間等を画面上で提供することができる画像表示方法、画像表示用プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明の方法は、画像記憶手段に予め準備された複数枚の画像を右ページ画像と左ページ画像の組からなる本形式の見開き画像として表示装置に表示する画像表示方法において、見開き画像上に予め領域を設定して付加される演出効果を含めて各見開き画像を表示装置上に再生する時間に比例した大きさの区分領域からなる再生時間表示図形を、準備された見開き画像の先頭から末尾まで並べて前記見開き画像とともに表示するステップと、前記再生時間表示図形に対して、再生済みの見開き画像に対応する区分領域と、現在再生中の見開き画像に対応する区分領域との境界を表示するステップとからなる点に第1の特徴がある。
【0006】
また、本発明は、再生中の区分領域のうち、まだ再生されていない時間と再生済みの時間との境界を表示するステップをさらに有する点に第2の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、画像記憶手段に予め準備された複数枚の画像を右ページ画像と左ページ画像の組からなる本形式の見開き画像として表示装置に表示する画像表示方法において、見開き画像上に予め領域を設定して付加される演出効果を含めて各見開き画像を表示装置上に再生する時間に比例した大きさの区分領域からなる再生時間表示図形を、準備された見開き画像の先頭から末尾まで並べて前記見開き画像とともに表示するステップと、前記再生時間表示図形に対して、再生済みの見開き画像に対応する区分領域を第1色で塗りつぶすステップと、現在再生中の見開き画像に対応する区分領域のうち、まだ再生していない時間に相当する大きさを第2色で塗りつぶすステップと、現在再生中の見開き画像に対応する区分領域のうち再生済みの時間に相当する大きさを前記第1色で塗りつぶすステップとからなる点に第3の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記区分領域が矩形図形で表示され、これらが並べられて帯状の再生時間表示図形を形成する点に第4の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記再生時間表示図形に対して入力装置で位置が指示されたことを検出するステップと、前記入力装置による位置の指示を検出した場合に、指示された位置の区分領域に対応する見開き画像を特定するステップと、前記特定された見開き画像を前記画像記憶手段から読み出して、該見開き画像のプレビュー画像を、前記指示された位置の近傍に表示するステップと、前記指示された位置に対して、入力装置によるページ切り替え指示がなされたことを検出するステップと、前記ページ切り替え指示に応答して、前記プレビュー画像で代表される見開き画像を現在表示されている見開き画像に代えて表示するステップとからなる点に第5の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記プレビュー画像の表示位置が、前記指示された位置と重ならない位置に設定される点に第6の特徴がある。また、本発明は、前記プレビュー画像が半透明画像で表示される点に第7の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、見開き画像に予め設定されている演出効果に関する情報をプレビュー画像上に表示するステップを含んでいる点に第8の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記第1〜第8の特徴を有する画像表示方法の各ステップをコンピュータによって実行させる画像表示用コンピュータプログラムである。
【0013】
さらに、本発明は、前記画像表示用コンピュータプログラムを格納したコンピュータによる読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0014】
第1〜第3の特徴を有する本発明によれば、再生時間表示図形によって、全見開き画像の再生時間に対する各見開き画像の再生時間の割合を把握できるし、全再生時間に対して現在の見開き画像が再生されている時期を把握できる。つまり、絵本全体のどのあたりが再生されているかを把握できる。特に、第2、第3の特徴によれば、現在再生されている見開き画像内での現在位置を時間軸上で把握できる。そして、これらは、すべて視覚的に認識することができる。
【0015】
第4の特徴を有する本発明によれば、矩形図形を見開き画像の枚数分並べて全体の画像再生時間を表示でき、矩形図形の長さで、各見開き画像の再生時間および全体の中で、各区分領域がどの程度の割合を占めるかを把握できる。
【0016】
第5の特徴を有する本発明によれば、再生時間表示図形に対して入力装置を使用してユーザが位置を指示したとき、つまり入力装置でポインティングされたとき、その位置が検出され、その指示された位置の近傍に見開き画像のプレビュー画像が表示される。したがって、現在表示されている見開き以外の見開きの画像を確認できる。そして、そのプレビュー画像が表示された状態でポインティング位置をそのまま入力装置でクリック操作する等、ページ切り替え指示をすることによって、目当ての見開きへジャンプすることができる。
【0017】
つまり、入力装置であるマウスを滑らせて、再生時間表示図形上でカーソルを移動させると、カーソル位置に応じて次々とプレビュー画像が表示されるので、目的のページのプレビュー画像が表示された時にカーソルの移動を止めて、その位置でクリックすれば、目的のページを含む見開き画像が得られる。
【0018】
最初からすべてのプレビュー画像を再生時間表示図形に対応させて表示しておくことも考えられるが、その場合にはそれ相当の大きさの表示領域が必要となるし、ページ数が多くなるとプレビュー画像を視認しづらくなる。一方、第5の特徴を有する本発明によれば、ポインティングしたときだけプレビュー画像を表示できるので、このような不都合が生じることがない。
【0019】
第6の特徴を有する特徴によれば、ポインティングした位置を避けるようにして、しかもポインティングした位置から遠くない位置にプレビュー画像を表示することにより、カーソルと重なることによってプレビュー画像が見づらくなってしまうのを防止できるし、ポインティングしている付近の画像をプレビュー画像が隠してしまうのも防止できる。
【0020】
第7の特徴によれば、プレビュー画像を半透明で表示してプレビュー画像をページの画像内に重ねて表示したときに、下の画像が透けて見えるので、プレビュー画像が目障りになるのを回避することができる。
【0021】
第8の特徴によれば、見開き画像に予め設定されている音声や画像処理の演出を、プレビュー画像に含まれているマーク等の情報によって認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る画像表示方法を実現する画像表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。このハードウェア構成は汎用のパーソナルコンピュータによって実現できる。すなわち、画像表示制御装置100は、CPU1、ROM2、RAM3、表示装置4、音源装置5、サウンドシステム6、入力装置7、および外部記憶装置8を有している。また、パーソナルコンピュータには、スキャナ装置9およびマイクロフォン10が接続される。マイクロフォン10はA/D変換器11を介してパーソナルコンピュータに接続される。
【0023】
表示装置4としては、液晶ディスプレイ装置等、パーソナルコンピュータの処理結果を表示するための周知の装置を使用できる。音源装置5は、ソフトウェアや効果音付与のためのDSP等から構成される。入力装置7は、キーボードおよびマウス等のポインティングデバイスである。外部記憶装置8は、例えば、ディスクドライブ装置であり、記憶媒体から画像表示用プログラムを読み込んでROM2にインストールするのに用いられる。なお、画像表示用プログラムは、外部記憶装置8からROM2にインストールするのに限らず、パーソナルコンピュータに設けられる通信装置を使用してインタネット上のサーバ等情報リソースからダウンロードするのであってもよい。RAM3は、CPU1での処理に使用される情報を一次的に記憶する手段である。サウンドシステム6は、図示しないD/A変換器、アンプ、およびスピーカを含む。
【0024】
画像表示制御装置100は、ROM2に読み込まれる画像表示用プログラムをCPU1で実行することにより、表示装置4に画像を表示する。CPU1の機能および画像表示用プログラムの詳細は、以下に説明する実施例によって明らかにする。
【0025】
画像表示制御装置100は、スキャナ装置9で読み込んだ絵本の画像に演出効果を加えて電子絵本を作成し、その電子絵本を表示装置4で表示再生するとともに、サウンドシステム6を使用して本文の朗読音声や効果音を再生する。
【0026】
図3は、画像表示制御装置100の要部を示すパーソナルコンピュータの機能ブロック図である。図3において、画像読み取り部18は、画像作成モードスイッチ19のオンに応答してスキャナ装置9を駆動し、スキャナ装置9の読み取り位置にセットされている絵本の画像を読み取り、画像記憶部20にページ数と対応付けて記憶される。なお、画像補正部21を設けて、スキャナ装置9で読み取られた画像を表示装置4に表示して、必要に応じて画面の回転、トリミング、色調補正などの補正処理を画像情報に加えた後、画像記憶部20に記憶させることもできる。
【0027】
なお、画像記憶部20に記憶される画像情報は、絵本から読み取ったものに限らず、写真集やカタログブック等から読みとったものでもよいし、本形式のものに限らず、複数枚のシート状の絵や写真であってもよい。また、デジタルカメラ等で撮影された電子情報による画像を画像記憶部20に直接取り込んでもよい。さらに、外部記憶装置8から読み込まれる記録媒体に画像表示用プログラムとともに絵本の画像情報を含めておき、この画像情報を取り込むのであってもよい。
【0028】
演出設定画像作成部22は、画像記憶部20に記憶された画像に対して演出効果を加える手段である。演出効果には、音声、サウンド(効果音)、BGM等、音の演出、並びに画像の拡大・縮小、および変形・移動等、画像演出が含まれる。演出画像作成部22は、演出領域設定部221と演出効果設定部222とからなり、演出設定モードスイッチ23のオンに応答して起動される。
【0029】
演出領域設定部221は、表示装置4に表示される演出設定前の各ページの画像に対して入力装置7を使って演出領域を決定し、その演出領域を表示装置4の表示画面上の座標値として記憶する。すなわち、入力装置9としてのマウスのX・Y方向の移動量がRAM3上のカーソルポイントレジスタのカーソル座標データに加算されることで、この座標データに基づいて表示装置4上でのカーソル位置が決定される。そして、表示装置4に表示された各ページ画像の演出領域として指定された位置の座標データに再生時期データが付加されて、演出設定情報記憶部24に記憶される。再生時期データは、演出領域内の画像を、演出効果を伴って表示(再生)するタイミングを示す情報であり、演出領域の設定時に編集により決定される。
【0030】
演出効果設定部222は、演出領域に対応する演出の種類を選択し、演出効果として演出領域と対応付けて演出設定情報記憶部24に記憶するものである。
【0031】
演出設定画像再生部25は、演出画像再生スイッチ26のオンに応答して、第1ページ目から画像記憶部20の画像情報を読み出して表示装置4で表示するとともに、再生時期データに従って、演出設定情報記憶部24から演出設定情報を読み出し、この演出情報によって、表示装置4に表示されている各ページの画像に演出効果を加える。例えば、表示されている演出領域内のキャラクタを移動させたり、サウンドシステム6を使って音声や効果音等を発生させたりする。
【0032】
図4は、演出設定モードにおける表示装置4の表示例を示す図である。図4において、演出領域は、左ページの説明文Aと、右ページのキャラクタB、C、Dを囲む矩形領域に設定される。例えば、キャラクタBを囲む演出領域45は、位置451にマウスのカーソルをポインティングして、斜め下方向の位置452までマウスをドラッグすることによって設定される。同様にして、キャラクタA、C、Dに対して演出領域46、47、48が設定される。設定した演出領域は視覚で認識できるように矩形線により表示される。
【0033】
図4には、絵本の画像表示とともに、設定操作ボタンが表示される。設定表示ボタンは、音声演出ボタン49、BGM演出ボタン50、アニメ演出ボタン51、およびサウンド演出ボタン52からなる。例えば、音声演出は、演出領域48に対して朗読音を付与するものである。演出設定モードで表示された音声演出ボタン49をクリックした直後に設定された演出領域は音声演出設定領域である。
【0034】
この音声演出設定領域をさらにマウスでクリックすると、図5に示した音声演出設定窓53が開く。音声演出設定窓200には、録音開始ボタン201が設けられており、この録音開始ボタン201がマウスでクリックされると、マイクロフォン10から入力される音声が取り込まれ、朗読時間に対応した長さの音声演出データとして演出設定情報記憶部24に記憶される。音声演出データには、パン(ステレオ効果)、エコー、ピッチシフト、タイムストレッチ等、各種の効果を与える処理を加えることができる。
【0035】
同様にして、演出領域45、46、47にもサウンド演出(効果音の付加)を設定できるとともに、キャラクタB、C、D等には、画像の回転、拡大縮小、左右上下方向への移動等の演出を加えることができる。画像演出には、音声演出設定窓200と同様に、画像演出用の設定窓が開かれる。
【0036】
図4に戻る。図4において設定操作ボタンのそれぞれの右側には各演出効果が再生されるタイミング(再生時期)を表示するタイムライン55が設けられる。再生時期は、音声については録音開始時から録音終了時に対応した時間に対応して再生時期を決定する。演出音声の再生時期が決定されると、その見開き画像の再生時間の全体を決定することができる。すなわち、朗読時間の前後に任意の時間を付加して見開き画像全体の再生時間とすることができる。
【0037】
BGMやキャラクタに動きを付加するアニメーション、およびキャラクタの動きに合わせて発生させるサウンド(効果音)は、演出音声によって決定した時間内の任意の時間帯に、その再生時期を振り分けることができる。
【0038】
決定した再生時期は、タイムライン55上に各演出効果のボタンに対応させて表示することができる。図4において、再生時期の例はタイムライン55上にハッチングで示した。演出領域45〜48から再生時期を示すハッチングへ延びた矢印で演出領域と再生時期との対応を示している。
【0039】
図6は、演出設定情報記憶部24に記憶される演出設定情報の例を示す図である。図6において、演出設定情報記憶部24は、絵本のページ記述領域56と、ページ記述領域56に対応付けられた演出設定情報記憶領域57とからなる。演出設定情報は、演出領域のX・Y座標と、設定効果名と、設定効果の内容と、再生時間と、再生時期とからなる。再生時期は各ページの画像再生が開始された時を基準にしている。図6の演出設定情報記憶部24の構成は一例であり、他の情報を演出設定情報に含めてもよい。
【0040】
前記再生画像表示領域29に表示された絵本画像のページは、ページめくりボタン39〜41や自動ページめくりボタン42を操作して1ページずつめくったり、最初のページにジャンプさせたりすることができる。しかし、さらに先のページや前のページにジャンプさせたいという要望がある。この要望には、後述する方法によって応えることができる。
【0041】
図1は、表示装置4の表示例を示す図である。図1において、画面27は、モードスイッチ表示領域28、再生画像表示領域29、再生操作領域30、および再生画像領域29の下方に設けられた時間軸を示す横長の棒グラフ31が表示されている。モードスイッチ表示領域28には、画像作成モードスイッチ19、演出設定モードスイッチ23、演出画像再生スイッチ26、および印刷スイッチ32が設けられる。また、画像作成モードスイッチ19の上方には、現在選択されているモードを表示する現在モード表示領域33が設けられる。現在のモードは演出画像再生モードであり「再生」と表示されている。
【0042】
棒グラフ31は、各見開き画像2ページ分(以下、見開き画像を構成する2ページを、「1枚」と呼ぶ。但し、絵本の表紙は、片側1ページで1枚の見開き画像である。)の再生時間をそれぞれ表したものである。棒グラフ31は、各見開き画像の再生時間に応じた長さで目盛りを付加しており、現在再生している見開き画像の直前までの画像は第1色の領域34(例えば赤)で表示し、現在再生している見開き画像を第2色の領域35(例えば青)で示している。現在の見開き画像の再生が進むにつれて第2色の領域35の長さが短くなって、第1色の領域34の長さが長くなっていく。これにより、絵本全体に対する各見開き画像の再生時間が判断できるし、絵本全体に対する現在再生中の見開き画像の位置が判断できるとともに、再生中の見開き画像中の現在位置が判断できる。
【0043】
再生操作領域30には、再生開始ボタン36、停止ボタン37、および再生ページ中の頭出しボタン38と、ページめくりボタン39、40、41とが表示される。ページめくりボタン39は次ページへ表示を進めるスイッチであり、ページめくりボタン41は前ページへ表示を戻すスイッチである。また、ページめくりボタン40は最初のページにジャンプして表示させるスイッチである。ページめくりボタン39、40、41は手動操作スイッチである。表示中のページの画像再生が終了した後、自動的にページめくりを実行する自動めくりボタン42が設けられる。
【0044】
図1は、演出画像再生モード実行中の画面であり、再生画像表示領域29には、2ページ見開き形式で絵本が表示されている例が示されている。符号43はすでに読み込まれている絵本の画像ファイルにアクセスするための本棚ボタンであり、画像ファイルから絵本の画像を読み出して編集や再生を行う場合に使用する。符号44はオフスイッチであり、画像表示を終了するときに使用される。
【0045】
図7は、時間経過に伴う棒グラフ31の変化を示す図である。図7(a)に示すように、このデジタル絵本は、15枚の見開き画面からなる。各見開き画像の演出効果の再生時間は、棒グラフ31の1目盛りで表される。図7(a)は、15枚の見開き画像のうち、第9枚目の見開きが表示され、この第9枚目の見開き画像に付加されている演出効果が再生中であることを示す。そして、第2色の領域35は、第9枚目の見開き画像に付加されている演出効果が、時間T1で再生開始されてから時間が経過した分に相当する長さL1だけ短くなり、第1色の領域34が長くなっている。
【0046】
図7(b)は、第9枚目の見開きに付加されている演出効果の再生が終わりに近づいている状態であり。第2色の領域35はほとんど消滅しかかっている。
【0047】
図7(c)は、第10枚目の見開き画像に付加されている演出効果の再生が開始された状態であり、第2色の領域35は、第10枚目の見開き画像に相当する棒グラフ31の区分領域58全体に亘っている。
【0048】
上記棒グラフ31の表示は、再生時間の経過に従って棒グラフ31の第2色の領域35が第1色の領域34で浸食されるように行ったが、この構成に限らない。例えば、見開き画像の設定効果の再生が開始された後、時間の経過に伴って第2色の領域35が延び、該見開き画像の再生時間に応じた棒グラフ31の区分領域が第2色で塗りつぶされた時に、その第2色の領域35を第1色に塗り替えるという構成であってもよい。
【0049】
また、第1色の領域34と第2色の領域との境界線が、再生時間の経過に従って右方向に移動していくようにしてもよい。この場合、第1の色および第2の色の着色を省略してもよい。
【0050】
図8は、ページ再生時間を棒グラフで表示するための画像表示制御装置100の要部機能を示すブロック図である。図8において、棒グラフ区分長さ算出部59は、演出設定情報記憶部24に記憶されている各ページの再生時間に基づいて、各見開き画像の再生時間を算出し、さらに、その各見開き画像の再生時間が全ての見開き画像の合計再生時間に示す割合を算出する。棒グラフ表示部60は、所定長さの棒グラフ31を前記各見開き画像の再生時間の割合で内分し、各見開き画像の再生時間の割合に応じた区分領域の長さを有する棒グラフ31を表示装置4上に、図1に一例を示したように表示する。
【0051】
再生カウンタ61には、各見開き画像の再生時間に比例したカウンタ値がセットされる。各見開きページの再生時間は、演出設定情報記憶部24に記憶されている各ページの再生時間を参照して検出される。再生カウンタ61は、見開き画像に設定されている演出効果の再生が開始されると、CPU1のクロック信号が予定数入力される毎にカウンタ値を減少させ、カウンタ値がゼロになったときに、再生終了信号をページカウンタ62に入力する。ページカウンタ62には、現在開かれている見開き画像の枚数が初期値として設定されており、前記再生カウンタ61から再生終了信号が入力される毎に、見開き画像の枚数が更新される。
【0052】
第1色表示部63は、ページカウンタ62の値に応じて、棒グラフ表示部60に、見開きページ数と第1色(例えば赤)の領域34を付加する指示を出力する。棒グラフ表示部60は、棒グラフ31上の該当見開きページの目盛りまで(見開き画像が第9枚目の画像ならば、第8枚目の見開き画像の目盛りまで)第1色で塗りつぶす。さらに、第1色表示部63は、再生カウンタ61から、カウンタ値の初期値と現在値を読み出して、該初期値に対する現在値の割合を、現在表示されている見開き画像の再生時間の経過割合として算出し、その割合に応じた長さの第1色領域34を追加して表示する。
【0053】
第2色表示部64は、現在表示されている見開き画像に対応する棒グラフ31の区分領域のうち、前記再生時間の経過割合を減算した長さを第2色(青)で塗りつぶす指示を棒グラフ表示部60に入力する。
【0054】
次に、前記棒グラフ31に付加することができる機能について説明する。棒グラフ31の各区分領域(目盛りで挟まれた領域)は、各見開き画像を代表する。したがって、この棒グラフ31の、見開き画像を代表する各区分領域を入力装置9で指示(ポインティング)することによって、図1の再生画像表示領域29に表示された画像を、指示された見開き画像に切り替えることができる。
【0055】
図9は、ページ画像の表示切り替え(ページジャンプ)が可能な画像の表示例を示す図である。図9では、入力装置7としてのマウスでマウスカーソルを移動させて、棒グラフ31にポインティングした例を示す。区分領域65をポインティングすると、ポインティングされた棒グラフ31上の区分領域65で代表される見開き画像1枚分の画像が画像記憶部20から読み出され、この見開き画像を縮小したプレビュー画像66が棒グラフ31上に表示される。プレビュー画像66の表示位置は、ポインティングした位置のカーソルC1と重ならないように、棒グラフ31上で左右いずれかにずらせて表示するのがよい。この例ではカーソルC1に対してプレビュー画像66を右側にずらせて表示している。このように表示位置をずらすことによってプレビュー画像66とカーソルとが重なって、カーソルC1やプレビュー画像66の詳細が見えにくくなるのを防止するためである。
【0056】
そして、ポインティング位置を棒グラフ31でずらせていくと、次々とプレビュー画像が切り替わっていくので、所望の見開き画像がプレビュー画像として表示されたところで、そのポインティングした位置でマウスをクリックすると、プレビュー画像に対応する見開き画像が、再生画像表示領域29に現在表示されている見開き画像に代わって表示される。
【0057】
なお、プレビュー画像66は、見開き画像や棒グラフ31の画像に重ねて表示されるので、見開き画像や棒グラフ31の一部がこのプレビュー画像66で隠されてしまう。このように見開きページ等の一部がプレビュー画像によって隠されるのを防止するため、プレビュー画像を半透明で表示させるのがよい。
【0058】
プレビュー画像66によって、ユーザは、該プレビュー画像65で代表される見開きページに設定されている演出効果を認識できる
【0059】
図10は、半透明のプレビュー画像の例を示す図である。この図では、ポインティング位置(カーソルC1)が右側にあるので、プレビュー画像66はカーソルC1の左側にずらせて表示されている。その結果、プレビュー画像66が、操作アイコン67が表示されている位置に一部重ねて表示されることになっている。このような場合にも、プレビュー画像66は半透明で表示されているので、操作アイコン67や棒グラフ31がプレビュー画像66上に透けて見える。
【0060】
図11は、ページジャンプ処理の例を示すフローチャートである。図11において、ステップS1では、棒グラフ31上に対するポインティングの有無が判断される。ステップS1が肯定ならば、ステップS2に進み、予め記憶してある棒グラフ31の各区分領域の座標を参照して、ポインティングされた位置が第何枚目の見開き画像を代表する区分領域に相当する位置かを検出する。
【0061】
ステップS3では、検出された区分領域で代表される見開き画像を構成する2ページ分(表紙の場合は1ページのみ)の画像データを画像記憶部20から読み出す。ステップS4では、読み出した見開き画像2ページ分の画像データを、予め設定された縮小率で縮小してプレビュー画像を作成する。ステップS5では、作成されたプレビュー画像を、棒グラフ31上の、ポインティングされた位置から左右に予定量ずらせた位置に表示する。
【0062】
ステップS6では、ポインティング位置がクリックされたか否かが判断される。ステップS6が肯定ならば、ステップS7に進んで、プレビュー画像で代表される見開き画像の画像データを画像記憶部20から読み出す。それからステップS8に進んで、読み出した見開き画像を再生画像表示領域29に表示する。
【0063】
ステップS6が否定ならば、ステップS9に進んで、直前のポインティング位置とは異なる棒グラフ31上の位置がポインティングされたか否か、つまりポインティング位置が他の区分領域に移動したか否かを判断する。ステップS9が否定ならば、ステップS6に戻る。ステップS9が肯定ならば、ステップS2に進む。
【0064】
図12は、ページジャンプ処理に必要な機能を示す画像表示制御装置100の要部機能ブロック図である。図12において、ポインティング位置判別部68は、再生画像表示領域29に表示されている見開き画像内の棒グラフ表示領域が入力装置7でポインティングされたときに、その位置座標を棒グラフ区分領域検出部69に入力する。棒グラフ区分領域検出部69は、ポインティング位置判別部68から入力された位置座標に基づいて棒グラフ区分座標記憶部70を検索して、見開きページを代表する区分領域を抽出する。棒グラフ区分座標記憶部70は、棒グラフ31が表示されている領域の各区分領域を示すX・Y座標値を記憶しており、ポインティングされた位置の座標を含む区分領域を示す情報を出力する。
【0065】
区分領域を示す情報、すなわち第何枚目の見開き画像を代表するかを示す情報はプレビュー作成部71に入力される。プレビュー作成部71は、画像記憶部20から指示された見開きページを構成する2ページ分の画像情報を読み出して予定の縮小率で縮小してプレビュー表示部72(表示装置4)に出力する。
【0066】
クリック操作判定部73は、ポインティングされた位置でマウスクリックがなされたか否かを判定し、クリックされたと判定されたならば、画像記憶部20にページ番号を伴う読み出し指示を入力する。画像記憶部20は入力されたページ番号の画像情報を見開き表示部74(表示装置4)に入力する。入力された画像情報に従って見開き表示部74は入力されたページ番号を含む見開きページの画像を見開き表示部74に表示させる。
【0067】
演出再生部75は、演出画像再生スイッチ26がオンになると、演出設定情報記憶部24から演出設定情報を読み出して、見開き表示部74に表示されているページに設定されている演出効果を再生する。なお、演出効果の再生は、演出画像再生スイッチ26のオンによって行われるのに限らず、ポインティング位置に対するクリック動作に応答して見開きページを再生するのと同時に自動的に演出効果を含めて見開きページを再生させてもよい。
【0068】
図13は、画像中に演出設定情報を表示した例を示す図である。図13において、見開き画像80の右ページのキャラクタ81の演出設定領域82には、演出効果を示す情報(マーク)A、Bが表示され、キャラクタ83の演出設定領域84には、演出効果を示す情報C、Dが表示され、キャラクタ85の演出設定領域86には演出効果を示す情報Eが表示される。また、見開き画像80の左ページの文に設定した演出設定領域87には、演出効果を示す情報F、Gが表示される。情報A〜Gは、サウンド、画像の拡大・縮小、画像の回転、画像の移動、音声、BGM等の演出効果がそれぞれの演出設定領域に設定されていることを示す。図13においては、棒グラフ31に表示されているプレビュー画像88にも、演出マークが含まれている。
【0069】
なお、絵本のストーリ、つまり時間経過に従って予定の順序で再生されるストーリ演出と、ユーザが画面上をマウス等入力装置でクリックしたときに、そのクリックした位置が予定のシークレット設定位置であった場合に演出効果が再生されるシークレット演出とを区別して設定することができる。そして、前記演出効果を示すマークには、該演出効果がストーリ演出に属するものかシークレット演出に属するものかを表すものを追加してもよい。
【0070】
上述のように、本実施形態によれば、2ページ見開き形式で表示される絵本の所望のページへジャンプさせるため、棒グラフ31に表示されている見開きページの再生時間に比例した長さの区分領域を利用できるようにした。すなわち、棒グラフ31の目盛りで分けられた区分領域をポインティングすることで棒グラフ31上にプレビュー画像を表示させ、その位置でクリックしてページ切り替え指示を行うことで、該プレビュー画像に対応する所望の見開きページにジャンプしてその画像を表示させることができる。
【0071】
本実施形態は、絵本に関して説明したが、本の種類は絵本に限らず、写真集やカタログブック等でも同様に表示できる。また、本や冊子に限らず、独立した複数枚の絵や写真をスキャナ装置9で取り込んでサイズを調節して本形式で表示させるものにも適用することができる。
【0072】
なお、見開きページの再生時間等を棒グラフ31で代表させたが、棒グラフ31は、図示したものに限らない。要は、時間軸上に絵本等の見開きページの再生時間を表す区分領域の図形を先頭から末尾まで配列して表示すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係る本形式の見開き画像表示例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像表示制御装置であるパーソナルコンピュータのハード構成を示すブロック図である。
【図3】画像に演出設定するための画像表示制御装置の要部機能を示すブロック図である。
【図4】演出設定モードにおける表示装置4の表示例を示す図である。
【図5】音声演出の設定窓の一例を示す図である。
【図6】演出設定情報の記憶例を示す図である。
【図7】時間経過に伴う棒グラフ31の変化を示す図である。
【図8】ページ再生時間を棒グラフで表示するための画像表示制御装置の要部機能を示すブロック図である。
【図9】ページ画像の表示切り替え(ページジャンプ)が可能な画像の表示例を示す図である。
【図10】半透明のプレビュー画像の例を示す図である。
【図11】ページジャンプ処理の例を示すフローチャートである。
【図12】ページジャンプ処理に必要な機能を示す画像表示制御装置の要部機能ブロック図である。
【図13】画像中に演出設定情報を表示した例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…CPU、 4…表示装置、 7…入力装置、 9…スキャナ装置、 19…画像作成モードスイッチ、 20…画像記憶部、 22…演出設定画像作成部、 23…演出設定モードスイッチ、 24…演出設定情報記憶部、 25…演出設定画像再生部、 27…画面、 29…再生画像表示領域、 31…棒グラフ、 34…第1色の領域、 35…第2色の領域、 59…棒グラフ区分長さ算出部、 60…棒グラフ表示部、 61…再生カウンタ、 62…ページカウンタ、 63…第1色表示部、 64…第2色表示部、 65…区分領域、 68…ポインティング位置判別部、 69…棒グラフ区分領域検出部、 70…棒グラフ区分座標記憶部、 71…プレビュー作成部、 72…プレビュー表示部 73…クリック操作判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記憶手段に予め準備された複数枚の画像を右ページ画像と左ページ画像の組からなる本形式の見開き画像として表示装置に表示する画像表示方法において、
見開き画像上に予め領域を設定して付加される演出効果を含めて各見開き画像を表示装置上に再生する時間に比例した大きさの区分領域からなる再生時間表示図形を、準備された見開き画像の先頭から末尾まで並べて前記見開き画像とともに表示するステップと、
前記再生時間表示図形に対して、再生済みの見開き画像に対応する区分領域と、現在再生中の見開き画像に対応する区分領域との境界を表示するステップとからなることを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
再生中の区分領域のうち、まだ再生されていない時間と再生済みの時間との境界を表示するステップをさらに有する請求項1記載の画像表示方法。
【請求項3】
画像記憶手段に予め準備された複数枚の画像を右ページ画像と左ページ画像の組からなる本形式の見開き画像として表示装置に表示する画像表示方法において、
見開き画像上に予め領域を設定して付加される演出効果を含めて各見開き画像を表示装置上に再生する時間に比例した大きさの区分領域からなる再生時間表示図形を、準備された見開き画像の先頭から末尾まで並べて前記見開き画像とともに表示するステップと、
前記再生時間表示図形に対して、再生済みの見開き画像に対応する区分領域を第1色で塗りつぶすステップと、
現在再生中の見開き画像に対応する区分領域のうち、まだ再生していない時間に相当する大きさを第2色で塗りつぶすステップと、
現在再生中の見開き画像に対応する区分領域のうち再生済みの時間に相当する大きさを前記第1色で塗りつぶすステップとからなることを特徴とする画像表示方法。
【請求項4】
前記区分領域が矩形図形で表示され、これらが並べられて帯状の再生時間表示図形を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項5】
前記再生時間表示図形に対して入力装置で位置が指示されたことを検出するステップと、
前記入力装置による位置の指示を検出した場合に、指示された位置の区分領域に対応する見開き画像を特定するステップと、
前記特定された見開き画像を前記画像記憶手段から読み出して、該見開き画像のプレビュー画像を、前記指示された位置の近傍に表示するステップと、
前記指示された位置に対して、入力装置によるページ切り替え指示がなされたことを検出するステップと、
前記ページ切り替え指示に応答して、前記プレビュー画像で代表される見開き画像を現在表示されている見開き画像に代えて表示するステップとからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記プレビュー画像の表示位置が、前記指示された位置と重ならない位置に設定されることを特徴とする請求項5記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記プレビュー画像が半透明画像で表示されることを特徴とする請求項5または6記載の画像表示方法。
【請求項8】
見開き画像に予め設定されている演出効果に関する情報をプレビュー画像上に表示するステップを含んでいることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載された画像表示方法の各ステップをコンピュータによって実行させる画像表示用コンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載された画像表示用コンピュータプログラムを格納したコンピュータによる読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−39991(P2010−39991A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205515(P2008−205515)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】